JP2015078081A - セレン化水素の製造装置およびセレン化水素の製造方法 - Google Patents

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尚志 加賀山
Hisashi Kagayama
尚志 加賀山
理博 井原
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理博 井原
好彦 福重
Yoshihiko Fukushige
好彦 福重
新助 樋内
Shinsuke Hinai
新助 樋内
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Abstract

【課題】コストの上昇を抑制しつつ、簡易な操作により反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減することが可能なセレン化水素の製造装置およびセレン化水素の製造方法を提供する。
【解決手段】セレン化水素の製造装置1は、セレンを保持するセレン保持部11を有し、内部においてセレン91と水素92とが反応しセレン化水素が生成する反応室10と、反応室10に接続され、セレン保持部11に水素を供給する水素供給管21と、反応室10内のセレン保持部11以外の領域に存在するセレン化水素に混入した気体状のセレンをセレン化水素の再分解温度域を超える温度からセレンの液化温度以下であってセレン化水素の再分解温度域未満の温度に冷却して液化させ、液化したセレンをセレン保持部11へと移動させる第1冷却部50とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明はセレン化水素の製造装置およびセレン化水素の製造方法に関し、より特定的には、セレンと水素とを加熱環境下で反応させてセレン化水素を製造するセレン化水素の製造装置およびセレン化水素の製造方法に関するものである。
太陽電池は、単結晶、多結晶またはアモルファスのシリコン膜を用いるものが代表的であり、製造コストの低減に伴って普及が進んでいる。一方、変換効率の向上を目的として、シリコン膜に代えて種々の化合物膜を用いた太陽電池の開発も進められている。化合物膜を用いた太陽電池としては、たとえばCIS系太陽電池、CZTS系太陽電池などを挙げることができる。CIS系太陽電池は、Cu、In、Ga、Se、Sなどからなるカルコパイライトと呼ばれるI−III−VI族化合物からなる化合物膜を用いた太陽電池である。CZTS系太陽電池は、Cu、Zn、Sn、S、Seなどからなる化合物膜を用いた太陽電池である。これらCIS系太陽電池およびCZTS系太陽電池に用いられる化合物膜は、基板上に所定の成分組成の膜が形成された後、当該膜がセレン化水素(HSe)ガスを含む雰囲気中において加熱される工程を経て製造される。
太陽電池に含まれる化合物膜の製造などに用いられるセレン化水素は、たとえば500℃〜700℃に加熱された反応室内において、水素と液体状または気体状のセレンとを接触させることにより、セレンを水素化して製造することができる(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、生成したセレン化水素が冷却される過程において、未反応のセレン蒸気やセレン化水素が分解して生成したセレン蒸気が凝縮および凝固し、反応室や配管の内壁に固体セレンが付着する。その結果、固体セレンが配管やフィルターを閉塞させ、連続的なセレン化水素ガスの製造が困難になるという問題がある。また、セレンが反応室や配管の内壁に付着することにより、収率が低下するという問題も生じる。
このような問題を解決するため、反応ガスを冷却してセレンを捕集する冷却状態とセレンを気化させる加熱状態とを切り替える操作が可能な加熱冷却器を反応室の外部に配置したセレン化水素の製造装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
特開2007−246342号公報 特開2012−153583号公報
しかしながら、特許文献2に記載のセレン化水素の製造装置を用いる場合、加熱冷却器の動作を加熱状態と冷却状態とに切り替える必要があるため、セレン化水素の製造装置の運転が煩雑となるという問題がある。また、反応室の外部に上記加熱冷却器を設置する必要があるため、製造装置の構造が複雑となり、製造装置の作製コストが高くなるという問題もある。
本発明はこのような問題に対応するためになされたものであって、その目的は、コストの上昇を抑制しつつ、簡易な操作により反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減することが可能なセレン化水素の製造装置およびセレン化水素の製造方法を提供することである。
本発明に従ったセレン化水素の製造装置は、セレンを保持するセレン保持部を有し、内部においてセレンと水素とが反応しセレン化水素が生成する反応室と、反応室に接続され、セレン保持部に水素を供給する水素供給路と、反応室内のセレン保持部以外の領域に存在するセレン化水素に混入した気体状のセレンをセレン化水素の再分解温度域を超える温度からセレンの液化温度以下であってセレン化水素の再分解温度域未満の温度に冷却して液化させ、液化したセレンをセレン保持部へと移動させるセレン捕集部とを備えている。
反応室内では、セレン保持部に保持されるセレンと、水素供給路から供給される水素とが反応し、セレン化水素が生成する。このとき、生成したセレン化水素には、未反応のセレン蒸気が混入する。また、生成したセレン化水素の一部が再分解して生成したセレン蒸気も、セレン化水素に混入する。このようにセレン化水素に混入したセレン蒸気が凝縮および凝固し、反応室や配管の内壁に固体セレンが付着する。
これに対し、本発明のセレン化水素の製造装置は、セレン捕集部を備えている。このセレン捕集部は、反応室内のセレン保持部以外の領域に存在するセレン化水素に混入した気体状のセレンを液化させ、液化したセレンをセレン保持部へと移動させる。これにより、セレン化水素から、セレン蒸気(気体状のセレン)が除去される。そして、セレン保持部へと移動した液化したセレンは、水素供給路から供給される水素と反応し、セレン化水素となる。また、セレン化水素が再分解温度域、すなわち、たとえば1気圧の下では300℃以上500℃以下の温度域に保持されると、セレン化水素がセレンと水素とに再分解する反応が支配的となる。これに対し、本発明のセレン捕集部では、セレン化水素に混入した気体状のセレンをセレン化水素の再分解温度域を超える温度からセレンの液化温度以下であってセレン化水素の再分解温度域未満の温度に冷却して液化させる。すなわち、セレン化水素が再分解しないように冷却(急冷)することにより、セレン化水素に混入した気体状のセレンが液化される。そのため、セレン化水素の再分解を抑制しつつセレン化水素に混入した気体状のセレンを液化させることができる。このように、本発明のセレン化水素の製造装置によれば、セレン捕集部によってセレン化水素に混入した気体状のセレンを捕集することにより、反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減することができる。
さらに、本発明のセレン化水素の製造装置では、反応室内の気体状のセレンを冷却して液化させ、セレン保持部へと移動させるセレン捕集部を採用することにより、比較的簡単な構造によりセレン化水素に混入した気体状のセレンの捕集を達成することができる。そのため、セレン化水素の製造装置のコスト上昇を抑制することができる。また、セレン捕集部は、セレン化水素の製造装置の運転時に連続的に運転すれば足りるものであって、煩雑な操作(たとえば加熱冷却器の動作を加熱状態と冷却状態とに切り替える操作)を必要とするものではない。そのため、簡易な操作により反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減することができる。
以上のように、本発明のセレン化水素の製造装置によれば、コストの上昇を抑制しつつ、簡易な操作により反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減することが可能なセレン化水素の製造装置を提供することができる。
上記セレン化水素の製造装置においては、セレン捕集部は、セレン保持部に隣接して配置されていてもよい。これにより、セレン保持部において生成したセレン化水素に混入する気体状のセレンを直ちに除去することが可能となる。その結果、より確実に反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減することができる。
上記セレン化水素の製造装置においては、水素供給路は、セレン保持部にまで延在していてもよい。これにより、反応室に導入した水素をより確実にセレンと反応させることができる。
上記セレン化水素の製造装置においては、セレン化水素の製造装置が設置された状態において、セレン捕集部は、セレン保持部に対して鉛直方向において上側になるように配置されていてもよい。これにより、セレン捕集部によって液化したセレンを、重力を利用してセレン保持部へと移動させることが容易となる。その結果、セレン捕集部の構造をより簡易なものとすることができる。
上記セレン化水素の製造装置において、セレン捕集部は、反応室を取り囲むように配置され、反応室を外周側から冷却する構造を有していてもよい。これにより、セレン捕集部の構造を簡易なものとすることができる。
上記セレン化水素の製造装置において、反応室内には、反応室内におけるセレン化水素の流れる方向に交差する方向に広がる面を有し、セレン化水素が反応室の壁面に沿って流れるようにセレン化水素の流れを制御する流れ制御部材が配置されていてもよい。セレン捕集部が、上述のように反応室を外周側から冷却する構造を有する場合、このような流れ制御部材を配置することにより、セレン化水素に混入したセレン蒸気をより確実に捕集することができる。
本発明に従ったセレン化水素の製造方法は、セレンを保持するセレン保持部を有する反応室内のセレン保持部でセレンと水素とを反応させてセレン化水素を生成させる工程と、生成したセレン化水素に含まれる気体状のセレンを、セレン保持部以外の反応室内の領域においてセレン化水素の再分解温度域を超える温度からセレンの液化温度以下であってセレン化水素の再分解温度域未満の温度に冷却して液化させ、液化したセレンをセレン保持部へと移動させる工程とを備えている。
本発明のセレン化水素の製造方法では、生成したセレン化水素に含まれる気体状のセレンを液化させてセレン保持部へと移動させる工程において、セレン化水素に混入したセレン蒸気が除去される。このとき、本発明のセレン化水素の製造方法では、セレン化水素に混入した気体状のセレンをセレン化水素の再分解温度域を超える温度からセレンの液化温度以下であってセレン化水素の再分解温度域未満の温度に冷却して液化させる。そのため、セレン化水素の再分解を抑制しつつセレン化水素に混入した気体状のセレンを液化させることができる。本発明のセレン化水素の製造方法によれば、セレン化水素に混入した気体状のセレンを捕集することにより、反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減することができる。
さらに、本発明のセレン化水素の製造方法では、気体状のセレンを冷却して液化させ、セレン保持部へと移動させる工程を採用することにより、煩雑な操作(たとえば加熱冷却器の動作を加熱状態と冷却状態とに切り替える操作)を行うことなく、低コストでセレンを捕集し、反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減することができる。
以上のように、本発明のセレン化水素の製造方法によれば、コストの上昇を抑制しつつ、簡易な操作により反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減することが可能なセレン化水素の製造方法を提供することができる。
上記セレン化水素の製造方法において、セレン化水素に含まれる気体状のセレンを液化させ、セレン保持部へと移動させる工程では、反応室のセレン保持部に隣接する領域でセレン化水素に含まれる気体状のセレンが液化されてもよい。これにより、セレン保持部において生成したセレン化水素に混入する気体状のセレンを直ちに除去することが可能となる。その結果、より確実に反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明のセレン化水素の製造装置およびセレン化水素の製造方法によれば、コストの上昇を抑制しつつ、簡易な操作により反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減することが可能なセレン化水素の製造装置およびセレン化水素の製造方法を提供することができる。
セレン化水素の製造装置の概略構造を示す図である。 セレン化水素の製造方法の概略を示すフローチャートである。 セレン化水素の製造装置の概略構造の他の一例を示す図である。 実験装置の概略構造を示す図である。 実施例の場合におけるセレンの付着状態を示す写真である。 比較例の場合におけるセレンの付着状態を示す写真である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態である実施の形態1におけるセレン化水素の製造装置について説明する。図1を参照して、本実施の形態におけるセレン化水素の製造装置1は、反応室10と、水素供給路としての水素供給管21と、セレン化水素導出路としての導出配管31と、加熱部としての電気炉41と、セレン捕集部としての第1冷却部50と、第2冷却部60とを備えている。
反応室10は、セレン91を保持するセレン保持部11を有している。本実施の形態では、セレン91は液体の状態で保持される。セレン保持部11の内部において、液体状のセレン91と水素92とが反応してセレン化水素が生成する。反応室10は、たとえば円筒状の形状を有し、長手方向(軸方向)が鉛直方向に沿うように設置されている。
水素供給管21は、反応室10の外部から反応室10の内部へと侵入し、セレン保持部11に水素を供給する。本実施の形態では、水素供給管21は、反応室10の上壁10Aから反応室10へと侵入し、セレン保持部11にまで延在している。より具体的には、水素供給管21の端部21Aが液体状のセレン91内に位置するように、水素供給管21は配置されている。水素供給管21には、水素の流量を制御するマスフローコントローラーなどの流量制御装置22が設置されている。
導出配管31は、反応室10に接続され、反応室の外部へと延在することにより、反応室10内で生成したセレン化水素を反応室10の外部へと導出する。導出配管31には、セレン化水素に含まれる水分を除去する水分除去部32が接続されている。さらに、導出配管31の、セレン化水素の流れにおける水分除去部32の下流側には、セレン化水素捕集部33が接続されている。水分除去部32の内部には、水分を吸着するための吸着剤等が保持されている。また、セレン化水素捕集部33には、液体窒素が保持されており、セレン化水素捕集部33へと運ばれたセレン化水素は、液体窒素中で固化されて捕集される。
電気炉41は、反応室10のセレン保持部11の外周側を取り囲むように配置されている。この電気炉41には、電源(図示しない)が接続されており、電源から供給された電力によりセレン保持部11内のセレンを所望の温度に加熱することができる。電気炉41は、セレン化水素の製造装置1が設置された状態において、反応室10の底壁10B側の端部領域の外周面を取り囲んでいる。
第1冷却部50は、セレン保持部11に隣接して配置される。より具体的には、第1冷却部50は、電気炉41が取り囲む反応室10の領域に隣接する領域に対応する反応室10の外周側を取り囲むように配置され、熱媒を保持する本体部51と、本体部51内の熱媒を冷却しつつ循環させる熱媒冷却循環装置53と、熱媒冷却循環装置53と本体部51とを接続する接続管52とを含んでいる。第1冷却部50は、反応室10内のセレン保持部11以外の領域に存在するセレン化水素に混入した気体状のセレンをセレン化水素の再分解温度域を超える温度からセレンの液化温度以下であってセレン化水素の再分解温度域未満の温度に冷却して液化させ、液化したセレンをセレン保持部11へと移動させる。具体的には、セレン化水素の製造装置1が設置された状態において、本体部51は、電気炉41の鉛直方向上側(直上)に配置される。すなわち、第1冷却部50は、セレン保持部11に対して鉛直方向において上側になるように配置される。本体部51に保持される熱媒としては、たとえば油系の熱媒、一例を挙げると綜研テクニックス株式会社製NeoSK−OIL1400などを採用することができる。
第2冷却部60は、第1冷却部50に隣接して配置される。より具体的には、第2冷却部60は、第1冷却部50の本体部51が取り囲む反応室10の領域に隣接する領域に対応する反応室10の外周側を取り囲むように配置され、冷却水を保持する本体部61と、本体部61内の冷却水を冷却しつつ循環させる冷却水冷却循環装置63と、冷却水冷却循環装置63と本体部61とを接続する接続管62とを含んでいる。第2冷却部60は、第1冷却部50により気体状のセレンが除去されたセレン化水素を室温程度にまで冷却する。セレン化水素の製造装置1が設置された状態において、本体部61は、第1冷却部50の本体部51の鉛直方向上側に配置される。すなわち、第1冷却部50から見て、第2冷却部60は、電気炉41とは反対側に配置される。
さらに、反応室10には、反応室10内におけるセレン化水素の流れる方向に交差する方向に広がる主表面24Aを有し、セレン化水素が反応室10の壁面に沿って流れるようにセレン化水素の流れを制御する流れ制御部材としての制御板24が配置されている。より具体的には、水素供給管21は、反応室10の中央部において反応室の長手方向に沿って(セレン化水素の製造装置1が設置された状態において鉛直方向に)延在している。そして、水素供給管21には、円盤状の形状を有する複数の制御板24が設置されている。
次に、図1および図2を参照して、上記セレン化水素の製造装置1を用いたセレン化水素の製造方法の一例について説明する。図2を参照して、本実施の形態におけるセレン化水素の製造方法では、以下の工程(S10)〜(S50)が連続的に進行することにより、セレン化水素が製造される。まず工程(S10)としてセレン化水素生成工程が進行する。この工程(S10)では、図1を参照して、反応室10のセレン保持部11に固体状のセレンが供給される。その後、電気炉41によりセレン保持部11のセレンが、たとえば500℃以上700℃以下の温度域に加熱され、液体状のセレン91とされる。一方、水素ボンベなどの水素保持部(図示しない)に保持された水素ガスが、その流量が流量制御装置22により制御されつつ水素供給管21を通してセレン保持部11へと供給される。そして、水素供給管21の端部21Aから放出された水素92は、液体状のセレン91と反応し、セレン化水素が生成する。
次に、工程(S20)としてセレン除去工程が進行する。この工程(S20)では、工程(S10)において生成したセレン化水素に含まれる気体状のセレンが除去される。具体的には、工程(S10)において生成したセレン化水素は、セレン保持部11を離脱して反応室10の上壁10A側に向けて移動する。このとき、制御板24によりセレン化水素の流れが制御され、セレン化水素は反応室10の内壁面に沿って移動する。一方、第1冷却部50の本体部51に取り囲まれる反応室10の領域は、第1冷却部50により冷却されて、セレンの融点以上であってセレン蒸気の液化温度以下、かつセレン化水素の再分解温度域未満の温度、たとえばセレンの融点よりもわずかに高い温度域(一例として220℃以上300℃未満の温度域)に維持されている。その結果、当該領域を通過するセレン化水素に含まれる気体状のセレンは、セレン化水素の再分解温度域を超える温度(500℃を超える温度)からセレンの液化温度以下であってセレン化水素の再分解温度域未満の温度に冷却されて液化する。そして、液化したセレンは、重力によってセレン保持部11へと移動する。これにより、セレン化水素に含まれる気体状のセレンは除去される。
次に、工程(S30)としてセレン化水素導出工程が実施される。この工程(S30)では、工程(S10)において生成し、工程(S20)において気体状のセレンが除去されたセレン化水素が、反応室10の外部へと導出される。具体的には、第1冷却部50の本体部51に囲まれた領域を通過することによりセレンが除去されたセレン化水素は、第2冷却部60の本体部61に囲まれた領域へと移動する。このとき、当該領域は、第2冷却部60により冷却されて、室温程度に維持されている。その結果、当該領域を通過するセレン化水素は室温程度にまで冷却される。そして、冷却されたセレン化水素は、未反応の水素等との混合ガスの状態で導出配管31を通って反応室10の外部へと導出される。
次に、工程(S40)として水分除去工程が進行する。この工程(S40)では、反応室10から導出された混合ガスに含まれる水分が除去される。具体的には、反応室10から導出されたセレン化水素を含む混合ガスが、吸着剤が保持された水分除去部32の内部を通過することにより、当該混合ガスに含まれる水分が除去される。
次に工程(S50)として捕集工程が進行する。この工程(S50)では、工程(S40)において水分が除去されたセレン化水素を含む混合ガス(水素とセレン化水素とを主成分とする混合ガス)からセレン化水素が分離され、捕集される。具体的には、水分除去部32を通過することにより水分が除去された混合ガスが、液体窒素が保持されたセレン化水素捕集部33の内部へと移動する。これにより、混合ガスに含まれる水素は気体の状態を維持する一方、セレン化水素が固化する。そして、固化したセレン化水素が捕集される。以上の手順により、本実施の形態におけるセレン化水素の製造方法が完了する。
本実施の形態におけるセレン化水素の製造装置1を用いたセレン化水素の製造方法では、セレン捕集部としての第1冷却部50により反応室10内のセレン保持部11以外の領域に存在するセレン化水素に混入した気体状のセレンを液化させ、セレン保持部11へと移動させる。これにより、セレン化水素から、セレン蒸気(気体状のセレン)が除去される。その結果、反応室10や導出配管31の内壁へのセレンの付着を低減することができる。また、第1冷却部50により捕集されてセレン保持部11へと移動したセレンは、水素供給管21から供給される水素と反応し、セレン化水素となる。そのため、原料として投入したセレンに対するセレン化水素の収率を向上させることができる。また、セレン化水素に混入した気体状のセレンが、第1冷却部50によってセレン化水素の再分解温度を超える温度からセレンの液化温度以下であってセレン化水素の再分解温度域未満の温度に冷却されて液化される。そのため、セレン化水素の再分解を抑制しつつセレン化水素に混入した気体状のセレンを液化させることができる。その結果、生成したセレン化水素の再分解を抑制しつつ、混入したセレンを捕集することができる。
さらに、セレン化水素の製造装置1では、反応室10内の気体状のセレンを冷却して液化させ、セレン保持部11へと移動させる第1冷却部50を採用することにより、比較的簡単な構造によりセレン化水素に混入した気体状のセレンの捕集を達成することができる。そのため、セレン化水素の製造装置1は、設備コストが抑制された装置となっている。また、第1冷却部50は、セレン化水素の製造装置1の運転時に連続的に運転すれば足りるものであって、煩雑な操作(たとえば加熱冷却器の動作を加熱状態と冷却状態とに切り替える操作)を必要するものではない。そのため、簡易な操作により反応室10や導出配管31の内壁へのセレンの付着を低減することができる。
このように、本実施の形態におけるセレン化水素の製造装置1を用いたセレン化水素の製造方法によれば、コストの上昇を抑制しつつ、簡易な操作により反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減しつつ、セレン化水素を製造することができる。
また、セレン化水素の製造装置1においては、第1冷却部50は、セレン保持部11に隣接して配置されている。これにより、セレン保持部11において生成したセレン化水素に混入した気体状のセレンを直ちに除去することができる。その結果、セレン化水素の製造装置1は、反応室10や導出配管31の内壁へのセレンの付着をより確実に低減することができる。
また、セレン化水素の製造装置1においては、水素供給管21は、セレン保持部11にまで延在している。そして、水素供給管21内を移動する水素ガスは、液体状のセレン91内にて水素供給管21の端部21Aから放出される。これにより、反応室10に導入した水素をより確実にセレンと反応させることが可能となっている。
また、セレン化水素の製造装置1は、第1冷却部50がセレン保持部11に対して鉛直方向において上側になるように設置されている。より具体的には、第1冷却部50の本体部51により冷却される反応室10の領域が、セレン保持部11に対して鉛直方向において上側になるように設置されている。これにより、第1冷却部50により液化したセレンを、重力を利用してセレン保持部へと移動させることが容易となっている。
セレン化水素の製造装置1の反応室10内には、制御板24が配置されている。この制御板24の配置は必須の構造ではないが、これを配置することにより、上述のように反応室10を外周側から冷却する構造を有する場合、セレン化水素に混入したセレン蒸気をより確実に捕集することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図3を参照して、本実施の形態におけるセレン化水素の製造装置1は、上記実施の形態1のセレン化水素の製造装置1と基本的には同様の構造を有し、同様に操作されることによりセレン化水素を製造することができる。しかし、本実施の形態では、原料であるセレンが気体状態にて供給される点において、実施の形態1の場合とは異なっている。
具体的には、本実施の形態におけるセレン化水素の製造装置1は、一端においてセレン蒸気供給部(図示しない)に接続され、他端において反応室10の底壁10Bに接続されたセレン蒸気供給管71を備えている。そして、工程(S10)として実施されるセレン化水素生成工程では、セレン保持部11に、セレン蒸気供給管71から気体状のセレンが供給されるとともに、水素供給管21から水素が供給され、セレン化水素が生成する。また、工程(S20)として実施されるセレン除去工程において液化されたセレンは、セレン保持部11へと移動した後、電気炉41により加熱されて気化し、水素と反応することによりセレン化水素となる。このように、本実施の形態では、原料としてセレン蒸気が供給されてセレン化水素が製造される。
なお、上記実施の形態においては、セレン捕集部が、反応室を取り囲むように配置され、反応室を外周側から冷却する構造を有する場合について説明したが、本発明のセレン化水素の製造装置に含まれるセレン捕集部はこのような構造を有するものに限られるものではない。本発明のセレン化水素の製造装置においては、たとえば多管式熱交換器など、セレン化水素に混入した気体状のセレンを液化させ、セレン保持部へと移動させる機能を有する任意の構造のセレン捕集部を採用することができる。
本発明のセレン化水素の製造装置およびセレン化水素の製造方法の効果を確認する実験を行った。実験の手順は以下の通りである。
実験装置として、上記実施の形態1において説明したセレン化水素の製造装置と同様の構造を有する実験装置を準備した。具体的には、図4を参照して、実験装置90は、実施の形態1のセレン化水素の製造装置において、導出配管31の下流側の構造を変更した構造を有している。すなわち、反応室10に接続された導出配管31には、水分除去部32およびセレン化水素捕集部33に代えて、セレン化水素の濃度を測定するガス濃度測定装置81が設置されている。ガス濃度測定装置81としては、FT−IR(Fourier Transform Infrared Spectrometer;フーリエ変換赤外分光装置)を採用した。さらに、ガス濃度測定装置81を通過したガス84(セレン化水素と未反応の水素とを主成分とするガス)は、容器82に保持された硫酸銅水溶液83内にて放出される。放出されたガス84に含まれるセレン化水素は硫酸銅水溶液83と反応し、セレン化銅と硫酸とが生成する。
上記実験装置90を用いて、以下の条件で実験を行った。まず、セレン保持部11にセレン50gを配置し、電気炉41により反応室10の外周側から加熱することによりセレンを液化させた。セレンの温度は550℃に維持した。一方、水素供給管21を通して水素ガスを500ml/minの流量にてセレン保持部11に供給した。このとき、第1冷却部50を運転することにより、本体部51により取り囲まれた反応室10の壁を250℃に保持した。また、第2冷却部60を運転することにより、本体部61により取り囲まれた反応室10の壁を室温に保持した。このとき、反応室10から導出された反応ガス中のセレン化水素の濃度をガス濃度測定装置81により測定した。そして、ガス濃度測定装置81によってセレン化水素が検出されなくなるまで水素の導入を継続した。その後、硫酸銅水溶液83中に生成した硫酸を中和滴定することにより、セレン化水素の収率を算出した。また、反応室10の冷却後に水素供給管21および制御板24を観察し、セレンの付着を確認した(本発明の実施例)。
一方、上記実施例と同様の実験条件において、第1冷却部50を運転しなかった場合についても、同様にセレン化水素の濃度の確認、セレン化水素の収率の算出、およびセレン付着の確認を行った(本発明の範囲外である比較例)。
次に、実験結果について説明する。ガス濃度測定装置81により測定されたセレン化水素の濃度の最大値は、実施例の場合が35.6体積%、比較例の場合が35.4体積%であり、大きな差は確認されなかった。一方、セレン化水素の収率については、実施例の場合が98.9mol%であったのに対し、比較例の場合は92.1mol%であった。すなわち、比較例の場合に比べて、実施例におけるセレン化水素の収率は大幅に改善していた。また、反応室10の冷却後に水素供給管21および制御板24を観察したところ、図5に示すように、実施例の場合はセレンの付着が確認されなかった。これに対し、比較例の場合は、図6に示すように、大量のセレンの付着が確認された(たとえば制御板24の外周部等参照)。このことから、実施例の場合、セレン化水素中の気体状のセレンが良好に除去されていることが確認される。
以上の実験結果から、本発明のセレン化水素の製造装置およびセレン化水素の製造方法によれば、簡易な装置構造および装置の操作により、反応室や配管の内壁へのセレンの付着を低減できることが確認される。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示された範囲、そして特許請求の範囲と均等な意味および範囲内でのすべての変更、改良が含まれることが意図される。
本発明のセレン化水素の製造装置およびセレン化水素の製造方法は、セレンと水素とを加熱環境下で反応させてセレン化水素を製造するセレン化水素の製造装置およびセレン化水素の製造方法に、特に有利に適用され得る。
1 セレン化水素の製造装置、10 反応室、10A 上壁、10B 底壁、11 セレン保持部、21 水素供給管、21A 端部、22 流量制御装置、24 制御板、24A 主表面、31 導出配管、32 水分除去部、33 セレン化水素捕集部、41 電気炉、50 第1冷却部、51 本体部、52 接続管、53 熱媒冷却循環装置、60 冷却部、61 本体部、62 接続管、63 冷却水冷却循環装置、71 セレン蒸気供給管、81 ガス濃度測定装置、82 容器、83 硫酸銅水溶液、84 ガス、90 実験装置、91 セレン、92 水素。

Claims (8)

  1. セレンを保持するセレン保持部を有し、内部においてセレンと水素とが反応しセレン化水素が生成する反応室と、
    前記反応室に接続され、前記セレン保持部に水素を供給する水素供給路と、
    前記反応室内の前記セレン保持部以外の領域に存在するセレン化水素に混入した気体状のセレンをセレン化水素の再分解温度域を超える温度からセレンの液化温度以下であってセレン化水素の再分解温度域未満の温度に冷却して液化させ、液化したセレンを前記セレン保持部へと移動させるセレン捕集部とを備えた、セレン化水素の製造装置。
  2. 前記セレン捕集部は、前記セレン保持部に隣接して配置される、請求項1に記載のセレン化水素の製造装置。
  3. 前記水素供給路は、前記セレン保持部にまで延在している、請求項1または2に記載のセレン化水素の製造装置。
  4. 前記セレン化水素の製造装置が設置された状態において、前記セレン捕集部は、前記セレン保持部に対して鉛直方向において上側になるように配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセレン化水素の製造装置。
  5. 前記セレン捕集部は、前記反応室を取り囲むように配置され、前記反応室を外周側から冷却する構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセレン化水素の製造装置。
  6. 前記反応室内には、前記反応室内におけるセレン化水素の流れる方向に交差する方向に広がる面を有し、セレン化水素が前記反応室の壁面に沿って流れるようにセレン化水素の流れを制御する流れ制御部材が配置されている、請求項5に記載のセレン化水素の製造装置。
  7. セレンを保持するセレン保持部を有する反応室内の前記セレン保持部でセレンと水素とを反応させてセレン化水素を生成させる工程と、
    生成したセレン化水素に含まれる気体状のセレンを、前記セレン保持部以外の前記反応室内の領域においてセレン化水素の再分解温度域を超える温度からセレンの液化温度以下であってセレン化水素の再分解温度域未満の温度に冷却して液化させ、液化したセレンを前記セレン保持部へと移動させる工程とを備えた、セレン化水素の製造方法。
  8. セレン化水素に含まれる気体状のセレンを液化させ、前記セレン保持部へと移動させる工程では、前記反応室の前記セレン保持部に隣接する領域でセレン化水素に含まれる気体状のセレンが液化される、請求項7に記載のセレン化水素の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114887567A (zh) * 2022-05-16 2022-08-12 苏州金宏气体股份有限公司 硒化氢连续合成设备及方法

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