JP2015094706A - 磁気エンコーダ及び転がり軸受 - Google Patents

磁気エンコーダ及び転がり軸受 Download PDF

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勇樹 笠原
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Abstract

【課題】スリンガと内輪との嵌合部のシール性を高めることができ、従来と同等の生産性を維持することができる磁気エンコーダ及び転がり軸受を提供する。【解決手段】磁気エンコーダ15は、回転体11に外嵌可能な円筒部20aと、円筒部20aから径方向外方に延びるフランジ部20bと、を有するスリンガ20と、スリンガ20のフランジ部20bの外側面に接着剤によって取り付けられ、円周方向に多極着磁された略円環状の磁石部21と、を備え、磁石部21は、少なくとも円筒部20aのフランジ部20bとの境界部分であるR部20dの内径側に突出部22を有し、突出部22は、円筒部20aの直線部20cよりも5〜100μm内径側に突出して形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、自動車の車輪のような回転体の回転数を検出するために用いられる磁気エンコーダ及び磁気エンコーダを備える転がり軸受に関する。
従来、自動車のスキッド(車輪が略停止状態で滑る現象)を防止するためのアンチスキッド、又は有効に駆動力を路面に伝えるためのトラクションコントロール(発進や加速時に生じやすい駆動輪の不要な空転の制御)などに用いられる車輪回転数検出装置としては、N極とS極とが円周方向に交互に着磁された円環状のエンコーダと、このエンコーダの近傍における磁場の変化を検出するセンサと、を有し、車輪を支持する軸受を密封するための密封装置にエンコーダを併設することにより、車輪の回転と共にエンコーダを回転させて、車輪の回転に同期した磁場変化をセンサにより検出するものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
上記特許文献1に記載の密封装置は、外輪に取り付けられたシール部材と、フェライト系ステンレスで形成されて内輪に嵌合するスリンガと、スリンガの外側面に取り付けられて磁気パルスを発生するエンコーダと、を備え、スリンガに摺接するシール部材によって軸受を密封している。エンコーダは、ゴムまたは樹脂からなる弾性素材に磁性粉を混入した弾性磁性材料から形成されており、スリンガの外側面に圧着して接合されている。また、上記特許文献2に記載の密封装置では、エンコーダに設けた唇状片を内輪に当接させると共に、スリンガとシール部材との間の空間内に、フェライトが添加された磁性液体を注入して軸受を密封している。また、特許文献3に記載の密封装置では、スリンガと内輪との嵌合部に、弾性体磁石をスリンガに接着する弾性部材とは異なる材質からなる弾性部材の薄膜やリング状ゴム部材を介在させて、スリンガと内輪との嵌合部を密封している。
特開2001−255337号公報 特開2007−52036号公報 特許第3963246号
軸受を外部から密封するためは、シール部材側と共に、スリンガと内輪との嵌合部の密封性が要求される。しかしながら、上記特許文献1に記載の密封装置では、スリンガと内輪が金属嵌合部であるため、傷や変形、腐食などにより、スリンガと内輪との嵌合部から軸受内部に水などが浸入する可能性があった。また、上記特許文献2に記載の密封装置では、車輪用軸受の過酷な環境、例えば、−40〜120℃にわたる温度変化や、塵芥や砂といった異物の接触により、唇状片の収縮や破損が生じて、隙間が開く可能性があった。また、上記特許文献3に記載の密封装置では、弾性体磁石とスリンガ間の接着力低下を防止するため、介在させる材質を弾性体磁石とスリンガ間に掛からないように介在させる工程が必要であるため、加工工数が増加して生産性が低下する可能性があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スリンガと内輪との嵌合部のシール性を高めることができ、従来と同等の生産性を維持することができる磁気エンコーダ及び転がり軸受を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)回転体に外嵌可能な円筒部と、円筒部から径方向外方に延びるフランジ部と、を有するスリンガと、スリンガのフランジ部の外側面に接着剤によって取り付けられ、円周方向に多極着磁された略円環状の磁石部と、を備える磁気エンコーダであって、磁石部は、少なくとも円筒部のフランジ部との境界部分であるR部の内径側に突出部を有し、突出部は、円筒部の直線部よりも5〜100μm内径側に突出して形成されることを特徴とする磁気エンコーダ。
(2)回転体に外嵌可能な円筒部と、円筒部から径方向外方に延びるフランジ部と、を有するスリンガと、スリンガのフランジ部の外側面に接着剤によって取り付けられ、円周方向に多極着磁された略円環状の磁石部と、を備える磁気エンコーダであって、磁石部は、少なくとも円筒部の直線部の内径側に突出部を有し、突出部は、円筒部の直線部よりも5〜100μm内径側に突出して形成されることを特徴とする磁気エンコーダ。
(3)外周面に内輪軌道面を有する内輪と、内周面に外輪軌道面を有する外輪と、内輪軌道面と外輪軌道面との間に転動自在に配置される複数の転動体と、外輪の内周面に取り付けられ、軸受内部を密封するシール部材と、内輪の外周面に取り付けられる磁気エンコーダと、を備える転がり軸受であって、磁気エンコーダが、(1)又は(2)に記載の磁気エンコーダであることを特徴とする転がり軸受。
本発明によれば、磁石部は、少なくとも円筒部のフランジ部との境界部分であるR部の内径側に突出部を有し、突出部は、円筒部の直線部よりも5〜100μm内径側に突出して形成されるため、磁気エンコーダを内輪に嵌合することにより、磁石部の突出部が内輪とスリンガとの間に挟み込まれ、スリンガと内輪との嵌合部のシール性を高めることができる。また、加工工数を増加することなく磁石部に突出部を設けることができるので、従来と同等の生産性を維持することができる。
また、本発明によれば、磁石部は、少なくとも円筒部の直線部の内径側に突出部を有し、突出部は、円筒部の直線部よりも5〜100μm内径側に突出して形成されるため、磁気エンコーダを内輪に嵌合することにより、磁石部の突出部が内輪とスリンガとの間に挟み込まれ、スリンガと内輪との嵌合部のシール性を高めることができる。また、加工工数を増加することなく磁石部に突出部を設けることができるので、従来と同等の生産性を維持することができる。
本発明に係る磁気エンコーダ及び転がり軸受の第1実施形態を説明する要部断面図である。 第1実施形態の磁気エンコーダの断面図、及び要部拡大断面図である。 スリンガを内輪に嵌合させる様子を示す断面図、及び要部拡大断面図である。 (a)は磁石部が内輪の面取り部に達した状態の要部拡大断面図、(b)はスリンガが内輪に嵌合して嵌合部が封止された状態の要部拡大断面図である。 第1実施形態の磁気エンコーダの変形例の要部拡大断面図である。 第2実施形態の磁気エンコーダの断面図、及び要部拡大断面図である。 第2実施形態の磁気エンコーダの変形例の断面図、及び要部拡大断面図である。
以下、本発明に係る磁気エンコーダ及び磁気エンコーダを備える転がり軸受の各実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、本発明に係る磁気エンコーダ及び転がり軸受の第1実施形態について説明する。なお、以下の説明では、図2に示すように、スリンガの円筒部の直線部の範囲をA、スリンガの円筒部のR部の範囲をB、円筒部の範囲をC、直線部とR部との境界線をDとする。
本実施形態の転がり軸受10は、図1に示すように、外周面11bに内輪軌道面11aを有する内輪(回転体)11と、内周面12bに外輪軌道面12aを有する外輪12と、内輪軌道面11aと外輪軌道面12aとの間に転動自在に配置される複数の転動体13と、外輪12の内周面12bに取り付けられ、軸受内部を密封するシール部材14と、シール部材14に対向して内輪11の外周面11bに取り付けられる磁気エンコーダ15と、を備える。
シール部材14は、断面略L字形状の円環状の芯金16と、芯金16の内周面に接着されるゴムやエラストマーなどの弾性体からなるシール部17と、を備える。シール部17には、3つのシールリップ18a,18b,18cが一体成形されている。シールリップ18a,18bは、後述するスリンガ20の円筒部20a及びフランジ部20bに摺接し、シールリップ18cは、円筒部20aとの間に僅かな隙間を有するラビリンスシールを構成する。
磁気エンコーダ15は、図1及び図2に示すように、スリンガ20と、スリンガ20に固定される略円環状の磁石部21と、を備える。スリンガ20は、断面略L字形状の円環状部材であり、内輪11の外周面11bに外嵌固定される円筒部20aと、円筒部20aから径方向外方に延びるフランジ部20bと、を有する。また、円筒部20aは、内輪11の外周面11bに嵌合される直線部20c(図2の範囲A)と、直線部20c(円筒部20a)とフランジ部20bとの境界部分である断面円弧状のR部20d(図2の範囲B)と、を有する。スリンガ20は、例えば、磁石部21の磁気特性を低下させず、且つ耐食性を有するステンレス製の板材をプレス加工することで形成される。
磁石部21は、円周方向に交互にN極とS極が着磁された多極磁石であり、インサート成形によりスリンガ20のフランジ部20bの外側面に取り付けられている。また、磁石部21は、インサート成形によって硬化反応が進む接着剤を塗工したスリンガ20をコアにしたインサート成形により、磁石部21の成形とスリンガ20への接着とを同時に行ってフランジ部20bに取り付けられる。
磁石部21の軸受外方には、磁石部21の磁気を検出可能な磁気センサ24が対面配置されている。磁気センサ24は、検出した磁気変化を内輪11の回転として検出する。
また、磁石部21は、フランジ部20bの外側面から外周面に亘って外径側に回り込んで形成されると共に、円筒部20aのR部20dに亘って内径側に回り込んで形成されている。
そして、磁石部21は、図2に示すように、スリンガ20の円筒部20aのR部20dの内径側に径方向内側に突出する突出部22を有する。この突出部22は、磁石部21の内径側端部に一体に連続して形成されている。
突出部22は、磁石部21における円筒部20aの直線部20cとR部20dとの境界線Dより僅かにフランジ部20b寄りの部分が、円筒部20aの内径側になだらかに突出して形成されたものである。
また、突出部22は、断面略台形形状に形成されており、その軸方向内側部分に、最大突出位置から円筒部20aの内周面20eに向けて緩やかに傾斜するテーパ面23aを有し、その軸方向外側部分に、最大突出位置から軸方向外側且つ径方向外側に向けて緩やかに傾斜するテーパ面23bを有する。
そして、突出部22の突出厚さtは、円筒部20aの直線部20c(円筒部20aの内周面20e)よりも5〜100μmに設定されている。ここで、突出部22の突出厚さtを5〜100μmに設定したのは、突出厚さtが5μmより小さい場合、スリンガ20の内径のうねりによって、内輪11との嵌合時に突出部22に締め代が生じず、シール効果が得られない可能性があり、突出厚さtが100μmより大きい場合、内輪11との嵌合によって突出部22が割れたり、削れたりする可能性があるためである。また、内輪11との嵌合による突出部22の割れや削れ等を防止し、且つ嵌合部におけるシール性能を確保するためには、突出厚さtを20〜50μmに設定することがより好ましい。
また、磁石部21は、86〜92質量%の磁性体粉と、弾性体バインダとが混合された弾性材料から形成されている。磁性体粉としては、ストロンチウムフェライトやバリウムフェライト等のフェライト、又はネオジウム−鉄−ボロン、サマリウム−コバルト、サマリウム−鉄等の希土類の磁性体粉を用いることができ、さらにフェライトの磁気特性を向上させるためにランタン等の希土類元素を混入させたものであってもよい。
弾性体バインダとしては、ニトリルゴム、アクリルゴム等のゴム材料や、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド11、又はポリフェニレンサルファイド(PPS)等の熱可塑性樹脂材料が挙げられる。特に、熱可塑性樹脂材料とすると、内輪11との嵌合による磁石部21の突出部22の割れ、削れ、亀裂等を生じ難くすることができる。
また、磁性体粉の含有量を全量に対し86〜92質量%としたのは、86質量%より小さい場合、磁気特性が劣ると共に狭ピッチで多極に着磁させることが困難になり、92質量%より大きい場合、バインダ量が不足して磁気エンコーダ全体の機械的強度が低下すると共に成形が困難になるためである。
また、磁気エンコーダ15の形成においては、スリンガ20と磁石部21との接着接合状態が適切でないと、磁石部21に亀裂が発生して磁石部21がスリンガ20から脱落したり、磁石部21とスリンガ20との間に隙間が発生したり、内輪11との嵌合時に磁石部21に削れや剥離が生じたりする可能性がある。このため、磁石部21とスリンガ20との接着には、接着剤を用いることが推奨される。接着剤としては、インサート成形時に硬化反応が進むフェノール樹脂系接着剤、及びエポキシ樹脂系接着剤からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
また、図3に示すように、スリンガ20の円筒部20aが嵌合される内輪11の外周面11bの軸方向外端部には、面取り部11cが形成されており、この面取り部11cは、内輪11の外周面11bから外端面に向けて傾斜角度αで平坦状に形成される第1傾斜平面S1と、第1傾斜平面S1の外端部から傾斜角度βで平坦状に形成される第2傾斜平面S2と、を有する。また、内輪11の外周面11bと第1傾斜平面S1との境界部分、及び第1傾斜平面S1と第2傾斜平面S2との境界部分はそれぞれ滑らかな曲面に形成される。また、第1傾斜平面S1の傾斜角度αは、第2傾斜平面S2の傾斜角度βよりも小さい角度(α<β)に設定されている。
また、傾斜角度αは、5°〜30°の範囲に設定することが好ましい。傾斜角度αを5°〜30°の範囲としたのは、5°より小さい場合、スリンガ20の円筒部20aを内輪11に安定してスムーズに嵌合することが難しくなり、30°より大きい場合、内輪11への嵌合の際に円筒部20aの内径寸法が急激に拡径して、円筒部20aが急激に変形したり歪んだりすることで、磁石部21が削り取られたり、剥離したりする可能性があるためである。また、傾斜角度αは、嵌合時のスリンガ20の案内性や磁石部21の削りや剥離を防止する観点から、10〜20°に設定することがより好ましい。
面取り部11cの形状(特に、内輪11の軸方向外端面からの面取り長さ)は、スリンガ20のR部20dに形成された突出部22を、内輪11の外周面11bとスリンガ20のR部20dで挟み込める形状となっている。即ち、面取り部11cの面取り量は、比較的小さくなっている。換言すれば、面取り部11cの面取り量が大きく、突出部22を、面取り部11cとスリンガ20のR部20dで挟む構造は、磁石部21の経時劣化などで、シール性が喪失する可能性があり好ましくない。
なお、面取り部11cは、上述した2段構成に限定されず、傾斜角度αの第1傾斜平面S1のみの1段構成であってもよい。また、スリンガ20の円筒部20aを内輪11にスムーズに嵌合するため、スリンガ20の円筒部20aのフランジ部20bから離間する側の端部に、面取り加工を施す方がより好ましい。
ここで、図3及び図4を参照して、スリンガ20の円筒部20aと内輪11との嵌合について説明する。
まず、図3に示すように、スリンガ20の円筒部20aを内輪11の外周面11bに挿入する。このとき、円筒部20aの内径寸法と内輪11の外周面11bの外径寸法との間に予め所定の締め代が設定されているため、円筒部20aの内周面20eが、内輪11の面取り部11cの第2傾斜平面S2に当接する。
この状態で、スリンガ20を内輪11に押し込むと、図4(a)に示すように、内輪11の先端が、面取り部11cの第1及び第2傾斜平面S1,S2に沿ってスムーズに案内されてスリンガ20の円筒部20aが内輪11の外周面11bに嵌合される。このとき、スリンガ20の移動に伴って、円筒部20aの内径寸法が拡径する。また、面取り部11cが、第1及び第2傾斜平面S1,S2で滑らかに連続しているため、円筒部20aの内径寸法が徐々に且つ連続的に滑らかに拡径し、円筒部20aが急激に変形したり歪んだりすることはない。
そして、さらにスリンガ20を内輪11に押し込むと、図4(b)に示すように、スリンガ20のフランジ部20bが面取り部11cを越える位置まで挿入され、磁石部21の突出部22が、内輪11の外周面11bとスリンガ20のR部20dとの間に押し潰された状態で挟み込まれる。これにより、スリンガ20の円筒部20aと内輪11の外周面11bとの嵌合部が、突出部22によりシールされる。
また、円筒部20aの内周面20eと内輪11の外周面11bとの間の締め代は、径寸法の0.1%〜0.4%に設定されている。ここで、締め代を0.1%〜0.4%に設定したのは、締め代が0.1%より小さい場合、嵌合力(固定力)が弱くなり、スリンガ20の移動や抜けといった不具合が生じる可能性があり、締め代が0.4%より大きい場合、スリンガ20の塑性変形が大きくなる割合に比較して、嵌合力(固定力)の増加が小さく、また、磁石部21が削り取られたり、剥離したりする可能性が高まるためである。なお、締め代は、0.15%〜0.35%に設定することにより、嵌合力の増加と共に、磁石部21の削り及び剥離が防止されるのでより好ましい。
以上説明したように、本実施形態の磁気エンコーダ15及び転がり軸受10によれば、磁石部21は、スリンガ20の円筒部20aのR部20dの内径側に突出部22を有し、突出部22は、円筒部20aの直線部20cよりも5〜100μm内径側に突出して形成されるため、磁気エンコーダ15を内輪11に嵌合することにより、磁石部21の突出部22が内輪11の外周面11bとスリンガ20の円筒部20aとの間に挟み込まれ、スリンガ20と内輪11との嵌合部のシール性を高めることができる。また、加工工数を増加することなく磁石部21に突出部22を設けることができるので、従来と同等の生産性を維持することができる。
また、本実施形態の磁気エンコーダ15及び転がり軸受10によれば、磁石部21は、少なくとも磁性体粉と弾性体バインダとを含有し、磁性体粉は、全量に対し86〜92質量%であるため、磁石部21が適度な弾性を備える。このため、磁石部21の突出部22が内輪11の外周面11bとスリンガ20の円筒部20aとの間に適度に潰れて挟み込まれるので、スリンガ20と内輪11との嵌合部のシール性を更に高めることができる。
なお、本実施形態の変形例として、図5に示すように、磁石部21の突出部22の突出厚さtが上記実施形態より大きく、且つ突出部22の軸方向外側部分のテーパ面23bが上記実施形態より急傾斜であってもよい。この場合も、突出部22の突出厚さtは、円筒部20aの直線部20cから5〜100μmに設定され、より好ましくは20〜50μmに設定されている。
(第2実施形態)
次に、図6及び図7を参照して、本発明に係る磁気エンコーダ及び転がり軸受の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
本実施形態では、図6に示すように、磁石部21は、スリンガ20の円筒部20aの直線部20c及びR部20dの内径側に径方向内側に突出する突出部22Aを有する。より具体的には、突出部22Aがスリンガ20の円筒部20aのR部20dから直線部20cの一部に亘って連続して形成されている。
突出部22Aは、断面略三角形状に形成されており、その軸方向内側部分に、最大突出位置から円筒部20aの内周面20eに向けて緩やかに傾斜するテーパ面23cを有し、その軸方向外側部分に、最大突出位置から軸方向外側且つ径方向外側に向けて緩やかに傾斜するテーパ面23dを有する。また、突出部22Aの突出厚さtは、上記第1実施形態と同様、円筒部20aの直線部20c(円筒部20aの内周面20e)から5〜100μmに設定され、より好ましくは20〜50μmに設定されている。なお、本実施形態では、突出部22Aの突出厚さtが最大となる部分は、円筒部20aのR部20d側にあるが、これに限定されず、円筒部20aの直線部20c側にあってもよい。
以上説明したように、本実施形態の磁気エンコーダ15及び転がり軸受10によれば、磁石部21は、スリンガ20の円筒部20aの直線部20c及びR部20dの内径側に突出部22Aを有し、突出部22Aは、円筒部20aの直線部20cよりも5〜100μm内径側に突出して形成されるため、磁気エンコーダ15を内輪11に嵌合することにより、磁石部21の突出部22Aが内輪11の外周面11bとスリンガ20の円筒部20aとの間に挟み込まれ、スリンガ20と内輪11との嵌合部のシール性を高めることができる。また、加工工数を増加することなく磁石部21に突出部22Aを設けることができるので、従来と同等の生産性を維持することができる。
なお、本実施形態の変形例として、図7に示すように、磁石部21の突出部22Aは、直線部20cの内径側において略一様な突出厚さtで形成されていてもよい。この場合も、突出部22Aの突出厚さtは、円筒部20aの直線部20cから5〜100μmに設定され、より好ましくは20〜50μmに設定されている。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
なお、本発明は上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明の作用効果を確認するため、下記表1及び表2に示す突出部を有する磁気エンコーダの実施例及び比較例を作製して、それぞれに対して嵌合時損傷試験及び耐浸透性試験を行った。なお、表1の実施例1の磁気エンコーダは、図2に示す磁気エンコーダに相当し、表1の実施例2〜5の磁気エンコーダは、図6示す磁気エンコーダに相当し、表2の実施例6〜9の磁気エンコーダは、図7示す磁気エンコーダに相当する。
また、表1及び表2に示す位置(x)とは、図2に示す境界線Dを基準とした軸方向の位置であり、軸方向外側を+、軸方向内側を−とする。また、表1及び表2に示す厚さ(y)とは、円筒部20aの内周面20eを基準とした径方向の位置であり、径方向内側を+、径方向外側を−とする。なお、各表中の最大突出厚さは、上記突出部の突出厚さ(t)と等しい。
嵌合時損傷試験とは、試料の磁気エンコーダを内輪に圧入嵌合して、磁気エンコーダの磁石部に割れや削れが生じるか否かを確認する試験である。耐浸透性試験とは、試料の磁気エンコーダを内輪に圧入嵌合して、その嵌合部に浸透液(ミクロチェック:タイホ―コーザイ社製)を垂らし、浸透液が乾燥によりその流動性を大きく喪失する168時間まで静置した後、浸透液の浸透の有無を確認する試験である。結果を表3及び表4に示す。
Figure 2015094706
Figure 2015094706
Figure 2015094706
Figure 2015094706
表3及び表4から明らかなように、比較例1〜5の磁気エンコーダでは、磁石部の割れや削れ及び浸透液の浸透が確認され、実施例1〜9の磁気エンコーダでは、磁石部の割れや削れ及び浸透液の浸透が確認されなかった。従って、実施例1〜9の結果は良好であり、本発明の有効性が実証された。
10 転がり軸受
11 内輪(回転体)
11a 内輪軌道面
11b 外周面
12 外輪
12a 外輪軌道面
12b 内周面
13 転動体
14 シール部材
15 磁気エンコーダ
20 スリンガ
20a 円筒部
20b フランジ部
20c 直線部
20d R部
20e 内周面
21 磁石部
22,22A 突出部
A 直線部の範囲
B R部の範囲
C 円筒部の範囲
D 直線部とR部との境界線

Claims (3)

  1. 回転体に外嵌可能な円筒部と、前記円筒部から径方向外方に延びるフランジ部と、を有するスリンガと、
    前記スリンガの前記フランジ部の外側面に接着剤によって取り付けられ、円周方向に多極着磁された略円環状の磁石部と、を備える磁気エンコーダであって、
    前記磁石部は、少なくとも前記円筒部の前記フランジ部との境界部分であるR部の内径側に突出部を有し、
    前記突出部は、前記円筒部の直線部よりも5〜100μm内径側に突出して形成されることを特徴とする磁気エンコーダ。
  2. 回転体に外嵌可能な円筒部と、前記円筒部から径方向外方に延びるフランジ部と、を有するスリンガと、
    前記スリンガの前記フランジ部の外側面に接着剤によって取り付けられ、円周方向に多極着磁された略円環状の磁石部と、を備える磁気エンコーダであって、
    前記磁石部は、少なくとも前記円筒部の直線部の内径側に突出部を有し、
    前記突出部は、前記円筒部の直線部よりも5〜100μm内径側に突出して形成されることを特徴とする磁気エンコーダ。
  3. 外周面に内輪軌道面を有する内輪と、内周面に外輪軌道面を有する外輪と、前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間に転動自在に配置される複数の転動体と、前記外輪の内周面に取り付けられ、軸受内部を密封するシール部材と、前記内輪の外周面に取り付けられる磁気エンコーダと、を備える転がり軸受であって、
    前記磁気エンコーダが、請求項1又は2に記載の磁気エンコーダであることを特徴とする転がり軸受。
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