JP2015093365A - ブラスト用グリット及びその製造方法 - Google Patents

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隆史 香川
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Abstract

【課題】高研削性と低粉塵性とを両立したブラスト用グリット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】Fe、Si、Ca、Al、Mg、Cr及びMnを含有し、FeO換算、SiO換算、CaO換算によるFe、Si及びCaの合計含有率が、50.0質量%以上であるとともに、FeO換算含有率が6.0質量%以上35.0質量%以下、SiO換算含有率が15.0質量%以上35.0質量%以下、CaO換算含有率が10.0質量%以上35.0質量%以下、Al換算含有率が3.0質量%以上25.0質量%以下、MgO換算含有率が1.0質量%以上20.0質量%以下、Cr換算含有率が0.5質量%以上5.0質量%以下、MnO換算含有率が2.0質量%以上20.0質量%以下であり、本グリットの切断面に認められる非晶相の面積率が、10%以上であり、本グリットの粒形が、稜部が丸められた多面体である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ブラスト用グリット及びその製造方法に関する。更に詳しくは、Fe成分、Si成分及びCa成分を主成分としたブラスト用グリット及びその製造方法に関する。
製鋼スラグは、各種金属材料の溶解、精錬時などに副生されるスラグであり、原料の10〜30質量%も生成される場合がある。このため、製鋼スラグを有効活用する方法が種々検討されている。具体的には、コンクリート用骨材、路盤材、地盤改良材、肥料等として活用されている他、製鋼スラグを粒子化して研削材として利用できることが知られている。この製鋼スラグを粒子化した研削材は、一般的に市販されている珪素研削材の代替品として、研削力及びコストの観点で優れている。しかしながら、研削の際に研削材が割れる等して生じる粉塵が多く、この粉塵性という観点では十分でない場合があった。粒子化した製鋼スラグを研削材とした技術としては、下記特許文献1及び下記特許文献2が知られている。
特開平9−109030号公報 特開2008−45002号公報
上記特許文献1には、高炭素フェロクロムを電気炉で溶融して製造する際に副次的に生成された溶融スラグを粒状化した研削材が開示されている。また、上記特許文献2には、非晶質のブラスト用の研削材が開示されている。このうち、特許文献1に開示された、研削材に含まれるFe(Fe換算)は0.1〜3質量%であり、特許文献2に開示された、研削材に含まれるFe(FeO換算)は5質量%以下である。これらの研削材のFe濃度は、一般的な製鋼スラグ中のFe濃度からすれば低いものである。そして、特許文献2の技術は、高い研削力を発揮できる点で優れているものの、研削時の衝撃に対して更なる耐久性が求められている。
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであり、高研削性と低粉塵性とを両立したブラスト用グリット及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
本発明のブラスト用グリットは、Fe、Si、Ca、Al、Mg、Cr及びMnを含有し、
本ブラスト用グリットの全体を100質量%とした場合に、FeをFeO換算し、SiをSiO換算し、CaをCaO換算した場合のFe、Si及びCaの合計含有率が、50.0質量%以上であるとともに、
FeのFeO換算含有率が6.0質量%以上35.0質量%以下、
SiのSiO換算含有率が15.0質量%以上35.0質量%以下、
CaのCaO換算含有率が10.0質量%以上35.0質量%以下、
AlのAl換算含有率が3.0質量%以上25.0質量%以下、
MgのMgO換算含有率が1.0質量%以上20.0質量%以下、
CrのCr換算含有率が0.5質量%以上5.0質量%以下、
MnのMnO換算含有率が2.0質量%以上20.0質量%以下、であり、
本ブラスト用グリットの切断面に認められる非晶相の面積率が10%以上であり、
本ブラスト用グリットの粒形が、稜部が丸められた多面体であることを特徴とする。
更に、本ブラスト用グリットでは、更に、Tiを含み、TiのTiO換算含有率が0.01質量%以上10.0質量%以下とすることができる。
本発明のブラスト用グリットの製造方法は、前記ブラスト用グリットの製造方法であって、
上方で溶融スラグを風砕して粒状物にするとともに、前記粒状物を下方へ落下させながら冷却する風砕冷却工程と、
冷却された前記粒状物を、稜部が丸められた多面体に加工する加工工程と、を備えることを特徴とする。
更に、本ブラスト用グリットの製造方法では、前記加工工程は、粒度が1.0mm以上50.0mm以下の粒状物を加工する工程とすることができる。
更に、本ブラスト用グリットの製造方法では、前記風砕冷却工程の前に、前記溶融スラグの成分調整を行う成分調整工程を備え、
成分調製工程では、成分調整前の溶融スラグにガラス及び/又は珪砂を添加することができる。
本発明のブラスト用グリットは、FeのFeO換算含有率、SiのSiO換算含有率、CaのCaO換算含有率、の合計含有率が50.0質量%以上である。更に、FeのFeO換算含有率が6.0質量%以上35.0質量%以下であり、SiのSiO換算含有率が15.0質量%以上35.0質量%以下であり、CaのCaO換算含有率が10.0質量%以上35.0質量%以下であり、AlのAl換算含有率が3.0質量%以上25.0質量%以下であり、MgのMgO換算含有率が1.0質量%以上20.0質量%以下であり、CrのCr換算含有率が0.5質量%以上5.0質量%以下であり、MnのMnO換算含有率が2.0質量%以上20.0質量%以下である。加えて、切断面に認められる非晶相の面積率が10%以上である。また、粒形は稜部が丸められた多面体である。
この構成により、本ブラスト用グリットは、高研削性と低粉塵性とを両立できる。特に、研削時のグリット粒子の破壊を抑制して、発塵を抑えることができる。そして、グリット粒子の破壊を抑制できるためグリットの再利用性に優れる。
本発明のブラスト用グリットの製造方法は、上方で溶融スラグを風砕して粒状物にするとともに、粒状物を下方へ落下させながら冷却する風砕冷却工程を備える。更に、冷却された粒状物を、稜部が丸められた多面体に加工する加工工程を備える。
この構成により、FeのFeO換算含有率が6.0質量%以上35.0質量%以下と高い組成でありながら、高研削性と低粉塵性とを両立したブラスト用グリットを得ることができる。特に、研削時のグリット粒子の破壊が抑制され、発塵を抑えたブラスト用グリットが得られる。そして、グリット粒子の破壊が抑制されるため再利用性に優れたブラスト用グリットとすることができる。また、本方法では、上方で溶融スラグを風砕して粒状物にするとともに、この粒状物を下方へ落下させながら冷却して、ブラスト用グリットの原料となる粒状物を製造する。このため、平面方向に大きなスペースを使用する必要がなく、小さなスペースで粒状物を製造できる。
本方法において、加工工程は、粒度が1.0mm以上50.0mm以下の粒状物を加工する工程である場合には、高研削性と低粉塵発性とを特に良好に両立したブラスト用グリットが得られる。
本方法において、風砕冷却工程の前に、溶融スラグの成分調整を行う成分調整工程を備え、成分調製工程では、成分調整前の溶融スラグにガラス及び/又は珪砂を添加する場合には、FeのFeO換算含有率、SiのSiO換算含有率、CaのCaO換算含有率、の合計含有率を50.0質量%以上に調整し易く、また、SiのSiO換算含有率が15.0質量%以上35.0質量%以下の範囲に調整し易い。
ブラスト用グリットの製造方法に用いる製造装置を説明する説明図である。 図1の製造装置における風砕手段の近傍を説明する説明図である。 実施例7の試料表面の拡大画像である。 実施例10の試料表面の拡大画像である。 比較例4の試料表面の拡大画像である。 比較例7の試料表面の拡大画像である。
以下、本発明を詳しく説明する。
[1]ブラスト用グリット
本発明のブラスト用グリットは、Fe、Si、Ca、Al、Mg、Cr及びMnを含有し、
本ブラスト用グリットの全体を100質量%とした場合に、FeをFeO換算し、SiをSiO換算し、CaをCaO換算した場合のFe、Si及びCaの合計含有率が、50.0質量%以上であるとともに、
FeのFeO換算含有率が6.0質量%以上35.0質量%以下、
SiのSiO換算含有率が15.0質量%以上35.0質量%以下、
CaのCaO換算含有率が10.0質量%以上35.0質量%以下、
AlのAl換算含有率が3.0質量%以上25.0質量%以下、
MgのMgO換算含有率が1.0質量%以上20.0質量%以下、
CrのCr換算含有率が0.5質量%以上5.0質量%以下、
MnのMnO換算含有率が2.0質量%以上20.0質量%以下、であり、
本ブラスト用グリットの切断面に認められる非晶相の面積率が、10%以上であり、
本ブラスト用グリットの粒形が、稜部が丸められた多面体であることを特徴とする。
上記「Fe」は、本ブラスト用グリット全体を100質量%とした場合にFeO換算で6.0質量%以上35.0質量%以下含有される。この範囲では、高研削性と低粉塵性とを両立したブラスト用グリットとすることができる。このFeO換算含有率の下限は10.0質量%以上が好ましい。一方、FeO換算含有率の上限は25.0質量%以下が好ましい。
従来、FeO換算含有率が6.0質量%以上と高い製鋼スラグからは、研削時の破壊を十分に抑制できるグリット粒子を得ることが困難であった。しかし、本ブラスト用グリットでは、FeO換算含有率が6.0質量%以上35.0質量%以下というFe濃度が高い組成であっても、研削時の破壊を十分に抑制したグリット粒子が得られる。この理由は定かでは無いものの、本ブラスト用グリットの非晶相の面積率が10%以上であるとともに、稜部が丸められた多面体であるためと考えられる。
この形態であることにより、研削時のグリット粒子の破壊が抑制され、粉塵量を小さく抑えることができると考えられる。また、FeO換算含有率が35.0質量%以下の範囲では、破壊され難いグリット粒子(耐ブラスト破壊性に優れた粒子)が多く得られ、ブラストによって破壊されてしまう耐ブラスト破壊性に劣ったグリット粒子の混在を抑制できると考えられる。一方、FeO換算含有率が35.0質量%を越える組成範囲では、次第に、耐ブラスト破壊性に劣ったグリット粒子の混在率が大きくなり、結果的に研削時の粉塵量が多くなると考えられる。これは、FeO換算含有率が35.0質量%を越える組成範囲では、グリット粒子の圧壊強度にばらつきを生じて、圧壊強度が小さいグリット粒子が混在し易くなるためと考えられる。
上記「Si」は、本ブラスト用グリット全体を100質量%とした場合にSiO換算で15.0質量%以上35.0質量%以下含有される。この範囲では、FeのFeO換算含有率が6.0質量%以上と高い組成において、圧壊強度のばらつきを小さく抑えて、高い圧壊強度を有したグリット粒子(即ち、耐ブラスト破壊性に優れたグリット粒子)をより多く得ることができる。SiのSiO換算含有率が15.0質量%未満となると、Fe含有率が6.0質量%以上35.0質量%以下の範囲であっても、非晶相の面積割合を10%以上に維持することが困難となる傾向にある。一方、SiのSiO換算含有率が35.0質量%を超えると、溶融状態におけるスラグの粘度が大きく風砕によって粒状化することが困難となる傾向にある。
SiのSiO換算含有率は15.0質量%以上35.0質量%以下であればよいが、この含有率の下限は18.0質量%以上が好ましい。一方、SiのSiO換算含有率の上限は30.0質量%以下が好ましい。
上記「Ca」は、本ブラスト用グリット全体を100質量%とした場合にCaO換算で10.0質量%以上35.0質量%以下含有される。この範囲では、FeのFeO換算含有率が6.0質量%以上と高い組成において、高い圧壊強度を有したグリット粒子(即ち、耐ブラスト破壊性に優れたグリット粒子)をより多く得ることができる。CaのCaO換算含有率は、10.0質量%未満であってもブラスト用グリットとして問題はないと考えられるが、実際にはCaO換算含有率が10.0質量%未満となるようなスラグは得られ難い。一方、CaのCaO換算含有率が35.0質量%を超えると、溶融状態におけるスラグの粘度が大きく風砕によって粒状化することが困難となる傾向にある。また、スラグの融点も高くなる傾向にもあり好ましくない。
CaのCaO換算含有率は、10.0質量%以上35.0質量%以下であればよいが、この含有率の下限は15.0質量%以上が好ましい。一方、CaのCaO換算含有率の上限は30.0質量%以下が好ましい。
更に、これらFe、Si及びCaの三成分は、本ブラスト用グリット全体を100質量%とした場合に、FeのFeO換算含有率と、SiのSiO換算含有率と、CaのCaO換算含有率と、の合計含有率が50.0質量%以上である。この範囲では、FeのFeO換算含有率が6.0質量%以上と高い組成において、高い圧壊強度を有したグリット粒子(即ち、耐ブラスト破壊性に優れたグリット粒子)をより多く得ることができる。
この合計含有率は、50.0質量%以上であればよいが、この合計含有率の下限は55.0質量%以上が好ましい。一方、この合計含有率の上限は75.0質量%以下が好ましい。
上記「Al」は、本ブラスト用グリット全体を100質量%とした場合にAl換算で3.0質量%以上25.0質量%以下含有される。この範囲では、本ブラスト用グリットにおいて高研削性と低粉塵性とを両立できる。AlのAl換算含有率が3.0質量%未満となるスラグは得られ難く、AlのAl換算含有率が25.0質量%を超えると、溶融スラグの粘度が大きくなり、風砕によって粒状化することが困難となる傾向にある。また、スラグの融点が高くなる傾向にもあり好ましくない。
AlのAl換算含有率は、3.0質量%以上25.0質量%以下であればよいが、この含有率の下限は6.5質量%以上が好ましい。一方、AlのAl換算含有率の上限は16.5以下が好ましい。
上記「Mg」は、本ブラスト用グリット全体を100質量%とした場合にMgO換算で1.0質量%以上20.0質量%以下含有される。この範囲では、本ブラスト用グリットにおいて高研削性と低粉塵性とを両立できる。MgのMgO換算含有率が1.0質量%未満となるスラグは得られ難く、MgのMgO換算含有率が20.0質量%を超えると、溶融スラグの粘度が大きくなり、風砕によって粒状化することが困難となる傾向にある。
MgのMgO換算含有率は、1.0質量%以上20.0質量%以下であればよいが、この含有率の下限は4.0質量%以上が好ましい。一方、MgのMgO換算含有率の上限は10.0質量%以下が好ましい。
上記「Mn」は、本ブラスト用グリット全体を100質量%とした場合にMnO換算で2.0質量%以上20.0質量%以下含有される。この範囲では、本ブラスト用グリットにおいて高研削性と低粉塵性とを両立できる。MnO換算含有率が2.0質量%未満となるスラグは得られ難く、一方、MnのMnO換算含有率が20.0質量%を超えると、溶融状態におけるスラグの粘度が大きくなり、風砕によって粒状化することが困難となる傾向にある。
MnのMnO換算含有率は、2.0質量%以上20.0質量%以下であればよいが、この含有率の下限は、3.0質量%以上が好ましく、5.0質量%以上がより好ましい。一方、MnのMnO換算含有率の上限は12.0質量%以下が好ましい。
上記「Cr」は、本ブラスト用グリット全体を100質量%とした場合にCr換算で0.5質量%以上5.0質量%以下含有される。この範囲では、本ブラスト用グリットにおいて、Crを含むことによる緻密化の効果を得ることができる。加えて、MnとCrとが同時に含まれることでスピネル質結晶の生成が促進され、研削力が更に向上させることができる。
CrのCr換算含有率は、0.5質量%以上5.0質量%以下であればよいが、この含有率の下限は、1.0質量%以上が好ましい。一方、CrのCr換算含有率の上限は3.5質量%以下が好ましい。
本発明のブラスト用グリットは、Fe、Si、Ca、Al、Mg、Cr及びMnを含んだうえで(通常、Oが含まれる)、更に他の成分を含有できる。他の成分としては、Ti、P、S等が挙げられる。これらの他の成分は1種のみが含有されてもよく、2種以上が同時に含有されてもよい。
Tiが含まれる場合、TiのTiO換算含有率は0.01質量%以上10.0質量%が好ましい。この範囲では、Tiを含むことによる緻密化の効果を得ることができる。
TiのTiO換算含有率の下限は、0.5質量%以上が好ましい。一方、TiのTiO換算含有率の上限は2.0質量%以下が好ましい。
本ブラスト用グリットの切断面に認められる非晶相の面積率は10%以上(100%を含む)である。非晶相の面積率が10%以上であることによって、グリット粒子の圧壊強度が向上される。従って、破壊され難いグリット粒子(耐ブラスト破壊性に優れた粒子)を多く得ることができる。即ち、非晶相の面積率が10%未満である場合に比べて、高研削性と低粉塵性とを高度に両立できる。
非晶相の面積率は、無作為に選択した3個のグリット粒子の切断面を、各々光学顕微鏡により200倍に拡大して観察される。観察領域に認められる各相が、非晶相であるか結晶相であるかは、X線回折測定により判定される。即ち、X線回折測定により得られるチャートがハロー図形である相は非晶相であり、帰属可能なピークが認められる相は結晶相である。この非晶相と結晶相とはデジタル画像処理によって分類して、観察領域全体(100%)に認められる非晶相の面積割合として算出される。3個のグリット粒子の各々の切断面において同様に算出し、その平均値を非晶相の面積率とする。尚、本発明のブラスト用グリットにおいて、結晶相としては、例えば、スピネル結晶が挙げられる。
更に、本ブラスト用グリットは、稜部が丸められた多面体を呈する。即ち、いわゆるショットとグリットとの両方の形態を兼ね備えた形状をなしている。例えば、JIS Z0312では、グリットは、使用前の状態で稜角を持つ角張った形状であり、丸い部分がその粒子の1/2未満である粒子と定義されている。一方、ショットは、使用前の状態で稜角、破砕面又は他の鋭い表面欠陥がなく、長径が短径の2倍以内の球形状である粒子と定義されている。
この点、本ブラスト用グリットは、JIS Z0312に定義されたショットと、使用前の状態で稜角、破砕面又は他の鋭い表面欠陥がない点で共通するものの、球形状である点で異なる。即ち、本ブラスト用グリットは球形状ではなく多面体形状である。
一方、本ブラスト用グリットは、JIS Z0312に定義されたグリットと、使用前の状態で稜角を持つ角張った形状である点で異なる。即ち、本ブラスト用グリットは、稜角を持つ角張った形状ではなく、稜部が丸められた形状である。従って、JIS Z0312に定義されたショットにもグリットにも適合しないが、その概形は多面体であり、ショットのように球状でないことから、JIS Z0312に定義されたグリットに近い概形といえる形態をなしている。
また、稜部は、面と面とが交わる部位であって、面と面とが交わることで形成される。そして、稜部を形成する面は、平面であってもよく、曲面であってもよいが、本発明のグリットでは平面である割合(面積割合)が大きく、更には、これらの平面は比較的大きな面積を有している場合が多い。具体的には、後述する実施例のように、ブラスト用グリットに1方向から光を当てた状態の拡大画像において、その反射面の割合を測定し、全体面積に占める反射面の割合(表面反射率)を測定することで、平面の多さを知ることができる。即ち、1方向から照射された光が、十分な広がりを有する平面に当ると広い面積で反射される。そのため、拡大した画像上では大きな反射面が認められる。更に、このような大きな反射面がより多く認められる場合には、そうでない場合に比べてより多くの平面を有するグリットであるといえる。一方、1方向から照射された光が、曲面や十分な広がりを持たない平面に当ると小さな面積で反射される。そのため、拡大した画像上では、小さな反射面となる。更に、このような小さな反射面がより多く認められる場合には、そうでない場合に比べて平面の割合が小さいか、又は、大きな平面を有さないグリットであるといえる。本ブラスト用グリットの場合、測定面の全面(拡大視野内)を100%とした場合に、表面反射率は15〜60%となる。
上述のように、JIS Z0312に定義されたショットにもグリットにも正確には適合しないが、その概形は、上記の平面(反射面)の割合が多いことからも分かるように、多面体である。即ち、ショットのように球状でないことから、JIS Z0312に定義されたグリットに近い概形といえる形態をなしている。そして、このような形態であることにより、本ブラスト用グリットは、高研削性と低粉塵性とを高度に両立しているものと考えられる。
また、本ブラスト用グリットは、稜部が丸められていることにより研削面(研削した面)の面粗度を低く抑えることができる。そのため、研削面に塗膜等の表面被膜を形成する際に要する被膜形成剤(塗料等)の量を抑制できる。
本ブラスト用グリットを構成するグリット粒子は、ビッカース硬度を650Hv以上(特に660〜900Hv、更には780〜835Hv)とすることができる。尚、このビッカース硬度は、無作為に選択した10個のグリット粒子を各々JIS Z2244に準拠して測定し、得られたビッカース硬さの平均値である。
更に、グリット粒子1粒の圧壊強度は、最大長さ2mm以上の粒子において180N以上400N以下とすることができる。この圧壊強度は、無作為に選択した10個のグリット粒子を万能試験機に供し、各1粒の研削材粒子に荷重を負荷して圧壊したときの荷重値の平均値である。
本ブラスト用グリットを構成するグリット粒子の大きさは特に限定されず、用途に適した大きさとすることができるが、通常、粒度0.2〜5.0mmである。この範囲では、本ブラスト用グリットによる高研削性と低粉塵性とを高度に両立しやすい。尚、ここでいう粒度とは、JIS Z0312(ブラスト処理用非金属系研削材)内の粒度に準用されたJIS Z8815によって測定される積算ふるい下百分率における50%粒度を意味する。
[2]ブラスト用グリットの製造方法
本ブラスト用グリットの製造方法は、上方で溶融スラグを風砕して粒状物にするとともに、粒状物を下方へ落下させながら冷却する風砕冷却工程と、
冷却された粒状物を、稜部が丸められた多面体に加工する加工工程と、を備えることを特徴とする。
本方法を用いることでブラスト用グリットを、溶融スラグを風砕冷却した粒状物から形成できる。既に説明した組織且つ非晶相を有するスラグを用いてこの方法を適用することにより、高研削性と低粉塵性とを更に両立し易い。即ち、本方法を用いることで、研削性がより高く且つ粉塵性がより低いブラスト用グリットを得ることができる。
溶融スラグを風砕冷却して得られる粒状物は、溶融状態のスラグから直接に粒形状が得られる。このため、スラグ塊状物を破砕して得られた粒状物に比べて、本来的に高い圧壊強度を有する。これは以下の理由によるものと考えられる。即ち、スラグ塊状物は、その大きさが大きいため、冷却に要する時間が長くなり、冷却の間にスラグ塊状物内で結晶相を多く生じてしまう。そして、冷却された後に破砕されるため、冷却後に生じたスラグ塊状物内の応力バランスが崩れて粒状物となる。また、破砕中に潜在的な傷(破壊基点)が形成される。これらのことから、スラグ塊状物を破砕して得られた粒状物をブラストに用いると、ブラスト時の衝撃でグリット粒子が破壊され易くなると考えられる。これに対して、本方法で得られるブラスト用グリットは、溶融スラグを風砕して得た粒状物を用いる。そのため、スラグ塊状物を破砕して粒状化したものに比べて、冷却後の粒子形態をより維持してグリットにすることができる。そのために、冷却時に得られた粒状物内の応力バランスを維持し易く、圧壊強度を維持したグリット粒子になるものと考えられる。更に、グリット粒子間の圧壊強度のばらつきも小さく抑えることができる。
上記「風砕冷却工程」は、上方で溶融スラグを風砕して粒状物にするとともに、粒状物を下方へ落下させながら冷却する工程である。
風砕は、気体を用いて溶融スラグを細粒化して粒状物にすることを表す。通常、風砕は、ノズルから放出された気体前に溶融させたスラグを供給する。そして、ノズルから放出された気体によって溶融スラグを細粒化して粒状物にする。またこの際、一般には、ノズルから放出された気体よって細粒化された粒状物を、側方へ吹き飛ばすのに対して、本方法では、上方で溶融スラグを風砕して粒状物にするとともに、粒状物を下方へ落下させながら冷却する。これにより、本方法では、平面方向に大きなスペースを使用する必要がなく、小さなスペースで粒状物を製造できる。
風砕に用いるノズルの形態は特に限定されないが、例えば、中心部に向かって気体が放出されるように放射状に配置された複数のノズルを有するリングノズルを用いることができる。更に、中心部に向かって気体が放出されるように対向して配置された複数のノズルを有する平行ノズルを用いることができる。これらは、いずれか一方を用いてもよく、併用してもよいが、上述のリングノズル(図1及び図2参照)を用いることが好ましい。リングノズルは放射状に全周にわたってノズルを均等な配置で備えることができ、溶融スラグをより均一に細粒化することができる。そのため、均質な粒状物を形成することができる。
リングノズルに設けられるノズル(気体放出口)の数は特に限定されないが、通常、20〜100本である。この範囲ではより安定した風砕を行うことができる。
また、各ノズルの中心部に対する角度α(図2参照)も特に限定されないが、通常、5〜45度の角度である。この範囲では、風砕された粒状物が上方へハネ上がるのを防止できる。更に、風砕直後の高温状態にある粒状物同士がくっつくことを抑制できる。
ノズルからの気体放出圧力や気体の放出量は、落下される粒状物の量及び大きさ等によって適宜とすることができる。また、風砕に用いる気体の種類は、各種の気体を用いることができるが、装置を簡便な構造とするという観点から空気を用いることが好ましい。
用いる溶融スラグの種類は限定されず、前述した、Fe、Si、Ca、Al、Mg、Cr及びMnを含有し、FeのFeO換算含有率、SiのSiO換算含有率、CaのCaO換算含有率、の合計含有率が、50.0質量%以上であり、FeのFeO換算含有率が6.0質量%以上35.0質量%以下、SiのSiO換算含有率が15.0質量%以上35.0質量%以下、CaのCaO換算含有率が10.0質量%以上35.0質量%以下AlのAl換算含有率が3.0質量%以上25.0質量%以下、MgのMgO換算含有率が1.0質量%以上20.0質量%以下、CrのCr換算含有率が0.5質量%以上5.0質量%以下、MnのMnO換算含有率が2.0質量%以上20.0質量%以下の組成を満たす溶融スラグであればよい。この溶融スラグは、成分調整されたものであってもよく、成分調整されていないものであってもよい。尚、通常、供給する溶融スラグの組成と、得られるブラスト用グリットの組成とは一致する。
上述の組成を充足する溶融スラグは、通常、製鋼スラグである。この製鋼スラグには、転炉スラグ及び電気炉スラグ等が含まれるが、なかでも、電気炉スラグが好ましい。更に、電気炉スラグには、酸化スラグ及び還元スラグが含まれるが、このうちの酸化スラグが好ましい。即ち、電気炉酸化スラグであることが好ましい。電気炉スラグ、特に電気炉酸化スラグは、鉄成分の含有率が高いことが特徴であり、本方法で利用する溶融スラグとして、とりわけ適している。
また、風砕冷却工程で用いる溶融スラグの温度は、特に限定されないが、通常、1150〜1600℃である。
上述のように、溶融スラグは、成分調整されたものであってもよく、成分調整されていないものであってもよい。成分調整された溶融スラグを用いる場合には、当然ながら、風砕冷却工程の前に、成分調整工程を備えることができる。成分調整に際しては、どのような成分を添加してよく、前述した、Fe、Si、Ca、Al、Mg、Cr及びMnを所定の範囲で含有する組成を満たすように調整されればよい。
本方法では、電気炉スラグを用いる際に、成分調整工程を備え、更に、その成分調製工程で、成分調整前の溶融スラグに対して、ガラス及び/又は珪砂を添加することができる。即ち、成分調整材として、ガラス及び珪砂を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく併用してもよい。
このうち、ガラスは、SiO、CaO、Al及びNaO等を含む。これらのなかでも、特にSiO及びNaOの割合が多い。このため、溶融スラグ内のSiO成分の割合を増加させることができるという観点において、本ブラスト用グリットの成分調整材として適している。更に、ガラスは、非晶質な材料であるとともに、融点が低く溶融スラグ内に容易に溶解させることができるために、溶融スラグの成分調整を容易に行うことができる。この観点からも、本ブラスト用グリットの成分調整材として適している。
成分調整を行う場合に添加するガラス及び/又は珪砂の量は特に限定されず、結果的に前述の本ブラスト用グリットとして示した組成範囲となるように添加できる。
また、上記ガラスはどのようなガラスを用いてもよいが、特に廃ガラスが好ましく、更には、自動車用ガラスであることが好ましい。自動車用ガラス(自動車用途の廃ガラス)は、自動車のスクラップ処理によって生じる自動車に利用されていたガラスである。即ち、例えば、フロントガラス、リアガラス、サイドガラス、ランプガラス等が含まれる。これらは、1種のみが含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
自動車用ガラスは、通常、樹脂部品や金属部品等のガラス以外の部品が併存される。これらは、自動車への組み付けに際して利用された部品である。従来、自動車のスクラップ処理によって生じた自動車用途の廃ガラスは、これらのガラス以外の部品を伴っているために、再利用が困難であった。これに対して、本方法で成分調整材として利用する場合には、これらのガラス以外の部品の併存の有無は、得られるブラスト用グリットに対してほとんど影響しない。即ち、自動車用ガラスは、高温の溶融スラグ内へ投入されるため、樹脂部品等は焼失され、金属部品等は溶融されてスラグ内に取り込まれる。更に、ガラスは、融点が低い非晶質な成分であることから、溶融スラグ内にスムーズに溶解され、エネルギー効率がよい。
風砕冷却工程における冷却は、風砕された粒状物を下方に落下させて行う。落下にさせることによって、風砕された粒状物が放冷されることとなる。この冷却方法によれば、外表面部は冷却されるが、芯部までは冷却されない状態で、粒状物を得ることができる。通常、スラグの熱伝導率は0.3〜2.0W/(m・K)程度である。そのため、過度な冷却を行うと、グリッド粒子内の非晶相の割合は多くできるものの、得られる粒状物が崩壊してしまうおそれがある。また、冷却スピードを向上させる観点からは、貯留された水内へ粒状物を落下させるという方法も考えられる。しかしながら、貯留された水内へ粒状物を落下させると、前述のように急速な冷却となり、粒状物が崩壊してしまうおそれがある(変形及び割れを生じ易い)。これらのことから、粒状物の冷却は、結晶相の形成を抑制しつつ、粒状物が崩壊されない程度に適度に冷却することが好ましい。
上述のような観点から、冷却を行う際の落下距離は、3m以上40m以下とすることが好ましい。落下距離がこの範囲では、上述の適度な冷却を行うことができる。更に、小さなスペースで冷却を行うことができる。従って、装置をコンパクトに保ちつつ、高研削性と低粉塵性とを両立したブラスト用グリットを製造できる。
通常、水冷することなく落下させた粒状物の温度は、500℃以上1200℃以下程度の温度となる。粒状物の冷却は、単に落下させて放冷するだけでなく、必要であれば、落下の間に水を吹き付けて水冷することが好ましい。更に、下方へ落下させた後に、粒状物に水を吹き付けて冷却することもできる。特に、下方へ落下させた後に水を吹き付けて粒状物を冷却する場合、比較的大きな粒状物は、落下後にもおいても未固化であるため、これらの粒状物同士の融着を防止する観点から好ましい。更に、粒状物の冷却を強制的に行わず、落下後において未固化の粒状物同士の融着を故意に促し、比較的大きな粒状物とすることもできる。
落下後の粒状物に水を吹き付ける方法としては、チャンバーを通過した粒状物をスチールコンベア上に落下させ、スチールコンベアで搬送しながら、コンベア上の粒状物に水を吹き付ける方法が挙げられる。この際、スチールコンベアの進行方向と同じ方向(即ち、粒状物が進行する方向)へ向かって水を吹き付けることが好ましい。水の吹き付け量は特に限定されない。水を吹き付ける方法は、貯留された水に粒状物を落下させる方法に比べて、効果的に粒状物の崩壊を抑制できる。
また、上述のように、落下後の粒状物に水を吹き付けて冷却する場合、付着された水を粒状物から除去するために脱水を行うことが好ましい。脱水は、粒状物に付着された水を気化させて除去(完全な除去であってもなくてもよい)することが好ましい。通常、この段回でも、粒状物は、付着された水を気化させるのに十分な熱を有しているため、付着された水の少なくとも一部を気化させることができる。これによって、粒状物から熱を効率的に除去できる。
このように落下後の粒状物に水を吹き付けて冷却する場合、粒状物の温度は70℃以上800℃以下とすることができる。
上述のように、本方法では、風砕された粒状物を下方へ落下させて冷却する。これは、風砕した粒状物を側方へ飛散させて冷却する形態の製造方法に比べて、過度に長い放冷工程を要したり、再熱処理工程を要したりといった製造上の複雑化や装置の大型化を招かないというメリットがある。また、上述のように、貯留された水内に粒状物を落下させる方法では、製造がバッチ式となってしまうというデメリットもある。これに対して、本方法は、連続的に粒状物を得ることができ、高い生産効率を発揮できる。また、連続稼働されている製鋼施設等においては、スラグを保管するコストを削減できるメリットがある。
上記「加工工程」は、粒状物を稜部が丸められた多面体に加工する工程である。この工程では、粒状物を稜部が丸められた多面体として整粒できればよく、どのように加工してもよい。具体的には、冷却された状態の粒状物を収容器内で、粒同士が接触できる状態で撹拌することで上記加工を達することができる。即ち、例えば、磨砕によって稜部が丸められた多面体の形状を得ることができる。従って、加工工程では、摩砕機、混合機、撹拌機等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
例えば、混合機(ミキサー、攪拌機等を含む)は、粒状物を収容する収容器と、収容器に収容された粒状物を撹拌する撹拌羽根と、を有する。このうち、収容器は粒状物を収容した状態で回転可能にされている。そして、撹拌羽根は、収容器の回転方向とは逆の方向に回転できるようにされている。即ち、収容器と撹拌羽根とは互いに逆方向に回転できる形態とされている。更に、収容器の回転軸と撹拌羽根の回転軸とが一致しないように配設されている。即ち、収容器の回転軸に対して撹拌羽根の回転軸は偏心して設けられている。このような混合機を使用すれば、粒状物に対して適度な剪断力を加えることができる。その結果、得られるブラスト用グリットのグリット粒子の応力のバランスを失することなく、稜部を丸めることができる。また、粒径の大きなグリット粒子は、混合機により粉砕するとともに、その稜部を丸めることができる。
加工工程では、風砕冷却工程で得られた全ての粒状物を加工することもできるが、粒度が1.0mm以上50.0mm以下の範囲にある粒状物を加工することが好ましい。即ち、風砕冷却工程で得られた粒状物のうち、粒度が1.0mm以上5.0mm以下の範囲にある粒状物を加工することがより好ましい。この粒度範囲の粒状物を、その稜部が丸められた多面体として加工したブラスト用グリットは、特に高研削性と低粉塵性とを高度に両立できるブラスト用グリットとすることができるからである。
尚、ここでいう「粒度Amm以上」とは、JIS Z8815のふるい分け試験方法に準拠して測定され、目開きAmmの篩によるふるい上を意味する。一方、ここでいう「粒度Bmm以上」とは、JIS Z8815のふるい分け試験方法に準拠して測定され、目開きBmmの篩によるふるい下を意味する。
本方法では、どのような装置を用いて、ブラスト用グリットを製造してもよいが、上述の各工程を確実に行うために、溶融スラグ200を風砕して、粒状物201を形成する風砕手段110と、粒状物201を下方へ落下させながら冷却する冷却手段120としてのチャンバー121と、を備えた粒状物の製造装置100を用いることが好ましい(図1及び図2参照)。更に、この装置100は、落下された粒状物201を水冷する水冷手段124と、水冷された粒状物201を搬送しながら、粒状物201に付着された水を脱水する脱水手段130と、を備えることができる。
上記風砕手段110は、溶融スラグ200を風砕して粒状物201を形成する手段である。この風砕はノズル111から放出された気体を用いて行うものである。風砕に用いるノズル111の形状及び数等は特に限定されないが、前述のように、リングノズル110が好ましい。このリングノズル110の配設場所は特に限定されないが、省スペースのためにチャンバー121の上端に配置されることが好ましい。
上記冷却手段120としてのチャンバー121は、風砕された粒状物201を下方に落下させながら冷却する手段である。通常、このチャンバー121は、上下に開放された縦長形状をなす(図1参照)。縦長形状であることにより、落下距離を確保しつつ、省スペース化できる。この落下距離は、前述の通りであり、チャンバー121内の空間も、通常、縦方向に前述の距離を有することが好ましい。横方向の形状(断面形状)は特に限定されず、円形であってもよく、矩形であってもよく、その他の形状であってもよいが、円形であることが好ましい(即ち、円筒形状を呈した円筒部分122)。粒状物の回収効率に優れるためである。また、チャンバー121は、その下端側へ向けて先が窄まった先窄まり部123を有することが好ましい。更に、チャンバー121の先窄まり部123は、その下方に配置されたスチールコンベア126に対して開放されていることが好ましい。これにより連続的に粒状物201の得ることができる。
また、この装置100は、落下された粒状物201に、水を吹き付けて水冷する水冷手段124を備えることができる。水冷手段124は、粒状物201に対して放水することができればよく、その形態及び大きさ等は特に限定されない。この水冷手段124による放水は、図1に示す様に、チャンバー121の下方に設けられたスチールコンベア126の上で行なわれることが好ましい。即ち、チャンバー121からスチールコンベア126上に落下した粒状物201に対して放水できることが好ましい。そのために、水冷手段124は、放水ノズル125を備えることができる。
脱水手段130は、粒状物201を搬送しながら、粒状物201に付着された水を脱水する手段である。この脱水手段130は、脱水機能と搬送機能との両方を併せ有することが好ましい。即ち、粒状物201を濡れたままの状態で滞留させることがなく、脱水しつつ、必要な搬送を行うことができる形態であることが好ましい。これによって、粒状物201を過度に急激に冷却することがないため、この粒状物201を用いて得られるブラスト用グリットでは、高研削性と低粉塵性とを両立させることができる。更に、このような粒状物201を安定的に連続的に製造できる。
脱水手段130における脱水機能は、脱水手段130の全体にわたって備えられていてもよく(即ち、例えば、全体がウェッジワイヤスクリーン132からなる場合)、一部のみが脱水を備え、他部は搬送機能のみを備えるものであってもよい(即ち、例えば、前部はウェッジワイヤスクリーンからなり、後部はスチールコンベア等の耐熱コンベアからなる場合)。
通常、冷却手段120から落下された直後の粒状物201が800℃以上の温度が保持され、脱水手段130では、130〜600℃/分の速度で冷却される。この範囲では、十分な脱水及び冷却を行いつつ、より短い搬送距離とすることができる。従って、品質向上と省スペース化とを両立できる。
また、前記のように脱水手段130が、後半部分が搬送機能のみを有する場合、搬送部位は平面方向へ粒状物を搬送するものであってもよいが、上下方向へ搬送するものとすることができる。即ち、例えば、バケットコンベア134等を用いることができる。これにより更に省スペース化を達することができる。
上記脱水手段130の形態は特に限定されないが、粒状物201が通過されない間隔で並べられたウェッジワイヤ131を備えたウェッジワイヤスクリーン132であることが好ましい。更に、一部のみにウェッジワイヤスクリーン132を備える場合、ウェッジワイヤスクリーン132は脱水手段130における先端側(冷却手段により近い側)に設けられることが好ましい。
また、ウェッジワイヤスクリーン132を用いる場合、ウェッジワイヤスクリーン132は加振できるものであることが好ましく、更には、振動によって粒状物201を搬送できることが好ましい。従って、脱水手段130は、振動発生手段133を備え、発生された振動をウェッジスクリーン132へ伝達できる構成であることが好ましい。
装置100は、風砕手段110、冷却手段120及び脱水手段130以外に他の手段を備えることができる。他の手段としては、風砕手段110に対して溶融スラグ200を適量ずつ送るための溶融スラグ貯留手段150が挙げられる。溶融スラグ貯留手段150は、更に、貯留された溶融スラグ200が放冷されることを防止するためにバーナー及び/又はヒータ等の加熱手段152を備えることができる。溶融スラグ貯留手段150としては、通常、タンディッシュ150が用いられる。更に、タンディッシュ150は、下方に溶融スラグを流下させることができる開口部を備えることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
[1]粒状物の製造
図1に示すグリット用粒状物の製造装置100であって、図2に示す風砕手段120近傍構造を有する装置を用いて、粒状物201を製造した。
図1に示すグリット用粒状物の製造装置100は、風砕手段110と、冷却手段120と、脱水手段130と、回収容器141と、を備える。更に、風砕手段110の前手段として溶融スラグ貯留手段(タンディッシュ)150を備える。
溶融スラグ貯留手段150はタンディッシュである。このタンディッシュ150の底部には耐火物で出来たノズルが付設されている。ノズルは、直径約24mmの開口部151を有し、溶融スラグ200を風砕手段110へ供給できるようになっている。更に、タンディッシュ150内に貯留された溶融スラグ200の温度を調節できるバーナー152を備える。
風砕手段(リングノズル)110は、45本のノズル111が中心部方向に向けて放射状に配列されたリングノズル(全形直径30cm)からなる。各ノズルの角度α(図2参照)は各々26〜27度に設定されている。
上記冷却手段120は、チャンバー121、水冷手段124及びスチールコンベア126を備える。チャンバー121は、筒形状をなしており、風砕手段直後からの粒状物の落下距離は5.7mに設定されている。また、チャンバー121は、直径が400cm且つ長さ4.3mの円筒部分122と、円筒部分122に延設され、下端直径が150cm且つ長さ1.4mである先窄まり部123とを備えている。
水冷手段124は、放水ノズル125を備える。放水ノズル125は、スチールコンベア126の上部に設けられ、チャンバー121からスチールコンベア126上に落下した粒状物201に水を放水する。スチールコンベア126は、チャンバー121の下方に設けられている。そして、チャンバー121から落下したスラグ粒201は、スチールコンベア126を介して、ウェッジワイヤスクリーン132へと搬送される。
上記脱水手段130は、逆三角形状のウェッジワイヤ131が配列されたウェッジワイヤスクリーン132と、縦方向へ配置されたバケットコンベア134とからなる。このうちウェッジワイヤスクリーン132は、振動発生装置133と接続されて、振動されるようになっている。また、ウェッジワイヤスクリーン132上では、振動により粒状物201が脱水されながら搬送される。バケットコンベア140は、ウェッジワイヤスクリーン132から搬送されてきた粒状物201を回収容器141へ運び上げるコンベアとして機能される。
[2]グリット用粒状物の製造
〈1〉実施例1−11及び比較例1−6の粒状物
(1)実施例1−6、比較例1−6
上記[1]のグリット用粒状物の製造装置100を用い、電気炉で得られた製鋼スラグを原料として用いて粒状物を製造した。
即ち、電気炉で得られた溶解されたままの溶融スラグ200を製造装置100のタンディッシュ150内へ約3トン投入した。
溶融スラグ200は、タンディッシュ150から流下されてチャンバー121内に供給され、その後、リングノズル110の中心部を通過した。リングノズル110からは1.6MPaの気体放出圧力で空気を放出させた。これにより、リングノズル110内を通過する溶融スラグ200は風砕されて粒状となってチャンバー121内を落下した。チャンバー121内を落下する間に、粒状物201は空冷された。
更に、空冷された粒状物201は、先窄まり部123から排出され、スチールコンベア126上に落下された。この落下直後の粒状物201は、黒赤色状態であり、1000℃前後の温度であることが観察された。次いで、スチールコンベア126上では、水冷手段124から放出した冷却水を粒状物201に浴びせた。その後、水冷された粒状物201は、スチールコンベア126上から脱水手段130のウェッジワイヤスクリーン132上へと落下された。
粒状物201は、ウェッジワイヤスクリーン132で脱水された後、バケットコンベア140へ送られ、その後、バケットコンベア140によって搬送されて、回収容器141に回収された。回収容器に収容された直後の粒状物201の温度は99.5℃であった。
(2)実施例7(珪砂による成分調整)
上記[1]のグリット用粒状物の製造装置100を用い、電気炉で得られた熔解されたままの製鋼スラグに、珪砂(全体100質量%に対してSiをSiO換算で93.1質量%、AlをAl換算で1.8質量%含有)を、製鋼スラグ10トンに対して0.845トンの割合となるように添加して、溶融スラグ200を得た(珪砂を用いて成分調整を行った)。
この珪砂を用いて成分調整を行った溶融スラグを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例7の粒状物を得た。
(3)実施例8−11(自動車用廃ガラスによる成分調整)
上記[1]のグリット用粒状物の製造装置100を用い、電気炉で得られた熔解されたままの製鋼スラグに、自動車のスクラップ時に排出された廃ガラスを製鋼スラグ10トンに対して1トンの割合となるように添加して、溶融スラグ200を得た(自動車用廃ガラスを用いて成分調整を行った)。尚、添加した自動車用廃ガラスのうち、ガラス部分のみの部分は成分分析の結果、自動車用廃ガラス全体100質量%に対して、SiをSiO換算で67.7質量%、NaをNaO換算で12.6質量%、AlをAl換算で2.0質量%、CaをCaO換算で9.5質量%含有していた。
この自動車用廃ガラスを用いて成分調整を行った溶融スラグを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例8−11の粒状物を得た。
〈2〉実施例1−11及び比較例1−6のブラスト用グリット
上記〈1〉で得られた実施例1−4及び実施例8−10の粒状物から、目開き5.00mmの篩下且つ目開き1.75mmの篩上(粒度1.75mm以上5.00mm以下)の粒状物を回収した。この各粒状物を、アイリッヒミキサー(登録商標)に投入し、2分間、アジテーター回転数800rpm、パンの回転数85rpmの条件で磨砕した。摩砕した粒状物を更に分級し、篩い目1.0mmを通過し、篩い目0.5mmに残留した粒状物を回収してブラスト用グリットを得た。
上記〈1〉で得られた実施例5−7、実施例11、実施例12及び比較例4の粒状物から、目開き5.00mmの篩上(粒度5.00mm以上)の粒状物を回収した。この各粒状物を、アイリッヒミキサー(登録商標)に投入し、2分間、アジテーター回転数800rpm、パンの回転数85rpmの条件で磨砕した。摩砕した粒状物を更に分級し、篩い目1.0mmを通過し、篩い目0.5mmに残留した粒状物を回収してブラスト用グリットを得た。
表1の「Fe+Si+Ca」は、FeO換算含有率とSiO換算含有率とCaO換算含有率との合計を表す。
〈3〉ブラスト用グリットの成分分析
実施例1−11及び比較例1−6の各ブラスト用グリットを、振動ミルにより粉砕し、得られた粉末を圧粉成形した試料を、多元素同時蛍光X線分析装置(株式会社リガク製、「サイマルティックス10型」)を用いて成分分析し、その結果を表1に示した。
〈4〉ブラスト用グリットの圧壊強度
実施例1−11及び比較例1−6の各々のブラスト用グリットから、無作為に選択した10個のグリット粒子(粒度1.0mm以上5.0mm以下)の圧壊強度(各1粒のグリット粒子に荷重を負荷して圧壊したときの荷重値)を、圧壊強度測定計(東京衡機製造所製、形式「アムスラー型万能材料試験機 AU−30」)を用いて測定した後、得られた各10点のデータの平均値を算出し、表1に示した。
〈5〉ブラスト用グリットのビッカース硬さ
実施例1−11及び比較例1−6の各々のブラスト用グリットから、無作為に選択した10個のグリット粒子(粒度1.0mm以上5.0mm以下)のビッカース硬さを、ビッカース硬度計(株式会社明石製作所製、形式「MVK」)を用いて測定(JIS Z2244に準拠)した後、得られた各10点のデータの平均値を算出し、表1に示した。
〈6〉非晶相の面積率の測定
実施例1−11及び比較例4の各々のブラスト用グリットから、無作為に選択した3個のグリット粒子(粒度1.0mm以上5.0mm以下)を切断し、その表面を研磨した。得られた研磨面を、光学顕微鏡により200倍に拡大した画像上で、画像寸法計測・粒子計測ソフト(株式会社イノテック製、品名「Quick Grain Standard」)を用いて、非晶相と結晶相とを分類し、分類した非晶相と結晶相の面積率を算出した。各グリット粒子の非晶相の面積率及び結晶相の面積率を表1及び表2(実施例7及び10、比較例4)に示した。
〈7〉表面反射率の測定
上記〈3〉で得られた実施例7、実施例10及び比較例4のブラスト用グリット(試料)と、下記比較例7(アルミナ研削材の分級品である試料)と、の各々の表面反射率を以下のように測定した。
別々のシャーレに入れた各グリットに1方向から光を照射した状態で、その状態を拡大撮影(8mm×11mmの領域を10倍に拡大して撮影)し、各試料表面の拡大画像(図3−図6)を得た。
画像寸法計測・粒子計測ソフト(株式会社イノテック製、品名「Quick Grain Standard」)を用いて、上述で得られた各拡大画像において、その全面積に対する反射面積(光を反射している面積)の割合を計測し、その結果を表2に「表面反射率」として示した。
尚、上記比較例7として、アルミナ研削材(株式会社不二製作所製、「フジランダムA」)から、目開き1.00mmの篩下且つ目開き0.5mmの篩上(粒度0.5mm以上1.0mm以下)として分級した粒子を用いた。
〈8〉研削力及び粉塵量の測定
上記〈3〉で得られた実施例7、実施例10及び比較例4のブラスト用グリットと、上記〈7〉の比較例7と、を用いて研削力及び粉塵量の測定を行った。即ち、ブラスト装置(株式会社不二製作所製、品名「ニューマブラスター FDQ−2」)を用いて、SS400鉄板を被削材としてブラスト用グリットを投射した。この際、噴射圧は0.55MPaのエアーブラスト、2.5kg/分とし、6250gのブラスト用グリットを2.5分間かけて投射した。そして、被削材の投射前後での質量変化(投射前の質量−投射後の質量)を研削力として算出し、表2に示した。更に、ブラスト用グリットの投射前後での質量変化(6250−投射後の質量)を粉塵量として算出し、表2に示した。
尚、表2には、上記〈6〉の非晶相の面積率の測定で得られた非晶相と結晶相との面積割合の素データ(測定した3粒の各々のデータ)も併記した。
〈9〉面粗度の測定
上記〈3〉で得られた研削後の被削材の表面の十点平均粗さ(Rz)を、JIS B0601:1994(JIS B0601:2013の付属書JA/JA.2)に準拠して測定した。その結果を、表2に示した。
〈10〉実施例の効果
比較例1−6の試料の圧壊強度が49〜98N/個であるのに対して、実施例1−11のブラスト用グリットの圧壊強度は205〜362N/個である。即ち、比較例に対して約2−3倍大きな圧壊強度を有することがわかる。また、ビッカース硬さは、比較例1−6が775〜889Hvであるのに対して、実施例1−11が789〜830Hvである。即ち、実施例は比較例と同等のビッカース硬さを有することがわかる。そして、実施例1−11のブラスト用グリットは、いずれも、稜部が丸められた多面体の形状をなしている{図3(実施例7)、図4(実施例10)、図5(比較例4)、図6(比較例7)参照}。これは、比較例4、7の試料が、より球形に近い形状をなしている点で異なっている。
実施例7は、上述のように、稜部が丸められた多面体の形状をなしている(図3参照)。また、比較例の試料(図5及び図6参照)に比べて、平面をより多く有する形状を成していることがわかる。具体的には、実施例7の試料の表面反射率は23%である(表2参照)。更に、実施例7のグリットは非晶相の割合は約19%(平均値)と低い(表1参照)。
この実施例7の試料による研削力は2.8gであり、研削力が2.0gである比較例4(実施例7と同様にFe、Si、Ca、Al、Mg、Cr及びMn等を含むが、Fe含有量が35.0質量%を超える)に比べて高い研削力を発揮している。更に、市販のアルミナ研削材(比較例7)の研削力2.2gをも超える優れた研削力を発揮できることがわかる。その一方で、実施例7による粉塵量は386gと少なく、比較例4に対して約60%の粉塵量の低減となっている。更に、実施例7による面粗度は27.4(Rz)であり、比較例に比べて面粗度が小さいことがわかる。特に比較例7に対しては、面粗度が36%も低減されている。
実施例10は、上述のように、稜部が丸められた多面体の形状をなしている(図4参照)。また、比較例の試料(図5及び図6参照)に比べて、平面をより多く有する形状を成していることがわかる。具体的には、実施例10の試料の表面反射率は47%である(表2参照)。更に、実施例10のグリットは非晶相の割合は約92%(平均値)と高い(表1参照)。
この実施例10の試料による研削力は3.6gであり、研削力が2.0gである比較例4(実施例10と同様にFe、Si、Ca、Al、Mg、Cr及びMn等を含むが、Fe含有量が35.0質量%を超える)に比べて高い研削力を発揮している。更に、市販のアルミナ研削材(比較例7)の研削力2.2gをも超える優れた研削力を発揮できることがわかる。その一方で、実施例10による粉塵量は472gと少なく、比較例4に対して約51%の粉塵量の低減となっている。更に、実施例10による面粗度は22.3(Rz)であり、比較例に比べて面粗度が小さいことがわかる。特に比較例7に対しては、面粗度が48%も低減されている。
このように、実施例のブラスト用グリットは、いずれも、稜部が丸められた多面体の形状をなしている。また、表面反射率は、23〜47%であり、比較例の試料(2−5%)に比べて高い値を示している。更に、実施例のブラスト用グリットは、比較例に比べて非晶相の割合が多い。その結果、実施例のブラスト用グリットは、比較例の試料に比べて高い研削力と低い面粗度とを両立させることができる。更に、実施例のブラスト用グリットの粉塵量は、比較品に比べて小さく抑制されている。
このように、研削力がより高いということは、より短時間で研削できることを意味している。また、面粗度がより小さいということは、表面をより滑らかに研削できることを意味している。更に、面粗度がより小さい研削面を塗装する場合には、面粗度がそれより大きな面を塗装する場合に比べて、使用する塗料量を少なく抑えることができることを意味する。また、粉塵量がより少ないということは、研削材の割れがより少ないことを意味しており、研削時の使用環境をより良好にすることができる。更に、研削材の消耗量が少ないことから、再利用性にも優れた研削材であることを意味している。
100;グリット用粒状物の製造装置、
110;風砕手段(リングノズル)、111;ノズル、
120;冷却手段、121;チャンバー、122;円筒部分、123;先窄まり部、124;水冷手段、125;放水ノズル、126;スチールコンベア、
130;脱水手段、131;ウェッジワイヤ、132;ウェッジワイヤスクリーン、133;振動発生手段(振動発生装置)、
140;バケットコンベア、141;回収容器、
150;溶融スラグ貯留手段(タンディッシュ)、151;溶融スラグ貯留手段の開口部、152;加熱手段(バーナー)、
200;溶融スラグ、201;粒状物(グリット用の粒状物)。

Claims (5)

  1. Fe、Si、Ca、Al、Mg、Cr及びMnを含有し、
    本ブラスト用グリットの全体を100質量%とした場合に、FeをFeO換算し、SiをSiO換算し、CaをCaO換算した場合のFe、Si及びCaの合計含有率が、50.0質量%以上であるとともに、
    FeのFeO換算含有率が6.0質量%以上35.0質量%以下、
    SiのSiO換算含有率が15.0質量%以上35.0質量%以下、
    CaのCaO換算含有率が10.0質量%以上35.0質量%以下、
    AlのAl換算含有率が3.0質量%以上25.0質量%以下、
    MgのMgO換算含有率が1.0質量%以上20.0質量%以下、
    CrのCr換算含有率が0.5質量%以上5.0質量%以下、
    MnのMnO換算含有率が2.0質量%以上20.0質量%以下、であり、
    本ブラスト用グリットの切断面に認められる非晶相の面積率が10%以上であり、
    本ブラスト用グリットの粒形が、稜部が丸められた多面体であることを特徴とするブラスト用グリット。
  2. 更に、Tiを含み、
    TiのTiO換算含有率が0.01質量%以上10.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のブラスト用グリット。
  3. 請求項1又は2に記載のブラスト用グリットの製造方法であって、
    上方で溶融スラグを風砕して粒状物にするとともに、前記粒状物を下方へ落下させながら冷却する風砕冷却工程と、
    冷却された前記粒状物を、稜部が丸められた多面体に加工する加工工程と、を備えることを特徴とするブラスト用グリットの製造方法。
  4. 前記加工工程は、粒度が1.0mm以上50.0mm以下の粒状物を加工することを特徴とする請求項3に記載のブラスト用グリットの製造方法。
  5. 前記風砕冷却工程の前に、前記溶融スラグの成分調整を行う成分調整工程を備え、
    前記成分調製工程では、成分調整前の溶融スラグにガラス及び/又は珪砂を添加することを特徴とする請求項3又は4に記載のブラスト用グリットの製造方法。
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