JP5125026B2 - 研削材、研削材の製造方法及び研削材製造装置 - Google Patents
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このうち特許文献1には、スピネル及びフォルステライトが析出された研削材と、この研削材を空気により吹き飛ばして製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、風砕したスラグを、水を冷媒として用いた冷却器内で旋回させながら冷却した後、回収容器で回収する方法及びその設備が開示されている。
(1)非晶質であり、平均粒径が5mm以下であり、
且つ、FeをFeO換算で5質量%以下、SiをSiO2換算で25〜45質量%、AlをAl2O3換算で5〜25質量%、CaをCaO換算で20〜35質量%、及びMgをMgO換算で5〜20質量%含有するスラグ粒からなることを特徴とする研削材。
(2)製鋼スラグを用いた請求項1に記載の研削材の製造方法であって、
該溶融された製鋼スラグを風砕して風砕スラグを形成する風砕工程と、
風砕された該風砕スラグを下方へ落下させつつ、水を吹き付けて、該風砕スラグを冷却する冷却工程と、
該風砕スラグを搬送しながら上記冷却に用いられた水を該風砕スラグから脱水する脱水搬送工程と、を備えることを特徴とする研削材の製造方法。
(3)上記冷却工程は、風砕スラグを3m以上にわたって落下させながら、放水により該風砕スラグを冷却する工程である上記(2)に記載の研削材の製造方法。
(4)製鋼スラグから上記(1)に記載の研削材を製造する研削材製造装置であって、
溶融された製鋼スラグを風砕して風砕スラグを形成する風砕手段と、
該風砕スラグを下方へ落下させつつ、水を吹き付けて、該風砕スラグを冷却する冷却手段と、
該風砕スラグを搬送しながら上記冷却に用いられた水を該風砕スラグから脱水する脱水搬送手段と、を備えることを特徴とする研削材製造装置。
(5)上記風砕手段は、中心部に向かって気体を放出できるように放射状に配置された複数のノズルを有するリングノズルを有する上記(4)に記載の研削材製造装置。
(6)上記冷却手段は、上記風砕スラグが3m以上にわたって落下される内部空間を有するチャンバーと、
該チャンバー内を落下する該風砕スラグに向かって放水する放水手段と、を備える上記(4)又は(5)に記載の研削材製造装置。
(7)上記脱水搬送手段は、少なくとも一部が、上記風砕スラグが通過されない間隔で並べられたウェッジワイヤを備えるウェッジワイヤスクリーンからなる上記(4)乃至(6)のうちのいずれかに記載の研削材製造装置。
(8)発生された振動を上記ウェッジワイヤスクリーンへ伝達する振動発生手段を備え、
該ウェッジワイヤスクリーンは、振動により上記脱水を行いながら上記風砕スラグの搬送を行う上記(7)に記載の研削材製造装置。
風砕スラグを下方へ落下させながら、放水により冷却する冷却工程を有する場合は、平面方向に大きなスペースを使用する必要がなく、小さなスペースで機械的強度に優れたスラグ粒を安定して製造できる。
風砕手段が、リングノズルを有する場合は、より効率よく、安定した形状の研削材を製造できる。また、より球形状に近く機械的強度に優れた研削材を安定して得ることができる。
冷却手段が、風砕スラグが落下される内部空間を有するチャンバーと、チャンバー内を下方へ落下する風砕スラグに向かって放水する放水手段と、を備える場合は、適度な冷却を小さなスペースにおいても行うことができる。このため、高効率に機械的強度に優れる研削材を製造できる。
脱水搬送手段の少なくとも一部がウェッジワイヤスクリーンからなる場合は、連続的に研削材を製造できる。また、効率よく脱水と除熱が行われつつ、過冷却が防止されることにより機械的強度に優れた研削材を安定して製造できる。
振動発生手段を備える場合は、更に効率よく脱水と除熱が行われ、上記優れた特性を有する研削材をより安定して製造できる。
[1]研削材
本発明の研削材は、非晶質であり、平均粒径が5mm以下であり、且つ、FeをFeO換算で5質量%以下、SiをSiO2換算で25〜45質量%、AlをAl2O3換算で5〜25質量%、CaをCaO換算で20〜35質量%、及びMgをMgO換算で5〜20質量%含有するスラグ粒からなることを特徴とする。
上記「平均粒径」は、5mm以下である。平均粒径が5mmを超える場合は、通常、研削材として用いられない。この平均粒径は、0.05〜4.0mmが好ましく、0.1〜3.0mmがより好ましく、0.2〜2.0mmが特に好ましい。
更に、研削材を構成する1粒のスラグ粒の圧壊強度は20kg以上(特に30〜70kg、更には45〜60kg)とすることができる。
本発明の研削材の製造方法は、溶融された製鋼スラグ(以下、単に「溶融スラグ」ともいう)を用いた研削材の製造方法であって、該溶融された製鋼スラグを風砕して風砕スラグを形成する風砕工程と、風砕された該風砕スラグを下方へ落下させつつ、水を吹き付けて、該風砕スラグを冷却する冷却工程と、該風砕スラグを搬送しながら上記冷却に用いられた水を該風砕スラグから脱水する脱水搬送工程と、を備えることを特徴とする。
また、各ノズルの中心部に対する角度α(図2参照)も特に限定されないが、溶融スラグの落下方向(通常、地面に対して垂直方向)に対して、通常、5〜45度の角度であり、15〜35度が好ましく、20〜30度がより好ましい。この範囲であれば、溶融スラグを風砕し易い。また、風砕されたスラグ粒子の上方へのハネ上がりを防止でき、更に、まだ高温状態にあるスラグ粒子同士がくっつくことを抑制し易い。
また、上記気体の放出量は特に限定されないが、落下される風砕スラグの量及び粒子径等によって適宜とすることが好ましいが、例えば、溶融スラグ量が60分あたりに2000〜4000kg(更には2500〜3000kg)であれば気体放出量は60分あたりに600〜6000キロリットル(より好ましくは800〜4000キロリットル、更に好ましくは1250〜3500キロリットル)とすることが好ましい。また、風砕に用いる上記気体の種類は特に限定されず、各種の気体を用いることができるが、装置を簡便な構造とするために空気を用いることが好ましい。
更に、水に風砕スラグを落下させる方法では、チャンバー内に水を貯留するためにチャンバー下端を閉じる必要があり、スラグ粒の製造はバッチ式で行うこととなる。これに対して、本発明の方法では、チャンバーを開放した状態で使用でき、連続的に研削材であるスラグ粒を製造でき、高い製造効率を発揮できる。特に連続稼働されている製鋼施設等においては、粉末化する前のスラグを保管するコストを削減できる等のメリットがある。
また、水の吹き付け量は特に限定されないが、通常、風砕されたスラグ粒1kgに対して、水0.8リットル以上(好ましくは0.3〜1.2リットル、更に好ましくは0.5〜1.0リットル)を用いることが好ましい。
また、水の吹き付け方向は特に限定されず、落下される風砕スラグに対して垂直方向に側方から吹き付けてもよく、落下される風砕スラグに対して水平に上方から下方へ吹き付けてもよく、落下される風砕スラグに対して水平に下方から上方へ吹き付けてもよい。これらのなかでは側方から及び下方から上方へ吹き付けることが好ましい。対向流とすることで、優れた冷却効果が得られ、また、風砕スラグがチャンバー内に滞留される時間を長くすることができるからである。
上記摩砕工程(整粒工程)は、脱水搬送工程を経て得られた風砕スラグ同士を擦り合わせる工程である。この摩砕工程を行うことにより、十分に冷却される前に複数の風砕スラグ同士が連結されてなる等した異形風砕スラグをより球形状に近い形へ成形することができる。即ち、異形風砕スラグの連結部から粒子状に分割されて正常な粒形に成形することができる。例えば、針状、ウィスカー状及びなみだ形の風砕スラグを摩砕することで、完成品のスラグ粒の形状をより球形状に近づけることができる。
上記分別工程は、脱水搬送工程の後、摩砕工程を備える場合には摩砕工程の後、に設けることができる工程であり、得られたスラグ粒から目的とする形状及び/又は粒径のスラグ粒を分別する工程である。この工程では、通常、篩を用いて分別される。
本発明の研削材製造装置は、溶融された製鋼スラグを風砕して風砕スラグを形成する風砕手段と、該風砕スラグを落下させつつ、水を吹き付けて、該風砕スラグを冷却する冷却手段と、該風砕スラグを搬送しながら上記冷却に用いられた水を該風砕スラグから脱水する脱水搬送手段と、を備えることを特徴とする。
また、前記のように脱水搬送手段が、後半部分に脱水機能を備えず、搬送機能を備える搬送部位を備える場合、この搬送部位は平面方向へ風砕スラグを搬送するものであってもよいが、上下方向へ搬送するものとすることができる。即ち、例えば、バケットコンベア等が挙げられる。これにより更に省スペース化を達することができる。
このウェッジワイヤスクリーンに用いるウェッジワイヤの形態は特に限定されないが、目的とするスラグ粒の平均粒径が5mm以下である場合には、0.1〜4.0mm(好ましくは0.1〜1.0mm、更に好ましくは0.2〜0.5mm)のスクリーン間隔であるウェッジワイヤを用いることが好ましい。後工程で摩砕工程(整粒工程)を行わなくともより球形状に近いスラグ粒を得やすいからである。
[1]研削材製造装置
図1に示す研削材製造装置であって、図2に示す風砕手段近傍構造を有する研削材製造装置を用いて、研削材であるスラグ粒の製造を行った。
図1に示す研削材製造装置100は、風砕手段110と、冷却手段120と、脱水搬送手段130と、回収容器140と、を備える。更に、風砕手段110の前手段として溶融スラグ貯留手段(タンディッシュ)150を備える。また、この研削材製造装置は、そのほぼ全体が地下ピット内に配設されている(地下配設により作動音の外部漏出を抑制できる)。
上記風砕手段(リングノズル)110は、45本のノズル111が中心部方向に向けて放射状に配列されたリングノズル(全形直径30cm)からなる。各ノズルの角度α(図2参照)は各々26〜27度に設定されている。
(1)実施例1
上記[1]の研削材製造装置を用いて、ステンレス製鋼炉で得られた製鋼スラグをスラグ粒原料として用いてスラグ粒を以下のようにして製造した。
ステンレス製鋼炉で得られた熔解されたままの製鋼スラグ(溶融スラグ)200を上記[1]の研削材製造装置のタンディッシュ150内へ約3トン投入した。
更に、チャンバー121の先窄まり部123の内壁に配設された滞留防止放水手段128から放水された水により洗い流されて先窄まり部123から排出されて脱水搬送手段130のウェッジワイヤスクリーン132上に落下された。この滞留防止放水手段128では30リットル/分且つ0.3〜0.4MPa程度の水放出圧力で水を放出させた。
その後、回収容器140から風砕スラグ201を回収し、別設された摩砕装置に投入し、2分間、アジテーター回転数800rpm、パンの回転数85rpmの条件で摩砕を行った。次いで、0.2mm目の篩器を通過させて得られたスラグ粒を回収した。
上記実施例1と同様にしてスラグ粒の製造を行った。その結果、回収容器140に収容された直後の風砕スラグの温度は99.6℃であった。その後、同様に摩砕工程及び分別工程を行ってスラグ粒を得た。
実施例1及び2で、得られたスラグ粒について、ローロップ振とう篩機を用いて平均粒径の測定を行った。その結果、実施例1及び実施例2の両方のスラグ粒のとも平均粒径は0.9mmであった。
また、参考例として、日本重化学工業株式会社製の溶融スラグを原料とする研削材(品名「ウィンドリーム JF−2000」、粒度範囲0.2〜2.0mm、ビッカース硬度791〜813Hv)について同様に測定したX線回折測定した。その結果を、図3及び図4に多重チャートにして示した。いずれの図においても上段に示すチャートが参考例である。
Claims (8)
- 非晶質であり、平均粒径が5mm以下であり、
且つ、FeをFeO換算で5質量%以下、SiをSiO2換算で25〜45質量%、AlをAl2O3換算で5〜25質量%、CaをCaO換算で20〜35質量%、及びMgをMgO換算で5〜20質量%含有するスラグ粒からなることを特徴とする研削材。 - 製鋼スラグを用いた請求項1に記載の研削材の製造方法であって、
該溶融された製鋼スラグを風砕して風砕スラグを形成する風砕工程と、
風砕された該風砕スラグを下方へ落下させつつ、水を吹き付けて、該風砕スラグを冷却する冷却工程と、
該風砕スラグを搬送しながら上記冷却に用いられた水を該風砕スラグから脱水する脱水搬送工程と、を備えることを特徴とする研削材の製造方法。 - 上記冷却工程は、風砕スラグを3m以上にわたって落下させながら、放水により該風砕スラグを冷却する工程である請求項2に記載の研削材の製造方法。
- 製鋼スラグから請求項1に記載の研削材を製造する研削材製造装置であって、
溶融された製鋼スラグを風砕して風砕スラグを形成する風砕手段と、
該風砕スラグを下方へ落下させつつ、水を吹き付けて、該風砕スラグを冷却する冷却手段と、
該風砕スラグを搬送しながら上記冷却に用いられた水を該風砕スラグから脱水する脱水搬送手段と、を備えることを特徴とする研削材製造装置。 - 上記風砕手段は、中心部に向かって気体を放出できるように放射状に配置された複数のノズルを有するリングノズルを有する請求項4に記載の研削材製造装置。
- 上記冷却手段は、上記風砕スラグが3m以上にわたって落下される内部空間を有するチャンバーと、
該チャンバー内を落下する該風砕スラグに向かって放水する放水手段と、を備える請求項4又は5に記載の研削材製造装置。 - 上記脱水搬送手段は、少なくとも一部が、上記風砕スラグが通過されない間隔で並べられたウェッジワイヤを備えるウェッジワイヤスクリーンからなる請求項4乃至6のうちのいずれかに記載の研削材製造装置。
- 発生された振動を上記ウェッジワイヤスクリーンへ伝達する振動発生手段を備え、
該ウェッジワイヤスクリーンは、振動により上記脱水を行いながら上記風砕スラグの搬送を行う請求項7に記載の研削材製造装置。
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