JP2015074802A - 伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法、及び、該線材を用る鋼線の製造方法 - Google Patents

伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法、及び、該線材を用る鋼線の製造方法 Download PDF

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Tatsumasa Tada
達誠 多田
高橋 幸弘
Yukihiro Takahashi
幸弘 高橋
宜孝 西川
Nobutaka Nishikawa
宜孝 西川
大輔 平上
Daisuke Hiragami
大輔 平上
敏之 真鍋
Toshiyuki Manabe
敏之 真鍋
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Abstract

【課題】鋼線用線材の成分系を変更することなく、ベイナイトを主体とする組織を形成して、線材の低強度・高延性化を図り、鋼線用線材の伸線特性及び耐遅れ破壊特性を高める。
【解決手段】伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材を製造する製造方法において、(a)C:0.80超〜1.20%を含有し、850〜1100℃の線材を、変態が起きない温度域を通過してベイナイト変態が開始しない温度に冷却し、該温度に、ベイナイト変態が開始するまで一定時間保定し、(b)ベイナイト変態が開始した後もそのまま保定し、ベイナイト変態を終了させることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法、及び、該線材を用いて鋼線を安定して製造する製造方法に関する。
ベイナイトを主な組織とする線材(通称、ベイナイト線材)は伸線性に優れていることが知られている(例えば、特許文献1〜7、参照)。
従来、線材の製造方法においては、パーライト組織を指向していたが、C量が過共析領域にあると、遅れ破壊(水素脆化)に対する感受性が高くなり、線材結束時、又は、線材結束状態で、線材が折損することがある。
遅れ破壊(水素脆化)に起因する折損を防止するには、線材を結束する力を低減する等、結束条件を緩和することが一つの対策である。しかし、結束条件を緩和すると、コイルの保管性、輸送性、及び、ハンドリングの際の安全性等を確保することが難しくなる。
線材の成分組成を調整して強度−延性バランスを改善する手法もあるが、該手法は、製品仕様へ影響を及ぼす(目標強度に達しない等)し、また、コストアップ等を招く恐れがある。
特開平05−117762号公報 特開平06−017190号公報 特開平06−017191号公報 特開平06−017192号公報 特開平06−073502号公報 特開平06−330240号公報 特開平08−003639号公報
本発明は、従来技術の課題に鑑み、鋼線用線材の成分系を変更することなく、ベイナイトを主体とする組織を形成して、線材の低強度・高延性化を図り、鋼線用線材の伸線特性及び耐遅れ破壊特性を高めることを課題とし、該課題を解決する鋼線用線材の製造方法、及び、該線材を用て鋼線を製造する製造方法を提供することを目的とする。
線材の強度を低強度化する一つの方法は、線材を緩冷却することであるが、過共析鋼の場合、緩冷却すると、初析セメンタイトが生成し、客先の加工工程で悪影響を及ぼす。本発明者らは、このことを踏まえ、上記課題を解決する手法を鋭意研究した。
その結果、本発明者らは、初析セメンタイトの生成抑制と線材の低強度・高延性化の両立が可能なベイナイト組織を造り込むことで上記課題を解決できることを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は次の通りである。
(1)伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材を製造する製造方法において、
(a)C:0.80超〜1.20質量%を含有し、850〜1100℃の線材を、変態が起きない温度域を通過してベイナイト変態が開始しない温度に冷却し、該温度に、ベイナイト変態が開始するまで一定時間保定し、
(b)ベイナイト変態が開始した後もそのまま保定し、ベイナイト変態を終了させる
ことを特徴とする伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
(2)前記850〜1100℃の線材が、圧延後の温度が850〜1100℃の線材であることを特徴とする前記(1)に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
(3)前記850〜1100℃の線材が、圧延後、又は、圧延後、伸線し、850〜1100℃に加熱した線材であることを特徴とする前記(1)に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
(4)前記850〜1100℃の線材を、350〜500℃の溶融塩又は溶融鉛に浸漬して冷却することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
(5)前記保定の一定時間が5〜60秒であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
(6)前記ベイナイト変態の開始を線材の復熱で検知することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
(7)前記線材が、質量%で、C:0.80超〜1.20%の他、Si:0.10〜1.50%、Mn:1.00%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
(8)前記線材が、さらに、質量%で、Cr:1.00%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下、Mo:0.50%以下、Ti:0.20%以下、Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、B:0.005%以下、Al:0.10%以下、及び、Ca:0.05%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(7)に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
(9)前記(1)〜(8)に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法で製造した鋼線用線材に伸線加工を施すことを特徴とする過共析ベイナイト鋼線の製造方法。
本発明によれば、パーライト鋼と比較し低強度・高延性化して、線材の結束時又は結束状態での折損が抑制され、伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材を安定的に製造することができ、また、該線材を用いて鋼線を安定的に製造することができる。
本発明の熱処理を示す図である。
本発明の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法(以下「本発明方法」ということがある。)について説明する。
本発明方法は、
(a)C:0.80超〜1.20質量%を含有し、850〜1100℃の線材を、変態が起きない温度域を通過してベイナイト変態が開始しない温度に冷却し、該温度に、ベイナイト変態が開始するまで一定時間保定し、
(b)ベイナイト変態が開始した後もそのまま保定し、ベイナイト変態を終了させる
ことを特徴とする。
本発明方法では、C:0.80超〜1.20質量%を含有し、850〜1100℃の線材を熱処理の対象とする。熱処理の対象とする線材は、圧延後の温度が850〜1100℃の線材でもよく、圧延後、一旦冷却して、850〜1100℃に加熱した線材でもよい。なお、線材圧延は通常の圧延でよい。
C量が過共析領域にあると、通常、遅れ破壊(水素脆化)に対する感受性が高まり、線材の結束時又は結束した状態で折損する恐れが生じるが、本発明方法では、ベイナイト組織を造り込んで低強度・高延性化を図り、線材の結束時又は結束した状態での折損を防止する。そのため、線材のCは、C:0.80%超〜1.20質量%とする。
Cは、焼入れ性と強度を高めるのに有効な元素であるので、0.80質量%を超えて添加し、所要の焼入れ性と強度を確保する。Cが増加し初析セメンタイトが生成すると、伸線加工時に断線が発生し易くなるので、初析セメンタイトの生成を抑制するため、上限を1.20質量%とする。
ただし、C量が過共析領域になると、通常、遅れ破壊(水素脆化)に対する感受性が高まり、線材結束時に折損する恐れが生じるので、C量は、他の強度向上元素の量を考慮して適宜設定する必要がある。
ここで、図1に基づいて、本発明方法の熱処理を説明する。
線材の温度は850〜1100℃とする。通常、圧延後の線材、又は、圧延後、適宜、伸線した線材の温度は1100℃以下であるので、1100℃を熱処理前の線材温度の上限とする。線材温度が850℃未満であると、線材の焼入れ性が不十分となるので、所要の焼入れ性を確保するため、線材温度の下限は850℃とする。
C:0.80%超〜1.20質量%を含有し、850〜1100℃の線材を、変態が起きない温度域を通過してベイナイト変態が開始しない温度に冷却し、該温度に、ベイナイト変態が開始するまで一定時間保定する。
850〜1100℃の線材を徐冷すると、セメンタイトが析出し、遅れ破壊の原因となる。それ故、850〜1100℃の線材を、図1に示すように、変態が起きない温度域を通過してベイナイト変態が開始しない温度T1に冷却する(図1中(b)、参照)。温度T1は、ベイナイト変態が起きない領域の温度であればよく、特に限定されないが、350〜500℃が好ましい。冷却方法は、特に、特定の方法に限定されないが、温度T1の溶融塩又は溶融鉛に浸漬する方法が好ましい。
例えば、350〜500℃の温度(T1)まで冷却した線材を、該温度(T1)で、ベイナイト変態が起きるまで一定時間t1保定する(図1中(b)、参照)。保定時間t1は、多くの場合5〜60秒である。
焼入れ性が低い線材の場合、保定時間が約5秒を超えるとベイナイト変態が始まるので、保定時間の下限は5秒が好ましい。焼入れ性が高い線材の場合、保定時間が約60秒を超えるとベイナイト変態が始まるので、保定時間の上限は60秒が好ましい。
ただし、線材の成分組成によっては、保定時間60秒を超えてベイナイト変態が始まる場合もあるので、前述したように、保定時間は、ベイナイト変態が開始しない時間内で適宜設定する。
一定時間t1の保定で、ベイナイト変態が開始するが、開始後も、そのまま保定し、ベイナイト変態を終了させる。なお、ベイナイト変態の開始(図1中、温度T1と、ベイナイト変態開始線Bsの交点)は、線材の復熱で検知することができる。
本発明方法で熱処理の対象とする線材は、質量%で、“C:0.80超〜1.20%”(過共析領域のC)を含有するが、その他、Si:0.1〜1.50%、Mn:1.00%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる線材が好ましい。
上記線材は、質量%で、さらに、Cr:1.00%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下、Mo:0.50%以下、Ti:0.20%以下、Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、B:0.005%以下、Al:0.10%以下、及び、Ca:0.05%以下の1種又は2種以上を含有してもよい。
以下、C以外の成分組成の限定理由について説明する。なお、%は質量%を意味する。
Si:0.10〜1.50%
Siは、強度を高めるのに有効な元素である。また、脱酸剤として機能する元素である。0.10%未満では、添加効果が発現しないので、0.10%を下限とする。しかし、過共析鋼において、Siは、初析フェライトの析出を促進するとともに、伸線加工での限界加工度を低下させるので、上限を1.50%とする。
Mn:1.00%以下
Mnは、焼入れ性を高め、強度を高めるのに有効な元素であり、また、Siと同様に、脱酸剤として有効な元素である。1.00%を超えると、偏析部の焼入れ性が向上し、変態終了時間が長時間側にずれて、未変態部がマルテンサイトとなり、伸線加工時の断線の原因となるので、上限を1.00%とする。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.20%以上、より好ましくは0.50%以上添加する。
P:0.02%以下、S:0.02%以下
PとSは、不純物元素である。多量に存在すると、線材の延性が阻害されるので、PとSは、いずれも0.02%以下とする。好ましくは、いずれも、0.01%以下、より好ましくは0.005%以下である。PとSは少ないほど好ましいが、0.001%以下への低減は、コストの上昇を招くので、実用鋼では0.001%が下限である。
本発明方法で熱処理の対象とする線材は、上記元素の他、Cr、Ni、Cu、Mo、Ti、Nb、V、B、Al、及び、Caの1種又は2種以上を、本発明方法で製造する鋼線用線材の特性を阻害しない範囲で添加してもよい。
Cr:1.00%以下
Crは、焼入れ性の向上に寄与する元素であり、ベイナイト変態の推進に有効な元素である。1.00%を超えると、変態終了時間が長時間側にずれて、熱処理時間が長くなるので、上限を1.00%とする。好ましくは0.50%以下、より好ましくは0.30%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上添加する。
Ni:1.00%以下
Niは、Crと同様に、焼入れ性の向上に寄与する元素であり、ベイナイト変態の推進に有効な元素である。1.00%を超えると、フェライト相の延性を阻害するので、上限を1.00%とする。好ましくは0.70%以下、より好ましくは0.50%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.10%以上添加する。
Cu:1.00%以下
Cuは、腐食疲労特性の向上に寄与する元素である。1.00%を超えると、フェライト相の延性を阻害するので、上限を1.00%とする。好ましくは0.70%以下、より好ましくは0.50%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.10%以上添加する。
Mo:0.50%以下
Moは、焼入れ性の向上に寄与する元素である。0.50%を超えると、焼入れ性が向上しすぎて、偏析部にミクロマルテンサイトが析出し易くなるので、上限を0.50%とする。好ましくは0.30%以下、より好ましくは0.10%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.03%以上添加する。
Ti:0.20%以下、Nb:0.20%以下、V:0.20%以下
Ti、Nb、及び、Vは、γ粒径を微細にし、その後に形成される組織を微細化して、靭性の向上に寄与する元素である。いずれも、0.20%を超えると、線材の特性に悪影響を及ぼすので、いずれの上限も0.20%とする。好ましくは、いずれも0.15%以下、より好ましくは0.10%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上添加する。
B:0.005%以下
Bは、焼入れ性の向上に寄与する元素であるが、0.005%を超えると、焼入れ性が高くなり過ぎて、延性が阻害されるので、上限を0.005%とする。好ましくは0.004%以下、より好ましくは0.003%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.001%以上添加する。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として機能する元素である。0.10%を超えると、硬質のアルミナ系介在物が生成して、延性と伸線性が阻害されるので、上限を0.10%とする。好ましくは0.07%以下、より好ましくは0.05%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上添加する。
Ca:0.05%以下
Caは、鋼中介在物のMnSの形態を制御し、耐遅れ破壊特性の向上に寄与する元素であるが、0.05%を超えると、逆に大型介在物が生成し、耐遅れ破壊特性が劣化するので、上限を0.05%とする。好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.03%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.005%以上添加する。
本発明方法で製造した、伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材に伸線加工を施すことにより、過共析ベイナイト鋼線を安定して製造することができる。伸線加工の際の減面率は特に規定をしない。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
表1に示す成分組成の過共析鋼片を、表2に示す線径の線材に圧延し、表2に示す温度条件でベイナイト変態を完了させた。ベイナイト変態完了後の線材の引張強度(N/mm2)と絞り(%)を測定した。結果を表2に併せて示す。
Figure 2015074802
Figure 2015074802
表2において、T0は線材の温度、T1は冷却温度、t1はベイナイト変態が起きない時間内での保定時間である。保定時間t1の経過後、さらに、温度T1に保定して、ベイナイト変態を終了させた。得られた鋼線用線材の引張強度TS(N/mm2)と絞りRA(%)を測定した。また、線材結束時、及び、線材結束状態での線材の折損を目視で観察した。結果を表2に併せて示す。
表2から、No.1〜3の発明例においては、所要のTS及びRAが得られ、耐遅れ破壊特性が向上し、線材結束時及び結束状態で折損は発生しなかったことが解る。
前述したように、本発明によれば、パーライト鋼と比較し低強度・高延性化して、線材の結束時又は結束状態での折損が抑制され、伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材を安定的に製造することができ、また、該線材を用いて鋼線を安定的に製造することができる。よって、本発明は、鉄鋼産業において利用可能性が高いものである。

Claims (9)

  1. 伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材を製造する製造方法において、
    (a)C:0.80超〜1.20質量%を含有し、850〜1100℃の線材を、変態が起きない温度域を通過してベイナイト変態が開始しない温度に冷却し、該温度に、ベイナイト変態が開始するまで一定時間保定し、
    (b)ベイナイト変態が開始した後もそのまま保定し、ベイナイト変態を終了させる
    ことを特徴とする伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
  2. 前記850〜1100℃の線材が、圧延後の温度が850〜1100℃の線材であることを特徴とする請求項1に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
  3. 前記850〜1100℃の線材が、圧延後、又は、圧延後、伸線し、850〜1100℃に加熱した線材であることを特徴とする請求項1に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
  4. 前記850〜1100℃の線材を、350〜500℃の溶融塩又は溶融鉛に浸漬して冷却することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
  5. 前記保定の一定時間が5〜60秒であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
  6. 前記ベイナイト変態の開始を線材の復熱で検知することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
  7. 前記線材が、質量%で、C:0.80超〜1.20%の他、Si:0.10〜1.50%、Mn:1.00%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
  8. 前記線材が、さらに、質量%で、Cr:1.00%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下、Mo:0.50%以下、Ti:0.20%以下、Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、B:0.005%以下、Al:0.10%以下、及び、Ca:0.05%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項7に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法で製造した鋼線用線材に伸線加工を施すことを特徴とする過共析ベイナイト鋼線の製造方法。
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