JP2015096592A - ポリエステル樹脂 - Google Patents
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Description
汎用のポリエステル樹脂で、色調、耐熱性に優れるのみならず、混練後樹脂の透明性に優れたポリエステル樹脂の提供が要望されている。
[2] 前記ポリオキシアルキレングリコールの分子量が500〜4000の範囲にあることを特徴とする[1]に記載のポリエステル樹脂。
[3] 前記直鎖のアルキレングリコールの炭素数が2〜6であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のポリエステル樹脂。
[4] 前記側鎖にアルキル基を有するアルキレングリコールの主鎖部の炭素数が1〜6、側鎖アルキル基の炭素数が2〜4であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
[5] 前記ポリエステル樹脂に用いる触媒種がチタン化合物とコバルト化合物の併用系であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
[6] 前記チタン化合物とコバルト化合物の質量比が、ポリエステル樹脂中に含まれる各原子の質量比(Ti/Co)として、Ti/Co=0.1〜25の範囲であることを特徴とする[5]に記載のポリエステル樹脂。
[7] 前記ポリエステル樹脂の融点が150℃〜230℃であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
本発明に用いるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とグリコール成分を構成成分とする共重合ポリエステル樹脂であり、詳しくはジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸、グリコール成分として直鎖のアルキレングリコール、側鎖を有するアルキレングリコール、及びポリオキシアルキレングリコールを主たる成分とする共重合ポリエステル樹脂である。
全ジカルボン酸成分中、芳香族ジカルボン酸成分は、70モル%以上であり、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸が70モル%未満の場合は、ポリエステル樹脂としての耐熱性(融点)が低下する。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等が挙げられる。これらの中でもテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
主鎖部:水酸基を両端にした時に挟まれる直線状の部位
側鎖部:前記主鎖部のいずれかの炭素部位に結合した部位
側鎖にアルキル基を有するアルキレングリコールの主鎖部の炭素数は、高い融点を付与する点で、1〜6が好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜4が特に好ましい。6を超えると結晶性を崩すことができずに十分な透明性を確保できない場合がある。
前記チタン化合物とコバルト化合物の質量比(各原子としての質量比:Ti/Co)は、Ti/Co=0.1〜25であることが好ましく、これによりCo−bを10以下にすることができる。また、Co−aが3.0以下、Co−bが5.0以下を満足するためには、Ti/Co=0.2〜10が好ましく、0.3〜5がより好ましく、0.3〜2がさらに好ましく、0.3〜1が特に好ましい。
質量比(Ti/Co)は、ポリエステル樹脂に含まれる(残存する)Ti原子としての質量(ppm)とCo原子としての質量(ppm)から得られる。これら金属触媒は、重合時に重合系外に除去されることはないので、重合時の使用量がそのままポリエステル樹脂に含まれる量となる。また、重合により得られたポリエステル樹脂から各種分析手法を用いて、定量することも可能である。ポリエステル樹脂に含まれるTi原子の質量は、5〜160ppmが好ましく、10〜120ppmがより好ましく、10〜60ppmがさらに好ましく、10〜20ppmが特に好ましい。ポリエステル樹脂に含まれるCo原子の質量は、1〜120ppmが好ましく、5〜90ppmがより好ましく、10〜60ppmがさらに好ましく、10〜40ppmが特に好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とグリコール成分以外の構成成分として、ヒドロキシカルボン酸や、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分および多官能ヒドロキシ成分などを5モル%以下の範囲(全ジカルボン酸成分100モル%に対して、5モル%以下の範囲)で共重合することも可能である。
この物性を満たすことで、優れた色調、耐熱性(融点)を有し、混練後により高度な透明性を示し、自動車・電子電気用途の要求にこたえることが可能となる。
ポリエステル樹脂の組成及び組成比の決定は共鳴周波数400MHzの1H−NMR測定(プロトン型核磁気共鳴分光測定)にて行った。測定装置はVARIAN社製 NMR装置 400−MHzを用い、溶媒には重クロロホルム/トリフルオロ酢酸=85/15(重量比)を用いた。
充分乾燥した試料0.05gをフェノール/テトラクロロエタン(質量比6/4)の混合溶媒25mlに溶かし、ウベローデ粘度管を用いて30℃で測定した。
試料0.2gを10mlのベンジルアルコールに溶解し、0.5mol/lの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して求めた。指示薬にはフェノールレッドを用いた。
溶融重合で所定の撹拌トルクに到遠した時点でオートクレーブに窒素を注入して常圧に戻し重縮合反応を停止した。その後、微加圧状態にてポリマーを冷水にストランド状に吐出して急冷し、その後約5秒間冷水中で保持した後カッティングして長さ約3mm、直径約2mmのシリンダー形状のレジンチップを得た。このようにして得られたレジンチップを、約一昼夜80℃で乾燥した後、カラー測定に使用した。(有)東京電色社製のTC−1500SX色差計を使用して、ハンターのL値(Co−L)、b値(Co−b)、a値(Co−a)を測定した。
(株)日立ハイテクサイエンス社製の示差走査熱量分析計「X−DSC7000」にて、測定試料5.0mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し、20℃〜250℃まで20℃/分の昇温させ、2分ホールドして試料を完全に溶融させた後、50℃まで20℃/分で降温させ、2分ホールドした後に、再度250℃まで、20℃/分で昇温し測定した。得られたサーモグラム曲線からの吸熱ピークを融点とした。
試料1gを白金ルツボにて灰化分解し、6モル/L塩酸を加えて蒸発乾固させた。これを1.2モル/Lの塩酸で溶解し、ICP発光分析装置(島津製作所製、ICPS−2000)を用いて発光強度を測定した。含有量既知の標準サンプルを用いて予め作成した検量線から、試料中のCo、Znを定量した。
ポリエステル樹脂中のTi含有量分析:
試料1gを白金ルツボにて灰化分解し、硫酸と硫酸水素カリウムを加え、加熱溶融させた。この溶融物を2モル/L硫酸に溶解させた後、過酸化水素水を添加し、吸光光度計(島津製作所製、UV−150−02)により波長420nmにおける吸光度を測定した。含有量既知の標準サンプルを用いて予め作成した検量線から、試料中のTiを比色定量した。
ジメチルテレフタル酸(DMT)/1,4−ブタンジオール(1,4−BD)/ネオペンチルグリコール(NPG)/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量1000)(PTMG#1000)を原料とするポリエステル樹脂を触媒にテトラブチルチタネート(以下、TBTと略記)を用いて製造した。実施例1〜4(ポリエステル樹脂1〜4)の組成(モル%)、還元粘度(dl/g)、酸価(eq/ton)、カラー値、融点、触媒量、Ti/Co比を表1、比較例2(ポリエステル樹脂B)の組成(モル%)、還元粘度(dl/g)、酸価(eq/ton)、カラー値、融点、触媒量、Ti/Co比を表2に示す。
ジメチルテレフタル酸/1,4−ブタンジオール/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子1000)を原料とするポリエステル樹脂を触媒にTBTを用いて製造した。比較例1(ポリエステル樹脂A)の組成(モル%)、還元粘度(dl/g)、酸価(eq/ton)、カラー値、融点、触媒量、Ti/Co比を表2に示す。
ジメチルテレフタル酸/1,4−ブタンジオール/ブチルエチルプロパンジオール/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量1000)を原料とするポリエステル樹脂を触媒にTBTを用いて製造した。実施例5(ポリエステル樹脂5)の組成(モル%)、還元粘度(dl/g)、酸価(eq/ton)、カラー値、融点、触媒量、Ti/Co比を表1に示す。
ジメチルテレフタル酸/1,4−ブタンジオール/ネオペンチルグリコール/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量720)(PTMG#720)を原料とするポリエステル樹脂を触媒にTBTを用いて製造した。実施例6(ポリエステル樹脂6)の組成(モル%)、還元粘度(dl/g)、酸価(eq/ton)、カラー値、融点、触媒量、Ti/Co比を表1に示す。
ジメチルテレフタル酸/1,4−ブタンジオール/ネオペンチルグリコール/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量1000)(PTMG#1000)を原料とするポリエステル樹脂をエステル交換触媒に酢酸亜鉛二水和物、重縮合触媒にTBT、酢酸コバルト四水和物、を用いて製造した。実施例7〜11(ポリエステル樹脂7〜11)の組成(モル%)、還元粘度(dl/g)、酸価(eq/ton)、カラー値、融点、触媒量、Ti/Co比を表1に示す。
ポリエステル樹脂100質量部に対してカプリル酸ナトリウム(日東化成工業(株)社製 CapNa、融点220℃)0.7質量部、及びARUFON UG−4050(東亜合成(株)社製、Mw:8500、エポキシ価670eq/ton、屈折率1.55)0.5質量部をラボプラストミル Cモデル 「20C200」((株)東洋精機製作所製)で溶融混練し、混練樹脂を製造した。
前記ポリエステル樹脂の混練物を、成形機を用いて成形した。成形機にはテスター産業(株)社製のTABLE TYPE TEST PRESS「SA−302−I」を使用した。1gの樹脂を幅70mm、長さ70mm、厚さ0.1mmのプレスフィルムに成形した。成形条件は、230℃の温度で1分間溶融させた後、1分30秒間100kgf/cm2の圧力をかけた。成形機から取り出した後すぐに50℃の温水に1分間クエンチさせ、0.1mmプレスフィルムを得た。
前記0.1mmプレスフィルムの平行線透過率は日本電色工業(株)社製のNDH5000(光源の波長:550nm)を用いて、JIS K7361、JIS K7136に準拠して、平行線透過率(%)を測定した。測定結果を表1、2に示す。
表1に示すようにポリエステル樹脂7(実施例7)は、優れた耐熱性を示し、混練後に優れた透明性を示した。しかし、透明性が求められる用途に必要なCo−bが5以下を満足できず、色調にやや問題があった。
表1に示すようにポリエステル樹脂8(実施例8)は、優れた色調、耐熱性を示し、混練後に優れた透明性を示した。
表1に示すようにポリエステル樹脂9(実施例9)は、優れた色調、耐熱性を示し、混練後に優れた透明性を示した。色調は、バランスよく、非常に優れていた。
表1に示すようにポリエステル樹脂10(実施例10)は、混練後の透明性に優れていた。しかし、Ti/Co質量比が30以上であるため、Co−bが高い値であり、色調が十分満足できるレベルではなかった。
表1に示すようにポリエステル樹脂11(実施11)は、優れた色調、耐熱性を示し、混練後に優れた透明性を示した。色調は、バランスよく、非常に優れていた。
表2に示すようにポリエステル樹脂B(比較例2)は、混練後の透明性に優れていた。しかし、ネオペンチルグリコール共重合量が多く、耐熱性が悪かった。
Claims (7)
- ジカルボン酸成分とグリコール成分を構成成分とするポリエステル樹脂であって、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸が70モル%以上であり、グリコール成分としてポリオキシアルキレングリコール5〜35モル%、直鎖のアルキレングリコールが40〜75モル%、及び側鎖にアルキル基を有するアルキレングリコールが5〜25モル%であることを特徴とするポリエステル樹脂。
- 前記ポリオキシアルキレングリコールの分子量が500〜4000の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂。
- 前記直鎖のアルキレングリコールの炭素数が2〜6であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂。
- 前記側鎖にアルキル基を有するアルキレングリコールの主鎖部の炭素数が1〜6、側鎖アルキル基の炭素数が2〜4であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
- 前記ポリエステル樹脂に用いる触媒種がチタン化合物とコバルト化合物の併用系であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
- 前記チタン化合物とコバルト化合物の質量比が、ポリエステル樹脂中に含まれる各原子の質量比(Ti/Co)として、Ti/Co=0.1〜25の範囲であることを特徴とする請求項5に記載のポリエステル樹脂。
- 前記ポリエステル樹脂の融点が150℃〜230℃であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
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