JP6017203B2 - 半凝固金属の製造装置、半凝固成形装置、半凝固金属の製造方法及び半凝固成形方法 - Google Patents

半凝固金属の製造装置、半凝固成形装置、半凝固金属の製造方法及び半凝固成形方法 Download PDF

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Description

本発明は、半凝固金属の製造装置、半凝固成形装置、半凝固金属の製造方法及び半凝固成形方法に関する。半凝固成形方法は、例えば、射出スリーブ内から金型内へ半凝固状の金属材料を押し出す半凝固ダイカスト法である。
液状の金属材料(溶湯)を容器内にて冷却し、半凝固状の金属材料を得る製造方法が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1では、液状の金属材料が容器内に注がれる前に、容器内の空気を不活性ガスに置換しておくことにより、金属材料の酸化を抑制している。
なお、半凝固ダイカスト法ではなく、溶湯を金型内へ押し出すダイカスト法に関して、射出前に金型内の空気を活性ガスに置換しておくことにより、巣の発生を抑制する無孔性(PF)ダイカスト法が知られている。
特開2011−104600号公報
従来の半凝固金属の製造方法では、溶湯を容器に注いだときに、溶湯が空気を巻き込み、巣が発生するおそれがある。ひいては、その半凝固金属を用いた半凝固成形方法において、成形品に巣が発生するおそれがある。従って、巣の発生が抑制される半凝固金属の製造装置、半凝固成形装置、半凝固金属の製造方法及び半凝固成形方法が提供されることが望まれる。
本発明の一態様に係る半凝固金属の製造装置は、容器と、前記容器内に活性ガスを供給する活性ガス供給装置と、液状の金属材料を前記容器内に供給する給湯装置と、前記容器を冷却する冷却装置と、を有する。
好適には、前記製造装置は、前記活性ガスが供給された前記容器に前記液状の金属材料が供給され、当該金属材料が前記容器内にて冷却されて半凝固状となるように前記活性ガス供給装置、前記給湯装置及び前記冷却装置を制御する制御装置を更に有する。
本発明の一態様に係る半凝固成形装置は、容器と、前記容器内に活性ガスを供給する活性ガス供給装置と、液状の金属材料を前記容器内に供給する給湯装置と、前記容器を冷却する冷却装置と、金型内に通じる射出スリーブと、前記射出スリーブ内を摺動可能なプランジャと、前記プランジャを駆動する駆動装置と、前記容器内から前記射出スリーブ内へ前記金属材料を移す移送装置と、を有する。
好適には、前記半凝固成形装置は、前記活性ガスが供給された前記容器内に液状の前記金属材料が供給され、前記容器内にて冷却されて半凝固状となった前記金属材料が前記射出スリーブ内へ移され、前記射出スリーブ内に移された半凝固状の前記金属材料が前記プランジャにより前記金型内に押し出されるように、前記活性ガス供給装置、前記給湯装置、前記冷却装置、前記駆動装置及び前記移送装置を制御する制御装置を更に有する。
本発明の一態様に係る半凝固成形装置は、金型内に通じる射出スリーブと、前記射出スリーブ内に活性ガスを供給する活性ガス供給装置と、液状の金属材料を前記射出スリーブ内に供給する給湯装置と、前記射出スリーブを冷却する冷却装置と、前記射出スリーブ内を摺動可能なプランジャと、前記プランジャを駆動する駆動装置と、を有する。
好適には、前記半凝固成形装置は、前記活性ガスが供給された前記射出スリーブ内に液状の前記金属材料が供給され、前記射出スリーブ内にて冷却されて半凝固状となった前記金属材料が前記プランジャにより前記金型内に押し出されるように、前記活性ガス供給装置、前記給湯装置、前記冷却装置及び前記駆動装置を制御する制御装置を更に有する。
本発明の一態様に係る半凝固金属の製造方法は、容器内に活性ガスを供給する工程と、前記活性ガスが供給された前記容器内に液状の金属材料を供給する工程と、前記容器内にて前記金属材料を冷却して半凝固状にする工程と、を有する。
好適には、前記金属材料は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金であり、前記容器内にて半凝固状とされた前記金属材料のガス含有量が1.0cm/100g未満である。
好適には、前記金属材料は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金であり、前記容器内にて半凝固状とされた前記金属材料のうち、前記容器の上方に位置する半分の部分と、下方に位置する半分の部分とのガス含有量の差が0.1cm/100g未満である。
本発明の一態様に係る半凝固成形方法は、容器内に活性ガスを供給する工程と、前記活性ガスが供給された前記容器内に液状の金属材料を供給する工程と、前記容器内にて前記金属材料を冷却して半凝固状にする工程と、前記容器内の半凝固状の前記金属材料を金型内に通じる射出スリーブ内へ移す工程と、前記射出スリーブ内の半凝固状の前記金属材料を前記金型内に押し出す工程と、を有する。
半凝固成形方法。
本発明の一態様に係る半凝固成形方法は、金型内に通じる射出スリーブ内に活性ガスを供給する工程と、前記活性ガスが供給された前記射出スリーブ内に液状の金属材料を供給する工程と、前記射出スリーブ内にて前記金属材料を冷却して半凝固状にする工程と、前記射出スリーブ内の半凝固状の前記金属材料を前記金型内に押し出す工程と、を有する半凝固成形方法。
本発明によれば、巣の発生を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る半凝固金属の製造装置の要部の構成を示す模式図。 図1の製造装置の活性ガス供給装置の要部の構成を示す模式図。 本発明の第2の実施形態に係る成形機の要部の構成を示す模式図。 本発明の第3の実施形態に係る成形機の要部の構成を示す模式図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態以降において、既に説明された構成と同様又は類似する構成については、既に説明された構成と同一の符号を付し、また、説明を省略することがある。
<第1の実施形態>
(製造装置の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る半凝固金属の製造装置1の要部の構成を示す模式図である。
製造装置1は、例えば、液状の金属材料101を保持する保持炉3と、保持炉3から液状の金属材料101を汲み出す給湯装置5と、給湯装置5により液状の金属材料101が注がれ、注がれた液状の金属材料101を半凝固状態とする半凝固化装置7と、これら各装置を制御する制御装置9とを有している。金属材料101は、例えば、アルミニウム若しくはアルミニウム合金である。
保持炉3は、公知の構成とされてよい。また、保持炉3は、溶解炉を兼ねるものであってもよい。例えば、保持炉3は、金属材料101を収容する炉体11と、炉体11に収容されている金属材料101を加熱する加熱装置13と、炉体11に収容されている金属材料101の温度を検出する第1温度センサ15とを有している。
炉体11は、例えば、特に図示しないが、セラミック等の断熱性に優れた材料からなる容器内に、金属材料101の液相線温度よりも固相線温度若しくは融点が高い金属からなる容器が配置されて構成されている。加熱装置13は、例えば、金属材料101を電磁誘導により加熱するコイル、若しくは、ガスを燃焼して金属材料101を加熱する燃焼装置を含んで構成されている。第1温度センサ15は、例えば、熱電対式の温度センサ若しくは放射温度計により構成されている。
給湯装置5は、公知の構成とされてよい。例えば、給湯装置5は、ラドル17と、ラドル17を駆動可能な搬送装置19とを有している。
ラドル17は、金属材料101の液相線温度よりも固相線温度若しくは融点が高い材料からなる、注ぎ口17aを有する容器であり、1ショット分の金属材料101を収容可能である。搬送装置19は、例えば、多関節ロボットにより構成されており、ラドル17を上下方向及び水平方向へ移動させることが可能であるとともに、注ぎ口17aを上下させるようにラドル17を傾斜させることが可能である。
半凝固化装置7は、例えば、給湯装置5により液状の金属材料101が注がれる容器21と、容器21に活性ガス(例えば酸素)を供給する活性ガス供給装置22と、容器21を冷却する冷却装置23と、容器21の温度を検出する第2温度センサ25とを有している。液状の金属材料101は、容器21内において冷却されて半凝固状となる。
容器21は、金属材料101の液相線温度よりも固相線温度若しくは融点が高く、好適には熱伝導率が比較的高い材料(好適には金属)により構成されている。容器21は、1ショット分の金属材料101を収容可能である。容器21の外形寸法は、例えば、1〜10cmオーダーである。
冷却装置23及び第2温度センサ25は、公知の構成とされてよい。例えば、冷却装置23は、特に図示しないが、容器21の周囲に冷媒を流すための流路、冷媒を冷却する熱交換器、冷媒を送出するポンプを含んで構成されている。なお、好適には、冷却装置23は、容器21の壁部及び底部の双方を冷却可能である。例えば、冷媒が流れる流路は、壁部及び底部の双方に隣接するように延びている。第2温度センサ25は、例えば、抵抗式の温度センサにより構成されている。
制御装置9は、例えば、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置等を含むコンピュータにより構成されている。制御装置9には、第1温度センサ15、第2温度センサ25及び搬送装置19の不図示のエンコーダ等の検出値が入力される。また、制御装置9は、加熱装置13、搬送装置19の不図示のモータ、活性ガス供給装置22及び冷却装置23(例えば冷媒を送出するポンプ)に制御信号を出力する。
図2は、容器21及び活性ガス供給装置22をより詳細に示す模式図である。
容器21は、当該容器21の壁部を構成する中空部材31と、容器21の底部を構成する底部材33とを有している。
中空部材31は、例えば、上下両端が開口する中空形状に形成されている。中空部材31の開口方向に見た形状は適宜に設定されてよいが、金属材料101を均等に冷却する観点からは円形が好ましい(中空部材31は筒状であることが好ましい。)。また、中空部材31の内径及び外形は、例えば、上下方向において一定とされ、また、厚みも一定とされている。ただし、上方若しくは下方ほど内径が大きくされたり、上方若しくは下方ほど厚みが大きくされたりしてもよい。
底部材33は、例えば、概ね板状の部材である。底部材33の平面形状は適宜に設定されてよい。底部材33の平面視における外形は、中空部材31の開口よりも広く設定されている。底部材33の厚みは、例えば、一定とされている。ただし、中央側と外周側とで厚みが異なっていてもよい。また、底部材33の上面33aは、中央側と外周側とで高さが異なるなど、傾斜が設けられていてもよい。
そして、中空部材31が底部材33の上面33aに載置されて、中空部材31の下方の開口が底部材33により塞がれることにより、容器21が構成されている。なお、中空部材31及び底部材33は、特に図示しないが、クランプ機構等の適宜な固定装置により互いに移動不可能に保持される。また、中空部材31及び底部材33には、互いに位置決めするための位置決め部が適宜に形成されてもよい。例えば、底部材33には、中空部材31の下方の縁部31aを収容する溝部が形成されていてもよい。
底部材33を構成する材料は、中空部材31を構成する材料よりも熱伝導率が高い材料により構成されている。例えば、中空部材31がステンレス鋼により構成されているのに対して、底部材33は、銅(純銅)により構成されている。
従って、容器21の全体を同一材料により構成した場合に比較して、金属材料101の容器21の底部における冷却速度は速くなる。また、別の観点では、容器21の底部における金属材料101の冷却速度は、容器21の壁部における金属材料101の冷却速度よりも速くなり得る。また、各部材の体積及び雰囲気温度等によっては、容器21の底部における金属材料101の冷却速度は、壁部における金属材料101の冷却速度よりも遅くなり得るが、この場合における速度差が縮小される。
ただし、中空部材31と底部材33とは同一材料により形成され、互いに熱伝導率が同一であってもよい。また、容器21は、その全体が一体形成されたものであってもよい。
活性ガス供給装置22は、例えば、活性ガス供給源41と、活性ガス供給源41からの活性ガスの放出を制御するガス制御回路43と、ガス制御回路43からの活性ガスを容器21内に導くノズル45とを有している。
活性ガス供給源41は、例えば、圧縮された高圧の活性ガスを貯蔵するボンベにより構成されている。
ガス制御回路43は、少なくとも活性ガスの流れを許容又は禁止可能に構成され、また、好ましくは、活性ガスの流量を調整できるように構成されている。その具体的な構成は、公知の制御弁を組み合わせて適宜に構成されてよい。一例として、ガス制御回路43は、活性ガス供給源41から放出される活性ガスの圧力を所定圧力に減圧する減圧弁47と、その所定圧力とされた活性ガスの流量を所定流量に調整する絞り弁49と、活性ガスの流れを許容又は遮断する切換弁51とを有している。制御装置9は、切換弁51を制御する。
ノズル45は、例えば、先端に開口を有する管状部材により構成され、先端が容器21に挿入されている。ノズル45の内径、ノズル45の容器21への挿入深さ、ノズル45の容器21への挿入角度、ノズル45の材料等は適宜に設定されてよい。また、ノズル45は、先端の開口に加えて、又は、先端の開口に代えて、外周面に形成された複数の開口を有するなど、その形状も適宜に変更されてよい。また、ノズル45は、硬質の材料により形成されてもよいし、可撓性を有する材料により形成されてもよい。
(製造装置の動作)
次に、製造装置1の動作を説明する。
まず、制御装置9は、第1温度センサ15の検出値に基づいて加熱装置13を制御し、ひいては、炉体11に収容されている金属材料101の温度を所定の第1温度Tに維持する。第1温度Tは、金属材料101の液相線温度よりも高い温度であり、金属材料101は、その全部が液状とされている。
また、制御装置9は、第2温度センサ25の検出値に基づいて冷却装置23を制御し、ひいては、容器21の温度を所定の第2温度Tに維持する。第2温度Tは、金属材料101の液相線温度よりも低い温度である。なお、中空部材31及び底部材33は、例えば、互いに同一の温度とされている。
また、制御装置9は、切換弁51を開き、容器21へ活性ガスを供給する。このとき、活性ガスの供給量は、例えば、容器21内の空気を置換する(容器21を満たす)のに十分(好ましくは必要十分)な量とされ、容器21内の空気が活性ガスに置換されると、活性ガスの供給は停止される。
具体的には、例えば、制御装置9は、切換弁51を開いてから計時を行い、所定の時間が経過すると、切換弁51を閉じる。一方、ガス制御回路43からの活性ガスの流量は、減圧弁47及び絞り弁49により所定流量に調整されている。従って、所定の供給量の活性ガスが容器21内へ供給される。
そして、制御装置9は、給湯装置5を制御して、炉体11に収容されている金属材料101を容器21に供給する。具体的には、まず、搬送装置19は、所定の角度で傾斜されたラドル17を炉体11に収容されている液状の金属材料101に浸してから上昇させることにより(若しくは上昇させてから傾斜させることにより)、1ショット分の金属材料101を計量しつつ汲み出す。そして、搬送装置19は、容器21上へラドル17を移動させ、ラドル17を更に傾斜させることにより、金属材料101を容器21内へ注ぐ。なお、冷却装置23は、金属材料101を容器21へ注ぐときに容器21の冷却を停止する。ただし、冷却装置23は、後述する熱平衡に至る時期まで等、適宜な時期まで冷却を継続してもよい。
容器21内へ注がれた金属材料101は、容器21内の活性ガスと反応し、容器21内を真空にしつつ、容器21に溜まっていく。従って、金属材料101が空気を巻き込むことが抑制される。
また、容器21内へ注がれた金属材料101は、容器21に接触することにより急冷され、これにより、金属材料101内には多数の結晶核が生成される。多数の結晶核は、金属材料101がある程度の高さから容器21内へ注がれることにより生じた流れにより攪拌される。これにより、析出した樹脂状結晶の枝が、せん断力により切断若しくは溶融して切断され、更に結晶核が増殖する。
容器21は、金属材料101が注がれることにより急激に温度が上昇し、容器21の金属材料101を冷却する機能は急激に低下する。その結果、多数の結晶核が形成された後、結晶成長速度は急激に低下し、結晶は樹脂状に成長せずに丸く成長する。
そして、金属材料101及び容器21は、熱交換の結果、熱平衡の状態となる。このときの金属材料101及び容器21の温度(第3温度T)は、金属材料101の固相線温度よりも大きく、液相線温度よりも小さい。これにより、金属材料101は、液相と固相とが混在し得る温度とされる。
第3温度Tと、固相率との間には相関があり、第3温度Tは、所望の固相率が得られるように設定されている。そして、第1温度T及び第2温度Tは、第3温度Tが所望の値となるように、金属材料101及び容器21それぞれの密度、体積及び比熱、金属材料101の凝固潜熱を考慮して設定されている。
ここで、既に述べたように、底部材33は、中空部材31よりも熱伝導率が高い。従って、容器21の底部付近においては、底部材33の熱伝導率が中空部材31の熱伝導率と同等である場合に比較して、結晶核が多く発生しやすく、及び/又は、結晶が成長しやすい。その結果、金属材料101は、注がれたときの運動エネルギーにより攪拌されているものの、底部付近において固相率が高くなる。
金属材料101及び容器21が熱平衡に至ると、若しくは、それからある程度の冷却期間が経過すると、半凝固状の金属材料101は、容器21から取り出される。例えば、中空部材31と底部材33とが離間されて中空部材31の下方側の開口が開放され、半凝固状の金属材料101は、自重により及び/又は適宜な押出手段により、中空部材31のから下方へ取り出される。容器21をひっくり返して金属材料101を取り出してもよい。
容器21から取り出された半凝固状の金属材料101は、例えば、射出装置の射出スリーブへ供給され(後述の第2の実施形態参照)、金型内へ押し出されて成形品とされる。また、例えば、半凝固状の金属材料101は、容器21から鍛造装置の金型間に供給され、成形品とされる。また、例えば、半凝固状の金属材料101は、急冷凝固されて、半溶融状金属の素材(ビレット)とされる。
なお、上述のように半凝固状の金属材料101は、底部において固相率が高くなっていることから、半凝固状の金属材料101を容器21から取り出して射出スリーブ等へ供給する過程において、半凝固状の金属材料101の底部から液相部分が垂れることが抑制される。
(実施例)
上述の実施形態に沿って半凝固状の金属材料101を製造し(実施例)、その半凝固状の金属材料101におけるガス含有量を測定した。また、容器21に活性ガスを供給せずに液状の金属材料101を容器21に注いで半凝固状の金属材料101を製造し(比較例)、半凝固状の金属材料101におけるガス含有量を測定した。
実施例及び比較例における半凝固金属の製造方法の条件は、以下のとおりである。
金属材料:
材料:アルミニウム合金(AC4CH)
容器への注湯量:1300g
注湯時の温度:630℃
容器:
熱伝導率:16.7W/(m・K)
容器の寸法:
直径:70mm
高さ:210mm
厚み:2.3〜2.5mm
注湯時の温度:30〜50℃
活性ガス:酸素
ガス含有量の測定は、半凝固金属を、容器21の上方に位置した部分(上部)と下方に位置した部分(下部)との概ね半分に分け、それぞれにおいて行った。また、ガス含有量及び構成比の測定は、試料溶解方式のガス量測定分析装置により行った。
ガス含有量の測定結果は以下のとおりであった。
比較例:
上部:3.1cm/100g(CO:93.9%、H:6.1%)
下部:1.3cm/100g(CO:100%)
実施例:
上部:0.8cm/100g(H:100%)
下部:0.8cm/100g(H:100%)
上記の結果から、容器21内の空気を酸素(活性ガス)に置換することにより、ガス含有量が低減されることが確認された。すなわち、巣の発生が抑制されることが確認された。
さらに、酸素が供給されると、上部と下部とのガス含有量の差、及び、上部と下部とのガスの構成比の差が低減される副次的な効果が生じることが分かった。上部と下部とのガス含有量及び構成比が均一化されることにより、半凝固金属を成形して得られる成形品においても、その材質が均一化され、品質が向上することが期待される。
なお、実施例において水素の割合が増加するのは、容器21内の空気が酸素により置換され、液状の金属材料101に溶け込んでいる水素のみが最終的に半凝固状の金属材料101に残るためと考えられる。
以上のとおり、本実施形態では、半凝固金属の製造装置1は、容器21と、その容器21内に活性ガスを供給する活性ガス供給装置22と、液状の金属材料101を容器21内に供給する給湯装置5と、容器21を冷却する冷却装置23と、を有する。
従って、既に述べたように、容器21内へ注がれた金属材料101は、容器21内の活性ガスと反応し、容器21内を真空にしつつ容器21に溜まっていく。その結果、巣の発生が抑制される。
<第2の実施形態>
図3は、第2の実施形態に係る成形機201の要部の構成を示す模式図である。
成形機201は、例えば、ダイカストマシンとして構成されている。成形機201は、公知の半凝固ダイカストマシン本体と、第1の実施形態の製造装置1とを組み合わせた構成とされてよい。具体的には、以下のとおりである。
成形機201は、固定金型103及び移動金型105を型締する不図示の型締装置と、前記の金型により構成されるキャビティ107に半凝固状の金属材料101を押し出す射出装置203と、第1の実施形態の製造装置1と、製造装置1の容器21から射出装置203へ半凝固状の金属材料101を移すための移送装置205と、これら各装置を制御する制御装置207とを有している。
射出装置203は、例えば、キャビティ107に通じる射出スリーブ209と、射出スリーブ209内を摺動可能なプランジャ211と、プランジャ211を駆動する射出シリンダ213と、射出シリンダ213との間で作動液の供給及び受給を行う液圧回路215とを有している。これらの構成は、公知の構成と同様でよい。
射出スリーブ209には、その上面に形成された供給口209aを介して半凝固状の金属材料101が供給される。そして、プランジャ211が金属材料101をキャビティ107へ押し出すことにより、金属材料101は、キャビティ107へ充填され、成形品が形成される。
移送装置205は、例えば、容器21を保持する多関節ロボットを含んで構成されている。そして、移送装置205は、容器21を供給口209a上へ移動させる。次に、移送装置205は、既に述べたように、例えば、底部材33を取り外して中空部材31の下方から供給口209aへ金属材料101を供給する。なお、製造装置1は、移送装置205を含んで構成されていてもよい。
制御装置207は、製造装置1の制御装置9を兼ねており、第1の実施形態において述べた制御を行う。また、制御装置207は、例えば、不図示の型締装置を制御して、型閉じ及び型締めを行い、移送装置205及び射出装置203を制御して、射出を行い、型締装置及び不図示の押出装置を制御して、型開き及び製品取り出しを行う。
なお、成形機201は、キャビティ107に空気が満たされた状態で射出が行われる通常のダイカスト法を行うものであってもよいし、キャビティ107に活性ガスが満たされた状態で射出が行われるPFダイカスト法を行うものであってもよいし、キャビティ107が真空引きされた状態で射出を行う真空ダイカスト法を行うものであってもよい。
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態の製造装置1を含むことから、第1の実施形態と同様の効果、すなわち、巣の発生の抑制の効果が奏される。
<第3の実施形態>
図4は、第3の実施形態に係る成形機301の要部の構成を示す模式図である。
成形機301は、容器21に代えて、射出スリーブ209において液状の金属材料101を冷却して半凝固状の金属材料101を製造する点が第2の実施形態と相違し、その他は、概ね第2の実施形態と同様である。具体的には、以下のとおりである。
給湯装置5(搬送装置19及びラドル17)は、保持炉3の溶湯を射出スリーブ209に注ぐことが可能に配置されている。冷却装置23は射出スリーブ209を冷却可能に設けられている。例えば冷媒が流れる流路は、射出スリーブ209の周囲に設けられている。活性ガス供給装置22は、活性ガスを射出スリーブ209内へ供給可能に配置されている。また、半凝固状の金属材料101を容器21から射出スリーブ209へ移す移送装置205は、本実施形態では不要である。
そして、容器21において半凝固状の金属材料101を製造する場合と同様に、冷却装置23により射出スリーブ209が冷却され、また、活性ガス供給装置22により射出スリーブ209内に活性ガスが満たされた状態で、給湯装置5により液状の金属材料101が射出スリーブ209に注がれる。これにより、半凝固状の金属材料101が製造される。そして、半凝固状の金属材料101は、プランジャ211により押されてキャビティ107に充填される。
なお、液状の金属材料101を射出スリーブ209に注ぐ前において、活性ガスの供給量は、射出スリーブ209内の空気を活性ガスに置換するのに必要十分な量(キャビティ107の空気を活性ガスに置換するには不十分な量)とされてもよいし、キャビティ107の空気も活性ガスに置換するに十分な量とされてもよい(この場合は、射出スリーブ209への供給のための流路とは別の流路によりキャビティ107に活性ガスが供給されてもよい。)。
また、成形機301は、通常のダイカスト法を行うものであってもよいし、PFダイカスト法を行うものであってもよいし、真空ダイカスト法を行うものであってもよい。
以上の第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態と同様に、活性ガスが満たされた射出スリーブ209(容器)に液状の金属材料101を注ぎ、射出スリーブ209内で半凝固状の金属材料101を得ることから、第1及び第2の実施形態と同様に、巣の発生が抑制される効果が奏される。
なお、第3の実施形態の成形機301において、射出スリーブ209は、本発明の容器と捉えられてもよい。そして、成形機301は、容器を有する、半凝固金属の製造装置を一部に含んでいると捉えられてよい。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
本実施形態では、ある程度の高さから、予め冷却された容器若しくは射出スリーブへ、液状の金属材料を注ぐだけで半凝固金属を得たが、金属材料の電磁攪拌等がなされてもよいし、液状の金属材料が注がれた後に容器を冷却してもよい。また、いわゆるSEED法のように、半凝固金属から液相部分の一部の排出が行われてもよい。
容器若しくは射出スリーブへの液状の金属材料の供給方法は、保持炉から液状の金属材料をラドルにより汲み出すものに限定されない。例えば、保持炉及びラドルに代えて、1ショット分の金属材料を溶融するるつぼを用い、当該るつぼにより容器若しくは射出スリーブに金属材料を注いでもよい。また、例えば、保持炉から容器若しくは射出スリーブへ適宜な流路を介して液状の金属材料を注いでもよい。
容器は、半凝固金属を射出スリーブへ供給するために、射出スリーブに装着される(射出スリーブの一部として機能する)ものであってもよい。
活性ガスは、容器の上端開口まで完全に満たされなくてもよい。例えば、容器の8割程度まで活性ガスが溜まった状態で、液状の金属材料が容器に供給されてもよい。また、活性ガスの供給は、液状の金属材料の供給前に止めずに、液状の金属材料が容器に供給されている間も行われてよい。
半凝固金属の製造は、その全ての工程が製造装置により自動的に行われる必要はない。例えば、加熱装置の制御、冷却装置の制御、活性ガス供給装置の制御及び給湯装置の制御の少なくともいずれか一つは、作業者により行われてもよい。また、例えば、加熱、冷却、活性ガスの供給及び注湯の少なくともいずれか一つについては、装置といえるほどの設備によらずに実現されてもよい。
1…製造装置、5…給湯装置、9…制御装置、13…加熱装置、21…容器、22…活性ガス供給装置、23…冷却装置、101…金属材料。

Claims (8)

  1. 容器と、
    前記容器内に活性ガスを供給する活性ガス供給装置と、
    液状の金属材料を前記容器内に供給する給湯装置と、
    前記容器を冷却する冷却装置と、
    を有しており、
    前記容器は、
    上下両端が開口する中空部材と、
    前記中空部材の下方の開口を塞ぎ、前記中空部材の材料よりも熱伝導率が高い材料からなる底部材と、を有している
    半凝固金属の製造装置。
  2. 前記活性ガスが供給された前記容器に前記液状の金属材料が供給され、当該金属材料が前記容器内にて冷却されて半凝固状となるように前記活性ガス供給装置、前記給湯装置及び前記冷却装置を制御する制御装置を更に有する
    請求項1に記載の半凝固金属の製造装置。
  3. 容器と、
    前記容器内に活性ガスを供給する活性ガス供給装置と、
    液状の金属材料を前記容器内に供給する給湯装置と、
    前記容器を冷却する冷却装置と、
    金型内に通じる射出スリーブと、
    前記射出スリーブ内を摺動可能なプランジャと、
    前記プランジャを駆動する駆動装置と、
    前記容器内から前記射出スリーブ内へ前記金属材料を移す移送装置と、
    を有しており、
    前記容器は、
    上下両端が開口する中空部材と、
    前記中空部材の下方の開口を塞ぎ、前記中空部材の材料よりも熱伝導率が高い材料からなる底部材と、を有している
    半凝固成形装置。
  4. 前記活性ガスが供給された前記容器内に液状の前記金属材料が供給され、前記容器内にて冷却されて半凝固状となった前記金属材料が前記射出スリーブ内へ移され、前記射出スリーブ内に移された半凝固状の前記金属材料が前記プランジャにより前記金型内に押し出されるように、前記活性ガス供給装置、前記給湯装置、前記冷却装置、前記駆動装置及び前記移送装置を制御する制御装置を更に有する
    請求項3に記載の半凝固成形装置。
  5. 容器内に活性ガスを供給する工程と、
    前記活性ガスが供給された前記容器内に液状の金属材料を供給する工程と、
    前記容器内にて前記金属材料を冷却して半凝固状にする工程と、
    を有しており、
    前記容器は、
    上下両端が開口する中空部材と、
    前記中空部材の下方の開口を塞ぎ、前記中空部材の材料よりも熱伝導率が高い材料からなる底部材と、を有している
    半凝固金属の製造方法。
  6. 前記金属材料は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金であり、
    前記容器内にて半凝固状とされた前記金属材料のガス含有量が1.0cm/100g未満である
    請求項に記載の半凝固金属の製造方法。
  7. 前記金属材料は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金であり、
    前記容器内にて半凝固状とされた前記金属材料のうち、前記容器の上方に位置する半分の部分と、下方に位置する半分の部分とのガス含有量の差が0.1cm/100g未満である
    請求項5又は6に記載の半凝固金属の製造方法。
  8. 容器内に活性ガスを供給する工程と、
    前記活性ガスが供給された前記容器内に液状の金属材料を供給する工程と、
    前記容器内にて前記金属材料を冷却して半凝固状にする工程と、
    前記容器内の半凝固状の前記金属材料を金型内に通じる射出スリーブ内へ移す工程と、
    前記射出スリーブ内の半凝固状の前記金属材料を前記金型内に押し出す工程と、
    を有しており、
    前記容器は、
    上下両端が開口する中空部材と、
    前記中空部材の下方の開口を塞ぎ、前記中空部材の材料よりも熱伝導率が高い材料からなる底部材と、を有している
    半凝固成形方法。
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