JP2005219958A - 高炉スラグ細骨材とその製造方法、および、セメントコンクリート用またはモルタル用細骨材 - Google Patents

高炉スラグ細骨材とその製造方法、および、セメントコンクリート用またはモルタル用細骨材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、急速冷却した高炉スラグ原料とする高炉スラグ細骨材のブリージングと固結を防止することを課題とする。また、高炉スラグ細骨材を含む良質のセメントコンクリートやモルタル用の混合細骨材を得ることも課題である。
【構成】 高炉から発生した溶融スラグを水で急冷して得た、水砕スラグ粒を破砕加工して、形状を改善して、これを分級することにより、微粉比率が少なく、比表面積が小さい高炉スラグ細骨材を得る。この細骨材を含む混合細骨材が本発明セメントコンクリート・モルタル用の細骨材である。この細骨材は、ブリージングと固結の問題が小さい特徴がある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、製鉄用高炉で発生するスラグを原料として製造された粒子からなる骨材であって、セメントコンクリートまたはモルタル用の細骨材と、その製造方法に関する技術である。
セメントコンクリート用やモルタル用の細骨材は、従来は、海砂、川砂、陸砂、石灰石等を砕いた砕砂、その他の天然素材が多く使われてきた。しかし、近年、これらの天然資源枯渇の問題や砂採取に伴う環境破壊の問題が発生している。この問題を解決するために、スラグ等の素材産業で発生する副産物を細骨材として利用する方法が研究開発されており、幾つかの物質が細骨材として使用されている。
また、細骨材用砂の天然資源枯渇に伴い、砂の品質低下の問題が生じている。例えば、陸砂では、良質な部分の採取が終わり、小粒径の砂の比率が多くなってきている。現在採取されている低品質の細骨材用砂は粗粒率が1.8〜2.2と小さいものもある。このような低品質の砂はそのままでは、モルタルやコンクリートの細骨材として使用することが困難である。そこで、粗粒率の大きい細骨材を混合して、細骨材としての品質を向上している。なお、適正な細骨材の粗粒率は2.5〜2.7程度である。
一方、高炉から排出されるスラグの処理方法は、溶融状態でヤードに流して徐冷する方法と溶融状態で水樋の中で水冷し、急速冷却する方法がある。この内、水冷却する方法で製造された高炉スラグは水砕スラグと呼ばれる粒径が約7ミリメートル以下のガラス質の固形スラグである。この水砕スラグは水和反応により固化する性質を有することから、これを微粉砕して、高炉セメント原料とする用途がある。また、水砕スラグを無加工もしくは、軽破砕して、砂代替の土木建築用の原料としても利用されており、この用途の中には、コンクリートやモルタル用細骨材がある。この細骨材は、天然砂の代替としての用途として用いられている。以降、これを高炉スラグ細骨材と称する。
高炉スラグ細骨材は、高炉セメント原料用の微粉末に用いられる水砕スラグとは異なる物性が要求されている。例えば、JIS A5011−1:2003にも規定されているように、比較的密度が大きく、吸水率の少ない水砕スラグである。特開昭55−136151号公報に記載されている方法のように、その冷却方法も高炉セメント原料のものとは異なっており、比較的冷却の強い条件で製造されている。冷却されて製造された無加工の水砕スラグには、粒状のものに混じって、針状のものが混合している。この針状スラグが混合しているために、水砕スラグ粒が密に詰まった状態になりづらい。また、形状も角張っていることから、この理由でも、水砕スラグ粒が密に詰まった状態になりづらい。この結果、粒子の空間占有率、以下、実積率と称する、が低く、細骨材としては、良い性能が発揮できていなかった。したがって、この問題点の解決のため、破砕機を用いて、水砕スラグ粒を軽粉砕することにより、粒径を小さくして角張った形状を是正するとともに、針状スラグを破壊して、絶対乾燥密度、単位容積質量を向上させ、細骨材としての性能を向上させることが行われている。
しかし、この破砕処理により、水砕スラグ粒の粒径が小さくなり、細めの低品質細骨材の品質向上には不向きになる。そこで、以前に、本発明者らは、軽破砕加工の前後いずれかに水砕スラグを篩にかけて、粒径の小さい部分を排除することにより、高炉スラグ細骨材の粒径を大きくすることが有効であることを見出し、特開2000-319708公報に記載される発明を行った。この発明により、高炉スラグ細骨材の品質が向上して、この高炉スラグ細骨材と細めの低品質細骨材を混合することにより、細骨材の品質が向上して、生コンクリートの流動性が改善されて、コンクリート施工が容易となる効果が得られている。
また、高炉スラグ細骨材は他の細骨材にない利点がある。例えば、微粒分(シルト分)を含まないこと、アルカリ骨材反応を起こさないことや、酸化カルシウムを含むことの優位点(水和イオンを放出することから水和反応が促進されてコンクリートの長期強度が向上する点など)などがある。上記の方法で物性的な欠点を補うことができ、高炉スラグ細骨材のこれらの利点を生かすことができるようになり、近年、高炉スラグ細骨材の使用量が増加する傾向にある。
特開昭55−136151号公報 特開2000-319708公報 特願2002-237264公報
細かい砂と高炉スラグ細骨材との混合物で、粒度分布が良好な細骨材を製造するには、比較的粗い水砕スラグ粒を混合するニーズが生じている。例えば、細かい砂に混合して、細骨材の粒度分布を適正化する目的で使用する高炉スラグ細骨材には、細かい粒子比率が低いものが要求されるようになってきている。低品質の細骨材用砂は、0.6ミリメートル以下の粒子が50〜65%、または、0.3ミリメートル以下の粒子が30〜40%存在している。このような粒度構成であるため、粗粒率は1.8〜2.2と極めて細かい砂では、特に0.3ミリメートル以下の細かい粒子が多い構成となっている。ちなみに、JISに規定されている細骨材の最適な条件では、0.6ミリメートル以下の粒子が35〜50%、また、0.3ミリメートル以下の粒子が15〜25%である。
一方、細骨材に適正な粒度構成の場合は、粗粒率は2.5〜2.7であり、平均粒径が0.7〜0.9ミリメートルである。0.6ミリメートル以下の粒子が40〜50%、また、0.3ミリメートル以下の粒子が15〜25%存在している。このいわゆる中目砂を用いる場合は、流動性のよい生コンクリートが製造できる。また、最終的なコンクリート強度も高い利点がある。
低品質の細骨材用砂中の過多な細かい粒子の比率を下げるためには、混合する高炉スラグ細骨材には、0.6ミリメートル以下の粒子の少ないものが要求されている。低品質の細骨材用砂を、細骨材に適正な粒度構成にするために、粗粒率は、2.7以上の高炉スラグ細骨材を混合する。しかし、このような粗粒率の高い高炉スラグ細骨材でも、0.6ミリメートル以下の粒子が25〜40%、また、0.3ミリメートル以下の粒子が10〜20%存在している。したがって、通常の高炉スラグ細骨材は、粗粒率が2.1〜2.3のやや細かい程度の細骨材用砂では粒度改善効果が得られる。しかし、粗粒率が2.1以下の非常に細かい細骨材用砂の高炉スラグ細骨材を混合する場合には、その混合率が50質量%以上となって、高価な高炉スラグ細骨材を使うことによるコストアップの問題が生じていた。
また、高炉スラグ細骨材は水をはじく性質あることに起因する問題もあった。水砕スラグ粒は、急速冷却されたことにより、ガラス質(ガラス化率90%以上)であり、表面が水をはじく性質がある。このため、高炉スラグ細骨材の混合比率の多い細骨材をセメントコンクリートに用いる場合は、生コンクリートが型枠で静置された後に、時間をかけて高炉水砕スラグ粒が水と分離することが起きる。この結果、この細骨材を使用した生コンクリートでは、施工後にコンクリート表面に水が浮く現象、いわゆるブリージング、が大きいことにより、コンクリート表面の肌荒れする問題があった。この結果、従来技術で製造した高炉スラグ細骨材を一般な施工に用いる場合においては、細骨材中の高炉スラグ細骨材の混合比率を40質量%以上とすることはできなかった。また、特に表面の肌荒れが問題となる建築の外装などの施工条件の場合は、高炉スラグ細骨材の混合比率を30質量%以上とはできない問題もあった。そのため、先に述べた特に細かい砂の粒度改善をするために必要な40質量%以上の混合率を達成することが難しかった。つまり、特に細かい砂と混合した場合は、粗粒率が適正であり、かつ、ブリージングが起きない条件を達成することは困難であった。このように、従来技術では、高炉スラグ細骨材を用いたセメントコンクリートでのブリージング問題の解決すべき問題であった。
さらに、高炉スラグ細骨材は固結する問題があった。高炉水砕スラグは、カルシウムシリケートをベースとするガラス質であり、水分が存在する状態では、数日から数ヶ月かけて、この中のカルシウムが溶出してきて、これが水和反応を起こし粒子間で析出することにより、多数の粒子が結合して、塊となる現象が固結である。固結のため、高炉スラグ細骨材を保管する際に、固まってしまい、ハンドリングが困難な状態となる。カルボン酸金属塩などの有機系固結遅延剤の使用により固結遅延が可能である。しかし、この方法は、固結遅延剤が高価であることと、これを使用しても、気温の高い時期は水和反応が速く、固結遅延効果が3週間程度しかもたない問題があった。高炉スラグ細骨材を経済的に使用するためには、固結を防止することが重要である。特願2002−237264公報に記載される本発明者らの以前に行った発明では、0.6ミリメートル以下、または0.3ミリメートル以下の粒子の比率を低下させることにより、固結を防止できることを解明したが、更に、固結はほとんど起きない高炉スラグ細骨材の要望が大きかったため、この技術を高める必要があった。
高炉スラグ細骨材には、天然資源の保全に役立つ性質を持っている。このため、その使用比率を増加させるニーズが強いものの、以上に記載したように、高炉スラグ細骨材の欠点があるため、混合比率に制約があった。従って、この欠点を克服して、高炉スラグ細骨材の混合比率を増加させるための新しい技術が求められていた。
本発明は、以上に記載されたような従来技術が有する問題点を解決するためになされた発明であり、その要旨とするところは以下の(1)から(6)に示す通りである。
(1)溶融している高炉スラグを水中で急速冷却して、ガラス化したスラグ粒を製造し、当該スラグ粒を破砕加工して製造した細骨材であって、単位容積質量が1.48キログラム/リットル以上であり、かつ、比表面積を簡易的に表わすための指標である、JIS篩の所定篩目を通過して、かつ、当該所定の篩目よりも1段細かい篩目を通過しない粒子の存在比率を当該所定篩目のサイズ(単位:ミリメートル)で割った値である指標Aが1.2以下であることを特徴とする高炉スラグ細骨材。
(2)0.3ミリメートル以下の粒子の比率が8質量%以下であり、かつ、2.5ミリメートル以上の粒子の比率が30質量%以下であることを特徴とする前記(1)に記載の高炉スラグ細骨材。
(3)単位容積質量が1.48キログラム/リットル以上、かつ、指標Aが1.2以下である、溶融している高炉スラグを水中で急速冷却したスラグ粒を破砕加工して得た高炉スラグ細骨材を他の細骨材と混合して製造した細骨材であり、かつ、当該高炉スラグ細骨材の全体質量に対する質量比と指標Aの積が0.45以下であることを特徴とするセメントコンクリートまたはモルタル用細骨材。
(4)単位容積質量が1.48キログラム/リットル以上、かつ、指標Aが0.9以下である、溶融している高炉スラグを水中で急速冷却したスラグ粒を破砕加工して得た高炉スラグ細骨材を他の細骨材と混合して製造した細骨材であることを特徴とするセメントコンクリートまたはモルタル用細骨材。
(5)溶融高炉スラグを水中で急速冷却して高炉スラグ粒を得て、当該高炉スラグ粒を破砕機で加工処理して、単位容積質量を1.5キログラム/リットル以上とした後に、当該高炉スラグ粒と水の比率が1対2〜1対5の懸濁スラリーを製造して、当該懸濁スラリーを間隔が0.6〜1.3ミリメートルの格子または平行隙間の振動スクリーンにかけて、より細かい粒子と水の混合物を当該スクリーンから通過させる処理によって細かい粒子を分離することにより、単位容積質量が1.48キログラム/リットル以上であり、かつ、指標Aが1.2の粒子を得ることを特徴とする高炉スラグ細骨材の製造方法。
(6)(5)に記載の高炉スラグ細骨材の製造方法であって、1370℃以下の溶融した高炉スラグを水冷して得た高炉水砕スラグが一部または全部含まれている高炉水砕スラグを破砕前の原料として用いることを特徴とする高炉スラグ細骨材の製造方法。
本発明によれば、急速冷却した高炉スラグを効率的に分級し、しかも分級処理で良質なセメントコンクリートやモルタル用の細骨材を得ることができる優れた効果を奏するものである。
まず、本発明者らは、モルタルやセメントコンクリート用の高炉スラグ細骨材の物性を調査して、高炉スラグ細骨材の粒子形状が角張っていると、これを用いた生コンクリートの流動性が悪いことから、本発明の高炉スラグ細骨材の単位容積質量は1.48キログラム/リットル以上であることが重要であることを見出した。これは、粒子の形状が球に近づくことにより、集合体としての流動性が向上することが理由である。また、球に近い形状である場合は、実積率が高く、この結果、単位容積質量も高くなる。本発明の高炉スラグ細骨材は、混合細骨材中に大量に混合することから、高炉スラグ細骨材に中でも、JISに記載されている単位容積質量の下限近くの1.45〜1.48キログラム/リットルでは、効果が十分とはいえず、このような高炉スラグ細骨材を30質量%以上に比率で混合した混合細骨材では、生コンクリートの流動性が低くなる問題が発生する。この問題を解決するには、JISの定める下限近くの値よりも更に高い単位容積質量である1.48キログラム/リットル以上確保することが重要であることを見出した。
本発明者らは、30質量%と45質量%の高炉スラグ細骨材を混合した混合細骨材を用いた生コンクリートの流動性試験(スランプ試験)を行った。この実験に用いた高炉スラグ細骨材は、単位容積質量は1.46キログラム/リットル(試料1)、1.48キログラム/リットル(試料2)および1.50キログラム/リットル(試料3)のものであった。この実験の結果、試料1では、標準品よりも30質量%で1.0cm、45質量%で2.0cmのスランプ低下が起きた。一方、試料2では、30質量%で0.5cm、45質量%で1.0cmのスランプ低下で済んでいた。さらに、試料3では、30質量%で0.5cm、45質量%でも0.5cmのスランプ低下とほとんど影響がなかった。このように、30質量%以上の混合率で、高炉スラグ細骨材を使用する際には、単位容積質量である1.48キログラム/リットル以上が良い。
この条件の高炉スラグ細骨材の性能を調査した。前述したように、高炉スラグ細骨材の実用上の問題点は、固結とブリージングがある。そこで、本発明者らが高炉スラグ細骨材の物性と固結とブリージングの関係を調査した。その結果、粒子の粒度分布が固結やブリージングに影響していることを解明した。高炉スラグ細骨材中に細かい粒子が多い場合は、固結やブリージングが起きやすく、その程度も大きい。
そこで、本発明者らは、種々の粒度構成の高炉スラグ細骨材を実験的に製造して、その粒度分布とブリージング特性との関係を調査した。比表面積を変化させた4種類の高炉スラグ細骨材で固結とブリージングの実験を行った。なお、この4種類の高炉スラグ細骨材の粒度分布を表1に示す。
比表面積のブリージングに対する影響を調査するために、本発明者らは比表面積を簡易に表現できる指標を作った。比表面積を簡易的に表わす指標を用いた理由は以下のとおりである。一般に、BET法等のガス吸着を利用した方法を用いれば、粒子の比表面積は比較的正確に求めることができる。しかし、この方法は100〜10000平方メートル/グラム程度の比較的比表面積の大きい粒子を測定することを目的にしている。一方、細骨材などの平均粒子径が0.5〜1ミリメートルの粒子の比表面積は1〜10平方メートル/グラム程度であることから、BET法等の測定では適切な精度が期待できない。そこで、粒子径をもとした計算値での表面積を用いることが望ましいと、本発明者らは結論した。粒子径の連続的な分布を測定して、これをベースとして、比表面積を計算することは、実験室的には可能である。計算方法として、球状粒子を例として粒子の比表面積の例を示す。表面積はS=4πR2で表わされ、また、質量はW=4/3πR3*ρで表わされる。従って、比表面積はS/W=3/(Rρ)で示される。このように、一般的には、粒子の形状が一定であれば、比表面積は粒子径にほぼ逆比例する。形状が球でない粒子の場合は、予め形状を調査して球からの表面積の偏差を求めることで比較的正確な比表面積を求めることができる。なお。ここで、Rは粒子の半径、ρは粒子の密度、Sは表面積、また、Wは質量である。
しかし、粒子径の連続的な分布を測定することは、大量生産において工業的には困難である。そこで、本発明者らは、JIS篩の網目に従った粒度分布が工業的に最も入手しやすい粒度分布データであることに着目して、これを用いて簡易的な比表面積の指標を考案した。これが指標Aであり、この指標では、JIS粒子の存在比率を代表長で割った値を比表面積の簡易的な指標として計算する。なお、ここで代表長とは、粒子が通過したJIS篩目の長さとした。指標Aは下式で表わされる。
A=Σ(Fi/SGi)
Fi:所定篩を通過し、かつ、この篩よりも1段細かい篩を通過しない粒子比率
SGi:粒子が通過した所定篩のギャップ(ミリメートル)
ここで、所定の篩とは、JISに規定されるものであり、概略の篩間隔が、10ミリメートル、5ミリメートル、2.5ミリメートル、1.2ミリメートル、0.6ミリメートル、0.3ミリメートル、0.15ミリメートルのものである。ただし、0.15ミリメートルの篩を通過した粒子の計算では、この篩目を通過した粒子全量の比率を0.15で割った値で計算する。なお、ここで、粒子の存在比率は全量を1とする値である。対象とする粒子の形状がほぼ変わらないとすれば、指標Aは比表面積にほぼ比例する。従って、高炉スラグ細骨材の比表面積を工業的に実施可能な手段として、簡易的に評価するために、指標Aを用いることができる。
Figure 2005219958
高炉スラグ1は比較的細かいものであり、粗粒率が2.27であり、0.3ミリメートル以下の粒子比率が21%ある。高炉スラグ1の指標Aは1.93であった。高炉スラグ2は中程度の粒径ものであり、粗粒率が2.62であり、0.3ミリメートル以下の粒子比率が18%である。高炉スラグ2の指標Aは1.54であった。高炉スラグ3は比較的粗いものであり、粗粒率が3.05であり、0.3ミリメートル以下の粒子比率が7%である。高炉スラグ3の指標Aは1.09であった。高炉スラグ4はで非常に粗いものであり、粗粒率が3.48であり、0.3ミリメートル以下の粒子比率が5%である。高炉スラグ4の指標Aは0.83であった。また、高炉スラグ1〜4はいずれも、単位容積質量が1.48キログラム/リットル以上である。
本発明者らが行ったブリージングの評価実験では、ポルトランドセメント、粗骨材として石灰砕石、また、細骨材として、高炉スラグ1〜4を天然砂(細めと粗めの砂を適宜混合したもの)に混合したものを用いて、標準スランプが18センチメートルの条件で型に入れた。この条件で、細骨材中の高炉スラグ細骨材の比率を変化させて、ブリージング量を測定した。この結果を図1に示す。
高炉スラグ1の場合では、10質量%の混合でもブリージングが増加しており、30質量%ではブリージングが顕著となっており、この程度のブリージングの場合は、良質なコンクリート表面はできない。次に、高炉スラグ2の場合では、20質量%の混合でもブリージングが増加しており、30質量%では顕著となっている。これらの高炉スラグ細骨材を各々30、40質量%以上混合することは困難であることが判明した。
一方、比表面積の小さい高炉スラグ3の場合では、40質量%までブリージング増加が少なく、また、50質量%の混合時は、ブリージングが増加しているが、その比率は小さく、実用上の問題が生じなかった。更に粗い高炉スラグ4の場合では、やはり40質量%までブリージング増加がほとんど見られず、また、50質量%以上の混合でも実用上の問題が生じなかった。
以上の実験結果をまとめると、指標Aが1.09の高炉スラグ細骨材では、ブリージングを極めて良く抑制でき、また、指標Aが0.85のものの場合は、高炉スラグ細骨材の現実的な最大混合率である65質量%以下の条件であれば、ブリージング問題はないことが判明した。また、本発明者らが行った追加実験では、指標Aが1.2以下であれば、ブリージングを抑制可能であり、また、0.9以下であれば、現実的な配合比率の範囲ではブリージング問題が起きないことを確認した。0.3ミリメートル以下の粒子の比率が低いことも、ブリージングが抑制される要因である。
また、指標Aが大きい場合は、ブリージングが起きない最大配合率が低く、一方、指標Aが小さい場合は、これが高いことも解明した。そこで、本発明者等は、(指標A)×(高炉スラグ配合率)の値が高炉スラグの単位質量当りの総面積にほぼ比例することに着目して、ブリージングが起きない条件での(指標A)×(高炉スラグ配合率)を調査した。この結果、この値が0.45以下であれば、実質上、ブリージング問題は回避されることを見出した。例えば、高炉スラグ3では、混合比率が54質量%まではブリージングが問題とならない。
本発明者らは、ブリージング抑制ができる条件の高炉スラグ細骨材では、固結が起きないことも見出した。通常の高炉スラグ細骨材では2週間から1ヶ月で固結する条件での保管でも、本発明の高炉スラグ細骨材である指標Aが1.2以下のものでは約3ヶ月の保管でも固結しない。また、指標Aが0.9以下のものでは全く固結しない。この理由は、本発明の高炉スラグ細骨材が低比表面積であることから、固結の原因となるカルシウムイオン等の溶出量が少ないことに起因する。また、固結の結合核となる0.3ミリメートル以下の微粒分が少ないことも、固結が起きない理由である。
低品質の細かい陸砂の粒度分布の改善には、高炉スラグ細骨材の0.3ミリメートル以下の粒子が少ないことが良い。特に粗粒率が2.2以下の陸砂などと混合する場合は、1)平均的に粗い粒子であること(粗粒率3.0以上が望ましい)、2)混合率が40質量%以上、望ましくは50質量%以上でもブリージングの問題のないこと、3)2.5ミリメートル以上の極めて粗い粒子が多すぎないことの3条件が高炉スラグ細骨材に求められる条件である。1)と2)は上記に記載したような理由であり、かつ、3)の条件は、流動性の高い生コンクリートを製造するためには、粗骨材の近い2.5ミリメートル以上の粒子が多いと、粗骨材の潤滑機能を有する2.5ミリメートル以下の粒子の比率が低下する問題が生じるためである。従って、本発明の高炉スラグ細骨材であって、かつ、0.3ミリメートル以下の粒子の比率が8質量%以下であり、かつ、2.5ミリメートル以上の粒子の比率が30質量%以下であるものは、極めて細かい陸砂などと混合して、生コンクリート状態での流動性を確保できる混合細骨材を得る目的に最適である。
このように、本発明の高炉スラグ細骨材は優れた特長を持つものであるが、前述したように、従来技術では、工業的な生産規模で微細な粒子の比率を低下させることが困難であったことから、このような高炉スラグ細骨材の製品は存在していなかったし、本発明に記載されている効果が解明されていなかった。この効果を得るためには、比表面積の小さい高炉スラグ細骨材を安価に製造することの技術的困難さを克服することが必要であった。そこで、本発明者らは、高炉水砕スラグを効率的に分級する方法を採用することにより、工業的な規模で本発明の高炉スラグ細骨材を生産する研究を行った。
本発明の高炉スラグ細骨材を製造するためには、溶融した高炉スラグを水冷した粒子をそのまま細骨材とすることは問題があった。そこで、水砕スラグ粒の粒子形状を球に近づけることを目的として、破砕処理を行う。その後に、水砕スラグを分級する。本発明の高炉スラグ細骨材を製造する工程順は、溶融高炉スラグを水冷して水砕スラグ粒を得る工程、水砕スラグ粒を破砕加工する工程、加工後の水砕スラグ粒を分級する工程の順が良い。この理由は、水砕スラグ粒を分級したものを破砕する工程順では、たとえ破砕前に0.3ミリメートル以下の粒子がほとんどない状態としても、破砕により0.3ミリメートル以下の粒子比率が増加してしまう問題があることである。
第一工程は、溶融状態の高炉スラグを水冷する。この装置の例を図2に示す。1300〜1450℃程度の溶融状態の高炉スラグ流1がスラグ樋2を流れて、水樋3の中に流れる冷却水4の中に入る。冷却水4は水ノズル5から吐出される。30〜80℃の冷却水4の中で、溶融高炉スラグは冷却されて、粒状の水砕スラグ粒6となる。水砕スラグ粒は概略で7ミリメートル以下の粒子である。ここで3ミリメートル以上の粗大な水砕スラグ粒を多く製造する場合は、1370℃以下の溶融スラグを冷却水4の中に入れる。粒子が完全に凝固した後に、この水砕スラグ粒を水から分離する。
第二工程では、第一工程で製造された水砕スラグ粒を破砕する。水砕スラグ粒はガラスが割れたような形状であるとともに、針状のスラグも混在しているため、このままでは、細骨材としての性能が悪い。そこで、破砕操作することにより、粒子形状を改善する。この目的に使用する破砕装置の例を図3に示す。この装置は、インパクトクラッシャーと呼ばれるものであり、ハンマー状の接触部で水砕スラグ粒を叩いて破砕するタイプである。なお、破砕機は、これ以外に幾つかの形式のもので良く、例えば、粒子を投射して衝突させる型式のものや、コーン状のケーシング内で摩滅させる型式のものなどでも良い。供給コンベア7を用いて、ホッパー8から、破砕機内に水砕スラグ粒を供給する。破砕機のケーシング9の内部には、ローター10が回転しており、ローター10に設置されている破砕刃11が水砕スラグ粒を打ち、これを破砕する。破砕の度合いは、祖粒率が0.3以上低下させる条件で行うことがよい。例えば、粗粒率3.2の粒子を粗粒率2.9以下とする加工が良い。この処理の条件では、単位容積質量が1.5キログラム/リットル以上となる。最終製品での単位容積質量は1.48キログラム/リットル以上が条件であるが、分級処理により、細かい粒子が減少することから、分級後の製品の単位容積質量は低下する。このため、中間製品である破砕物の単位容積質量は1.5キログラム/リットル以上であることが重要である。
第三工程では、破砕加工された水砕スラグ粒を分級する。まず、水砕スラグの分級原理を説明する。通常の水分である5〜15質量%の付着水分の場合は、高炉水砕スラグ中の0.3ミリメートル以下の細かい粒子は、1ミリメートル以上の大きな粒子に付着しており、この付着力は強く、一般的な機械で起こせる振動などでは、容易に分離しない。細かい粒子を分離するためには、乾燥させて水分を低下させるか、高炉水砕スラグ粒子間に収まらないまで水を過剰に加えることのいずれかの方法で、分級しやすくなった高炉水砕スラグを篩うことにより、この問題が解決できる。本発明者らは、乾燥させた後に分級する方法でも、本発明の高炉スラグ細骨材の製造は可能であるが、水を過剰に加えることによる分級方法の方が、微粒分の分離効率やランニングコストが低いことから、後者による製造方法を確立した。以降、この方法を湿式分級と称す。
この方式では、粒子間に含むことができる以上の比率の水を水砕スラグ粒に加えて、細かい粒子が粗い粒子間の水の中に浮遊できるようにする。この状態で篩のスクリーンに通して、水と細かい粒子を篩下に流し落とし、大きな粒子と細かい粒子とを分離する。この方法では、水が篩目を流れていくことから、篩目の洗浄効果があり、篩目のつまりが起きづらい特長もある。
図4に記載されている装置は湿式分級する装置の例であり、ほぼ水平に設置された振動式篩の上に水を過剰に含んだ水砕スラグ粒を供給して分級する型式を示すものである。高炉水砕スラグを供給槽12から、スラリー槽13に供給する。スラリー槽13では、水砕スラグ粒と水が良く混合したスラリーを作る。この時の水砕スラグ粒と水の混合比は、質量比で1対2〜1対5の範囲が良い。この水砕スラグ粒を含むスラリーを振動式スクリーン14の上に供給する。振動式スクリーン14は、振動しながら、粒子を前方に送る。振動式スクリーン14から、搬送コンベア15に大きい粒子の水砕スラグ粒を移し、これをヤードに送る。水と細かい粒子は、振動式スクリーン14からしたに落ちて、沈殿槽16で、固液分離する。この水を循環水槽17に戻す。ポンプ18で、循環水槽17からスラリー槽13に循環水を送る。場合によっては、振動式スクリーン14の上のスプレーノズル19から散水して、細かい粒子が振動式スクリーン13の下に落ちることを助けることもある。この方法では、分級効率が向上する。
この方式の分級方法で、水比率を1対2〜5とすることは以下の理由がある。1対2以下の水比率では、スラリーの流動性が乏しく、スラリー槽12から振動式スクリーン13に供給することが困難となる。水比率が1対2〜1対5の範囲では、スラリーに流動性があり、かつ、水中に細かい粒子が良好に分散される状態が実現できる。この範囲内でも、水比率が1対4〜1対5では、この効果がほぼ一定となることから、経済的には1対2〜1対4の範囲が望ましい。一方、水比率が1対5以上では、水の比率が高すぎて、水供給のためのポンプ17や循環水槽16が大きな装置となり、経済性が悪い。このことが、水砕スラグ粒と水の比率を1対2〜1対5、好ましくは1対2〜1対4、であると篩操作が容易であることの理由である。なお、この水の比率には、スプレー水の比率も含むものである。
湿式分級処理では、篩目(篩のスクリーン隙間)の幅よりも0.3ミリメートル小さい粒子の60〜90%程度が篩下に落ちる。なお、振動スクリーン14の篩目は、升目状または平行隙間である。また、篩目の幅は、0.6ミリメートル以上であることが良い。なぜならば、ブリージングや固結に影響の大きい0.3ミリメートル以下の粒子を分離するためには、分離したい粒子径よりも0.3ミリメートル以上大きい幅の篩目が良いことが理由である。また、0.6ミリメートル以下の篩目の幅である場合は、高炉水砕スラグ粒が篩目に詰まることが多いためである。
原料である高炉水砕スラグ粒の粒度分布によって異なるが、湿式分級方法では、1.3ミリメートル以上の篩目の幅で処理した場合は、0.6〜1ミリメートルの細骨材として重要度の高い粒子が分離されてしまうことから、1.3ミリメートル以下の篩目が良い。従って、振動式スクリーン13の篩目は0.6〜1.3ミリメートルの範囲が良い。
以上の3工程からなる製造方法で、本発明の高炉スラグ細骨材である、単位容積質量が1.48キログラム/リットル以上、かつ、指標Aが1.2以下、または、0.9以下の水砕スラグ粒を製造できる。指標Aを小さくするためには、低温の溶融高炉スラグを水中で冷却して、粗大な水砕スラグ粒を製造することや、比較的大きな篩目(0.9ミリメートル以上)のスクリーンを使用することが良い。特に、1370℃以下の溶融高炉スラグを水冷することを行えば、2ミリメートル以上の破砕前水砕スラグ粒を多く得ることが可能となり、指標Aを小さくできる。特に、指標Aを0.9以下とする場合は、少なくとも一部の水砕スラグ粒は1370℃の溶融高炉スラグを水冷して得たものを用いることが良い。この高炉スラグ細骨材を細かい他の細骨材と混合することにより、混合細骨材を製造する。この場合は、高炉スラグ細骨材を実用上限まで混合してもブリージング問題は起きない。
以上の方法で製造した高炉スラグ細骨材をヤードに保管して、レディーミックスコンクリート工場等に出荷する。ここで、他の細骨材と混合して、混合細骨材を製造する。混合の際には、混合後の粗粒率が2.5〜2.7程度であり、かつ、(指標A)×(高炉スラグ配合率)の値を0.45以下となるように配合する。なお、混合場所は、本発明の高炉スラグ細骨材を製造した直後にヤードで他の細骨材と混合することでも良い。
特に細かい細骨材との混合においては、本発明の高炉スラグ細骨材であっても粗いものが求められる。粗粒率が2.2以下の陸砂などと混合する場合は、1370℃以下の溶融高炉スラグを水中で急速冷却した粗い粒子の混合してある水砕スラグを原料として、0.9ミリメートル以上の篩目で分級するなどの方法で得た高炉スラグ細骨材であって、0.6ミリメートル以下の粒子の比率が7質量%以下であり、かつ、2.5ミリメートル以上の粒子の比率が10質量%以下であるものが有効である。
表1に記載されている高炉スラグ3を製造して、これを陸砂に混合した細骨材を製造した。高炉スラグ3の製造には、図2、図3、および図4の装置を使用した。製造条件は、表2に示されたものである。
まず、溶融スラグは、石灰42〜43質量%、酸化珪素34〜36質量%、酸化アルミ13〜15質量%、酸化マグネシウム6〜8質量%のものであり、水冷前の温度が1410℃であった。冷却後の水砕スラグの粗粒率は3.02であった。この水砕スラグを図3の破砕機で破砕した。この処理の結果、破砕後の水砕スラグの粗粒率は2.71であった。破砕の度合いが十分であったため、破砕後の単位容積質量は1.55キログラム/リットルと十分であった。
この水砕スラグを図4の湿式分級装置を用いて微粒分を除去した。処理が完了した後の粒度分布は表1に示すとおりであり、指標Aと単位容積質量は1.09と1.49キログラム/リットルであった。高炉スラグ3を300トンの山として積んで保管した。この山の高炉スラグ細骨材を3ヵ月後に出荷したが、固結は起きていなかった。
高炉スラグ3と粗粒率2.2の陸砂を45質量%対55質量%の比率で混合して、混合細骨材Aを製造した。混合細骨材Aの粗粒率は2.7であった。混合細骨材Aと石灰砕石の粗骨材を用いたセメントコンクリートを製造した。スランプは18.5cmであり、生コンクリートの流動性には問題がなかった。この生コンクリートでは、ブリージング率が2.3%であり、ブランクテストである高炉スラグ砕骨材なしの生コンクリートのブリージング率1.9%とほぼ同等であった。このように、本発明の高炉スラグ細骨材では、比較的高い配合比でも、著しいブリージングが起きなかった。
また、高炉スラグ3と粗粒率2.0の陸砂を55質量%対45質量%の比率で混合して、混合細骨材Bを製造した。混合細骨材Bの粗粒率は2.6であった。混合細骨材Bと石灰砕石の粗骨材を用いたスランプは18.0cmのセメントコンクリートを製造した。この生コンクリートでは、ブリージング率が3.2%であり、やや大きかった。このブリージング率では、土木用途の表面の仕上げが問題とならない場合は良いが、建築用途のように表面仕上げの厳しい場合には問題となる状態であった。このように、(指標A)×(高炉スラグ配合率)が0.47と良好な条件値である0.45を超えると、ブリージングにやや問題があった。
表1に記載されている高炉スラグ4を製造して、これを陸砂に混合した細骨材を製造した。製造装置は実施例1と同じであった。使用した溶融スラグは、実施例1と同じのものであったが、水冷前の温度が1410℃と1350℃の2条件で処理を行った。冷却後の水砕スラグの粗粒率は各々3.1と3.8であった。このように、溶融スラグの温度が低い場合は、粗い粒子ができる。この両者を1対1の比率で混合した水砕スラグを図3の破砕機で破砕加工した。この結果、粗粒率が3.1であり、単位容積質量が1.57キログラム/リットルの水砕スラグができた。この水砕スラグを図4の湿式分級機で処理した。この結果、粗粒率が3.42であり、単位容積質量が1.52キログラム/リットルの高炉スラグ細骨材が製造された。高炉スラグ4の指標Aは0.83であった。また、0.3ミリメートル以下の粒子比率が5%であり、かつ、2.5ミリメートル以上の粒子が16%と細かい砂と混合するために最適な高炉スラグ細骨材であった。
この高炉スラグ細骨材を500トンの山に積んで、固結の実験を行ったが、1年後でも固結していなかった。
高炉スラグ4と粗粒率2.1の陸砂を40質量%対60質量%の比率で混合して、混合細骨材Cを製造した。混合細骨材Cの粗粒率は2.6であった。混合細骨材Cと石灰砕石の粗骨材を用いたセメントコンクリートを製造した。スランプは18.0cmであり、生コンクリートの流動性には問題がなかった。この生コンクリートでは、ブリージング率が2.1%であり、ブランクテストのブリージング率(1.9%)と同等であった。このように、本発明の高炉スラグ細骨材では、比較的高い配合比でも、際立ったブリージングが起きなかった。また、高炉スラグ4と粗粒率1.9の陸砂を60質量%対40質量%の比率で混合して、混合細骨材Dを製造した。混合細骨材Dの粗粒率は2.6であった。混合細骨材Dと石灰砕石の粗骨材を用いたスランプは18.5cmのセメントコンクリートを製造した。この生コンクリートでは、ブリージング率が2.3%であり、ブランクテストとほぼ同等であった。
表1に記載されている高炉スラグ5を製造して、これを陸砂に混合した細骨材を製造した。製造装置は実施例1と同じであった。使用した溶融スラグは、実施例1と同じのものであったが、水冷前の温度が1340℃の処理を行った。冷却後の水砕スラグの粗粒率は3.85であった。この水砕スラグを図3の破砕機で破砕加工した。この結果、粗粒率が3.21で、単位容積質量が1.55キログラム/リットルの水砕スラグができた。この水砕スラグを図4の湿式分級機で処理した。この結果、粗粒率が3.73で、単位容積質量が1.54キログラム/リットルの高炉スラグ細骨材が製造された。高炉スラグ5の指標Aは0.63であった。この高炉スラグ細骨材は全く固結しなかった。また、0.3ミリメートル以下の粒子比率が2%であり、かつ、2.5ミリメートル以上の粒子が22%と細かい砂と混合するために最適な高炉スラグ細骨材であった。
この高炉スラグ5と、粗粒率1.9の細かい陸砂と粗粒率2.3の中目の海砂との混合物(75対25)を混ぜて、混合細骨材Eを製造した。なお、混合細骨材E中の高炉スラグ5の混合比率は55質量%であり、粗粒率は2.7であった。混合細骨材Eと石灰砕石の粗骨材を用いたスランプが18.0cmのセメントコンクリートを製造した。この生コンクリートの流動性には問題がなかった。この生コンクリートでは、ブリージング率が2.2%であり、ブランクテストとほぼ同等であった。
比較例
実施例1〜3と同じ溶融高炉スラグを用いて、高炉スラグ細骨材である高炉スラグ1を製造した。高炉スラグ1の製造では、1420℃の溶融スラグを水冷した。冷却後の水砕スラグの粗粒率は2.83であった。この水砕スラグを図3の破砕機で破砕加工した。この結果、粗粒率が2.25、指標Aが1.93の高炉スラグ細骨材ができた。0.3ミリメートル以下の粒子比率が24%あった。高炉スラグ1を200トンの山に積んで2ヶ月間保管したところ、山の内部に500ミリメートルから2m程度の凝集物(固結物)が生成した。この結果、この山のスラグを軽破砕して出荷したことから、費用が多くかかった。同一製品の別ロットでは、固結防止のために同一の製品にカルボン酸塩からなる固結遅延剤を添加したことから、これも薬剤費用が多くかかる結果となった。
この高炉スラグ1と、粗粒率2.2の陸砂と粗粒率2.9の石灰砕砂との混合物を混ぜて、混合細骨材Fを製造した。混合細骨材F中の高炉スラグ1の混合比率は40質量%であり、粗粒率は2.6であった。混合細骨材Eと石灰砕石の粗骨材を用いたスランプは18.5cmのセメントコンクリートを製造した。この生コンクリートでは、ブリージング率が3.6%であり、ブランクテストの比率の1.9倍であった。この結果、硬化後のコンクリート表面の肌荒れ状態が悪かった。
各種の高炉スラグ細骨材を他の細骨材と混合して得た混合細骨材でのブリージング発生率の関係を示す図である。 溶融高炉スラグを水中で急速冷却して水砕スラグ粒を製造する装置の例である。 水砕スラグ粒を破砕する装置の例である。 本発明を行う、水砕スラグ粒と水のスラリーを製造して、これを振動式スクリーンで分級する装置の図である。
符号の説明
1 高炉スラグ流
2 スラグ樋
3 水樋
4 冷却水
5 水ノズル
6 スラグ粒
7 供給コンベア
8 ホッパー
9 ケーシング
10 ローター
11 破砕刃
12 供給槽
13 スラリー槽
14 振動式スクリーン
15 搬送コンベア
16 沈殿槽
17 循環水槽
18 ポンプ
19 スプレーノズル

Claims (6)

  1. 溶融している高炉スラグを水中で急速冷却して、ガラス化したスラグ粒を製造し、当該スラグ粒を破砕加工して製造した細骨材であって、単位容積質量が1.48キログラム/リットル以上であり、かつ、比表面積を簡易的に表わすための指標である、JIS篩の所定篩目を通過して、かつ、当該所定の篩目よりも1段細かい篩目を通過しない粒子の存在比率を当該所定篩目のサイズ(単位:ミリメートル)で割った値である指標Aが1.2以下であることを特徴とする高炉スラグ細骨材。
  2. 0.3ミリメートル以下の粒子の比率が8質量%以下であり、かつ、2.5ミリメートル以上の粒子の比率が30質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高炉スラグ細骨材。
  3. 単位容積質量が1.48キログラム/リットル以上、かつ、指標Aが1.2以下である、溶融している高炉スラグを水中で急速冷却したスラグ粒を破砕加工して得た高炉スラグ細骨材を他の細骨材と混合して製造した細骨材であり、かつ、当該高炉スラグ細骨材の全体質量に対する質量比と指標Aの積が0.45以下であることを特徴とするセメントコンクリート用またはモルタル用細骨材。
  4. 単位容積質量が1.48キログラム/リットル以上、かつ、指標Aが0.9以下である、溶融している高炉スラグを水中で急速冷却したスラグ粒を破砕加工して得た高炉スラグ細骨材を他の細骨材と混合して製造した細骨材であることを特徴とするセメントコンクリート用またはモルタル用細骨材。
  5. 溶融高炉スラグを水中で急速冷却して高炉スラグ粒を得て、当該高炉スラグ粒を破砕機で加工処理して、単位容積質量を1.5キログラム/リットル以上とした後に、当該高炉スラグ粒と水の比率が1対2〜1対5の懸濁スラリーを製造して、当該懸濁スラリーを間隔が0.6〜1.3ミリメートルの格子または平行隙間の振動スクリーンにかけて、より細かい粒子と水の混合物を当該スクリーンから通過させる処理によって細かい粒子を分離することにより、単位容積質量が1.48キログラム/リットル以上であり、かつ、指標Aが1.2の粒子を得ることを特徴とする高炉スラグ細骨材の製造方法。
  6. 請求項5に記載の高炉スラグ細骨材の製造方法であって、1370℃以下の溶融した高炉スラグを水冷して得た高炉水砕スラグが一部または全部含まれている高炉水砕スラグを破砕前の原料として用いることを特徴とする高炉スラグ細骨材の製造方法。
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