JP5579314B1 - 高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置及び高純度鋳塊の溶解連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属又は無機系化合物の鋳塊を作製する設備であって、原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部から前記鋳造空間へ流入させた溶湯を冷却する工程を備えた本発明の溶解連続鋳造装置を用いた高純度鋳塊の溶解連続鋳造方法である。原料を加熱溶解する部分の下部に連続鋳造部分を接続した高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置は、柱状の中子2と、中子2の上方に位置する金属を溶解及び溶湯8を保持する機能を有する金属溶解・保持部14を有するルツボ1とを備える。高純度鋳塊がスパッタリングターゲット用である。
【選択図】図1
Description
本発明の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置の断面模式図を図1に示す。図2は、高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置の上面模式図である。図3は、高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置の左側下部の拡大模式図である。
図7に、本発明の実施形態に係る高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置30の断面模式図を示す。高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置30は、金属溶解炉から直接に鋳型及び前記鋳型の内側に配置される中子の間に供給される溶湯を冷却して凝固させることで中空ビレット39を形成し、前記鋳型及び前記中子から中空ビレット39を引き抜くことで連続して中空ビレットを鋳造する連続鋳造装置である。縦型連続鋳造装置30は、柱状の中子32と、中子32の上方に位置する金属を溶解する機能及び溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部とを備えた本発明の縦型連続鋳造用鋳型20を備える。
次に、本発明の中空ビレット9の縦型連続鋳造方法について詳細に説明する。当該鋳造方法は、本発明の中空ビレット9の縦型連続鋳造用鋳型20を用いて行う。
まず、ルツボ1の金属を溶解する機能及び溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部14に銅合金等のスパッタリングターゲット材の金属原料の溶湯8を設ける。金属を溶解及び溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部14の溶湯8へは、不活性ガス導入部12からの窒素やアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが連続して供給されている。
次に、金属を溶解及び溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部14から鋳造空間へ溶湯8を流入させる。鋳造空間には、凝固した溶湯8を連続して鋳型20から引き抜くための鋳造片〔金属(純銅、Cu−Ga合金)片〕、またはグラファイト片があらかじめ底面方向から挿入されている。鋳造空間へ流入した溶湯8は、外周側及び内周側からそれぞれ深さ方向において複数部位に区分けして冷却されて、あらかじめ挿入した鋳造片上で固まる。溶湯8の流入及び冷却を連続して行いつつ、この鋳造片を所定の速度で連続して引き抜くことで、中空ビレット9を連続して作製する。鋳造片の引き抜きは、従来と同様に、前進、停止、後退等の時間を設定した連続パターンで行うことができる。
鋳造空間の内周側の冷却は、中子2の内部に設けた冷媒プローブの差し込みの程度によって深さ位置で個別に調整して行う。特に、凝固開始位置の調整は重要であり、鋳造空間において早く固まり過ぎても中空ビレット9の表面に荒れが生じるおそれがあり、また、遅く固まりすぎても縦型の鋳型であるため溶湯8が鋳造空間の下へ漏れ落ちるおそれがある。
冷却温度の管理は、基本的には、鋳造空間の材料について、上方向から下方向へ進むにつれて強冷から弱冷へとなるように調整するが、熱電対10、11の測定値を確認しながら、各合金に応じた適切な温度となるように、深さ方向で細かく温度管理することが好ましい。これにより、溶湯8の凝固開始位置や、深さ方向の凝固形態を良好に調整することができるため、均一な組成や形状を有し、表面の荒れが良好に抑制された中空ビレット9を作製することができる。
また、鋳造空間の外周側の冷却は、ルツボ1の鋳造外周部7の外周側に設けられた図5に示すような冷却部の内部において深さ方向に上下した流路21を流れる冷媒の速度によって調整してもよい。
また、ルツボ1の鋳造外周部7に設けられた熱電対10と、中子2に設けられた熱電対11との各温度測定点を鋳型の深さ方向において同じ位置に形成することで、鋳型内の材料の凝固の状態を深さ方向において外側と内側とで均一に制御することができ、より均一な組成や形状を有し、表面の荒れが良好に抑制された中空ビレット9を作製することができる。
また、このようにしてCu−Ga合金製ロータリー型スパッタターゲット用の中空ビレットを作製することができる。
図1〜3に記載したものと同様の構成を有する高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置を準備した。金属を溶解及び溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部には、960℃に保持したCu−29at%Ga合金の溶湯を設け、窒素ガスを連続して導入した。ルツボ及び中子は、それぞれグラファイトで形成した。また、鋳造空間については、内径129mm、外径160mm、高さ200mmとした。中子の上端部の外径を129mmとし、中子の下端部の外径を123mmとした。
次に、金属を溶解及び溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部の溶湯を鋳造空間へ流し込み、ルツボ及び中子に設けた深さ位置で複数に区分けされた冷却部によって、独自に当該位置の冷却状態を調整しながら、鋳造片を引き抜き、中空ビレットを連続して鋳造した。ルツボ及び中子の冷却部は、深さ方向に等間隔に5区分(上方向から下方向へ向かって区分A、区分B、区分C、区分D、区分E)し、各冷却部にそれぞれ熱電対の測定点を設けた。ルツボ及び中子の冷却部それぞれにおいて、区分Aの冷却温度は850℃とし、区分Bの冷却温度は400℃とし、区分Cの冷却温度は250℃とし、区分Dの冷却温度は200℃とし、区分Eの冷却温度は150℃とした。
鋳造片の引き抜きパターンは、引き抜き速度:70mm/分での引き抜き、停止、後退を適宜組み合わせて設定した。
このようにして作製した中空ビレットは、全体に亘って均一な組成や形状を有し、表面の荒れが良好に抑制されていた。
図4及び図5に示すような、外周側の冷却部が区分けされておらず、且つ、冷却部が内部において深さ方向に上下した流路を備える以外は実施例1と同様の構成を有する鋳型を用いて、実施例と同様に縦型連続鋳造を行った。冷却は、冷却部の内部において深さ方向に上下した流路を流れる冷媒の速度によって調整し、上方の温度(区分Aに相当)が850℃になるよう冷却水の流量を調整した。
鋳造片の引き抜きパターンは、引き抜き速度:70mm/分での引き抜き、停止、後退を適宜組み合わせて設定した。
このようにして作製した中空ビレットは、実施例1に比較すると内側と外側で組成の差が認められたが問題となるレベルではなかった。
比較例1として、実施例1と同じ条件ではあるが、中子の上端部の外径を129mmとし、中子の下端部の外径を127mmとしたもので、実施例1と同様の引き抜きを行ったが、引き抜き抵抗が1kNより大きく、引き抜くことができなかった。ここで、比較例1と実施例1との中子の形状について検討する。両者とも、中子の上端部から下端部にかけて進むにつれて径が抜熱の勾配に合わせて縮小するテーパー状に形成されている。中子の長さをxとし、直径をyとする。実施例1では中子の上端部の外径が129mmであり、中子の下端部の外径が123mmであるため、y=−0.03x+129の式が成立する。すなわち、実施例1の中子のテーパーの大きさは、0.03であった。一方、比較例1では中子の上端部の外径が129mmであり、中子の下端部の外径が127mmであるため、y=−0.01x+129の式が成立する。すなわち、比較例1の中子のテーパーの大きさは、0.01であった。このように、中子のテーパーの大きさを0.01より大きくすると、鋳造片の引き抜きが良好となることが確認された。
2、32 中子
3、3’ 外周側の冷却部
4、34 熱電対保護管挿入口
5、35 溶湯供給口
6、36 冷媒プローブ挿入口
7 鋳造外周部
8、38 溶湯
9、39 中空ビレット
10 鋳造外周部内熱電対
11 中子内熱電対
12、42 不活性ガス導入部
13、43 溶湯温度測定用熱電対
14 金属溶解・保持部
15 中子の冷却部(内周側の冷却部)
16、17 管状孔部
20 縦型連続鋳造用鋳型
21 流路
30 中空ビレットの縦型連続鋳造装置
33 水冷銅ジャケット
44 ルツボ温度制御用熱電対
45 ヒーター
46 水冷プローブ
47 引き抜き機構
Claims (26)
- 金属又は無機系化合物の鋳塊を作製する設備であって、原料を加熱溶解する部分の下部に連続鋳造部分が接続されており、前記鋳塊が中空構造であり、
柱状であって、下方に進むにつれて径が抜熱の勾配に合わせて縮小する傾きが0.01超えのテーパー状に形成されている中子と、前記中子の上方に位置する原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部と、それに直結した前記中子の外周面とで、前記金属を溶解及び溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部からの溶融金属を流入させる鋳造空間を構成する鋳造外周部を有し、前記鋳造空間を外周側及び内周側から冷却する冷却部を備えた連続鋳造用鋳型から成る鋳造部分を有する高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。 - 高純度鋳塊がスパッタリングターゲット用である請求項1に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部と鋳造外周部が一体構造である請求項1又は2に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部と鋳造外周部が複数の構成片及び、又は複数の材質で形成される請求項1〜3のいずれかに記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記鋳造空間を外周側及び内周側から冷却部をさらに備えた請求項1〜4のいずれかに記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記冷却部が、前記鋳造空間を、外周側及び内周側からそれぞれ深さ方向において複数部位に区分けして冷却するように設けられている請求項5に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記冷却部が、その内部において深さ方向に上下する流路を備える請求項5又は6に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記鋳造空間を外周側から冷却する冷却部が、原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部の鋳造外周部の外周側に設けられている請求項5〜7のいずれかに記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部の鋳造外周部の外周側に設けられた冷却部が、深さ方向に区分けされた小冷却部を複数備えた冷媒ジャケットである請求項8に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記小冷却部が、それぞれ冷媒が通過する経路を備えている請求項9に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記冷媒が、水である請求項10に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記鋳造空間を内部から冷却する冷却部が、前記中子の内部に設けられている請求項1〜11のいずれかに記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記中子の内部に設けられた冷却部が、同心円状に配置され、深さ方向に伸びるように形成された管状孔部と、前記管状孔部に差し込まれる冷媒プローブとで構成される請求項12に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記冷媒プローブで用いる冷媒が、水である請求項13に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部及び中子が、それぞれグラファイトで形成されている請求項1〜14のいずれかに記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部から前記鋳造空間へ溶湯を供給する溶湯供給部位の溶湯温度を測定する熱電対が設けられている請求項1〜15のいずれかに記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部の鋳造外周部に、深さ方向に伸びるような管状孔部が形成され、前記管状孔部に熱電対が設けられている請求項1〜16のいずれかに記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部の鋳造外周部に設けられた熱電対が、一体で深さ方向において複数箇所の温度測定点を有する請求項17に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記熱電対が前記原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部の鋳造外周部の周方向に沿って複数設けられている請求項17又は18に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記中子に、深さ方向に伸びるような管状孔部が形成され、前記管状孔部に熱電対が設けられている請求項1〜19のいずれかに記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記中子に設けられた熱電対が、一体で深さ方向において複数箇所の温度測定点を有する請求項20に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記熱電対が前記中子の外周方向に沿って1箇所以上に設けられている請求項20又は21に記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部の鋳造外周部に設けられた熱電対と、前記中子に設けられた熱電対との各温度測定点が、鋳型の深さ方向において同じ位置に形成されている請求項20〜22のいずれかに記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 前記原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部に不活性ガスを導入する不活性ガス導入部が設けられている請求項1〜23のいずれかに記載の高純度鋳塊の溶解連続鋳造装置。
- 原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部から前記鋳造空間へ流入させた溶湯を冷却する工程を備えた請求項1〜24のいずれかに記載の溶解連続鋳造装置を用いた高純度鋳塊の溶解連続鋳造方法。
- 前記原料を加熱溶解及び溶解した溶湯を保持する機能を有する金属溶解・保持部から前記鋳造空間へ流入させた溶湯を前記鋳造空間の外周側及び内周側から冷却することで、前記鋳造空間の溶湯の凝固状態を深さ方向で制御する請求項25に記載の溶解連続鋳造装置を用いた高純度鋳塊の溶解連続鋳造方法。
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