JP2015086690A - コンクリート柱の補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存柱の特定の面のみを枠体で囲んで補強する補強構造において、枠体の位置決めが容易にでき、目的の補強強度が確実に得られる補強構造を提供する。【解決手段】既存柱1の補強必要長さにほぼ対応する長さにわたって一対のガイド部材13,14を備えるとともに、ガイド部材13,14は、枠体Aの側面片11b、12bに接触する鋼板接触面13b、14bと既存柱1あるいは既存柱1に隣接する壁面10等の既存の構造体に接触する構造体接触面13a,14aとを備え、かつ、鋼板接触面13b、14bを、枠体Aにおける一対の側面片11b、12bの設置間隔に合わせて既存柱1の上下方向に沿わせるとともに、構造体接触面13a,14aを既存柱1又は既存柱1に隣接する壁面10に固定する。【選択図】図1

Description

この発明は、コンクリート製の既存柱を事後的に補強するコンクリート柱の補強構造に関する。
例えば、建造物の耐震性を向上させるため、柱を事後的に補強する構造として図14に示すものが従来から知られている。
この従来の補強構造は、図14に示すように断面が四角形のコンクリート製の既存柱1の前面1aのみを一対の鋼板2,3からなる枠体aで囲み、この枠体a内に上下方向筋5を設け、この上下方向筋5を設けた上記枠体a内にグラウト材4を充填した補強部を構築し、この補強部を既存柱1に一体化したものである。この補強構造は、図示のように既存柱1の両側に面一で壁面10が連続している場合や、既存柱1の一方向からしか作業ができないような現場に適した構造である。
上記一対の鋼板2,3は、それぞれ断面がL字状であり、既存柱1の表面に平行に配置される枠体aの前面部となる前面片2a,3aと、これら前面片2a,3aに直交し、枠体aの側面部となる側面片2b,3bとからなる。このようにした枠体aを用いて補強する既存柱1は、この既存柱1の両側に壁が設けられ、この壁面10,10と既存柱1の前面1aとがほぼ面一状態にあるものを想定している。
そして、上記一対の鋼板2,3からなる枠体aを複数備え、それら複数の枠体aを既存柱1の上下方向に積層して、当該既存柱1の前面1aであって、その補強必要長さの全長にわたって囲うものである。
また、上記一対の鋼板2,3は、それらの前面片2a,3aを重ね合わせた状態で枠体aを構成するが、それら前面片2a,3aの重ね合わせ量を調整することによって側面片2b,3bの対向間隔を調整できるようにしている。
このようにした一対の鋼板2,3からなる複数の枠体aを用いて、上記前面1aを壁面10,10と面一にした既存柱1を補強するときには、既存柱1の前面1aに必要量のアンカーボルト7をあらかじめ打ち込んでおくとともに、スラブや基礎等の既存の構造体に上下方向筋5を事前に固定しておく。
そして、一対の鋼板2,3からなる各枠体aを既存柱1の前面1aに沿わせて一つずつ積層していくもので、その作業は次の通りである。
まず、最下段の枠体aを、上記上下方向筋5を囲うようにして既存柱1の前に置き、上記前面片2a,3aの重ね合わせ量を調整しながら、上記側面片2b,3bからなる枠体aの側面部の対向間隔を既存柱1の幅に一致させる。
そして、当該枠体aの前面部を既存柱1の前面1aに正対させるとともに、枠体aの側面部を既存柱1の稜部に接触させる。つまり、枠体aで既存柱1の前面1aを完全に囲ってしまう。このように最下段の枠体aで既存柱1の前面1aを囲ったら、これら鋼板2,3の側面片2b,3b間にタイバー8を貫通させるとともに、タイバー8の両突出端をナット9で止める。
このようにして最下段の枠体aを組み立てたら、その最下段の枠体aの上に、同じく一対の鋼板2,3からなる別の枠体aを積層していき、これら複数の枠体aで既存柱1の前面1aの全長を囲う。なお、上記タイバー8は、各枠体aのそれぞれに止めるものである。
そして、必要な枠体aのすべてを積層したら、今度は、これら枠体aの周囲に、アラミド繊維等からなる帯状シート6を巻き付けるが、この帯状シート6と枠体aとは接着剤によって接着する。
上記のように帯状シート6を巻き付けた枠体aで既存柱1の前面1aを囲ったら、これら枠体a内にグラウト材4を充填する。枠体a内にグラウト材4を充填すれば、枠体aとグラウト材4からなる補強部が既存柱1と一体になるので、既存柱1の断面積が当該補強部の分だけ拡大したことになる。しかも、この補強部は鋼板2,3で囲われるとともに、この補強部にはアンカーボルト7、タイバー8及び上下方向筋5が含まれるので、既存柱1よりも大きな強度を保つことができる。したがって、補強部と既存柱1との一体化によって、大きな補強効果が得られることになる。
特開2011−026786号公報
上記従来の補強構造では、上記枠体aの前面部を既存柱1の前面1aに正対させることが絶対条件になる。なぜなら、上記枠体aの前面部と既存柱1の前面1aとが正対せずにそれらがずれてしまえば、地震力が作用したとき、既存柱1と、枠体a及びグラウト材4からなる補強部との間にねじれ力が発生してしまい、所期の補強強度が得られなくなるからである。
しかしながら、枠体aを既存柱1の前面にきっちりと正対させる作業は、工事現場において難しい作業になり、それが工期短縮の障害にもなっていた。
また、複数の枠体aを既存柱1の前面上下方向に沿って積層していく場合には、上下の枠体aの前面片と側面片とが交わる角が、その上下方向において一直線上に一致していないと、各枠体aが既存柱1に沿って真っ直ぐに立てられなくなる。もし、各枠体aが真っ直ぐに立っていなければ、当該枠体a及びグラウト材4からなる補強部の地震力に対する耐力が弱くなり、補強構造全体の強度も落ちてしまう。
しかも、上記枠体aを構成する鋼板は、その厚さが3mm程度と薄いので、それらの位置を正確に決めながら、積層していくことはかなり難しい作業になるが、それも工期短縮の障害になっていた。
一方、一対の鋼板2,3からなる枠体aは、両前面片2a,3aを重ね合わせるとともに、その重ね合わせ量を調整することによって、側面片2b,3b間の対向間隔を自由に変えることができる。したがって、一対の鋼板2,3の寸法等を定型化しておき、現場において側面片2b,3b間の対向間隔を調整することによって、幅の異なるいろいろな既存柱1に対応できる。つまり、一対の鋼板2,3を用いるということは、個々の鋼板2,3の寸法等を定型化してそれを工場で量産し、既存柱1の寸法の多様性に対しては現場における調整で対応できるようにしている。このように鋼板2,3を定型化して既存柱1の寸法の多様性に対しては現場の調整で対応できるようにしたことによって、鋼板の生産コストを大幅に減少できるという大きな利点がある。
しかしながら、薄い鋼板を細分化すれば、個々の鋼板2,3が施工過程で一時的に不安定な状態に置かれるので、鋼板の数が増えれば増えるほど、各鋼板の位置関係を正確に定めてその状態を保つことがさらに難しくなる。
特に、図示の従来例のように、枠体aを一対の鋼板2,3で構成するとともにそれら枠体aを複数備え、それを上下方向に積層していく場合には、作業の難しさがさらに倍加する。
なお、上下方向長さも短くしながら、さらに細分化した一対の鋼板2,3を用いるようにしたのは、個々の鋼板の重量を軽減して、クレーンなどの重機を用いずに当該鋼板2あるいは3を運搬したり、積み上げたりできるようにするためである。
特に、既存の建造物の柱を事後的に補強しようとしたとき、その作業現場にはいろいろな制約条件があり、クレーン等の重機を使えないことが多々ある。しかし、上記のように鋼板を細分化してそれらの重量を軽減することによって、それらを人力で運べるようになるので、制約条件の多いいろいろな現場にも対応できるようになる。
このように施工現場の制約条件があったとしても、補強工事ができるようにするためには、鋼板を細分化することが有利であるが、作業性という観点からすると、多くの問題を含んでいるというのが現状である。
結局、従来の補強構造は、多くの利点を持ちながら、現場における作業性に難があり、それが工期短縮の障害になるという問題があった。
この発明の第1の目的は、従来の補強構造の利点を生かしつつ、作業性を向上させることができるコンクリート柱の補強構造を提供することである。
第2の目的は、細分化した各枠体を正確かつ迅速に積層できるコンクリート柱の補強構造を提供することである。
第3の目的は、枠体及びグラウト材が一体化した補強部の強度を実質的に向上させることができるコンクリート柱の補強構造を提供することである。
この発明は、1又は複数の鋼板で構成され、前面部とこの前面部の両側における一対の側面部とを備えた枠体の上記側面部を既存柱の上下方向に沿わせて上記前面部と既存柱の前面との間に上記側面部に相当する間隔を保ち、この間隔にグラウト材を充填し、既存柱を補強するコンクリート柱の補強構造を前提とする。
上記補強構造を前提とし、第1の発明は、既存柱の補強必要長さにほぼ対応する長さにわたって、一対のガイド部材を備え、このガイド部材は、上記枠体の側面部に接触する鋼板接触面と、既存柱あるいは既存柱に隣接する既存壁等の既存の構造体に接触する構造体接触面とを備え、上記鋼板接触面を上記枠体における上記一対の側面部の設置間隔に合わせて既存柱の上下方向に沿わせるとともに、上記構造体接触面を既存柱又は既存柱に隣接する既存の上記構造体に固定してなることを特徴とする。
なお、上記「既存柱の補強必要長さにほぼ対応する長さにわたって」とは、ガイド部材が既存柱の長さと一致していなくても、枠体の位置決めに支障がない長さを保っていればよいという意味である。また、既存柱の補強必要長さにほぼ対応する長さの間で、複数に分割したガイド部材を所定の間隔で設けてもよいこと意味する。
第2の発明は、第1の発明を前提とし、上記ガイド部材の上記鋼板接触面を既存柱の上下方向に伸びる稜部に沿わせるとともに、上記構造体接触面を既存柱に固定し、枠体の上記側面部の内側あるいは外側のいずれか一方の面を上記鋼板接触面に接触させ、上記構造体接触面を上記グラウト材に埋設させてなることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明を前提とし、上記ガイド部材の上記鋼板接触面を既存柱の上下方向に伸びる稜部に沿わせるとともに、上記構造体接触面を既存柱に隣接する既存の構造体に固定し、枠体の上記側面部の内側あるいは外側のいずれか一方の面を上記鋼板接触面に接触させてなることを特徴とする。
なお、上記第2,3の発明において「上記鋼板接触面を既存柱の上下方向に伸びる稜部に沿わせる」とは、鋼板接触面と既存柱の上記稜部とを完全に一致させる場合だけでなく、鋼板接触面と稜部とをわずかにずらしてそれらを平行にする場合も含むものである。
第4の発明は、上記枠体を複数設け、これら枠体を既存柱の上下方向に沿って積層するとともに、上記ガイド部材は、積層したすべての枠体の側面部に沿わせる構成にしたことを特徴とする。
第5の発明は、上記枠体が、前面片とこの前面片に連続する側面片とからなる一対の鋼板を備え、これら鋼板の上記前面片同士を重ね合わせて上記前面部を構成し、これら重ね合わされた上記側面片を上記側面部とし、上記前面片の重ね合わせ量に応じて上記側面部の対向間隔を可変にしたことを特徴とする。
第6の発明は、上記枠体が、上記前面片と側面片とからなる一対の鋼板と、上記一対の前面片の先端部分を重ね合わせて上記前面部を構成する平板状の継鋼板とを備え、上記側面片を上記側面部とし、上記前面片の重ね合わせ量に応じて上記側面部の対向間隔を可変にしたことを特徴とする。
第7の発明は、上記枠体の側面部間にはタイバーをかけ渡したことを特徴とする。
第8の発明は、上記枠体内で複数の上下方向筋を配置し、補強部の幅方向において対向する上記上下方向筋を帯筋で拘束したことを特徴とする。
第9の発明は、上記枠体の外側に帯状シートを貼り付けたことを特徴とする。
第1の発明によれば、ガイド部材の一対の鋼板接触面の間隔を、側面部の設置間隔に合わせて固定することができるため、ガイド部材の鋼板接触面に枠体の側面部を接触させるだけで、当該枠体を既存柱に正対させることができる。したがって、枠体及びグラウト材からなる補強部を既存柱に正対させるための作業が簡単になり、その分、工期を短縮できる。また、補強部を既存柱にきっちりと正対させられるので、地震力が作用したときも、既存柱と、枠体及びグラウト材からなる補強部との間にねじれ力が発生したりせず、所期の補強強度を保つことができる。
さらに、一対のガイド部材は、既存柱の補強必要長さにほぼ対応する長さにわたって既存柱の上下方向長さにほぼ対応する長さを保ち、既存柱に沿って設けられるとともに、既存柱の上下方向に連続した枠体の側面部に接触しているので、このガイド部材の強度を高くすれば、上下方向筋として機能し、枠体で囲まれた補強部の上下方向の曲げ耐力を向上させることができる。
また、ガイド部材の鋼板接触面と枠体の側面部とを固定した場合には、ガイド部材を介して枠体と既存の構造体との結合力が増し、結果として補強部と既存柱との結合力が増加して補強強度をより高めることができる。
第2の発明によれば、既存柱に構造体接触面を固定することによって、既存柱に沿わせた一対の鋼板接触面が所定の位置に固定され、この位置決めされた鋼板接触面に、枠体の側面部を接触させることで、枠体の位置決めが容易にできる。
また、上記鋼板接触面に枠体の側面部の内側の面を接触させた場合には、ガイド部材がグラウト材に埋設されることになるので、このガイド部材の強度を高くすれば、このガイド部材を、グラウト材中に設けた上下方向筋として機能させることができる。そして、このガイド部材の強度を十分に維持することによって、上記上下方向筋の本数を減らすこともできるし、その本数を減らさなくても、上下方向筋と相まって曲げ耐力をさらに向上させることができる。
さらに、枠体にグラウト材を充填したときの圧力によって、構造体接触面が既存柱の稜部に押し付けられて、この構造体接触面が既存柱の枠としても機能するので、既存柱の角を崩れにくくできる。
第3の発明によれば、既存柱の両側に連続する既存の構造体に構造体接触面を固定することによって、既存柱の稜部に沿わせた一対の鋼板接触面が所定の位置に固定され、この位置決めされた鋼板接触面に側面部を接触させて、枠体の位置決めが容易にできる。
また、ガイド部材の構造体接触面が、既存柱の外側で既存の構造体に固定されるので、既存柱の前面に配管などが配置され、既存柱側にガイド部材の構造体接触面を設けることができない場合であっても、ガイド部材を既存の構造体に固定することができる。
第4の発明によれば、複数の枠体を備え、それらを上下方向に積層した場合、言い換えると、枠体を細分化してそれらを積み重ねる場合にも、個々の枠体の位置を安定的に保つことができる。
したがって、各枠体が上下方向において互いに位置ずれを起こしたりせず、枠体及びグラウト材からなる補強部が、上下方向において波打ったりしない。このように補強部が上下方向において波打ったりせず、真っ直ぐになるので、地震力に対する耐力も十分に保つことができる。
しかも、積層された複数の枠体をガイド部材によって連結すれば、各枠体はこのガイド部材を介して一体化できるので、さらなる強度を実現できる。
第5の発明によれば、当該鋼板の生産コストを下げるという利点及びクレーン等の重機を必要としないといった利点を生かしながら、鋼板を細分化することで生じる作業性の悪さを克服できる。
例えば、一対の鋼板のそれぞれの側面片をガイド部材に沿わせるだけで、それらの位置決めが可能になる。このように鋼板を積層する過程で、それら鋼板の位置決めがしっかりしていれば、たとえ3mmという薄い鋼板でも、それらを積層することが簡単になる。また、積層された各鋼板は、ガイド部材に支えられるので、鋼板の積層過程でそれらが崩れ落ちたりしない。
さらに、鋼板の側面片の内側をガイド部材の鋼板接触面に接触させておけば、各枠体を積層する過程で、それら枠体にタイバーを固定するとき、タイバーを固定するナットの締め付け力で鋼板の位置がずれたりしない。また、このときのナットによる締め付け力は、側面片をガイド部材に押し付ける力にもなりうるので、鋼板の位置を固定的に決める役割も担うことになる。したがって、この場合には、タイバーを止める作業が、鋼板の位置を固定的に決める作業を兼ねることになり、その分、作業性が向上することになる。
また、側面片をガイド部材に沿わせるだけでなく、当該側面片をガイド部材にスポット溶接などで仮止めしたり、あるいはボルトでしっかり止めたりすれば、当該鋼板を固定的に位置決めでき、次の鋼板を積層する作業を正確かつ迅速に実行することができるとともに、積層した鋼板が崩れ落ちたりするのを確実に防止できる。
第6の発明では、前面片及び側面片を有する一対の鋼板と継鋼板とによって枠体を構成しているので、継鋼板との重ね合わせ量を変更するだけで側面部の対向間隔を変更できる。そのため、上記一対の鋼板の寸法を固定化しても、上記重ね合わせ量の変更によって、前面部の幅を調整でき、幅の異なる既存柱の補強構造に対応することができる。したがって、前面片及び側面片を有する上記一対の鋼板を標準化することもできる。
また、枠体を3分割して搬送することができるため、特に前面部の幅が大きい枠体の搬送性を向上させることができる。
このような枠体を構成する上記一対の鋼板の側面片は、構造体に固定されたガイド部材の、鋼板接触面に接触させるだけで簡単に位置決めができる。そして、上記継鋼板は、上記位置決めされた一対の鋼板に接触させて支えさせることができるので、継鋼板の位置決めも容易になる。
第7の発明によれば、タイバーは、鋼板の広がりを防止する。特に、鋼板接触面をガイド部材に固定しない場合にでも、グラウト材の充填時に、鋼板が移動しない。
また、タイバーは、横筋としても機能するため、補強部の補強耐力を向上させることができる。
さらに、上記一対の鋼板の位置決め作業時に、上記タイバーを取り付け、ナットを締め付けながら上記側面部を上記鋼板接触面に接触させるようにすれば、タイバーの取り付けと位置決め作業とが同時にできるので作業性はよい。
第8の発明によれば、補強部の幅方向において対向する上下方向筋を、せん断補強筋として機能する帯筋で拘束したので、せん断耐力を向上することができる。従来、上下方向筋を配置しただけでは曲げ耐力が強くなるだけで、せん断耐力が相対的に弱いという耐震構造上の問題が発生していた。しかし、せん断補強筋として機能する帯筋で拘束したので、せん断耐力を向上できるようになり、耐震構造上のバランスに配慮した補強が可能になった。
また、帯筋の配置によって、面内方向または面外方向、あるいは両方向に補強耐力を向上させることができる。帯筋を配置する数や位置によって建造物に応じた構造計算上の必要な補強をすることができるようになった。
加えて、帯筋で複数の上下方向筋を拘束しているため、上下方向筋の座屈を防止できる。
第9の発明によれば、帯状シートによって枠体に靱性を付加し、補強した柱の曲げ耐力をより高めることができる。
また、枠体を複数の鋼板で形成する場合には、それらを帯状シートで連結することができる。
図1は第1実施形態の斜視図で、グラウト材の充填前の状態を示している。 図2は第1実施形態の断面図である。 図3は第1実施形態の枠体を構成する鋼板の斜視図である。 図4は第1実施形態のガイド部材の斜視図である。 図5は第1実施形態の工事手順の説明図である。 図6は第2実施形態の断面図である。 図7は第3実施形態の断面図である。 図8は第3実施形態のガイド部材の斜視図である。 図9は第4実施形態の断面図である。 図10は第5実施形態の断面図である。 図11は第6実施形態の断面図である。 図12は第7実施形態の断面図である。 図13は第8実施形態の枠体を構成する鋼板の斜視図である。 図14は従来の補強構造の断面図である。
図1〜5に示す第1実施形態の補強構造は、前面1aと面一の壁面10、10が連続する既存柱1を補強するものであり、既存柱1の前面1aから一定の間隔を保って一対の鋼板11,12からなる枠体Aを設け、この枠体A内にグラウト材4を充填するものである。
なお、図1はグラウト材4を充填する前の状態を示している。
上記鋼板11,12は、図3に示すように、それぞれ断面形状がL字状であり、既存柱1の前面1aに平行に配置される前面片11a,12aとこれら前面片11a,12aに直交する側面片11b,12bとからなる。そして、各鋼板11,12の上下方向長さを、既存柱1の上下方向長さを複数に分割した長さにしている。
また、上記各側面片11b,12bには、ボルト孔11c,12cが形成されている。このボルト孔11c、12cは、側面片11b,12bと後で説明するガイド部材13,14とを固定するためのタイバー32やボルト15,15を貫通させる孔である。このボルト孔11c,12cは側面片11b、12bの上下方向に沿って複数設けるようにしてもよい。
上記のようにした一対の鋼板11,12の前面片11a,12aの先端同士を重ね合わせるとともにその幅を既存柱1の幅に合わせて、断面形状をコの字状にしたこの発明の枠体Aを構成する。
そして、図1、2に示すように、上記前面片11a,12aは既存柱1の前面から所定の間隔を保って配置されるとともに、上記側面片11b、12bの対向間隔を、既存柱1の幅にほぼ一致させている。
また、上記鋼板11,12は、既存柱1の上下方向に複数連続させて設置され(図1参照)、既存柱1の前面1aを上下方向に沿って覆うようにしている。上記のように一部を重ね合わせた前面片11a,12aがこの発明の枠体Aの前面部を構成し、側面片11b、12bが枠体Aの側面部を構成する。
また、既存柱1の前面1aと上記鋼板11,12の側面片11b,12bとの接合部には、一対のガイド部材13,14が設けられている。
このガイド部材13,14は図4に示すように、それぞれ断面形状をL字状にし、その長さを既存柱1の補強必要長さにほぼ対応する長尺部材である。そして、直角を挟んだ外側の二面のうち、一方の面を構造体接触面13a,14aとするとともに他方の面を鋼板接触面13b,14bとしている。
なお、実施形態1ではガイド部材13,14の長さを既存柱1の補強必要長さにほぼ対応する長さにしているが、既存柱1の補強必要長さにほぼ対応する長さの間で、複数に分割したガイド部材13,14を所定の間隔で設けてもよい。
上記構造体接触面13a,14aには、長手方向に間隔を保って複数の貫通孔13c,14cが形成され、鋼板接触面13b,14bには長手方向に間隔を保って複数の貫通孔13d,14dが形成されている。
上記ガイド部材13,14は、鋼板接触面13b,14bの間隔を上記鋼板11,12の側面片11b,12bの対向間隔に合わせるとともに、上記構造体接触面13a,14aを既存柱1の前面1aに固定されている。そして、上記鋼板接触面13b、14bに、鋼板11,12の側面片11b、12bを接触させることによって、鋼板11,12を位置決めしている。
上記枠体A内には、補強強度に応じて、従来と同様にタイバー32や、一対の上下方向筋30,30が配置される。また、補強部の幅方向において対向する一対の上下方向筋30,30には、その上下方向筋30に直交して帯筋31がかけ渡されている。
上記ガイド部材13,14で各鋼板11,12の位置決めをしながら、補強構造を形成する工程は次のとおりである。
図5に示すように、一対のガイド部材13,14の鋼板接触面13b,14bを、鋼板の側面片11b,12bの設置間隔すなわち既存柱1の幅に合わせるとともに、既存柱1の上下方向に伸びる稜部に沿わせ、構造体接触面13a,14aを既存柱1の前面1aに接触させる。
そして、上記構造体接側面13a,14aの貫通孔13c,14cにねじ部材16を通してナット17を固定する。上記ねじ部材16は、外周に雄ねじを形成した棒状の部材であり、その一端側を既存柱1に形成した図示しない埋め込み穴に挿入して接着剤で固定し、他端側を既存柱1の前面1aから突出させておく。このねじ部材16にナット17を止めて、上記構造体接触面13a,14aを前面1aに固定すると、図5に示すようにガイド部材13,14が既存柱1の幅方向両端において上下方向に伸びる稜部に沿って固定される。
なお、この第1実施形態では、上記鋼板接触面13b,14bを、鋼板の側面片11b,12bの設置間隔に合わせるとともに、既存柱1の稜部に沿わせることによって、ガイド部材13,14の角と既存柱1の角とを一致させている。但し、上記ガイド部材13,14の角と既存柱1の角とが完全に一致せずにその間に多少の距離を保ったとしても、上記稜部とガイド部材13,14の軸線とが平行であれば、鋼板接触面13b,14bを上記稜部に沿わせているものとする。
後述する枠体Aで覆われる補強部には、従来と同様に一対の上下方向筋30,30が配置される。上記上下方向筋30は既存柱1の長手方向に連続している。上記上下方向筋30はスラブや基礎等の既存の構造体に事前に固定しておいたり、既存の構造体によっては階層をまたいで連続させたりしている。
そして、補強部の幅方向において対向する一対の上下方向筋30,30には、その上下方向筋30に直交して帯筋31がかけ渡されている。上記帯筋31の両端は、上下方向筋30の径に合わせて曲げ加工し、上下方向筋30,30のそれぞれを帯筋31の端部で拘束している。帯筋31は図示されていない結束線材等で、軸方向筋30,30と仮止めされる。
上記帯筋31は上下方向筋30,30に沿って複数本配置することができる。既存の建造物が構造計算上必要とされる補強強度によって、帯筋31の数や位置が決まることになる。
上記帯筋31は、帯筋31の端部を合わせ輪状に加工して一対の軸方向筋30,30を拘束してもよい。
図2では、枠体A内に一対の上下方向筋30,30が配置されているが、枠体A内にその他の複数の上下方向筋30を配置しても良い。この配置は、既存の建造物が構造計算上必要とされる補強強度によって決まることになる。
上記一対の上下方向筋30,30の間に複数の上下方向筋30が配置される場合は、一対の上下方向筋30,30を拘束する帯筋31と上記複数の上下方向筋30が交差する点で仮止めされる。
また、既存柱1と前面片11a,12aとの間であって、一対の上下方向筋30,30に並行する位置に複数の上下方向筋30が配置される場合は、一対の上下方向筋30,30に対向する一対の組になる上記複数の上下方向筋30ごとに、一対の上下方向筋30,30と同様に帯筋31で拘束する。
このように既存柱1の前面に並行に配置される帯筋31で拘束された上下方向筋30は、特に耐震力Pが加わる方向に対し、面内方向の耐力を向上させる。
上記のようにしてガイド部材13,14が既存柱1に固定されたら、側面片11b,12bの内側の面を矢印α,βのように近づけて各鋼板接触面13b,14bに接触させ、鋼板11,12を設置する。上記鋼板11,12の設置は、既存柱1の下端側から順に行ない、鋼板11,12を上方に積み上げるようにして既存柱1の上下方向全長にわたって上記前面片11a,12aが既存柱1の前面1aに対向配置されるようにする。
このように、側面片11b,12bをガイド部材13,14の鋼板接触面13b,14bに接触させることによって、全ての鋼板の対向する側面片11b,12bが適性間隔を保って位置決めされる。
この時、上下方向に積層された全ての鋼板11,12は、上記鋼板接触面13b,14bに接触することによってガイド部材13,14の軸線と一致し、全ての枠体Aは軸がずれることなく真っ直ぐに積み上げることができる。
さらに、この第1実施形態では、枠体A内にタイバー32を配置させている。上記鋼板接触面13b,14bに鋼板の側面片11b,12bを接触させながら、側面片間にタイバー32をかけ渡し、タイバー32の端部を側面片の外側に突出させ、その両端をナット33で固定している。タイバー32は、ガイド部材13,14の貫通孔13d,14dと側面片11b,12bの貫通孔11c,12cとを貫通し、側面片11b,12bの外側に突出させたタイバー32の先端にナット33によって固定される。
なお、タイバー32の両端で固定しない場合は、上記鋼板接触面13b,14bに鋼板の側面片11b,12bを接触させながらこれらをボルト15によって固定してもよい。
この場合には、ボルト15は、側面片11b,12bの外側から側面片11b,12bの貫通孔11c,12cとガイド部材13,14の貫通孔13d,14dとを貫通し、枠体内でその先端にナット18が固定される。このナット18は、予め上記貫通孔13d,14dに対応させてガイド部材の貫通孔13b,14bに溶接あるいは接着しておくものとする。
そのため、上記鋼板11,12を積み上げる工程で、位置決めした鋼板11,12は崩れることがないので、真っ直ぐに積み上げる作業の作業性はよい。
この構成でタイバー32を配置させる場合には、ガイド部材13,14と接触していない側面片11b,12bに新たな孔をあけ、タイバー32の先端を貫通させ、ナット33で固定する。
上記のように、既存柱1の上下方向全長にわたって鋼板11,12を配置したら、その外周面に帯状シート6を接着剤によって貼り付けて隣り合う鋼板11,12を連結する。このとき、上下方向に連続する鋼板11,12の接合部分をまたぐように帯状シート6を貼り付け、鋼板11,12がこの帯状シート6によって上下方向にも連結されるようにしている。
なお、帯状シート6を貼りつける際には、上記帯状シート6において上記側面片11b,12bから突出した上記タイバー32に対応する位置に孔をあけ、タイバー32の両方の端部を外方へ突出させながら上記帯状シート6を貼り付け、この帯状シート6が上記タイバー32の端部によって浮き上がることなく鋼板11,12に密着するようにしている。
上記帯状シート6としては、圧力によって膨らみにくく、曲げ耐力を発揮する材質として、例えばアラミドからなる繊維シートなどが適している。
上記のようにして、既存柱1の前面1aに所定の間隔を維持して鋼板11,12からなる枠体Aが配置されたら(図1,2参照)、上記間隔内にグラウト材4を充填し固化させて補強構造を構成する。
この第1実施形態の補強構造は、構造体接触面13a,14aを既存柱1の所定の位置に固定することによって鋼板11,12の各側面片11b,12bの位置及び対向間隔が保持され、前面片11a,12aと既存柱1aとが正対するような鋼板11,12の正確な位置決めが容易になる。
このように上記鋼板11,12の位置決め作業が容易になれば、補強工事の作業性がよくなり、結果として工期短縮ができる。
さらに、既存柱1に対して補強部の位置がずれることもないので、目的の補強強度を実現することができる。
特に、この第1実施形態では、断面形状をL字状にした一対の鋼板11,12によってこの発明の枠体Aを構成するとともに、上下方向に複数の枠体Aを積層している。
一対の鋼板11,12を用いて一つの枠体Aを構成する場合には、個々の鋼板11,12が軽量になるため搬送性が上がるうえ、前面部を構成する前面片11a,12aの重ね合わせ量を変化させて対向する側面片11b,12bの間隔を現場で調整できるというメリットがある。このように現場で側面片11b,12bの間隔が調整できれば、予め形成する個々の鋼板の寸法管理を厳密にしなくてもよくなる。
一方で、一対の鋼板11,12で枠体Aを構成する場合には、一対の側面片11b,12bの位置決めを別々に行なって、各側面片11b,12bの位置とそれらの対向間隔とを保持して枠体Aを組み立てなければならない。そのため、作業が煩雑になり作業性が落ちる可能性もある。
しかし、この第1実施形態では、上記ガイド部材13,14によって上記対向する側面片11b,12bの位置合わせが容易にできる。
また、上下方向に積層する鋼板11,12の側面片11b,12bを、既存柱1の上下方向に連続した鋼板接触面13b,14bに接触させるだけで、既存柱1の上下方向全長にわたって鋼板11,12を適性位置に配置することができる。つまり、既存柱1の囲み方向及び上下方向のいずれにおいても、上記鋼板11,12の位置決めが簡単にでき、位置決め作業の作業性が向上する。
さらに、この第1実施形態の補強構造では、既存柱1の上下方向に連続する一対のガイド部材13,14がグラウト材4に埋設されているので、ガイド部材13,14が所定の強度を備えていれば、これらが上下方向筋として機能し、補強構造の曲げ耐力を向上させることができる。
さらに、既存柱1の稜部に沿った部分には、ねじ部材16の結合力やグラウト材4の圧力によって上記構造体接触面13a,14aを押し付けることになるので、既存柱1の稜部すなわち既存柱1の角を押さえて崩れにくくすることもできる。
特に、構造体接触面13a,14aの面積を大きくすれば、上記ねじ部材16の埋め込み位置を既存柱1の角から離して、既存柱1の角をさらに崩れにくくできるし、既存柱1内の既存の補強筋と干渉しない位置に上記ねじ部材16を埋め込むこともできる。
また、ガイド部材13,14の上記鋼板接触面13b,14bに鋼板の側面片11b,12bをタイバー32の端部をナット33によって固定しているので、位置決めされた鋼板11,12が崩れることがなく、これら鋼板11,12の積層作業がやりやすくなって、作業性が上がるうえ、ガイド部材13,14を介して鋼板11,12と既存柱1との結合力を高めることもできる。
上記一対の鋼板11,12の位置決め作業時に、上記タイバー32を取り付け、ナット33を締め付けながら上記側面片11b,12bを上記鋼板接触面13b,14bに接触させるようにしているため、タイバー32の取り付けと位置決め作業とが同時にできるので作業性はよい。
仮に、上記ボルト15によって位置決めした鋼板11,12の位置が固定される場合は、側面片11b、12bの対向間隔を維持するためのタイバー32や、グラウト材4の充填時に鋼板11,12を外側から押さえる支持部材を省略したり、簡易なものに変更したりすることもできる。
また、上記ボルト15の長さを長くして、その先端側をグラウト材4内に埋設するようにすれば、これがアンカーボルトとして機能し、グラウト材4と鋼板11,12との結合力を強くすることができる。
但し、この第1実施形態では、上記側面片11b,12bは、上記ボルト15でなく、スポット溶接などによって、簡易的に上記鋼板接触面13b,14bに固定するようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、上記構造体接触面13a,14aをねじ部材16によって既存柱1に固定しているが、このねじ部材16におけるグラウト材4内への突出長さを長くすれば、上記ねじ部材16をアンカーボルトとして機能させることができる。このように、ねじ部材16をアンカーボルトとして機能させれば、グラウト材4と既存柱1との結合力が強くなり、補強強度を高めることができる。
この第1実施形態では、複数の上下方向筋30をせん断補強筋として機能する帯筋31で拘束したので、補強部のせん断耐力を向上することができる。従来、上下方向筋30を配置しただけでは曲げ耐力が強くなる一方で、せん断耐力が相対的に弱いという耐震構造上の問題が発生していたが、せん断耐力を向上できるようになり、耐震構造上のバランスに配慮した補強が可能になった。
また、帯筋31の配置によって、面内方向または面外方向、あるいは両方向に補強耐力を向上させることが調整できる。そのため、帯筋31を配置する数や位置によって建造物に応じた構造計算上の必要な補強をすることができるようになった。
加えて、帯筋31で複数の上下方向筋30を拘束しているため、上下方向筋30の座屈を防止する。
図6に示した第2実施形態は、枠体A内の上下方向筋30の本数を増やし、帯筋31の配置を代えた構成を第1実施形態と相違させただけで、その他の構成は第1実施形態と同じである。
上下方向筋30は、枠体A内に既存柱1の長手方向に沿って連続しており、複数本配置されている。上記上下方向筋30は、既存柱1の前面1aと鋼板11,12の側面片11b,12bの直交する隅と、鋼板11,12の前面片11a,12aと側面片11b,12bの直交する隅とに4本配置されている。そして、これら4本の上下方向筋30は、既存柱1と鋼板11,12から所定の間隔を保っている。さらに、鋼板11,12の側面片11b,12bに沿ったそれぞれ2本の上記上下方向筋30の間におけるほぼ中間地点に鋼板11,12から所定の間隔を保ってそれぞれ1本の上下方向筋30が配置されている。枠体A内に配置される複数の上下方向筋30は、縦横に整列して配置される。
なお、第2実施形態では合計6本の上下方向筋30を使用しているが、上下方向筋30を配置する数や位置は、対象となる既存の構造物ごとに異なり、既存の建造物が構造計算上必要とされる補強強度によって決まることになる。
配置された複数の上下方向筋30には、せん断補強筋として機能する帯筋31が複数の上下方向筋30に直交してかけ渡されている。第2実施形態では鋼板11,12の前面片11a,12aと側面片11b,12bに対応する部分に、複数の上下方向筋30を配列した外周にそって帯筋31がかけ渡されている。
上記帯筋31の両端は、軸方向筋30,30の径に合わせて曲げ加工し、枠体A内の既存柱1の前面1aと側面片11b,12bの直交する隅に配置された2本の上下方向筋30をそれぞれ帯筋31の端部で拘束している。帯筋31は図示されていない結束線材等で、複数の上下方向筋30と仮止めされる。
上記帯筋31は上下方向筋30に沿って複数本配置することができる。既存の建造物が構造計算上必要とされる補強強度によって、帯筋31の数や位置が決まることになる。
なお、上記帯筋31は、帯筋31の端部を合わせ輪状に加工して、既存柱1の前面1aと鋼板11,12に対応する部分に、複数の上下方向筋30を配列した外周にそって上下方向筋30を拘束してもよい。
既存柱1の前面1aに並行に配置される帯筋31で拘束された上下方向筋30は、特に地震力Pが加わる方向に対し、面内方向の耐力を向上させる。また、鋼板の側面片11b,12bに並行に配置される帯筋31で拘束された上下方向筋30は、特に地震力Pが加わる方向に対し、面外方向の耐力を向上させる。
なお、複数の上下方向筋30を配置することによって、補強部の補強耐力が向上し、あるいは補強部の断面積が増すことになる。このことによって、地震力Pによって既存柱と補強部との回転力に差が生じ、互いに離れようとする力が大きくなる。そのため、既存柱と補強部の結合強度を強くする必要がある。
そこで、結合強度を向上させるには、ねじ部材34を通常のねじ部材よりも長いものを使用し、既存柱1に上記ねじ部材34の一端を深く埋め込んで固定させるととともに、上記ねじ部材34のもう一方の端部を既存柱1の前面1aから突出させ、上記構造体接側面13a,14aの貫通孔13c,14cに貫通させて、その端部をナット35で固定する。
既存柱1に深く埋め込んで固定したねじ部材34は、図示していない既存柱1の内部に配置された主筋の外周端の内側に配置されていることが良い。ねじ部材34を埋め込む深さや、ねじ部材34の本数は、補強部の体積や強度によって決められる。
上記以外の構成は第1実施形態と同じである。
図7,8に示す第3実施形態は、図8に示すガイド部材13,14を用いた点が上記第1実施形態と異なる。図8に示すガイド部材13,14は、図4に示す第1実施形態のガイド部材13,14の鋼板接触面13b,14bの裏側の面をそれぞれ、鋼板接触面13e,14eとしている。また、上下方向筋30と、帯筋31、及びタイバー32を省略し、上記鋼板接触面13e,14eに鋼板の側面片11b,12bを接触させながら上記タイバー32から、ボルト15を使用して固定する仕様に代えたものである。
その他の構成は上記第1実施形態と同じなので、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を用い、各構成要素の説明は省略する。
この第3実施形態では、ガイド部材13,14の構造体接触面13a,14aをねじ部材16とナット17とによって既存柱1の前面1aに固定してから、ガイド部材13,14の内側になる上記鋼板接触面13e,14eに、鋼板11,12の側面片11b,12bの外側の面を接触させて位置決めをするようにしている。具体的には、対向する上記鋼板接触面13e,14e間に一対の側面片11b,12bを挿入し、これら側面片11b,12bを外側へ向かって開くようにして上記鋼板接触面13e,14eに押し付け、鋼板11,12すなわち枠体Aの位置決めをする。
上記鋼板11,12を位置決めしたら、ボルト15及びナット18によってガイド部材13,14の鋼板接触面13e,14eに側面片11b,12bを固定する。この第3実施形態では、上記ナット18は予め上記側面片11b,12bのボルト孔11c,12c側に取り付けておくものとする。
そして、上記鋼板11,12の外周面に帯状シート6を貼り付け、上記鋼板11,12からなる枠体Aと既存柱1との間隔内にグラウト材4を充填して固化させる。
このように構成した第3実施形態の補強構造は上記第1実施形態と同様に、既存柱1に固定されたガイド部材13,14によって、一対の鋼板11,12の位置決め及び上下方向に積層する際の鋼板11,12の位置決めができる。
また、既存柱1の上下方向に沿って設けられたガイド部材13,14はその強度を強くしておけば、側面片11b,12bの外側で上下方向に沿って接触している鋼板接触面13e,14eが副木のように機能し、上下方向に積層された枠体Aで構成された補強部の曲げ耐力を向上させる。
さらに、上記グラウト材4に埋設された構造体接触面13a,14a側は、グラウト材4内で上下方向筋としても機能する。
さらにまた、上記ねじ部材16及びボルト15の突出長さを長くすることによって、グラウト材4と既存柱1及び鋼板11,12との結合力を強くすることができ、結果として補強強度を上げることができる。
なお、この第3実施形態においても、上記鋼板接触面13e,14eと上記側面片11b,12bとの固定は必須ではない。
上記鋼板接触面13e,14eと上記側面片11b,12bとがボルト15などで固定されていなくても、両側面片11b,12bを上記鋼板接触面13e,14eに押し付けることによって鋼板11,12の位置決めができる。
特に、この第3実施形態で、鋼板接触面13e,14eの面積を大きくすれば、内側から押し付けられる上記側面片11b,12bが広がることを防止できるので、タイバー8(図14参照)を省略し、外部の支持部材も簡易なものにすることができる。
但し、この第3実施形態では、側面片11b,12bが上記鋼板接触面13e,14eの内側に配置されるので、鋼板11,12を位置決めしながら上方へ積層する際には、側面片11b,12bが内側へ移動しないように、上記側面片11b,12bの対向間隔を維持する必要がある。
なお、上記第1,2実施形態の補強構造は、既存柱1の両脇に壁面10などの構造体が連続していなくても、前面1a側からのみ補強工事を行ないたい場合に適用できるものである。
図9に示す第4実施形態の補強構造は、図4に示す第1実施形態のガイド部材13,14を、既存柱1を基準にして図2に示す第1実施形態とは左右反対に用いたものである。そして、この第4実施形態においても、上記第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を用い、各構成要素の説明は省略する。
この第4実施形態では、ガイド部材14,13の構造体接触面14a,13aを、それぞれ既存柱1の稜部に沿わせ、既存柱1の両脇に連続する壁面10,10にねじ部材19及びナット20によって固定している。
上記ねじ部材19は、第1実施形態のねじ部材16と同様に、一端側を壁面10,10に埋め込んで接着するとともに、他端側を壁面10,10から突出させた部材である。この突出部分を、鋼板接触面14a,13aの貫通孔14c,13c(図4参照)に貫通させ、ねじ部材19の外周に形成された雄ねじにナット20を締め付けている。
このように既存柱1の稜部に沿って壁面10,10に固定されたガイド部材14,13の鋼板接触面14b,13bは、既存柱1の幅、すなわち側面片11b,12bの設置間隔を保って対向することになる。
上記一対の鋼板接触面14b,13bが対向するので、これら鋼板接触面14b,13b間に鋼板11,12の側面片11b,12bを挿入し、側面片11b,12bの外側の面を鋼板接触面14b,13bに押し付けるように接触させれば、上記側面片11b,12bの位置決めができ、枠体Aが位置決めされる。
側面片11b,12bが位置決めされたら、これら側面片11b,12bと上記鋼板接触面14b,13bとをボルト15及びナット18によって固定するが、この第3実施形態では、上記ナット18は予め上記側面片11b,12b側に取り付けておくものとする。
そして、上記鋼板11,12の外周面に帯状シート6を貼り付け、鋼板11,12からなる枠体Aと既存柱1との間隔内にグラウト材4を充填して固化させる。
この第4実施形態の補強構造も、上記第1実施形態と同様に、既存柱1に固定されたガイド部材13,14によって、一対の鋼板11,12の位置決め及び上下方向に積層する際の鋼板11,12の位置決め作業が容易になる。また、ガイド部材14,13により曲げ耐力が向上する。
そして、この第4実施形態では、ガイド部材14,13の構造体接触面14a,13aを、既存柱1の前面1aではなく壁面10,10に固定するので、既存柱1の稜部付近であって前面1a側に、例えば配管などがあってガイド部材14,13を沿わせることができないような場所の補強に適している。
なお、この第4実施形態においても、上記鋼板接触面14b,13bと上記側面片11b,12bとの固定は必須ではない。
上記鋼板接触面14b,13bと上記側面片11b,13bとがボルト15などで固定されていなくても、両側面片11b,12bを上記鋼板接触面14b,13bに押し付けることによって鋼板11,12の位置決めができる。
但し、この第4実施形態でも、鋼板11,12を位置決めしながら上方へ積層する際には、側面片11b,12bが内側へ移動しないよう、上記側面片11b,12bの対向間隔を維持する必要がある。
また、上記側面片11b,12bを固定しない場合には、一対の鋼板11,12がグラウト材の圧力で移動しないように、外部に支持部材などを設けることが好ましい。但し、上記鋼板接触面14b,13bの面積を大きくしておけば、グラウト材4の圧力が作用しても一対の側面片11b,12bの対向間隔を保持できるため、上記支持部材を簡略化したり、省略したりすることができる。
図10に示す第5実施形態は、図8に示す第3実施形態のガイド部材13,14を、第4実施形態と同様に配置したものである。
なお、この第5実施形態においても、上記第1,3実施形態と同様の構成要素には、上記と同じ符号を用いている。
すなわち、既存柱1の左右に連続する壁面10,10にそれぞれガイド部材14,13の構造体接触面14a,13aをねじ部材19及びナット20で固定している。これにより、鋼板接触面14e,13eがほぼ既存柱1の幅の間隔を保って外方に向いて配置されることになる。これら鋼板接触面14b,13bに鋼板11,12の側面片11b,12bの内側の面を接触させることによって側面片11b,12bの位置決めができ、枠体Aの位置が決まる。
そして、位置決めされた側面片11b,12bをそれぞれ鋼板接触面14e,13eにボルト15及びナット18によって固定する。この第4実施形態では、上記ナット18は予め上記ガイド部材14,13側に取り付けておくものとする。
そして、上記鋼板11,12の外周面に帯状シート6を貼り付け、鋼板11,12とからなる枠体Aと既存柱1との間隔内にグラウト材4を充填して固化させる。
この第5実施形態の補強構造も、上記他の実施形態と同様に、上記他の実施形態と同様に、既存柱1に固定されたガイド部材14,13によって、一対の鋼板11,12の位置決め及び上下方向に積層する際の鋼板11,12の位置決め作業が容易になる。
また、既存柱1の上下方向に沿って壁面10,10に固定されたガイド部材13,14の強度を強くしておけば、グラウト材4内に埋設された鋼板接触面14e,13e側の部分が上下方向筋として機能し、補強構造の曲げ耐力を向上させることができる。
なお、この第5実施形態においても、上記鋼板接触面14b,13bと上記側面片11b,12bとの固定は必須ではない。これらを固定しなくても、上記側面片11b,12の位置決めは容易にできる。
但し、上記鋼板接触面14e,13eを固定しない場合には、グラウト材4の充填時に一対の鋼板11,12がグラウト材の圧力で移動しないように、外部に支持部材を設けるか、タイバー32などを用いる必要がある。そして、上記第1実施形態と同様に、上記タイバー32を取り付けながら鋼板11,12を積層することによって、その作業性が上がる。
この第5実施形態も、上記第3実施形態と同様に既存柱1の両端付近であって前面1a側に配管などがある場合の補強に適した構造である。
上記第4,5実施形態は、構造体接触面13a,14aを壁面10に固定しているが、既存柱1の両側に面一に連続する構造体は壁面10,10に限らない。例えば既存柱1に面一に梁が結合されている場合には、その梁に上記構造体接触面13a,14aを固定して枠体Aを配置することもできる。構造体接触面13a,14aを梁に固定して枠体Aを配置すれば、梁との結合部分も含めて既存柱1を補強することができ、さらに補強強度を上げることができる。
図11に示す第6実施形態は、一つの枠体Bを一対のL字状の鋼板21,22と平板状の継鋼板23とで構成している点が、第1実施形態と異なるが、その他の構成は第1実施形態と同じである。
なお、この第6実施形態においても、上記第1実施形態と同様の構成要素には、上記と同じ符号を用いている。
上記鋼板21,22は、既存柱1の前面1aに対向する前面片21a,22aとこれに直交し、上記枠体Bの側面部を構成する側面片21b,22bとからなり、これら鋼板21,22の形状は対称形である。
上記一対の21b,22bは、第1実施形態と同様に、既存柱1に固定したガイド部材13,14によって位置決めされるが、この時、鋼板21,22の前面片21a,22aは重ならずに、その先端が間隔を保って対向するか、つき合わせとなる寸法にしている。
そして、上記継鋼板23の両端に上記前面片21a,22aの先端部分を重ね合わせて、前面片21a,22aの対向間隔を塞き、枠体Bの前面部を構成している。
このようにした第6実施形態も、ガイド部材13,14によって一対の側面片21b,22bの位置決めが容易にできる。ここでは、図示のように、一対の鋼板21,22が、前面片21a,22aが間隔を保って対向した状態で固定される。
上記一対の鋼板21,22が固定されたら、継鋼板23は、上記鋼板21,22に接触させるだけで位置決めできる。結果として、枠体Bの位置決めが容易にできることになる。
但し、複数の枠体Bを上下方向に積層する際には、上記鋼板21,22に接触させて位置決めした継鋼板23を、鋼板21あるいは22にスポット溶接やビス止めなどで仮止めしながら積層する必要がある。
また、この第6実施形態においても、上記実施形態と同様に上下方向に連続するガイド部材13,14が曲げ耐力を向上させる。
この第6実施形態は、上記継鋼板23と上記一対の前面片21a,22aとの重ね合わせ量を変更することによって側面片21b,22bの対向間隔を調整できるため、予め各鋼板21,22,23の寸法管理を厳密にしなくてもよくなる。特に、継鋼板23を介在させて前面部を構成するようにしたので、一対の前面片21a,22aの寸法を固定化したとしても、継鋼板23との重ね合わせ量を変更するだけで、幅の異なる既存柱1の補強に対応することができる。
また、前面部を3分割して搬送することができるため、特に前面部の幅が大きい枠体Bの搬送性を向上させることができる。
なお、継鋼板23を用いた枠体Bの構成は、上記第1〜5実施形態のいずれにも適用することができる。
上記第1〜6実施形態は、断面形状が四角形の既存柱1の前面1aを補強する補強構造であったが、断面形状が四角形ではなく、前面が一平面ではない既存柱を補強する実施形態を図12に示す。
図12に示す第7実施形態は、断面形状が六角形の既存柱24の前面24aを、一対の鋼板25,26からなる枠体Cで囲んで補強する補強構造である。
なお、この第7実施形態においても、上記他の実施形態と同様の構成要素には、上記と同じ符号を用いている。
上記前面24aは一つの平面ではなく、3つの平面で構成されているが、この前面24aを囲む鋼板25,26は、それぞれ上記24aに対して一定の間隔を保って配置されるように曲げ加工された前面片25a,26aとこれらに連続する側面片25a,26aとからなる。
そして、上記前面片25a,26aの先端側を重ね合わせて枠体Cの前面部を構成し、一対の側面片25b,26bで枠体Cの側面部を構成している。この枠体Cは、上記前面片25a,26aの重ね合わせ量に応じて上記側面片25b,26bの対向間隔を変更できるものである。
また、上記前面24aと側面片25b,26bとの間には、ガイド部材27,28を設けているが、これらのガイド部材27,28は、上記ガイド部材13,14と同様に既存柱24の上下方向長さを備えた部材である。但し、ガイド部材27,28は、構造体接触面27a,28aと鋼板接触面27b,18bとの角度を、側面片27b,28bと上記前面24aとで形成される角度に合わせたものである。
そして、上記構造体接触面27a,28aを既存柱24の幅方向両端に合わせてねじ部材16及びナット17で固定してから、鋼板接触面27b,28bに鋼板の側面片25b,26bを接触させることで、鋼板25,26の位置決めができる。
この第7実施形態でも、各鋼板25,26の上記ガイド部材27,28によって、各鋼板25,26の位置決め作業が容易になるとともに、ガイド部材27,28によって曲げ耐力を上げることができる。
また、ガイド部材は、上記のように構造体接触面27a,28aと鋼板接触面27b,28bとの角度を適当に調整すれば、様々な形状の既存柱の前面を補強する際に枠体の位置決め作業を容易にすることができる。
図13に示した第8実施形態は、枠体の構成を第1実施形態と相違させただけで、その他の構成は第1実施形態と同じである。
上記枠体を構成する一対の鋼板36,37は、第1実施形態で使用される断面L字状の鋼板11,12の所定の縁にリブを形成しているものである。
上記鋼板36,37は、図13で示すように、既存柱1の表面1aに平行に配置される前面片36a,37aと、これら前面片36a,37aに直交する側面片36b、37bとからなる。そして、上記鋼板36,37の上下方向の長さは、既存柱1の上下方向の長さを複数に分割した長さにしている。
前面片36a,37aが側面片36b、37bに直交する反対側の縁には、前面片36a,37aに直交する縦リブ38が側面片36b、37bと平行にL字の内側に向かって形成されている。また、前面片36a,37aの上下の縁には、前面片36a,37aに直交する前面横リブ39がL字の内側に向かって形成される。さらに側面片36b、37bの上下のガイド部材13,14の鋼板接触面13b,14bが接しない部分の縁には、側面片36b、37bに直交する側面横リブ40がL字の内側に向かって形成されている。
なお、この第8実施形態では、側面片36b、37bに形成された側面横リブ40はガイド部材13,14の鋼板接触面13b,14bに当たって、側面片36b、37bと鋼板接触面13b,14bとの接触を妨げることはない。しかし、仮に側面横リブ40を側面片36b,37bの幅方向全長に長くすることによって、ガイド部材13,14の鋼板接触面13b,14bが側面横リブ40に当たり側面片36b、37bと鋼板接触面13b,14bとの接触を妨げる場合は、側面横リブ40を側面片36b,37bに沿ってスリット加工して、側面片36b、37bと鋼板接触面13b,14bとを接触させる。
また、上記各側面片36b、37bには、ボルト孔36c,37cが形成されている。このボルト孔36c、37cは、ガイド部材13,14を固定するためのタイバー32やボルト15,15を貫通させる孔である。このボルト孔36c,37cは側面片36b、37bの上下方向に沿って複数設けるようにしてもよい。
なお、上記各リブは、リブを構成する板片を溶接したり、あるいは鋼板を折り曲げたりして形成される。
上記のようにした一対の鋼板36,37の前面部36a,37aに形成した縦リブ38どうしを突合せるとともに、一対の鋼板36,37で形成された枠体の幅を既存柱1の表面1aの両端に設置したガイド部材13,14に合わせて、断面形状をコの字状にして上記枠体を構成する。
そして、上記前面部36a,37aを既存柱1の前面1aから所定の間隔を保って配置するとともに、上記側面片36b、37bをガイド部材13,14の鋼板接触面13b,14bに接触するようにしている。
なお、上記鋼板36,37は、ガイド部材13,14の鋼板接触面が側面片36b、37bの内側で接触する構成にある実施形態ならば、第1実施形態と同様に利用することができる。
さらに、図示していない側面片の幅方向全長と同じ、もしくはほぼ同じ側面横リブ40を有する鋼板36,37については、ガイド部材13,14の鋼板接触面が側面片36b、37bの外側で接する場合に利用される。
上記鋼板36,37からなる枠体を、既存柱1の軸方向に複数連続させて積層し、これら枠体で既存柱1の前面1aを軸方向に沿って覆うようにしている。
上記以外の構成は第1実施形態と同じである。また、このようにした第8実施形態における補強構造としての機能は、第1実施形態と同じである。
上記第1〜8実施形態では、既存柱の囲い方向に複数の鋼板を配置して一つの枠体を構成しているが、1枚の鋼板で前面部と両側に連続する一対の側面部を有する一つの枠体を構成するようにしてもよい。
その場合には、一対の側面部の対向間隔が、予め既存柱の幅に合わせて形成されていることになるが、上記対向する側面部を既存柱に固定したガイド部材の鋼板接触面に接触させることによって、枠体の前面部と既存柱とを正対させることができる。つまり、1枚の鋼板で構成された枠体も、この発明の一対のガイド部材を用いることによって既存柱の幅方向の位置合わせが容易にでき、補強部がずれてしまうことを防止できる。
また、上記各実施形態において、既存柱1,24の前面1a,24aであって、他の部材や既存の配管などと干渉しない位置に、従来と同様のアンカーボルト7,7(図14参照)を打ち込んで、グラウト材4と既存柱1,24との結合力を高めたりすることができる。
さらに、上記実施形態1〜8では外周面に帯状シート6を貼り付けているが、この帯状シート6は必須ではない。また、既存柱の囲い方向に配置される複数の鋼板や上下方向に配置される複数の枠体同士の結合方法は、限定されず溶接などでもかまわない。
但し、帯状シート6を貼り付けることによって、既存柱の囲い方向に配置される複数の鋼板や上下方向に配置される複数の枠体同士を確実に結合できるとともに、帯状シートの靱性によってさらなる強度向上が期待できる。
また、上記実施形態では、断面形状がL字または略L字形状の一対のガイド部材を用いているが、この発明のガイド部材としては、既存柱の上下方向長さを備え、構造体接触面と鋼板接触面とを備えていればよく、断面形状は限定されない。例えば、ガイド部材は四角柱や三角柱などでもよい。
既存柱の一方の面側のみ補強する場合に適している。
A,B,C 枠体
1 既存柱
4 グラウト材
6 帯状シート
10 壁面
11,12 鋼板
11a,12a 前面片
11b,12b 側面片
13,14 ガイド部材
13a,14a 構造体接触面
13b,14b 鋼板接触面
13e,14e 鋼板接触面
21,22 鋼板
21a,22a 前面片
21b,22b 側面片
23 継鋼板
24 既存柱
24a 前面
25,26 鋼板
25a,26a 前面片
25b,26b 側面片
27,28 ガイド部材
27a,28a 構造体接触面
27b,28b 鋼板接触面
30 上下方向筋
31 帯筋
32 タイバー
34 ねじ部材
36,37 鋼板
38 縦リブ
39 前面横リブ
40 側面横リブ

Claims (9)

  1. 1又は複数の鋼板で構成され、前面部とこの前面部の両側における一対の側面部とを備えた枠体の上記側面部を既存柱の上下方向に沿わせて、上記前面部と既存柱の前面との間に上記側面部に相当する間隔を保ち、この間隔にグラウト材を充填し、既存柱を補強するコンクリート柱の補強構造において、
    既存柱の補強必要長さにほぼ対応する長さにわたって一対のガイド部材を備え、
    このガイド部材は、上記枠体の側面部に接触する鋼板接触面と、既存柱あるいは既存柱に隣接する既存壁等の既存の構造体に接触する構造体接触面とを備え、上記鋼板接触面を上記枠体における上記一対の側面部の設置間隔に合わせて既存柱の上下方向に沿わせるとともに、上記構造体接触面を既存柱又は既存柱に隣接する既存の構造体に固定してなるコンクリート柱の補強構造。
  2. ガイド部材の上記鋼板接触面を既存柱の上下方向に伸びる稜部に沿わせるとともに、上記構造体接触面を既存柱に固定し、枠体の上記側面部の内側あるいは外側のいずれか一方の面を上記鋼板接触面に接触させ、上記構造体接触面を上記グラウト材に埋設させてなる請求項1記載のコンクリート柱の補強構造。
  3. ガイド部材の上記鋼板接触面を既存柱の上下方向に伸びる稜部に沿わせるとともに、上記構造体接触面を既存柱に隣接する既存の構造体に固定し、枠体の上記側面部の内側あるいは外側のいずれか一方の面を上記鋼板接触面に接触させてなる請求項1記載のコンクリート柱の補強構造。
  4. 上記枠体を複数設け、これら枠体を既存柱の上下方向に沿って積層するとともに、上記ガイド部材は、積層したすべての枠体の側面部に沿わせる構成にした請求項1〜3のいずれか1に記載のコンクリート柱の補強構造。
  5. 上記枠体は、前面片とこの前面片に連続する側面片とからなる一対の鋼板を備え、これら鋼板の上記前面片同士を重ね合わせて上記前面部を構成し、これら重ね合わされた上記側面片を上記側面部とし、上記前面片の重ね合わせ量に応じて上記側面部の対向間隔を可変にした請求項1〜4のいずれか1に記載のコンクリート柱の補強構造。
  6. 上記枠体は、上記前面片と側面片とからなる一対の鋼板と、上記一対の前面片の先端部分を重ね合わせて上記前面部を構成する平板状の継鋼板とを備え、上記側面片を上記側面部とし、上記前面片の重ね合わせ量に応じて上記側面部の対向間隔を可変にした請求項1〜4のいずれか1に記載のコンクリート柱の補強構造。
  7. 上記枠体の側面部間には、タイバーをかけ渡した請求項1〜6のいずれか1に記載のコンクリート柱の補強構造。
  8. 上記枠体内には、複数の軸方向筋を配置し、補強部の幅方向において対向する軸方向筋を帯筋で拘束した請求項1〜7のいずれか1に記載のコンクリート柱の補強構造。
  9. 上記枠体の外側に帯状シートを貼り付けた請求項1〜8のいずれか1に記載のコンクリート柱の補強構造。
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