JP2002192294A - 球冠状シューの製造方法 - Google Patents

球冠状シューの製造方法

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JP2002192294A JP2000388420A JP2000388420A JP2002192294A JP 2002192294 A JP2002192294 A JP 2002192294A JP 2000388420 A JP2000388420 A JP 2000388420A JP 2000388420 A JP2000388420 A JP 2000388420A JP 2002192294 A JP2002192294 A JP 2002192294A
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Manabu Sugiura
学 杉浦
Tomohiro Murakami
智洋 村上
Yoshio Fujita
義夫 冨士田
Hidetoshi Hirai
秀敏 平井
Toshihiko Hirano
俊彦 平野
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Toyota Industries Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高品質かつ高精度の球冠状シューを得る。 【解決手段】シリコンを10重量%以上含有するアルジ
ル合金から成る球冠状シュー76を製造するにあたり、
鋳造工程でシュー76の形状に近い形状のシュー素材1
60を一方向凝固鋳造法により鋳造する。鋳造工程後、
成形工程でシュー素材160をプレス加工により成形品
162に成形する。シュー素材160は、成形品162
よりも直径が小さく、高さが高い。プレス加工に使用す
る鍛造金型250は、第一型254と第二型256とを
備える。第一型254の型面266は、成形品162の
球面部270側を成形し、第二型256の型面268
は、成形品162の平面部272側を成形する。第一型
254が第二型256に接近して型締めされれば、シュ
ー素材160が塑性変形してその高さが減少し、その結
果生じた余剰材料分だけシュー素材160の直径が大き
くなる。シュー素材160の高さから成形品162の高
さへの高さ減少率は、20%以下が望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、斜板式圧縮機の斜
板とピストンとの間に配設される球冠状シューの製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】斜板式圧縮機は斜板の回転をピストンの
往復運動に変換して、気体の圧縮を行うものであり、そ
のために斜板とピストンとの間にシューが配設される。
このシューは、ピストンと係合する側がほぼ球面とさ
れ、斜板と係合する側がほぼ平面とされるため、一般に
半球シューと称されているが、必ずしも厳密に球面や平
面とされるわけではなく、摺動性能の向上等を目的とし
て球面や平面から僅かに外れた形状とされることが多
い。また、固定容量型圧縮機用のものは半球より大きく
され、可変容量型圧縮機用のものは半球より小さくされ
るのが普通である。後者においては、斜板の両側に配設
される一対のシューの両球面部がほぼ一球面上に位置す
ることが必要であるため、半球より斜板の厚さのほぼ半
分だけ小さくされるのである。また、固定容量型圧縮機
においては、そのような制限がないため、シューの平面
部が摩耗した場合でも、摺動面の面積が減少しないよう
にする等の理由で、半球よりやや大きくされることが多
いのである。したがって、これらは厳密には半球シュー
とは言えないのであり、本明細書においては両タイプの
シューを総称して球冠状シューと称することとする。
【0003】また、シューを質量低減等の目的でアルミ
ニウムを主体とする材料(アルミニウムまたはアルミニ
ウム合金)から成るものとすることが、実開昭57−4
2180号公報等により提案されている。なお、シュー
形成材料としては、シリコン含有率の高いアルミニウム
合金とすることが、シューの質量軽減と強度増強との両
方の点で望ましい。従来においては、球冠状シューの製
造方法として、棒状素材を必要な長さに切断してシュー
素材を製造した後、あるいは、圧延板を打ち抜いてシュ
ー素材を製造した後、それらシュー素材を塑性変形させ
て成形品としての球冠状シューを成形していた。棒状素
材としては、例えば、アルミニウム合金の溶湯を連続鋳
造して得られるビレットを押し出して丸棒としたものが
使用される。その丸棒を剪断機等の切断装置により所望
の長さに切断して複数個のシュー素材を得、これらシュ
ー素材を塑性変形させて球冠状シューを得るのである。
特開平1−162534号公報にはさらに別の方法が記
載されている。アルミニウム合金の溶湯を連続鋳造して
得た棒状素材を所望の長さに切断し、それら切断素材を
球状に成形してシュー素材を得、その球状のシュー素材
をさらに塑性変形させて成形品としてのシューを得ると
いうものである。あるいはまた、特開平11−1027
6号公報に記載のシュー製造方法もある。鋳造により製
造された素材を圧延して圧延板を得、その圧延板を打ち
抜いてシュー素材とし、そのシュー素材を塑性変形させ
て成形品に成形するのである。
【0004】しかしながら、シリコン含有率の高いアル
ミニウム合金は、材料の展延性が小さく、塑性変形量が
大きいと割れる可能性が高い。このような材料でシュー
を成形する場合に、上述のような棒状素材や圧延板を製
造すること自体が困難であり、その上、成形品成形時の
塑性変形量が大きくなってシュー素材が割れてしまう問
題が生じる。また、棒状素材の切断面や、圧延板の打抜
面(打抜き方向に平行な側面であり、シュー球面部の平
面部に連なる円筒部とされることが多い)の寸法精度が
十分に得られない問題もある。寸法精度の高いシュー素
材が得られなければ、成形品としての球冠状シューの寸
法精度に与える影響も大きい。さらに、棒状素材の切断
や球状のシュー素材の表面加工等の工程が必要となり、
また、製造工程において切り屑が発生する等の材料の無
駄が生じるなどして、製造コストが上昇する問題もあ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】本発明は、以上の事情を背景とし、高精度,高品質
の球冠状シューを効率良く製造することを課題としてな
されたものであり、本発明によって、下記各態様の球冠
状シューの製造方法が得られる。各態様は請求項と同様
に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の
項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまで
も本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記
載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に
記載のものに限定されると解釈されるべきではない。ま
た、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それ
ら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけ
ではない。一部の事項のみを選択して採用することも可
能なのである。
【0006】(1)アルミニウムを主体とする材料によ
り、ほぼ平面と凸曲面とを備えて、製品たる球冠状シュ
ーに近い形状のシュー素材を鋳造する鋳造工程と、その
鋳造工程において鋳造されたシュー素材を、プレス加工
によりほぼ平面とほぼ凸球面とを有してほぼ球冠状をな
す成形品に成形する成形工程とを含む球冠状シューの製
造方法(請求項1)。鋳造工程において製品たる球冠状
シューに近い形状のシュー素材を鋳造すれば、後の成形
工程におけるシュー素材の塑性変形量が小さくて済み、
素材の割れ等の発生を回避することが容易となる。した
がって、シリコン含有率の高いアルミニウム等、塑性変
形量を少なくしたい材料からなる球冠状シューを製造す
る場合に特に好適である。 (2)前記鋳造工程がダイカスト工程である(1) 項に記
載の球冠状シューの製造方法(請求項2)。ダイカスト
は、シュー素材を製品に近い形状に精度良く製造するこ
とが容易であり、また、材料の歩留まりが高い。 (3)前記鋳造工程を、前記シュー素材の前記凸曲面を
成形する凹部を有する第一型と、前記平面を成形する面
を有する第二型とを備えた金型装置により実施し、第一
型と第二型との合わせ面の少なくとも一方に形成した湯
道およびゲートから前記凹部へ溶湯を注入する(2) 項に
記載の球冠状シューの製造方法。 (4)前記鋳造工程が、シュー素材の前記平面の側から
前記凸曲面の側へ凝固を進行させる一方向凝固鋳造工程
である(1) 項に記載の球冠状シューの製造方法(請求項
3)。一方向凝固鋳造とは、一般に、上部に開口を有す
る鋳型内に金属の溶湯を充填した後、その鋳型の下部を
冷却手段により冷却し、鋳型内の溶湯を一方向(上方)
に凝固させる方法を言う。ただし、シュー素材のよう
に、小形のものを鋳造する場合には、溶湯は必ずしも上
部開口から注入される必要はない。この一方向凝固鋳造
によれば、シュー素材内部に巣やミクロシュリンケージ
等の欠陥や、酸化物等の巻き込みが発生し難いため、高
品質かつ高強度で耐久性に優れたシューを製造すること
ができる。また、シュー素材を製品に近い形状に製造す
ることが容易であり、寸法精度の高いものを製造でき
る。さらに、使用された溶湯の大半がシュー素材となる
ため、材料の歩留まりが高い。 (5)前記一方向凝固鋳造工程を、前記シュー素材の前
記凸曲面を成形する凹部とその凹部の最も深い部分に開
口したゲートとを有する第一型と、内部に冷却手段を備
えるとともにシュー素材の前記平面を成形する面を有す
る第二型とを使用して実施する(4) 項に記載の球冠状シ
ューの製造方法。 (6)前記鋳造工程と前記成形工程との間に、無用な部
分を除去する無用部除去工程を含む(1) 項ないし(5) 項
のいずれかに記載の球冠状シューの製造方法。鋳造によ
り製造されたシュー素材の一部にゲートの痕跡がある程
度残ることは避けられない。また、鋳造では、金属の溶
湯が凝固する時に僅かに収縮するため、最後に凝固する
部分の材料内部に気泡が発生し易い。この気泡が発生し
た素材から成形された球冠状シューは強度が低下して耐
久性不足の一因となり易いため、最後に凝固する部分の
近傍に製品としては無用な凸部が形成されることがあ
る。これらゲート痕,無用な凸部等、無用な部分を除去
した後に、成形工程を実施すれば製品の表面に無用なく
ぼみが残ったり、内部に気泡が残ったりすることを良好
に回避することができる。 (7)前記鋳造工程が、前記凸曲面が凸球面に近い形状
を有し、前記成形品より高くかつ細いシュー素材を鋳造
する工程である(1) 項ないし(6) 項のいずれかに記載の
球冠状シューの製造方法(請求項4)。シュー素材の平
面側の直径を成形品としての球冠状シューの平面側の直
径より大きくすることも可能である。しかし、この場合
には、金型の合わせ面(パーティング面)の間にばりが
生じ易い。それに対し、シュー素材の太さを成形品の太
さよりやや細くしておき、代わりに高さをやや過大とし
ておくことにより、成形時に高さを減少させ、その結果
生じた余剰材料をシュー素材の太さを増大させるために
利用すれば、ばりの発生を良好に回避しつつ、正確に所
望の形状,寸法を有するシュー素材を得ることができ
る。 (8)前記成形工程における前記シュー素材の高さから
前記成形品の高さへの高さ減少率が20%以下である
(7) 項に記載の球冠状シューの製造方法。高さ減少率は
12%以下であることが望ましく、8%以下であること
がさらに望ましい。 (9)前記鋳造工程が、縦断面形状が概して等脚台形の
両肩部を丸めた形状を有し、前記成形品より低くかつ細
いシュー素材を鋳造する工程である(1) 項ないし(6) 項
のいずれかに記載の球冠状シューの製造方法(請求項
5)。本態様においては、成形時に、等脚台形の両肩部
に相当する部分の直径が減少させられ、その結果生じた
余剰材料が肩部の両側へ流れ、シュー素材の中央部を軸
方向に膨出させるとともに、等脚台形の脚部を外周側へ
膨出させるため、ばりの発生を良好に回避しつつ、正確
に所望の形状,寸法を有するシュー素材を得ることがで
きる。 (10)前記成形工程における前記シュー素材の高さか
ら前記成形品の高さへの高さ増加率が20%以下である
(9) 項に記載の球冠状シューの製造方法。高さ増加率は
12%以下であることが望ましく、8%以下であること
がさらに望ましい。 (11)前記成形品の表面あらさを改善する表面あらさ
改善工程を含む(1) 項ないし(10)項のいずれかに記載の
球冠状シューの製造方法。表面あらさ改善工程として
は、バレル加工工程が好適である。 (12)前記成形品の平面側の部分を機械加工する機械
加工工程を含む(1) 項ないし(11)項のいずれかに記載の
球冠状シューの製造方法。機械加工工程を実施すれば、
製品としての球冠状シューの寸法精度を向上させること
ができ、かつ、その機械加工を平面側に施すことは球面
側に施すより容易であるため、安価に目的を達し得る。 (13)前記成形工程後の中間製品の表面の少なくとも
一部を覆う被覆工程を含む(1) 項ないし(12)項のいずれ
かに記載の球冠状シューの製造方法。表面あらさ改善工
程や機械加工工程が実施される場合にはそれら工程後の
中間製品に被覆工程が実施され、それら工程が行われな
い場合には中間製品たる成形品に被覆工程が実施され
る。被覆工程の実施により、球冠状シューの摺動性や耐
摩耗性を向上させることができる。 (14)前記アルミニウムを主体とする材料として、シ
リコンを10重量%以上含有するアルジル合金を使用す
る(1) 項ないし(13)項のいずれかに記載の球冠状シュー
の製造方法。球冠状シューの材料として、シリコンを1
0重量%以上含有するアルジル合金を使用すれば、シュ
ーの質量軽減と、シューの強度増強とを共に達成するこ
とができ、耐久性に優れた球冠状シューを得ることがで
きる。また、前述のように、シリコンの含有率の高いシ
ュー素材は成形が困難なのであるが、本発明に従えばそ
の問題も解消し得る。 (15)前記球冠状シューが半球より高さが低いもので
ある(1) 項ないし(14)項のいずれかに記載の球冠状シュ
ーの製造方法。この方法で製造された球冠状シューは、
可変容量型斜板式圧縮機用シューとして好適である。 (16)前記球冠状シューが半球より高さが高いもので
ある(1) 項ないし(14)項のいずれかに記載の球冠状シュ
ーの製造方法。この方法で製造された球冠状シューは、
固定容量型斜板式圧縮機用シューとして好適である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態である
車両用エアコンディショナに用いられる斜板式圧縮機用
の球冠状シューを例に取り、図面に基づいて詳細に説明
する。図1に本実施形態における斜板式圧縮機を示す。
図1において、10はシリンダブロックであり、シリン
ダブロック10の中心軸線周りの一円周上には、軸方向
に延びる複数のシリンダボア12が形成されている。シ
リンダボア12の各々には、片頭ピストン14(以下、
ピストン14と略称する)が往復運動可能に配設されて
いる。シリンダブロック10の軸方向の一端面(図1の
左側の端面であり、前端面と称する)には、フロントハ
ウジング16が取り付けられ、他方の端面(図1の右側
の端面であり、後端面と称する)には、リヤハウジング
18がバルブプレート20を介して取り付けられてい
る。フロントハウジング16,リヤハウジング18,シ
リンダブロック10等により斜板式圧縮機のハウジング
が構成されている。リヤハウジング18とバルブプレー
ト20との間には、吸入室22,吐出室24が形成さ
れ、それぞれ、吸入ポート26,供給ポート28を経
て、図示しない冷凍回路に接続される。バルブプレート
20には、吸入孔32,吸入バルブ34,吐出孔36,
吐出バルブ38等が設けられている。
【0008】上記ハウジング内には、回転軸50が、シ
リンダブロック10の中心軸線を回転軸線として回転可
能に設けられている。回転軸50は、その両端部におい
てそれぞれフロントハウジング16,シリンダブロック
10にベアリングを介して回転可能に支持されている。
シリンダブロック10の中心部には、支持穴56が形成
されており、その支持穴56において上記ベアリングを
介して支持されているのである。回転軸50のフロント
ハウジング16側の端部は、図示しない駆動源としての
車両エンジンに、電磁クラッチ等のクラッチ装置を介し
て連結されている。したがって、車両エンジンの作動時
に、クラッチ装置によって回転軸50が車両エンジンに
接続されれば、回転軸50が自身の軸線まわりに回転さ
せられる。
【0009】回転軸50には、斜板60が軸方向に相対
移動可能かつ傾動可能に取り付けられている。斜板60
には、中心線を通る貫通穴61が形成され、この貫通穴
61を回転軸50が貫通している。貫通穴61は、両端
開口側ほど図1における上下方向に内のり寸法が漸増さ
せられ、それら両端部の横断面形状が長穴をなしてい
る。回転軸50にはまた、回転板62が固定され、スラ
ストベアリング64を介してフロントハウジング16に
受けられている。斜板60は、ヒンジ機構66により、
回転軸50と一体的に回転させられるとともに、軸方向
の移動を伴う傾動を許される。ヒンジ機構66は、回転
板62に固定的に設けられた支持アーム67と、斜板6
0に固定的に設けられ、支持アーム67のガイド穴68
にスライド可能に嵌合されたガイドピン69と、斜板6
0の貫通穴61と、回転軸50の外周面とを含むもので
ある。
【0010】前記ピストン14は、斜板60の外周部を
跨ぐ状態で係合させられる係合部70と、係合部70と
一体に設けられ、シリンダボア12に嵌合される頭部7
2とを備えている。本実施形態における頭部72は、中
空頭部とされて軽量化が図られている。頭部72,シリ
ンダボア12およびバルブプレート20が共同して圧縮
室を形成している。また、係合部70は一対の球冠状の
シュー76を介して斜板60の外周部と係合させられて
いる。シュー76については後に詳しく説明する。
【0011】斜板60の回転運動は、シュー76を介し
てピストン14の往復直線運動に変換される。ピストン
14が上死点から下死点へ移動する吸入行程において、
吸入室22内の冷媒ガスが吸入孔32,吸入バルブ34
を経てシリンダボア12内の圧縮室に吸入される。ピス
トン14が下死点から上死点へ移動する圧縮行程におい
て、シリンダボア12内の圧縮室の冷媒ガスが圧縮さ
れ、吐出穴36,吐出バルブ38を経て吐出室24に吐
出される。冷媒ガスの圧縮に伴ってピストン14には、
軸方向の圧縮反力が作用する。圧縮反力は、ピストン1
4,斜板60,回転板62およびスラストベアリング6
4を介してフロントハウジング16に受けられる。
【0012】シリンダブロック10を貫通して給気通路
80が設けられている。この給気通路80により、吐出
室24と、フロントハウジング16とシリンダブロック
10との間に形成された斜板室86とが接続されてい
る。給気通路80の途中には、電磁制御弁90が設けら
れている。この電磁制御弁90のソレノイド92への電
流供給が、コンピュータを主体とする制御装置(図示省
略)により、冷房負荷等の情報に応じて制御される。
【0013】回転軸50の内部には、排出通路100が
設けられている。排出通路100は、一端において前記
支持穴56に開口させられるとともに、他端において斜
板室86に開口させられている。支持穴56は排出ポー
ト104を経て吸入室22に連通させられている。
【0014】本斜板式圧縮機は可変容量型であり、高圧
側である吐出室24と低圧側である吸入室22との圧力
差を利用して斜板室86内の圧力が制御されることによ
り、ピストン14の前後に作用するシリンダボア12内
の圧縮室の圧力と斜板室86の圧力との差が調節され、
斜板60の傾斜角度が変更されてピストン14のストロ
ークが変更され、圧縮機の吐出容量が調節される。具体
的には、電磁制御弁90の励磁,消磁の制御により、斜
板室86が吐出室24に連通させられたり、遮断された
りすることによって、斜板室86の圧力が制御される。
【0015】シリンダブロック10およびピストン14
は、金属の一種であるアルミニウム合金製のものとさ
れ、ピストン14の外周面には、フッ素樹脂のコーティ
ングが施されている。フッ素樹脂でコーティングすれ
ば、同種金属との直接接触を回避して焼付きを防止しつ
つシリンダボア12との嵌合隙間を可及的に小さくする
ことができる。ただし、シリンダブロック10やピスト
ン14の材料、コーティング層の材料等は、上述の材料
に限らず、他の材料であってもよい。
【0016】ピストン14の係合部70は、概してU字
形をなし、頭部72の中心軸線と直交する方向に互いに
平行に延びる一対のアーム部120,122と、これら
アーム部120,122の基端同士を連結する連結部1
24とを備えている。アーム部120,122の互いに
対向する側面には、それぞれ凹球面128が形成されて
いる。これら2つの凹球面128は同一球面上に位置し
ている。
【0017】前記一対のシュー76は、図2に示すよう
に、外表面の一方が概して凸球面をなす球面部132
と、他方が概して平面をなす平面部138とを有する球
冠状である。平面部138は、厳密には僅かに中高の曲
面(例えば、曲率半径がきわめて大きい凸球面)とされ
るとともに、外周部がテーパ値のきわめて大きいテーパ
面とされている。また、球面部132の平面部138に
近い側の部分が円筒面とされている。これら、中高の曲
面,テーパ面,円筒面および凸球面等の境界には比較的
曲率半径の小さい丸みが付けられている。一対のシュー
76は、球面部132においてピストン14の凹球面1
28に摺動可能に保持され、平面部138において斜板
60の外周部の両側面である両摺動面140,142に
接触し、斜板60の外周部を両側から挟持する。一対の
シュー76はその状態で球面部132の凸球面が同一球
面上に位置するように設計されている。つまり、本実施
形態におけるシュー76は、斜板60の厚さのほぼ半分
だけ小さい球冠状をなしているのである。シュー76
は、アルミニウムを主成分とし、シリコンを10重量%
以上含有するアルジル合金から成る。シュー76の表面
にはコーティング層が形成されており、それによってシ
ューの耐久性向上あるいはピストン14または斜板60
との摺動性向上が図られている。
【0018】上記構成のシュー76は次の工程を含む製
造方法で製造される。まず、鋳造工程において製品とし
てのシュー76に近い形状のシュー素材160が鋳造さ
れ、成形工程においてシュー素材160がプレス加工
(冷間鍛造)によりほぼ球冠状をなす成形品162に成
形されるのである。以下、これら鋳造工程および成形工
程についてそれぞれ説明する。
【0019】鋳造工程では、一方向凝固鋳造法によりシ
ュー素材160が鋳造される。一方向凝固鋳造法は、一
般に、溶湯が充填された金型の下部を冷却手段により冷
却することで、金属の溶湯の凝固を下部から上部へ一方
向に進行させる方法である。本一方向凝固鋳造工程に使
用される金型装置の主要部である鋳造金型180を図3
および図4に概略的に示す。本鋳造金型180は、図3
に示すように、互いに接近,離間させられることにより
開閉される固定型182,第一可動型184および第二
可動型186を備えている。固定型182は、図示しな
い保持板に保持され、固定盤(図示省略)に着脱可能に
取り付けられている。第二可動型186も図示しない保
持板に保持され、可動盤(図示省略)に着脱可能に取り
付けられている。上記可動盤は、駆動装置たる図示しな
い昇降装置により上記固定盤に対して接近,離間させら
れる。第一可動型184は、パーティング面(合わせ
面)190,192が固定型182,第二可動型186
の各パーティング面(合わせ面)194,196に対向
する状態で配置され、図示しないスライドに保持されて
いる。上記スライドと可動盤とは、伝達装置により連結
され、第二可動型186が固定型182に対して接近,
離間させられれば、第一可動型184も固定型182に
対して接近,離間させられる。あるいは、第一可動型1
84と第二可動型186とが、それぞれ専用の駆動装置
により固定型182に対して接近,離間させられるよう
にしてもよい。
【0020】第一可動型184,第二可動型186の各
パーティング面192,196の互いに対応する位置に
キャビティ面200,202がそれぞれ形成され、これ
らキャビティ面200,202によりシュー素材160
の外形に対応する形状のキャビティ204が画定され
る。第一可動型184のキャビティ面200に囲まれた
部分は凹部をなし、シュー素材160の外形の、主とし
て凸球面をなす球面部206側を成形する。また、第二
可動型186のキャビティ面202は、シュー素材16
0の外形の、主としてほぼ平面をなす平面部208側を
成形する。本実施形態においては、パーティング面19
6とキャビティ面202とが同一平面とされている。キ
ャビティ204は、図4に示すように、第一可動型18
4および第二可動型186のパーティング面192,1
96に平行な方向に複数個並んで設けられ、1回の溶湯
の注入で、複数個のシュー素材160が一挙に鋳造され
る。各キャビティ204の上端部(固定型182側)
は、湯道212を経て、注湯口を有するスリーブ214
の内部空間に連通させられている。湯道212は、スリ
ーブ214の内部空間に連通する1本の湯道から複数に
分岐させられて、各キャビティ204の上端部に連通さ
せられている。固定型182のパーティング面194に
は、横断面形状がほぼ半円形をなす溝が形成され、パー
ティング面190,194が互いに合わされた状態で、
上記溝がパーティング面190により覆われて湯道21
2が形成される。湯道212の各キャビティ204側の
端部にはゲート218が形成され、第一可動型184の
キャビティ面200に囲まれた凹部の最も深い部分に開
口している。スリーブ214は概して円筒状をなし、固
定型182に保持されている。スリーブ214内には、
プランジャ220の先端に設けられたプランジャ220
より大径のプランジャチップ222が摺動可能に嵌合さ
れている。プランジャ220は、プランジャ駆動装置に
よりスリーブ214内を移動させられる。プランジャ駆
動装置としては、流体圧シリンダの一種である油圧シリ
ンダとすることができる。これらスリーブ214,プラ
ンジャ220,プランジャチップ222,上記プランジ
ャ駆動装置が、上記注湯口から注がれた金属(本実施形
態の場合アルミニウムを主成分とし、シリコンを10重
量%以上含有するアルジル合金)の溶湯をキャビティ2
04に向かって射出する射出装置を構成している。
【0021】第二可動型186は、内部に冷却手段を備
える。冷却手段は、図3に示すように、パーティング面
196に平行に延びる複数個の冷却通路230を備え、
図示しない冷却水供給装置に接続されている。これら冷
却通路230内を冷却水が通ることによって第二可動型
186のキャビティ面202およびその近傍部を冷却す
る。また、第一可動型184は加熱手段を備えている。
図示の加熱手段は、第一可動型184の内部の、一方向
に並ぶ複数のキャビティ204の間に、パーティング面
190,192に平行に延びる状態で棒状の電熱ヒータ
236が配設されたものである。電熱ヒータ236は、
加熱器の一種であり、キャビティ204を画定する第一
可動型184の側壁の温度低下を防止する。ただし、電
熱ヒータ236は省略することも可能である。
【0022】一方向凝固鋳造工程においては、固定型1
82,第一可動型184および第二可動型186が型締
めされて各パーティング面190,192,194,1
96が密着させられた状態で、スリーブ214の注湯口
からアルジル合金の溶湯が注入され、プランジャチップ
222がキャビティ204に向かって前進させられ、溶
湯を湯道212およびゲート218を通ってキャビティ
204内に押し込む。。溶湯がキャビティ204に充満
した後もプランジャチップ222が駆動され続け、キャ
ビティ204内の溶湯が十分な圧力下で凝固させられ
る。キャビティ204内の溶湯は、冷却通路230内を
通る冷却水によって平面部208側から冷却される一
方、キャビティ204の側方からの冷却は、電熱ヒータ
236による加熱によって抑制されるため、平面部20
8側から球面部206側に向かって一方向に凝固させら
れる。
【0023】この一方向凝固鋳造法によれば、巣やミク
ロシュリンケージ等の鋳造時の欠陥が、溶湯の凝固とと
もに上方に押しやられながら進行し、シュー素材160
の平面部208から最も遠い側(球面部206の頂部)
が最後に凝固する部分となるため、シュー素材160内
部に上記欠陥が残ることが良好に回避される。したがっ
て、シュー素材160が高品質かつ耐久性に優れたもの
となる。なお、鋳造時にキャビティ204内に閉じ込め
られた空気を外部に排出するために、第一可動型184
に排気路を設けることが望ましい場合もある。
【0024】シュー素材160が凝固した後、第二可動
型186および第一可動型184が固定型182から離
間させられることにより鋳造金型180が開かれる。そ
れと並行して、まず、第一可動型184内部に配設され
た図示を省略する押出部材により、シュー素材160が
キャビティ面200に囲まれた凹部から押し出されるこ
とにより、ゲート218内において凝固した材料が切断
され、続いて、固定型182内に設けられた図示しない
押出部材により、湯道212内で凝固した材料が、固定
型182から押し出される。湯道212とプランジャチ
ップ222との間に形成されるビスケットは、湯道21
2内で凝固した材料とつながった状態(これらを、製品
部としてのシュー素材160との対比において方案部と
総称することとする)で固定型182から離間させられ
る。
【0025】複数のシュー素材160の各球面部206
の中央部(凸球面の頂部)には、図5に二点鎖線で示す
ように、ゲート218内で凝固した材料の一部または全
部である突起240が残る。この無用部としての突起2
40は、鋳造工程の後の無用部除去工程において図示し
ない切削工具あるいは研削工具により除去される。鋳造
では、金属の溶湯が凝固するときに僅かに収縮し、最後
に凝固する部分ではその収縮により体積が減少した部分
に溶湯が補給されないため材料内部に巣が発生するので
あるが、本実施形態における一方向凝固鋳造法において
は、最後に凝固するのは上記突起240あるいは湯道2
12内の部分であり、突起240が除去されれば、内部
に巣の発生した部分はシュー素材160から確実に除去
されることになり、品質の良いシュー素材160が得ら
れる。このことを一層確実にするために、第一可動型1
84内のみならず、固定型182内にも加熱手段を設け
ることも可能である。また、第一可動型184内の加熱
手段を省略し、固定型182内にのみ加熱手段を設ける
ことも可能である。
【0026】以上のようにして製造されるシュー素材1
60は、成形品162よりも細く(直径が小さく)、高
さが高いものとされ、成形工程において高さが減少させ
られ、直径が増大させられる。成形工程において使用さ
れる成形装置の主要部である鍛造金型250を図6およ
び図7に示す。鍛造金型250は、互いに接近,離間さ
せられることにより開閉される第一型254と第二型2
56とを備え、本実施形態の場合いずれか一方が固定型
(図示の例では第二型256が固定型)とされ、他方
(図示の例では第一型254)が可動型とされる。図示
しない駆動装置としての昇降装置の駆動により、第一型
254が第二型256に対して接近,離間させられるの
である。本実施形態においては、第一型254の接近,
離間方向は垂直方向である。
【0027】第一型254および第二型256は、互い
に対向する側の面であるパーティング面(合わせ面)2
60,262において互いに当接可能である。各パーテ
ィング面260,262の互いに対応する位置に型面2
66,268がそれぞれ形成されており、これら型面2
66,268により成形品162の外形に対応する形状
のキャビティが画定される。第一型254の型面266
により囲まれる部分は凹部をなし、成形品162の外形
の、主としてほぼ凸球面を有する球面部270側を成形
する。型面268は、成形品162の外形の、主として
ほぼ平面をなす平面部272側を成形する。第二型25
6の型面268は、浅い円形のくぼみの底面の外周部が
テーパ面274とされたものである。
【0028】成形工程では、まず、第一型254と第二
型256とが開かれた状態で、第二型256の型面26
8上に無用部除去工程を経たシュー素材160が載置さ
れる。そのとき、型面268の外周部に設けられたテー
パ面274によってシュー素材160が第二型256の
型面268の中央に位置決めされる。そして、前記昇降
装置の駆動により、第一型254が第二型256に接近
させられ、やがてシュー素材160の球面部206の最
も突出した部分と第一型254の型面266とが当接し
て、シュー素材160の球面部206側から塑性変形を
開始させる。図7に示すように、第一型254および第
二型256の各パーティング面260,262同士が合
わせられた状態では、シュー素材160の高さが減少さ
せられ、その結果生じた余剰材料分だけシュー素材16
0の直径が大きく(太く)される。シュー素材160の
高さから成形品162の高さへの高さ減少率は、20%
以下が望ましく、本実施形態では8%以下とされてい
る。
【0029】上記のようにして成形されたほぼ球冠状を
なす成形品162は、平面部272に機械加工が施され
て高さが正確な寸法に仕上げられるとともに、中央が僅
かに突出した曲面(例えば、曲率半径がきわめて大きい
凸球面)とされ、かつ、外周部にテーパ値が非常に大き
いテーパ面が形成される。また、成形品162の外表面
全体にバレル加工が施されて表面粗さが改善される。こ
れが表面粗さ改善工程である。その後、被覆工程におい
て、上記機械加工工程および表面粗さ改善工程を経た成
形品162(中間製品280と称する)の外表面にコー
ティング層が形成される。コーティング層としては、例
えば、図8に示すように、Ni−P等の硬質メッキ層2
82の上に、Ni−B,Ni−P−B−W等の硬質メッ
キ層284を形成し、さらに、その硬質メッキ層284
の上に、固体潤滑剤を含有するポリアミドイミド,エポ
キシ樹脂,ポリエーテルエーテルケトン,フェノール樹
脂等の合成樹脂層286を形成することが望ましい。図
8には、それら硬質メッキ層282,284,合成樹脂
層286の厚みが、理解を容易にするために誇大に示さ
れている。硬質メッキ層282,284は、化学メッキ
法により形成される。合成樹脂層286は、液状の塗布
材料を、タンブラー処理またはスプレー処理で中間製品
280の外表面に均一に付着させることが望ましい。タ
ンブラー処理は、複数個の中間製品280をタンブラー
内に収容し、そのタンブラーを回転させつつ、コーティ
ング材料をタンブラーの外側からスプレーしてコーティ
ング材料を均一に付着させる方法であり、スプレー処理
は、複数個の中間製品280を並べ、コーティング材料
をスプレーして均一に付着させる方法である。なお、必
要に応じて、タンブラー処理またはスプレー処理の前に
中間製品280にサンドブラスト処理と化成処理との少
なくとも一方を行ってもよい。あるいは、中間製品28
0の外側に硬質メッキ層のみ形成したり、固体潤滑剤を
含有する硬質メッキ層を中間製品280に直接または別
の硬質メッキ層を介して形成してもよいし、その他種々
の材料でコーティング層を形成することができる。上記
タンブラー処理またはスプレー処理の後、塗布されたコ
ーティング材料が硬化させられてコーティング層が形成
され、図2に示す製品としてのシュー76が完成する。
【0030】本実施形態においては、第一可動型184
が第一型を構成し、第二可動型186が第二型を構成し
ている。本実施形態によれば、シュー76を、アルミニ
ウムを主体とし、シリコンを10重量%以上含有するア
ルジル合金で形成することにより、質量軽減と強度増強
との両方を満たすシュー76が得られる。本実施形態の
ようにシリコン含有率の高いアルミニウム合金は、材料
の展延性が小さく、塑性変形量が大きいと割れるなどし
て従来成形が困難であったが、本発明に係る球冠状シュ
ーの製造方法によれば、シュー素材160の塑性変形量
が少なくて済み、シュー76を容易に製造できる。ま
た、シュー素材160を一方向凝固鋳造法により製造す
るため、材料内部に巣やミクロシュリンケージ等の欠陥
が少ない高品質でかつ寸法精度に優れたシュー76を製
造できる。さらに、材料や工程の無駄を極力抑えること
ができ、製造コストを低減できる。また、このようなシ
ュー76を複数個一挙に製造することによっても、製造
コストが低減される。
【0031】シュー76の製造方法の別の実施形態とし
て、図9に示す形状のシュー素材300を鋳造工程(一
方向凝固鋳造工程)において鋳造してもよい。本シュー
素材300は、縦断面形状が等脚台形の両肩部302を
丸めた形状を有し、成形品310(二点鎖線で図示)よ
り低くかつ細い。この形状のシュー素材300が、成形
工程において、前記実施形態の鍛造金型250と同様の
装置を使用して、プレス加工(冷間鍛造)によりほぼ球
冠状をなす成形品310に成形される。具体的には、シ
ュー素材300の上記等脚台形の両肩部302に相当す
る部分の直径が減少させられ、その結果生じた余剰材料
が肩部302の両側(図9の上下方向)へ流れ、シュー
素材300の中央部を軸方向に膨出させるとともに、等
脚台形の脚部を外周側へ膨出させることにより、球冠状
をなす成形品310に成形するのである。シュー素材3
00の高さから成形品310の高さへの高さ増加率は、
20%以下であることが望ましく、本実施形態では8%
以下とされる。なお、シュー素材の縦断面形状を等脚台
形の脚部をそれぞれ外向きに少し凸の曲線とすることも
可能であり、その場合でも縦断面形状は「概して等脚台
形」であるものとする。
【0032】シュー素材160をダイカストにより製造
してもよい。その一実施形態を図10および図11に基
づいて説明する。図10および図11には、鋳造工程と
してのダイカスト工程において使用される金型装置の主
要部である鋳造金型400が示されている。鋳造金型4
00は、図10に示すように、互いに接近,離間させら
れることにより開閉される第一型404と第二型406
とを備え、本実施形態の場合いずれか一方(例えば第二
型406)が固定型とされ、他方(例えば第一型40
4)が可動型とされる。したがって、図示しない駆動装
置としての昇降装置の駆動により、第一型404が第二
型406に対して接近,離間させられる。本実施形態に
おいては、第一型404の接近,離間方向は垂直方向で
ある。
【0033】第一型404および第二型406は、互い
に対向する側の面であるパーティング面410,412
において合わされる。各パーティング面410,412
の互いに対応する位置にキャビティ面414,416が
それぞれ形成され、これらキャビティ面414,416
によりシュー素材160の外形に対応する形状のキャビ
ティ420が画定される。キャビティ面414は、シュ
ー素材160の外形の、主として平面部208側を形成
し、キャビティ面416は、シュー素材160の外形
の、主として球面部206側を形成する。本実施形態で
は、キャビティ面414はパーティング面410と同一
平面上に位置している。キャビティ420は、図11に
示すように、第一型404および第二型406のパーテ
ィング面410,412に平行な方向に複数個で並んで
設けられ、1回の溶湯の注入で、複数個のシュー素材1
60が一挙に鋳造される。各キャビティ420の上端部
(第一型404側)は、湯道430を経て、注湯口を有
するスリーブ434の内部空間に連通させられている。
湯道430は、スリーブ434の内部空間に連通する1
本の湯道から複数に分岐させられて、各キャビティ42
0の上端部に連通させられている。第二型406のパー
ティング面412には、横断面形状が半円形をなす溝が
形成され、パーティング面410,412が互いに合わ
された状態でパーティング面410,412に平行に延
びる湯道430が形成される。湯道430の各キャビテ
ィ420側の端部には、他の部分よりも横断面積が小さ
いゲート438が形成されている。スリーブ434は概
して円筒状をなし、第二型406に保持されている。ス
リーブ434には、プランジャ440の先端に設けられ
たプランジャ440より大径のプランジャチップ442
が摺動可能に嵌合されている。プランジャ440は、プ
ランジャ駆動装置によりスリーブ434内を移動させら
れる。プランジャ駆動装置としては、流体圧シリンダの
一種である油圧シリンダが好適である。これらスリーブ
434,プランジャ440,プランジャチップ442,
上記プランジャ駆動装置が、注湯口から注がれた金属
(本実施形態の場合アルミニウムを主成分とし、シリコ
ンを10重量%以上含有するアルジル合金)の溶湯をキ
ャビティ420に射出する射出装置を構成している。
【0034】本実施形態における鋳造工程においては、
第一,第二型404,406が型締めされてパーティン
グ面410,412同士が密着させられた状態で、スリ
ーブ434の注湯口からアルジル合金の溶湯が注入さ
れ、プランジャチップ442がキャビティ420に向か
って前進させられ、溶湯が湯道430および狭いゲート
438を通ってキャビティ420内に注入される。溶湯
がキャビティ420に充満した後もプランジャチップ4
42が駆動され続け、キャビティ420内の溶湯が十分
な圧力下で凝固させられる。
【0035】キャビティ420への溶湯充填完了後、設
定時間の間シュー素材160の固化が待たれ、第一型4
04が第二型406から離間させられる。そして、シュ
ー素材160が取り出されるのであるが、湯道430,
ビスケット等の方案部も、製品部たるシュー素材160
につながった状態で第二型406に保持されている。し
たがって、型開き後に図示を省略する押出装置が作動さ
せられ、キャビティ面416により画定される凹部から
押し出される。その後、個々のシュー素材160に切り
離され、成形工程,機械加工工程,表面粗さ改善工程お
よび被覆工程を経ることは、前記図1〜図8に示す実施
形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。本実
施形態においても、シリコンを10重量%以上含有する
アルジル合金からなるシュー76を、容易にかつ精度良
く製造することができる。
【0036】本発明を、斜板との係合部の両側に頭部を
有する両頭ピストンを備える斜板式圧縮機を含む、固定
容量型斜板式圧縮機に適用することも可能である。固定
容量型斜板式圧縮機の球冠状シューは、一般的に、シュ
ーの平面部が摩耗した場合でも摺動面の面積が減少しな
いようにする等の理由で半球より高さの高いものとされ
る。
【0037】また、本発明に係るシュー素材を、上記鋳
造法以外の方法、例えば、キャビティ内の空気を真空装
置で吸引除去する真空法や、キャビティ内の空気を酸素
に置換し、溶湯のキャビティへの流入時に溶湯と酸素と
を反応させてキャビティ内の気体を消滅させるポアフリ
ーダイカスト法や、本出願人による特願平11−169
564号に記載のダイカスト法のように、キャビティ内
の空気を真空装置で吸引除去した後、キャビティ内の空
気を酸素に置換する方法等の種々の鋳造法により鋳造す
ることも可能である。
【0038】以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細
に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識
に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である製造方法により製造
された球冠状シューを備える斜板式圧縮機を示す正面断
面図である。
【図2】上記球冠状シューの正面図である。
【図3】上記球冠状シューの製造方法の鋳造工程を示す
正面断面図である。
【図4】上記鋳造工程を示す平面図である。
【図5】上記球冠状シューの製造方法の無用部除去工程
を説明するための正面図である。
【図6】上記球冠状シューの製造方法の成形工程の成形
前の状態を示す正面断面図である。
【図7】上記球冠状シューの製造方法の成形工程の成形
後の状態を示す正面断面図である。
【図8】上記球冠状シューの製造方法の被覆工程を経た
球冠状シューを示す正面断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態である製造方法に使用さ
れるシュー素材を示す正面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態である製造方法
の鋳造工程を示す正面断面図である。
【図11】上記鋳造工程を示す平面図である。
【符号の説明】
76:シュー 132:球面部 138:平面部
160:シュー素材 162:成形品 180:鋳造金型 182:固定
型 184:第一可動型 186:第二可動型
190,192,194,196:パーティング面
200,202:キャビティ面 204:キャビティ
230:冷却通路 240:突起 250:鍛
造金型 266,268:型面 280:中間製品
300:シュー素材 310:成形品 40
0:鋳造金型 404:第一型 406:第二型 410,41
2:パーティング面 414,416:キャビティ面 420:キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨士田 義夫 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 平井 秀敏 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 平野 俊彦 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 Fターム(参考) 3H076 AA06 BB00 CC33 4E087 AA08 BA04 BA20 BA24 CA11 DB04 HA62

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムを主体とする材料により、
    ほぼ平面と凸曲面とを備えて、製品たる球冠状シューに
    近い形状のシュー素材を鋳造する鋳造工程と、 その鋳造工程において鋳造されたシュー素材を、プレス
    加工によりほぼ平面とほぼ凸球面とを有してほぼ球冠状
    をなす成形品に成形する成形工程とを含む球冠状シュー
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記鋳造工程がダイカスト工程である請
    求項1に記載の球冠状シューの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記鋳造工程が、シュー素材の前記平面
    の側から前記凸曲面の側へ凝固を進行させる一方向凝固
    鋳造工程である請求項1に記載の球冠状シューの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記鋳造工程が、前記凸曲面が凸球面に
    近い形状を有し、前記成形品より高くかつ細いシュー素
    材を鋳造する工程である請求項1ないし3のいずれかに
    記載の球冠状シューの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記鋳造工程が、縦断面形状が概して等
    脚台形の両肩部を丸めた形状を有し、前記成形品より低
    くかつ細いシュー素材を鋳造する工程である請求項1な
    いし3のいずれかに記載の球冠状シューの製造方法。
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