JP6120129B2 - 現像装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像装置並びにこれを用いた画像形成装置に関するものである。
特許文献1には、感光体との対向部である現像領域にトナーを搬送する現像ローラの表面上に、凸部の高さや凹部の深さが一定で規則的なパターンからなる凹凸を形成した現像装置が記載されている。この現像装置では、規制部材によって凸部に存在するトナーをすり切ることで、現像ローラ表面上のトナーは凹部内に収容されたトナーのみとなり、凹部の深さが一定で、その形成パターンが規則的であるため、現像ローラの一周にわたってトナー担持量が略安定する。このような現像装置では、凹部の容量を所望量のトナーを担持する容量に設定することにより、所望量のトナーを現像領域に搬送することができる。
しかしながら、上記特許文献1に記載の現像装置においては、現像ローラの凹部における現像ローラの表面移動方向上流側の壁面にトナーが凝集してしまうという課題があった。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究した結果、次のことがわかった。以下に、図面を用いて具体的に説明する。
図27は、規制部材45と現像ローラ42との当接部の巨視図である。
図27に示すように、規制部材45の表面は、完全な平面ではなく数μmオーダーの凹凸がある。規制部材45表面の凸の部分が、現像ローラ42凹部42bにくると、規制部材45表面凸部分の現像ローラ表面移動方向上流側の斜面が、凹部42bに存在するトナーTに対して図中矢印Fc方向に押圧する。その結果、凹部42bに存在するトナーTが、凹部42bの現像ローラ表面移動方向上流側の壁面に押圧する。その結果、図中点線42cで示す凹部42bの現像ローラ表面移動方向上流側の壁面付近にトナーが凝集してしまうことがわかったのである。
本発明は以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、現像剤担持体の凹部における現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近で現像剤が凝集するのを抑制することができる現像装置および画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体の表面の潜像に現像剤を供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体の表面に接触し、該現像領域に向かう現像剤の量を規制する規制部材とを有し、該現像剤担持体の表面に凹凸形状を備えた現像装置において、非現像時に、上記現像剤担持体の表面が、現像時の表面移動方向と逆方向に移動するように制御可能な制御手段と、上記現像剤担持体と上記規制部材との間に上記現像剤担持体上の現像剤を、上記規制部材に引き付けるような電界を発生させる電界発生手段とを備え、上記制御手段は、上記現像剤担持体を、現像時の表面移動方向と逆方向に移動させるとき、上記電界発生手段を制御して、上記現像剤担持体と上記規制部材との間に上記現像剤担持体上の現像剤を、上記規制部材に引き付けるような電界を発生させることを特徴とするものである。
本発明によれば、非現像時に現像剤担持体を逆回転させることで、規制部材の凸の部分で、現像剤担持体凹部の現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近に溜まった現像剤を、現像時の現像剤担持体表面移動方向下流側へ押し出すことができる。これにより、現像剤担持体の凹部における現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面の現像剤を解すことができる。その結果、現像剤担持体の凹部における現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近で現像剤が凝集するのを抑制することができる。
本実施形態に係る複写機の概略構成図。 本実施形態の現像装置の概略構成図。 現像装置の一つ目の斜視説明図。 現像装置の二つ目の斜視説明図。 現像装置の断面説明図。 現像装置の一部を断面図で示す斜視図。 現像ローラの斜視説明図。 現像ローラの側面図。 下ケースの図示を省略した現像装置の一方の端部近傍の拡大斜視図。 下ケースの図示を省略した現像装置の他方の端部近傍の拡大斜視図。 (a)は、現像ローラ全体の概略図、(b)は、現像ローラの表面の一部の拡大図。 図11(b)のA−A断面図。 凸部と凹部とが成す角が90[°]未満である現像ローラの表面の拡大断面図。 凸部と凹部とが成す角の一部が90[°]未満である現像ローラの表面の拡大断面図。 供給ローラの斜視説明図。 供給ローラの側面図。 ドクタブレードの斜視説明図。 ドクタブレードの側面図。 図9の状態から現像ローラの図示を省略した現像装置の拡大斜視図。 図10の状態から現像ローラの図示を省略した現像装置の拡大斜視図。 パドルの斜視説明図。 パドルの側面図。 現像装置を制御する制御ブロック図。 現像ローラとドクタブレード45の当接部付近の拡大図。 現像ローラの回転制御フロー図。 現像ローラ逆回転時の現像ローラとドクタブレードの当接部付近の巨視図。 現像ローラ正回転時の現像ローラとドクタブレードの当接部付近の巨視図。 ドクタブレードにトナーが付着した様子を示す現像ローラとドクタブレードの当接部付近の巨視図。 長期間の使用後の現像ローラとドクタブレードの当接部付近の巨視図。 長期間の使用後のドクタブレードに付着したトナーの様子を示す現像ローラとドクタブレードの当接部付近の巨視図。 現像ローラ逆回転によるドクタブレードに付着したトナーの除去について説明する図。 現像ローラ逆回転時の表面移動距離について説明する図。 上流側角部の磨耗量と掻き取り力の関係を示すグラフ。
以下、本発明を画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)に適用した、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態1の複写機500の概略構成図である。複写機500は、複写装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部300という)から構成される。
プリンタ部100は、四つのプロセスユニットとしてのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)、複数の張架ローラに張架されて図2中の矢印A方向に移動する中間転写体としての中間転写ベルト7、潜像形成手段としての露光装置6、定着手段としての定着装置12等を備えている。
四つのプロセスカートリッジ1の、符号の後に付されたY,M,C,Kという添字は、イエロー,マゼンタ,シアン,黒用の仕様であることを示している。4つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、以下、K,Y,M,Cという添字を省略して説明する。
プロセスカートリッジ1は、潜像担持体である感光体2、帯電手段である帯電部材3、現像手段である現像装置4、及び、クリーニング手段である感光体クリーニング装置5を一体的に支持してユニット状とした構成となっている。各プロセスカートリッジ1は、それぞれの不図示のストッパーを解除することにより、複写機500本体に対して着脱可能となっている。
感光体2は、図中の矢印で示すように、図中の時計周り方向に回転する。帯電部材3は、ローラ状の帯電ローラであり、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。作像時には、帯電部材3には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体2の表面を帯電する。本実施形態のプロセスカートリッジ1は、帯電手段として、感光体2の表面に接触するローラ状の帯電部材3を用いているが、帯電手段としてはこれに限るものではなく、コロナ帯電などの非接触帯電方式を用いてもよい。
露光装置6は、スキャナ部300で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、感光体2の表面に対して露光し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置6は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
感光体クリーニング装置5は、中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナーのクリーニングを行う。
四つのプロセスカートリッジ1は、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色ごとのトナー像を感光体2上に形成する。四つのプロセスカートリッジ1は、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順に重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
図1において、各感光体2に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されている。一次転写ローラ8には不図示の高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。感光体2と一次転写ローラ8との間で一次転写電界が形成されることにより、感光体2の表面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写される。中間転写ベルト7を張架する複数の張架ローラのうちの一つが不図示の駆動モータによって回転することによって中間転写ベルト7が図中の矢印A方向に表面移動する。表面移動する中間転写ベルト7の表面上に各色のトナー像が順次重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像が形成される。
四つのプロセスカートリッジ1が中間転写ベルト7と対向する位置に対して、中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に二次転写ローラ9が配置され、中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成する。二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成する。給紙部200から給紙され、図1中の矢印S方向に搬送される転写材である転写紙Pが二次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が、二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に形成された二次転写電界によって転写紙Pに転写される。
二次転写ニップに対して転写紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。二次転写ニップを通過した転写紙Pは定着装置12に到達し、定着装置12における加熱及び加圧によって転写紙P上に転写されたフルカラー画像が定着され、画像が定着された転写紙Pは複写機500の装置外に出力される。
一方、二次転写ニップで転写紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
図1に示すように、中間転写ベルト7の上方には、各色トナーを収容するトナーボトル400(Y,M,C,K)が複写機500本体に対して着脱可能に配置されている。
各色トナーボトル400に収容されたトナーは、各色に対応する不図示のトナー補給装置によって、各色の現像装置4に供給される。
図2は、本実施形態の現像装置4の概略構成を示す模式図である。なお、図2は、図1中の紙面奥側から見た断面図である。
現像ケーシング41内には、現像剤担持体としての現像ローラ42、現像剤回収部材としての供給回収ローラ44、規制部材としてのドクタブレード45、パドル46などが設けられている。
現像ケーシング41は、感光体と対向する側が開口しており、現像ローラ42の表面の一部はこの開口から外部に露出し、感光体2との対向領域である現像領域αにおいて、感光体2の表面と現像ローラ42との間に所定のギャップ(現像ギャップ)を設けて対向している。また、現像ローラ42の表面には、凸部42a、凹部42bが形成されている。
また、現像ローラ42は、不図示の駆動源としての駆動モータにより、図2中の矢印B方向に回転駆動する。また、現像ローラ42には、現像バイアス電源142が接続されている。現像バイアス電源142は、現像領域αに搬送されたトナーによる潜像の現像のために、現像ローラ42から感光体2へトナーを向かわせるための第一電圧と、感光体2から現像ローラ42へトナーを向かわせるための第二電圧とを備えた交番電圧を現像ローラ42に印加する。このように、本実施形態においては、現像ギャップを設け、現像ローラ42に交番電圧を印加して現像を行う所謂非接触ACジャンピング方式を採用している。非接触にすることで現像ローラ42の表面の凹凸によるムラが画像に現れにくくなり、交番電圧を使用することでさらにその効果が得られるため、画像品質を向上させることが出来る。
この現像ローラ42には、供給回収ローラ44、ドクタブレード45、入口シール47がそれぞれ当接している。
供給回収ローラ44は、供給回収ローラ44と現像ローラとの当接領域である供給・回収ニップβで、トナー収容部43内のトナーを現像ローラ42に供給するとともに、供給・回収ニップβで、現像領域で使用されずに残ったトナーを現像ローラ42から回収するものである。供給回収ローラ44は、トナー収容部43の上部に配置されており、供給回収ローラ44の少なくとも一部がパドル46の回転を停止した状態のトナー収容部43内のトナーTの剤面よりも上方に位置している。また、供給・回収ニップβに対して供給回収ローラ44の表面移動方向下流側の領域(以下、供給・回収ニップ下流側領域と呼ぶ。)がトナーTの剤面よりも上方となっている。供給回収ローラ44は、不図示の駆動源としての駆動モータにより、図1中の矢印C方向に回転駆動し、当接領域において、現像ローラ42の表面移動方向と供給回収ローラ44の表面移動方向とを逆方向にしている。
また、供給回収ローラ44には、回収電界発生手段しての供給回収バイアス電源144が接続されている。供給回収バイアス電源144が供給回収ローラ44に印加する電圧としては、現像ローラ42に印加された交番電圧に対して、トナーの正規帯電極性(本実施形態のトナーTではマイナス極性)に対して逆極性(プラス極性)の直流電圧を印加する。このとき、現像ローラ42に印加する電圧よりも供給回収ローラ44に印加する電圧の方がトナーの正規帯電極性に対して逆極性(プラス極性)となる。これにより、現像ローラ42に対して供給回収ローラ44側にトナーTを引き付ける方向の電界を供給・回収ニップβに形成し、現像ローラ42上トナーのリセット性(回収性)を向上することができる。また、供給回収ローラ44から現像ローラへの供給に関しては、トナー収容部43から大量のトナーを担持して、供給・回収ニップβへ搬送するので、供給・回収ニップβでトナーを供給回収ローラ44に引き付ける電界が発生していても、現像ローラ42の表面に十分なトナーを供給することができる。なお、供給回収バイアス電源144を備える構成では、直流電源を別途必要となり、コスト高となるため、現像装置4の仕様に応じて、供給回収バイアス電源144を設けない構成としても良い。
また、供給回収バイアス電源144を設けない構成とした場合においては、入口シール47で現像領域を通過後のトナーを除電するようにしてもよい。また、この場合、入口シール47に除電を補助する目的でバイアスを印加してもよい。
また、供給回収ローラ44は、現像ローラ42に対して食い込ませて当接させている。供給回収ローラ44の現像ローラ42に対する食い込み量(「現像ローラ42の半径」+「供給回収ローラ44の半径」−「現像ローラ42と供給回収ローラ44との軸間距離」)は、現像ローラ42の凸部42aの高さよりも大きくなるように設定している。凸部42aの高さよりも供給回収ローラ44の食い込み量を大きくすることで、凹部42bにおけるトナーのリセット性(回収性)を向上できる。なお、供給回収ローラ44の現像ローラ42に対する食い込み量が凸部42aの高さに対して大きすぎると、トナーが凹部42bに押し込まれてしまい、凝集の原因となるため、食い込み量が大きくなりすぎないように設定する必要がある。
ドクタブレード45は、現像ローラ42の上記供給・回収ニップβよりも現像ローラ42表面移動方向下流側、かつ、現像領域αよりも現像ローラ42表面移動方向上流側の領域に、10〜100[N/m]の押圧力で当接している。ドクタブレード45は、現像ローラとの当接部で現像ローラ42の凸部42aの頂面に存在するトナーをすり切り、ドクタブレードを通過後の現像ローラ表面のトナー量を所定量に規制するとともに、摩擦帯電によってトナーに電荷を付与するものである。ドクタブレード45の現像ローラ42に対する接触状態は、先端が接触する先端当て状態、及び、先端よりも根元側の面部が接触する腹当て状態の何れでもよい。具体的には、ドクタブレード45の先端から0〜1mmの間で、現像ローラ42に当接させる。しかし、先端当て状態の方が、凸部42aの頂面に存在するトナーを良好にすり切ることができ、凹部42bに存在するトナーのみを現像領域αに搬送することができ、現像領域αに搬送するトナー量が安定するため、より好ましい。また、ドクタブレード45の先端を、現像ローラ42表面移動方向に対してカウンター方向に当接させるのが好ましい。ドクタブレード45の先端をカウンター方向に当接させることで、凸部42aの頂面に存在するトナーを良好にすり切ることができ、凹部42bに存在するトナーのみを現像領域αに搬送することができる。
また、ドクタブレード45には、ドクタバイアス電源145が接続されている。ドクタバイアス電源145によりドクタブレード45には、現像ローラ42に印加された交番電圧に対して、±200[V]の範囲で直流電圧を印加して、摩擦帯電によるトナーの帯電を補助する。また、使用環境により直流電圧の値を制御出来る構成としても良い。具体的には、低湿・低温環境(LL環境)下のときは、現像ローラ42表面のトナーTを、ドクタブレード45側に引き付ける方向の電界が、現像ローラ42とドクタブレード45との間に形成されるような電圧をドクタバイアス電源145によりドクタブレード45に印加する。具体的には、現像ローラ42に印加された交番電圧に対して、トナーの正規帯電極性(本実施形態のトナーTではマイナス極性)に対して逆極性(プラス極性)の直流電圧を印加する。低湿・低温環境下においては、供給回収ローラ44により現像ローラ42に供給されるトナー量が多くなり、ドクタブレード45で現像ローラの凸部42a頂面のトナーを良好にすり切ることができなくなる。その結果、低湿・低温環境下において、ドクタブレード45通過後のM/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)が高くなってしまう。低温低湿環境下において、現像ローラ42表面のトナーTを、ドクタブレード45側に引き付ける方向の電界を、現像ローラ42とドクタブレード45との間に形成することにより、現像ローラ表面に担持された一部のトナーが、ドクタブレード45に静電的に移動する。これにより、ドクタブレード45ですり切るトナー量を低減させることができ、ドクタブレード45で良好に凸部42aの頂面に存在するトナーをすり切ることができる。これにより、環境変動によるドクタブレード45通過後のM/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)の変動を抑制することができる。
入口シール47は、現像ローラ42の現像領域αよりも現像ローラ表面移動方向下流側、供給・回収ニップβよりも現像ローラ表面移動方向上流側の領域に当接している。入口シール47は、現像ローラ42と現像ケーシング41との隙間をシールして、現像ケーシング内のトナーが、現像ローラ42と現像ケーシング41との隙間から飛散するのを防止している。入口シール47は、現像ローラ42上のトナーが、現像ローラ42と入口シール47との当接部を容易にすり抜けるような弱い圧力で当接している。
現像装置4内には、トナーが収容される現像剤収容部としてのトナー収容部43が設けられており、このトナー収容部43内にはパドル46が現像ケーシング41に対して回転可能に取り付けられている。
図3及び図4は、現像装置4の斜視説明図であり、それぞれ異なる方向の斜め上方から現像装置4を見た斜視説明図である。
現像装置4の外形を形成する現像ケーシング41は、上ケース411、中ケース412及び下ケース413が組み合わさることで形成される。中ケース412はトナー収容部43を形成し、上ケース411にはトナー収容部43と外部とを連通する現像剤補給部であるトナー補給口55が形成されている。また、中ケース412には、トナー収容部43内のトナーの量を検知するトナー残量センサ49が設けられている。
図5は、図2と同じ方向から見た現像装置4の断面詳細説明図である。
図5に示すように、上記現像ローラ42、上記ドクタブレード45、パドル46が中ケース412に配置されている。また、中ケース412には、供給スクリュ48が配置されている。また、上ケース411には、入口シール47が設けられている。
図5に示すように、トナー収容部43の底面部43bはパドル46の回転方向に沿った円弧状であり、パドル46の回転に伴う摺擦動作でパドル羽460がトナー収容部43の底面部43bに引っかからないようになっている。
トナー収容部43の現像ローラ42側には底面部43bから垂直に立ち上がる側壁面部43sが形成されており、この側壁面部43sはパドル軸461の中心と同等若しくは若干低い程度のところでX−Y平面に平行な平面状の段部50を形成している。
側壁面部43sとパドル軸461との距離は、底面部43bとパドル軸461との距離よりも短く設定されている。そのため、底面部43bを摺擦してきたパドル羽460は側壁面部43sに突き当たり、より大きくたわむことになる。その後、段部50にパドル羽460の先端部が差し掛かるとパドル羽460を押さえるものが無くなり、パドル羽460の先端部は開放されることで上方に跳ね上がる。このようなパドル羽460の動きによってトナーは上方へと跳ね上げられ攪拌、搬送、供給される。
段部50は、X−Y平面に平行な水平面で、現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)に延在するように形成されている。本実施形態の現像装置4では、段部50が幅方向の全域に設けられているが、パドル羽460が跳ね上がるようになっていれば、現像装置4内の一部分に設けられていてもよい。
トナー収容部43の上方に配置された供給スクリュ48は、供給スクリュ軸481と、この供給スクリュ軸481に固定された螺旋状の羽部である供給スクリュ羽部480となるスクリュ部材である。供給スクリュ軸481を中心に回転可能に設けられており、供給スクリュ軸481の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。
供給スクリュ48の軸方向端部は、現像装置4の長手方向端部に形成されたトナー補給口55(図3、図4参照)の下方に位置している。そして、供給スクリュ48が回転することによって螺旋状の供給スクリュ羽部480がトナー補給口55から補給されたトナーを長手方向における現像装置4の中央部方向に搬送する。
また、上ケース411の現像装置4の内部側は供給回収ローラ44の上部形状に沿うように湾曲形状をしており、上ケース411の湾曲形状の表面と供給回収ローラ44の表面との隙間は、1.0[mm]である。
図6は、現像装置4の一部を拡大した斜視図であり、その一部をZ−X断面図で示す説明図である。
図6に示すように現像ケーシング41には、内部と外部とを連通する開口部56が長手方向(図中Y軸方向)に沿って設けられている。この開口部56から現像ローラ42の一部が露出するように配置されている。
入口シール47は、マイラー等の略矩形のシート部材であってその短手の一端が上ケース411の縁部分に貼着され、他端は自由端とされている。入口シール47の自由端側は現像装置4の内部方向に突出されており、さらに、現像ローラ42に接触するように設けられている。入口シール47も、先端から0〜1mmの間で、現像ローラ42に当接させるのが好ましい。
次に、現像ローラ42について説明する。
図7は、現像ローラ42の斜視説明図であり、図8は、現像ローラ42の側面図である。
図7、図8に示すように、現像ローラ42は、現像ローラ軸421と、表面にトナーを担持するローラ状の担持部420と、スペーサー422とを備えている。スペーサー422は、担持部420に対して軸方向外側(担持部420軸方向両端部近傍)の現像ローラ軸421に取り付けられている。これら軸方向両端部近傍に設けられたスペーサー422が感光体2の表面に接触することにより、現像領域αにおける担持部420の表面と感光体2の表面との距離(現像ギャップ)を一定に保っている。
図9は、下ケース413の図示を省略した現像装置4の一方の端部(図3中の奥側(右側)端部)近傍の拡大斜視図であり、図10は、下ケース413の図示を省略した現像装置4の他方の端部(図3中の手前側(左側)端部)近傍の拡大斜視図である。なお、図10においては、スペーサー422については、図示を省略している。
現像ローラ軸421の軸方向両端は、(図中Y軸方向)と平行になるように中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。
また、中ケース412の一部にはサイドシール59が貼着されている。サイドシール59は、現像ローラ42の軸方向両端近傍に設けられたスペーサー422よりも軸方向における内側で、且つ、現像ローラ42にドクタブレード45が接触する軸方向の端部が重なる領域に設けられている。このようなサイドシール59によって現像ケーシング41における開口部56の長手方向端部からトナーが漏れ出ることを防止している。
図11は、現像ローラ42の表面形状の説明図であり、図11(a)は、現像ローラ42全体の概略図であり、図11(b)は、図11(a)に示した現像ローラ42の表面の一部の拡大図である。
現像ローラ42の担持部420は、アルミ合金、鉄合金等からなる部材で構成され、図11(a)に示すように、その表面の構造の相違に基づき、主として、2つの部分(溝形成部420a、非溝形成部420b)に分けられる。
溝形成部420aは、現像ローラ42の軸方向において中央部を含む部分であり、トナーを適切に担持させるために凹凸加工がその表面に施されている。本実施形態においては、凹凸加工として所謂転造加工が用いられ、凸部42aは互いに巻き方向の異なる螺旋状の第一溝L1および第二溝L2に囲まれて形成されている。本実施形態では、凸部42aの軸方向のピッチ幅W1は80[μm]であり、凸部42aの頂面の軸方向長さW2は40[μm]である。さらに、凹部42bから凸部42aの頂面までの高さである凹部深さは10[μm]である。ピッチ幅W1、頂面の軸方向長さW2及び凹部深さの値は一例であり、この値に限られるものではない。
担持部420には、トナーを正規帯電させる材料からなる表面層を設けることが望ましい。フィルミングによって低帯電トナーが生まれた場合においても、ジャンピングしたトナーTによってたたき出された低帯電トナーが、凸部42aや凹部42bのフィルミングがおきていない部分で帯電できるため、低帯電トナーを減少させることができ、画像濃度が安定化する。
また、担持部420の表面層は、ドクタブレード45よりも硬い材質であることが望ましい。これにより、現像ローラ42の表面の凸部42aがドクタブレード45によって削れ難くなるため、凸部42aとドクタブレード45で囲まれる凹部42bの体積が変わりにくくなり、ドクタブレード45通過後のM/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)が安定する。
また、担持部420の凸部42aの高さは、使用するトナーTの重量平均粒径よりも大きいことが望ましい。平均的な大きさのトナーTが凹部42b内に収まるため、粒径の選択が起こりにくくなり、経時でのドクタブレード45通過後のM/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)が安定する。
また、本実施形態においては、凸部42aのひし形状の頂面が有する二組の平行線の何れもが、現像ローラ42の表面移動方向に対して角度がある形状にしている。このように構成することで、凸部42aのひし形状の頂面が有する二組の平行線(凸部42aのひし形状の頂面の辺)と当接するドクタブレード45の摺擦方向とに角度があるため、凹部42bにおける現像ローラ42の表面移動方向上流側の部分(図11(b)中の42cの部分)でトナーが圧縮され難くなる。本実施形態の現像装置4では、凸部42aのひし形状の頂面の辺と現像ローラ42の表面移動方向とが成す角の角度は、45[°]となっている。
図12は、図11(b)のA−A断面図である。
図12に示すように、現像ローラ42の凸部42aと凹部42bとが成す角γを、90[°]以上としている。図13に示すように、現像ローラ42の凸部42aと凹部42bとの成す角γが90[°]未満の場合は、凹部42bの全体に供給回収ローラ44が当接する確率が減少してしまう。また、図14のように、一部でも凸部42aと凹部42bとの成す角が90[°]未満の場合も、凹部42bの全体に供給回収ローラ44が当接する確率が減少してしまう。その結果、供給回収ローラ44によるリセット性(回収性)が低下してしまう。
これに対して、現像ローラ42の凸部42aと凹部42bとが成す角γを90[°]以上とすることで、図13、図14に示したような、90[°]未満のものに比べ、供給回収ローラ44が現像ローラ42上のトナーに当たる確率が増加するため、供給回収ローラ44によるリセット性が向上する。
また、現像ローラ42の凸部42aと凹部42bとが成す角γを90[°]以上とすることで、凹部42bにおける表面移動方向下流側の壁面付近(図11の点線42c)のトナーに対して、供給回収ローラ44による掻き出しが行われ易くなり、トナーの入れ替わりを促すことができる。この壁面付近(図11の点線42c)のトナーが入れ替わることで、特定のトナーに対して繰り替えし圧縮力が作用することを防止し、この壁面付近(図11の点線42c)でトナーが凝集するのを抑制することができる。
次に、供給回収ローラ44について説明する。
図15は、供給回収ローラ44の斜視説明図であり、図16は、供給回収ローラ44の側面図である。
供給回収ローラ44は、その軸部である供給回収ローラ軸441を中心に発泡材が巻きついた構成であり、この発泡材が表面にトナーを担持するローラ部440となる。ローラ部440に発泡材料を用いることにより、現像ローラ42に当接する表面層は表面に多数の微小孔が分散しているスポンジ層となる。供給回収ローラ44の表面層をスポンジ層にすることで、凹部42bの底まで供給回収ローラ44が届きやすくなるため、現像ローラ42上トナーのリセット性(回収性)が向上する。また、供給回収ローラ44のローラ部440に用いる発泡材料としては、電気抵抗値が、10〜1014[Ω]の材料を用いている。
次に、ドクタブレード45について説明する。
図17は、ドクタブレード45の斜視説明図であり、図18は、ドクタブレード45の側面図である。
ドクタブレード45は、薄い板状の金属部材であるブレード部材450と、ブレード部材450の一端が固定されている金属製の台座部452とを有する。ドクタブレード45のブレード部材450は、SUS304CSPやSUS301CSP、またはリン青銅等の金属板バネ材料を用い、自由端側を現像ローラ42表面に10〜100[N/m]の押圧力で当接させたもので、その押圧力下を通過したトナーを所定量に規制すると共に摩擦帯電によって電荷を付与する。
また、ドクタブレード45のブレード部材450としては、導電性を有するものであることが望ましい。ブレード部材450が導電性であることにより、Q/M値(単位体積当りの帯電量)が大きなトナーTの帯電量を下げることが出来、トナーTのQ/M値の均一化を図ることができる。これにより、トナーTの現像ローラ42に対する張り付きを防ぐことが出来る。
また、ドクタブレード45のブレード部材450としては、現像ローラ42の表層よりも硬い材料であることが好ましい。ドクタブレード45を現像ローラ42の表層をよりも硬い材料とすることで、ドクタブレード45が現像ローラ42との摺擦によって削られるのを抑制することができる。これにより、経時にわたり良好に現像ローラ42の凸部42a頂面のトナー良好にすり切ることができ、経時に亘りドクタブレード45通過後のM/A値を所望の値に維持することができる。
ドクタブレード45のブレード部材450は台座部452に対して複数のリベット451によって固定されている。台座部452はブレード部材450よりも厚い金属で構成されている。台座部452の長手方向端部にはピン穴454が設けられており、一方は真円形状の主基準穴454aであり、もう一方は主基準穴454a方向に長径を有する楕円形状の従基準穴454bである。これらピン穴454a、454bよりも長手方向端部側には、ドクタ固定ネジ455が挿入される不図示のネジ穴が設けられている。
図19は、上記図9の状態から現像ローラ42の図示を省略した現像装置4の拡大斜視図であり、図20は、上記図10の状態から現像ローラ42の図示を省略した現像装置4の拡大斜視図である。
図19、図20に示すように、ブレード部材450の台座部452に設けられた主基準穴454aに支持部材としての中ケース412の側面部に設けられた不図示の主基準ピンを挿入して台座部452の現像装置4本体に対する位置を決定し、従基準穴454bに中ケース412の側面部に設けられた不図示の従基準ピンを挿入することで、ドクタブレード45が、支持部材としての中ケース412に位置決め支持される。そして、不図示のネジ穴にドクタ固定ネジ455を挿入して、中ケース412にネジ止めすることによりドクタブレード45が中ケース412の側面部に固定される。
また、ドクタブレード45(ブレード部材450)の材料を金属製にすることで、製造誤差などによりドクタブレード45の現像ローラ42との当接箇所が多少変化しても、現像ローラ42凸部42a頂面のトナーを良好にすり切ることができ、ドクタブレード通過後のM/A値の変動を抑制することができる。
次に、パドル46について説明する。
図21は、パドル46の斜視説明図であり、図22は、パドル46の側面図である。
パドル46は、その軸部であるパドル軸461と、マイラー等の弾性シート材からなる薄い羽部材としてのパドル羽460とを備える。パドル軸461は、向かい合う二つの平面部を有し、この二つの平面部にパドル羽460がそれぞれ取り付けられている。二枚のパドル羽460は、パドル軸461を中心に互いに反対方向に突出するように、パドル軸461の平面部に固定されている。
パドル羽460の付け根部分には穴が複数の穴がパドル軸461の軸方向に平行になるように並べて設けられており、パドル軸461は、そのの軸方向に平行になるように複数の凸部が並べて設けられている。そして、パドル羽460の穴にパドル軸461の凸部を挿入して、熱カシメすることによって、パドル軸461に対してパドル羽460を固定する。
図23は、現像装置4を制御する制御ブロック図である。
制御手段たる制御部140は、例えばマイクロコンピュータで構成され、演算処理手段としてのCPU(Central Processing Unit)、記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。この制御部140には、現像ローラ42を駆動する現像ローラ駆動部143、現像バイアス電源142、供給回収バイアス電源144、ドクタバイアス電源145などが電気的に接続されている。そして、制御部140は、RAM内に記憶している制御プログラムに基づいて、これらの各種の機器を制御するようになっている。
次に、現像装置4トナーの動きについて説明する。
トナー補給口55(図4参照)から現像装置4内に補給されたトナーは、供給スクリュ48(図5参照)によってトナー収容部43に供給され、パドル46によって攪拌される。また、パドル46の跳ね上げによって現像ローラ42及び供給回収ローラ44の方向に跳ね上げ、搬送される。
供給回収ローラ44は、図2中の矢印C方向(図2中の時計回り方向)に回転して表面移動することにより、供給回収ローラ44に供給されたトナーが、供給回収ローラ44が現像ローラ42と当接する領域である供給・回収ニップβに搬送され、供給・回収ニップβで現像ローラ42の表面に受け渡され、現像ローラ表面にトナーが供給される。
現像ローラ42は、供給されたトナーを表面上に担持して、図2中の矢印B方向(図2中の時計回り方向)に回転して表面移動することにより、現像ローラ42上のトナーを所定量に規制するドクタブレード45との対向部までトナーを搬送する。ドクタブレード45との対向部で凸部42aの頂部に付着したトナーが規制され、現像ローラ42表面上のトナーは凹部42b内に収容されたトナーのみとなる。ドクタブレード45を通過した現像ローラ42の凹部42bに収容されたトナーは、現像ローラ42の回転によって感光体2との対向部である現像領域αに到達する。
現像領域αでは、現像バイアス電源142から現像ローラ42に印加された現像バイアスと感光体2表面上の潜像との電位差によって形成される現像電界に応じて、現像ローラ42の表面上のトナーTが感光体2の表面に移動し、感光体2の表面上の静電潜像部分にトナーが付着し、現像が行われる。
現像領域αで現像に寄与せず、現像領域αを通過した現像ローラ42の表面上のトナーTは、供給・回収ニップβで供給回収ローラ44によって回収され、現像ローラ42表面のリセットがなされる。
現像ローラ42の表面上に規則的に形成された凹部42bに担持されたトナーTは回収され難い。そして、現像領域αを通過したトナーTが供給・回収ニップβを通過し、現像ローラ42に担持されたままとなると、トナーTが現像ローラ42に固着してトナーフィルミングが発生する。トナーフィルミングが発生すると、現像ローラ42上のトナーTの単位重量当たりの帯電量や現像ローラ42の単位面積当たりのトナー量が不安定になり、現像時の濃度ムラの発生の原因となる。
本実施形態の現像装置4では、現像ローラ42と供給回収ローラ44とが対向する供給・回収ニップβでは、現像ローラ42の表面移動方向と供給回収ローラ44の表面移動方向とが逆方向となっている。これにより、供給・回収ニップβにおける現像ローラ42の表面と供給回収ローラ44の表面との線速差が大きくなり、供給・回収ニップβでの供給回収ローラ44による回収性能の向上を図ることが出来る。また、現像ローラ42にトナーを供給後の供給回収ローラ44によって現像ローラ上のトナーを回収することができ、このことも回収性能の向上を図ることができる。また、現像ローラ42の表面移動方向と供給回収ローラ44の表面移動方向とを逆方向にすることで、供給回収ローラ44により回収されたトナーが、現像ローラ42に再付着することなく、トナー収容部43に回収させることができる。その結果、トナーが現像ローラ42に担持されたままとなることを抑制し、現像ローラ42の表面にトナーが固着することを抑制でき、現像剤担持体の表面に現像剤が固着することに起因する現像時の濃度ムラの発生を抑制することが出来る。
また、本実施形態の現像装置4では、現像ローラ42と供給回収ローラ44との線速比は、現像ローラ42の表面移動速度:供給回収ローラ44の表面移動速度=1:0.85となっているが、線速比としてはこの値に限るものではない。
また、図2に示すように、現像装置4では供給回収ローラ44をトナー収容部43の上部に配置し、供給回収ローラ44の少なくとも一部がパドル46の回転を停止した状態のトナー収容部43内のトナーTの剤面よりも上方となるようになっている。そして、供給・回収ニップβに対して供給回収ローラ44の表面移動方向下流側の領域(以下、供給・回収ニップ下流側領域と呼ぶ。)がトナーTの剤面よりも上方となっている。特許文献1の図4に記載の構成のように、供給・回収ニップ下流側領域にトナーが充填されていると、供給・回収ニップ下流側領域に充填された状態のトナーが新たなトナーが供給・回収ニップ下流側領域に入ってくることを阻害し、供給・回収ニップβにおける現像ローラ42からのトナーの回収効率を低下させるおそれがある。一方、本実施形態の現像装置4は図2に示すように、供給・回収ニップ下流側領域がトナーTの剤面よりも上方となっているため、供給・回収ニップ下流側領域にはトナーが充填されておらず、供給・回収ニップ下流側領域に存在するトナーによって、供給・回収ニップβにおける現像ローラ42からのトナーの回収を阻害されることがなく、効率的にトナーの回収を行うことができ、トナーのリセット性を向上できる。
次に、本実施形態に係る複写機500に用いるトナーについて説明する。複写機500で用いるトナーとしては、高速のトナー搬送に対応できるよう流動性の高いトナーを用いている。具体的には、加速凝集度が40[%]以下のトナーを用いている。この加速凝集度とは、トナーの流動性を示す指数である。現像装置4で用いる現像剤であるトナーとして、加速凝集度が40[%]以下となるトナーを用いることで、現像ローラ42の凹部42bにおける現像ローラ42の表面移動方向上流側の部分(図11中の42cの部分)でのトナーの凝集を和することが可能となる。
トナーの加速凝集度の測定方法を以下に示す。
<測定装置>
・ホソカワミクロン製 パウダテスタ
<測定方法>
・測定対象サンプルを恒温槽に放置(35±2[℃],24±1[h])
・パウダテスタを用いて測定
・目開きの異なる三種の篩を使用(例えば、75[μm],44[μm],22[μm])
・篩ったときのトナー残量から算出、以下の計算により、凝集度を求める。
{(上段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100
{(中段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100×3/5
{(下段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100×1/5
上記三つの計算値の合計をもって加熱凝集度[%]とする。
トナーの加速凝集度は上述のように目開きの異なる三種類のメッシュを目開きの大きい順に積み重ね、最上段に粒子をおき、一定の振動でふるい、各メッシュ上のトナー重量から求める指数である。
また、本実施形態では、平均円形度が0.90以上のトナー(0.90〜1.00のトナー)を用いている。
本実施形態では、下記(1)式より得られた値を円形度aと定義する。この円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
円形度a=L/L・・・・(1)
(L:粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長、L:粒子の投影像の周囲長)
平均円形度が0.90〜1.00の範囲では、トナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士、トナー粒子と感光体2との接触面積が小さいために転写性に優れる。
平均円形度が0.90〜1.00の範囲では、トナー粒子に角がないため、現像装置4内での現像剤(トナー)の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像の発生を防止できる。
また、ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナー粒子がいないため、転写で転写媒体に圧接する際に、その圧がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じにくい。
さらに、トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、感光体2や、帯電部材3等の表面を傷つけたり、摩耗させたりすることを防止できる。
次に円形度の測定方法について説明する。円形度は、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。
具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、更に測定試料を0.1〜0.5[g]程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜10000[個/μl]として前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
600[dpi]以上の微少ドットを再現するためには、トナーの重量平均粒径(D4)として3〜8[μm]が好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。重量平均粒径(D4)が3[μm]未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。
重量平均粒径(D4)が8[μm]を超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。また、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5[ml]加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1[%]NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20[mg]加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100[μm]アパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上乃至40.30[μm]未満の粒子を対象とする。
本実施形態で用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであり、重合トナーと呼ばれる。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
<ポリエステル>
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。 多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40[wt%]、好ましくは1〜30[wt%]、さらに好ましくは2〜20[wt%]である。0.5[wt%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40[wt%]を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10[%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140[℃]にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140[℃]にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
多価イソシアネート化合物(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などの多価イソシアネート化合物(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性および複写機500に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5[%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65[℃]、好ましくは45〜60[℃]である。45[℃]未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65[℃]を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
<着色剤>
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量[%]、好ましくは3〜10重量[%]である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
<荷電制御剤>
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラ42との静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
<離型剤>
離型剤としては、融点が50〜120[℃]の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着装置12の定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
<外添剤>
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2[μm]であることが好ましく、特に5×10−3〜0.5[μm]であることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500[m/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5[wt%]であることが好ましく、特に0.01〜2.0[wt%]であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2[μm]以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置4内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。
しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5[wt%]の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
<トナーの製造方法>
(1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。有機溶媒は、沸点が100[℃]未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
(2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90[%]の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1[μm]、及び3[μm]、ポリスチレン微粒子0.5[μm]及び2[μm]、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1[μm]、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20[μm]にするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000[rpm]、好ましくは5000〜20000[rpm]である。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5[分]である。分散時の温度としては、通常、0〜150[℃](加圧下)、好ましくは40〜98[℃]である。
(3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150[℃]、好ましくは40〜98[℃]である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
(4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
(5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
次に、本実施形態の特徴点について説明する。
図24は、現像ローラとドクタブレード45の当接部付近の拡大図ある。
図24に示すように、ドクタブレード45の応力は図中矢印Fb方向に作用する。現像ローラ42が図中矢印Bで示す方向に表面移動するため、凹部42bに担持されたトナーTは、ドクタブレード45の応力によって図24中の矢印Faで示す方向の圧縮力が作用する。
また、先の図27に示したように、ドクタブレード45の表面は、完全な平面状ではなく、巨視的に見ると、数μmオーダーの凹凸がある。このため、ドクタブレード45の凸の部分が、現像ローラ42の凹部42bにくると、凹部42bに担持されたトナーTは、ドクタブレード45表面凸部分の現像ローラ表面移動方向上流側の斜面により、現像ローラの表面移動方向上流側に押され、ドクタブレード45によるトナーに対する圧縮力を増長させてしまう。これにより、先の図11、図27に示す現像ローラ42の凹部42bの現像ローラ42の表面移動方向上流側の壁面付近42cにトナーの凝集が発生してしまう。
また、図28に示すように、本実施形態においては、凸部42aに担持されたトナーを、ドクタブレード45で擦りきるように規制することで、凹部内のトナーのみを現像領域に搬送することができ、安定した搬送量を維持するものである。しかし、実際は、ドクタブレード45により、凸部42aのトナーが100%擦り切られる訳ではなく、現像ローラ42の凸部42aに存在した若干のトナーがドクタブレード45と現像ローラ42の間に入り込む。このドクタブレード45と現像ローラ42の間に入り込んだトナーは、両者の摺擦によりドクタブレード45に付着してしまう。
使用初期時においては、ドクタブレード45に付着したトナーは、凸部42aに対して現像ローラ表面移動方向下流側の下流側角部42d(凸部42aの下流側端部と、凹部42bの上流側の壁面との交差部)により掻き取られ、現像ローラ42とドクタブレード45の摺擦熱により溶融/固化する前に除去される。
図29は、長期間の使用後の現像ローラとドクタブレードの当接部付近の巨視図である。
図29に示すように、長期間の使用により、下流側角部42dはドクタブレード45との摺擦により磨耗して丸みを帯びた形状となってしまう。丸みを帯びた形状となると、ドクタブレード45に付着したトナーを掻き取る力(能力)が減少してしまう。また、下流側角部42dで掻き取られなかったドクタブレード45に付着したトナーは、凸部42aの面に押されて、図30に示すように、現像動作時の現像ローラ42表面移動方向下流側に向かって層厚が厚くなる形状となる。この角部42dで掻き取られず、図30に示すような形状となってドクタブレード45に付着したトナーは、現像ローラ42とドクタブレード45との摺擦熱によりドクタブレード45に溶融/固化してしまう。このドクタブレードに固化したトナーは、経時で成長していく。そして、この固化したトナーにより凹部42b内のトナーを掻き出してしまい、部分的にトナー搬送量が減少し、画像の白抜けといった不具合画像の原因となってしまう。
そこで、本実施形態の現像装置4においては、非現像時に現像ローラ42を、現像時の回転方向とは逆方向に回転駆動させた。
図25は、現像ローラの回転制御フロー図である。
図25に示すように、制御部140(図23参照)は、印刷信号を受信したら(S1のYES)、現像ローラ駆動部143を制御して、現像ローラ42を正回転させる(図2における矢印B方向)。これにより、上述したように、現像ローラ42に担持されたトナーが現像領域へ搬送され、感光体2の潜像を現像する。そして、現像が終了したら(S3のYES)、制御部140は、現像ローラ駆動部143を制御して、現像ローラ42を逆回転させる(S4)。
図26は、現像ローラ42を、現像時と逆方向に回転させたときのドクタブレード45と現像ローラ42との当接部の巨視図である。
図26に示すように、現像ローラ42を、現像時と逆方向(図中矢印B1方向)に回転させると、ドクタブレード45表面凸部分の逆回転時における現像ローラ表面移動方向上流側の斜面により、図中点線42cに付近に凝集したトナーに対して、矢印Fc1方向に押圧力がかかる。これにより、図中点線42c付近に溜まったトナーを解すことができ、現像ローラ42の凹部42bにおける現像時の現像ローラ42の表面移動方向上流側の壁面付近(図26中の42cの部分)にトナーが凝集することを抑制できる。従って、フィルミングの発生を抑制することができ、現像ローラ42上でのQ/M値やM/A値の変動を抑制することができる。
また、本実施形態においては、上述したように、現像ローラ42の凸部42aと凹部42bとが成す角γを90[°]以上にしているので、ドクタブレード45表面の凸部分が、図中点線42cに付近に溜まったトナーと接触する確率を増加することができ、ドクタブレード45表面の凸部分で良好に解すことができる。
また、ドクタブレード45(ブレード部材450)の材料を、現像ローラ42の表層よりも硬い材料とすることで、ドクタブレード45表面の凸部分が削られるのを抑制することができ、経時にわたり、ドクタブレード45表面の凸部分で図中点線42cに付近に溜まったトナーを掻き出すことができる。
また、現像ローラ42の逆回転時の回転速度(表面移動速度)は、現像時の回転速度(表面移動速度)よりも遅くしている。このように、逆回転時の回転速度を現像時の回転速度よりも遅くすることで、ドクタブレード45表面の凸部分を確実に凹部42b内に入り込ませることができる。これにより、ドクタブレード45表面の凸部分で図26の点線42c付近に溜まったトナーを確実に押し出すことができ、確実に図26の点線42c付近に溜まったトナーを解すことができる。
また、このとき、制御部140は、ドクタバイアス電源145を制御して、現像ローラ42の表面とドクタブレードとの間に現像ローラ42表面のトナーTを、ドクタブレード45側に引き付ける方向の電界を形成してもよい。具体的には、この現像ローラ42の逆回転時は、現像ローラ42の表面には、現像バイアス電源から交番電圧が印加されていないので、ドクタブレード45にはトナーの正規帯電極性(本実施形態のトナーTではマイナス極性)に対して逆極性(プラス極性)の直流電圧を印加する。これにより、図26中点線42cに付近に溜まったトナーを、ドクタブレード45と現像ローラ42との間の電界によりドクタブレード側へ移動させる静電気力が働き、図26中点線42cに付近に溜まったトナーの解し効果を高めることができる。
ドクタブレード45によって解されたトナーは、供給・回収ニップβへ搬送され、供給回収ローラ44により回収される。このとき、供給・回収ニップにおける現像ローラ42の表面移動速度と、供給回収ローラ44の表面移動速度とに速度差を設けておくことで、現像ローラ逆回転時の供給回収ローラ44によるトナーのリセット性(回収性)を高めることができる。
また、現像ローラ42を、現像時と逆方向に回転させることで、図31に示すように、凸部42aに対して現像動作時の現像ローラ42表面移動方向上流側(逆回転時の現像ローラ42表面移動方向下流側)の上流側角部42eにより付着トナーを掻き取ることができる。下流側角部42dは、ドクタブレード45が突き当たることで、磨耗の進行が早く、下流側角部42dが丸みを帯びた形状になるが、上流側角部42eは、現像動作時にドクタブレード45と突き当たることはないので、経時にわたり尖った形状を維持することができる。これにより、下流側角部42dが丸みを帯びてドクタブレード45の掻き取り能力が低下しても、現像動作終了時に現像ローラ42を逆回転させて尖った形状が維持されている上流側角部42eによりドクタブレード45に付着したトナーを良好に掻き取ることができる。
また、先の図30に示したように、凸部に対して現像動作時の現像ローラ42表面移動方向下流側の下流側角部42dにより除去されなかった付着トナーは、現像動作時の現像ローラ42表面移動方向下流側に向かって層厚が厚くなる形状となってドクタブレード45に付着している。よって、現像ローラを逆回転させたとき、凸部に対して現像動作時の現像ローラ42表面移動方向上流側の上流側角部42eは、付着トナーの層厚が厚くなった部分に当接する。これにより、上流側角部42eによりドクタブレード45に付着したトナーを良好に掻き取ることができる。
また、現像ローラ逆回転時の現像ローラ表面移動距離は、図32に示すように、隣り合う上流側角部42eの距離42fよりも長くする。これにより、現像ローラ軸方向いずれの箇所も1回は、必ず上記上流側角部42eがドクタブレード45の付着トナーと接するようにすることができる。その結果、現像ローラ逆回転ごとに現像ローラ軸方向にわたり必ず付着トナーの掻き取り作用が働く為、良好な規制状態が維持できる。
図33は、上記下流側角部42dの磨耗量と掻き取り力の関係を示すグラフである。
下流側角部42dの磨耗は、初期からある一定時間急激に進み、徐々に磨耗速度が遅くなりほぼ変化が無くなるようなプロファイルを描く。今回の実施例においては、回転した距離約60Kmで3〜4μm程度の磨耗量であった。
現像動作終了時に逆回転を行わない場合の掻き取り力(ブレードに付着したトナーを掻き取る能力:掻き取り量)は、下流側角部42dの磨耗量に依存しており、初期より急激に掻き取り力が低下してしまう。磨耗が進まなくなると掻き取り力の減少も無くなり、低めの掻き取り力にて安定する。
一方、現像動作終了後に逆回転を行う本実施例における掻き取り力(ブレードに付着したトナーを掻き取る能力:掻き取り量)は、初期段階においても、上流側角部42eで掻き取る分だけ、逆回転を行わない従来技術より高い。さらに、下流側角部42dの磨耗量が大きくなり、下流側角部42dによる掻き取りが低下しても、上流側角部42eによる掻き取りが効果を発揮し、高い掻き取り力(能力)を維持できる。
現像ローラ42が所定角度回転したら、現像ローラ42を停止させる(S6)。本実施形態においては、現像ローラ42の逆回転を、1回転(360度)以下にしている。これは、現像ローラ42を逆回転させたときは、供給回収ローラ44から現像ローラ42に供給されたトナーは、入口シール47をすり抜け、現像領域αを通過し、ドクタブレード45との当接部に到達する。ドクタブレード45は、現像ローラの現像時の回転時において先端をカウンター方向に当接させているので、この現像ローラ42逆回転時においては、先端がトレーリング方向に当接した状態となっている。従って、カウンター方向に先端を当接した場合に比べれば、ドクタブレード45による凸部42a頂面のすり切り効果が弱いため、凸部42a頂面のトナーの一部は、ドクタブレード45に規制されずに、現像装置4内へ移動する。しかし、凸部42a頂面のトナーの一部は、ドクタブレード45により規制され、ドクタブレード45の感光体側(現像装置外部)にトナーが溜まっていき、最終的には、この溜まったトナーが現像装置外へ落下するおそれがある。現像ローラ42の逆回転時の回転角度(回転回数)が大きくなればなるほど、ドクタブレード45の感光体側にトナーが溜まるトナーが多くなり、現像装置外へ落下するトナー量が多くなる。このようなデメリットを抑制するために、現像ローラの逆回転を、1回転(360°)未満にしている。現像ローラの逆回転を、1回転(360°)未満にすることで、1回転以上逆回転させる場合に比べて、現像装置外へ落下するトナー量を減らすことができる。また、現像ローラ42全周に亘り、図23の点線42cに溜まったトナーを解すには、現像ローラ42を1回転(360度)回転させるのが好ましい。また、トナー凝集抑制の効果を高めるには、なるべく現像ローラの回転角度を大きくすることが好ましい。
また、入口シール47の現像ローラ42に対する接触状態を、先端部が接触する先端当て状態にし、現像ローラ42の逆回転時の表面移動方向に対して先端部をカウンター方向に接触させるのが好ましい。このように構成することで、現像ローラ42逆回転時に入口シールの先端部で、現像ローラ凸部42a頂面のトナーをすり切る効果が得られる。これにより、現像ローラ逆回転時に、ドクタブレード45により規制されるトナー量を減らすことができ、現像ローラ逆回転時に現像装置外へ落下するトナー量を減らすことができる。
また、入口シール47の現像ローラ42に対する接触状態を先端当て状態にすることで、入口シール47の現像ローラ42に対する接触状態を腹当て状態にした場合に比べて、現像ローラ42と入口シール47との接触ニップ幅を狭めることができ、トナーにかかるストレスを低減することができる。また、入口シール47の短手方向長さを、入口シール47の現像ローラ42に対する接触状態を腹当て状態にした場合に比べて、短くでき、材料費の低減を図ることができる。
また、先の図26では、ドクタブレード45の現像ローラ42に対する接触状態は、腹当て状態であるが、先端当て状態の場合は、ドクタブレード45の先端が、現像ローラ凹部42bに入り込み、先端で図26の42cに溜まったトナーを掻き出すことができる。また、先端当て状態の場合は、ドクタブレード45の現像ローラ42表面との当接角度により、先端の現像ローラ凹部42bに入り込みを多くすることができ、先端で図26の42cに溜まったトナーを掻き出す効果を高めることができる。
上記では、現像終了毎に現像ローラ42を逆回転させているが、例えば、所定回数現像動作が終了したら、現像ローラ42を逆回転させたり、計測手段で現像ローラ42の回転距離を計測し、現像ローラ42の回転距離がある一定距離以上となったら、現像ローラ42を逆回転させたりしてもよい。現像ローラ42の回転距離を計測する計測手段としては、例えば、現像ローラ42に反射板やフィラーなどの検知部材を一箇所設けて、この検知部材を光学センサで検知することで、現像ローラが1回転したことを検知することで、現像ローラ42の回転距離を計測することができる。
上記のように、所定回数現像動作が終了後や、現像ローラ42の回転距離がある一定距離以上となったときなど、所定の間隔を開けて現像ローラ42の逆回転動作を行うことで、ドクタブレードに付着したトナーが先の図30に示すような状態となってから、現像ローラ42の逆回転動作が行われるようにすることができる。これにより、効率的にドクタブレード45に付着したトナーを除去することができる。また、現像動作終了時毎に行う場合に比べて、逆回転動作を少なくすることで、入口シール47などの現像ローラ42と当接する部材との摺擦を抑制することができる。これにより、入口シール47などの現像ローラ42に当接部材や現像ローラ42表面の磨耗を抑制することができ、現像装置の耐久性を高めることができる。
また、本実施形態においては、供給回収ローラ44によって現像ローラ42へのトナー供給と、現像ローラ42からのトナー回収とを行っているが、現像ローラへトナーを供給する部材と、現像ローラからトナーを回収する部材と別々に設けてもよい。この場合もトナーを回収する回収部材の表面層をスポンジ層にし、回収部材の表面移動速度と現像ローラ42の表面移動速度とに速度差が生じるようにし、回収部材の現像ローラ42に対する食い込み量を、現像ローラ42の凸部42aの高さよりも大きくすることで、良好に回収部材により現像ローラ42のトナーを回収することができる。また、回収部材と現像ローラ42との間に現像ローラ42上のトナーが回収部材に引き寄せられるような電界が生じるように、回収部材に電圧を印加することで、回収部材によるトナーリセット性(回収性)を向上させてもよい。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の(1)〜(18)の態様毎に特有の効果を奏する。
(1)
非磁性または磁性の一成分のトナーなどの現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、感光体2などの潜像担持体と対向する現像領域αで潜像担持体の表面の潜像に現像剤を供給して現像する現像ローラ42などの現像剤担持体と、現像剤担持体の表面に接触し、現像領域αに向かう現像剤の量を規制するドクタブレード45などの規制部材とを有し、現像剤担持体の表面に規則的な凹凸形状を備え現像装置4において、非現像時に、現像剤担持体の表面が、現像時の表面移動方向と逆方向に移動するように制御する制御部140などの制御手段を備えた。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、現像剤担持体の凹部42bにおける現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近42cで現像剤が凝集するのを抑制することができる。
また、実施形態で説明したように、ドクタブレード45などの規制部材に付着した現像剤を除去することができ、規制部材に現像剤が固着するのを抑制することができる。
(2)
また、上記(1)に記載の態様の現像装置4において、上記制御手段は、現像動作終了後、上記現像剤担持体を、現像時の表面移動方向と逆方向に移動させる。
かかる構成を備えることで、現像時に、現像剤担持体の凹部42bにおける現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近42cに溜まった現像剤を解すことができる。
(3)
また、上記(1)に記載の態様の現像装置4において、上記現像剤担持体の回転距離を計測する計測手段(例えば、フィラーと光学センサとで構成)を有し、上記制御手段は、上記計測手段で計測した回転距離が所定距離以上となった場合、かつ、非現像時に上記現像剤担持体を現像時の表面移動方向と逆方向に移動させる。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、現像動作終了毎に逆回転動作を行う場合に比べて、入口シール47などの現像剤担持体に当接する部材や現像剤担持体表面の磨耗を抑制することができ、現像装置の耐久性を高めることができる。また、先の図30に示す状態の規制部材に付着した現像剤を除去することができ、効率的に規制部材に付着した現像剤を除去することができる。
(4)
また、上記(1)乃至(3)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記制御手段は、現像剤担持体表面移動方向に隣り合う凸部間距離以上、上記現像剤担持体を現像時の表面移動方向と逆方向に移動させるように制御する。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、凸部に対して現像時の表面移動方向下流側の角部42eを規制部材の幅方向(現像剤担持体軸方方向)で少なくとも1回は、規制部材と摺擦させることができる。これにより、規制部材幅方向で制部材に付着した現像剤を除去することができる。
(5)
また、上記(1)乃至(4)いずれかに記載の態様の現像装置4において、上記規制部材の自由端側の先端部を上記現像剤担持体に当接させた。
かかる構成を備えることで、規制部材の先端部で現像剤担持体の凸部42a頂面の現像剤を良好にすり切ることができる。これにより、規制部材通過後のM/A値(現像剤担持体表面上の単位面積当りの現像剤の担持量)を安定させることができる。また、先端部を現像剤担持体の凹部42bに入り込ませることができ、現像剤担持体表面を逆方向に移動させたとき、現像剤担持体の凹部42bにおける現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近42cに溜まった現像剤を先端部で掻き出すことができる。これにより、現像剤担持体の凹部42bにおける現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近42cに溜まった現像剤を良好に解すことができ、現像剤担持体の凹部42bにおける現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近42cで現像剤が凝集するのを抑制することができる。
(6)
また、上記(5)に記載の態様の現像装置4において、上記規制部材の自由端側先端部のうち、上記現像剤担持体と対向する対向面と、上記自由端側先端面とで形成される角部、または、該角部の近傍を上記現像剤担持体に当接させる。
かかる構成を備えることで、上記(5)に記載の態様の効果を得ることができる。
(7)
また、上記(5)または(6)に記載の態様の現像装置4において、上記現像剤担持体の現像時の表面移動方向に対して上記規制部材の先端部をカウンター方向に当接させた。
かかる構成を備えることで、規制部材の先端部で良好に現像剤担持体凸部42a頂面の現像剤をすり切ることができ、規制部材通過後のM/A値を安定させることができる。
(8)
また、上記(1)乃至(7)いずれかに記載の態様の現像装置4において、上記規制部材を、上記現像剤担持体の表面層よりも硬い材料で構成した。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、規制部材が現像剤担持体との摺擦によって削られるのを抑制することができる。これにより、経時にわたり良好に現像剤担持体の凸部42a頂面のトナー良好にすり切ることができ、経時に亘り規制部材通過後のM/A値を所望の値に維持することができる。
また、規制部材表面の凸部分または先端部が削られるのを抑制することができ、経時にわたり、ドクタブレード45表面の凸部分または先端部で図中点線42cに付近に溜まったトナーを掻き出すことができる。
(9)
また、上記(1)乃至(8)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記規制部材を、導電性にした。
かかる構成を備えることで、Q/M値(単位体積当りの帯電量)が大きなトナーTの帯電量を下げることが出来、トナーTのQ/M値の均一化を図ることができる。これにより、トナーTの現像ローラ42に対する張り付きを防ぐことが出来る。
(10)
また、上記(1)乃至(9)いずれかに記載の現像装置4において、上記現像剤担持体と上記規制部材との間に上記現像剤担持上の現像剤を、上記規制部材に引き付けるような電界を発生させるドクタバイアス電源145などの電界発生手段を備え、上記制御手段は、上記現像剤担持体を、現像時の表面移動方向と逆方向に移動させるとき、上記電界発生手段を制御して、上記現像剤担持体と上記規制部材との間に上記現像剤担持上の現像剤を、上記規制部材に引き付けるような電界を発生させる。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、現像剤担持体の凹部42bにおける現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近42cに溜まった現像剤を、ドクタブレード側へ静電的に引き付けることができる。これにより、現像剤担持体の凹部42bにおける現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近42cに溜まった現像剤の解し効果を高めることができる。
(11)
また、上記(1)乃至(10)いずれかに記載の態様の現像装置において上記現像剤担持体を、現像時の表面移動方向と逆方向に移動させるときの表面移動速度を、上記現像時の表面移動速度よりも遅くした。
かかる構成を備えることで、規制部材の先端部または表面の凸状部分が、現像剤担持体の凹部42bの現像時における現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近42cに溜まったトナーに接触する確率を上げることができる。これにより、現像剤担持体の凹部42bにおける現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の壁面付近42cに溜まった現像剤を良好に解すことができる。
(12)
また、上記(1)乃至(11)いずれかに記載の態様の現像装置4において、上記現像剤担持体に当接し、表面移動することにより上記現像剤担持体から上記現像領域通過後の現像剤を回収する供給回収ローラ44などの現像剤回収部材を備え、上記現像剤回収部材の表面層は、表面に多数の微細孔が分散しているスポンジ層にした。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、凹部42bの底まで現像剤回収部材が届きやすくなり、凹部42bに溜まったトナーを良好に回収することができる。その結果、現像剤が現像剤担持体に担持されたままとなることを抑制し、現像剤担持体の表面に現像剤が固着することを抑制できる。よって、現像剤担持体の表面に現像剤が固着することに起因する現像時の濃度ムラの発生を抑制することが出来る。
(13)
また、上記(1)乃至(12)いずれかに記載の態様の現像装置4において、上記現像剤担持体に当接し、表面移動することにより上記現像剤担持体から上記現像領域通過後の現像剤を回収する供給回収ローラ44など現像剤回収部材を備え、上記現像剤担持体と上記現像剤回収部材との当接領域に、上記現像剤担持体上のトナーが、上記現像剤回収部材へ移動させる電界を発生させる供給回収バイアス電源144などの回収電界発生手段を備えた。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、現像剤回収部材による回収性能の向上を図ることが出来る。その結果、現像剤が現像剤担持体に担持されたままとなることを抑制し、現像剤担持体の表面に現像剤が固着することを抑制できる。よって、現像剤担持体の表面に現像剤が固着することに起因する現像時の濃度ムラの発生を抑制することが出来る。
(14)
また、上記(12)または(13)に記載の態様の現像装置4において、上記現像剤担持体と上記現像剤回収部材との当接領域における上記現像剤回収部材の表面移動方向が、上記現像剤担持体の表面移動方向と逆方向となるように構成し、上記現像剤回収部材の表面移動により上記現像剤を収容する現像剤収容部内の現像剤を上記現像剤担持体に対向する領域に搬送し、上記現像剤担持体の表面に現像剤を供給し、上記現像剤担持体へ現像剤補給後の現像剤回収部材で、現像剤担持体上の現像剤を回収する。
かかる構成を備えることで、現像剤回収部材と現像剤供給部材とは、別々に設ける場合に比べて、部品点数を削減でき、装置のコスト削減を図ることができる。
(15)
また、上記(1)乃至(14)いずれかに記載の態様の現像装置4において、上記潜像担持体と対向する側に開口部56を有し、開口部56に上記現像剤担持体を配置した現像ケーシング41と、上記現像剤担持体と当接し、上記開口部からトナーが飛散するのを防止する入口シール47などのシール部材とを備え、上記シール部材の先端部を上記現像剤担持体に当接させた。
かかる構成を備えることで、シール部材の先端よりも根元側の面部を接触させた場合に比べて、現像剤担持体とシール部材との接触ニップ幅を狭めることができ、現像剤にかかるストレスを低減することができる。また、シール部材の短手方向長さを、シール部材の先端よりも根元側の面部を接触させた場合に比べて、短くでき、材料費の低減を図ることができる。また、シール部材の先端を現像剤担持体逆回転時の表面移動方向に対してカウンター方向に当接させれば、現像剤担持体逆回転時にシール部材の先端で現像剤担持体表面凸部42a頂面の現像剤をすり切ることができる。これにより、現像剤担持体逆回転時に規制部材により現像装置4外側で規制される現像剤量を低減することができ、現像剤担持体逆回転時における現像装置4外側に漏れる現像剤量を低減することができる。
(16)
また、上記(1)乃至(15)いずれかに記載の態様の現像装置4において、上記現像剤の加速凝集度を40[%]以下にした。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、現像剤の凝集を抑制でき、現像剤担持体の表面に現像剤が固着することを抑制できる。
(17)
また、少なくとも感光体2などの潜像担持体と、潜像担持体表面を帯電させるための帯電部材3などの帯電手段と、潜像担持体上に静電潜像を形成するための露光装置6などの潜像形成手段と、静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する画像形成装置において、現像手段として、上記(1)乃至(16)いずれかに記載の態様の現像装置4を用いる。
かかる構成を備えることで、濃度ムラの発生しない均一な画像を作成出来る画像形成装置を提供する事が出来る。
(18)
また、上記(17)に記載の態様の画像形成装置において、上記潜像担持体、上記帯電手段及び上記潜像担持体の表面の付着物を除去する感光体クリーニング装置5などの潜像担持体クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、上記現像装置とを1つのユニットとして共通の保持体に保持させて装置本体に対して着脱可能にしたプロセスカートリッジを有する。
かかる構成を備えることで、現像装置を、プロセスカートリッジを構成する他の部材ともに装置本体から取り外すことができ、現像装置の交換性の向上を図ることができる。
1:プロセスカートリッジ
2:感光体
3:帯電部材
4:現像装置
5:感光体クリーニング装置
6:露光装置
41:現像ケーシング
42:現像ローラ
42a:凸部
42b:凹部
42c:壁面付近
42d:下流側角部
42e:上流側角部
43:トナー収容部
44:供給回収ローラ
45:ドクタブレード
47:入口シール
56:開口部
140:制御部
142:現像バイアス電源
143:現像ローラ駆動部
144:供給回収バイアス電源
145:ドクタバイアス電源
α:現像領域
β:供給・回収ニップ
特開2009−198782号公報

Claims (17)

  1. 現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体の表面の潜像に現像剤を供給して現像する現像剤担持体と、
    該現像剤担持体の表面に接触し、該現像領域に向かう現像剤の量を規制する規制部材とを有し、
    該現像剤担持体の表面に凹凸形状を備えた現像装置において、
    非現像時に、上記現像剤担持体の表面が、現像時の表面移動方向と逆方向に移動するように制御可能な制御手段と、
    上記現像剤担持体と上記規制部材との間に上記現像剤担持体上の現像剤を、上記規制部材に引き付けるような電界を発生させる電界発生手段とを備え、
    上記制御手段は、上記現像剤担持体を、現像時の表面移動方向と逆方向に移動させるとき、上記電界発生手段を制御して、上記現像剤担持体と上記規制部材との間に上記現像剤担持体上の現像剤を、上記規制部材に引き付けるような電界を発生させることを特徴とする現像装置。
  2. 現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体の表面の潜像に現像剤を供給して現像する現像剤担持体と、
    該現像剤担持体の表面に接触し、該現像領域に向かう現像剤の量を規制する規制部材とを有し、
    該現像剤担持体の表面に凹凸形状を備えた現像装置において、
    非現像時に、上記現像剤担持体の表面が、現像時の表面移動方向と逆方向に移動するように制御可能な制御手段を備え、
    上記現像剤担持体を、現像時の表面移動方向と逆方向に移動させるときの表面移動速度を、上記現像時の表面移動速度よりも遅くしたことを特徴とする現像装置。
  3. 請求項1または2の現像装置において、
    上記制御手段は、現像動作終了後、上記現像剤担持体を、現像時の表面移動方向と逆方向に移動させることを特徴とする現像装置。
  4. 請求項1または2の現像装置において、
    上記現像剤担持体の回転距離を計測する計測手段を有し、
    上記制御手段は、上記計測手段で計測した回転距離が所定距離以上となった場合、かつ、非現像時に上記現像剤担持体を現像時の表面移動方向と逆方向に移動させることを特徴とする現像装置。
  5. 請求項1乃至4いずれかの現像装置において、
    上記制御手段は、現像剤担持体表面移動方向に隣り合う凸部間距離以上、上記現像剤担持体を現像時の表面移動方向と逆方向に移動させるように制御することを特徴とする現像装置。
  6. 請求項1乃至5いずれかの現像装置において、
    上記規制部材の自由端側の先端部を上記現像剤担持体に当接させたことを特徴とする現像装置。
  7. 請求項6の現像装置において、
    上記規制部材の自由端側先端部のうち、上記現像剤担持体と対向する対向面と、上記自由端側先端面とで形成される角部、または、該角部の近傍を上記現像剤担持体に当接させることを特徴とする現像装置。
  8. 請求項6または7の現像装置において、
    上記現像剤担持体の現像時の表面移動方向に対して上記規制部材の先端部をカウンター方向に当接させたことを特徴とする現像装置。
  9. 請求項1乃至8いずれかの現像装置において、
    上記規制部材を、上記現像剤担持体の表面層よりも硬い材料で構成したことを特徴とする現像装置。
  10. 請求項1乃至9いずれかの現像装置において、
    上記規制部材を、導電性にしたことを特徴とする現像装置。
  11. 請求項1乃至10いずれかの現像装置において、
    上記現像剤担持体に当接し、表面移動することにより上記現像剤担持体から上記現像領域通過後の現像剤を回収する現像剤回収部材を備え、
    上記現像剤回収部材の表面層は、表面に多数の微細孔が分散しているスポンジ層であることを特徴とする現像装置。
  12. 請求項1乃至11いずれかの現像装置において、
    上記現像剤担持体に当接し、表面移動することにより上記現像剤担持体から上記現像領域通過後の現像剤を回収する現像剤回収部材を備え、
    上記現像剤担持体と上記現像剤回収部材との当接領域に、上記現像剤担持体上のトナーが、上記現像剤回収部材へ移動させる電界を発生させる回収電界発生手段を設けたことを特徴とする現像装置。
  13. 請求項11または12の現像装置において、
    上記現像剤担持体と上記現像剤回収部材との当接領域における上記現像剤回収部材の表面移動方向が、上記現像剤担持体の表面移動方向と逆方向となるように構成し、
    上記現像剤回収部材の表面移動により上記現像剤を収容する現像剤収容部内の現像剤を上記現像剤担持体に対向する領域に搬送し、上記現像剤担持体の表面に現像剤を供給し、上記現像剤担持体へ現像剤補給後の現像剤回収部材で、現像剤担持体上の現像剤を回収することを特徴とする現像装置。
  14. 請求項1乃至12いずれかの現像装置において、
    上記潜像担持体と対向する側に開口部を有し、該開口部に上記現像剤担持体を配置した現像ケーシングと、
    上記現像剤担持体と当接し、上記開口部からトナーが飛散するのを防止するシール部材とを備え、
    上記シール部材の先端部を上記現像剤担持体に当接させたことを特徴とする現像装置。
  15. 請求項1乃至14いずれかの現像装置において、
    上記現像剤の加速凝集度が40[%]以下であることを特徴とする現像装置。
  16. 少なくとも潜像担持体と、
    該潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、
    該潜像担持体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、
    該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する画像形成装置において、
    該現像手段として、請求項1乃至15いずれかの現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
  17. 請求項16の画像形成装置において、
    上記潜像担持体、上記帯電手段及び上記潜像担持体の表面の付着物を除去する潜像担持体クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、上記現像装置とを1つのユニットとして共通の保持体に保持させて装置本体に対して着脱可能にしたプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。
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