JP2015089886A - 嵩高い置換基を有する化合物を用いた植物成長調整剤 - Google Patents

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Kenichiro Itami
健一郎 伊丹
俊則 木下
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俊則 木下
伸也 萩原
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伸也 萩原
宏二 高橋
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宏二 高橋
柾彦 吉村
Masahiko Yoshimura
柾彦 吉村
華 張
Hua Zhang
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Schroeder Nils
シュレーダー ニルス
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Abstract

【課題】植物を枯死させる危険性がより低減された植物成長調整剤、及びより簡便な植物の成長調製方法を提供する。
【解決手段】カルボキシアルキル基を有するインドール化合物中のインドール環、又はカルボキシアルキル基を有するナフタレン化合物中のナフタレン環が有するsp2混成炭素原子の少なくとも1つ(カルボキシアルキル基が結合していない炭素原子)に、嵩高い置換基(置換されていてもよいアリール基)を導入した化合物、又はその農学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む植物成長調整剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、植物成長調整剤、及び該剤を用いた植物の成長調製方法に関する。
オーキシンは、細胞伸長作用、細胞分裂促進作用等に起因する植物成長促進作用、植物成長抑制作用、さらにはこれらの作用に基づいた発根促進作用、側芽成長抑制作用等を発揮することが知られており、植物成長調整剤の有効成分として広く用いられている。一方、オーキシンを植物に過剰施用すると、オーキシン応答性遺伝子の発現誘導に起因して、植物が枯死してしまうという問題が知られている(非特許文献1)。このため、オーキシンを植物に施用する際には、植物が枯死してしまわないように施用量を調節する必要がある。
しかしながら、屋外環境下においては、風雨等の影響により、植物の特定の部位にオーキシンが集積する、或いは施用したオーキシンが流れ落ちてしまう可能性がある。したがって、厳密に施用量を調節することは困難であると考えられる。
Grossmann K. (2007) Plant Signaling $ Behavior 2: 421-423. "Auxin Herbicide Action"
本発明は、植物を枯死させる危険性がより低減された植物成長調整剤、及びより簡便な植物の成長調製方法を提供することを目的とする。
上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、オーキシン中のインドール環が有するsp2混成炭素原子のいずれか(カルボキシメチル基が結合していない基)に、嵩高い置換基(置換されていてもよいアリール基)を導入することにより、上記課題を解決した植物成長調整剤が得られることを見出した。この効果は、インドール環をナフタレン環とした場合も同様である。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、完成されたものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.一般式(1):
Figure 2015089886
[式中、R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は置換されていてもよいアリール基;R〜Rとしては、片方はカルボキシアルキル基であり、他方は水素原子又は置換されていてもよいアリール基;Xは−NH−又は一般式(2):
Figure 2015089886
(式中R及びRは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は置換されていてもよいアリール基である)
で示される基;ただし、R〜Rのうち、カルボキシアルキル基以外の基は、全て水素原子となることはない。]
で示される化合物、又はその農学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む植物成長調整剤。
項2.一般式(1)で示される化合物が、一般式(1A):
Figure 2015089886
[式中、R〜Rは前記に同じである。]
で示される化合物である、項1に記載の植物成長調整剤。
項3.一般式(1)で示される化合物が、一般式(1B):
Figure 2015089886
[式中、R〜Rは前記に同じである。]
で示される化合物である、項1に記載の植物成長調整剤。
項4.Rがカルボキシアルキル基である、項1〜3のいずれかに記載の植物成長調整剤。
項5.Rが置換されていてもよいアリール基である、項1〜4のいずれかに記載の植物成長調整剤。
項6.一般式(1)で示される化合物が、一般式(1A1):
Figure 2015089886
[式中、Rは前記に同じ;Rは置換されていてもよいアリール基である。]
で示される、項1、2、4及び5のいずれかに記載の植物成長調整剤。
項7.植物枯死抑制剤である、項1〜6のいずれかに記載の植物成長調整剤。
項8.植物成長調整剤である、項1〜7のいずれかに記載の植物成長調整剤。
項9.一般式(1)で示される化合物が、
Figure 2015089886
である、項8に記載の植物成長調整剤。
項10.植物成長抑制剤である、項1〜7のいずれかに記載の植物成長調整剤。
項11.一般式(1)で示される化合物が、
Figure 2015089886
である、項10に記載の植物成長調整剤。
項12.一般式(2):
Figure 2015089886
[式中、R10〜R14は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、炭素数2以上の直鎖状アルキル基、炭素数2以上のアルコキシ基、ヘテロ原子含有基、又は−COOR”(R”は水素原子又は炭化水素基);R11とR12、又はR12とR13は互いに連結して、隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい;R12が水素原子以外の場合には、R10とR11、又はR13とR14は互いに連結して、隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい;R10〜R14の全てが水素原子である場合は除く;Rはアルキレン基である。]
で示されるオーキシン誘導体。
項13.一般式(1):
Figure 2015089886
[式中、R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は置換されていてもよいアリール基;R〜Rとしては、片方はカルボキシアルキル基であり、他方は水素原子又は置換されていてもよいアリール基;Xは−NH−又は一般式(2):
Figure 2015089886
(式中R及びRは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は置換されていてもよいアリール基である)
で示される基;ただし、R〜Rのうち、カルボキシアルキル基以外の基は、全て水素原子となることはない。]
で示される化合物、又はその農学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物の有効量を施用する、植物の成長調整方法。
本発明によれば、植物を枯死させる危険性がより低減された植物成長調整剤を提供することができる。これを用いることにより、植物が枯死してしまわないように施用量を調節することなく、簡便に植物成長を調整することができる。本発明の植物成長調整剤によれば、植物成長を促進することにより作物の収量を増大させ、或いは植物の特定部位の成長を抑制することにより、植物の形態を制御(側芽の抑制等)することが可能となる。
5’側から順に、オーキシン応答配列(5’-TGTCTC)を含む配列(5’-CCTTTTGTCTC)がタンデムに7つ連結されたオーキシン応答領域(配列番号1)、カリフラワーモザイクウィルスの35S RNAのプロモーター配列(CaMV 35S プロモーター)、β-グルクロニダーゼをコードする配列(GUS)が配置された転写カセットを有するプラスミドを示す。
本発明の植物成長調整剤は、一般式(1):
Figure 2015089886
[式中、R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は置換されていてもよいアリール基;R〜Rとしては、片方はカルボキシアルキル基であり、他方は水素原子又は置換されていてもよいアリール基;Xは−NH−又は一般式(2):
Figure 2015089886
(式中R及びRは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は置換されていてもよいアリール基である)
で示される基;ただし、R〜Rのうち、カルボキシアルキル基以外の基は、全て水素原子となることはない。]
で示される化合物、又はその農学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む。
塩としては、塩基付加塩が好ましく採用できる。
具体的には、本発明の化合物における酸性基である末端カルボキシル基に対して、農学的に許容される塩基性化合物と塩を形成することができる。このような塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニアとの塩、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、モノ(ヒドロキシアルキル)アミン、ジ(ヒドロキシアルキル)アミン、トリ(ヒドロキシアルキル)アミン等の有機アミンとの塩等が挙げられる。
つまり、本発明で対象とする化合物は、カルボキシアルキル基を有するインドール化合物中のインドール環、又はカルボキシアルキル基を有するナフタレン化合物中のナフタレン環が有するsp2混成炭素原子(カルボキシアルキル基が結合していない炭素原子)の少なくとも1つに、嵩高い置換基(置換されていてもよいアリール基)が導入されている。この一般式(1)で示される化合物群には、上記一般式(1)からも理解できるように、インドール誘導体とナフタレン誘導体とを含む。なお、各置換基R〜Rについては後に詳述する。
1.インドール誘導体
本発明の植物成長調整剤において、有効成分として含まれるインドール誘導体は、一般式(1A):
Figure 2015089886
[式中、R〜Rは前記に同じである。]
で示される化合物又はその塩である。
一般式(1A)において、R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は置換されていてもよいアリール基である。
アリール基としては、特に制限されないが、炭素数が6〜50のものが好ましく、炭素数が6〜30のものがより好ましく、炭素数が6〜20のものがさらに好ましい。このようなアリール基としては、具体的には、フェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アントラニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が好ましい。
アリール基が有していてもよい置換基としては、特に制限されないが、水酸基、ハロゲン原子(F、Br、Cl等)、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、ヘテロ原子含有基、−COOR” (R”は水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。以下、アリール基が有していてもよい置換基について説明する。
置換されていてもよいアルキル基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(F、Br、Cl、I等)等で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜20、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6のアルキル基が挙げられる。置換基の数は特に制限はなく、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。このような置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
置換されていてもよいアルコキシ基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(F、Br、Cl、I等)等で置換されていてもよい直鎖状、又は分岐鎖状の炭素数1〜20、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6のアルコキシ基が挙げられる。置換基の数は特に制限はなく、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。このような置換されていてもよいアルキル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、パーフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基等が挙げられる。
置換されていてもよいアルケニル基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(F、Br、Cl、I等)等で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数2〜20、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6のアルケニル基が挙げられる。置換基の数は特に制限はなく、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。このような置換されていてもよいアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
置換されていてもよいアルキニル基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(F、Br、Cl、I等)等で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数2〜20、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6のアルキニル基が挙げられる。置換基の数は特に制限はなく、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。このような置換されていてもよいアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、フェニルアセチニル基等が挙げられる。
ヘテロ原子含有基としては、ヘテロ原子として窒素原子(N)、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、ホウ素原子(B)、リン原子(P)、ケイ素原子(Si)等の少なくとも1つ、特に窒素原子(N)、酸素原子(O)、硫黄原子(S)等の少なくとも1つを有する直鎖状、分岐鎖状又は環状の基が好ましい。具体的には、シアノ(−CN)基、ニトロ(−NO)基等や、フラン環、チオフェン環、ピロール環、シロール環、ボロール環、ホスホール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環等の複素環から水素原子を1つ脱離させてなる基等が挙げられる。また、上記複素環同士又はこれらとベンゼン環等との縮合環(チエノチオフェン環、キノリン環等)から水素原子を1つ脱離させてなる基も使用できる。
−COOR”におけるR”は水素原子又は炭化水素基であり、水素原子又は上記説明したアルキル基が好ましい。具体的には、−COOR”としては、−COOH、−COOCH、−COOC、−COOC、−COOC(CH、−COOC、−COOCH(CH)C、−COOCHCH(CH、−COOC(CH等が挙げられる。
このようなR〜Rとしては、具体的には、水素原子の他、
Figure 2015089886
等が挙げられる。
一般式(1A)において、R〜Rは同じか又は異なり、片方はカルボキシアルキル基であり、他方は水素原子又は置換されていてもよいアリール基である。特に、Rを水素原子又は置換されていてもよいアリール基(特に置換されていてもよいアリール基)、Rをカルボキシアルキル基とすることが、活性の観点から好ましい。
カルボキシアルキル基において、アルキル基は、上記したアルキル基が挙げられる。つまり、カルボキシメチル基(−CHCOOH)、カルボキシエチル基(−CCOOH)、カルボキシプロピル基(−CCOOH)、カルボキシブチル基(−CCOOH)、カルボキシペンチル基(−C10COOH)、カルボキシヘキシル基(−C12COOH)等が挙げられる。
また、R〜Rとしての、置換されていてもよいアリール基は、上記R〜Rにて例示したものが挙げられる。
ただし、本発明では、置換されていてもよいアリール基(嵩高い置換基)を導入することにより、植物枯死を抑制することができるため、R〜Rのうち、カルボキシアルキル基以外の基が全て水素原子となることはない。
特に、R〜Rのいずれか(特にR)を、
Figure 2015089886
等とした場合には、植物の枯死をさらに効率的に抑制することができる。
つまり、
Figure 2015089886
Figure 2015089886
等は、植物枯死抑制剤として有用である。
また、R〜Rのいずれか(特にR)を、
Figure 2015089886
とした場合には、優れた植物成長活性を有するため、植物成長促進剤として有用である。
つまり、
Figure 2015089886
等は、植物成長促進剤として特に有用である。
さらに、R〜Rのいずれか(特にR)を、
Figure 2015089886
とした場合には、オーキシン応答性遺伝子の発現を誘導し得るオーキシンと競合することにより、植物の枯死を抑制できるため、植物成長抑制剤(特に、オーキシン誘導性植物成長調整剤)として有用である。
つまり、
Figure 2015089886
等は、植物成長抑制剤(特に、オーキシン植物成長活性阻害剤)として有用である。
これらのインドール誘導体の中でも、一般式(2):
Figure 2015089886
[式中、R10〜R14は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、炭素数2以上(特に2〜6)の直鎖状アルキル基、炭素数2以上(特に2〜6)のアルコキシ基、ヘテロ原子含有基(特にシアノ基、若しくはニトロ基)、又は−COOR”(R”は水素原子又は炭化水素基(特に炭素数1〜6のアルキル基));R11とR12、又はR12とR13は互いに連結して、隣接する2個の炭素原子とともに環(特にベンゼン環、ナフタレン環等)を形成してもよい;R12が水素原子以外の場合には、R10とR11、又はR13とR14は互いに連結して、隣接する2個の炭素原子とともに環(特にベンゼン環、ナフタレン環等)を形成してもよい;R10〜R14の全てが水素原子である場合は除く;Rはアルキレン基(特に炭素数1〜6のアルキレン基)である。]
で示される化合物は文献未記載の新規化合物である。
つまり、
Figure 2015089886
等は新規化合物である。
2.インドール誘導体の製造方法
インドール誘導体の製造方法は、特に制限されないが、例えば、オーキシンを出発材料として、触媒及び酸の存在下、置換されていてもよいアリール基を有するハロゲン化合物と反応させて、上記説明したインドール誘導体を得ることができる。
上記製造方法では、上記のとおり、通常、触媒の存在下で行われるが、好ましくはパラジウム系触媒が使用される。このパラジウム系触媒としては、金属パラジウムをはじめ、有機化合物(高分子化合物を含む)等の合成用触媒として公知のパラジウム化合物等が挙げられる。具体的には、Pd(PPh(Phはフェニル基)、PdCl(PPh(Phはフェニル基)、Pd(OAc)(Acはアセチル基)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd(dba))、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0)、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)等が挙げられる。本工程では、Pd(OAc)等が好ましい。
パラジウム系触媒を使用する場合の使用量は、収率の観点から、原料のオーキシン1モルに対して、通常、0.001〜1モルが好ましく、0.005〜0.1モルがより好ましく、0.01〜0.07モルがさらに好ましい。
また、上記製造方法において、配位子がなくとも反応は進行するが、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子をともに用いてもよい。このリン配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス[2−(ジフェニルホスフィノ)エチル]ホスフィン、ビス(2−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、トリ−t−ブチルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス(2−ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル(S−Phos)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(DPEPhos)等が挙げられる。
上記製造方法で、リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料のオーキシン1モルに対して、通常、0.01〜1.0モルが好ましく、0.05〜0.5モルがより好ましく、0.08〜0.2モルがさらに好ましい。
酸としては、特に限定されないが、触媒等に使用される強酸が好ましい。例えば、2−ニトロ安息香酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸の使用量は、製造条件等により異なるが、オーキシン1モルに対して、0.01〜10モルが好ましく、0.5〜5モルがより好ましく、1〜2モルがより好ましい。
置換されていてもよいアリール基を有するハロゲン化合物としては、特に制限されるわけではないが、一般式(3):
−R’’’
[式中、Xはハロゲン原子;R’’’は置換されていてもよいアリール基である。]
で示される化合物が好ましい。
一般式(3)において、Xはハロゲン原子であり、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、R’’’は置換されていてもよいアリール基であり、その具体例は上述したものが挙げられる。なお、上記ハロゲン化合物が2つのハロゲン原子を有する場合には、反応性の違い(例えば、塩素原子とヨウ素原子とではヨウ素原子のほうが反応しやすい)から、反応させたい箇所をより反応性の高いハロゲン原子とすることが好ましい。
つまり、一般式(3)で示されるハロゲン化合物としては、具体的には、
Figure 2015089886
等が挙げられる。好ましいハロゲン化合物は、上記説明した好ましい置換されていてもよいアリール基を有する化合物である。
上記製造方法において、ハロゲン化合物の使用量は、より確実に反応を進行させて収率を向上させるため、オーキシンより多く投入することが好ましい。このため、ハロゲン化合物の使用量は、オーキシン1モルに対して、1〜10モルが好ましく、1.2〜7モルがより好ましく、1.4〜5モルがさらに好ましい。
反応終了後、必要に応じて塩基を添加してもよい。
上記製造方法における反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、特に制限されないが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法においては、オーキシンと、ハロゲン化合物とを反応させる際に、銀化合物を共存させておいてもよい。これにより反応を促進させることができる。
このような銀化合物としては、AgOTf(Tfはトリフルオロメチルスルホニル基)、AgBF、AgPF、AgSbF、AgTFA(トリフルオロ酢酸銀)、AgOAc(Acはアセチル基)、AgCO、AgF等が挙げられる。
銀化合物を使用する場合、銀化合物の使用量は、収率の観点から、原料のオーキシン1モルに対して、通常、0.01〜10モルが好ましく、0.025〜4モルがより好ましい。
上記製造方法における反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点以下である範囲から選択される。反応時間は特に制限されないが、通常10分〜48時間程度、好ましくは15分〜24時間程度とすればよい。
また、上記製造方法における反応雰囲気は、酸素を含まない雰囲気であれば特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。
なお、Rをカルボキシアルキル基とする場合には、オーキシンではなく、1H−インドール−2−酢酸を出発物質として用い、同様の反応を行えばよい。1H−インドール−2−酢酸は、例えば、公知の方法で合成することができる。
また、R〜Rに置換されていてもよいアリール基を導入する場合には、まず、所望の位置(R〜Rのいずれか)にハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)を導入したインドールと、一般式(4):
Figure 2015089886
[式中、R15は置換されていてもよいアリール基;2個のR’’’’は同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は上記したアルキル基;2個のR’’’’は互いに結合して、隣接する−O−B−O−とともに環を形成していてもよく、該環は、さらに、芳香環(特にベンゼン環、ナフタレン環等)が縮合していてもよい。]
で示されるホウ素化合物とを、上記した触媒(特にパラジウム系触媒)及び必要に応じて塩基の存在下に反応させて、置換されていてもよいアリール基を所望の位置(R〜Rのいずれか)に有するインドールを得る。
ホウ素化合物は、
Figure 2015089886
[R15は前記に同じである。]
等が挙げられる。
ホウ素化合物の使用量は、収率の観点から、原料の所望の位置(R〜Rのいずれか)にハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)を導入したインドール1モルに対して、通常、0.01〜10モルが好ましく、0.025〜4モルがより好ましい。
触媒は、上記したパラジウム系触媒が挙げられ、本工程ではPd(PPh等が好ましい。触媒を使用する場合の使用量は、収率の観点から、原料の所望の位置(R〜Rのいずれか)にハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)を導入したインドール1モルに対して、通常、0.001〜1モルが好ましく、0.005〜0.1モルがより好ましく、0.01〜0.07モルがさらに好ましい。
また、触媒とともにリン配位子を使用する場合、上記したものが挙げられ、その使用量は、収率の観点から、原料の所望の位置(R〜Rのいずれか)にハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)を導入したインドール1モルに対して、通常、0.01〜1.0モルが好ましく、0.05〜0.5モルがより好ましく、0.08〜0.2モルがさらに好ましい。
塩基としては、塩化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等が挙げられ、本工程では炭酸ナトリウムが好ましい。塩基を使用する場合の使用量は、製造条件等により異なるが、原料の所望の位置(R〜Rのいずれか)にハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)を導入したインドール1モルに対して、0.01〜10モルが好ましく、0.5〜5モルがより好ましく、1〜2モルがより好ましい。
上記反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。反応溶媒は、上記したものが挙げられ、本工程では、芳香族炭化水素類、アルコール類等が好ましく、トルエン、エタノール等がより好ましい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点以下である範囲から選択される。反応時間は特に制限されないが、通常10分〜48時間程度、好ましくは15分〜24時間程度とすればよい。
また、反応雰囲気は、酸素を含まない雰囲気であれば特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。
次に、得られた化合物(置換されていてもよいアリール基を所望の位置(R〜Rのいずれか)に有するインドール)を、有機リチウム化合物及び亜鉛化合物の存在下、一般式(5):
−R−COOR16
[式中、Rは前記に同じ;Xはハロゲン原子;R16は上記したアルキル基である。]
で示される化合物と反応させる。
一般式(5)において、Xはハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が好ましい。また、R16は上記したアルキル基であり、好ましい具体例も同様である。
このような一般式(5)で示される化合物としては、具体的には、BrCHCOOCH、ICHCOOCH、BrCHCOOC、ICHCOOC、BrCCOOCH、ICCOOCH、BrCCOOC、ICCOOC等が挙げられる。
一般式(5)で示される化合物の使用量は、収率の観点から、置換されていてもよいアリール基を所望の位置(R〜Rのいずれか)に有するインドール1モルに対して、通常、0.01〜10モルが好ましく、0.025〜4モルがより好ましい。
有機リチウム化合物は、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウム等が挙げられ、n−ブチルリチウム等が好ましい。
有機リチウム化合物の使用量は、収率の観点から、置換されていてもよいアリール基を所望の位置(R〜Rのいずれか)に有するインドール1モルに対して、通常、0.1〜5モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましい。
亜鉛化合物としては、特に制限はなく、ハロゲン化亜鉛が好ましく使用される。具体的には、塩化亜鉛、臭化亜鉛等が好ましい。
亜鉛化合物の使用量は、収率の観点から、置換されていてもよいアリール基を所望の位置(R〜Rのいずれか)に有するインドール1モルに対して、通常、0.1〜5モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましい。
上記反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。反応溶媒は、上記したものが挙げられ、本工程では、芳香族炭化水素類等が好ましく、トルエン等がより好ましい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点以下である範囲から選択される。反応時間は特に制限されないが、通常10分〜72時間程度、好ましくは15分〜48時間程度とすればよい。
また、反応雰囲気は、酸素を含まない雰囲気であれば特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。
さらに、得られた化合物が有する末端の−COOR16基を、塩基を用いて還元させることで、目的とするR〜Rに置換されていてもよいアリール基を導入した本発明のインドール誘導体が得られる。
塩基としては、上記したものが挙げられ、本工程では水酸化カリウム等が好ましい。
塩基の使用量は、製造条件等により異なるが、原料1モルに対して、0.01〜10モルが好ましく、0.5〜7モルがより好ましく、1〜5モルがより好ましい。
上記反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。反応溶媒は、上記したものが挙げられ、本工程では、アルコール類等が好ましく、メタノール等がより好ましい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点以下である範囲から選択されるが、本工程では還流下に行うことが好ましい。反応時間は特に制限されないが、通常10分〜48時間程度、好ましくは15分〜24時間程度とすればよい。
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。
なお、インドール誘導体が公知化合物の場合は、市販のインドール誘導体を使用することもできる。
3.ナフタレン誘導体
本発明の植物成長調整剤において、有効成分として含まれるナフタレン誘導体は、一般式(1B):
Figure 2015089886
[式中、R〜Rは前記に同じである。]
で示される化合物である。
一般式(1B)において、R〜R及びR〜Rは、同じか又は異なり、いずれも水素原子又は置換されていてもよいアリール基であり、その具体例は上記したものが挙げられる。好ましいものも同様である。
一般式(1B)において、R〜Rは、片方はカルボキシアルキル基であり、他方は水素原子又は置換されていてもよいアリール基である。特に、Rを水素原子又は置換されていてもよいアリール基(特に置換されていてもよいアリール基)、Rをカルボキシアルキル基とすることが、活性の観点から好ましい。
及びRにおいて、カルボキシアルキル基及び置換されていてもよいアリール基としては、上記したものが挙げられる。好ましいものも同様である。
ただし、本発明では、置換されていてもよいアリール基(嵩高い置換基)を導入することにより、植物の枯死を抑制することができるため、R〜Rのうち、カルボキシアルキル基以外の基が全て水素原子となることはない。
4.ナフタレン誘導体の製造方法
ナフタレン誘導体を製造する場合は、所望の位置(R〜Rのうちカルボキシアルキル基で置換されていない箇所のいずれか)にハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)を導入したナフタレン酢酸(1−ナフタレン酢酸又は2−ナフタレン酢酸)と、上記したホウ素化合物とを、上記した触媒(特にパラジウム系触媒)の存在下、反応させればよい。
使用され得る配位子の種類、溶媒の種類、銀化合物の種類、各成分の使用量、反応温度、反応時間、反応雰囲気等は、常法で採用されるものを採用すればよい。
なお、ナフタレン誘導体が公知化合物の場合は、市販のナフタレン誘導体を使用することもできる。
5.用途
本発明の化合物は、オーキシン過剰施用による枯死の原因である、オーキシン応答性遺伝子の発現誘導活性が、オーキシンよりも低い(若しくは無い)。したがって、過剰施用による対象植物(成長を調整したい植物)の枯死の危険性を低減しつつ、効率的に植物の成長(特に、伸長)を調整できる「植物成長調整剤(特に、植物伸長調整剤)」の有効成分として用いることができる。
本発明の化合物は、植物の成長を促進することができるので、「植物成長調整剤」の中でも特に「植物成長促進剤」の有効成分として好適である。一方、本発明の化合物は、植物の成長(例えばオーキシンによる植物の成長)を抑制することもできるので、「植物成長調整剤」の中でも特に「植物成長抑制剤」の有効成分として好適であり、さらに「植物成長抑制剤」の中でも「オーキシン誘導性植物成長調整剤」の有効成分として好適である。
また、本発明の化合物は、オーキシン応答性遺伝子の発現を誘導し得るオーキシンと競合することにより、植物の枯死を抑制できる「植物枯死抑制剤」の有効成分としても用いることができる。
本発明の植物成長調整剤又は植物枯死抑制剤の対象植物は、特に限定されない。例えば、被子植物(双子葉植物、単子葉植物等)、裸子植物、コケ植物、シダ植物等の植物に対して広く適用できる。具体例としては、トマト、ピーマン、トウガラシ、ナス等のナス類、キュウリ、カボチャ、メロン、スイカ等のウリ類、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ等の菜類、セルリー、パセリー、レタス等の生菜・香辛菜類、ネギ、タマネギ、ニンニク等のネギ類、ダイズ、ラッカセイ、インゲン、エンドウ、アズキ等の豆類、イチゴ等のその他果菜類、ダイコン、カブ、ニンジン、ゴボウ等の直根類、サトイモ、キャッサバ、バレイショ、サツマイモ、ナガイモ等のイモ類、アスパラガス、ホウレンソウ、ミツバ等の柔菜類、トルコギキョウ、ストック、カーネーション、キク等の花卉類、イネ、トウモロコシ等の穀物類、ベントグラス、コウライシバ等の芝類、ナタネ、ラッカセイ等の油料作物類、サトウキビ、テンサイ等の糖料作物類、ワタ、イグサ等の繊維料作物類、クローバー、ソルガム、デントコーン等の飼料作物類、リンゴ、ナシ、ブドウ、モモ等の落葉性果樹類、ウンシュウミカン、レモン、グレープフルーツといった柑橘類、サツキ、ツツジ、スギ等の木本類等が挙げられる。
本発明の植物成長調整剤又は植物枯死抑制剤の対象器官は、植物体を構成する器官である限り特に限定されない。対象器官としては、好ましくは茎、芽、根、子房、及び果実が挙げられ、より好ましくは茎、芽、及び根が挙げられ、さらに好ましくは茎が挙げられる。
本発明の植物成長調整剤によれば、例えば対象器官の成長を促進することにより、対象器官(茎や果実等)の収量を増大させること等が可能となる。一方、例えば対象器官の成長を抑制することにより、植物を特定の方向に屈曲させる、或いは側芽の成長を抑制すること等が可能となる。さらに、本発明の植物成長調整剤によれば、使用量に厳密な注意を払うことなく、より簡便に植物の成長を調整することができる。
本発明の植物成長調整剤及び植物枯死抑制剤は、本発明の化合物そのものでもよいが、本発明の化合物に加えて、剤形、施用態様等に応じて種々の添加剤を含んでいてもよい。植物成長調整剤中の本発明の化合物の含有割合は、特に限定されない。具体的には、0.0001〜100重量%、好ましくは0.01〜50重量%程度が例示される。
本発明の植物成長調整剤及び植物枯死抑制剤の剤形は、農学的に許容される剤形である限り特に限定されない。例えば、液剤、固形剤、粉剤、顆粒剤、粒剤、水和剤、フロアブル剤、乳剤、ペースト剤、分散剤等が挙げられる。
添加剤は、農学的に許容される添加剤である限り特に限定されない。例えば、担体、界面活性剤、増粘剤、増量剤、結合剤、ビタミン類、酸化防止剤、pH調整剤、揮散抑制剤、色素等が挙げられる。
本発明の植物成長調整剤及び植物枯死抑制剤の施用態様は、農薬の使用態様として公知の態様(或いは将来開発される態様)である限り特に限定されない。例えば、散布、滴下、塗布、植物生育環境中(土壌中、水中、固形培地中、液体培地中等)への混合や溶解等が挙げられる。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
特に断りのない限り、乾燥溶媒(ジメチルホルムアミド(DMF))を含むすべての材料は、商業的供給業者から入手し、さらに精製することなく用いた。特に断りのない限り、全ての反応は、標準的な真空ライン技法を用いて、フレームドライしたガラス容器でアルゴン雰囲気下に乾燥溶媒を用いて行った。後処理及び精製手順は、空気中で試薬グレードの溶媒を用いて行った。
フラッシュカラムクロマトグラフィーは、E. Merckシリカゲル60(230-400メッシュ)を用いて行った。融点はMPA100 Optimelt自動融点測定システムで測定した。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL JNM-ECA-600(1H 600 MHz、13C 150MHz)分光計で記録した。1H NMRの化学シフトはCHCl3(δ7.26 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。13C NMRの化学シフトはCDCl3(δ77.0 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。
1.化合物の準備
下記表1に示される化合物を準備した(実施例1〜29及び比較例1)。表1の構造式中に化合物の略称も併記した。各化合物の合成方法等について下記に示す。
Figure 2015089886
1-1.実施例16
Figure 2015089886
マイクロ波反応装置用容器(0.5〜2 mL)にAgBF4(0.4 mmol, 77.9 mg, 1 eq.)を入れた。そこへ、2-ニトロ安息香酸(0.6 mmol, 100.3 mg, 1.5 eq.)、3-インドール酢酸(0.4 mmol, 70.1 mg, 1 eq.)、及びPd(OAc)2(0.02 mmol, 4.5 mg, 5 mol-%)を加えた。さらに、4-ヨードフェノール(1.6 mmol, 4 eq.)を加え、それからN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(0.5 mL)を加えた。該容器を密閉してからマイクロ波反応装置にセットし、150℃で10分間加熱した。加熱後に得られた溶液を酢酸エチルで100倍希釈し、セライトカラムでろ過し、飽和塩化アンモニウム・飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。得られた溶液を、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。濃縮液をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、紫色固体の目的物であるNS-039を得た(収率45%)。
NS-039:1H-NMR (400 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.13 (s, NH, 1H), 9.68 (bs, OH, 1H), 7.55-7.48 (m, 3H), 7.34 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.08 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.00 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 3.68 (s, CH 2, 2H). 13C-NMR (100 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 173.52, 157.21, 136.09, 135.64, 129.30, 128.97, 123.31, 121.14, 118.76, 118.50, 115.62, 110.92, 103.69, 30.82. HRMS: calc. for [C16H13NO3Na]+: 290.0788, found 290.0779。
1-2.実施例1〜15、17〜23、26、及び28
3-インドール酢酸とヨードアリールを出発物質として、実施例16と同様の方法に従って目的化合物を合成した。収率、及び物性データ(新規化合物のみ)を示す。
[収率]
NS-030:36%、NS-005:69%、NS-010:47%、NS-031:51%、NS-021:38%、NS-027:47%、NS-022:52%、NS-023:54%、NS-024:70%、NS-025:43%、NS-011:63%、NS-014:58%、NS-036:53%、NS-042:64%、NS-029:36%、NS-039:45%、NS-040:56%、NS-049:23%、NS-048:74%、NS-038:74%、NS-041:52%、NS-043:57%、NS-044:65%、NS-120:39%、NS-092:59%。
[物性データ]
NS-014:1H-NMR (400 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.47 (s, NH, 1H), 8.23-8.20 (m, 1H), 8.06 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.99-7.94 (m, 2H), 7.87 (dd, J = 8.5, 1.8 Hz, 1H), 7.64 - 7.53 (m, 3H), 7.45-7.41 (m, 1H), , 7.15 (ddd, J = 8.1, 7.0, 1.2 Hz, 1H), 7.05 (ddd, J= 8.0, 7.0, 1.1 Hz, 1H), 3.83 (m, CH 2, 2H). 13C-NMR (100 Mhz, CDCl3): δ (ppm) = 173.90, 136.62, 135.95, 133.56, 132.70, 132.69, 130.57, 129.47, 128.77, 128.53, 128.20, 127.20, 127.09, 126.85, 126.50, 122.37, 119.54, 111.73, 106.24, 31.42. HRMS: calc. for [C20H15NO2Na]+: 324.0995, found 324.0982。
NS-042:1H-NMR (400 Mhz, CDCl3): δ (ppm) = 8.09 (s, NH, 1H), 7.66-7.63 (m, 1H), 7.53-7.49 (m, 2H), 7.36-7.33 (m, 1H), 7.29-7.26 (m, 2H), 7.23-7.12 (m, 2H), 3.85 (s, CH 2CO, 2H), 2.69-2.62 (m, ArCH2, 2H), 1.68-1.58 (m, ArCH2CH 2, 2H), 1.44-1.33 (m, CH 2CH3, 2H), 0.95 (t, J= 7.3 Hz, CH2CH 3, 3H). 13C-NMR (100 Mhz, CDCl3): δ (ppm) = 178.59, 143.28, 136.77, 135.75, 129.60, 129.20, 129.07, 128.26, 122.65, 120.27, 119.28, 110.99, 104.59, 35.55, 33.65, 30.99, 22.51, 14.10. HRMS: calc. for [C20H21NO2H]+: 308.1645, found 308.1636。
NS-029:1H-NMR (400 Mhz, CDCl3): δ (ppm) = 8.16 (s, NH, 1H), 7.57 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.37-7.28 (m, 3H), 7.24-7.19 (m, 1H), 7.19-7.12 (m, 1H), 7.02-6.97 (m, 2H), 4.97 (bs, OH, 1H), 3.71 (s, CH 2, 2H). 13C-NMR (100 Mhz, CDCl3): δ (ppm) = 178.52, 154.29, 136.30, 131.84, 130.92, 130.77, 128.23, 123.16, 120.84, 120.51, 118.93, 118.37, 116.83, 111.26, 107.15, 30.71 HRMS: calc. for [C16H13NO3H]+: 268.0968, found 268.0960。
NS-040:1H-NMR (400 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.54 (s, NH, 1H), 8.03-7.95 (m, 2H), 7.92-7.86 (m, 2H), 7.61 (d, J= 7.9 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.19 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.07 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 3.80 (s, CH 2, 2H). 13C-NMR (100 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 173.05, 136.95, 136.34, 133.50, 132.74, 128.74, 128.24, 122.75, 119.37, 119.28, 119.84, 111.46, 109.70, 107.47, 30.76. HRMS: calc. for [C17H12N2O2Na]+: 299.0791, found 299.0780。
NS-043:1H-NMR (400 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.49 (s, NH, 1H), 8.11-8.05 (m, 2H), 7.88-7.82 (m, 2H), 7.61-7.55 (m, 1H), 7.43-7.38 (m, 1H), 7.20-7.14 (m, 1H), 7.08-7.02 (m, 1H), 3.89 (s, CH 3, 3H), 3.80 (s, CH 2, 2H). 13C-NMR (100 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 173.10, 166.03, 137.06, 136.25, 134.11, 129.63, 128.80, 128.22, 127.81, 122.45, 119.15, 111.38, 106.91, 99.50, 52.22, 30.78. HRMS: calc. for [C18H15NO4Na]+: 310.1074, found 310.1068。
NS-044:1H-NMR (400 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.63 (s, NH, 1H), 8.41-8.34 (m, 2H), 8.00-7.94 (m, 2H), 7.62 (d, J= 8.0 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.21 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.08 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 3.84 (s, CH 2, 2H). 13C-NMR (100 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 172.95, 146.16, 138.96, 136.52, 133.10, 128.76, 128.37, 124.09, 123.02, 119.48, 119.38, 111.53, 108.20, 30.77. HRMS: calc. for [C16H12N2O4H]+: 297.0870, found 297.0866。
1-3.実施例25
Figure 2015089886
マイクロ波反応装置用容器(0.5〜2 mL)にAgBF4(0.4 mmol, 77.9 mg, 2 eq.)を入れた。そこへ、3-インドール酢酸(0.2 mmol, 35 mg, 1 eq.)、及びPd(OAc)2(0.01 mmol, 2.3 mg, 5 mol-%)を加えた。さらに、DMF(1 mL)、1-ヨード-4-メトキシナフタレン(0.3 mmol, 1.5 eq.)、及びトリフルオロ酢酸を加えた(0.2 mmol, 22.8 mg, 15 μL, 1 eq.)。該容器を密閉してからマイクロ波反応装置にセットし、90℃で20分間加熱した。加熱後に得られた溶液を酢酸エチルで100倍希釈し、セライトカラムでろ過し、飽和塩化アンモニウム・飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。得られた溶液を、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。濃縮液をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、赤色固体の目的物であるNS-112を得た(収率30%)。
NS-112:1H-NMR (400 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.30 (s, NH, 1H), 8.29-8.25 (m, 1H), 7.76-7.72 (m, 1H), 7.58-7.48 (m, 4H), 7.40-7.35 (m, 1H), 7.16-7.10 (m, 2H), 7.08-7.02 (m, 1H), 4.05 (s, OCH 3, 3H), 3.48 (s, CH2, 2H). 13C-NMR (100 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 173.13, 155.15, 135.85, 134.76, 132.88, 129.12, 128.09, 126.95, 125.75, 125.48, 124.92, 122.11, 121.75, 121.21, 118.77, 118.69, 111.00, 106.66, 104.01, 55.77, 30.61. HRMS: calc. for [C21H17NO3H]+: 332.1281, found 332.1272。
1-4.実施例24及び27
3-インドール酢酸とヨードアリールを出発物質として、実施例25と同様の方法に従って目的化合物を合成した。収率、及び物性データ(新規化合物のみ)を示す。
[収率]
NS-094:25%、NS-119:59%。
[物性データ]
NS-094:1H-NMR (400 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 11.19 (s, NH, 1H), 10.39 (s, OH, 1H), 8.20 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.52-7.28 (m, 5H), 7.12-6.92 (m, 3H), 3.42 (s, CH2, 2H). 13C-NMR (100 Mhz, DMSO-d6): δ (ppm) = 173.66, 154.29, 136.31, 135.72, 133.97, 133.77, 129.86, 128.64, 127.15, 126.12, 125.25, 125.14, 122.83, 121.57, 120.97, 119.21, 119.12, 114.46, 108.04, 31.13. HRMS: calc. for [C20H15NO3H]+: 318.1125, found 318.1121。
1-5.実施例29
Figure 2015089886
炉乾燥シュレンク管に、5-ブロモインドール(2 mmol)、4-フルオロフェニルボロン酸(4 mmol)、及び炭酸ナトリウム(4 mmol)を加えた。それから、グローブボックス内でPd(PPh3)4 (40 mg)を加えた。その後、シュレンク管を脱気して窒素を満たす操作を3回行った。トルエン(2 mL)、エタノール(2 mL)、及び水(2 mL)を加え、100℃で12時間撹拌した。1 N塩酸を加え、生成物を酢酸エチルで3回抽出した。有機層にNa2SO4を加え、真空下で濃縮した。フラッシュシリカカラムクロマトグラフィーにより精製し、5-(4-フルオロフェニル)インドールを得た。
Figure 2015089886
上記で得られた5-(4-フルオロフェニル)インドール(1.0 mmol)をテトラヒドロフラン(2 mL)に溶解し、0℃に冷却した。そこに、n-ブチルリチウム(1.0 mmol)を加え、アイスバス中で0℃に保ちながら15分間反応させた後、塩化亜鉛のジエチルエーテル溶液(1 N、1 mL)を加えた。反応容器をアイスバスから取り出し、反応液を4時間撹拌した。真空下で溶媒を蒸発させて得られたろう状物質を無水トルエン(2.0 mL)に溶解した。そこにブロモ酢酸エチル(2.0 mmol)を加え、24時間撹拌した。得られた溶液を1 N塩酸で酸性化した後、酢酸エチル中に注いだ。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。フラッシュシリカカラムクロマトグラフィーにより精製し、2-(5-(4-フルオロフェニル)-1H-インドール-3-イル)酢酸エチルを得た。
Figure 2015089886
上記で得られた2-(5-(4-フルオロフェニル)-1H-インドール-3-イル)酢酸エチル(0.5 mmol)を90%メタノール水溶液(10 mL)に溶解し、さらに水酸化カリウム(2.5 mmol)を加え、2時間還流した。冷却後、溶媒を蒸発させた。そこへ水及び酢酸エチルを加えた後、有機層を除去した。水層を1 N塩酸で酸性化した後、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を蒸発させ、褐色固体の目的物(2-(5-(4-フルオロフェニル)-1H-インドール-3-イル)酢酸)を得た(収率85%)。この化合物も、他の実施例で得られた化合物と同様に、オーキシンに比べて、オーキシン応答性遺伝子の発現誘導活性が低い。
2.化合物の評価
2-1.試験例1(オーキシン誘導性遺伝子の発現に対する影響の評価)
植物にオーキシンを摂取させると、その濃度によっては枯死してしまうことが知られている。そして、これは、オーキシンがTIR1受容体を介したオーキシン応答性遺伝子の発現変化が原因であることが解明されている。そこで、被検化合物を作用させた際のオーキシン応答性遺伝子の発現変化を調べることにより、被検化合物の枯死誘導活性を評価した。概要としては、オーキシン応答性プロモーターの下流にレポーター遺伝子(β-グルクロニダーゼ遺伝子)を配置したプラスミドで形質転換された植物を作製し、該植物に対して被検化合物を作用させた際のレポーター遺伝子の発現量を測定した。具体的には次のように行った。
<形質転換体の作製>
まず、非特許文献(The Plant Cell, Vol.9, 1963-1971, November 1997)に記載の方法に従って、5’側から順に、オーキシン応答配列(5’-TGTCTC)を含む配列(5’-CCTTTTGTCTC)がタンデムに7つ連結されたオーキシン応答領域(配列番号1)、カリフラワーモザイクウィルスの35S RNAのプロモーター配列(CaMV 35S プロモーター)、β-グルクロニダーゼをコードする配列(GUS)が配置された転写カセットを有するプラスミド(図1)を作成した。次に、該プラスミドを、上記非特許文献に記載の方法に従ってシロイヌナズナに形質転換し、得られた形質転換体を下記のGUS染色アッセイに用いた。
<GUS染色アッセイ>
上記形質転換体の種子をムラシゲスクーグ寒天培地に播種した。暗所で2日間培養し、得られた黄化芽生えから胚軸を切り出した。胚軸切片を成長測定用寒天培地(1 mM Mes-KOH, pH 6.0, 10 mM KCl, 0.8% agar)上で120分間静置培養することにより、内在性オーキシンを除去した。その後、胚軸切片を、被検化合物(100μM)を含む成長測定用寒天培地に移し、該培地上で16時間静置培養した。培養後の胚軸切片を90%アセトンに浸して4℃で3時間処理することにより、組織固定を行った。固定された胚軸切片を蒸留水で洗浄後、GUS染色液(100 mM sodium phosphate, pH 7.0, 10 mM EDTA, 5 mM potassium ferricyanide, 5 mM potassium ferrocyanide, 0.1% TritonX-100, 0.5 mg/mL 5-bromo-4-chloro-3-indolyl-β-D-glucuronide)に浸して25℃で16時間処理することによって染色した。染色後の胚軸切片を蒸留水で洗浄後、実体顕微鏡で撮像した。得られた画像から、胚軸切片の着色度を、被検化合物としてオーキシンを用いた場合の着色度を基準として、0〜3(0:着色無し、1:オーキシンを用いた場合よりも着色が薄い、2:オーキシンを用いた場合と着色が同程度、3:オーキシンを用いた場合よりも着色が濃い)の4段階で評価した。評価が0又は1であれば、オーキシンに比べて、オーキシン応答性遺伝子の発現誘導活性が低いこと、すなわち枯死誘導活性が低いことを示す。結果を下記表2に示す。
2-2.試験例2(植物の伸長に対する影響の評価)
ムラシゲスクーグ寒天培地にシロイヌナズナ種子を播種した。暗所で2日間培養し、得られた黄化芽生えから胚軸を4 mm切り出した。胚軸切片を成長測定用寒天培地上で120分間静置培養することにより、内在性オーキシンを除去した。その後、胚軸切片を、被検化合物(100μM)を含む成長測定用寒天培地(培地1)、被検化合物(100μM)及びオーキシン(3-インドール酢酸、1 μM)を含む成長測定用寒天培地(培地2)、オーキシン(100μM)を含む成長測定用寒天培地(培地3)、オーキシン(1μM)を含む成長測定用寒天培地(培地4)、又は1%ジメチルスルホキシド(被検化合物およびオーキシンの溶媒)を含む成長測定用寒天培地(培地5)に移し、該培地上で30分間静置培養した。培養後の胚軸切片の長さを測定し、各培地で培養した場合それぞれについて、培養後の伸長量(mm)(=培養後の胚軸切片の長さ−培養前の胚軸切片の長さ)を求めた。該伸長量に基づいて、下記式に従って、各被検化合物の伸長促進活性及び伸長阻害活性を求めた。結果を下記表2に示す。伸長促進活性の値が高いほど、被検化合物の伸長促進活性が高いことを示し、伸長阻害活性の値が低いほど、被検化合物の伸長阻害活性が高いことを示す。
伸長促進活性=[(培地1で培養した場合の伸長量−培地5で培養した場合の伸長量)/(培地3で培養した場合の伸長量−培地5で培養した場合の伸長量)]×100。
伸長阻害活性=[(培地2で培養した場合の伸長量−培地5で培養した場合の伸長量)/(培地4で培養した場合の伸長量−培地5で培養した場合の伸長量)]×100。
2-3.試験例1及び2の評価結果
試験例1の評価結果(遺伝子発現誘導活性)及び試験例2の評価結果(伸長促進活性及び伸長阻害活性)を下記表2に示す。
Figure 2015089886

Claims (13)

  1. 一般式(1):
    Figure 2015089886
    [式中、R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は置換されていてもよいアリール基;R〜Rとしては、片方はカルボキシアルキル基であり、他方は水素原子又は置換されていてもよいアリール基;Xは−NH−又は一般式(2):
    Figure 2015089886
    (式中R及びRは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は置換されていてもよいアリール基である)
    で示される基;ただし、R〜Rのうち、カルボキシアルキル基以外の基は、全て水素原子となることはない。]
    で示される化合物、又はその農学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む植物成長調整剤。
  2. 一般式(1)で示される化合物が、一般式(1A):
    Figure 2015089886
    [式中、R〜Rは前記に同じである。]
    で示される化合物である、請求項1に記載の植物成長調整剤。
  3. 一般式(1)で示される化合物が、一般式(1B):
    Figure 2015089886
    [式中、R〜Rは前記に同じである。]
    で示される化合物である、請求項1に記載の植物成長調整剤。
  4. がカルボキシアルキル基である、請求項1〜3のいずれかに記載の植物成長調整剤。
  5. が置換されていてもよいアリール基である、請求項1〜4のいずれかに記載の植物成長調整剤。
  6. 一般式(1)で示される化合物が、一般式(1A1):
    Figure 2015089886
    [式中、Rは前記に同じ;Rは置換されていてもよいアリール基である。]
    で示される、請求項1、2、4及び5のいずれかに記載の植物成長調整剤。
  7. 植物枯死抑制剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の植物成長調整剤。
  8. 植物成長促進剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の植物成長調整剤。
  9. 一般式(1)で示される化合物が、
    Figure 2015089886
    である、請求項8に記載の植物成長調整剤。
  10. 植物成長抑制剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の植物成長調整剤。
  11. 一般式(1)で示される化合物が、
    Figure 2015089886
    である、請求項10に記載の植物成長調整剤。
  12. 一般式(2):
    Figure 2015089886
    [式中、R10〜R14は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、炭素数2以上の直鎖状アルキル基、炭素数2以上のアルコキシ基、ヘテロ原子含有基、又は−COOR”(R”は水素原子又は炭化水素基);R11とR12、又はR12とR13は互いに連結して、隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい;R12が水素原子以外の場合には、R10とR11、又はR13とR14は互いに連結して、隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい;R10〜R14の全てが水素原子である場合は除く;Rはアルキレン基である。]
    で示されるオーキシン誘導体。
  13. 一般式(1):
    Figure 2015089886
    [式中、R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は置換されていてもよいアリール基;R〜Rとしては、片方はカルボキシアルキル基(Rはアルキレン基)であり、他方は水素原子又は置換されていてもよいアリール基;Xは−NH−又は一般式(2):
    Figure 2015089886
    (式中R及びRは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は置換されていてもよいアリール基である)
    で示される基;ただし、R〜Rのうち、カルボキシアルキル基以外の基は、全て水素原子となることはない。]
    で示される化合物、又はその農学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物の有効量を施用する、植物の成長調整方法。
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