JP2015074802A - 伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法、及び、該線材を用る鋼線の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材を製造する製造方法において、(a)C:0.80超〜1.20%を含有し、850〜1100℃の線材を、変態が起きない温度域を通過してベイナイト変態が開始しない温度に冷却し、該温度に、ベイナイト変態が開始するまで一定時間保定し、(b)ベイナイト変態が開始した後もそのまま保定し、ベイナイト変態を終了させることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
(a)C:0.80超〜1.20質量%を含有し、850〜1100℃の線材を、変態が起きない温度域を通過してベイナイト変態が開始しない温度に冷却し、該温度に、ベイナイト変態が開始するまで一定時間保定し、
(b)ベイナイト変態が開始した後もそのまま保定し、ベイナイト変態を終了させる
ことを特徴とする伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
(a)C:0.80超〜1.20質量%を含有し、850〜1100℃の線材を、変態が起きない温度域を通過してベイナイト変態が開始しない温度に冷却し、該温度に、ベイナイト変態が開始するまで一定時間保定し、
(b)ベイナイト変態が開始した後もそのまま保定し、ベイナイト変態を終了させる
ことを特徴とする。
Siは、強度を高めるのに有効な元素である。また、脱酸剤として機能する元素である。0.10%未満では、添加効果が発現しないので、0.10%を下限とする。しかし、過共析鋼において、Siは、初析フェライトの析出を促進するとともに、伸線加工での限界加工度を低下させるので、上限を1.50%とする。
Mnは、焼入れ性を高め、強度を高めるのに有効な元素であり、また、Siと同様に、脱酸剤として有効な元素である。1.00%を超えると、偏析部の焼入れ性が向上し、変態終了時間が長時間側にずれて、未変態部がマルテンサイトとなり、伸線加工時の断線の原因となるので、上限を1.00%とする。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.20%以上、より好ましくは0.50%以上添加する。
PとSは、不純物元素である。多量に存在すると、線材の延性が阻害されるので、PとSは、いずれも0.02%以下とする。好ましくは、いずれも、0.01%以下、より好ましくは0.005%以下である。PとSは少ないほど好ましいが、0.001%以下への低減は、コストの上昇を招くので、実用鋼では0.001%が下限である。
Crは、焼入れ性の向上に寄与する元素であり、ベイナイト変態の推進に有効な元素である。1.00%を超えると、変態終了時間が長時間側にずれて、熱処理時間が長くなるので、上限を1.00%とする。好ましくは0.50%以下、より好ましくは0.30%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上添加する。
Niは、Crと同様に、焼入れ性の向上に寄与する元素であり、ベイナイト変態の推進に有効な元素である。1.00%を超えると、フェライト相の延性を阻害するので、上限を1.00%とする。好ましくは0.70%以下、より好ましくは0.50%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.10%以上添加する。
Cuは、腐食疲労特性の向上に寄与する元素である。1.00%を超えると、フェライト相の延性を阻害するので、上限を1.00%とする。好ましくは0.70%以下、より好ましくは0.50%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.10%以上添加する。
Moは、焼入れ性の向上に寄与する元素である。0.50%を超えると、焼入れ性が向上しすぎて、偏析部にミクロマルテンサイトが析出し易くなるので、上限を0.50%とする。好ましくは0.30%以下、より好ましくは0.10%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.03%以上添加する。
Ti、Nb、及び、Vは、γ粒径を微細にし、その後に形成される組織を微細化して、靭性の向上に寄与する元素である。いずれも、0.20%を超えると、線材の特性に悪影響を及ぼすので、いずれの上限も0.20%とする。好ましくは、いずれも0.15%以下、より好ましくは0.10%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上添加する。
Bは、焼入れ性の向上に寄与する元素であるが、0.005%を超えると、焼入れ性が高くなり過ぎて、延性が阻害されるので、上限を0.005%とする。好ましくは0.004%以下、より好ましくは0.003%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.001%以上添加する。
Alは、脱酸剤として機能する元素である。0.10%を超えると、硬質のアルミナ系介在物が生成して、延性と伸線性が阻害されるので、上限を0.10%とする。好ましくは0.07%以下、より好ましくは0.05%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上添加する。
Caは、鋼中介在物のMnSの形態を制御し、耐遅れ破壊特性の向上に寄与する元素であるが、0.05%を超えると、逆に大型介在物が生成し、耐遅れ破壊特性が劣化するので、上限を0.05%とする。好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.03%以下である。下限は0%を含むが、添加効果を得るため、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.005%以上添加する。
表1に示す成分組成の過共析鋼片を、表2に示す線径の線材に圧延し、表2に示す温度条件でベイナイト変態を完了させた。ベイナイト変態完了後の線材の引張強度(N/mm2)と絞り(%)を測定した。結果を表2に併せて示す。
Claims (9)
- 伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材を製造する製造方法において、
(a)C:0.80超〜1.20質量%を含有し、850〜1100℃の線材を、変態が起きない温度域を通過してベイナイト変態が開始しない温度に冷却し、該温度に、ベイナイト変態が開始するまで一定時間保定し、
(b)ベイナイト変態が開始した後もそのまま保定し、ベイナイト変態を終了させる
ことを特徴とする伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。 - 前記850〜1100℃の線材が、圧延後の温度が850〜1100℃の線材であることを特徴とする請求項1に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
- 前記850〜1100℃の線材が、圧延後、又は、圧延後、伸線し、850〜1100℃に加熱した線材であることを特徴とする請求項1に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
- 前記850〜1100℃の線材を、350〜500℃の溶融塩又は溶融鉛に浸漬して冷却することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
- 前記保定の一定時間が5〜60秒であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
- 前記ベイナイト変態の開始を線材の復熱で検知することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
- 前記線材が、質量%で、C:0.80超〜1.20%の他、Si:0.10〜1.50%、Mn:1.00%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
- 前記線材が、さらに、質量%で、Cr:1.00%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下、Mo:0.50%以下、Ti:0.20%以下、Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、B:0.005%以下、Al:0.10%以下、及び、Ca:0.05%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項7に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の伸線特性及び耐遅れ破壊特性に優れた過共析ベイナイト鋼線用線材の製造方法で製造した鋼線用線材に伸線加工を施すことを特徴とする過共析ベイナイト鋼線の製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109023075A (zh) * | 2018-09-05 | 2018-12-18 | 鞍钢股份有限公司 | 一种1860MPa级高强镀锌钢丝绳用盘条的生产方法 |
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2013
- 2013-10-08 JP JP2013211376A patent/JP2015074802A/ja active Pending
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