JP2015076983A - 寿命判定機能を有する蓄電装置、及び組電池の寿命判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 種々の温度環境下においても、精度良く寿命を判断できるリチウムイオン二次電池の組電池および蓄電装置を提供する。
【解決手段】 充放電特性を示す充放電カーブ内に変曲領域を有する第1単電池と、充放電カーブ内に変曲領域を有し、高電圧領域での電気容量が第1単電池よりも大きく、サイクル劣化が早い第2単電池とが直列に接続され、それぞれの単電池に電圧を測定するための配線がされてなる組電池と、第1単電池と第2単電池の電圧を測定する電圧測定装置と、電圧測定装置の電圧値から組電池の寿命を判定する比較部と、からなる蓄電装置を用いることで、外部環境温度によらず、精度よく組電池の寿命を判定できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、寿命判定機能を有する蓄電装置、及び組電池の寿命判定方法に関する。
昨今、電気自動車や自然エネルギーを活かしたスマートグリッドなどによる省エネルギー社会を目指した発展が望ましい。その中で、二次電池は蓄電装置として大きな役割を持つ。特に、リチウムイオン二次電池は、容量・出力ともにすぐれ、システムの小型化に貢献しうる。その際、一つのリチウムイオン二次電池では電力量が小さいため、直列・並列に組み合わされたリチウムイオン二次電池の組電池として利用される場合が多い。この場合、様々な使用条件により変化する組電池全体の劣化の状態を逐次把握することは必須な技術である。例えば、リチウムイオン二次電池が劣化し貯蔵できる電池容量が減ってくると、十分な電力を供給できなくなり、電力供給をうけるデバイスがうまく動作しなくなるなどの不具合が発生する。
従来、単電池・組電池の劣化状態を評価するのには、リチウムイオン二次電池のインピーダンスを測定し、所定の基準と比べることで評価する技術が知られている。特許文献1では、組電池全体のインピーダンスを評価し規定インピーダンス以上を示した場合には組電池を寿命と判定している。
しかしながら、特許文献1のようにインピーダンスを用いる手法では、外部の環境によって判定精度が落ちる場合がある。リチウムイオン二次電池は外部の温度に敏感であり、例えば、温度が高い場合であると、インピーダンスは低い値となり、温度が低い場合であると、インピーダンスは高い値となる。温度が高い条件においては、本来寿命と判断すべきインピーダンスの大きさになっていても、低く見積もられ使用可と判断され、逆に温度が低い条件下においては、本来、正常とされるはずのインピーダンスであるのに、大きく見積もられ寿命と判断されてしまう場合がある。また、論理回路での温度補正を行うこともできるが、初期だけでなく劣化後の各温度のインピーダンスの特性をあらかじめ正確に把握する必要があり、現実的ではない。
特開平9−114588号公報
本発明は、外部の温度環境によらず、精度よく組電池の寿命判定が可能な蓄電装置と、組電池の寿命判定方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる蓄電装置は、直列接続された複数の単電池を有し、その複数の単電池のうち少なくとも2つは、第1単電池と第2単電池とで構成される組電池と、前記第1単電池の電圧を測定する第1の電圧測定装置と、前記第2単電池の電圧を測定する第2の電圧測定装置と、第1単電池と第2単電池の電圧を比較する比較部と、を有し、前記第1単電池及び前記第2単電池の充放電特性は、充放電カーブに変曲領域を有し、前記第1単電池は、前記第2単電池よりも先に前記変曲領域内の所定電圧に達する通常状態を持ち、前記比較部は、充放電後に第2単電池が前記第1単電池より先に前記変曲領域内の所定の電圧に達するとき、寿命と判断することを特徴とする寿命判定機能を有する蓄電装置である。
この構成によれば、充放電過程において、第1単電池と第2単電池の各電圧を測定し、第2単電池よりも早く第1単電池が変曲領域電圧に達する通常状態から、第1単電池よりも先に第2単電池が変曲領域電圧に達する状態を寿命と判断するものである。つまり放電の際に先に変曲領域電圧となる電池が、第1単電池から第2単電池に入れ代わる際に蓄電池の寿命と判断されうる。変曲領域は、放電電気容量に対する電圧の変化量が大きい領域であり、電圧を測定することで、精度よく変曲領域の状態であることを判断できる。このように蓄電装置内に設置された前記二種の単電池を相対評価することで、環境温度によらず組電池の寿命を精度良く判断することができる。
また、第1単電池と前記第2単電池は組電池内で隣接して構成されている寿命判定機能を有する蓄電装置であることが望ましい。
この構成によれば、第1単電池と第2単電池の温度差をより小さくすることができるため、精度よく蓄電装置の寿命を判断することができる。
また、本発明にかかる寿命判定方法は、複数の単電池が直列に接続されてなる組電池の寿命判定方法であって、複数の単電池のうち少なくとも2つは、充放電特性を示す充放電カーブに変曲領域を有する第1単電池と第2単電池とを有し、前記第1単電池の前記変曲領域内の所定電圧と前記第2単電池の前記変曲領域内の所定電圧とを測定し、放電時に、第1単電池が先に変曲領域電圧となった際は、通常状態と判定し、充放電の繰り返しにより、第2単電池が先に前記変曲領域内の所定電圧となった際に、蓄電装置の寿命と判断する組電池の寿命判定方法である。
この手法によれば、組電池に設置された前記二種の単電池の電圧を相対評価することで、環境温度によらず組電池の寿命を精度良く判断することができる。
本発明によれば、組電池の温度環境によらず、精度よく組電池の寿命判定を行える蓄電装置を提供でき、また組電池の寿命判定方法を提供することが可能となる。
第1実施形態の蓄電装置 単電池を模式的に示した図 第1実施形態の第1単電池と第2単電池の充放電特性を示す充放電カーブ 第1実施形態の第1単電池と第2単電池の高電圧領域におけるサイクル特性 第2実施形態の蓄電装置 第2実施形態の第1単電池と第2単電池と第3単電池の充放電特性を示す充放電カーブ 第2実施形態の第1単電池と第2単電池と第3単電池の高電圧領域におけるサイクル特性 実施例1の第1単電池と第2単電池の高電圧領域でのサイクル特性 実施例2のサイクル劣化を設計した際のサイクル特性 実施例3のサイクル劣化を設計した際のサイクル特性 比較例の各温度でのサイクル回数とインピーダンスの関係
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(たとえば、組電池の構築手段、単電池を構成する電極体ユニットや電解質の構成、電池構築のためのプロセス等)は、当該分野における技術常識に基づいて、変形可能である。
(単電池)
図3に第1単電池14と第2単電池16の充放電特性を示す放電カーブの一例を示す。図3において、横軸は、単電池1の通常(第1実施形態)
(蓄電装置)
まず第1の実施形態について説明する。図1に本実施形態の蓄電装置40を模式的に示す。本実施形態の蓄電装置40は、第1単電池14と、第1単電池14の電圧を測定する電圧測定装置30と、第2単電池16と、第2単電池16の電圧を測定する電圧測定装置35と、比較部38を有する。また第1単電池14と第2単電池16は直列に接続され、更に複数の単電池12と合わせ直列接続し、組電池20を構成している。
その組電池20は、その内部に設置された第1単電池14と第2単電池16とそれぞれに接続する配線が引き出され、その配線により電圧測定装置30と、電圧測定装置35は、第1単電池14と第2単電池16にそれぞれ並列に接続されている。また、比較部38は、電圧測定装置30と電圧測定装置35の電圧を比較し、後述する寿命判定方法により蓄電装置40の寿命を判定している。
図3に第1単電池14と第2単電池16の充放電特性を示す放電カーブの一例を示す。図3において、横軸は、単電池1の通常状態での満充電状態を0、放電終了時を100とする放電深度(放電の電気容量)として示し、縦軸は、単電池のセル電圧を示し、充電状態を表す。図3中、実線で描いた放電カーブは、第1単電池の充放電特性を示し、点線で描いた放電カーブは、第2単電池の充放電特性を示している。その放電カーブにて明らかなように、第1単電池14と第2単電池16の充放電特性は、充放電カーブ内に変曲領域100を有し、それぞれの充放電カーブは、変曲領域100よりも大きい電圧の高電圧領域101と、変曲領域よりも小さい電圧の低電圧領域102を持っている。
(第1単電池と第2単電池の関係)
また、第1単電池14の高電圧領域101における電気容量は、第2単電池16の高電圧領域101における電気容量と比べて、所定量以上小さく設定され、そのため、通常状態では、満充電から放電すると第1単電池は、第2単電池よりも早く変曲領域100内の所定電圧に達する通常状態を持つ。
さらに、第1単電池14の電池容量のサイクル劣化速度は、第2単電池16の電池容量のサイクル劣化速度よりも遅い。特に高電圧領域101での電気容量のサイクル劣化速度が重要であり、第1単電池14と第2単電池16の高電圧領域101での容量差を設け、変曲領域100内の所定電圧を利用することで、より精度の高い蓄電装置40の寿命を判定することができる。
なお、通常、単電池を組電池化する際には、特性によるグルーピングによって、同等程度の単電池を選び、組電池20を作製する。第1単電池14と第2単電池16との高電圧領域での電気容量差は、本発明の効果を発現する程度であれば特に限定されるものではないが、グルーピング時の電池容量ばらつきである1%程度以上あれば十分である。たとえば、第1単電池14と、第2単電池16との、高電圧領域101での電気容量差は、単電池の製造時での電気容量差以上(たとえば3%以上)であることが望ましい。この様な設計とすることで、高感度な電気回路を用いずとも判別が容易となる。
また、第1単電池14と、第2単電池16は、同等の電池容量であっても、異なる電池容量であっても良いため低電圧領域での容量は特に限定されない。つまり、図3では、第1単電池14の電池容量が100に対し、第2単電池も100のものを使用した例を示しているが、低電圧領域での電気容量が非常に大きい第2単電池16を利用し100を超えるものであってもよい。
(組電池)
またこれらの単電池は必要に応じて、複数の単電池12をさらに直列に接続することで、高電圧を出力できる組電池20とすることができる。これにより蓄電装置40全体の電圧を調整することができる。また、図面では、割愛してあるが、直列に接続された各単電池は、それぞれ、個別に同等の単電池を並列に接続してもよく、組電池の大部分を占める単電池12もそれぞれ個別に、過放電や過充電防止のため電圧測定装置を設け、あわせて電気回路を設けてもよい。
(寿命判定方法)
上述した第1単電池14と第2単電池16を有する蓄電装置40は、以下の手順にて寿命を判定する。まず、初期状態から充放電を繰り返し行う寿命前の通常状態では、蓄電装置40の放電時に、電圧測定装置35で測定される第2単電池16よりも、電圧測定装置30で測定される第1単電池14の方が先に、あらかじめ設定された変曲領域の所定電圧に達する。これは、組電池内の単電池は全て均等に放電し、同じ放電深度となるように放電する。したがって、第1単電池14も、第2単電池16も、満充電状態から放電終了に至るまで、常に同じ放電深度にて放電される。通常状態では、第1単電池14が、図3に示す変曲領域100内の所定電圧に達しても、第2単電池は、まだ高電圧領域101の高い電圧を示すことになる。通常状態か否かの判断は、第1単電池14と第2単電池16の電圧を電圧測定装置(30、35)で測定し、比較部38がその2つの単電池の電圧を比較することによって判定する。一方、寿命に達した状態では、蓄電装置40の放電時に、第1単電池14よりも、第2単電池16の方が先に、変曲領域の所定電圧に達する。この寿命に達した状態も通常状態を判定するのと同様に第1単電池14と第2単電池16の電圧を比較部38が比較することによって判定する。
なお、比較部は、電圧を検知し比較することができる一般的な回路であれば特に問わないが、電圧の差を検知し信号を出力することができる回路を用いることが好ましい。
また、図1の実施形態では、第1単電池14と第2単電池16は、組電池20内で同等の環境下にある。このため、環境温度の変化があっても、比較すべき第1単電池14と第2単電池16の特性は、同様に変化し、環境温度によらず充放電状態であることをより正確に判定することがきる。このとき、第1単電池14と第2単電池16の温度特性は、必ずしも同等である必要はないが、ほぼ同等である方がさらに精度の高い寿命判定の上で望ましい。
本明細書において、「変曲領域100」とは、特に限定しない限り、個々の単電池に蓄えられる電気容量と電圧で規定される充放電特性の充放電カーブにおいて、電気容量の単位変化量に対して電圧の変化量が(局所的に)大きい領域をいう。変曲領域100では、単電池に蓄えられる電気容量の変化量に対して電圧の変化量が大きいため、電圧で単電池に蓄えられた電気容量を判定する場合、精度よくリチウムイオン二次電池に蓄えられた電気容量を評価することができる。電圧測定装置での電圧値誤差が0.05Vの場合、電気容量が5%変化した際に変曲領域での電圧変化量が、0.05V以上であれば、5%程度の誤差で判定することができる。
本明細書において、「変曲領域電圧」とは、特に限定しない限り、個々の単電池に設定される変曲領域での中央電圧であり、言い換えれば、変曲領域を示す電圧幅の中心となる電圧のことである。通常は、Vの単位を用いて示される。設定される電圧値は、使用される正極活物質、負極活物質の組み合わせによって適宜調整可能である。
本明細書において、通常状態とは、初期からリチウムイオン2次電池の寿命に達する手前の状態を指し、市場にて安全に使用できる状態である。
なお、サイクル劣化とは、純粋な充放電サイクル負荷による劣化だけでなく、高温状態での使用や、長期保存、温度ショック等による様々なユーザーによる使用環境によって影響しうる諸要因を加味し、充電、放電を繰り返し行うことによる通常使用による劣化を加味しうるものである。
本実施形態は、時々刻々と変化する様々な環境変化にかかわらず、寿命を測定可能な蓄電装置である。
本実施形態の構成要素をさらに詳細に説明する。図2には、第1単電池14および第2単電池16として、リチウムイオン二次電池を例に挙げ、その内部構造を電池要素50として示す。第1単電池14および第2単電池16の電池要素50は、いずれも、正極集電体62の両面に正極合剤層61を形成した正極60と、負極集電体72の両面に負極合剤層71を形成した負極70と、リチウムイオン伝導性を有する電解質を含んだセパレータ80を有し、そのセパレータ80は正極60と負極70との間に挟まれた構成になっている。また正極合剤層61は正極活物質、導電助剤及びバインダーを含み、負極合剤層71は負極活物質、導電助剤及びバインダーを含んでいる。
この単電池の構成に上述したような充放電特性を示す充放電カーブに変曲領域を持たせるには、以下の3つの構成例が挙げられる。
(1)正極合剤層61中の正極活物質を複数種類混合して用いる構成。
(2)負極合剤層71中の負極活物質を複数種類混合して用いる構成。
(3)正極60と負極70とが共に上記(1)、(2)の構成。
正極活物質と負極活物質とはそれぞれ固有の電位を持つ。単電池の電圧は、正極活物質と負極活物質との固有電位に起因する電位差である。各電極に複数の活物質材料を混ぜ合わせることにより、活物質間の電位の切れ目に起因する急峻な電位差を充放電カーブに発現させ変曲領域100を得ることができる。もちろん変曲領域を発現させる方法は上述したものに限らず、LiMn1−kFePO(0<k<1)のように一つの活物質で二つの固有電位を有する活物質を選択すれば、一種類の活物質により急峻な電位差を充放電カーブに発現させ、変曲領域100を得ることができる。
変曲領域100が正極60を起源とする上記(1)又は(3)の場合、正極合剤層61中の正極活物質同士の電位が充分に異なることが望ましい。すなわち、電位が離れている正極活物質同士を併用するのが望ましい。現在広く用いられているリチウムイオン二次電池用正極活物質の電圧範囲は、金属リチウムに対して約3.0〜約4.0Vである。本実施形態では、その金属リチウムを基準として、低電圧正極活物質、高電圧正極活物質と区分けすることができる。低電圧正極活物質とは、満充電近傍(充電深度95%)の電圧がリチウム金属に対して3.5V以下の活物質であり、具体的にはLiTiO、LiFePOなどが例示される。高電圧正極活物質とは、充電初期(充電深度5%)の電圧が3.5V以上の活物質であり、具体的にはLi(Ni1−x−yCoMn)O(以下、「NCM」という。0.1≦x≦0.5、0.1≦y≦0.5)、Lia(Ni1−b−cCoAl)O(0.9≦a≦1.3、0<b≦0.5、0<c≦0.7)、LiMnO、LiVPO、LiVOPO、LiCoO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPOなどが例示される。
LiFePO(以下、「LFP」という)、LiVPO、LiVOPO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPO等の正極活物質群は、通常使用域で電圧変化が少なく、充電初期、充電末期に急峻に電圧が変化する正極活物質である。そのため、このような構造を持つ正極活物質同士を併用すれば、変曲領域における電圧変化量に対する充電深度変化量が小さくでき、さらに検出精度を向上させることができる。例えば、低電圧正極活物質としてLiFePOと、高電圧正極活物質としてLiVPO、LiVOPO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPOから選ばれるオリビン骨格正極活物質等と、を組み合わせることが好ましい。
変曲領域100が負極70を起源とする(2)の場合も同様に、負極合剤層71中の負極活物質を複数種類選択することで、変曲領域を得ることができるが、この場合も負極活物質の電位差が大きい組み合わせが望ましい。負極の場合は、0.5V程度を境界として低電圧負極活物質、高電圧負極活物質として区別できる。例えば、低電圧負極活物質としてはグラファイトが例示され、高電圧負極活物質としてハードカーボン、LiTi12、SiO(wは、0.5以上、2.5以下。)、Alなどが例示される。
また、本実施形態では、第1単電池14の高電圧領域101での電気容量のサイクル劣化速度は、第2単電池16の高電圧領域101での電気容量のサイクル劣化速度よりも遅い構成としている。このサイクル劣化速度を制御する手法としては、例えば、活物質の選択、導電助剤の量、バインダーの分子量、サイクル寿命をコントロールしうる添加剤、対向する正極60と負極70の単位面積当たりの塗工量比率などによって設計することが可能であり、好ましい。
具体的には、リチウムイオン二次電池は電池内で使用される各材料によって種々の特性を持つ。特に正極60に用いられている正極活物質、負極70に用いられている負極活物質、電解液はリチウムイオン二次電池の主たる特性を決めている。例えば、ここである正極活物質Aと正極活物質Bについて特性を比較した場合、正極活物質Aの劣化速度が速いとわかった場合では、第2単電池16に正極活物質Aを用い、第1単電池14に正極活物質Bを用いればよい。
また好ましくは、正極活物質AとBは同種異径の活物質であって、粒径が小さくなるとリチウムイオン二次電池としてのサイクル劣化速度は速くなることを利用すると、劣化特性以外の特性差を小さくすることができ望ましい。たとえば、第1単電池の正極活物質に10μmのNCMを、第2単電池の正極活物質として5μmのNCMを用いることができる。なお、同種の活物質とは材料の種類が同じ種類ということであって、同じ組成式で表される材料を示す。もちろん酸素欠損等と材料の諸特性が変わらない程度の組成式の変動は同種の範囲内である。また粒径の測定及び管理は、レーザー回折式粒度分布測定装置にて測定すればよい。
また、正極合剤層61、負極合剤層71に用いるバインダー量やバインダーの分子量によっても単電池のサイクル劣化特性を設計することができる。バインダー量が多い場合や、バインダーの分子量が大きい場合に、合剤層の劣化を抑えることができる。たとえば、第1単電池の正極合剤層中のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)の分子量を100万、第2単電池の正極合剤層中のPVDFの分子量を50万とすると、第1単電池の劣化速度を、第2単電池よりも遅くすることができ、本実施形態の蓄電装置へ適応しうる。また分子量の測定及び管理は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)にて測定すればよい。
また、正極合剤層、負極合剤層に、単電池のサイクル劣化速度を設計することができる添加剤を入れ込むことによって、単電池の劣化特性を設計することができる。単電池のサイクル劣化特性を設計することができる添加剤としては、NMPがあげられる。正極合剤層へのNMPの添加量が少ない方が単電池の劣化が抑えられる傾向がある。たとえば、第1単電池の正極合剤層に重量比で0.1%、第2単電池の正極合剤層に0.5%添加することで、第1単電池の劣化速度を、第2単電池よりも遅くすることができ、本実施形態の蓄電装置へ適応しうる。
以上、本実施形態における単電池の特性を制御するための構成例について述べたが、単電池を構成するその他の構成についても説明する。
(導電助剤)
正極合剤層61及び負極極合剤層71には導電助剤を含有させてもよく、導電助剤には、非水電気化学素子に広く一般に用いられるアセチレンブラックや、カーボンナノチューブを含む針状炭素などを用いることができる。
(バインダー)
正極合剤層61及び負極極合剤層71に用いるバインダーには、上述したポリフッ化ビリニデン(PVDF)の他、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。なお、正極合剤層61及び負極極合剤層71を塗布、形成する際には、これらバインダーを溶解させる溶媒、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、純水などを用いればよい。
(集電体)
正極集電体62及び負極集電体72に用いる集電体は、一般にリチウムイオン二次電池に使用されている各種公知の材料を用いることができ、具体的には、負極集電体72としてCu箔が、正極集電体62としてAl箔があげられる。
(セパレータ)
セパレータには特に制限はなく、広く公知の材料を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂の微多孔膜を用いることができる。
(電解質)
電解質は、非水電解液、ゲル状の電解質、無機物あるいは有機物の固体電解質を広く用いることができる。例えば、非水電解液は溶媒と塩を含む物を用いることができ、これは適宜添加え物を含んでいてもよい。
非水電解液の溶媒には、リチウムイオン伝導性のある溶媒が望ましい。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等の感情炭酸エステルを単体または適宜組み合わせて使用することができる。電気伝導度を高くし、かつ適切な粘度を有する電解液を得るため、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジフルオロカーボネート(FEC)等を併用してもよい。非電解液中の塩には、LiPF、LiBF、LiClOなどを用いることができる。
(外装体)
図2には記載されていないが、正極、負極、セパレータを積層した電池要素を封入する外装体は特に制限はなく、鉄、アルミニウムやステンレス製の缶、アルミニウムラミネート製の外装袋を適宜選択することができる。
(単電池の製造方法)
以下に単電池の製造方法の一例を説明する。まず、正極60は、併用する正極活物質と、所定の導電助剤と、所定のバインダーとを、溶剤と共に混合して塗料を作製した後、正極集電体62であるアルミ箔上に塗布、乾燥し、正極60を得る。
次に、負極70は、正極60と同様、併用する負極活物質と、所定の導電助剤と、所定のバインダーとを、溶剤と共に混合して塗料を作製した後、負極集電体72である銅箔上に塗布、乾燥し、負極70を得る。
作製した正極60と負極70は、セパレータを介して積層又は巻回され、電池要素として外装体の中に挿入される。
この外装体の中に電池要素を挿入した後、電解質が加えられ、外装体を真空封止すれば単電池としてリチウムイオン二次電池が完成する。
(組電池の製造方法)
次に組電池の製造方法について述べる。あらかじめ、上述の構成及び、製造方法によって得られる単電池を用意し、第1単電池14と、第1単電池14に比べて、高電圧領域101の容量が大きくサイクル劣化速度が速い第2単電池16と、その他のリチウムオン二次電池12とを、必要数用意する。それぞれの単電池を直列に接続し、組電池20を得る。
単電池を直列に接続する際に、前もって、各単電池の充電状態をそろえて接続することが望ましい。ここで充電状態とは、電池容量に対する、実際にたまっている電気容量の割合をいう。より好ましくは、満充電近傍の充電状態で接続することが望ましい。満充電近傍の充電状態で接続すると、満充電近傍での電圧ばらつきが最小となり、過充電状態となってしまう可能性が減り、安全な組電池となりうる。
(蓄電池の製造方法)
次に、蓄電装置40の製造方法について述べる。まず、上記製造方法によって得られた組電池20の第1単電池14と第2単電池16に、それぞれ、電圧測定装置30および、電圧測定装置35を並列に接続する。さらに電圧測定装置30と電圧測定装置35から、蓄電装置の寿命を判断する比較部38に信号線をつなげることで、蓄電装置40を得る。
(第2実施形態)
次に図5として第2実施形態の蓄電装置240を模式的に示し、その構造と製造方法について、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
本実施形態の蓄電装置240は、第1単電池214と、第1単電池214の電圧を測定する電圧測定装置230と、第2単電池216と、第2単電池216の電圧を測定する電圧測定装置35と、第3単電池217と、第3単電池の電圧を測定する電圧測定装置237と、比較部238を有する。第1実施形態とは第3単電池217を有している点で異なっている。
第1単電池214と第2単電池216と第3単電池217は直列に接続されており、それぞれの単電池の電圧を測定するため、電圧測定装置230と電圧測定装置235と電圧測定装置237は、第1単電池214と第2単電池216と第3単電池217にそれぞれ並列に接続されている。また、比較部237は、電圧測定装置230と電圧測定装置235と電圧測定装置237の電圧をもとに、蓄電装置240の劣化状態および寿命を判定している。
図6に第1単電池214と第2単電池216と第3単電池217の充放電特性を示す放電カーブの一例を示す。図6の横軸は、初期での第1単電池214の電池容量を100として示した。
(第1単電池と第2単電池と第3単電池の関係)
高電圧領域201での電気容量は、第1単電池214、第3単電池217、第2単電池216の順に大きい。また、高電圧領域201での電気容量のサイクル劣化速度は、第2単電池214、第3単電池217、第1単電池216の順に速い。
(蓄電装置の劣化状態および寿命判定方法)
図7に第1単電池214と第2単電池216と第3単電池217の高電圧領域201の電気容量のサイクル劣化特性を模式的に示す。上述した第1単電池214と第2単電池216と第3単電池217を有する蓄電装置240は、以下の手順にて劣化状態および寿命を判定する。まず、初期においては、蓄電装置240の放電時に電圧測定装置235で測定される第2単電池216よりも、電圧測定装置230で測定される第1単電池214の方が先に、あらかじめ設定された変曲領域内の所定電圧に達する。このとき、比較部238は通常状態であると判定する。その後、充放電を繰り返すと、蓄電装置240の放電時に電圧測定装置230で測定される第1単電池214よりも、電圧測定装置235で測定される第2単電池216の方が先に、あらかじめ設定された変曲領域電圧に達する。このとき、比較部238はあらかじめ設定された所定サイクル劣化状態を超えたと判定し、これを寿命と判断する。以上、説明した寿命判定方法は、第1実施形態と同様の原理にて判定することができる。
また、第2実施形態において、例えば組電池220の寿命の50%の劣化状態として第3単電池217の変曲領域電圧を設計すれば、組電池220の寿命までの劣化状態の進行度が把握できる。
このように、変曲領域202を有し、高電圧領域の電気容量のサイクル劣化が第2単電池216よりも遅い、第4、第5の単電池を併用することで、蓄電装置240のサイクル劣化状態をさらに細分化して判定することができ望ましい。
上記のような構成を用いることで、蓄電装置240は、劣化状態および寿命について、環境温度によらず精度よく判定することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(正極の作製)
正極活物質として、NCM(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)と、LiFePO(以下LFP)と、導電助剤としてカーボンブラック及び黒鉛、バインダーとしてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を用い正極を作製した。NCMについては、平均粒径(D50)で10μmのものを使用した。NCMを25g、LFPを60g、カーボンブラックを5g、黒鉛を5gの混合比率とした。これにPVDF(呉羽化学工業(株)製、KF7305)のN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)溶液(50g、10wt%)を加えて混合し、塗料145gを作製した。この塗料を集電体であるアルミニウム箔(厚み20μm)にドクターブレード法で塗布後、90℃で乾燥し、圧延することで、正極合剤層を形成した。
(負極の作製)
負極活物質として天然黒鉛を45g、導電助剤としてカーボンブラックを2.5g、をドライミックスした後に、バインダーとしてPVDF溶液22.5gを加え負極用の塗料を作製した。この塗料を集電体である銅箔(厚み16μm)にドクターブレード法で塗布後、乾燥(90℃)、圧延することで、負極合剤層を形成した。
(第1単電池の作製)
得られた正極、負極を、セパレータ(ポリオレフィン製の微多孔質膜)と共に所定の寸法に切断した。正極、負極には、外部引き出し端子を溶接するために塗料(合剤層)を塗布、形成しない部分を設けた。正極、セパレータ、負極をこの順序で積層した。このとき、リチウムイオン二次電池の容量が200mAhになるように積層した。正極、負極には、それぞれ、外部引き出し端子としてアルミニウム箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)、ニッケル箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)を超音波溶接した。この外部引き出し端子に、ポリプロピレン(PP)を巻き付け熱接着させた。
正極、負極、セパレータを積層した電池要素を、アルミニウムラミネート材料からなる外装体に収容した。外装体の中に電池要素を入れた後、電解液としてエチレンカーボンネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(EC:DEC=30:70vol%)にLiPFを1Mに溶解させたものを添加し、外装体を真空密封し、リチウムイオン二次電池を作製した。リチウムイオン二次電池は、封止後、10mA(0.05C)にて初回充電した。得られたリチウムイオン二次電池の、初期の平均放電容量は、約200mAhであった。満充電時からみて、60mAh程度放電した際に変曲領域が発現した。
(第2単電池の作製)
正極作製時に、NCMの平均粒径(D50)を5μmとし、NCMを42.5g、LFPを42.5g使用した。その他は、第1単電池14と同様に作製した。初期の平均放電容量は約200mAhのリチウムイオン二次電池を得た。満充電時からみて、100mAh程度放電した際に変曲領域が発現した。
第1単電池と第2単電池のそれぞれの電池に対し、完全放電状態から満充電状態までのサイクル劣化負荷を所定の回数繰り返した。200サイクルごとに第1単電池14と第2単電池16の高電圧領域での電気容量を評価し、初期での第1単電池の電池容量を100%として、サイクル劣化特性を評価すると図8のようになった。約1000サイクル後に高電圧領域での電気容量が同等になり、それ以降のサイクルにて、第2単電池の容量が少なくなることを確かめた。
(組電池の作製)
あらかじめ作製しておいた、第1単電池を1個と、第2単電池を1個とをそれぞれ満充電状態になるまで充電し、直列に接続することで組電池を得た。なお、実施例1での組電池の寿命は1000サイクルと設定した。
その後、第1単電池と第2単電池に電圧測定用の配線を用い、電圧測定装置をそれぞれ並列に取り付けた後、前記電圧測定装置の電圧値を比較部へ伝えるための配線を施し、蓄電装置とした。
(寿命判定試験)
作製した蓄電装置に、完全放電状態から満充電状態までのサイクル劣化負荷を所定の回数繰り返した後に、各温度環境下にて、寿命判定を行った際の結果を表1に示す。1000サイクル後に比較部は、寿命と判定し、実施例1での蓄電装置を用いれば、環境温度、放電速度によらず寿命判定をすることができた。
(実施例2)
実施例2では、高電圧正極合剤層に用いるバインダーの分子量をパラメータとすることで、リチウムイオン二次電池のサイクル劣化特性を設計した。
(電池電極の作製)
(正極の作製)
正極を作製する際に、NCMを主体とする塗料と、LFPを主体とする塗料をそれぞれ別に作製した。NCMの塗料作成時は、NCMを85g、カーボンブラックを5g、黒鉛を5g、PVDFを5gの混合比率となるよう塗料を作成した。この時、PVDFの分子量を約25万と、約50万と、約100万と、の3種類をそれぞれ用い3種類の塗料を作成した。LFPを主体とする塗料作成時は、LFPを85g、カーボンブラックを5g、黒鉛を5g、PVDFを5gの混合比率となるよう塗料を作成した。その後、アルミニウム箔上にドクターブレード法を用い、LFPの塗料、NCMの塗料の順で塗布した。この時、アルミニウム箔上で単位面積当たりのLFP量とNCM量が同等程度になるようにした。その他は、実施例1の要領で3種類の正極を作製した。
(負極の作製)
実施例1の負極と同等の負極を使用した。
(第1単電池の作製)
実施例1と同様の要領で、電池化を行い、正極合剤層のバインダーの分子量が異なる3種類のリチウムイオン二次電池を得た。得られたそれぞれのリチウムイオン二次電池の、初期の平均放電容量は、約200mAhであり、満充電状態から放電した際に、約100mAhしたときに、変曲領域が発現した。
(サイクル劣化特性の評価)
得られた、3種のリチウムイオン二次電池について、完全放電状態から満充電状態の範囲で充放電を繰り返す試験を行い、200サイクルごとの高電圧領域の電気容量を評価した。結果を図9に示す。図9は、正極合剤層のバインダーの分子量を調整し、本発明に利用可能なリチウムイオン二次電池のサイクル劣化特性を設計しうることを確認した。
(実施例3)
実施例3では、高電圧正極活物質を含む正極合剤層にサイクル劣化を調整しうる添加剤として、NMPを用いることにより、リチウムイオン二次電池のサイクル劣化特性を設計した。
(電池電極の作製)
(正極の作製)
まず、NCMとLFPを主体とする塗料をそれぞれ別々に作製した。NCMの塗料作成時は、NCMを85g、カーボンブラックを5g、黒鉛を5g、PVDFを5gの混合比率となるよう塗料を作成した。LFPを主体とする塗料作成時は、LFPを85g、カーボンブラックを5g、黒鉛を5g、カルボキシメチルセルロース(CMC)を2g、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を3gの混合比率となるよう塗料を作成した。この時、LFP塗料の溶媒には純水を用いた。その後、アルミニウム箔上にドクターブレード法を用い、NCMの塗料を塗布し、乾燥した。その後、NMPの飽和雰囲気内に1分と1時間放置しNMPを添加した。NMPを添加したNCM(高電圧正極活物質)合剤層ををガスクロマトグラフィーを用いて、NMPの濃度を測定したところ、NCMに質層の重量に対して、0.3%以下と、約0.8%程度の2種類のNCM(高電圧正極活物質)合剤層を得た。その後、NCM合剤層上にLFPの塗料を塗布し、乾燥し、圧延することで、2種の正極を得た。この時、アルミニウム箔上で単位面積当たりのLFP量とNCM量が同等程度になるようにした。
(負極の作製)
実施例1の負極と同等の負極を使用した。
(電池の作製)
実施例1と同様の要領で、電池化を行い、高電圧正極活物質を含む正極合剤層中へのNMPの添加量が異なる2種類のリチウムイオン二次電池を得た。得られたそれぞれのリチウムイオン二次電池の、初期の平均放電容量は、約200mAhであった。満充電状態から放電した際に、約100mAhしたときに、変曲領域が発現した。
(サイクル劣化特性の評価)
得られた、2種のリチウムイオン二次電池について、完全放電状態から満充電状態の範囲で充放電を繰り返す試験を行い、200サイクルごとの高電圧領域の電気容量を評価した。結果を図10に示す。図10は、高電圧正極活物質を含む正極合剤層へのNMP添加量によって、利用可能なリチウムイオン二次電池のサイクル劣化特性を設計しうることを確認した。
以上、実施例2、3で作製した、サイクル劣化特性を設計しうるリチウムイオン二次電池を、実施例1の要領で組電池化し蓄電装置とすることで、環境温度によらず組電池の寿命を評価可能である
(比較例1)
(リチウムイオン二次電池の作製)
(正極の作製)
正極活物質として、NCM(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)を、導電助剤としてカーボンブラック及び黒鉛、バインダーとしてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、を用い正極を作製した。これらはNCMを85g、カーボンブラックを5g、黒鉛を5gの混合比率とした、これにPVDFのN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)溶液(50g、10wt%)を加えて混合し、塗料145gを作製した。この塗料を集電体であるアルミニウム箔(厚み20μm)にドクターブレード法で塗布後、90℃で乾燥し、圧延した。
(負極の作製)
負極活物質として天然黒鉛を45g、導電助剤としてカーボンブラックを2.5g、をドライミックスした後に、バインダーとしてPVDF溶液22.5gを加え負極用の塗料を作製した。この塗料を集電体である銅箔(厚み16μm)にドクターブレード法で塗布後、乾燥(90℃)、圧延した。
(電池の作製)
得られた正極、負極を、セパレータ(ポリオレフィン製の微多孔質膜)と共に所定の寸法に切断した。正極、負極には、外部引き出し端子を溶接するために塗料(合剤層)を塗布、形成しない部分を設けた。正極、セパレータ、負極をこの順序で積層した。このとき、リチウムイオン二次電池の容量が200mAhになるように積層した。正極、負極には、それぞれ、外部引き出し端子としてアルミニウム箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)、ニッケル箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)を超音波溶接した。この外部引き出し端子に、ポリプロピレン(PP)を巻き付け熱接着させた。
正極、負極、セパレータを積層した電池要素を、アルミニウムラミネート材料からなる外装体に収容した。外装体の中に電池要素を入れた後、電解液としてエチレンカーボンネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(EC:DEC=30:70vol%)にLiPFを1Mに溶解させたものを添加し、外装体を真空密封し、リチウムイオン二次電池を作製した。リチウムイオン二次電池は、封止後、10mA(0.05C)にて初回充電しリチウムイオン二次電池を得た。その後、充電し初期の平均放電容量を確認したところは約200mAhであった。
(リチウムイオン二次電池のインピーダンス評価)
組電池寿命をインピーダンス値から判断するために、得られたリチウムイオン二次電池のインピーダンスを100サイクルごとに測定した。結果を図11に示す。このとき、1kHzでの交流インピーダンスが160mΩ程度になった場合に組電池の寿命と設定(図11の点線300)した。同様にして、100サイクルごとに各環境温度にした後にインピーダンスを評価した結果も示した。
(組電池の作製と寿命判定試験)
作製したリチウムイオン二次電池5個を満充電状態にし、5直列に接続し、組電池を得た。その後、組電池のサイクル劣化試験を行った。その際、寿命判定は、特許文献1と同様に実施すると共に、各環境温度にても同様に実施した。結果を表1に示す。
その結果を表1に示す。25℃以外の環境では、誤った判定がなされた。また一度寿命と判定された項目は、それ以降評価はしていない。
なお、表1中、500サイクル後の−10℃環境下の測定では比較例1は500サイクル早く寿命と判断し誤判定となり、800サイクル後の0℃環境下の測定では比較例1は200サイクル早く寿命と判断し誤判定となり、1100サイクル後の45℃環境下の測定では比較例1は100サイクル遅く寿命と判断し誤判定となった。
Figure 2015076983
本発明は、環境温度が大きく変動するような環境においても、複雑な判定回路を必要とせず、精度良く充電深度を評価できるリチウムイオン二次電池の組電池および蓄電装置を提供するため、リチウムイオン二次電池の組電池および蓄電装置の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
12、212 単電池 14、214 第1単電池
16、216 第2単電池 217 第3単電池 20、220 組電池
30、230 第1単電池の電圧測定装置
35、235 第2単電池の電圧測定装置
237 第3単電池の電圧測定装置
38、238 蓄電装置の寿命を判断する比較部 40、240 蓄電装置
50 リチウムイオン二次電池 60 正極
61 正極合剤層 62 正極集電体 70 負極 71 負極合剤層
72 負極集電体 80 セパレータ 100、202 変曲領域
101、201 高電圧領域 102、203 低電圧領域
300 比較例1の組電池の寿命となるインピーダンス

Claims (3)

  1. 直列接続された複数の単電池を有し、その複数の単電池のうち少なくとも2つは、第1単電池と第2単電池とで構成される組電池と、前記第1単電池の電圧を測定する第1の電圧測定装置と、前記第2単電池の電圧を測定する第2の電圧測定装置と、第1単電池と第2単電池の電圧を比較する比較部と、を有し、前記第1単電池及び前記第2単電池の充放電特性は、充放電カーブに変曲領域を有し、前記第1単電池は、前記第2単電池よりも先に前記変曲領域内の所定電圧に達する通常状態を持ち、前記比較部は、充放電後に第2単電池が前記第1単電池より先に前記変曲領域内の所定の電圧に達するとき、寿命と判断することを特徴とする寿命判定機能を有する蓄電装置。
  2. 前記第1単電池と前記第2単電池は組電池内で隣接して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の寿命判定機能を有する蓄電装置。
  3. 複数の単電池が直列に接続されてなる組電池の寿命判定方法であって、
    複数の単電池のうち少なくとも2つは、充放電特性を示す充放電カーブに変曲領域を有する第1単電池と第2単電池とを有し、
    前記第1単電池の前記変曲領域内の所定電圧と前記第2単電池の前記変曲領域内の所定電圧とをそれぞれ測定し、放電時に、第1単電池が先に変曲領域電圧となった際は、寿命前と判定し、充放電の繰り返しにより、第2単電池が先に前記変曲領域内の所定電圧となった際に、蓄電装置の寿命と判断する組電池の寿命判定方法。

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