図1は、本発明の実施形態に係る半凝固金属の製造装置1を含む成形機(成形装置)101の要部の構成を示す模式図である。
成形機101は、金属材料Mを金型103のキャビティ103a内にて凝固させて、成形品を製造するものである。成形機101は、例えば、ダイカストマシンである。この場合、金属材料Mは、例えば、アルミニウム合金である。
成形機101は、液状の金属材料Mから半凝固状の金属材料Mを製造する製造装置1と、その半凝固状の金属材料Mを金型103内のキャビティ103aに射出する射出装置105と、製造装置1及び射出装置105等を制御する制御装置107とを有している。なお、特に図示しないが、この他、成形機101は、金型103を型締する型締装置、金型103にて形成された成形品を押し出す押出装置等を有しており、制御装置107は、型締装置、押出装置等も制御する。
射出装置105は、金型103内のキャビティ103aに通じるスリーブ109と、スリーブ109内を摺動して金属材料Mを押し出すプランジャ111と、プランジャ111を駆動する不図示の駆動装置とを有している。スリーブ109の上面には、供給口109aが開口している。半凝固状の金属材料Mは、供給口109aを介してスリーブ109内に投下される。
制御装置107は、例えば、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を含むコンピュータにより構成されている。なお、制御装置107は、成形機101に含まれる各種装置毎に設けられた制御装置から構成されてもよいし、成形機101に含まれる全ての装置を制御する1つの制御装置から構成されてもよいし、成形機101に含まれる複数の装置を制御する制御装置とそれら以外を制御する制御装置から構成されてもよい。
製造装置1は、例えば、液状の金属材料Mを保持する保持炉3と、保持炉3から液状の金属材料を汲み出す注湯装置5と、注湯装置5により液状の金属材料が注がれ、注がれた液状の金属材料を半凝固状態とする半凝固化装置7とを有している。
保持炉3は、公知の構成とされてよい。また、保持炉3は、溶解炉を兼ねるものであってもよい。例えば、保持炉3は、金属材料Mを収容する炉体11と、炉体11に収容されている金属材料Mを加熱する加熱装置13と、炉体11に収容されている金属材料Mの温度を検出する第1温度センサ15とを有している。
炉体11は、例えば、特に図示しないが、セラミック等の断熱性に優れた材料からなる容器内に、金属材料Mの液相線温度よりも固相線温度若しくは融点が高い金属からなる容器が配置されて構成されている。加熱装置13は、例えば、金属材料Mを電磁誘導により加熱するコイル、若しくは、ガスを燃焼して金属材料Mを加熱する燃焼装置を含んで構成されている。第1温度センサ15は、例えば、熱電対式の温度センサ若しくは放射温度計により構成されている。
注湯装置5は、公知の構成とされてよい。例えば、注湯装置5は、ラドル17と、ラドル17を駆動可能なラドル搬送装置19とを有している。
ラドル17は、金属材料Mの液相線温度よりも固相線温度若しくは融点が高い材料からなる、注ぎ口17aを有する容器であり、1ショット分の金属材料Mを収容可能である。ラドル搬送装置19は、例えば、多関節ロボットにより構成されており、ラドル17を上下方向及び水平方向へ移動させることが可能であるとともに、注ぎ口17aを上下させるようにラドル17を傾斜させることが可能である。
半凝固化装置7は、例えば、注湯装置5により液状の金属材料Mが注がれる容器21と、容器21に液状の金属材料を注ぐ前に容器21を冷却するプレ冷却装置23と、容器21に液状の金属材料Mが注がれるときに容器21が載置される載置装置25と、容器21を搬送する容器搬送装置27と、容器21から半凝固状の金属材料Mを取り出すための押し装置29とを有している。
容器21は、金属材料Mの液相線温度よりも固相線温度若しくは融点が高く、好適には熱伝導率が比較的高い材料(好適には金属)により構成されている。容器21は、1ショット分の金属材料Mを収容可能である。
プレ冷却装置23は、例えば、容器21を冷却媒体に浸すことにより容器21を冷却する。冷却媒体は、気体であってもよいし、液体であってもよい。後述するように、載置装置25も容器21の冷却機能を有する。載置装置25に加えてプレ冷却装置23を設けることにより、例えば、載置装置25に載置された容器21に金属材料Mを注ぎつつ、次に金属材料が注がれる容器21をプレ冷却装置23により冷却し、サイクルタイムを短縮できる。
容器搬送装置27は、例えば、多関節ロボットにより構成されており、容器21を上下方向及び水平方向へ移動させることが可能であるとともに、容器21の上下方向の向きを変える(容器21を逆さにする)ことが可能である。容器搬送装置27は、容器21のプレ冷却装置23から載置装置25への移送及び容器21の載置装置25からスリーブ109上への移送等を行う。
図2は、半凝固金属の製造装置1の容器21周辺部分を示す斜視図である。図3は、図2のIII−III線における断面図である。
容器21は、当該容器21の壁部を構成する中空部材31と、容器21の底部を構成する底部材33とを有しており、これらは分離可能となっている。容器21の上方には、容器21へ液状の金属材料Mを注ぐことを補助するための漏斗35が配置される。
また、載置装置25は、容器21を冷却するための補助冷却装置37(図3)と、容器21内の金属材料Mの温度を検出する第2温度センサ39とを有している。
なお、中空部材31は、搬送されて逆さにされることなどがあるが、図2及び図3に示す、液状の金属材料Mが注がれるときの上下を基準として、中空部材31について上方及び下方等の語を用いるものとする。また、中空部材31に保持される半凝固状の金属材料Mについても同様とする。
中空部材31は、上下両端が開口する中空形状に形成されている。中空部材31の開口方向に見た形状は適宜に設定されてよいが、金属材料Mを均等に冷却する観点からは円形が好ましい(中空部材31は筒状であることが好ましい。)。中空部材31の厚みは、例えば、一定である。
なお、図3では、中空部材31の内径が上方側ほど大きくされている場合を例示している。ただし、中空部材31の内径は、上端から下端に亘って一定であってもよい。また、中空部材31の外周面には、容器搬送装置27による中空部材31の保持(例えば把持)が容易乃至は確実になされるように、適宜な形状の部位が形成されてもよい。
底部材33は、例えば、概ね板状の部材である。底部材33の平面形状は適宜に設定されてよく、本実施形態では円形を例示している。底部材33の平面視における外形は、中空部材31の開口よりも広く設定されている。底部材33の厚みは、例えば、一定とされている。ただし、中央側と外周側とで厚みが異なっていてもよい。また、底部材33の上面33aは、中央側と外周側とで高さが異なるなど、傾斜が設けられていてもよい。
中空部材31が底部材33の上面33aに載置されて、中空部材31の下方の開口が底部材33により塞がれることにより、容器21が構成される。図2において、上面33aのうち点線で囲って示した領域は、容器21の底面21bを構成する。
なお、中空部材31と底部材33との間には、金属材料Mが流出不可能で、空気(気体)が流出可能な比較的微小な隙間が形成されていてもよい。このような隙間は、金属材料Mを容器21に注いだときに空気を逃がし、金属材料Mに空気が巻き込まれることを抑制することに役立つ。
中空部材31及び底部材33は、例えば、底部材33が載置装置25の基体43に支持され、中空部材31が漏斗35により上から押さえつけられることにより、互いに固定される。漏斗35は、例えば、容器搬送装置27又は他のロボットにより位置保持され、中空部材31を押さえ付けるための力を付与される。
なお、中空部材31及び底部材33は、適宜なクランプ手段によって互いに固定されてもよい。クランプ手段などの、中空部材31及び底部材33を互いに固定するための手段が設けられず、中空部材31が底部材33の上に載置されるだけであってもよい。また、底部材33は、基体43に固定されていることが好ましい。例えば、底部材33は、不図示のねじにより基体43に固定されている。中空部材31及び底部材33は、水平方向において互いに位置決めするための位置決め部を有していてもよい。例えば、底部材33には、中空部材31の下方の縁部を収容する溝部が形成されていてもよい。
中空部材31及び底部材33の材料は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。互いに異なる場合、底部材33の材料は、中空部材31の材料よりも熱伝導率が高いことが好ましい。例えば、中空部材31がステンレス鋼により構成されているのに対して、底部材33は銅(純銅)により構成される。
また、中空部材31及び底部材33の厚みは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。互いに異なる場合、底部材33の厚みは、中空部材31の厚みよりも厚いことが好ましい。
漏斗35は、金属材料Mの液相線温度よりも固相線温度若しくは融点が高く、好適には熱伝導率が比較的高い材料(好適には金属)により構成されている。漏斗35は、上方側ほど径が大きくなる中空状の部材であり、下方端は容器21の上方の開口に挿入される。なお、漏斗35の内壁の傾斜は、容器21の内壁の傾斜よりも大きいことが好ましい。
補助冷却装置37(図3)は、例えば、容器21のうち底部材33の冷却を行う。補助冷却装置37は、例えば、底部材33に形成された流路33cと、流路33cを流れる冷媒を冷却する熱交換器45と、冷媒の流れを生じさせるポンプ47とを含んで構成されている。
冷媒は例えば水である。流路33cの形状は適宜に設定されてよい。図3では、底部材33の中心回りに周回する形状の流路33cを例示している。熱交換器45及びポンプ47は、公知の構成のものとされてよい。
第2温度センサ39は、例えば、接触型の温度センサであり、より具体的には、例えば、熱電対式の温度センサである。第2温度センサ39は、底部材33に配置されている。より具体的には、例えば、第2温度センサ39は、底部材33を上下に貫通する孔部に嵌合されており、底面21bにて容器21内に露出している。従って、第2温度センサ39は、容器21に注がれた金属材料Mに当接して金属材料Mの温度を直接的に検出することができる。
なお、第2温度センサ39の頂面は、容器21の底面21bに段差が生じないように底部材33の上面33aと連続していることが好ましい。第2温度センサ39は、底面21bのうちの適宜な位置に配置されてよく、本実施形態では、底面21bの中心から少しずれた位置に配置された場合を例示している。
図4は、押し装置29の構成を示す模式図である。
押し装置29は、例えば、エアシリンダ49と、エアシリンダ49に空気を供給する空圧回路51とを有している。
エアシリンダ49は、例えば、ばね付きの単動形シリンダによって構成されており、シリンダ部53と、シリンダ部53内を摺動可能なピストン55と、ピストン55に固定され、シリンダ部53から延び出るピストンロッド57と、ピストン55を付勢するばね59とを有している。
ピストン55は、シリンダ部53の内部を前方(ピストンロッド57側)のロッド側室53rと、後方(ピストンロッド57とは反対側)のヘッド側室53hとに区画している。そして、ヘッド側室53hに空気が供給されることによって、ピストン55及びピストンロッド57は前進する。なお、ロッド側室53rは、例えば、大気開放されている。
ばね59は、例えば、ロッド側室53rに収容されており、シリンダ部53に対してピストン55を後方に付勢している。従って、ヘッド側室53hの圧抜きがなされると、ピストン55及びピストンロッド57は後退する。
エアシリンダ49は、例えば、図1に示すように、スリーブ109の供給口109aよりも上方、且つ、供給口109aに対して後側に、スリーブ109に対して固定的に設けられている。また、エアシリンダ49は、鉛直方向に対して前後方向に斜めに、且つ、ピストンロッド57が延び出る方向を供給口109aに向けるように配置されている。なお、エアシリンダ49は、その全体が供給口109aの全体よりも後側に位置している必要は無い。
一方、図1及び図4に示すように、供給口109aとエアシリンダ49との間には、半凝固状となった金属材料Mを保持している中空部材31が搬送される。中空部材31は、鉛直方向に対してエアシリンダ49と概ね同一の方向に傾斜され、上部側が供給口109aに向けられ、底部側がエアシリンダ49に向けられる。
従って、中空部材31を保持している容器搬送装置27の保持部27aをエアシリンダ49側に移動させることにより、及び/又は、ピストンロッド57をシリンダ部53から突出させることにより、ピストンロッド57は、半凝固状の金属材料Mの底部に当接可能である。
空圧回路51は、特に図示しないが、ポンプ、アキュムレータ、バルブ等を含んで構成されており、制御装置107からの制御信号に基づいて動作する。空圧回路51は、ヘッド側室53hに接続されており、ヘッド側室53hの圧力を制御可能である。
例えば、空圧回路51は、アキュムレータとヘッド側室53hとの間のバルブを開閉することにより、アキュムレータに蓄圧された所定の圧力の空気を適宜なタイミング及び時間長さでヘッド側室53hに供給可能である。また、空圧回路51は、空圧回路51の外部(大気雰囲気)とヘッド側室53hとの間のバルブを開閉することにより、適宜なタイミング及び時間長さでヘッド側室53hの圧抜きが可能である。
さらに、空圧回路51は、上述のような、ヘッド側室53hへの空気の供給と、ヘッド側室53hの圧抜きとを適宜な周期で繰り返すことが可能である。この場合、ピストンロッド57は、ヘッド側室53hの圧力による前進と、ばね59による後退とを繰り返す。すなわち、押し装置29は、ピストンロッド57を、半凝固状の金属材料Mに近接・離間する方向において往復動(振動)させることが可能である。
(製造装置の動作)
次に、製造装置1の動作を中心として成形機101の動作を説明する。
制御装置107は、第1温度センサ15の検出値に基づいて加熱装置13を制御し、炉体11に収容されている金属材料Mの温度を所定の第1温度T1に維持する。第1温度T1は、金属材料Mの液相線温度よりも高い温度であり、金属材料Mは、その全部が液状とされている。
容器21のうち底部材33は、成形機101の全工程を通じて載置装置25の基体43に載置されたままの状態とされる。制御装置107は、不図示の温度センサ又は第2温度センサ39の検出値に基づいて補助冷却装置37を制御し、金属材料Mが容器21に注がれる前の底部材33の温度を所定の第2温度T2にする。第2温度T2は、金属材料Mの液相線温度よりも低い温度である。
容器21のうち中空部材31は、容器搬送装置27に搬送されることにより、プレ冷却装置23、載置装置25及びスリーブ109上の間で移動可能である。制御装置107は、中空部材31をプレ冷却装置23に搬送するように容器搬送装置27を制御するとともに、中空部材31の温度を所定の第3温度T3にするようにプレ冷却装置23を制御する。第3温度T3は、金属材料Mの液相線温度よりも低い温度である。
なお、T2及びT3は互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。互いに異なる場合は、T2<T3であることが好ましい。T2<T3の場合、T2=T3に比較して、容器21の底側において金属材料Mの凝固が進みやすくなる。
図5(a)〜図5(d)及び図6(a)〜図6(d)は、金属材料Mがまだ注がれていない底部材33及び中空部材31を第2温度T2及び第3温度T3に冷却した後の工程を説明する模式図である。
図5(a)に示すように、制御装置107は、中空部材31を底部材33上に搬送するように容器搬送装置27を制御する。これにより、中空部材31及び底部材33からなる容器21が構成される。
次に、図5(b)に示すように、制御装置107は、漏斗35を中空部材31上に搬送するように容器搬送装置27又は他の不図示のロボットを制御する。これにより、既に述べたように、中空部材31は、漏斗35により押さえ付けられて位置保持される。
次に、図5(c)に示すように、制御装置107は、ラドル17により液状の金属材料Mを漏斗35を介して容器21に注ぐようにラドル搬送装置19を制御する。
このとき、ラドル17の位置等は、金属材料Mが漏斗35の内面に接触(衝突)するように制御されることが好ましい。この場合、金属材料Mの熱が漏斗35に伝達され、また、金属材料Mに対流が生じる。その結果、金属材料Mの冷却が速やかに行われると期待される。
図5(d)に示すように、金属材料Mが容器21内へ注がれると、金属材料Mの熱は容器21に伝達され、金属材料Mは冷却される。また、金属材料Mは、ある程度の高さから容器21内へ注がれることにより、流れを生じ、攪拌される。その結果、金属材料Mは、半凝固状とされる。
この際、容器21の底部における冷却は、容器21の中部及び上部における冷却に優先して行われる。すなわち、金属材料Mの底部における冷却速度は、金属材料Mの中部及び上部における冷却速度よりも速い。別の観点では、金属材料Mにおいては、底部の温度が中部及び上部の温度に比較して低くなる温度勾配が生じる。
このような冷却は、例えば、以下に列挙する少なくともいずれか一つの構成乃至は動作により実現される。底部材33の厚みは中空部材31の厚みよりも厚い。底部材33の熱伝導率は中空部材31の熱伝導率よりも高い。T2<T3である。注湯後も補助冷却装置37による底部材33の冷却が継続される。
また、このような冷却により、後述するように、容器21内で生成される半凝固状の金属材料Mのうち、他の部分よりも固相率が高い底部が形成される。
なお、実験やシミュレーションなどを行うことで、後述するように、生成される半凝固状の金属材料Mのうちの、底部の量が、例えば、方案部(ビスケット)の量の半分以下となるように、底部材33の厚さ、補助冷却装置37による底部材33への冷却量、などが設計、または設定される。
金属材料Mのハッチングを底部と中部及び上部とで異ならせて示しているように、金属材料Mは、底部における冷却速度が中部及び上部における冷却速度よりも速いことから、金属材料Mの底部の固相率は、金属材料Mの中部及び上部の固相率に比較して高くなる。
また、金属材料Mは、底部における冷却速度が中部及び上部における冷却速度よりも速いことから、底部における攪拌は、中部及び上部における攪拌よりも不十分となりやすい。そして、底部は、冷却速度が速く、また、攪拌が不十分であることから、結晶が樹枝状で細かくなる。その一方、中部及び上部においては、冷却速度が遅く、また、攪拌が十分であることから、結晶が丸く(粒状に)なる。
金属材料Mの冷却の過程において、制御装置107は、第2温度センサ39の検出する温度を監視する。第2温度センサ39の検出温度は、液状の金属材料Mが容器21に注がれ、金属材料Mが第2温度センサ39に当接することにより急激に上昇し、その後、金属材料Mの熱が容器21に奪われることによって低下していく。制御装置107は、この低下していく温度が所定の目標温度Ttに到達するか否かを判定する。
第2温度センサ39により検出される温度と、半凝固金属の固相率との間には相関がある。そして、目標温度Ttは、製造装置1を用いた実験等に基づいて、所望の固相率に対応した温度に設定される。
なお、本実施形態においては、上述のように、金属材料Mの底部は、固相率が高くなることが意図されている。また、第2温度センサ39は、補助冷却装置37の影響を受けるから、製造装置1の構成によっては、第2温度センサ39の検出温度は、金属材料Mの底部の温度よりも低くなることもある。従って、目標温度Ttは、金属材料Mの固相線温度よりも高い必要は無い。
また、第2温度センサ39の検出温度が目標温度Ttに到達する前に容器21及び金属材料Mが熱平衡に至らないように、容器21は予め十分に冷却される、及び/又は、金属材料Mを注いだ後も補助冷却装置37による冷却は継続される。
第2温度センサ39の検出する温度が目標温度Ttに到達すると、制御装置107は、金属材料Mの冷却を停止して金属材料Mを容器21から取り出すための処理を開始する。
具体的には、まず、漏斗35を取り外すように容器搬送装置27又は他の不図示のロボットを制御し、さらに、図6(a)に示すように、中空部材31を持ち上げるように容器搬送装置27を制御する。半凝固状の金属材料Mは、中空部材31に保持されており、中空部材31とともに底部材33から離間される。
次に、図6(b)に示すように、制御装置107は、金属材料Mを保持している中空部材31をスリーブ109の供給口109aとエアシリンダ49との間に搬送するように容器搬送装置27を制御する。中空部材31は、鉛直方向に対して斜めに、また、底部側をエアシリンダ49に、上部側を供給口109aに向けて配置される。
この時点においては、金属材料Mの底面は、ピストンロッド57の先端に当接していない。例えば、金属材料Mの底面は、ピストンロッド57(の先端)のストローク外に位置するか、ピストンロッド57のストローク内であって、後退限に位置するピストンロッド57から所定の距離だけ離れた位置に位置している。
次に、図6(c)に示すように、制御装置107は、ピストンロッド57を往復運動させる(矢印y1参照)ように空圧回路51を制御するとともに、中空部材31をエアシリンダ49に近づけるように容器搬送装置27を制御する。なお、中空部材31をエアシリンダ49に近づける速度は、ピストンロッド57が後退する速度よりも遅い。また、中空部材31の移動及びピストンロッド57の振動は、いずれが先に開始されてもよいし、同時に開始されてもよい。
上記のような動作の結果、ピストンロッド57は、半凝固状の金属材料Mの底面に繰り返し衝突する。衝突により、金属材料Mは、中空部材31の内面から剥がされ、中空部材31から落下する。
なお、エアシリンダ49のストローク、エアシリンダ49の動作、及び、容器搬送装置27の動作等は、金属材料Mが中空部材31に対して最初の位置からある程度ずれた後は、重力のみにより金属材料Mが中空部材31の外へ落下するように設定されてもよいし、金属材料Mの概ね全体が中空部材31の外に位置するまでピストンロッド57が金属材料Mに当接するように設定されてもよい。
中空部材31から落下した金属材料Mは、供給口109aを介してスリーブ109内に収容される。中空部材31は、上方の開口をスリーブ109の後方から前方に向けるように、鉛直方向に対して斜めに傾斜して逆さにされているから、金属材料Mは、スリーブ109内において、上部を金型103(キャビティ103a)側に、底部をプランジャ111側に向ける。
その後、図6(d)に示すように、プランジャ111がスリーブ109内を前進すると、金属材料Mが金型103内のキャビティ103aに射出される。そして、金属材料Mがキャビティ103a内(金型103内)にて冷却されて凝固することにより、成形品が形成される。
このとき、金属材料Mのうち、固相率が高い底部は、方案部(ビスケット)に収まる。方案部の大きさは、例えば、プランジャ111の移動方向において、15mm〜30mmである。固相率が高い底部は、例えば、その半分以下の量である。
以上のとおり、本実施形態では、半凝固金属の製造装置1は、容器21と、補助冷却装置37とを有している。容器21は、上下方向に開口する中空部材31と、中空部材31の下方の開口を閉塞可能且つ中空部材31と分離可能な底部材33とを有し、液状の金属材料Mが注がれる。補助冷却装置37は、直接的には容器21のうち底部材33のみを冷却する。換言すれば、補助冷却装置37は、底部材33を中空部材31よりも冷却可能である。
従って、底部材33を中空部材31から離間させることによって中空部材31から露出される半凝固金属の底部は、固相率が高くなる。その結果、例えば、この固相率が高い部分を押すことができ、ひいては、半凝固金属を好適に取り出すことができる。例えば、ピストンロッド57が金属材料Mに減り込むことが抑制される。その結果、例えば、金属材料Mを押す部材の金属材料Mに対する当接面積を大きくする必要性が低減される。すなわち、設計の自由度が高くなる。その一方で、固相率が高いのは一部(底部)のみであるから、全体としての品質を高くすることができる。
また、本実施形態では、押し装置29は、ピストンロッド57を一の半凝固状の金属材料Mの底部に繰り返し衝突させる。
従って、金属材料Mを容器21(中空部材31)から引き剥がす衝撃を効果的に金属材料Mに付与することができる。別の観点では、1ストロークで、且つ、ゆっくり金属材料Mを押し出す場合に比較して、押し装置29(エアシリンダ49)を小型化することができる。金属材料Mが押し出されるときに容器21を保持する容器搬送装置27についても、保持部27aの保持力低減が期待される。
また、本実施形態では、製造装置1は、容器21の少なくとも一部を搬送する容器搬送装置27を有している。容器21は、当該容器の壁部を構成し、上下両端が開口している中空部材31と、中空部材31の下端の開口を塞ぎ、容器21の底部を構成する底部材33とを有している。押し装置29は、ピストンロッド57を往復動させる。容器搬送装置27は、容器21にて半凝固金属が生成された後、半凝固金属を保持している中空部材31を底部材33から離間させ、その後、中空部材31の下方の開口を往復動しているピストンロッド57に近づけていくように、中空部材31を搬送する。
従って、上記のようにピストンロッド57を金属材料Mの底部に繰り返し衝突させるための構成が全体として簡便に且つ効果的に構成される。具体的には、まず、容器21の分離によって金属材料Mの底部が簡便に露出される。また、容器搬送装置27が容器21の分離動作、及び、ピストンロッド57の金属材料Mへの衝突動作の双方に兼用される。この兼用により、例えば、エアシリンダ49のストロークを小さくすることができる。別の観点では、エアシリンダ49(シリンダ部53)の移動は不要である。また、金属材料Mは、容器搬送装置27による中空部材31の移動速度と、ピストンロッド57の移動速度との和で衝突するから、効果的に衝突がなされる。
また、本実施形態では、成形機101は、上記のように種々の効果を奏する半凝固金属の製造装置1と、金型103内のキャビティ103aに通じるスリーブ109と、スリーブ109に供給された半凝固状の金属材料Mを金型103内のキャビティ103aへ押し出すプランジャ111とを有している。製造装置1は、半凝固状の金属材料Mの上部側を金型103(キャビティ103a)側に、金属材料Mの底部側をプランジャ111側に向けるように、スリーブ109に金属材料Mを供給する。また、本実施形態では、実験やシミュレーション等の結果を利用して、容器21内にて生成される半凝固状の金属材料Mのうち、中部や上部よりも固相率を高くする底部の厚さが、方案部(ビスケット)の厚さの半分以下となるように、半凝固状の金属材料Mを生成する。なお、容器21の底面に平行な断面積と、スリーブ109の射出方向に直交する断面積とは近似している。
従って、半凝固状の金属材料Mのうち、結晶が粒状に成長しなかった底部は方案部側に位置し、結晶が粒状に成長した上部及び中部は、製品部側に位置する。より好ましくは、金属材料Mの底部は、方案部に収まる。つまり、成形品の成形において、半凝固状の金属材料Mのうちの結晶が粒状に成長しなかった底部は、成形品(製品)を形成する部分とはならない。その結果、上記のような底部側の固相率が高くされたことによる好ましい効果を得つつも、製品(成形品)の品質を向上させることができる。
また、本実施形態では、半凝固金属の生成方法は、上下方向に開口する中空部材31を底部材33の上に配置して容器21を構成する配置ステップ(図5(a))と、液状の金属材料Mを容器21内に注ぐ注湯ステップ(図5(c))と、液状の金属材料Mが注がれた容器21において、底部材33を中空部材31よりも冷却する冷却ステップ(図5(d))と、を有している。従って、上述した本実施形態の製造装置1と同様の効果が奏される。
また、本実施形態では、成形方法は、上記の生成方法の各ステップと、半凝固金属を金型103内のキャビティ103aに通じるスリーブ109に供給する供給ステップ(図6(c))と、スリーブ109内の半凝固金属をプランジャ111により金型103内のキャビティ103aに押し出す射出ステップ(図6(d))と、を有している。供給ステップでは、半凝固金属の上部側が金型103(キャビティ103a)側に、半凝固金属の底部側がプランジャ111側に向くように、スリーブ109に半凝固金属を供給する。従って、上述した本実施形態の成形機101と同様の効果が奏される。
(注湯動作の変形例)
図7(a)及び図7(b)は、液状の金属材料Mの容器21への注湯動作の変形例を説明する図である。
この変形例において、成形機101及び半凝固金属の製造装置1の構造は、第1の実施形態と同様であり、また、液状の金属材料Mの容器21への注湯動作以外の動作も、第1の実施形態と同様である。
この変形例の注湯動作においては、まず、実施形態と同様に、液状の金属材料Mが漏斗35を介して容器21に注がれる(図5(c)参照)。しかし、実施形態においては、ラドル17が保持していた1ショット分の金属材料Mが全て一度に容器21に注がれたのに対して、この変形例においては、図7(a)に示すように、一旦注湯を中断する。
この注湯の中断の間、容器21に既に注がれた金属材料Mは、その熱が容器21に伝達されて冷却される。その一方、ラドル17に残った金属材料Mは、冷却されない。すなわち、両者には温度差が生じる。別の観点では、既に注がれた金属材料Mにおいて固相率が上昇する。また、一旦注湯が中断される前に容器21内に注がれる金属材料Mの量は、実験やシミュレーション等の結果を利用して、一旦注湯が中断される前に注がれた金属材料Mが容器21内で形成する高さが方案部(ビスケット)の厚さの半分以下となる量と定められている。なお、容器21の底面に平行な断面積と、スリーブ109の射出方向に直交する断面積とは近似している。
次に、図7(b)に示すように、液状の金属材料Mの容器21への注湯が再開される。注湯された金属材料Mは、既に容器21内にある金属材料Mとともに、その熱が容器21に伝達されて冷却される。また、容器21内においては、金属材料Mが注がれることにより攪拌が生じる。
従って、容器21に注がれた金属材料Mは、全体として半凝固状となり、且つ、先に注がれた金属材料Mは、主として半凝固金属の底部を構成する。そして、この底部は、先に冷却されていたことによって、中部及び上部よりも固相率が高くなる。その結果、実施形態と同様の種々の効果が得られる。
このように、容器21において、底部における金属材料Mの冷却を中部及び上部における金属材料Mの冷却に優先して行う方法は、実施形態において示した、底部における冷却速度を中部及び上部における冷却速度よりも速くする方法に限定されず、一の半凝固金属となる液状の金属材料を2回以上に分けて容器21に注ぐことによっても実現される。
なお、実施形態において例示した方法と、変形例の方法とが組み合わされてもよい。また、注湯を2回以上に分けた場合、先に注がれた金属材料Mの熱によって容器21の温度は上昇するから、後に注がれた金属材料Mの冷却速度は緩やかになりやすい。従って、変形例の方法は、冷却速度の変化を伴う場合が多い。
変形例の方法においては、実施形態とは異なる効果も奏される。例えば、先に注がれた金属材料Mの固相率が上昇してから、全ての金属材料Mによる荷重が金属材料Mの底部に加えられることになるから、中空部材31と底部材33との隙間から金属材料Mが漏れることが抑制される。
(実施例)
実施形態に示した成形機101(製造装置1)を実際に製作して、半凝固金属の製造及び成形品の成形を行った。この実施例における、各種温度の計測結果、及び、金属材料Mの写真を以下に示す。なお、実施例における金属材料Mの固相線温度は約555℃であり、液相線温度は610〜620℃である。
図8(a)は、容器21の底部における温度変化を示す図である。横軸は、複数サイクル(ショット)に亘る時間を示し、横軸に付された数字は、ショット数を示している。縦軸は、第2温度センサ39(図2)の検出温度を示している。
第2温度センサ39の検出温度は、概略、注湯前における補助冷却装置37の冷却による温度低下と、注湯による温度上昇とを繰り返している。各サイクルにおける最大値付近の温度は、概略、容器21内の金属材料Mの底部の温度とみなしてよい。
この図において、概ね15ショット以降において、温度変化が安定している。この期間において、各サイクルの温度の最大値は、約420℃となっており、金属材料Mの底部の温度は、固相線温度よりも十分低くなっていることが窺える。
図8(b)は、容器21及び金属材料Mの中部における温度変化を示す図である。横軸は、1ショット内の時間(秒)を示し、縦軸は、温度を示している。線L1は、金属材料Mの中部(さらに平面視における中央部)の温度を示し、線L2は、容器21の中部の外面の温度を示している。
なお、図8(a)は、製造装置1の備える第2温度センサ39の検出結果であることから、多数のサイクルに亘って計測結果が得られている一方、図8(b)は、実験として温度センサを配置して温度を計測していることから、1ショットのみの計測結果となっている。なお、図8(b)の測定結果は、温度変化が十分に安定したサイクルのものである。
この図において示されるように、金属材料Mの中部においては、金属材料Mの温度は、固相線温度よりも大きく、液相線温度よりも低い温度で停滞している。すなわち、金属材料Mの温度は、半凝固金属が得られる温度域で安定している。
図9(a)は、半凝固状の金属材料Mの模式図である。図9(b)〜図9(d)は、図9(a)の領域IXb〜IXdにおける金属材料Mの断面の顕微鏡写真である。すなわち、図9(b)、図9(c)及び図9(d)は、半凝固状の金属材料Mの中部、底部の直上及び底部の顕微鏡写真である。
これらの写真から、実施例においては、金属材料Mの底部においては、結晶が樹枝状で細かいこと、中部においては、結晶が粒状であることが確認された。すなわち、容器21内の温度勾配によって、中部及び底部の組織に相違が生じていることが確認された。
なお、図9(e)〜図9(g)は、比較例における図9(b)〜図9(d)に対応する顕微鏡写真である。比較例においては、実施形態において例示したような、底部側において冷却速度が速くなるような構成は採用されていない。すなわち、基本的に容器の上方から下方に亘って温度は一定である。
実施例と比較例とでは、中部においては、金属材料Mの組織に殆ど差が無いのに対して、底部においては、明らかな相違が認められる。
図10(a)及び図10(b)は、図6の領域Xa及びXbにおける金属材料Mの断面の顕微鏡写真である。すなわち、図10(a)は、製品部の顕微鏡写真であり、図10(b)は、方案部のうち、容器21内において金属材料Mの底部であった部分を含む範囲の顕微鏡写真である。
まず、これらの図から、製品部においては、結晶が粒状で粗いこと、方案部においては、結晶が樹枝状で細かい部分が生じていることが確認された。さらに、方案部においては、容器21内において金属材料Mの底部であった部分と、それ以外の部分との間に境界線が生じていることが確認された。確認された境界線は、プランジャ111の移動方向に概ね沿う方向に延びるものである。
なお、以上の実施形態において、補助冷却装置37は冷却装置の一例であり、ピストンロッド57は押し部材の一例であり、容器搬送装置27は搬送装置の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
半凝固金属の製造装置は、成形機の一部でなくてもよい。すなわち、製造装置により製造された半凝固金属は、直接に射出装置のスリーブへ供給されるのではなく、急冷凝固されて、半溶融状金属の素材(ビレット)とされてもよい。
半凝固金属の製造装置の全体構成は、保持炉から液状の金属材料をラドルにより汲み出して容器に注ぐ構成に限定されない。例えば、保持炉及びラドルに代えて、1ショット分の金属材料を溶融するるつぼを用い、当該るつぼにより容器に金属材料を注いでもよい。また、例えば、保持炉から容器へ適宜な流路を介して液状の金属材料を注いでもよい。
半凝固金属の製造は、その全ての工程が製造装置により自動的に行われる必要はない。例えば、加熱装置の制御、注湯装置の制御及び半凝固化装置の制御の少なくともいずれか一つは、作業者により行われてもよい。また、例えば、加熱、注湯及び冷却の少なくともいずれか一つについては、装置といえるほどの設備によらずに実現されてもよい。
本実施形態では、ある程度の高さから液状の金属材料を容器に注ぐだけで半凝固金属を攪拌したが、容器を運動させるような攪拌装置や金属材料内で部材を運動させるような攪拌装置が設けられてもよい。また、本実施形態では、半凝固金属から液相部分の一部の排出を全く行わなかったが、当該排出が行われてもよい。
容器の底部材に配置される(第2)温度センサは、容器内に露出しなくてもよい(金属材料に当接しなくてもよい。)。例えば、底部材に薄い部分を形成し、当該薄い部分に下方から温度センサを当接させるように温度センサを配置してもよい。
プレ冷却装置は設けられなくてもよい。補助冷却装置は、容器の底部材を外部から冷却するものであってもよい(冷媒を流すための流路が底部材に形成されなくてもよい)し、底部材だけでなく中空部材も冷却可能であってもよい。冷媒は水に限定されない。例えば、他の液体(例えば、油)でもよく、気体(例えば、空気)でもよい。
半凝固金属の底部を押す方法は、容器(半凝固金属)及び押し部材の双方を移動させる方法に限定されず、いずれか一方のみが移動されることにより実現されてもよい。
押し装置は、スリーブ上にて(絶対座標系の)上方から下方へ半凝固金属を押すものに限定されない。例えば、底部材33に比較的小さい孔を形成し、この孔を塞ぐ位置と、当該位置から上方へ突出する位置との間で移動可能な押し部材を設け、この押し部材を載置装置25内に設けられたエアシリンダにより駆動してもよい。この場合、押し装置は、半凝固金属を中空部材31や底部材33から引き剥がし、半凝固金属を中空部材31から取り出しやすくすることに寄与する。
押し部材は、他の用途に兼用されていてもよい。例えば、押し部材は、容器の一部であってもよい。具体的には、上述のように、押し部材により底部材の孔を塞いでいる場合においては、押し部材は、容器の一部としてみなせる。また、中空部材の内径と底部材の外径とを同一とし、底部材の全体を押し部材として利用してもよい。金型に半凝固金属を押し出すためのプランジャが押し部材として利用されてもよい。
なお、本願明細書からは、以下の別発明を抽出可能である。
(別発明1)
上方の開口から注がれた液状の金属材料を冷却して半凝固金属を生成する容器であって、底部における前記金属材料の冷却を中部及び上部における前記金属材料の冷却に優先して行う容器と、
前記半凝固金属の底部を前記上方の開口へ向けて押す押し装置と、
を有する半凝固金属の製造装置。
(別発明2)
前記容器の底部を前記容器の外周部よりも冷却する冷却装置を更に有する
別発明1に記載の半凝固金属の製造装置。
(別発明3)
前記容器の底部は、前記容器の外周部よりも厚い
別発明1又は2に記載の半凝固金属の製造装置。
(別発明4)
前記容器の底部の熱伝導率は、前記容器の外周部の熱伝導率よりも高い
別発明1〜3のいずれか1項に記載の半凝固金属の製造装置。
(別発明5)
一の前記半凝固金属となる前記液状の金属材料を2回以上に分けて前記容器に注ぐ注湯装置を更に有する
別発明1〜4のいずれか1項に記載の半凝固金属の製造装置。
(別発明6)
前記押し装置は、押し部材を一の前記半凝固金属の底部に繰り返し衝突させる
別発明1〜5のいずれか1項に記載の半凝固金属の製造装置。
(別発明7)
前記容器の少なくとも一部を搬送する搬送装置を更に有し、
前記容器は、
当該容器の壁部を構成し、上下両端が開口している中空部材と、
前記中空部材の下端の開口を塞ぎ、前記容器の底部を構成する底部材とを有し、
前記押し装置は、前記押し部材を往復動させ、
前記搬送装置は、前記容器にて前記半凝固金属が生成された後、前記半凝固金属を保持している前記中空部材を前記底部材から離間させ、その後、前記中空部材の下方の開口を往復動する前記押し部材に近づけていくように、前記中空部材を搬送する
別発明6に記載の半凝固金属の製造装置。
(別発明8)
別発明1〜7のいずれか1項に記載の半凝固金属の製造装置と、
金型に通じるスリーブと、
前記スリーブに供給された前記半凝固金属を前記金型内へ押し出すプランジャと、
を有し、
前記半凝固金属の製造装置は、前記半凝固金属の上部側が前記金型側に、前記半凝固金属の底部側が前記プランジャ側に向くように、前記スリーブに前記半凝固金属を供給する
成形装置。
(別発明9)
液状の金属材料を容器の上方の開口から前記容器内に注ぎ、前記液状の金属材料を前記容器内にて冷却して半凝固金属を生成する生成ステップと、
前記容器から前記半凝固金属を取り出す取り出しステップと、
を有し、
前記生成ステップでは、前記容器の底部における前記金属材料の冷却を前記容器の中部及び上部における前記金属材料の冷却に優先して行い、底部の固相率が中部及び上部の固相率に比較して高くなるように前記半凝固金属を生成し、
前記取り出しステップでは、前記半凝固金属の底部を前記容器の上方の開口へ向けて押して、前記半凝固金属を前記容器の内面から引き剥がす
半凝固金属の生成方法。
(別発明10)
別発明9に記載の半凝固金属の生成方法の各ステップと、
前記半凝固金属を金型に通じるスリーブに供給する供給ステップと、
前記スリーブ内の前記半凝固金属をプランジャにより前記金型内に押し出す射出ステップと、
を有し、
前記供給ステップでは、前記半凝固金属の上部側が前記金型側に、前記半凝固金属の底部側が前記プランジャ側に向くように、前記スリーブに前記半凝固金属を供給する
成形方法。
(別発明11)
前記射出ステップにて前記半凝固金属を前記金型内に充填したときに、前記半凝固金属の底部の固相率が高い部分は、方案部に収まる
別発明10に記載の成形方法。
この別発明においては、容器は、中空部材と底部材とに分離可能である必要は無い。上記のように、底部材に形成された孔から押し部材を半凝固金属に当接させることも可能であり、この場合、中空部材と底部材とは、必ずしも分離可能でなくてもよい。また、容器の底部における前記金属材料の冷却を容器の中部及び上部における前記金属材料の冷却に優先して行う方法は、実施形態において例示したように種々あり、底部材を中空部材よりも冷却する方法に限定されない。従って、別発明においては、補助冷却装置は設けられなくてもよい。