JP2003225735A - 斜板式圧縮機用ピストンの製造方法 - Google Patents

斜板式圧縮機用ピストンの製造方法

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JP2003225735A
JP2003225735A JP2002025380A JP2002025380A JP2003225735A JP 2003225735 A JP2003225735 A JP 2003225735A JP 2002025380 A JP2002025380 A JP 2002025380A JP 2002025380 A JP2002025380 A JP 2002025380A JP 2003225735 A JP2003225735 A JP 2003225735A
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piston
core
swash plate
melting point
cavity
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JP2002025380A
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Fuminobu Enoshima
史修 榎島
Takayuki Kato
崇行 加藤
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyota Industries Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】中空頭部を有する斜板式圧縮機用ピストンを安
価に製造する。 【解決手段】ピストン14を製造するためのピストン素
材160は、ダイカスト工程S12でポアフリーダイカ
スト法により製造する。中子鋳造工程S10で製造した
中子を、金型内のキャビティ内に位置決め支持部材によ
って位置決めする。中子がピストン素材160の頭部の
内部空間を成形する。湯道のキャビティ側開口部を他の
部分より小径のゲートとすることで、溶湯が細かい霧状
となってキャビティ内に噴出する。ゲートはキャビティ
内の中子の表面にぶつからない複数箇所に開口する。ポ
アフリー法で、ピストン素材160の頭部の周壁を要求
強度を満たしつつ薄肉に製造できる。位置決め支持部材
がピストン素材160から離脱した後に頭部の周壁に貫
通穴が形成される。その後、熱処理工程S14と低融点
材流出工程S16とを並行して行い、ピストン素材16
0の材料の特性を改善するとともに、頭部内の中子材料
を溶融させて貫通穴から流出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、斜板式圧縮機用ピ
ストンの製造方法に関するものであり、特に、シリンダ
ボアに嵌合する頭部が中空である中空ピストンの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】斜板式圧縮機の中空ピストンは既に知ら
れている。斜板式圧縮機は、一般に、ハウジングと、そ
のハウジングにより軸線まわりに回転可能に保持された
回転軸と、その回転軸の軸線と直交する平面に対して傾
斜した状態で回転軸と共に回転する斜板と、複数のピス
トンと、複数組のシュー装置とを含むように構成され
る。各ピストンは、ハウジングに回転軸の軸線を中心と
する一円周上にその軸線と平行に形成された複数のシリ
ンダボアにそれぞれ摺動可能に嵌合された頭部、および
その頭部と一体に形成されて斜板と係合する係合部を備
えたものとされ、シュー装置は、複数のピストンの各係
合部と斜板の外周部との間に1組ずつ配設される。
【0003】斜板式圧縮機には、回転軸の軸線と直交す
る平面と斜板とのなす角である斜板傾斜角が固定のもの
と、可変のものとがある。前者においては、一つの係合
部の両側に頭部を有する両頭ピストンが使用されること
が多く、後者においては、係合部の片側のみに頭部を有
する片頭ピストンが使用される。いずれにしても、頭部
が、概して中空円筒状をなす円筒部と、その円筒部の一
方の開口を閉じる円板状の頂板部と、他方の開口を閉じ
るとともに、斜板との係合部と一体に形成された閉塞部
とを含み、前記係合部が、中空頭部の軸線にほぼ平行な
基部とその基部の両端部から軸線とほぼ直交しかつ互い
に平行に延びる一対のアーム部とを含んで斜板の外周部
を収容する係合凹部を画定する形状とされる。
【0004】従来は、中空頭部を形成するために、一端
が開口した有底円筒状の部分を有する部材と、開口を閉
塞する部材とをそれぞれ鋳造や鍛造で製造し、その後、
両部材をビーム溶接等により結合することが行われてい
た。しかし、この製造方法、特に2部材の接合には、多
大の時間と経費とを要し、斜板式圧縮機用ピストンの製
造コスト低減の妨げとなっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】本発明は、以上の事情を背景とし、斜板式圧縮機用
ピストンであって少なくとも頭部が中空であるものを、
できる限り安価に製造し得るようにすることを課題とし
てなされたものであり、本発明によって、下記各態様の
斜板式圧縮機用ピストンの製造方法が得られる。各態様
は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必
要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。こ
れは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであ
り、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わ
せが以下の各項に記載のものに限定されると解釈される
べきではない。また、一つの項に複数の事項が記載され
ている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなけ
ればならないわけではない。一部の事項のみを選択して
採用することも可能なのである。
【0006】なお、以下の各項において、(1)項が請求
項1に相当し、(2)項が請求項2に、(5)項および(6)項
を合わせたものが請求項3に、(7)項が請求項4に、(8)
項が請求項5に、(11)項が請求項6にそれぞれ相当す
る。
【0007】(1)アルミニウム合金よりも融点の低い
低融点材料から成り、表面が被膜により被覆された低融
点材製中子を準備する中子準備工程と、前記低融点材製
中子をキャビティ内に設置して金型を閉じ、キャビティ
内にポアフリー法でアルミニウム合金の溶湯を注湯して
硬化させ、ピストン素材を得るダイカスト工程と、前記
金型から前記ピストン素材を取り出し、低融点材料を溶
融させて流出させる低融点材流出工程とを含むことを特
徴とする斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。低融点材
製中子をキャビティ内に設置して金型を閉じ、キャビテ
ィ内にアルミニウム合金の溶湯を注湯しても、低融点材
製中子の表面を適宜の材料の被膜で被覆しておけば、低
融点材製中子が溶融する前に溶湯が硬化し、低融点材製
中子の形状に対応した中空部を内包した頭部を形成する
ことができる。特に、本発明は、ダイカスト工程をポア
フリー法で実施するものであるため、中空頭部を一層容
易に形成することができる。ポアフリー法は、金型のキ
ャビティ内に酸素を充満させた状態で、ゲートから溶湯
を微細化して噴出させ、酸素と溶湯との反応によりキャ
ビティ内に真空状態を現出させ、その真空状態のキャビ
ティに溶湯を充満させる方法であるため、通常のダイカ
スト法におけるように太い溶湯の流れが低融点材製中子
の表面にぶつかることが回避され、また、短時間で溶湯
がキャビティに充満させられて硬化させられ、さらに、
ピストン素材が薄くされることによって溶湯が短時間で
硬化させられ、これらの要因によって低融点材製中子の
溶融が良好に回避されるのである。本発明に従って、低
融点材製中子を使用して中空頭部を形成すれば、低融点
材料を流出させるための開口、あるいは低融点材製中子
をキャビティ内に位置決めするための位置決めピン等位
置決め部材により形成される開口以外を有さず、ほぼ完
全に閉じた状態の中空頭部を形成することができる。ま
た、従来におけるように、一端が開口した概して有底円
筒状部をなす部分を有する部材の開口を閉塞部材で閉塞
し、両部材をビーム溶接等により互いに結合することに
よって、中空頭部を形成するのに比較して、溶接等の結
合工程を省略することができるため、強度に優れたピス
トンを安価に製造することが可能となる。 (2)前記中子準備工程が、金属シートを金型キャビテ
ィ内面に沿わせて配置し、その金属シートの内側に前記
低融点材を注湯して、前記被膜としての金属シートに包
まれた低融点材製中子を金型鋳造する中子鋳造工程を含
む (1)項に記載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。
本項に記載の特徴によれば、アルミニウムシート等の金
属シートにより被覆された低融点材製中子を容易に製造
することができる。 (3)前記低融点材料として亜鉛を主成分とする亜鉛系
材料を使用する (1)項または (2)項に記載の斜板式圧縮
機用ピストンの製造方法。低融点材料は、アルミニウム
合金との関係で、ダイカスト工程においては溶融せず、
低融点材流出工程においては十分溶融する融点を有する
ものであればよいが、亜鉛を主成分とする亜鉛系材料が
特に適している。 (4)前記ダイカスト工程において、前記キャビティ
の、前記ピストン素材の他の部分に比較して肉厚の厚い
部分を成形する部分に、その部分の肉厚の方向とほぼ直
交する方向に前記溶湯を噴出させるゲートを有するもの
を前記金型として使用する (1)項ないし (3)項のいずれ
かに記載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。金型キ
ャビティ内への注湯時に、溶湯が低融点材製中子の表面
に直角に近い角度で連続的に当たり続ければ、低融点材
製中子のその部分が溶融してしまう不都合が生じ易いの
であるが、本項の特徴によればその不都合を良好に回避
することができる。金型キャビティの、ピストン素材の
肉厚の厚い部分を成形する部分に、その部分の肉厚の方
向とほぼ直交する方向に溶湯を噴出させれば、溶湯が低
融点材製中子の表面に直角に近い角度で連続的に当たり
続けることはないからである。 (5)前記ピストンとして、中空頭部と、斜板と係合す
る係合部とを備え、中空頭部が、概して中空円筒状をな
す円筒部と、その円筒部の一方の開口を閉じる円板状の
頂板部と、他方の開口を閉じるとともに、斜板との係合
部と一体に形成された閉塞部とを含み、前記係合部が前
記中空頭部の軸線にほぼ平行な基部とその基部の両端部
から前記軸線とほぼ直交しかつ互いに平行に延びる一対
のアーム部とを含んで前記斜板の外周部を収容する係合
凹部を画定するものを製造する (1)項ないし (3)項に記
載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。 (6)前記ダイカスト工程を、(a)前記中空頭部の軸方
向に関して前記頂板部と一致し、その頂板部とほぼ平行
な方向に溶湯を噴出する第1ゲートと、(b)前記中空頭
部の軸方向に関して前記一対のアーム部の少なくとも一
方と一致し、前記頂板部とほぼ平行な方向に溶湯を噴出
する少なくとも1つの第2ゲートとから前記アルミニウ
ム合金の溶湯を噴出させることにより行う (5)項に記載
の斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。このように、第
1,第2ゲートから溶湯を噴出させれば、 (4)項に関連
して述べた低融点材製中子の溶融防止の効果が得られる
とともに、溶湯が金型キャビティ内全体に良好に充填さ
れる効果が得られる。斜板式圧縮機用ピストンの中空頭
部の円筒部は、強度設計上肉厚を薄くすることができる
部分であり、例えば、1.8mm、あるいは1.5mm
というように薄くされるのであるが、このように肉厚が
薄く、しかも面積の広い部分においては、溶湯が金型お
よび中子により急速に冷却されて硬化してしまうため、
溶湯を完全に充填することが難しいのであるが、その円
筒部の両側に位置する頂板部およびアーム部の両方から
注湯すれば、円筒部にも溶湯を十分に充填することがで
きるのである。 (7)前記ダイカスト工程において前記キャビティ内に
アルミニウム合金の溶湯を注湯するゲートの開口面積を
10mm2以下とする (1)項ないし (6)項のいずれかに
記載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。ゲートの開
口を大きくすれば、溶湯を短時間でキャビティ全体に充
填することができるのであるが、反面、溶湯が低融点材
製中子の特定部分に大量に当たり、その特定部分を溶融
させてしまう可能性がある。したがって、ゲートの数を
多くすることにより、全体として溶湯流入流量を確保し
つつ、1ゲートにおける溶湯流量を小さくすることが望
ましい。その観点から、ゲートの開口面積は10mm 2
以下とすることが望ましく、5mm2以下とすることが
さらに望ましい。 (8)前記低融点材流出工程を、前記ダイカスト工程に
おいて鋳造したピストン素材に熱処理を施す熱処理工程
と並行して行う (1)項ないし (7)項のいずれかに記載の
斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。ピストン素材には
強度増大等のためにT6,T7等の熱処理が施されるの
で、この熱処理時の加熱を低融点材料の溶融のために利
用すれば、低融点材料を流出させるために特別に加熱す
る必要がなくなる。しかも、アルミニウム合金の熱処理
は、通常、比較的長い時間かけて行われるため、低融点
材料を確実に流出させることができる。 (9)前記低融点材流出工程において前記低融点材料を
流出させる流出口を前記ピストン素材の機械加工が不要
な場所に形成し、その流出口を塞いだ状態で機械加工を
行う (1)項ないし (8)項のいずれかに記載の斜板式圧縮
機用ピストンの製造方法。流出口をピストン素材の機械
加工が不要な場所に形成すれば、その流出口を除去可能
なプラグ等により一時的に塞いだ状態で機械加工を行う
ことができ、切り屑や加工液(切削液,研削液)が中空
頭部内に侵入することを防止することができる。 (10)前記ダイカスト工程において、前記低融点材製
中子を前記キャビティ内に位置決めする中子位置決め支
持部材により前記ピストン素材に形成された貫通穴を、
そのピストン素材の機械加工前に埋める穴埋め工程を含
む (1)項ないし (8)項のいずれかに記載の斜板式圧縮機
用ピストンの製造方法。中子位置決め支持部材によりピ
ストン素材に形成された貫通穴は、必ずしも低融点材料
の流出口として利用しなくてもよいが、利用すれば専用
の流出口を形成する必要がなくなる。貫通口は、熱可塑
性樹脂充填,半田付け,ろう付け等により恒久的に塞い
でもよく、プラグ等取り外し可能な閉塞部材で閉塞して
もよい。貫通穴がピストン素材の機械加工が必要な場所
に形成されている場合には前者によって塞ぎ、ピストン
素材と共に機械加工してもよい。ただし、低融点材料を
流出させる前にピストン素材の機械加工を行うこととす
れば、切り屑や加工液が本項における貫通穴や前項に記
載の流出口から中空頭部内に侵入することを回避でき、
上記貫通穴または流出口を塞ぐ工程が不要となる。 (11)前記ダイカスト工程において製造するピストン
素材を、それぞれ中空頭部と、斜板と係合する係合部と
を1つずつ備え、中空頭部が、概して中空円筒状をなす
円筒部と、その円筒部の一方の開口を閉じる円板状の頂
板部と、他方の開口を閉じるとともに、斜板との係合部
と一体に形成された閉塞部とを含み、前記係合部が前記
中空頭部の軸線にほぼ平行な基部とその基部の両端部か
ら前記軸線とほぼ直交しかつ互いに平行に延びる一対の
アーム部とを含んで前記斜板の外周部を収容する係合凹
部を画定するものを2つ、各々の係合部側において直列
に結合した2連ピストン素材とし、かつ、2つの中空頭
部を成形するための前記低融点材製中子同士を、前記係
合部の基部を貫通する連結手段により一体的に連結した
状態で前記キャビティ内に設置する (1)項ないし(10)項
のいずれかに記載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方
法。2つの中空頭部を成形するための低融点材製中子同
士を、係合部の基部を貫通する連結手段により一体的に
連結した状態(この状態の中子を連結中子と称すること
とする)でキャビティ内に設置すれば、低融点材製中子
を個別にキャビティ内に設置する場合に比較して、位置
決めが容易になる。連結中子を1部材として位置決めす
ればよいからである。 (12)前記連結手段を前記低融点材製中子の材料と同
じ材料で形成し、前記低融点材流出工程において、その
連結手段を構成する低融点材料を流出させた後に前記係
合部の基部を貫通して延びる状態で形成される通路を前
記低融点材製中子の材料の流出通路として利用する(11)
項に記載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。次項に
おけるように、通路に連通する開口を形成してそれを流
出口とすれば、当然、通路を低融点材料の流出通路とし
て利用することができるが、通路に連通する開口を設け
ることは不可欠ではない。例えば、2つの中空頭部の一
方に形成された開口を空気流入口として利用し、他方の
中空頭部に形成された開口を低融点材の流出口として利
用する場合には、通路を低融点材料の流出通路として利
用することができるのである。 (13)前記2連ピストンの前記2つの係合部同士を結
合する結合部に前記通路に連通する開口を設け、その開
口を前記低融点材料の流出口として利用する(12)項に記
載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。結合部は、2
連ピストンが分離されて個々の片頭ピストンとされる際
には除去される部分であるので、他の部分に比較して形
状、寸法上の制約が少なく、適切な流出口を形成するこ
とが容易である。係合部の基部を貫通して延びる状態で
形成される通路に連通する開口を設け、その開口を流出
口として利用すれば、ピストン素材の中空頭部に流出口
を設ける必要がなくなる。例えば、小さい空気流入口を
設ければよくなり、あるいは、空気流入口さえ省略する
ことができるのである。通路に連通する開口を大きいも
のとして、同じ開口の一部から空気を流入させ、他の部
分から低融点材料を流出させることや、通路に連通する
開口を2つ形成し、一方の開口から空気を流入させ、他
方の開口から低融点材料を流出させることができるので
ある。 (14)前記ピストン素材を、前記頭部のみならず前記
係合部も中空のものとし、係合部を中空とするための低
融点材製中子を前記連結手段と一体に形成する(12)項ま
たは(13)項に記載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方
法。 (15)前記連結手段を前記ピストン素材を形成するア
ルミニウム合金と同等以上の強度を有する材料で形成
し、ピストン素材が完成品とされた後に、その連結手段
が前記係合部の一部として機能するようする(11)項に記
載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。連結手段を構
成する材料はピストン素材を形成する材料と同じ材料で
もよいが、ピストン素材を形成する材料より強度の大き
いものであることが望ましい。また、ピストン素材を形
成する材料と強固に固着する材料であることが望まし
い。その意味で、連結手段を構成する材料としては、硬
度の高いアルミニウム合金材,鋼材,セラミックス材等
が好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態である
斜板式圧縮機用ピストンの製造方法およびそれにより製
造されたピストンを備える斜板式圧縮機について、図面
に基づいて詳細に説明する。図1に本実施形態における
斜板式圧縮機を示す。図1において、10はシリンダブ
ロックであり、シリンダブロック10の中心軸線を中心
とする一円周上には、複数のシリンダボア12が上記中
心軸線に平行に形成されている。シリンダボア12の各
々には、片頭ピストン14(以下、ピストン14と略称
する)が往復運動可能に配設されている。シリンダブロ
ック10の軸方向の一端面には、フロントハウジング1
6が取り付けられ、他方の端面には、リヤハウジング1
8がバルブプレート20を介して取り付けられている。
フロントハウジング16,リヤハウジング18,シリン
ダブロック10等により斜板式圧縮機のハウジングが構
成されている。リヤハウジング18とバルブプレート2
0との間には、吸入室22,吐出室24が形成され、そ
れぞれ、吸入ポート26,供給ポート28をを経て、図
示しない冷凍回路に接続される。バルブプレート20に
は、吸入孔32,吸入バルブ34,吐出孔36,吐出バ
ルブ38等が設けられている。
【0009】上記ハウジング内には、回転軸50が、シ
リンダブロック10の中心軸線を回転軸線として回転可
能に設けられている。回転軸50の一端部は、図示しな
い駆動源に連結されている。回転軸50には、斜板60
が軸方向に相対移動可能かつ傾動可能に取り付けられて
いる。斜板60には、中心線を通る貫通穴61が形成さ
れ、この貫通穴61を回転軸50が貫通している。貫通
穴61は、両端開口側ほど図1における上下方向に内の
り寸法が漸増させられ、それら両端部の横断面形状が長
穴をなしている。回転軸50にはまた、回転板62が固
定され、スラストベアリング64を介してフロントハウ
ジング16に受けられている。斜板60は、ヒンジ機構
66により、回転軸50と一体的に回転させられるとと
もに、軸方向の移動を伴う傾動を許される。ヒンジ機構
66は、回転板62に固定的に設けられた支持アーム6
7と、斜板60に固定的に設けられ、支持アーム67の
ガイド穴68にスライド可能に嵌合されたガイドピン6
9と、斜板60の貫通穴61と、回転軸50の外周面と
を含むものである。
【0010】前記ピストン14は、図2に示すように、
斜板60にそれの外周部を跨ぐ状態で係合させられる係
合部70と、係合部70と一体に設けられ、シリンダボ
ア12に摺動可能に嵌合される頭部72とを備えてい
る。本実施形態における頭部72は、中空頭部とされて
軽量化が図られている。頭部72,シリンダボア12お
よびバルブプレート20が共同して圧縮室を形成してい
る。また、係合部70は一対の球冠状のシュー76を介
して斜板60の外周部と係合させられている。なお、本
実施形態におけるピストン14は、係合部70の片側の
みに頭部72を備えることから片頭ピストンと称され
る。
【0011】ピストン14は斜板60の回転により往復
運動させられる。詳しくは、斜板60の回転運動が、シ
ュー76を介してピストン14の往復直線運動に変換さ
れる。ピストン14が上死点から下死点へ移動する吸入
行程において、吸入室22内の冷媒ガスが吸入孔32,
吸入バルブ34を経てシリンダボア12内の圧縮室に吸
入される。ピストン14が下死点から上死点へ移動する
圧縮行程において、シリンダボア12内の圧縮室の冷媒
ガスが圧縮され、吐出穴36,吐出バルブ38を経て吐
出室24に吐出される。冷媒ガスの圧縮に伴ってピスト
ン14には、軸方向の圧縮反力が作用する。圧縮反力
は、ピストン14,斜板60,回転板62およびスラス
トベアリング64を介してフロントハウジング16に受
けられる。
【0012】シリンダブロック10を貫通して給気通路
80が設けられている。この給気通路80により、吐出
室24と、フロントハウジング16とシリンダブロック
10との間に形成された斜板室86とが接続されてい
る。給気通路80の途中には、電磁制御弁90が設けら
れている。この電磁制御弁90のソレノイド92への電
流供給が、コンピュータを主体とする制御装置(図示省
略)により、冷房負荷等の情報に応じて制御される。
【0013】回転軸50の内部には、排出通路100が
設けられている。排出通路100は、一端においてシリ
ンダブロック10の中心部に設けられた支持穴56に開
口させられるとともに、他端において斜板室86に開口
させられている。支持穴56は排出ポート104を経て
吸入室22に連通させられている。
【0014】本斜板式圧縮機は可変容量型であり、高圧
側である吐出室24と低圧側である吸入室22との圧力
差を利用して斜板室86内の圧力が制御されることによ
り、ピストン14の前後に作用するシリンダボア12内
の圧縮室の圧力と斜板室86の圧力との差が調節され、
斜板60の傾斜角度(回転軸50の回転軸線に直角な平
面と斜板60とのなす角度)が変更されてピストン14
のストロークが変更され、圧縮機の吐出容量が調節され
る。具体的には、電磁制御弁90の励磁,消磁の制御に
より、斜板室86が吐出室24に連通させられたり、遮
断されたりすることによって、斜板室86の圧力が制御
される。なお、本実施形態の斜板式圧縮機において斜板
の傾斜角を変更する斜板傾斜角変更装置は、前述のヒン
ジ機構66を始めとして、シリンダボア12,ピストン
14,吸入室22,吐出室24,支持穴56,給気通路
80,斜板室86,電磁制御弁90,排出通路100,
排出ポート104および図示しない制御装置等から構成
されることになる。
【0015】シリンダブロック10およびピストン14
は、金属の一種であるアルミニウム合金製のものとさ
れ、ピストン14の外周面には、フッ素樹脂のコーティ
ングが施されている。フッ素樹脂でコーティングすれ
ば、同種金属との直接接触を回避して焼付きを防止しつ
つシリンダボア12との嵌合隙間を可及的に小さくする
ことができる。本実施形態におけるピストン14は、ア
ルミニウムを主成分とし、シリコンを含有するAl−S
i系合金から成る。特に、Siを8〜16mass%、
Cuを2〜5mass%それぞれ含有するアルミニウム
合金、例えばADC10やADC12が好適である。た
だし、シリンダブロック10やピストン14の材料、コ
ーティング層の材料等は、上述の材料に限らず、他の材
料であってもよい。
【0016】ピストン14の頭部72は、概して中空円
筒状をなす円筒部110と、その円筒部110の一方の
開口を閉じる円板状の頂板部112と、他方の開口を閉
じるとともに、係合部70と一体に形成された閉塞部1
14とを備える。頭部72の内部空間の内側面の一部で
ある底面115を構成する閉塞部114の端面は、頭部
72(円筒部110)の中心線に対して非軸対称の3次
元形状を成している。具体的には、頭部72の中心線に
対して偏心した位置に、底面115のその他の部分より
も係合部70側に窪まされた凹部116が形成されてい
る。この凹部116の形成により、頭部72のみならず
係合部70も軽量化が図られている。ただし、このこと
は不可欠ではなく、頭部72のみが中空のピストン14
であってもよい。
【0017】ピストン14の係合部70は、頭部72の
中心軸線と平行に延びる基部118と、その基部118
の軸方向に隔たった両端部から、頭部72の中心軸線と
直交する方向に互いに平行に延びる一対のアーム部12
0,122とを備え、斜板60の外周部を収容する係合
凹部を画定している。基部118は、上記アーム部12
0,122の基端同士を連結している。アーム部12
0,122の互いに対向する内側面には、それぞれシュ
ー保持面となる凹球面部128が形成されている。これ
ら2つの凹球面部128は同一球面上に位置している。
【0018】前記一対のシュー76は、外表面の一方が
概して凸球面をなす球面部と、他方が概して平面をなす
平面部とを有する球冠状である。一対のシュー76は、
球面部においてピストン14の凹球面部128に摺動可
能に保持され、平面部において斜板60の外周部の両側
面である両摺動面140,142に接触し、斜板60の
外周部を両側から挟持する。一対のシュー76はその状
態で球面部の凸球面が同一球面上に位置するように設計
されている。つまり、本実施形態におけるシュー76
は、半球より斜板60の厚さのほぼ半分だけ小さい球冠
状を成しているのである。なお、シューの形状は上記形
状に限定されるものではない。
【0019】上記構成のピストン14は、本実施形態に
おいては、1個のピストン素材から2個製造される。図
3には、ピストン14を製造するためのピストン素材1
60が示されている。ピストン素材160は、製品とし
てのピストン14となった場合に頭部72となる部分で
ある中空の頭部72と、係合部70となる係合部70と
を1つずつ備え、2つの頭部72が互いに同心となるよ
うに、係合部70側において結合部168を介して直列
に結合された2連ピストンである。頭部72は、概して
中空円筒状をなす円筒部110と、その円筒部110の
一方の開口を閉じる円板状の頂板部112と、他方の開
口を閉じるとともに、係合部70と一体に形成された閉
塞部114とを備える。頂板部112の中央部には、円
形断面の保持部176がそれぞれ一体に設けられてい
る。係合部70は、円筒部110の中心軸線と平行に延
びる基部118と、その基部118の軸方向に隔たった
両端部から、円筒部110の軸線とほぼ直交しかつ互い
に平行に延びる一対のアーム部120,122とを備
え、係合凹部を画定している。係合部70には、基部1
18および一対のアーム部120,122の各内側面同
士を連結する補強部たる補強リブ188が一体に形成さ
れている。補強リブ188は、係合部70の剛性を高
め、また、熱による歪みを抑制するために設けられてい
る。
【0020】ピストン素材160は、前述したように、
Al−Si系合金から成り、ダイカスト法により製造さ
れる。このダイカスト工程が実施される前に、ダイカス
ト工程で使用される金型装置200(図7および図8参
照)に使用される中子202が準備される。これが図4
に示す中子準備工程としての中子鋳造工程S10であ
る。つまり、本実施形態における中子202は、鋳造に
より製造されるのである。中子202は、図5に示すよ
うに、亜鉛を主成分とする亜鉛系材料である亜鉛合金の
基材210と、その基材210の表面を被覆するアルミ
ニウム合金製の被膜212とを備えるものである。被膜
212の厚みは、50μm〜100μmとされている。
基材210の材料である亜鉛合金は、ピストン素材16
0の材料であるアルミニウム合金(融点は約580〜6
60℃)よりも融点の低い低融点材料であり、例えば、
ZDC1やZDC2が好適である(融点は約380〜3
90℃)。よく用いられるZDC2は、Alを3.5〜
4.3mass%、Cuを0.25mass%以下、M
gを0.020〜0.06mass%、Feを0.10
mass%以下含み、残部がZnの亜鉛合金ダイカスト
である。
【0021】図5に示すように、中子鋳造工程S10で
は、一対の金型220,222が使用される。一対の金
型220,222は、パーティング面224,226に
おいて開閉可能である。本実施形態では、金型220が
固定金型とされ、金型222が金型220に接近,離間
させられる可動金型とされている。パーティング面22
4,226の互いに対応する位置に形成されたキャビテ
ィ内面228,229によって中子の外形に対応する形
状のキャビティ230が形成される。キャビティ230
は、湯道232を経て図示しない注湯装置に接続されて
いる。
【0022】まず、金型220,222が開かれた状態
で、金属シートとしてのアルミニウムシート236が各
パーティング面224,226に沿わされる。アルミニ
ウムシート236としては、例えば、厚みが50μm〜
100μmのものが好適である。アルミニウムシート2
36は、アルミニウムシートロール238から引き出さ
れて供給され、巻取ロール240によって巻き取られ
る。アルミニウムシート236が押さえ部材242によ
ってパーティング面224,226に沿わされた状態で
配置され、図示しない押付部材あるいはエアーによって
キャビティ内面228,229に沿わされる。押付部材
により押し付けられる場合には、押付部材がアルミニウ
ムシート236の融点よりは低い範囲で可及的に高い温
度に加熱された状態で押し付けられることが望ましい。
エアーによってキャビティ内面228,229に沿わさ
れる場合でも、エアーが適度の温度に加熱されることが
望ましい。アルミニウムシート236の延性を増すため
である。また、押さえ部材242は、アルミニウムシー
ト236をパーティング面224,226に押し付ける
ことにより、適度の摩擦力を発生させてアルミニウムシ
ート236を拘束し、しわの発生を可及的に防止する役
割を果たすものであるが、アルミニウムシート236が
破断することを防止するために、ある程度のしわが発生
することは許容するようにすることも可能である。アル
ミニウムシート236がキャビティ内面228に沿わさ
れた後、アルミニウムシート236の底部に導入部材2
46が差し込まれ、底部に穴が開けられて湯道232に
連通させられる。導入部材246は、中空の漏斗状を成
しており、漏斗状の外周面でアルミニウムシート236
をキャビティ内面228に押し付けるとともに、その先
端の導入口が湯道232の内周面に圧入される。したが
って、湯道232から供給される溶湯が、導入部材24
6の導入口を経て、キャビティ内面228のアルミニウ
ムシート236で覆われた部分よりも内側の空間内に注
入可能となる。
【0023】上述のようにアルミニウムシート236が
各キャビティ内面228,229に沿わされた状態で、
金型220,222が閉じられることにより、金型22
0,222内にアルミニウムシート236で囲まれたキ
ャビティ230が形成される。そして、亜鉛合金の溶湯
が湯道232を経てキャビティ230内に注入される。
溶湯がキャビティ230内に充満させられ、溶湯が凝固
するまで加圧状態に維持される。設定時間経過後、金型
220,222が開かれ、アルミニウムシート236の
不要部が切除されて、亜鉛合金製の基材210の表面に
アルミニウム合金製の被膜212が形成された中子20
2が完成する。
【0024】後のダイカスト工程S12では中子202
の融点(本実施形態における亜鉛合金の場合約380
℃)よりも高い温度のアルミニウム合金の溶湯がキャビ
ティ内に供給されるが、後に説明するように、溶湯は中
子202の表面にぶつけられないような構造の金型が使
用され、また、溶湯は短時間で冷却されるため、中子2
02が溶融することはない。さらに、上述のように中子
202の表面がアルミニウム合金製の被膜212によっ
て被覆されていることによっても、中子202が溶融す
ることが回避される。上記中子鋳造工程S10によれ
ば、安価でかつ膜厚の均一な被膜212を備える中子2
02を連続して製造することが容易となる。アルミニウ
ムシート236の厚さは適宜選択可能であるが、後のダ
イカスト工程でのアルミニウム合金の溶湯の浸触を防止
するには、上記50μm〜100μmの膜厚とすること
が望ましい。
【0025】上述の中子鋳造工程S10では、金型22
0,222のパーティング面224,226は、製造さ
れる中子202の中心線に直角な方向に形成されていた
が、図6に示すように、中子202の中心線に平行なパ
ーティング面250,252を備える金型254,25
6としてもよい。本実施形態においては、湯道258が
各パーティング面250,252に形成された断面形状
が半円の溝の共同によって形成される。したがって、ア
ルミニウムシート236は、キャビティ内面228,2
29のみならず、湯道258の内周面にも沿わされた状
態で配置される。この実施形態においては、図5の実施
形態における導入部材246での穴開けは不要となる。
【0026】次に、ピストン素材160を鋳造により製
造する前記ダイカスト工程S12が行われる。本実施形
態では、ピストン素材160はポアフリーダイカスト法
により製造される。本実施形態のダイカスト工程S12
において使用される金型装置200の一部を図7および
図8に概略的に示す。金型装置200は、開閉可能なも
のを使用する。ポアフリーダイカスト法は、金型装置2
00のキャビティ270内に酸素等の活性ガスを充満さ
せた状態でアルミニウム合金等の金属の溶湯をキャビテ
ィ270内に注入し、溶湯と活性ガスとの反応によりキ
ャビティ270内を高度の真空状態とすることによっ
て、鋳造品内部への気体の巻込みを防止する鋳造法であ
り、薄肉で強度の高い鋳造品を得ることができる。
【0027】金型装置200は、パーティング面27
2,274において開閉可能な一対の金型276,27
8を備えている。本実施形態においては、金型276が
固定金型とされ、金型278が金型276に対して接
近,離間させられる可動金型とされている。パーティン
グ面272,274の互いに対応する位置に形成された
キャビティ面280,282と、前記中子202との共
同により、ピストン素材160に対応するキャビティ2
70が形成される。上記キャビティ面280,282に
よってピストン素材160の外形が成形され、中子20
2によってピストン素材160の頭部72の中空の内部
空間が成形される。中子202の中心線方向に隔たった
一方の端面284の偏心した位置には、中子202の中
心線に平行な方向に突出する突部286が一体に形成さ
れている。この突部286によって、図2に示すよう
に、閉塞部114の底面115に凹部116が形成され
る。
【0028】キャビティ270は、複数の湯道288
(図8参照)を経て注湯装置(図示省略)に接続されて
いる。複数の湯道288は、金型276,278に形成
された断面形状が半円の凹状溝が互いに合わされること
によって形成される。各湯道288のキャビティ270
側開口近傍には、他の部分よりも小径のゲートがそれぞ
れ形成されている。本実施形態においては、キャビティ
270の、頭部72に対応する部分の軸方向に関して頂
板部112に一致し、頭部72の半径方向にほぼ平行な
向き(頂板部112とほぼ平行な方向)に溶湯を噴出す
るゲート290と、頭部72の軸方向に関してアーム部
122(閉塞部114に隣接する側のアーム部)と一致
し、頭部72の半径方向にほぼ平行な向きに溶湯を噴出
するゲート292と、頭部72の軸方向に関してアーム
部120(結合部168および他方の係合部70に隣接
する側のアーム部)と一致し、頭部72の半径方向にほ
ぼ平行な向きに溶湯を噴出するゲート294とが設けら
れている。つまり、キャビティ270の1個のピストン
14を製造するための部分に対して3個ずつ、ピストン
素材160全体に対して合計6個のゲートが設けられて
いる。ゲート290,292,294の開口面積は、1
0mm2以下とされ、5mm2以下とされることが望まし
い。ゲート290が第1ゲートを、ゲート292,29
4が第2ゲートをそれぞれ構成している。
【0029】金型276には、中子202を位置決め支
持する位置決め支持部材としての位置決めピン300,
302が複数個配設される。図示の例では、キャビティ
270の2つの頭部72の各々に対応する部分の、それ
ぞれ直径方向に隔たった2箇所に一対ずつの位置決めピ
ン300,302が設けられている。合計4本の位置決
めピン300,302が設けられているのである。位置
決めピン300,302は、キャビティ270内にその
先端部が突出させられる前進端位置と、キャビティ27
0から退避させられる退避位置とに移動させられる。位
置決めピン300,302を移動させる駆動装置308
は、本実施形態においては油圧シリンダとされ、油圧シ
リンダのピストンロッドと位置決めピン300,302
とが一体的に構成されている。位置決めピン300,3
02は概して円柱状をなしているが、先端面には、頭部
72の中心線に平行な係合突部316が形成されてい
る。係合突部316は、位置決めピン300,302の
一直径に沿って延び、横断面形状が二等辺三角形である
突起である。あるいは、円錐形状でも角錐形状であって
もよい。中子202には、当初は係合突部316と係合
する係合凹部は形成されていないが、位置決めピン30
0,302が駆動装置308の駆動力により前進端位置
まで前進させられれば、係合突部316が中子202の
表面に食い込んで係合凹部318を形成するとともに、
位置決めピン300,302の先端面が中子202の表
面に押し付けられてその表面部分を平らにしてその平面
に密着し、中子202を金型276に対して予め定めら
れた相対位置に位置決めして支持する状態となる。な
お、位置決めピン300,302の先端部と中子202
の表面とに予め係合突部と係合凹部とを形成しておくこ
とも可能であり、その場合には、係合突部および係合凹
部を本実施形態におけるよりさらに大きなものとするこ
とができる。
【0030】ダイカスト工程S12においては、金型2
76,278が開かれた状態で、中子202が図示を省
略する位置決め装置により金型276に対して予め定め
られた相対位置に位置決めされ、その状態において、位
置決めピン300,302が前進端位置へ突出させられ
て中子202を金型276に対して位置決めして支持す
る。中子202の位置決めピン300,302の軸線ま
わりの回転は、係合突部316と係合凹部318との係
合により防止される。その後、金型276,278が閉
じられる。金型278には、前記駆動装置308の配置
を許容する断面形状が半円の凹部が形成されるととも
に、位置決めピン300,302を保持する断面形状が
半円の溝が形成されている。金型276,278が閉じ
られた状態で、注湯装置によってアルミニウム合金の溶
湯が湯道288に注入され、狭いゲート290,29
2,294を通ってキャビティ270内に一気に噴出さ
せられる。狭いゲート290,292,294を通って
溶湯が細かい霧状にキャビティ270内に噴出させられ
ることにより、溶湯が酸素と迅速に反応し、キャビティ
270内が強い負圧状態となり、溶湯がキャビティ27
0全体に確実に充満させられるとともに急速に冷却され
る。また、溶湯の凝固末期に図示しない加圧部材がキャ
ビティ270内に突入させられ、半凝固状態にある溶湯
を加圧する。このため、凝固したピストン素材160に
気体の巻き込みによる気泡が発生すること、および材料
の収縮に起因する引けが発生することが良好に防止さ
れ、かつ、表面には比較的厚いチル層が形成される。こ
のチル層は、硬度および強度が大きいものであり、した
がって、要求強度を満たしつつピストン素材160の薄
肉化を図ることができる。
【0031】また、噴出口の細いゲート290,29
2,294が前述のように配置されていることにより、
ゲート290,292,294から噴出するアルミニウ
ム合金の溶湯が微細化されるとともに、キャビティ27
0内に配置された中子202の表面に直角に近い角度で
ぶつかることが回避される。また、前述のように、中子
202が被膜212によって被覆されており、これらに
よって中子202がダイカスト工程S12で溶融するこ
とが回避される。
【0032】キャビティ270内に溶湯が充満させられ
て設定時間経過後、位置決めピン300,302が退避
位置に移動させられ、また、金型276,278が開か
れてピストン素材160が取り出される。金型276,
278が開かれてから位置決めピン300,302が退
避位置に移動させられてもよい。ピストン素材160の
各頭部72には、位置決めピン300,302が離脱さ
せられた後に円形断面の貫通穴320,322(図3参
照)が形成される。
【0033】ダイカスト工程S12の直後に、ピストン
素材160の材料であるアルミニウム合金の特性を改善
する(アルミニウム合金を硬化させ、強度を増大させ
る)ために、熱処理が実施される。その工程が熱処理工
程S14であり、本実施形態における熱処理は、T6処
理であり、溶体化処理を行った後人工時効硬化処理を行
う。溶体化処理の条件は、加熱炉中に、450〜500
℃の温度で約5分〜2時間保持した後、常温まで急冷す
るものである。また、人工時効硬化処理は、加熱炉中に
170〜230℃の温度で約1〜8時間保持して行われ
る。このT6処理に代えて、T7処理を行ってもよい。
T7処理は、溶体化処理を行った後安定化処理(最大強
さを得る人工時効硬化処理条件を超えて過剰時効処理す
ること)を行う処理である。なお、熱処理工程S14で
は、ピストン素材160は、貫通穴320,322が上
下方向に位置し、中心軸線が水平となる姿勢で加熱炉中
に保持される。
【0034】中子202の融点はピストン素材160の
材料であるアルミニウム合金の融点約580〜660℃
よりも低いため、上記熱処理工程S14のうちの溶体化
処理において、亜鉛合金の融点よりも高くアルミニウム
合金の融点よりも低い温度(本実施形態では450〜5
00℃)で一定時間(本実施形態では0.5時間)加熱
されることにより、中子202の基材210のみが溶融
する。したがって、中子202の表面に形成された被膜
212の貫通穴320,322に対応する部分に穴を開
けておけば、溶融した基材210の材料がピストン素材
160の貫通穴320,322から流出する。複数の貫
通穴320,322のうち、上部に位置するものが空気
の流入口として機能し、下部に位置するものが溶融物の
流出口として機能し、この流出口から中子202の溶融
したものが流出させられる。流出口からの流出を促進す
るため、ピストン素材160を、例えば、一対の把持爪
を備えるチャック装置に保持させ、前記水平な姿勢から
一方の頭部72が下側になるように傾斜させられ、続い
て他方の頭部72が下側になるように傾斜させられて揺
動させられてもよいし、水平な姿勢で上下動させられて
もよいし、これら運動を組み合わせてもよい。このよう
にしてピストン素材160の頭部72内部の亜鉛合金が
外部に流出させられて中空頭部とされる。つまり、低融
点材流出工程S16が熱処理工程S14と並行して行わ
れるのである。また、熱処理工程S14によって、ピス
トン素材160に生じていた歪が除去される。なお、皮
膜212を形成しているアルミニウムシートは溶湯と固
着して中空頭部の内面を形成することになる
【0035】熱処理工程S14および低融点材流出工程
S16の後、頭部72を構成することになる部分の外周
面を始めとする複数の部分の切削加工が行われる。ま
ず、2個の保持部176の中央部にセンタ穴340(図
3に二点鎖線で図示)が形成される。その後、図示は省
略するが、センタ穴340にセンタが嵌合されて心出し
がなされるとともに、2個の保持部176がそれぞれチ
ャックにより把持された状態で、回転駆動装置の回転が
ピストン素材160に伝達されて頭部72の外周面等の
旋削が行われる。これが外周面加工工程S18である。
【0036】その後、少なくとも頭部72の外周面に塗
装が行われ、例えば、ポリテトラフルオロエチレンを主
材料とするコーティング層が形成される。これがコーテ
ィング工程S20であるが、このコーティング工程S2
0は、外周面加工工程S18において頭部72内に侵入
した切り屑や切削液を貫通穴320,322から排除す
るとともに、全体を洗浄する洗浄工程を含んでいる。コ
ーティング工程S20の後、保持部176が除去される
とともに頂板部112が切削加工され、続いて、コーテ
ィング層が形成された頭部72等の外周面にセンタレス
研削が行われ、頭部72が完成する。これが研削工程S
22である。さらに、係合部70にそれぞれ機械加工が
施され、ピストン14となった際にシュー76を保持す
る凹球面部128(図3に二点鎖線で図示)が形成さ
れ、係合部70が完成する。これが凹球面部形成工程S
24である。最後に、分離工程S26でピストン素材1
60が結合部168において2つに切り離され、2個の
完成品たるピストン14が得られる。なお、製品たるピ
ストン14においても、貫通穴320,322が形成さ
れたままであるが、頭部72の軸方向において係合部7
0に寄った側に形成されており、斜板式圧縮機の前記圧
縮室のシール性を阻害する部分ではないため支障はな
い。
【0037】位置決め支持部材の配設個数,配置および
横断面形状等は上記実施形態に限られず、状況に応じて
種々に変更可能である。例えば、位置決め支持部材を円
形断面のものとし、前記実施形態と同様、ピストン素材
160の頭部72の直径方向に隔たった2箇所に位置決
め支持部材をそれぞれ設けるとともに、それら位置決め
支持部材の一方から頭部72の軸方向に隔たった1箇所
にさらに別の位置決め支持部材を配置するのである。ま
た、断面形状が長手形状である等、断面形状が非円形で
ある位置決め支持部材とすることも可能である。
【0038】上記実施形態では、中子202を位置決め
する位置決め支持部材としての位置決めピン300,3
02は、金型276に対して移動可能に配設されてい
る。これに代えて、一対の金型276,278の接近,
離間を利用して、中子202に対する位置決めピンによ
る位置決めとその解放とを行うようにしてもよい。つま
り、位置決めピンを金型に固定してもよいのである。例
えば、一対の金型276,278のキャビティ面28
0,282に、キャビティ270内に向かって突出する
位置決めピンをそれぞれ固定的に設ける。一方、中子2
02には、これら位置決めピンと嵌合可能な凹部をそれ
ぞれ形成する。固定側の金型276の位置決めピンに中
子202の凹部を嵌合させることによって金型276内
に中子202を支持させた後、可動側の金型278を金
型276に接近させて型締めする際に、中子202に形
成された他方の凹部に金型278に設けられた位置決め
ピンが嵌合されることにより、中子202がキャビティ
270内で位置決め支持される。この場合、金型278
を移動させる移動装置が、位置決めピンを中子202に
対して相対移動させる移動装置を兼ねていると考えるこ
ともできる。なお、中子202の凹部は、中子202の
基材210の成形時に一緒に成形してもよいし、基材2
10および被膜212の形成後に、機械加工等(例え
ば、切削加工や塑性変形)によって形成してもよい。
【0039】あるいは、中子202に凹部を形成せず、
金型276,278に固定的に設けられた複数の位置決
めピンが中子202の外周面を支持することにより、中
子202をキャビティ270内に位置決め支持すること
も可能である。例えば、1つの中子202について互い
に隔たった複数箇所(例えば中子202の中心線方向お
よび周方向に互いに隔たった3箇所以上)を支持し得る
位置決めピンをそれぞれ固定側の金型276に固定的に
設ける。この形態において、中子202をキャビティ2
70内に位置決め支持する場合には、まず、2つの中子
202がそれら位置決めピンによって金型276内に位
置決め支持される。そして、可動側の金型278が接近
させられ、金型278に設けられた位置決めピン(各中
子202について1つずつでもよいし複数個設けてもよ
い)が中子202に接触させられて中子202を金型2
76側の位置決めピンに押さえ付けることにより、中子
202がキャビティ270内に移動不能に位置決め支持
されるのである。後述のように、2つの中子が連結部に
よって連結された連結中子を本形態の位置決めピンによ
って位置決め支持する場合には、位置決めピンの配設個
数を上述の場合よりは少なくすることも可能である。
【0040】さらに、前記実施形態のように、金属シー
トにより中子202を被覆することに代えて、クロムめ
っき等のめっきを施すことも可能であるし、あるいは、
中子202の表面を、水ガラスにセラミックスを適量混
合したコーティング層を形成し、そのコーティング層が
乾燥した後、その上にさらに水ガラスを主成分とする別
のコーティング層を形成することも可能である。なお、
めっきの厚さは、アルミニウム合金の溶湯に浸食される
ことを防止するために、20μm以上とすることが望ま
しく、30μm以上とすることがさらに望ましい。
【0041】本発明の別の実施形態である斜板式圧縮機
用ピストンの製造方法について図9ないし図12に基づ
いて説明する。ただし、斜板式圧縮機全体の構成,ピス
トン14およびピストン素材160の構成は同じである
ため、同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分のみ
について説明する。ピストンの製造方法における工程で
も、同じ工程については同じステップ番号を付して説明
を省略する。
【0042】本製造方法における各工程を図9にフロー
チャートで示す。中子鋳造工程S10で製造される中子
は、図10に示す連結中子400であり、ピストン素材
160の中空の頭部72の内部空間をそれぞれ形成する
中子401同士が、係合部70の基部118を貫通する
連結手段としての連結部402により一体的に連結され
たものである。中子401の形状は、中子202の形状
と同じものを採用可能であるため、ここでは説明を省略
する。中子401は、中子202と同様、亜鉛を主成分
とする亜鉛系材料である亜鉛合金の基材210と、その
基材210の表面を被覆するアルミニウム合金製の被膜
212とを備えるものである。被膜212の厚みは、5
0μm〜100μmとされている。ただし、被膜212
は、前述のように、クロムめっきや、水ガラス等を含む
コーティング層とすることも可能である。基材210の
材料である亜鉛合金は、ピストン素材160の材料であ
るアルミニウム合金よりも融点の低い低融点材料であ
る。
【0043】連結部402は、図10,11に示すよう
に、係合部70の基部118を貫通して軸方向に延びる
長手形状の板状部材406により中子401同士を連結
するものであり、板状部材406にはそれを厚さ方向に
貫通する複数の貫通穴が形成されている。ピストン素材
160の材料との固着力を増すためである。図示の例で
は、単純化のために、連結部402の横断面形状が単純
な矩形とされているが、鋳造、プレス加工等によりリブ
やビードが形成され、曲げ剛性やねじり剛性が高められ
たものとされることが望ましい。板状部材406の材質
は、ピストン素材160の材料と同等以上の強度を有す
るものとされることが望ましく、ピストン素材160よ
り強度の大きい材料から成る場合には、図11に示すよ
うに、係合部70の基部118の厚さ方向における中央
部よりアーム部120,122が延び出す側(すなわち
係合部70の内側面に近い側)に配置されることが、基
部118の強度確保の上から望ましい。板状部材406
の材料としては、例えば、金属基複合材料,セラミック
ス基複合材料等が好適であるが、ピストン素材160の
材料であるアルミニウム合金との固着強度を確保する上
で、金属基複合材料、特にアルミニウムまたはその合金
をマトリックスとするものが好適である。強化繊維とし
ては、タングステン,ステンレス鋼等の金属繊維、アル
ミナ,セラミックファイバ等の短繊維、Al23,Si
C等のウィスカーが採用可能である。
【0044】中子401をキャビティ270内に位置決
め支持する位置決め支持部材は、前述のキャビティ27
0内に突出させられた種々の位置決めピン等の位置決め
支持部材とすることも可能であるが、本実施形態におい
ては、図10,11に示すように、連結中子400に一
体的に設けられている。連結部402の板状部材406
からその板状部材406の幅方向に突出する位置決め支
持部410が設けられるとともに、一対の中子401か
らそれぞれ半径方向外向きに突出して1つずつの位置決
め支持部412,414が設けられている。位置決め支
持部410は板状部材406と、また、位置決め支持部
412,414は中子401と、それぞれ同じ材料で形
成されている。
【0045】ダイカスト工程S12においては、金型2
76,278が開かれた状態で、固定側の金型276の
キャビティ面280の内側に連結中子400が配置され
る。その際、位置決め支持部410,412,414が
金型276のそれぞれ対応する位置に形成された凹部に
係合させられることにより、連結中子400がキャビテ
ィ面280に対して位置決め支持される。他方の金型2
78にも、同様に位置決め支持部410,412,41
4に対応する位置にそれらを収容する凹部が形成されて
いる。金型276,278が閉じられて連結中子400
がキャビティ270内に位置決め支持された状態で、注
湯装置によってアルミニウム合金の溶湯が湯道288に
注入され、狭いゲート290,292,294を通って
キャビティ270内に一気に噴出させられる。ただし、
本実施形態においては、頭部72の軸方向に関してアー
ム部122と一致するゲート292と、頭部72の軸方
向に関してアーム部120と一致するゲート294と
は、噴出させられた溶湯が連結部402の表面に直接ぶ
つからないように各開口の位置および方向が設定されて
いる。中子401,連結部402およびキャビティ面2
80,282によって形成されるキャビティ270内に
溶湯が充満させられるとともに、図11に示すように、
板状部材406の貫通穴にも溶湯が充満させられる。
【0046】ダイカスト工程S12の後に、前述のよう
に熱処理工程S14および低融点材流出工程S16が並
行して行われるのであるが、この時、位置決め支持部4
12,414も中子401の基材210と共に溶融し、
ピストン素材160から流出させられる。そして、図1
2に示すように、位置決め支持部412,414の痕と
して頭部72の周壁に貫通穴422,424が形成され
る。なお、貫通穴422,424が大きい場合には、貫
通穴422,424を溶融した材料の流出口として機能
させるのみならず、空気の流入口としても機能させるこ
とができるが、空気の流入が不可能な場合には、貫通穴
422,424から隔たった位置(例えば、直径方向に
隔たった位置)に、小さい空気流入口を機械加工等で形
成すればよい。また、材料が溶融した段階で、貫通穴4
22,424から、ピストン素材160の材料と同等以
上の融点を有する材料製の細いパイプを挿入し、そのパ
イプから空気を供給することも可能である。
【0047】次に、外周面加工工程S18が行われるの
であるが、その前に、前記貫通穴422,424が埋め
られる。これが穴埋め工程S17である。例えば、貫通
穴422,424に熱可塑性樹脂を充填したり、半田付
け,ろう付け等により金属製の閉塞部材を固定したりさ
れるのである。図12には、その一例として熱可塑性樹
脂が充填された状態が示されている。
【0048】穴埋め工程S17の後、前述のように外周
面加工工程S18,コーティング工程S20,研削工程
S22、凹球面部形成工程S24,分離工程S26が実
施され、2個のピストン14が完成する。なお、分離工
程S26において、板状部材406から幅方向に突出し
て設けられた位置決め支持部410は、結合部168と
共に除去される。本実施形態においては、連結部402
の板状部材406が熱処理工程S14後も係合部70内
にそのまま残り、係合部70の基部118の一部として
機能する。連結部402をピストン14の材料と同等以
上の強度を有する材料で形成することにより、係合部7
0の要求強度を確保しつつ、中子401同士を連結する
ことができる。
【0049】なお、前記図1〜図8に示す実施形態にお
いても、外周面加工工程S18等の機械加工の前に、上
記穴埋め工程S17を実施し、ピストン素材160に形
成された貫通穴320,322を埋めることも可能であ
る。
【0050】中子401同士を連結する連結手段は上記
実施形態のものに限定されるわけではない。例えば、図
13に示すように、ピストン素材160の材料であるア
ルミニウム合金と同等以上の強度を有する複数本の線材
510で形成することもできるのである。線材として
は、長繊維で強化された複合材料製のものが好適であ
る。
【0051】中子401同士を連結する連結手段を、中
子401の基材210と同じ材料で構成することも可能
である。その一例を図14ないし図16に示す。連結部
520は、図14に示すように、係合部70の基部11
8を貫通して軸方向に延びる長手形状をなし、図15に
示すように、基部118の中央部に位置するようにされ
ている。連結部520の長手方向の中央部から、連結部
520の幅方向に平行に位置決め支持部522が突出さ
せられ、連結部520の各頭部72に近い部分から、連
結部520の幅方向に平行にかつ位置決め支持部522
とは逆向きに、それぞれ位置決め支持部524が突出さ
せられている。これら位置決め支持部522,524も
中子401の基材210と同じ材料で形成されている。
以上中子401,連結部520,位置決め支持部52
2,524等がダイカストにより一体に形成された連結
中子530も、アルミニウムシートで被覆することが可
能であるが、形状がやや複雑であるので、クロムめっ
き、あるいは水ガラスを主成分とするコーティング層等
による被覆の方が適している。
【0052】ダイカスト工程においては、金型276,
278が開かれた状態で、固定側の金型276のキャビ
ティ面280の内側に連結中子530が配置される。そ
の際、位置決め支持部522,524が金型276のそ
れぞれ対応する位置に形成された凹部に係合させられる
ことにより、連結中子530がキャビティ面280に対
して位置決め支持される。他方の金型278にも、同様
に位置決め支持部522,524に対応する位置にそれ
らを収容する凹部が形成されている。金型276,27
8が閉じられて連結中子530がキャビティ270内に
位置決め支持された状態で、注湯が行われること等は前
記実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0053】ダイカスト工程の後に、熱処理工程および
低融点材流出工程が並行して行われることも前記実施形
態と同様であるが、本実施形態においては、低融点材流
出工程において、ピストン素材160の姿勢が、位置決
め支持部524の痕として形成される2つの貫通穴53
2(図16参照)が最も低い位置に開口し、位置決め支
持部522の痕として形成される貫通穴534(図16
参照)ができる限り高い位置に開口するように設定さ
れ、それによって、貫通穴534が空気の流入口、貫通
穴532が溶融物の流出口として機能する。以上説明し
た点以外は、前記実施形態と同様である。
【0054】本実施形態によれば、頭部72に中子40
1を支持するための位置決め支持部材の痕として形成さ
れる貫通穴や、溶融物の流出口としての貫通穴が形成さ
れないため、頭部72自体は完全に閉じたものとなる。
また、図16に示すように、位置決め支持部524の痕
として形成される2つの貫通穴532は機械加工されな
い部分に形成され、位置決め支持部522の痕として形
成される貫通穴534は分離工程まで機械加工されない
部分に形成されるため、治具としてのプラグ等で一時的
に閉塞しておくことが容易であり、機械加工時等に切り
屑等の異物が内部に侵入することを容易に防止すること
ができる。なお、位置決め支持部522の痕として形成
される貫通穴534は、最終的には分離工程において結
合部168と共に切除され、代わりに連結部520の痕
としての開口が残る。この開口と、位置決め支持部52
4の痕として形成される貫通穴532とは、そのままに
されてもよいが、使用時に潤滑油や液化した冷媒等が内
部に侵入して溜まることを回避するために、熱硬化性樹
脂等適宜の材料で閉塞されることが望ましい。
【0055】なお、上記各実施形態においては、中子あ
るいは連結中子を位置決め支持する位置決め支持部の痕
に貫通穴が形成されるようになっていたが、これは不可
欠ではない。例えば、位置決め支持部をアルミニウム合
金製とし、ダイカスト時にピストン素材と一体化される
ようにすることも可能であり、この場合には貫通穴は形
成されないのである。
【0056】以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細
に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識
に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である斜板式圧縮機用ピス
トンの製造方法により製造されたピストンを備える斜板
式圧縮機を示す正面断面図である。
【図2】上記ピストンを示す正面断面図である。
【図3】上記ピストンを製造するためのピストン素材を
示す正面図(一部断面)である。
【図4】前記斜板式圧縮機用ピストンの製造方法の各工
程を示すフローチャートである。
【図5】上記斜板式圧縮機用ピストンの製造方法の中子
準備工程を説明するための図である。
【図6】上記中子準備工程で使用される金型とは別の形
態の金型を示す正面断面図である。
【図7】前記斜板式圧縮機用ピストンのダイカスト工程
で使用される一対の金型を中子とともに示す正面断面図
である。
【図8】上記一対の金型が開かれた状態を示す平面図で
ある。
【図9】本発明の別の実施形態である斜板式圧縮機用ピ
ストンの製造方法の各工程を示すフローチャートであ
る。
【図10】上記斜板式圧縮機用ピストンの製造方法のダ
イカスト工程で使用される金型を中子とともに示す正面
断面図である。
【図11】図10のP−P断面図である。
【図12】上記斜板式圧縮機用ピストンの製造方法の穴
埋め工程の一形態を示す側面断面図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態である斜板式圧
縮機用ピストンの製造方法における中子の連結手段を示
す側面断面図である。
【図14】本発明のさらに別の実施形態である斜板式圧
縮機用ピストンの製造方法におけるダイカスト工程で使
用される金型を中子とともに示す正面断面図である。
【図15】図14のQ−Q断面図である。
【図16】前記ダイカスト工程,熱処理工程および低融
点材流出工程を経たピストン素材を示す側面断面図であ
る。
【符号の説明】
14:片頭ピストン 70:係合部 72:頭部
110:円筒部 112:頂板部 114:閉塞
部 118:基部 120,122:アーム部
160:ピストン素材 202:中子 220,2
22:金型 254,256:金型 270:キャ
ビティ 288:湯道 290,292,294:
ゲート 300,302:位置決めピン 320,
322:貫通穴 400:連結中子 401:中子
402:連結部 410,412,414:位置
決め支持部 422,424:貫通穴 510:線
材 520:連結部 522,524:位置決め支持部
530:連結中子 532,534:貫通穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 17/00 B22D 17/00 B 17/22 17/22 F H F04B 27/08 F04B 39/00 107E 39/00 107 27/08 K Fターム(参考) 3H003 AA03 AB06 AC03 AD01 CB00 3H076 AA06 BB50 CC31 4E092 AA09 EA10 FA10 GA10 4E093 QB10 QC10 TA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金よりも融点の低い低融
    点材料から成り、表面が被膜により被覆された低融点材
    製中子を準備する中子準備工程と、 前記低融点材製中子をキャビティ内に設置して金型を閉
    じ、キャビティ内にポアフリー法でアルミニウム合金の
    溶湯を注湯して硬化させ、ピストン素材を得るダイカス
    ト工程と、 前記金型から前記ピストン素材を取り出し、低融点材料
    を溶融させて流出させる低融点材流出工程とを含むこと
    を特徴とする斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記中子準備工程が、金属シートを金型
    キャビティ内面に沿わせて配置し、その金属シートの内
    側に前記低融点材を注湯して、前記被膜としての金属シ
    ートに包まれた低融点材製中子を金型鋳造する中子鋳造
    工程を含む請求項1に記載の斜板式圧縮機用ピストンの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ピストンが、中空頭部と、斜板と係
    合する係合部とを備え、中空頭部が、概して中空円筒状
    をなす円筒部と、その円筒部の一方の開口を閉じる円板
    状の頂板部と、他方の開口を閉じるとともに、斜板との
    係合部と一体に形成された閉塞部とを含み、前記係合部
    が前記中空頭部の軸線にほぼ平行な基部とその基部の両
    端部から前記軸線とほぼ直交しかつ互いに平行に延びる
    一対のアーム部とを含んで前記斜板の外周部を収容する
    係合凹部を画定するものであり、 前記ダイカスト工程を、(a)前記中空頭部の軸方向に関
    して前記頂板部と一致し、その頂板部とほぼ平行な方向
    に溶湯を噴出する第1ゲートと、(b)前記中空頭部の軸
    方向に関して前記一対のアーム部の少なくとも一方と一
    致し、前記頂板部とほぼ平行な方向に溶湯を噴出する少
    なくとも1つの第2ゲートとから前記アルミニウム合金
    の溶湯を噴出させることにより行う請求項1または2に
    記載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ダイカスト工程において前記キャビ
    ティ内にアルミニウム合金の溶湯を注湯するゲートの開
    口面積を10mm2以下とする請求項1ないし3のいず
    れかに記載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記低融点材流出工程を、前記ダイカス
    ト工程において鋳造したピストン素材に熱処理を施す熱
    処理工程と並行して行う 請求項1ないし4のいずれか
    に記載の斜板式圧縮機用ピストンの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ダイカスト工程において製造するピ
    ストン素材を、それぞれ中空頭部と、斜板と係合する係
    合部とを1つずつ備え、中空頭部が、概して中空円筒状
    をなす円筒部と、その円筒部の一方の開口を閉じる円板
    状の頂板部と、他方の開口を閉じるとともに、斜板との
    係合部と一体に形成された閉塞部とを含み、前記係合部
    が前記中空頭部の軸線にほぼ平行な基部とその基部の両
    端部から前記軸線とほぼ直交しかつ互いに平行に延びる
    一対のアーム部とを含んで前記斜板の外周部を収容する
    係合凹部を画定するものを2つ、各々の係合部側におい
    て直列に結合した2連ピストン素材とし、かつ、2つの
    中空頭部を成形するための前記低融点材製中子同士を、
    前記係合部の基部を貫通する連結手段により一体的に連
    結した状態で前記キャビティ内に設置する請求項1ない
    し5のいずれかに記載の斜板式圧縮機用ピストンの製造
    方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101117179B1 (ko) * 2008-01-14 2012-03-07 주식회사 그린공조 사판식 압축기의 피스톤 제조방법
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