JP5246036B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、家電製品等の素材に供して好適なプレス成形等に適した加工性および耐時効性を具え、且つ、コイル内での材質のバラツキが小さい熱延鋼板に関する。
自動車や電機用製品などに使用される熱延鋼板には高い成形性が要求され、特にコンプレッサーカバーに代表される深絞り用途では、安価な低炭素熱延鋼板の材質向上、具体的には軟質化および高延性化が精力的に進められている。
また、熱延鋼板は、熱間での圧延工程を経た後、所定温度まで冷却してコイル形状に巻き取ることにより製造される。ここで、熱間圧延終了後の冷却工程においては、鋼板幅中央部よりもエッジ部のほうが放熱による冷却効果が大きく、鋼板幅方向に温度分布が生じ易い。そのため、コイル形状に巻き取った鋼板コイル(以下単にコイルという)では、上記温度分布に応じて材質が変化し易く、同一コイル内で幅方向の材質がバラツキ易いという特徴を有する。従って軟質化、高延性化といった材質向上と並行して、コイル内での材質バラツキの低減が強く求められる。
更に、生産拠点のグローバル化が進展した今日においては、上述した材質(軟質化・高延性化)の向上や、コイル内バラツキを低減したコイルを、海外で加工するケースが増えている。そのため、製品コイルに要求される特性としては、生産拠点のグローバル化に伴う輸送時間・保管時間の長期化に対応すべく、材質の経時安定性、すなわち耐時効性が従来にも増して重要となる。耐時効性の目標としては、後述するAgeing Index(AI)で20MPa以下が望まれる。
低炭素熱延鋼板の軟質化および高延性化技術としては、例えば、仕上げ圧延後に800℃以下720℃以上の温度範囲まで急冷した後に、650℃以下まで緩冷して巻き取る技術が特許文献1に開示されている。また、特許文献2には、低炭素鋼にBを添加して650℃以上の温度で巻き取ることにより、コイルエンド性の小さい、すなわちコイル長手方向の材質差が小さい高加工性熱延鋼板の製造方法が開示されている。しかしながら、上述の特許文献1ならびに特許文献2に開示されている技術は、材質の向上や、材質のコイル内バラツキを低減する技術ではあるものの、材質の経時安定性(耐時効性)については検討されていない。
一般に、鋼板の時効現象は固溶C、固溶Nの存在によって生じるが、低炭素熱延鋼板の場合、固溶Cは巻き取り後の冷却時にセメンタイトとして固定されることにより無害化される。したがって、低炭素熱延鋼板の耐時効性向上には、固溶Nの低減が重要であり、窒化物形成元素の添加によるN固定技術がよく知られている。
例えば、非特許文献1には、Alを添加した鋼板を640〜650℃で巻き取ることによりNをAlNの形で固定できることが示されている。しかしながら、AlによるNの固定は、巻き取り温度依存性が高い。通常、巻き取り温度は板幅方向中央の温度で制御されるが、板幅方向中央に比べてエッジ部は約50℃も低くなるため、コイル全幅を上記の如き狭い巻き取り温度範囲で製造することは困難である。
上記の問題を解決するために、特許文献3には、熱間圧延の再加熱前にAlNを十分に析出させ、再加熱温度をAr3点以上1000℃以下の極低温として再加熱時のAlNの溶解を防ぐことにより、熱延鋼板の固溶Nを低減する技術が開示されている。しかしながら、上記の如き極低温の再加熱では、Ar3点以上で仕上げ圧延を行うことは困難であり、製造安定性を損なうという問題がある。
一方、N固定元素としてAlよりも析出温度範囲の広いBを利用してAIを低減する技術が非特許文献2に開示されている。しかしながら、かかる技術に基づき製造されるコイルでは、B無添加の場合よりもAIの絶対値が低減されるものの、コイル内における材質のバラツキが問題となる場合があった。
また、特許文献4には、N固定元素としてAlやBよりも窒化物形成能の高いTiを添加し、巻き取り前に窒化物を形成させることにより、耐時効性を改善する技術が開示されている。しかしながら、Tiは炭化物も形成するため、低炭素鋼に添加した場合、微細炭化物の形成に起因して高強度化するという問題が生じる。
特開平1−149924号公報 特開平10−195534号公報 特開平2−19424号公報 特開平7−197195号公報
「第3版 鉄鋼便覧 第III巻(1)圧延基礎・鋼板」、丸善株式会社、昭和55年5月15日、Pg.464 伊藤 庸、外3名、「プレス加工用熱延鋼板KFNについて」、川崎製鉄技報、川崎製鉄株式会社、1973年、Vol.5 No.2、Pg.224-234
上記したように、低炭素熱延鋼板の軟質性・延性向上を図る技術、コイル内における材質のバラツキを抑制する技術、並びに、耐時効性の向上を図る技術はいくつか開示されているものの、コイル内における耐時効性の均質化に関しては満足できるレベルにはなく、近年の生産拠点のグローバル化に対応し切れていないのが現状である。
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、主として低炭素熱延鋼板の巻き取り温度のバラツキに起因する耐時効性のコイル内バラツキを低減し、海外で鋼板を加工する場合等、鋼板製造後に時間が経った場合であってもコイル内の材質バラツキが小さい軟質熱延鋼板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、特許文献2に開示された材質バラツキ低減効果、並びに、非特許文献2に開示されたBの耐時効性向上効果に着目し、鋭意検討を重ねた。その結果、Bを0.0020%を超えて含有するようなB添加鋼においては、仕上げ圧延後における鋼板中央部の冷却速度、更には鋼板中央部の巻き取り温度を制御することにより、上記問題が解決されるという新たな知見を得た。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
質量%で、
C:0.03%以上0.07%以下(但し、0.03%を除く)
Si:0.1%以下、
Mn:0.05%以上0.5%以下、
P:0.03%以下、
S:0.03%以下、
sol.Al:0.02%以上0.1%以下、
N:0.0050%以下および
B:0.0020%超0.0050%以下
を含有し、且つ、NとBが次式、N−(B×14/10)≦0.0005%の関係を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼片に、仕上げ圧延温度:下記式(1)により定めるAr3点以上の条件で熱間圧延を行った後、板幅中央部の平均冷却速度:20〜30℃/sとなる条件で、板幅中央部の温度で670℃以下まで冷却し、板幅中央部の温度で625℃以上650℃以下の温度域で巻き取ることを特徴とする、熱延鋼板の製造方法。

Ar 3 =910℃−310×C(%)−80×Mn(%)・・・(1)
ここで、C(%)およびMn(%)は、それぞれ鋼中のCおよびMnの含有量(質量%)である。
本発明によると、プレス加工に適した軟質高延性、並びに、近年の生産拠点のグローバル化に適応した実質的に非時効性を具えた熱延鋼板を、コイル内における耐時効性のバラツキを招来することなく製造することが可能となる。
B添加低炭素熱延鋼板のAgeingIndex(AI)に及ぼす巻き取り温度の影響を、冷却速度をパラメータとして示した図である。
以下に本発明の成分組成および製造条件の限定理由について説明する。なお、鋼板中の元素の含有量の単位は何れも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り、単に「%」で示す。
(1)成分組成範囲
C:0.03%以上0.07%以下(但し、0.03%を除く)
C含有量が多いと炭化物が多量に生成し、鋼板の伸び特性を低下させ成形性を阻害することから、0.07%以下とする。一方、セミ極低炭や極低炭レベルまでC含有量を低減した場合、Ar3点が上昇し、熱延仕上げ温度をAr3点以上とすることが困難になり、更にはセメンタトの析出駆動力が低下して固溶Cが残り易くなるため、含有量の下限を0.03%とする。
Si:0.1%以下
Siは、過剰に含有すると鋼板の強度が上昇して成形性を劣化させることから、含有量を0.1%以下とする。
Mn:0.05%以上0.5%以下
Mnは、SをMnSとして固定し、熱間延性を向上させる作用があることから0.05%以上含有する必要がある。一方、過剰に含有すると鋼の硬質化をもたらすとともに、成形性を劣化させることから、含有量の上限を0.5%とする。
P:0.03%以下
Pは、固溶強化元素であり、過剰に含有すると鋼の硬質化をもたらすことから含有量の上限を0.03%とする。
S:0.03%以下
Sは、熱間延性や成形性を阻害する元素であり、その含有量は低いほうが望ましい。また、熱間延性や成形性を改善する目的でSはMnSとして固定されるが、MnS量が過剰になると伸びの低下を招くため、含有量の上限を0.03%とする。
sol.Al:0.02%以上0.1%以下
Alは、脱酸剤として有用であり、sol.Al量で0.02%以上含有する必要がある。一方、過剰に含有すると製造コストの上昇を招くため、含有量の上限を0.1%とする。
N:0.0050%以下
Nは、熱延鋼板の時効の原因となる元素であり、その含有量は少ないほど好ましいが、過度の低減は著しいコスト上昇を招く。本発明においては、Bを含有させてNを固定するため、N含有量が0.0050%以下であれば、その弊害が無視できることから含有量の上限を0.0050%とする。
B:0.0020%超0.0050%以下
Bは、Nを固定して軟質化ならびに耐時効性を向上させる元素であり、0.0020%超の含有が必要である。一方、過度に含有すると熱間圧延時の変形抵抗を増大させて製造安定性を損なうため、N含有量の上限を0.0050%に規定する本発明においては、B含有量の上限を0.0050%とする。
N−(B×14/10) ≦0.0005%
巻き取り温度に依存せずに十分にNを固定するためには、B含有量を上記範囲とすることに加え、BおよびNの含有量がN−(B×14/10)≦0.0005%を満足する必要がある。先述のとおり、AlはAlNを形成することによりNを固定する作用を有する。しかしながら、かかる作用は巻き取り温度依存性が高いため、AlによりNを固定してAlNを析出させた熱延鋼板は製造安定性に乏しい。したがって、本発明においては、N−(B×14/10)≦0.0005%とし、Nの含有量に見合ったBを含有させることにより、AlNの形成に頼ることなく、Nを確実に固定する。なお、前記式中のN、Bは各々N、Bの含有量(質量%)である。また、上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。不純物としては、例えばCu:0.02%以下、Ni:0.02%以下程度が許容される。
(2)製造工程
上記の成分組成範囲に調整した鋼を溶製、鋳造して得られた鋼片に、鋳造直後または再加熱した後、Ar3点以上で仕上げる熱間圧延を行う。仕上げ温度がAr3点を下回る場合には、鋼板表層に異常組織が発達し、材質の劣化、特に伸びの劣化を招くため、仕上げ温度はAr3点以上であることを要する。ただし、仕上げ圧延温度は950℃以下とすることが、スケール生成を抑制し、表面性状を良好にする点で好ましい。なお、加熱温度は特に規定する必要はないが、所望の仕上げ温度を確保できる条件で加熱する必要があり、一般には1050〜1300℃である。
なお、本発明では、Ar 3 点は下記式(1)により求めるものとする。

Ar 3 =910℃−310×C(%)−80×Mn(%)・・・(1)
ここで、C(%)およびMn(%)は、それぞれ鋼中のCおよびMnの含有量(質量%)である。
仕上げ圧延が終了した後、板幅中央部の平均冷却速度が20〜30℃/sとなる条件で、板幅中央部の温度で670℃以下まで冷却し、板幅中央部の温度で625℃以上650℃以下の温度域で巻き取る。先述のとおり、仕上げ圧延後の冷却工程において、板幅中央部に比べて板幅端部(エッジ部)は冷却され易いため、冷却停止温度は板幅中央部に比べエッジ部で低くなる。更に、巻き取りまでの冷却により板幅中央部とエッジ部の温度差は助長され、巻取り温度において、板幅中央部とエッジ部との間で最大50℃程度の温度差が生じる。
非特許文献1に記載のとおり、Alキルド鋼では通常、640〜650℃程度の巻取り温度とすることにより、NをAlNの形で固定して耐時効性を改善する。しかしながら、上記の如く板幅中央部よりも最大50℃程度低くなるエッジ部を含め、640〜650℃程度の巻取り温度に制御することは非常に困難である。そのため、Alキルド鋼の耐時効性(AI)について、コイル内におけるバラツキの軽減化は期待できない。
そこで、発明者らは、耐時効性を有する熱延鋼板として、Alキルド鋼に更にBを添加した低炭素熱延鋼板について種々検討した。その結果、巻き取り温度が高い場合(640〜650℃程度)に耐時効性が良好となる通常のAlキルド低炭素熱延鋼板とは異なり、Bを添加した低炭素熱延鋼板では、巻き取り温度が高い場合(650℃超)には耐時効性が劣化することを新たに知見した。すなわち、巻取り温度が低い場合(650℃以下)に耐時効性が劣化しない冷却条件が存在することを発明者らは新たに知見した。
図1は、後述する実施例1に示すB添加低炭素熱延鋼板のAgeing Index(AI)に及ぼす巻き取り温度の影響を示した図である。図1から明らかであるように、B添加鋼の場合は、熱間圧延後に5℃/s程度の緩冷却(通常の熱間圧延における空冷に相当)とすると、従来のAlキルド鋼と同様、巻取り温度が640〜650℃の温度よりも低温側でAIが大きくなる。一方、熱間圧延後に30℃/sで急速冷却すると、緩冷却の場合よりもAI自体が低下する、すなわち耐時効性が改善されるとともに、640〜650℃の温度域に近い温度よりも、低い温度側でAIが低下し、耐時効性が良好となる。
上記の如く低温側でAIが低下する現象は、コイル内における耐時効性(AI)のバラツキを抑制する上で非常に有利である。先述のとおり、熱間圧延終了後の冷却工程において、鋼板エッジ部は中央部よりも最大50℃程度低くなる。また、鋼板エッジ部の冷却速度の制御が一般的に困難とされており、エッジ部の材質は不安定になり易い。しかしながら、低温側でAIが低下する鋼板であれば、熱間圧延終了後の冷却工程において冷却され易いエッジ部の冷却速度に特別の注意を払わずとも、エッジ部において良好な耐時効性(AI)を得ることができる。
上記知見を基に、発明者らが種々検討した結果、B添加低炭素鋼においては、Ar3変態点以上で仕上げ圧延を終了した後、板幅中央部の平均冷却速度が20〜30℃/sとなる条件で、板幅中央部の温度で670℃以下まで冷却し、板幅中央部の温度で625℃以上650℃以下の温度域で巻き取ることにより、耐時効性を付与し、且つ、コイル内におけるAIのバラツキが低減されることを確認した。すなわち、本発明は、エッジ部の冷却条件を特別に制御することなく材質が不安定となり易いエッジ部のAIを小さくすることを可能とし、且つ、冷却条件の制御が比較的容易な板幅中央部の冷却条件を設定し、AIを所望の範囲に制御することで、耐時効性に優れコイル内におけるバラツキも小さくすることを可能としたのである。なお、仕上げ圧延後、巻取り温度が高い場合にAIが大きくなり、巻取り温度が低い場合にAIが小さくなる理由については明らかではないが、発明者らは以下のように推測している。
Bを十分に添加した低炭素熱延鋼板においては、NをBNとして固定するため、AIの巻き取り温度依存性は主に固溶Cに起因すると考えられる。ここで、巻取り温度が高い場合、B添加によってフェライトが粗粒化し易く、セメンタイトの析出核が少なくなりCの析出が十分に行われない。一方、巻取り温度の低温化によりフェライト粒が細かくなり、該フェライト粒界などがセメンタイトの析出位置となって、Cによる時効を低減することが推測される。また、熱間仕上げ圧延後の冷却が緩冷却であると、冷却中にフェライトが粒成長し粗粒化するため、上記したような巻取り温度の影響が認められなくなるものと推測される。
以上の理由により、本発明では、板幅中央部の平均冷却速度が20〜30℃/sとなる条件で、板幅中央部の温度で670℃以下まで冷却し、板幅中央部の温度で625℃以上650℃以下の温度域で巻き取る。上記したように、仕上げ圧延後、少なくとも670℃までを20〜30℃/sで急速冷却するのは、AIの巻取り温度依存性を抑制するためである。冷却停止温度が670℃超、或いは、冷却停止温度までの平均冷却速度が20℃/未満では、巻取り温度650℃以下の範囲で、巻取り温度の低下に伴いAIを小さくすることが困難となる。
上記において、巻取り直前まで急速冷却を維持することが、冷却中の粗粒化を抑制してプレス成形加工に適した結晶粒径を得る上ではより好ましい。また、上記冷却速度の上限としては、大きな製造コストアップを伴わないという観点からは、概ね500℃/s程度である。
巻き取り温度は、板幅中央部の温度で650℃以下とする。該巻取り温度が650℃を超える場合には、AIを20MPa以下とすることができない場合がある。また、表面性状の劣化も問題となる。一方、巻き取り温度が板幅中央部の温度で625℃未満となると、エッジ部での巻取り温度が極端に低くなる場合があり、エッジ部の硬質化が問題となる。そのため、巻取り温度は板幅中央部の温度で625℃以上とする。なお、巻き取り後の冷却は常法に従えばよい。
本発明においては、上記冷却停止温度、並びに、上記巻き取り温度を鋼板板幅中央部の温度で規定する。上記したように、本発明は、鋼板全体の冷却速度を所定速度以上で所定温度以下まで冷却することにより、鋼板全体のAIを低減し、優れた耐時効性を確保するものである。ここで、熱間仕上げ圧延後の冷却工程においては、板幅中央部に比べてエッジ部が冷え易い。すなわち、エッジ部の冷却条件を特別に制御しなくても、板幅中央部に対してエッジ部の温度が相対的に低くなり、エッジ部においては良好な耐時効性が得られる。そのため、本発明においては、板幅中央部の耐時効性を確保すべく、板幅中央部の冷却条件を規定する。
本発明による熱延鋼板は酸洗材でも黒皮ままでもその性能に変わりはない。また、酸洗後もしくは酸洗を省略した黒皮ままで溶融亜鉛めっきを行ってもなんら問題はない。調質圧延の条件についての制限はないが、伸長率が過度に高いと伸びの低下が激しくなるため、伸長率を2%以下とすることが好ましい。
また、本発明が対象とする熱延鋼板は、降伏応力:250MPa以下程度、板厚:2mm以上6mm以下程度、板幅1600mm以下程度の、プレス加工の用途に好適に使用される軟質熱延鋼板である。
(実施例1)
表1に示す成分を有する鋼を溶製し、1200℃に加熱後、表2に示す条件で熱間圧延、冷却を行った後に、5℃/sの冷却速度でコイル巻き取りを模擬した巻き取り処理温度まで冷却し、巻き取り処理温度で1時間保持した後に炉冷した。また、コイル巻き取り温度は、幅中央に対し、エッジでは通常50℃程度低くなるため、エッジ部の材質を評価するため、50℃低い温度で同様の急冷停止および巻き取り処理も行った。ここで、Ar3点は、910℃−310×C(%)−80×Mn(%)の式にて算出し、877℃であった。得られた熱延板を酸洗後、伸長率1%の調質圧延を施した後、機械特性試験を行った。機械特性は、圧延方向(RD)にJIS13号Bハーフ試験片を採取し、JIS Z 2241(1998)に準拠した引張試験により行った。なお、ここでJIS13号Bハーフ試験片とは、JIS Z 2201(1998)の13号B試験片の標点間距離(50mm)を1/2の25mmとした、JIS13号B試験片と同様の形状で長さを短くした試験片である。エイジングインデックスAIは、圧延方向(RD)にJIS13号Bハーフ試験片を採取し、予歪み7.5%付与後、100℃で30分の熱処理を行い、熱処理前の応力(7.5%予歪付与時の応力)と熱処理後の降伏応力との差で評価した。結果を表2に併せて示す。本発明において、幅中央部およびエッジ部のAIが20MPa以下であれば、耐時効性に優れていると云える。
Figure 0005246036
Figure 0005246036
本発明例である条件B、C、Dは、得られたコイルの幅中央部(模擬)、エッジ部(模擬)が共に軟質、高延性、低AIを示し、幅方向に50℃もの巻き取り温度差があっても、コイル内の材質バラツキが少ない製造方法であることが確認される。これに対し、巻き取り温度が本発明の範囲を超える条件A、冷却速度が本発明の範囲に満たない条件Eおよび冷却停止温度が本発明の範囲を超えるFでは、コイルの幅中央部(模擬)のAIが20MPa超と高く、鋼板製造後に時間が経った場合に材質のバラツキが大きくなってしまう。更に、熱延仕上げ温度がAr3点未満である条件Gでは、コイルの伸びが50%未満と低延性となってしまう。
(実施例2)
表3に示す成分を有する鋼を溶製し、1200℃に加熱後、仕上げ圧延温度890℃で行い、30℃/秒の冷却速度で640℃まで冷却し、その後5℃/sの冷却速度で625℃まで冷却した後625℃で1時間の巻き取り処理を行い、炉冷した。コイル巻き取り温度は、幅中央に対し、エッジでは通常50℃程度低くなるため、エッジ部の材質を評価するため、50℃低い590℃までの急冷と、575℃での同様の巻き取り処理も行った。実施例1と同様に910℃−310×C(%)−80×Mn(%)の式にて算出したAr3点も併記する。得られた熱延板を酸洗後、伸長率1%の調質圧延を施した後、機械特性試験を行った。機械特性は、圧延方向(RD)にJIS13号Bハーフ試験片を採取し、JIS Z2241(1998)に準拠した引張試験により行った。エイジングインデックスAIは、圧延方向(RD)にJIS13号Bハーフ試験片を採取し、予歪み7.5%付与後、100℃で30分の熱処理を行い、実施例1と同様の方法により評価した。結果を表4に示す。
Figure 0005246036
Figure 0005246036
本発明範囲である条件Kは、得られたコイルの幅中央部(模擬)、エッジ部(模擬)が共に軟質、高延性、低AIを示し、コイル内の材質バラツキが少ない製造方法であることが確認される。これに対し、B含有量が本発明の範囲よりも低く、結果としてAlでNの固定を余儀なくされた条件H、Jでは、得られたコイルのエッジ部(模擬)でAIが20MPa超と高く、鋼板製造後に時間が経った場合に材質のバラツキが大きくなってしまう。さらに、Cを過度に低減した条件Iでは、熱延仕上げ温度がAr3点未満となり、コイルの伸びが50%未満と低延性となってしまう。
本発明に従い、所望のBが添加された熱延鋼板を製造する上で、板幅中央部の平均冷却速度が20℃/s以上となる条件で、板幅中央部の温度で670℃以下まで冷却し、板幅中央部の温度で500℃以上650℃以下の温度域で巻き取る工程を設けることにより、プレス加工に適した軟質高延性、並びに、近年の生産拠点のグローバル化に適応した非時効性を具えた熱延鋼板を、コイル内における耐時効性のバラツキを招来することなく製造することが可能となり、自動車、家電製品等の分野に大きく貢献する。

Claims (1)

  1. 質量%で、
    C:0.03%以上0.07%以下(但し、0.03%を除く)
    Si:0.1%以下、
    Mn:0.05%以上0.5%以下、
    P:0.03%以下、
    S:0.03%以下、
    sol.Al:0.02%以上0.1%以下、
    N:0.0050%以下および
    B:0.0020%超0.0050%以下
    を含有し、且つ、NとBが次式、N−(B×14/10)≦0.0005%の関係を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼片に、仕上げ圧延温度:下記式(1)により定めるAr3点以上の条件で熱間圧延を行った後、板幅中央部の平均冷却速度が20〜30℃/sとなる条件で、板幅中央部の温度で670℃以下まで冷却し、板幅中央部の温度で625℃以上650℃以下の温度域で巻き取ることを特徴とする、熱延鋼板の製造方法。

    Ar 3 =910℃−310×C(%)−80×Mn(%)・・・(1)
    ここで、C(%)およびMn(%)は、それぞれ鋼中のCおよびMnの含有量(質量%)である。
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