JP2013040069A - 鉄鋼スラグ路盤材及び鉄鋼スラグ路盤材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高炉徐冷スラグからなる鉄鋼スラグ路盤材であって、最終破砕後からの経過期間が3ヶ月以上とされたエージング処理スラグと、最終破砕後からの経過期間が1ヶ月以内の未エージングスラグと、を有し、前記エージング処理スラグの粒径が、前記未エージングスラグの粒径よりも粗大とされていることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
例えば、高炉徐冷スラグは、コンクリート粗骨材や道路の路盤材として使用され、高炉水砕スラグは、セメント原料、コンクリート細骨材、砂材として使用され、製鋼スラグは、道路の路盤材、地盤改良材等に使用されている。
しかしながら、高炉徐冷スラグは、少量のガラス化成分を含んでいることから、アルカリまたは硫酸塩などの刺激作用によってカルシウムシリケート水和物、カルシウムアルミネート水和物を生成し硬化する性質(いわゆる潜在水硬性)がある。このため、エージング処理を行った場合には、水和反応が進行することによって強度が低下し、一軸圧縮強さを満足することができなくなってしまう。
このように、高炉徐冷スラグでは、呈色と一軸圧縮強さの両方の特性を満足させることは困難であった。
しかしながら、製鋼スラグは、生石灰分を含有することから水分と反応して膨張するおそれがあった。このため、製鋼スラグにおいては蒸気エージング処理等を行う必要があった。また、各種スラグの製造と販売量のバランスによっては、特性を満足する鉄鋼スラグ路盤材を提供することができないことがあった。
例えば、特許文献1には、高炉徐冷スラグに対して6ヶ月以上のエージング処理し、エージング処理後に分級し、粒径0.5mm以上の粗粒を破砕して使用する方法が提案されている。
また、特許文献2には、高炉徐冷スラグの表面をコーティングすることによって呈色を抑制する方法が提案されている。
また、特許文献2に記載された発明では、コーティング処理に時間と労力が必要となり、製造コストが大幅に増大するといった問題があった。
以上のように、これまで提案された方法では、高炉徐冷スラグのみを用いて、呈色と一軸圧縮強さの両方の特性を満足する鉄鋼スラグ路盤材を得ることは、実現できていなかった。
本発明の鉄鋼スラグ路盤材においては、粗粒のエージング処理スラグの周囲に細粒の未エージングスラグが配置されることになり、未エージングスラグがバインダとして作用することになる。未エージングスラグは、水和反応が進行しておらず活性度が高いため、アルカリまたは硫酸塩などの刺激作用によってカルシウムシリケート水和物、カルシウムアルミネート水和物が生成することになる。よって、この水和反応による固結により、鉄鋼スラグ路盤材の一軸圧縮強さを確保することが可能となる。
このように、高炉徐冷スラグのみを使用して、一軸圧縮強さ及び呈色を満足する鉄鋼スラグ路盤材を得ることができる。
この場合、JIS A 5015に規定された一軸圧縮強さを1.2N/mm2以上とすることができる。また、JIS A 5015に規定された呈色判定試験において基準を満足することができる。
この場合、JIS A 5015に規定された粒度を確実に満足することができ、水硬性粒度調整鉄鋼スラグ(HMS−25)として使用することが可能となる。
また、未エージングスラグとエージング処理スラグとを混合しているので、未エージングスラグから溶出される硫黄成分がエージング処理スラグから溶出する物質と化合物を生成し、硫黄成分がそのまま溶出されることが抑制される。よって、呈色(黄色水の発生)が抑制された鉄鋼スラグ路盤材を製造することができる。
この場合、エージング処理スラグにおいて、呈色が確実に抑制されていることを確認することができる。よって、呈色(黄色水の発生)が抑制された鉄鋼スラグ路盤材を製造することができる。なお、この呈色判定試験は、JIS A 5015に規定された方法で実施する。
本実施形態である鉄鋼スラグ路盤材は、JIS A 5015に規定された水硬性粒度調整鉄鋼スラグ(HMS−25)として使用されるものである。
高炉徐冷スラグは、CaO(石灰)とSiO2(シリカ)とAl2O3(アルミナ)とMgO(マグネシア)を主成分とし、少量のS(硫黄)を含んでいる。
また、高炉徐冷スラグは、少量のガラス化成分を含んでいることから、アルカリまたは硫酸塩などの刺激作用によってカルシウムシリケート水和物、カルシウムアルミネート水和物を生成し硬化する性質(いわゆる潜在水硬性)を有している。
また、未エージングスラグの含有量が質量比で20%以上80%以下とされており、さらに好ましくは40%以上70%以下とされている。
すなわち、本実施形態の鉄鋼スラグ路盤材は、粗粒のエージング処理スラグの周囲に、細粒の未エージングスラグが配置されているのである。
まず、冷却ヤードにおいて徐冷されて得られた高炉徐冷スラグを破砕し、最終破砕後にエージング処理を実施する(エージング処理工程S01)。このエージング処理は、大気雰囲気下で高炉徐冷スラグを長期間放置するものであり、本実施形態では、最終破砕後からの経過時間が3ヶ月以上となるようにエージング処理を実施する。
次に、呈色判定試験で合格と判定されたエージング処理スラグの分級を行う(エージング処理スラグ分級工程S03)。本実施形態では、エージング処理スラグの粒径が7mm超25mm以下となるように分級する。
次に、この未エージングスラグの分級を行う(未エージングスラグ分級工程S12)。本実施形態では、未エージングスラグの粒径が7mm以下となるように分級する。
以上のようにして、本実施形態である鉄鋼スラグ路盤材が製造されることになる。
例えば、エージング処理スラグの粒径を7mm超25mm以下とし、未エージングスラグの粒径を7mm以下としたもので説明したが、これに限定されることはなく、エージング処理スラグの粒径が、未エージングスラグの粒径よりも粗大であればよい。
さらに、エージング処理後に分級を行うものとして説明したが、最終破砕後に分級した上でエージング処理を実施してもよい。
まず、高炉徐冷スラグを用いて、最終破砕後からの経過期間が3ヶ月以上とされたエージング処理スラグと、最終破砕後からの経過期間が1ヶ月以内の未エージングスラグと、を準備した。
これらエージング処理スラグ及び未エージングスラグを分級し、表1に示す比率で混合して本発明例1−4及び比較例1−4の鉄鋼スラグ路盤材を製造した。
評価結果を表1及び図2に示す。また、本発明例2、3のふるい分け試験の結果を図3に示す。
未エージングスラグのみを使用した比較例2では、呈色判定試験において呈色が認められた。これは、未エージングスラグ内の硫黄成分がそのまま溶出したためである。
また、未エージングスラグの含有量を質量比で40%、60%とした本発明例2,3においては、図3に示すように、JIS A 5015の水硬性粒度調整鉄鋼スラグ(HMS−25)に要求される粒度分布を満足していることが確認された。
S02 呈色判定試験工程
S03 エージング処理スラグ分級工程
S11 未エージングスラグ準備工程
S12 未エージングスラグ分級工程
S20 混合工程
Claims (5)
- 高炉徐冷スラグからなる鉄鋼スラグ路盤材であって、
最終破砕後からの経過期間が3ヶ月以上とされたエージング処理スラグと、最終破砕後からの経過期間が1ヶ月以内の未エージングスラグと、を有し、
前記エージング処理スラグの粒径が、前記未エージングスラグの粒径よりも粗大とされていることを特徴とする鉄鋼スラグ路盤材。 - 質量比で、前記未エージングスラグの含有量が20%以上80%以下とされていることを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼スラグ路盤材。
- 前記エージング処理スラグは粒径が7mm超とされ、前記未エージングスラグの粒径が7mm以下とされており、
質量比で、前記未エージングスラグの含有量が40%以上70%以下とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉄鋼スラグ路盤材。 - 高炉徐冷スラグからなる鉄鋼スラグ路盤材の製造方法であって、
最終破砕後からの経過期間が3ヶ月以上となるエージング処理を行った粒径7mm超のエージング処理スラグを得る工程と、
最終破砕後からの経過期間が1ヶ月以内の粒径7mm以下の未エージングスラグを得る工程と、
前記エージング処理スラグ及び前記未エージングスラグを混合する工程と、
を備えていることを特徴とする鉄鋼スラグ路盤材の製造方法。 - 前記エージング処理後に前記エージング処理スラグの呈色判定試験を実施することを特徴とする請求項4に記載の鉄鋼スラグ路盤材の製造方法。
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