以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明が適用された携帯式プリンター1の外観斜視図であり、図2は、携帯式プリンター1の内部構成を示した概略縦断面図である。
これらの図における携帯式プリンター1(以下、プリンター1という)は、主として、ハウジング2と、供給部21と、位置検出部22と、印字部23と、バッテリー収納室25と、アダプター接続端子26(外部電源接続端子)と、入力部27と、表示部28(表示手段)と、制御部29と、電源スイッチ30と、を備えて構成されている。
ハウジング2は、プリンター1の外壁を形成してプリンター1の内部と外部とを画成すると共に、プリンター1を構成する各種部品を支持してプリンター1として一体の装置を構成している。
このハウジング2は、プリンター1を作業者が携帯できるような大きさに形成されており、ハウジング2の上部、即ち、プリンター1の上面の左右隅部には一対のベルト掛け部32が設けられている。作業者は、その一対のベルト掛け部32に肩掛けベルトを取り付けて肩に掛けることで、ベルト掛け部32を上側にした状態でプリンター1を肩から吊り下げて携帯することができる。
供給部21は、プリンター1内の底部に設けられており、印字用紙である未使用のラベル連続体9を収容し、そのラベル連続体9を印字部23に供給する。
ラベル連続体9は、帯状の台紙34と、その台紙34上に一定間隔で仮着された複数枚のラベル片35とから構成されている。供給部21には、そのラベル連続体9をロール状に巻回したものが収容される。供給部21から印字部23にラベル連続体9を供給する際には、供給部21のロール状のラベル連続体9が外周側から帯状に繰り出される。
ラベル片35は、いわゆるサーマルラベルであって、その表面に感熱発色層が塗工されている。このラベル片35に熱を加えると、その部分が発色する。
なお、台紙34の裏面側には、所定ピッチで位置検出用マーク36があらかじめ印刷されている。
また、プリンター1の前面(正面)の下部には、開閉カバー3が設けられている。この開閉カバー3は、下方隅部のカバー軸17のまわりに回転可能に支持されており、この開閉カバー3の開閉によってプリンター1の内部を外部に露呈させ、又は、内部を外部から遮蔽することができるようになっている。
開閉カバー3の開閉機構についての構成は省略するが、プリンター1の前面に設けられた開放用押しボタン43を押すと、開閉カバー3を開放することができる。そしてロール状のラベル連続体9を供給部21に挿入した後、開閉カバー3を閉鎖することによりラベル連続体9を供給部21の規定位置に収容することができる。
位置検出部22は、位置検出センサー37を有している。位置検出センサー37は、例えば開閉カバー3に取り付けられており、供給部21から繰り出されたラベル連続体9が搬送される用紙搬送路のうち、印字部23(サーマルヘッド7)よりも上流側の位置において用紙搬送路に対向して配置されている。
この位置検出センサー37が、用紙搬送路に沿って搬送されているラベル連続体9の位置検出用マーク36を検出することによって、印字部23に対するラベル連続体9(ラベル片35)の相対位置が検出され、ラベル片35に対して適切な位置に印字が行われる。
印字部23は、プリンター1内の前側であって上下方向の中央付近に配置されており、サーマルヘッド7と、プラテンローラー8と、駆動モーター38とを備えている。
サーマルヘッド7は、例えばハウジング2に取り付けられており、ラベル連続体9を搬送する用紙搬送路よりも上側に配置されている。サーマルヘッド7には、用紙搬送路の搬送面(ラベル連続体9が走行する面)に平行で、かつ、ラベル連続体9の搬送方向に対して直交する方向に沿って列状に配列された複数の発熱素子7Aが設けられており、それらの発熱素子7Aが用紙搬送路のラベル連続体9のラベル片35に接触すると共にラベル片35に熱を加えてラベル片35を発色させる。
プラテンローラー8は、例えば開閉カバー3に取り付けられおり、用紙搬送路の下側においてサーマルヘッド7に対向して配置されている。このプラテンローラー8が用紙搬送路のラベル連続体9の裏面に当接することによって、ラベル連続体9の表面側のラベル片35をサーマルヘッド7の発熱素子7Aに押し当てる。
また、プラテンローラー8は中心軸となるプラテンローラー軸13を備え、そのプラテンローラー軸13が用紙搬送路の搬送面に平行で、かつ、ラベル連続体9の搬送方向に対して直交する方向に沿って配置されると共に回転可能に支持されている。
そのプラテンローラー軸13の一方の端部には、プラテンローラーギア39が設けられている。
駆動モーター38は、例えばハウジング2に取り付けられており、プリンター1内の前側であってサーマルヘッド7よりも上側に配置されている。駆動モーター38には、その動力により回転する連結ギア40が不図示の動力伝達機構を介して連結されており、その連結ギア40がプラテンローラーギア39に噛合している。
これによって、駆動モーター38の動力によりプラテンローラー8が回転し、用紙搬送路のラベル連続体9(ラベル片35)がサーマルヘッド7の発熱素子7Aに接触しながら搬送されるようになっている。
このように構成された印字部23によれば、供給部21から印字部23に供給されたラベル連続体9がサーマルヘッド7の発熱素子7Aとプラテンローラー8との間に挟持されるとともに、駆動モーター38によりプラテンローラー8が回転駆動されてラベル連続体9がラベル片35を発熱素子7Aに接触させながら搬送される。そして、ラベル連続体9の搬送と共に制御部29からサーマルヘッド7に与えられる印字データに基づいて発熱素子7Aの発熱が制御されることで、ラベル連続体9(ラベル片35)にサーマル印字が行われる。
印字が行われたラベル連続体9は、プリンター1の前面に設けられた発行口44を通じてプリンター1の内部から外部に排出される。
バッテリー収納室25は、プリンター1内の後側であって上下方向の中央付近に配置されており、充電バッテリー24を収脱可能に収容している。
充電バッテリー24は、例えば、リチウムイオン二次電池であり、プリンター1の各部に電力を供給する。
なお、充電バッテリー24として、ニッケル・水素蓄電池やニッケル・カドミウム蓄電池等のリチウムイオン二次電池以外の種類の二次電池を採用することもできる。
プリンター1の一方の側面には、開閉可能なバッテリーカバー25Aが設けられており、バッテリーカバー25Aを開放することによって、バッテリー収納室25に充電バッテリー24を収容し、または、バッテリー収納室25から充電バッテリー24を取り外すことできる。
アダプター接続端子26は、プリンター1のバッテリーカバー25Aと反対側の側面に設けられている。このアダプター接続端子26には、外部電源として、交流商用電源に接続したACアダプター41を接続することができ、それによりバッテリー収納室25に収容された充電バッテリー24の充電を行うことができるようになっている。
なお、交流商用電源の電源コンセントにACアダプター41の電源プラグを差し込むことによってACアダプター41が交流商用電源に接続され、ACアダプター41の出力端子(出力プラグ)をプリンター1のアダプター接続端子26(ジャック)に差し込むことによってACアダプター41がアダプター接続端子26に接続される。ACアダプター41は、交流商用電源を所定電圧の直流電源に変換してプリンター1に供給する。
入力部27は、プリンター1の前面の上側に設けられており、この入力部27に対する操作によりプリンター1に必要なデータやコマンドの入力を行うことができる。
表示部28は、プリンター1の前面において入力部27に隣接して設けられており、入力部27により入力された情報やその他の必要な情報が表示部28により表示される。
制御部29は、プリンター1内の上部に配置されており、電子基板29A、29B上に実装された電子部品等から構成されている。この制御部29は、上述した位置検出部22、印字部23、充電バッテリー24、アダプター接続端子26、入力部27、表示部28との間でデータ、コマンド、電源の授受を行うとともに、これらを適宜制御する。
電源スイッチ30は、プリンター1の前面のほぼ中央部に設けられており、電源スイッチ30を押下操作するごとに、プリンター1の電源がオンとオフとで切り替えられるようになっている。
図3は、図2に示した制御部29の構成例を示すブロック図である。
制御部29は、CPU(central processing unit:中央演算装置)51と、ROM(read only memory)52と、RAM(random access memory)53と、搬送制御回路54と、印字制御回路55と、用紙検出回路57と、通信インタフェース58(通信手段)と、IOポート59と、電源部60とを含んでおり、これらはバスラインを介して相互に接続されて、各種データの送受が相互に行うことができるようになっている。
各部の主な作用について簡単に説明すると、CPU51は、所定の制御プログラムを実行することによって、制御部29全体を統括的に制御するとともに、各部に所要の処理や制御を実行させる。
ROM52は、CPU51が読み出して実行する上記制御プログラムを記憶している。
RAM53は、CPU51が実行する処理に必要な各種データや印字に必要な印字データ、印字フォーマットなどを記憶する。
搬送制御回路54は、CPU51からの指示信号に従いプラテンローラー8に連結された駆動モーター38を制御し、プラテンローラー8の回転/停止を制御する。これにより、用紙搬送路のラベル連続体9の搬送が制御される。
印字制御回路55は、CPU51から供給される印字すべき文字、図形、およびバーコードなどの印字データに対応する印字信号を生成し、その印字信号をサーマルヘッド7に供給してラベル連続体9への印字を行う。
用紙検出回路57は、位置検出部22の位置検出センサー37により用紙搬送路のラベル連続体9が有する上記の位置検出用マーク36を検出してCPU51にその情報を与える。CPU51は、搬送制御回路54によるラベル連続体9の搬送の制御と共に、用紙検出回路57からの情報に基づいてサーマルヘッド7による印字のタイミングを制御してラベル片35の適切な位置への印字を実施する。
通信インタフェース58は、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部機器(ホスト機器70)と接続して通信を行うためのものであり、印字データを供給するホスト機器70との間で印字データやコマンドの送受信を行うことができるようになっている。通信インタフェース58としては無線によるものが望ましく、例えば、2.45GHz帯の電波を利用したBluetooth(登録商標)規格のインタフェースが採用される。ただし、通信インタフェース58は、赤外線を利用したIrDA(Infrared Data Association)規格の通信インタフェースや、無線LANに用いられる規格の通信インタフェース等、任意の規格の無線通信インタフェースでよい。また、有線により通信を行うための通信インタフェースであってもよい。
IOポート59は、表示部28及び入力部27が接続され、CPU51から供給される表示すべき情報を示す表示データを表示部28に出力してその情報を表示部28に表示させる。また、入力部27の操作に対応した操作信号をCPU51に与える。
電源部60は、電源スイッチ30に対する押下操作を監視し、電源スイッチ30の操作に基づいて、充電バッテリー24から各部(各負荷)への電力供給の実施と停止とを切り替えてプリンター1の電源のオン/オフを切り替える。また、ACアダプター41のアダプター接続端子26への接続を監視し、接続が行われた場合には、充電バッテリー24への充電を制御する。この電源部60の構成、作用について次に詳説する。
図4は、図3の電源部60の構成を示したブロック図である。なお、同図において各ブロック間の接続線は、電力又は信号の送受が行われるブロックを結ぶものであり、必ずしも回路図における配線を示すものではない。ただし、電力の送受を示す接続線は、接地線を省略して電源線のみを示したものに相当する。
同図において、電源部60は、バッテリー収納室25に収容された充電バッテリー24と、電源制御回路100と、電源供給回路102と、充電回路104(充電手段)と、アダプター接続検出回路106と、温度センサー108と、アダプター接続端子26とから構成されており、充電バッテリー24以外の回路は充電バッテリー24又はアダプター接続端子26に接続されたACアダプター41からの電力によって動作するようになっている。
電源スイッチ30は、図1〜図3に示したようにプリンター1の電源をオン/オフする際に作業者によって押下操作される例えば自動復帰型スイッチであり、押下操作が行われているか否かを示す操作信号を電源制御回路100に与える。なお、プリンター1の電源をオンする旨の記載は、プリンター1が有する全ての機能を使用できる通常使用の状態、即ち、印字動作可能な状態にすることを示す。
アダプター接続検出回路106は、アダプター接続端子26の例えば正極側の電圧を検出してアダプター接続端子26にACアダプター41が接続されているか否かを検出する。そして、その検出結果を示す検出信号を電源制御回路100に与える。
温度センサー108は、プリンター1の内部の温度を検出する例えばサーミスタであり、検出した温度を示す温度信号を電源制御回路100に与える。
この温度センサー108は、本来、プリンター1の使用環境温度が動作保証温度の範囲内でない場合にプリンター1の使用を制限する動作保証機能に用いられているものであるが、本実施の形態では、充電時における充電バッテリー24の温度を検出する目的でその温度センサー108を兼用している。
ここで、本実施の形態の充電バッテリー24として使用されるリチウムイオン二次電池は、充電を行う際の電池セルの温度範囲がメーカーにより規定されている。その温度範囲を本明細書ではメーカー規定温度範囲といい、そのメーカー規定温度範囲を、図6に示すように下限温度Tamin以上で、かつ、上限温度Tamax以下の温度範囲とする。具体値の例としては、下限温度Taminが0度、上限温度Tamaxを45度である。ただし、メーカー規定温度範囲は、メーカーによって相違するためこれに限らない。
一般に携帯機器に使用される充電バッテリーとしては、パック(外装ケース)内に電池セルの温度を検出するサーミスタを内蔵したものや、さらに、サーミスタで検出した温度が異常温度となった場合に充電を停止する保護回路を内蔵したものが知られているが、そのような充電バッテリーは高価である。
そこで、本実施の形態では、充電バッテリー24として、サーミスタや保護回路を内蔵しない安価なものを使用できるようにし、その場合であっても、メーカー規定温度範囲で充電が行われるように、プリンター1が動作保証機能のために使用している温度センサー108を兼用して充電バッテリー24の温度を検出し充電制御に利用している。
また、温度センサー108は、図2に示したようにプリンター1の内部のバッテリー収納室25よりも上側の制御部29に配置されるが、温度センサー108の検出温度が、できるだけ充電バッテリー24の温度(電池セルの温度)を反映したものとなるように、バッテリー収納室25に近い位置に配置される。
例えば、制御部29は2枚の電子基板29A、29Bを有し、それらの板面が水平方向となるようにして上下に並べて配置されている。温度センサー108は、それらの電子基板29A、29Bのうちのバッテリー収納室25に近い下側の電子基板29Bに実装され、また、その電子基板29Bの表裏の2面のうちのバッテリー収納室25に対向する面側で、かつ、バッテリー収納室25に近い位置に実装されている。
なお、温度センサー108は、必ずしも上述の位置に配置されている必要はなく、電子基板29A、29Bから離れた位置に配置されていてもよい。ただし、その場合でもバッテリー収納室25に近い位置であることが望ましい。また、電子基板29A、29Bに配置する場合には、バッテリー収容室25に最も近い位置に配置することが、より好ましい。
さらに、バッテリー収納室25に近い位置に温度センサー108を配置した場合であっても、温度センサー108の検出温度は、必ずしも充電バッテリー24のパック内の電池セルの温度と正確には一致しない。そこで、温度センサー108の検出温度と、充電バッテリー24の電池セルの実際の温度との差を実測などに基づいて事前に把握し、それを考慮することによって、温度センサー108の検出温度に対して充電を行う温度範囲がメーカー規定温度範囲とは必ずしも一致しない範囲に事前に決められて設定されている。
そのようにして設定される検出温度の範囲を本明細書では、充電可能温度範囲、その充電可能温度範囲内の温度を充電可能温度というものとし、図6のように充電可能温度範囲は、下限温度Tbmin以上で、かつ、上限温度Tbmax以下の温度範囲に設定される。具体値の例としては、下限温度Tbminが0度、上限温度Tbmaxが40度である。ただし、下限温度Tbminと上限温度Tbmaxの値はこれに限らない。
また、充電バッテリー24の温度という場合には、温度センサー108による検出温度を示すものとすると、本実施の形態では、充電バッテリー24の温度が充電可能温度である場合にのみ充電バッテリー24の充電が行われるようになっている。
電源制御回路100は、電源スイッチ30、アダプター接続検出回路106、及び、温度センサー108の各々から与えられる信号により電源スイッチ30の押下操作の有無、ACアダプター41のアダプター接続端子26への接続の有無、及び、充電バッテリー24の温度等の情報を取得し、取得した情報に基づいて、電源供給回路102と充電回路104の動作を制御する。その制御の具体的な内容については後述する。なお、電源制御回路100は、充電バッテリー24の温度情報を取得する温度情報取得手段、後述のように充電制御を行う充電制御手段として作用する。
電源供給回路102は、充電バッテリー24とアダプター接続端子26とに接続されており、プリンター1において電源(電力)の供給を必要とする全ての負荷(全ての回路)に対して負荷側が電力を要する状態であれば充電バッテリー24からの電源を供給する状態(バッテリー電源供給状態という)と、後述の一部の負荷に対して負荷側が電力を要する状態であればアダプター接続端子26に接続されたACアダプター41からの電源を供給する状態(外部電源供給状態という)と、全ての負荷に対して電源の供給を不能にする状態(電源供給不能状態という)と、を切り替わるようになっている。
なお、電源供給回路102は、充電バッテリー24の出力電圧や、アダプター接続端子26に接続されたACアダプター41の供給電圧を、電源を供給する各負荷に対応した電圧に変換する回路を含むものであってもよい。
<ACアダプター41が接続されていない場合の電源供給回路102の制御>
電源制御回路100は、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続されていない場合において、電源スイッチ30が押下操作されたときには、そのときに電源供給回路102が電源供給不能状態であれば、電源供給回路102をバッテリー電源供給状態に切り替える。これによって、CPU51等が作動し、プリンター1が通常使用可能(印字可能)な状態に起動する。即ち、プリンター1の電源がオンされる。
一方、電源スイッチ30が押下操作されたときに、電源供給回路102がバッテリー電源供給状態であれば、電源供給回路102を電源供給不能状態に切り替える。これによって、プリンター1の全ての動作が停止し、プリンター1の電源がオフされる。
<ACアダプター41が接続された場合の電源供給回路102の制御>
また、電源制御回路100は、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続された場合には、そのときに電源供給回路102がどの状態であるかに関わらず、電源供給回路102を外部電源供給状態に切り替える。電源供給回路102は、外部電源供給状態では、プリンター1の全ての負荷のうち、少なくとも充電バッテリー24の充電時の動作に関連する負荷に対して電源を供給する。本実施の形態では、充電バッテリー24の充電時には詳細を後述するように制御部29のCPU51が充電バッテリー24の充電時の処理を実施するため、少なくともCPU51の動作に必要な負荷に対してACアダプター41からの電源が供給される。
充電回路104は、アダプター接続端子26と充電バッテリー24との間に接続されており、アダプター接続端子26に接続されたACアダプター41からの電力を充電バッテリー24に供給して充電バッテリー24を充電する充電状態と、ACアダプター41の接続の有無に関わらず充電を行わない非充電状態とで切り替わるようになっている。
<ACアダプター41が接続されていない場合の充電回路104の制御>
電源制御回路100は、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続されていない場合には、充電バッテリー24の充電は不能であるため、電源スイッチ30の押下操作の有無や充電バッテリー24の温度等の他の条件にかかわらず、充電回路104を非充電状態に設定する。即ち、充電回路104を無効にする。
<ACアダプター41が接続された場合の充電回路104の制御>
一方、電源制御回路100は、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続された場合において、充電バッテリー24の温度が充電可能温度であるときには、充電バッテリー24の残量に応じて充電回路104を充電状態と非充電状態とで切り替え、充電バッテリー24の温度が充電可能温度でないときには、充電回路104を非充電状態に設定する。
なお、図では省略しているが、充電バッテリー24の出力電圧は電源制御回路100により検知されており、その出力電圧に基づいて充電バッテリー24の残量が電源制御回路100において検知されている。ただし、充電バッテリー24の残量を検出する方法はこれに限らない。
・充電バッテリー24の温度が充電可能温度である場合
充電バッテリー24の温度が充電可能温度であるときには、電源制御回路100は、通常の充電制御を実施する。通常の充電制御とは、例えば、ACアダプター41がアダプター接続端子26に接続された際に、充電バッテリー24の残量が、満充電と判断する閾値よりも小さいときには、充電回路104を充電状態に切り替えて充電バッテリー24への充電を開始する。即ち、充電回路104を有効にする。
一方、充電バッテリー24の残量が満充電と判断する閾値にすでに達しているときには、充電回路104を非充電状態にして充電を行わない。即ち、充電回路104を無効にする。
また、充電回路104を充電状態にして充電バッテリー24への充電を開始した後、充電バッテリー24が満充電と判断する閾値に達したことを検出すると、充電回路104を非充電状態に切り替えて、充電を停止する。
なお、通常の充電制御として示したこのような充電制御は一例であって他の任意の形態の充電制御を行うことができる。また、充電中に充電バッテリー24の温度が充電可能温度でなくなったときには、次に説明する制御により充電回路104が充電状態から非充電状態に切り替えられる。
・充電バッテリー24の温度が充電可能温度でない場合
充電バッテリー24の温度が充電可能温度でないときには、上述のように電源制御回路100は、充電回路104を非充電状態に設定し、充電バッテリー24の残量に関わらず、また、充電中か否かに関わらず、充電を行わないようにする。即ち、充電回路104を無効にする。
例えば、充電バッテリー24の温度が、充電可能温度範囲の下限温度Tbminよりも低い場合や、充電可能温度範囲の上限温度Tbmaxよりも高い場合には、充電バッテリー24の充電を行わず、また、充電中であれば充電を停止する。
ここまで説明した電源部60の構成、各部の作用によれば、アダプター接続端子26にACアダプター41を接続しない場合には電源スイッチ30を押下操作してプリンター1の電源をオンすることによって、充電バッテリー24の電力によりプリンター1を通常使用の状態(印字動作可能な状態)にすることができる。
一方、アダプター接続端子26にACアダプター41を接続した場合には、充電バッテリー24の温度が充電可能温度、即ち、充電可能温度範囲内の温度であれば充電が行われ、充電可能温度でなければ、即ち、充電可能温度範囲外の温度であれば、充電が行われない。また、充電を開始した後の充電中に、充電バッテリー24の温度が充電可能温度範囲外の温度となった場合には充電が停止する。
したがって、本実施の形態のように充電バッテリー24が温度センサーを搭載しない安価なものであっても、プリンター1が備える温度センサー108によって充電バッテリー24の温度が検出され、充電バッテリー24の温度に応じた適切な充電制御が行われる。
次に、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続された場合の電源部60以外における充電時の動作について説明する。
アダプター接続端子26にACアダプター41が接続された場合、電源供給回路102が上述のように外部電源供給状態となり、プリンター1の一部の負荷(回路)に対してACアダプター41からの電源(電力)が供給される。
本実施の形態では、その一部の負荷として、表示部28の駆動に関連する負荷(表示部28に所定の情報を表示させるために必要な負荷)としている。その負荷として、表示部28そのものが備える回路(液晶やバックライトの駆動回路等)、IOポート59の回路の他に、表示部28の制御(画面に表示する情報の生成、表示部28の点灯や消灯の制御等)を行うCPU51と、CPU51の処理に必要なROM52やRAM53、それらの周辺回路が含まれている。
したがって、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続された場合において、少なくともCPU51は制御プログラムに従って動作するようになっている。
また、電源制御回路100は、CPU51とバスラインを介して接続されており、CPU51との間で各種データを授受できるようになっている。たとえば、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続されているか否かを示すアダプター接続情報、充電バッテリー24の温度を示す温度情報、充電バッテリー24の残量を示す残量情報、充電バッテリー24の充電が完了したことを示す充電完了信号等が、電源制御回路100からCPU51に適宜与えられるようになっている。
CPU51は、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続されず、かつ、プリンター1の電源がオフされている場合において、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続されると、ACアダプター41からの電力の供給によって起動し、制御プログラムに従った処理を開始する。そして、ACアダプター41が接続されたことを電源制御回路100からのアダプター接続情報によって検知し、後述の充電時の処理を開始する。
また、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続されずにプリンター1の電源がオンされている場合(電源供給回路102がバッテリー電源供給状態であり、充電バッテリー24からの電力の供給によりCPU51が動作している場合)において、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続されると、電源供給回路102が外部電源供給状態に切り替わることによって、CPU51がACアダプター41からの電力の供給による動作に切り替わる。そして、ACアダプター41が接続されたことを電源制御回路100からのアダプター接続情報によって検知し、後述の充電時の処理を開始する。
ここで、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続された場合に、プリンター1の全ての負荷に対して電力を供給するのでなく、一部の負荷に対してのみ電力を供給するのは、ACアダプター41として、電源容量(最大出力電力)がプリンター1の通常使用時に必要な大容量(電力)のものではなく、充電専用として小容量の安価なもの使用できるようにしているためである。
したがって、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続されている場合には、電源スイッチ30を押下操作しても、その操作は電源制御回路100により無効とされ、プリンター1を通常使用の状態に切り替えること、即ち、プリンター1の電源をオンにすることができないようになっている。
ただし、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続されている場合であっても、電源スイッチ30が押下操作されたときには、充電バッテリー24の充電を停止し、電源供給回路102をバッテリー電源供給状態に切り替えて、プリンター1を通常使用の状態に切り替えるようにしてもよい。
また、ACアダプター41として電源容量が大きいものを使用するようにし、電源供給回路102が外部電源供給状態であるときでもプリンター1の全ての負荷にACアダプター41からの電力が供給されるようにしてもよい。この場合には、充電バッテリー24を充電しながらプリンター1を通常使用の状態、即ち、プリンター1の電源をオンにすることができる。
次にCPU51の充電時の処理について図5のフローチャートを用いて説明する。
CPU51は、上述のようにアダプター接続端子26にACアダプター41が接続されて充電時の処理を開始すると、ステップS10の処理として、電源制御回路100から充電バッテリー24の温度を示す温度情報や、充電バッテリー24の残量を示す残量情報などの充電バッテリー24の状態に関する情報を取得(検知)する。
次に、ステップS12の処理として、ステップS10により検知した充電バッテリー24の温度が、事前に決められた充電可能温度範囲の上限温度Tbmax以下か否かを判定する。本実施の形態では上限温度Tbmaxの具体値の例を40度としており、充電バッテリー24の温度が40度以下か否かを判定する。
ステップS12においてNOと判定した場合、電源部60では充電バッテリー24の充電が行われないため、CPU51は、ステップ14の処理として、充電が行われないことを通知するための非充電通知情報を表示部28に表示させる。そして、後述のステップS22に移行する。
非充電通知情報としては、例えば温度が高いため充電が行われない旨の内容の文字情報を表示部28に表示させる。ただし、文字情報の内容はこれに限らず、また、表示の形態も文字のみを用いたものに限らず、文字、図形、及び記号のうちの少なくとも一つを用いた表示が可能である。
一方、ステップS12においてYESと判定した場合、CPU51は、ステップS16の処理として、充電が行われることを通知するための充電通知情報を表示部28に表示させる。そして、ステップS18に移行する。
充電通知情報としては、例えば、電源部60において実際に充電が行われるか否かにかかわらずACアダプター41の接続が検知されたことなどの意味を含めて「充電中」という文字情報を表示させる。ただし、文字情報の内容はこれに限らず、ACアダプター41が接続されたことに関連する情報の表示であればよく、表示の形態も文字のみを用いたものに限らず、文字、図形、及び記号のうちの少なくとも一つを用いた表示が可能である。なお、この通知情報の表示部28への表示は、CPU51の通知手段としての作用であり、充電が通常通り行われる場合には一定時間の経過後に消灯する(表示部28が無効となる)。
次に、ステップS18の処理として、充電バッテリー24の温度が加温閾値Tc以上か否かを判定する。加温閾値は、図6に示すように少なくとも充電可能温度範囲の下限温度Tbmin以上で、かつ、少なくとも上限温度Tbmax以下の温度である。本実施の形態において加温閾値Tcの具体値の例を10度とすると、このステップS18の処理では、充電バッテリー24の温度が10度以上か否かを判定する。なお、加温閾値Tcは下限温度Tbminと一致した値であってもよいが、下限温度Tbminよりは高い温度であることが望ましい。
ステップS18においてNOと判定した場合には充電バッテリー24を加温する処理を実施するが詳細な説明は後述するものとし、まず、ステップS18においてYESと判定した場合、次に、ステップS22の処理として、ステップS14又はステップS16等において表示部28への通知情報の表示を行ってから一定時間が経過したか否かを判定する。本実施の形態では一定時間の例として5秒間とするが、必ずしもこれに限らない。
ステップS22においてNOと判定している間はステップS22の処理を繰り返して一定時間(5秒間)が経過するのを待つ。
一方、ステップS22おいてYESと判定した場合には、ステップS24の処理として、CPU51は通常モードからスリープモード(低電力モード)に切り替える。ここで、スリープモードとは、電源部60を除いて、ACアダプター41からの電源が供給されている負荷での消費電力を制限(少なくとも通常モードのときよりも低減)した状態を示す。
例えば、スリープモードでは、CPU51は少なくとも表示部28を無効とする。即ち、表示部28に通知情報を表示させることを停止し、表示部28の画面を消灯させる。また、CPU51及びCPU51の周辺回路の動作クロックを停止させる(処理を停止させる)一方で、CPU51内のレジスタやRAM53は有効にして(電力の供給を継続して)記憶内容を保持させる。これによって、消費電力を低減させる一方、CPU51に外部から所定の割込が生じるとCPU51をスリープモードから通常モードに復帰させてCPU51の動作を即座に再開させることができる状態にする。
なお、スリープモードにおいて、CPU51及びCPU51の周辺回路の動作クロックを停止させるのではなく、動作クロックの周波数を低下させる(動作速度を低減させる)ようにしてもよい。また、CPU51及びその周辺回路における消費電力を低減させるために任意の方法を採用することができ、さらに、スリープモードは表示部28での消費電力のみを低減するものであってもよい。
ステップS24においてスリープモードに切り替わると、CPU51はスリープモードを継続する。そして、電源部60において充電バッテリー24の充電が完了すると、又は、充電バッテリー24の温度が充電可能温度範囲外の温度となったために充電が停止(中断)すると、電源制御回路100からCPU51に割込信号が与えられてCPU51がスリープモードから通常モードに復帰する。
ステップS26は、その割込信号が与えられてCPU51が通常モードに復帰し、電源制御回路100から充電バッテリー24の充電が完了したことを示す通知を受けた場合にYESと判定される処理を示す。そのステップS26においてYESと判定した場合、ステップS28の処理として、CPU51は、充電バッテリー24が満充電となったことを通知するための満充電通知情報を表示部28に表示させる。そして、ステップS22に移行し、上述のようにステップS22及びステップS24の処理として、ステップS28において表示部28への通知情報の表示を行ってから一定時間(5秒間)が経過すると、通常モードからスリープモードに切り替える。
一方、ステップS30は、割込信号が与えられてCPU51が通常モードに復帰し、電源制御回路100から、充電バッテリー24の温度が充電可能温度範囲外の温度となったために充電を中断したことを示す通知を受けた場合にYESと判定される処理を示す。そのステップS30においてYESと判定した場合、ステップS32の処理として、CPU51は、充電が中断されたことを通知するための充電中断通知情報を表示部28に表示させる。そして、ステップS22に移行し、上述のようにステップS22及びステップS24の処理として、ステップS32において表示部28への通知情報の表示を行ってから一定時間が経過すると、通常モードからスリープモードに切り替える。
なお、アダプター接続端子26からACアダプター41の接続端子が抜き取られると、以上のCPU51における充電時の処理が終了する。
ところで、ステップS18において、充電バッテリー24の温度が加温閾値Tc未満であるためにNOと判定した場合、CPU51は、ステップS20の処理として、電源制御回路100から温度情報を取得し、ステップS18の処理に戻る。そして、ステップS20で取得した温度情報により検知される充電バッテリー24の温度が加温閾値Tc未満である場合には、ステップS18においてNOと判定されてステップS20とステップS18の処理を繰り返す。
これによれば、充電バッテリー24の温度が加温閾値Tc(10度)未満である場合には、通常モードからスリープモードへの切替えを行うことなく表示部28への通知情報の表示が継続する。これにより、表示部28の駆動に関連する負荷が加温手段として電力を消費して発熱し、プリンター1の内部の温度が上昇する。プリンター1の内部は密閉性が高いため、プリンター1の内部の温度の上昇と共に、充電バッテリー24の温度も上昇する。
したがって、仮に、充電バッテリー24の温度が充電可能温度範囲の下限温度Tbmin(0度)よりも低く、電源部60において充電が行われない状況であっても、表示部28の駆動に関連する負荷を加温手段としてその発熱によって充電バッテリー24が加温されるため、充電バッテリー24の温度を充電可能温度範囲の下限温度Tbmin(0度)以上の充電可能温度にすることができる。これによって、電源部60では充電バッテリー24の温度が充電可能温度範囲の下限温度Tbmin(0度)以上の温度となった時点で充電バッテリー24の充電が開始されるようになる。
また、加温閾値Tc(10度)が充電可能温度範囲の下限温度Tbmin(0度)よりも高い温度に設定されているため、充電バッテリー24は下限温度Tbminに対して余裕を持った温度まで加温される。そして、充電バッテリー24の温度が加温閾値Tcに達するとステップS22、S24の処理により、表示部28に通知情報を表示させることが停止され(表示部28が無効とされ)、スリープモードに切り替わる。これによって、表示部28の駆動に関連する負荷での電力の消費が制限(低減)される。
即ち、表示部28の駆動に関連する負荷を加温手段として充電バッテリー24は充電可能温度範囲の下限温度Tbmin(0度)に対して余裕を持った加温閾値Tc(10度)まで加温された場合に、加温手段が無効となり加温されなくなる。
したがって、充電バッテリー24の加温が停止した後に充電バッテリー24の温度が再び充電可能温度範囲の下限温度Tbminよりも低くなることが防止される。
なお、充電が開始されてスリープモードとなった後、充電バッテリー24の温度が充電可能温度範囲の下限温度Tbminよりも低くなって充電が中断された場合には、再度、通常モードに復帰して表示部28への所定の情報の表示を継続して行って充電バッテリー24を加温するようにしてもよい。具体的には、図5のフローチャートにおいて、充電バッテリー24の温度が充電可能温度範囲の下限温度Tbminよりも低くなって充電が中断されたためにステップS30においてYESと判定した場合には、ステップS32の後、ステップS22に移行するのではなく、ステップS18に移行するように変更すればよい。
以上、上記実施の形態では、充電バッテリー24の温度が充電可能温度範囲の下限温度Tbminよりも低い場合に表示部28の表示を継続するようにしたが、これに限らず、表示部28を無効(表示を行わない状態)にしてCPU51を通常モードに維持するようにしてもよい。即ち、表示部28の駆動に関連する負荷を加温手段とするのではなく、CPU51の駆動に関連する負荷、即ち、CPU51が動作するために必要な負荷(CPU51と、ROM52、RAM53等の周辺回路)を加温手段とすることもできる。この場合、充電バッテリー24の温度が加温閾値Tc以上になった際に上述のようにCPU51を通常モードからスリープモードに切り替えればよい。
また、上記実施の形態では、プリンター1の機能として、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続されると、それに関連した通知情報を充電バッテリー24の温度に関係なく所定時間継続して表示部28に表示させるアダプター接続通知機能を備える形態について説明したが、必ずしもこの機能を備えていなくてもよい。
その場合において、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続された際に、充電バッテリー24の温度が充電可能温度範囲の下限温度Tbminよりも低い場合にのみ表示部28での所定の通知情報の表示が行われるようになる。
同様にプリンター1がアダプター接続通知機能を備えていない場合において、CPU51の駆動に関連する負荷を加温手段とする場合には、アダプター接続端子26にACアダプター41が接続された際に、充電バッテリー24の温度が充電可能温度範囲の下限温度Tbmin以上のときには、CPU51が一定時間経過後に通常モードからスリープモードに切り替わり、充電バッテリー24の温度が充電可能温度範囲の下限温度Tbminよりも低い場合には、CPU51が通常モードを継続して充電バッテリー24を加温する。そして、充電バッテリー24の温度が加温閾値Tc以上になると、通常モードからスリープモードに切り替わる。
なお、表示部28の駆動に関連する負荷にはCPU51の駆動に関連する負荷が含まれているため、表示部28の駆動に関連する負荷を加温手段とする場合と、CPU51の駆動に関連する負荷を加温手段とする場合の加温制御の違いは、表示部28への表示を行うか否かの違いだけであり、CPU51の通常モードとスリープモードの切替えは、充電バッテリー24の温度に基づいて同様に行われることになる。ただし、表示部28の駆動に関連する負荷にCPU51の駆動に関連する負荷を含めない形態とすることも可能である。
また、上記実施の形態では、表示部28の駆動に関連する負荷が充電バッテリー24を加温する加温手段として作用し、CPU51がその加温手段を制御する加温制御手段として作用する形態を示したが、加温手段とする負荷はこれに限らない。
充電バッテリー24の加温手段として、表示部28の駆動に関連する負荷を用いる代わりに、例えば、プラテンローラー8(用紙搬送に用いられるローラー)の駆動モーター38の駆動に関連する負荷、通信インタフェース58の駆動に関連する負荷、専用の発熱体の駆動(発熱)に関連する負荷、サーマルヘッドの駆動に関連する負荷などを用いることができる。また、これらの負荷(表示部28の駆動に関連する負荷も含む)のいずれか一つの負荷だけでなく複数の負荷を加温手段として用いてもよい。
なお、いずれの負荷もCPU51の駆動に関連する負荷を含む。ただし、それらの負荷を加温手段として動作させる際にはCPU51を動作させずに行うことも可能であり、CPU51の駆動に関連する負荷を含まない形態とすることもできる。
充電バッテリー24を加温手段として駆動モーター38の駆動に関連する負荷を用いる場合には、図4において電源供給回路102が外部電源供給状態のときにACアダプター41からの電力を供給する一部の負荷として、少なくとも駆動モーター38の駆動に関連する負荷、例えば、図3の駆動モーター38や搬送制御回路54を含めるようにする。
そして、図5のフローチャートのステップS18においてNOと判定している間、CPU51は、搬送制御回路54へのコマンド送信により駆動モーター38を所定速度で回転させる。
このとき、プラテンローラー8は回転する必要がないため、例えば、駆動モーター38の動力をプラテンローラー8に伝達する動力伝達機構を動力伝達不能に切り替える切替手段を設けると好適である。これによって、充電バッテリー24を加温する目的で駆動モーター38を回転させる際には、CPU51がその切替手段を制御して動力伝達機構を動力伝達不能にし、プラテンローラー8が回転しないようにすることができる。
充電バッテリー24の加温手段として通信インタフェース58の駆動に関連する負荷を用いる場合には、図4において電源供給回路102が外部電源供給状態のときにACアダプター41からの電力を供給する一部の負荷として、少なくとも通信インタフェース58の駆動に関連する負荷、例えば、通信インタフェース58の回路を含めるようにする。
そして、図5のフローチャートのステップS18においてNOと判定している間、CPU51は、通信インタフェース58へのコマンド送信により例えばポーリングを強制的に実施させる。
充電バッテリー24の加温手段として専用の発熱体(抵抗等)の駆動(発熱)に関連する負荷を用いる場合には、図4において電源供給回路102が外部電源供給状態のときにACアダプター41からの電力を供給する一部の負荷として、少なくともその発熱体の駆動に関連する負荷発熱、例えば、その発熱体の他に、発熱体への電力(電流)の供給をスイッチ制御するトランジスタやFET等のスイッチ回路を含めるようにする。
この場合に、発熱体はバッテリー収納室25の内壁部やプリンター1の内部のバッテリー収納室25に近い場所に設置すると好適であるが、これに限らず任意の場所に設けることができる。
そして、図5のフローチャートのステップS18においてNOと判定している間、CPU51は、通信インタフェース58へのスイッチ回路を制御して発熱体を発熱させる。
なお、充電バッテリー24の加温手段として、上述のように表示部28の駆動に関連する負荷以外の負荷を用い、表示部28の駆動に関連する負荷を加温手段として用いない場合には、図5のフローチャートのステップS18においてNOと判定している間でも一定時間が経過した後に、表示部28を無効(表示を行わない)にする。
以上、上記実施の形態では、電源部60の制御を主に電源制御回路100により行い、電源部60以外の充電時の動作をCPU51により制御するようにしたが、電源制御回路100の上述した処理をCPU51が行うことによって電源部60の制御もCPU51が行うようにすることが可能である。また、CPU51の上述した処理を電源制御回路100が行うことによって電源部60以外の充電時の動作を電源制御回路100が制御することも可能である。
また、上記実施の形態では、充電バッテリー24としてリチウムイオン二次電池を用いるものとしたが、ニッケル・水素蓄電池等の他の種類の二次電池を用いる場合においても、上記実施の形態と同様に充電時の温度を管理して充電を制御することは有効である。
また、上記実施の形態では、充電バッテリー24として温度センサーが搭載されていない安価なものを用いることを前提としたが、温度センサーを搭載している充電バッテリー24を用いる場合においても、充電バッテリー24の温度が加温閾値Tcより低い場合に、充電バッテリー24を加温することは有益である。この場合、充電バッテリー24の温度を検出する温度センサーとして、プリンター1の内部に配置された温度センサー108を用いるのではなく、充電バッテリー24に搭載された温度センサーを用いることができる。
また、上記実施の形態では、本発明が適用されるプリンター1として携帯式のものとしたが、本発明は、携帯式のプリンターに限らず、充電バッテリーを電源とするプリンターの全てに適用できる。また、ラベル連続体9に限らず、任意の種類の用紙に印字を行う任意のプリンターに適用できる。