JP3928336B2 - 圧縮機用ピストンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は気体を圧縮する圧縮機に用いられるピストンの製造方法に関するものであり、特に、シリンダボアに摺動可能に嵌合される頭部が中空円筒状であるピストンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧縮機のピストンは往復移動させられるものであるため、軽量であることが望ましく、斜板式圧縮機、特に、可変容量型斜板式圧縮機のピストンは軽量化の必要性が高い。例えば、車両用空調装置の冷媒ガス圧縮用の斜板式圧縮機として、近年、斜板の回転軸線に対する傾き角度を制御することにより吐出容量を制御する形式の可変容量型斜板式圧縮機が使用されるようになったが、この種の圧縮機のピストンは特に軽量化の要請が強い。車両用の斜板式圧縮機は一般に、小型化の要求を満たすために回転数を大きくすることが求められており、そのためにはピストンの軽量化が必要である。特に、圧縮室と斜板室との圧力差に基づいて斜板の傾き角度を制御する形式の可変容量型斜板式圧縮機においては、傾き角度制御の安定化および運転騒音の低減のために、ピストンの軽量化が是非とも必要である。
【0003】
そこで、本願出願人は、特開平9−105380号公報において、ピストンのシリンダボアに摺動可能に嵌合される頭部を中空とすることにより、可変容量型斜板式圧縮機のピストンを軽量化することを提案し、現在製造中である。このピストンは、有底の中空円筒状をなす頭部部材の開口を、斜板と係合する係合部と一体に形成した閉塞部材により閉塞し、頭部部材と閉塞部材とを溶接により一体化したものである。頭部部材と閉塞部材とは共に鍛造により製造されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
しかしながら、鍛造により頭部部材と閉塞部材とを製造すれば製造コストが高くなることを避け得ない。そこで頭部が中空であるピストンをダイキャストにより製造することを試みた。その結果、頭部部材と閉塞部材との溶接による一体化が困難であることが、ダイキャスト製ピストン実用化の障壁の一つであることが判明した。また、ピストン軽量化の要請は前述のように可変容量型斜板式圧縮機において特に強いが、固定容量型斜板式圧縮機は勿論、他の形式の圧縮機においても軽量化は望ましいことである。そこで本発明は、少なくとも頭部の本体部を形成する有底の中空円筒部をダイキャストにより製造しながら、その中空円筒部と閉塞部材とを溶接により一体化することを可能にすることを課題としてなされたものである。
【0005】
そして、本発明により下記各態様の圧縮機用ピストンの製造方法が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能なのである。
(1)一端が開放された有底の中空円筒状をなす頭部本体部を、その頭部本体部の材料内部の気体量を5cc/100g以下に抑えてダイキャスティングするキャスティング工程と、
そのキャスティング工程で製造した頭部本体部の開口を閉塞部材で閉塞し、それら頭部本体部と閉塞部材とを、溶接ビームを溶接線上の同一箇所に複数回照射して溶接する溶接工程と
を含む圧縮機用ピストンの製造方法(請求項1)。
本項に記載の製造方法においては、閉塞部材もダイキャストにより製造することが望ましいが、不可欠ではない。特に、有底の中空円筒状をなす頭部本体部の底部側に、駆動機構との係合部を一体的に形成し、閉塞部材は係合部とは反対側の開口を単純に閉塞するカバー部材であればよい場合には、市販の棒材等汎用素材の機械加工により製造し、あるいは鍛造する等、ダイキャスト以外の方法で製造することも可能なのである。頭部本体部および閉塞部材は比重が小さく、かつダイキャスティングが容易なアルミニウム合金製とされることが望ましいが、マグネシウム合金製等他の金属材料製とすることも可能である。
有底の中空円筒状をなす頭部本体部を、通常のダイキャストによる場合には材料内部の気体量が、1気圧,常温の標準状態に換算して10〜30cc/100g程度となるのに対し、後に説明するポアフリー法によるダイキャストや溶湯鍛造等、特殊なダイキャストによれば、5cc/100g以下に抑えることができる。この頭部本体部の開口を閉塞部材で閉塞し、頭部本体部と閉塞部材とを、溶接ビームを頭部本体部と閉塞部材との合わせ面に沿った溶接線上の同一箇所に複数回照射して溶接すれば、ブローホールの少ない溶接部を形成することができ、実用に耐え得るピストンが得られる。溶接線上の1箇所に電子ビーム,レーザビーム等の溶接ビームを照射し、溶接ビームと頭部本体部および閉塞部材とを相対回転させることにより、溶接ビームの照射箇所を溶接線に沿って移動させれば、頭部本体部と閉塞部材との合わせ面近傍部が溶融して両者が接合される。この際、材料中に存在する気体が加熱されて膨張し、外部に逃げるため、溶接ビードにはブローホールが形成されるが、材料中の気体量が5cc/100g以下に抑えられているため、ブローホールは少なくて済む。しかも、一旦形成されたブローホールも、溶接ビードに再び溶接ビームが照射されて溶融させられることにより塞がり、一層ブローホールの少ない溶接ビードとなって、実用に耐え得るダイキャスト製ピストンが得られるのである。なお、「溶接線上の同一箇所に複数回照射」とは、溶接線上の同一点近傍に複数回溶接ビームを照射するとの意である。すなわち、厳密に1点に複数回溶接ビームが照射される必要はなく、実質的に同じ箇所に複数回照射されたと見なし得ればよいのである。
上記材料中の気体量は、5cc/100g以下とされ、3cc/100g以下とされることが望ましく、1cc/100g以下とされることがさらに望ましい。
(2)前記キャスティング工程が、ポアフリー法によりダイキャストを行う工程である (1)項に記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
ポアフリー法は金型のキャビティ内に酸素等の活性ガスを充満させた状態でアルミニウム合金等金属の溶湯をキャビティ内に注入し、溶湯と活性ガスとの反応によりキャビティ内を高度の真空状態とすることによって、鋳造品内部への気体の巻込みを防止する鋳造法であり、薄肉で強度の高い鋳造品を得ることができる。
(3)前記キャスティング工程が溶湯鍛造工程である (1)項に記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
溶湯鍛造は、鋳型に注入されて溶融状態あるいは半溶融状態にある金属材料に30〜200MPa 程度の高い圧力をかけ、その状態で凝固させる鋳造法であり、材料内部に封入される気体量を減少させることができる。
(4)前記溶接工程が、前記頭部本体部と前記閉塞部材との前記溶接線上の複数点に複数の溶接ビームの各々を照射しつつ、それら溶接ビームと頭部本体部および閉塞部材とを前記溶接線に沿って相対移動させる工程を含む (1)項ないし (3)項のいずれか1つに記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
本態様の溶接工程によれば、複数の溶接ビームの強さの割合と照射点の間隔との少なくとも一方を変更することにより、溶接ビードの適切な凝固状態において次の溶接ビームが照射されるようにすることができる。溶接ビームの強さが決まれば、溶接面の両側の金属材料を適度に溶融させるに適した溶接ビームの移動速度が決まる。一方、ブローホールを良好に消滅させるためには、前の溶接ビームにより溶融させられた材料の凝固状態が適度な状態において次の溶接ビームが照射されることが望ましい。これら両方の要求を満たすためには、複数の溶接ビームの強さの割合と照射点の間隔との少なくとも一方を変更することが有効なのである。
(5)前記複数の溶接ビームの少なくとも一方を前記溶接線に沿って移動させつつ、その溶接線に対して揺動させる (4)項に記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
複数の溶接ビームは単純に溶接線に沿って移動させるのみでもよいが、少なくとも一方を溶接線に対して揺動させることが、ブローホールを消滅させ、あるいは溶接強度を高める上で有効である。
(6)前記溶接ビームの揺動が溶接ビームを円錐面に沿って旋回させる旋回運動である (5)項に記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
溶接ビームを円錐面に沿って旋回させつつ溶接線に沿って一定の速度で移動させれば、溶接ビームの照射点は溶接線に沿って螺旋状の軌跡を描くこととなり、ブローホールが減少する。これは、溶接ビードの1点が複数回溶融させられることになるためと推測される。
(7)前記溶接工程が、前記頭部本体部と前記閉塞部材との前記溶接線上の1点に溶接ビームを照射しつつ、その溶接ビームと頭部本体部および閉塞部材とを前記溶接線に沿って相対移動させ、溶接ビームに溶接線上の各点を複数回通過させる工程を含む (1)項ないし (3)項のいずれか1つに記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
(8)前記溶接ビームを前記溶接線に沿って移動させつつ、その溶接線に対して揺動させる (7)項に記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
(9)前記溶接工程が、前記溶接線上の同一箇所における複数回の溶接ビームの照射のうち、最後の溶接ビームの照射による前記頭部本体部および前記閉塞部材の溶融領域が、その照射に先行するすべての照射による溶融領域の和以内となる溶接条件で溶接を行う工程である (1)項ないし (8)項のいずれか1つに記載の圧縮機用ピストンの製造方法(請求項2)。
「先行するすべての照射による溶融領域の和」とは、先行するいずれかの照射により溶融させられたことがある領域のすべてを含む領域の意である。例えば、溶接ビームの中心位置を互いに異ならせて照射を行えば、それら照射による溶融領域が溶接線と直交する方向に互いにずれることとなるが、その後の照射による溶融領域が、それら溶融領域のいずれとも重ならない部分を含まない限り、本項の要件を満たすこととなる。換言すれば、最後の溶接ビームの照射により始めての部分が溶融させられなければよいのである。
(10)前記溶接工程が、前記溶接線上の同一箇所における前記複数回の溶接ビームの照射による前記頭部本体部および前記閉塞部材の各溶融領域が、先行するいずれの照射による溶融領域からもはみ出すことがない溶接条件で溶接を行う工程である (9)項に記載の圧縮機用ピストンの製造方法(請求項3)。
本項の要件を満たす溶接工程においては、最初の照射以外の、いずれの照射によっても始めての領域が溶融させられることがないことになる。後続の照射による溶融領域は、先行の照射による溶融領域と重なるか、それより小さくなるかのいずれかなのである。複数回の照射が互いに近接した時点に行われる場合には、先行の照射により頭部本体部および閉塞部材の温度が先行の照射により高められているのが普通であるから、もし、後続の照射が先行の照射と同じ条件で行われれば、本項の要件は満たされない。後続の照射の条件は、先行の照射の条件より緩くされることが必要なのである。
(11)前記溶接工程が、前記最後の溶接ビームの照射による溶融領域が、最初の溶接ビームの照射による溶融領域より小さくなる溶接条件で溶接を行う工程である (9)項または(10)項に記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
(12)前記溶接工程が、前記最初と最後との間に少なくとも1回の溶接ビームの照射を含み、その少なくとも1回の照射のすべてにおいて、溶接ビームの照射による溶融領域が、前記最初の照射による溶融領域以内となる溶接条件で溶接を行う工程である (9)項ないし(11)項のいずれか一つに記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
(13)前記溶接工程が、少なくとも最後とその直前との照射による溶融領域が同じになる溶接条件で溶接を行う工程である (9)項ないし(12)項のいずれか一つに記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
(14)前記溶接工程が、少なくとも最後とその直前との照射の溶接ビームの移動速度とそれら照射の溶接ビームの強さとがそれぞれ同じになる条件で溶接を行う工程である (9)項ないし(13)項のいずれか一つに記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
(15)前記複数回の溶接ビームの照射の各々による複数の溶融領域のうち、後の照射による溶融領域である後溶融領域を先の照射による溶融領域である先溶融領域以内とするための方法が、後の照射の溶接ビームの移動速度を先の照射の溶接ビームの移動速度以上とすることと、後の照射の溶接ビームの強さを先の照射の溶接ビームの強さ以下とすることとの少なくとも一方を含む (9)項ないし(14)項のいずれか一つに記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
上記「移動速度以上とすること」は、「移動速度を同じにすること」も包含するが、「移動速度より小さくすること」が望ましい。同様に、「溶接ビームの強さ以下とすること」は、「溶接ビームの強さを同じにすること」も包含するが、「溶接ビームの強さより弱くすること」が望ましい。
なお、本項における「後の照射」とは、例えば、前記 (9)項,(11)項における最後の照射や、前記(10)項における複数回の照射のうち最初の照射以外のものや、前記(12)項における最後の照射および最初と最後との間の少なくとも1回の照射等であり、また、「先の照射」とは、前記 (9)項,(10)項における先行するすべての照射や、(11)項,(12)項における最初の照射等である。すなわち、「先の照射」,「後の照射」は、任意の2回の照射を比較した場合の「先」と「後」とを表すものであり、「先の照射」はある照射に先立つすべての照射を含む用語である。このことは(16)項についても当てはまる。
(16)前記複数回の溶接ビームの照射の各々による複数の溶融領域のうち、後の照射による溶融領域である後溶融領域を先の照射による溶融領域である先溶融領域以内とするための方法が、前記後の照射の溶接ビームの前記溶接線に対する揺動量を前記先の照射の溶接ビームの溶接線に対する揺動量より小さくすることを含む (9)項ないし(15)項のいずれか一つに記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である車両用空調装置に用いられる斜板式圧縮機のピストンの製造を例に取り、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に本実施形態における斜板式圧縮機を示す。図1において、10はシリンダブロックであり、シリンダブロック10の中心軸線回りの一円周上には、軸方向に延びる複数のシリンダボア12が形成されている。シリンダボア12の各々には、片頭ピストン14(以下、ピストン14と略称する)が往復運動可能に配設されている。シリンダブロック10の軸方向の一端面(図1の左側の端面であり、前端面と称する)には、フロントハウジング16が取り付けられ、他方の端面(図1の右側の端面であり、後端面と称する)には、リヤハウジング18がバルブプレート20を介して取り付けられている。フロントハウジング16,リヤハウジング18,シリンダブロック10等により斜板式圧縮機の本体が構成される。リヤハウジング18とバルブプレート20との間には、吸気室22,吐出室24が形成され、それぞれ、吸入ポート26,供給ポート28を経て、図示しない冷凍回路に接続される。バルブプレート20には、吸入孔32,吸入バルブ34,吐出孔36,吐出バルブ38等が設けられている。
【0007】
シリンダブロック10およびフロントハウジング16内には、回転軸44がシリンダブロック10の中心軸線を回転軸線として回転可能に設けられている。回転軸44は、両端部においてそれぞれベアリングを介してフロントハウジング16,シリンダブロック10に回転可能に支持されている。シリンダブロック10の中心部には、支持穴48が形成されており、回転軸44の一端部がその支持穴48において支持されている。回転軸44のフロントハウジング16側の端部は、図示しない駆動源の一種である外部駆動源としての車両エンジンに、電磁クラッチ等のクラッチ機構を介して連結されている。したがって、車両エンジンの作動時に、クラッチ機構によって回転軸44が車両エンジンに接続されれば、回転軸44が自身の軸線まわりに回転させられる。
【0008】
回転軸44には、斜板50が軸方向に相対移動可能かつ傾動可能に取り付けられている。斜板50には、中心を通る中心穴52が形成され、この中心穴52を回転軸44が貫通している。中心穴52は、両端開口側ほど図1において上下方向に内のり寸法が漸増させられ、それら両端部の横断面形状が長穴をなしている。回転軸44には、また、回転伝達部材としての回転板54が固定され、スラストベアリング56を介してフロントハウジング16に係合させられている。斜板50は、ヒンジ機構60によって回転軸44と一体的に回転させられるとともに、軸方向の移動を伴う傾動を許される。ヒンジ機構60は、回転板54に固定的に設けられた支持アーム62のガイド穴64と、斜板50に固定的に設けられ、ガイド穴64にスライド可能に嵌合されたガイドピン66と、斜板50の中心穴52と、回転軸44の外周面とを含むものである。本実施形態においては、斜板50が駆動部材を構成し、回転軸44,駆動源としての車両エンジン,回転伝達装置を構成するヒンジ機構60等が斜板50とともに駆動機構を構成している。
【0009】
前記ピストン14は、斜板50と係合させられる係合部70と、係合部70と一体的に設けられ、シリンダボア12に嵌合される中空の頭部72とを備えている。係合部70に形成された溝74に球冠状の一対のシュー76を介して斜板50が係合させられている。シュー76は、球面部において係合部70に摺動可能に保持され、平面部において斜板50の両側面に当接し、斜板50の外周部を両側から摺動可能に挟持している。シリンダボア12内の、頭部72,シリンダブロック10およびバルブプレート20に囲まれた内部空間が圧縮室77を構成している。ピストン14の形状についての詳細な説明は後に行う。
【0010】
斜板50の回転運動は、シュー76を介してピストン14の往復直線運動に変換される。ピストン14が上死点から下死点へ移動する吸入工程において、吸気室22内の冷媒ガスが吸入孔32,吸入バルブ34を経てシリンダボア12内の圧縮室77に吸入される。ピストン14が下死点から上死点へ移動する圧縮工程において、圧縮室77の冷媒ガスが圧縮され、吐出孔36,吐出バルブ38を経て吐出室24に吐出される。冷媒ガスの圧縮に伴ってピストン14には、軸方向の圧縮反力が作用する。圧縮反力は、ピストン14,斜板50,回転板54およびスラストベアリング56を介して、シリンダブロック10,フロントハウジング16,リヤハウジング18等から成るハウジングに受けられる。ピストン14の係合部70には、回転規制部78(図2参照)が一体的に設けられている。回転規制部78は、フロントハウジング16の内周面に接触する状態とされ、ピストン14の中心軸線回りの回転を規制し、ピストン14と斜板50との衝突を回避する。
【0011】
シリンダブロック10を貫通して給気通路80が設けられている。この給気通路80により、吐出室24と、フロントハウジング16とシリンダブロック10との間に形成された斜板室86とが接続されている。給気通路80の途中には、電磁制御弁90が設けられている。電磁制御弁90は、ソレノイド92と、ソレノイド92の励磁状態に基づいて開閉させられる開閉弁94とを含むものであり、ソレノイド92が励磁されると開閉弁94が閉状態とされ、消磁されると開状態とされる。
【0012】
回転軸44の内部には、排出通路100が設けられている。排出通路100は、一端において前記支持穴48に開口させられるとともに、他端において斜板室86に開口させられている。支持穴48は排出ポート104を経て吸気室22に連通させられている。
【0013】
本斜板式圧縮機は可変容量型であり、高圧源としての吐出室24と低圧源としての吸気室22との圧力差を利用して斜板室86内の圧力が制御されることにより、ピストン14の前後に作用するシリンダボア12内の圧縮室77の圧力と斜板室86の圧力との差が調節され、斜板86の回転軸44の軸線に対する傾斜角度が変更されてピストン14のストロークが変更され、圧縮機の吐出容量が調節される。具体的には、電磁制御弁90の制御により、斜板室86が吐出室24に連通させられたり、遮断されたりすることによって、斜板室86の圧力が制御される。電磁制御弁90においてソレノイド92が励磁されると、給気通路80が遮断され、吐出室24の高圧の冷媒ガスが斜板室86に供給されない状態となる。斜板室86内の冷媒ガスは、排出通路100,排出ポート104を経て吸気室22に放出されるため、斜板室86内の圧力が低くなり、斜板50の傾斜角が大きくなる。ピストン14は、斜板50の回転に伴って往復移動させられるが、斜板50の傾斜角が大きくなると、ピストン14の容積変化率が大きくなり、圧縮機の吐出容量が大きくなる。ソレノイド92の消磁により給気通路80が連通させられた状態においては、吐出室24の高圧の冷媒ガスが斜板室86に供給され、斜板室86内の圧力が高くなる。それに伴って斜板50の傾斜角度が小さくなり、圧縮機の吐出容量が小さくなる。斜板50の最大傾斜角は、斜板50に設けられたストッパ106の回転板62への当接によって規定され、最小傾斜角は、斜板50の回転軸44上のストッパ107への当接によって規定される。電磁制御弁90のソレノイド92の励磁状態は、冷房負荷等の情報に応じて、図示しないコンピュータを主体とする制御装置によって制御される。吸気室22,吐出室24,給気通路80,斜板室86,電磁制御弁90,排出通路100,排出ポート104,制御装置等により、斜板室圧力制御装置ないし斜板傾斜角度変更装置が構成されている。
【0014】
シリンダブロック10およびピストン14は、金属の一種であるアルミニウム合金製のものとされ、ピストン14の外周面には、フッ素樹脂のコーティングが施されている。フッ素樹脂でコーティングすれば、同種金属との直接接触を回避して焼付きを防止しつつシリンダボア12との嵌合隙間を可及的に狭くすることができる。なお、シリンダブロック10およびピストン14は、アルミニウム珪素系合金製のもの等とすることが望ましい。ただし、シリンダブロック10やピストン14の材料、コーティング層の材料等は、上述の材料に限らず、他の材料であってもよい。
【0015】
ピストン14をさらに詳細に説明する。
ピストン14の係合部70は、図2に示すように、前記溝74の形成により概してU字形をなし、U字形の底部を成す基部108と、基部108からピストン14の軸線と直交する方向に延び出す一対のアーム部110,112とを備えている。アーム部110,112の互いに対向する側面には、それぞれ凹部114が形成されている。これら凹部114の内面は凹球面状をなし、前記一対のシュー76は、斜板50の外周部の表裏両面に接触し、斜板50を挟持するとともに凹部114に保持されている。
【0016】
また、ピストン14の頭部72は、係合部70のアーム部112側とは反対側に開口する有底中空円筒状の頭部本体部120と、頭部本体部120の開口側に固定され、頭部本体部120の開口を閉塞する閉塞部材122とを含む。閉塞部材122は、カバー部材なのである。係合部70と頭部72とは、アーム部112と頭部本体部120の底部124とにおいて一体に形成されており、係合部70の基部108は、頭部本体部120の中心線に対して偏心した位置において頭部本体部120の中心線に平行な方向に延びて形成されている。頭部本体部120の内周面126は、開口側が大径となる段付円筒面とされ、大径穴部128と小径穴部130との間には肩面132が形成されている。頭部本体部116の開口側端部の外周面には、円環状の潤滑油溝136が形成されている。
【0017】
閉塞部材122は、概して円板状をなす閉塞部材本体部140を備え、閉塞部材本体部140の一方の端面に横断面形状が円形かつ小径の嵌合突部142が一体的に設けられている。閉塞部材本体部140と嵌合突部142との間には肩面144が形成されている。また、閉塞部材122内には、嵌合突部142の先端面146に開口する凹部148が形成され、重量が軽減されている。閉塞部材122は、肩面144が頭部本体部120の開口側端面154と当接し、かつ、嵌合突部120の先端面146が肩面132に当接する深さまで頭部本体部120内部に嵌合されており、この状態では嵌合突部142の外周面が大径穴部128の内周面に嵌合させられている。そして両部材がビーム溶接の一種である電子ビーム溶接により固定されている。ピストン14の圧縮工程において、頭部72の頂面に作用する冷媒ガスの圧縮反力は、肩面144と端面154との溶接部においてのみならず、先端面146と肩面132との当接によっても受けられる。なお、図2には、頭部本体部120の周壁の厚さが誇大に示されている。
【0018】
上記のように構成されたピストン14は、1個のピストン素材から2個製造される。そのため、図3に示すように、ピストン14を製造するための片頭ピストン製造用素材160(以下、素材160と略称する。)は、本体部材162および2個の閉塞部材164を備えている。本体部材162は、片頭ピストン2個分の係合部166が互いに隣接して一体形成された二連係合部168と、その二連係合部168の両端に連なってそれぞれ一体形成され、二連係合部168とは反対向きに開口した有底中空円筒状の2個の頭部本体部170とを備えている。これら頭部本体部170は、互いに同心となるように形成されている。
【0019】
頭部本体部170の内周面172は開口側が大径となる段付円筒面とされ、大径穴部174と小径穴部176との間に肩面178が形成されている。大径穴部174,小径穴部176および肩面178は、製品たるピストン14になった場合にそれぞれ大径穴部128,小径穴部130および肩面132となる。また、頭部本体部170の開口側端面180は、端面154となる。なお、図3においては、理解を容易にするために、頭部本体部170の周壁の厚さが誇大に示されている。各係合部166に設けられたブリッジ部182は、基部108およびアーム部110,112を構成することになる部分(それぞれ基部184,アーム部186,188と称する。)の内側面を互いに連結して、加工時の挟持作用に対して係合部166を補強するものである。本体部材162の剛性を高める補強部なのであり、素材160の熱処理時における歪みを極力抑制する目的をも有している。本体部材162は、本実施形態においては、金属の一種であるアルミニウム合金製であって、ポアフリー法によりダイキャスティングされる。この鋳造が行われる工程が本体部材162の製造工程としてのキャスティング工程であり、後に詳しく説明する。
【0020】
2個の閉塞部材164は同様に構成されており、一方を代表的に説明する。図3に示すように、閉塞部材164は、閉塞部材本体部190および嵌合突部192を有し、閉塞部材本体部190と嵌合突部192との間には肩面194が形成されている。閉塞部材164にはまた、嵌合突部192の先端面196に開口する凹部198が設けられている。肩面194は、前記閉塞部材122の肩面144であり、凹部198は、閉塞部材122の凹部148である。閉塞部材164の閉塞部材本体部190の嵌合突部192が突設された側とは反対側の端面200の中心には、図示の例では円形断面の保持部202が突設され、保持部202にはセンタ穴204が形成されている。閉塞部材164は、本実施形態においては、金属の一種であるアルミニウム合金製であって、本体部材162と同様に、ポアフリー法によりダイキャスティングされる。この鋳造が行われる工程が閉塞部材164の製造工程である。なお、閉塞部材本体部190と嵌合突部192との寸法関係は、閉塞部材本体部140と嵌合突部142との寸法関係と同じであり、説明は省略する。
【0021】
本体部材162は、本実施形態においては前述のようにポアフリー法によりダイキャスティングされる。ポアフリー法により鋳造された本体部材162を図4に示す。また、本実施形態における本体部材162の鋳造において使用される金型装置を図5に概略的に示すとともに、ポアフリー法によるダイキャストについて説明する。本金型装置は、図示を省略する装置本体に保持された一対の金型216,218と、金型216,218内部に相対移動可能に設けられたスライドコア220,222(図4に外形のみ二点鎖線で示す。)とを備えている。金型216,218内にはキャビティ224が形成され、このキャビティ224に金属(本実施形態ではアルミニウム合金)の溶湯が流入させられて本体部材162が製造される。金型216,218は、パーティング面226,228において開閉可能な固定金型216と可動金型218とであり、可動金型218が図示しない金型移動装置により固定金型216に対して接近,離間させられることによって金型216,218が開閉される。
【0022】
図6に示すように、パーティング面226,228は、頭部本体部170の中心線を含み、かつ、係合部166の一対のアーム部186,188の延び出す方向に平行な平面上に設定される。各パーティング面226,228において互いに対応する位置にキャビティ面234,236がそれぞれ形成されている。これらキャビティ面234,236と、金型216,218内部に設けられたスライドコア220,222との間に、本体部材162に対応する形状のキャビティ224が形成される。スライドコア220,222は、図示しないスライドコア駆動装置により、頭部本体部170の中心線に平行な方向であって上記金型216,218の開閉方向とは直交する方向に進退可能に配設されている。スライドコア駆動装置は、例えば油圧シリンダを含むものとすることができる。スライドコア220,222は、キャビティ面234,236と共同してキャビティ224を形成する前進端位置と、スライドコア220,222の先端部がキャビティ224の頭部本体部170を形成する部分から退避させられた後退端位置とに移動させられる。スライドコア220,222の先端部は、頭部本体部170の内部空間の形状に対応した形状を有している。本実施形態におけるスライドコア220,222は、内周面172の大径穴部174および小径穴部176に対応する径をそれぞれ有する外周面242,244を備えた段付円柱状を成している。
【0023】
キャビティ224の下端部は、図5に示すように、湯道270を経て、酸素供給口272および注湯口274を有するスリーブ276に連通させられている。湯道270のキャビティ224側開口近傍には、他の部分よりも小径のゲート(図示省略)が形成され、湯道270の他方の開口は上記スリーブ276に連通している。酸素供給口272は、注湯口274より金型216,218側に設けられており、酸素供給通路278を介して酸素供給源を備える酸素供給装置(図示省略)に選択的に連通させられるようになっている。また、注湯口274からアルミニウム合金の溶湯が注がれる。スリーブ276は円筒状を成し、固定金型216を貫通して外部に延び出している。スリーブ276の外部に延び出した側の端部に上記酸素供給口272および注湯口274が形成されるとともに、プランジャ280の先端に設けられたプランジャ280より大径のプランジャチップ282がスリーブ276内を摺動可能に嵌合されている。プランジャ280は、プランジャ駆動装置の一例としての油圧シリンダ(図示省略)のピストンに一体的に移動可能に取り付けられている。上記金型移動装置,酸素供給装置およびスライドコア駆動装置,プランジャ駆動装置等を含む金型装置は、図示しない制御装置により制御される。プランジャチップ282が後退端位置にある時には、注湯口274は開放され、プランジャチップ282とスリーブ276内部とにより形成される空間に溶湯を供給可能である。
【0024】
図5の▲1▼に示すように、プランジャチップ282が後退端位置にある状態で、一対の金型216,218がパーティング面226,228において合わされて相対移動不能とされるとともに、スライドコア220,222が前記前進端位置に配置されて溶湯の注入に備えて待機する状態となる。その後、図5の▲2▼に示すように、プランジャチップ282を注湯口274を通過して酸素供給口272直前の位置まで前進させ、キャビティ224を外部から遮断した後、活性ガスとしての酸素を酸素供給口272から吹き込んでキャビティ224内に酸素を充満させる。キャビティ224内の空気を酸素に置換するのである。次に、図5の▲3▼に示すように、酸素供給口272から酸素を供給し続けた状態でプランジャチップ282を後退端位置まで後退させ、注湯口274からスリーブ276内に溶湯が供給される。その後、プランジャチップ282を金型216,218側に高速で前進させれば、スリーブ276内の湯面が上昇し、やがて溶湯が湯道270に進入させられ、狭いゲートを通ってキャビティ224内に一気に噴出させられる。キャビティ224内でアルミニウムと酸素とが良好に反応させられてキャビティ224内の酸素が消滅することによって真空状態となり、溶湯への空気(主として窒素)の巻き込みが良好に回避される。したがって、キャビティ面234,236とスライドコア220,222との隙間にも良好に溶湯が供給され、薄肉の頭部本体部170が形成される。スライドコア220,222により、頭部本体部170の内周面172および底面246が形成される。このポアフリー法により製造された本体部材162の材料内部の気体量は、1気圧,常温の標準状態に換算して3cc/100g以下とされる。
【0025】
また、狭いゲートを通って溶湯が細かい霧状にキャビティ224内に噴出させられることにより、溶湯が酸素との反応後急速に冷却される。このため、凝固した本体部材162には比較的厚いチル層が形成される。従来の鋳造法において形成されるチル層の厚さは20μm程度であったのに対して、本ポアフリー法によれば、40〜50μmの厚さのチル層が形成される。チル層は、初晶α(α相)と共晶珪素の晶出割合の変化が不連続になった層であって、硬度および強さが大きい。したがって、頭部本体部170を、要求強度を満たしつつ、その周壁を薄肉に製造することができる。
【0026】
キャビティ224に溶湯供給後設定時間が経過して本体部材162が成形されれば、金型216,218が開かれるとともに、スライドコア220,222が頭部本体部170から離脱させられ、本体部材162が取り出される。
閉塞部材164についても、本体部材162と同様にしてポアフリー法により製造されることにより、閉塞部材164の材料内部の気体量が1気圧,常温の標準状態に換算して3cc/100g以下とされる。
【0027】
そして、図3に示すように、閉塞部材164が本体部材162の頭部本体部170の開口側から挿入され、頭部本体部170の大径穴部174側の内周面172に嵌合突部192が嵌合される。このとき頭部本体部170の端面180と閉塞部材164の肩面194とが互いに当接するとともに、肩面178と先端面196とが互いに当接して閉塞部材164の嵌合深さを規定する。本実施形態においては、本体部材162および閉塞部材164は鋳造され、寸法精度が高いため、切削や研削等の機械加工を施すことなく嵌合することができ、素材160を安価に製造することができる。
【0028】
閉塞部材164が本体部材162に嵌合された状態では、頭部本体部170の端面180と閉塞部材164の肩面194とが互いに近接または接触し、これら端面180および肩面194がそれぞれ溶接面としてビーム溶接の一種である電子ビーム溶接により接合される。これが本体部材162と閉塞部材164との溶接工程であり、以下に詳しく説明する。図示しない電子ビーム溶接機の電子ビーム照射装置から上記溶接面に沿って周方向に形成された溶接線上に電子ビームが照射される。この際、図3に二点鎖線で示すように、保持部202と嵌合する嵌合穴を有する治具250が閉塞部材164に押しつけられ、閉塞部材164が頭部本体部170に押しつけられることによって、本体部材162および閉塞部材164が一対の治具250により両側から挟まれた状態で保持される。この状態で、回転駆動装置により治具250を介して閉塞部材164および本体部材162が共に回転させられつつ、電子ビーム(図3に破線矢印で示す)が照射されることにより、電子ビームの照射点が上記溶接線に沿って周方向に移動させられることになり、溶接面近傍部が溶融されて両部材が接合される。閉塞部材164の本体部材162からの浮き上がりが治具250により防止されているため、溶接が良好に行われる。なお、本実施形態においては、電子ビーム溶接のため真空状態で溶接が行われる。
【0029】
本電子ビーム照射装置からの電子ビームは、図7に破線で示すように、途中で二股に分岐させられた状態でそれぞれ上記溶接線上の1点に照射される。その状態で本体部材162および閉塞部材164が回転させられることにより、これら二股に分岐させられた電子ビームは、それぞれ本体部材162の周方向に延びる溶接線に沿って一定の速度で移動させられる。それとともに、各電子ビームが円錐面に沿って旋回させられることにより、図8に示すように、電子ビームの照射点が上記溶接線に沿って螺旋状の軌跡を描く。この螺旋状の軌跡を描く運動が、電子ビームの溶接線に対する揺動の一形態である。本実施形態においては、二股に分岐させられた電子ビームの各照射点が、溶接線に沿って螺旋状の軌跡を描きつつ、溶接線に沿って本体部材162の周方向に一周させられる。電子ビームの照射点が溶接線に沿って螺旋状の軌跡を描いて移動させられることによって溶接線上の各点に電子ビームが複数回ずつ照射されることになるとともに、二股に分岐させられた電子ビームのうち、前の電子ビームが溶接線上の1点に照射された後、次の電子ビームが再びその1点に照射されることによっても、溶接線上の同一点に電子ビームが複数回照射されることになる。したがって、溶接線上の各点に電子ビームがそれぞれ複数回ずつ照射されることになる。
【0030】
溶接工程時には、本体部材162と閉塞部材164との互いに溶融されて接合される溶接部において、材料中に存在する気体が加熱されて膨張し、外部に逃げるため、溶接ビードにブローホールが形成されるのであるが、本実施形態においては、前述のようにポアフリー法により本体部材162と閉塞部材164とが材料中の気体量が少なく抑えられて製造されており、ブローホールの少ない溶接ビードが形成される。しかも、上述のようにして溶接線上の各点に電子ビームが複数回照射されることにより、一旦溶接ビードにブローホールが形成されても、再び電子ビームが照射されて溶接ビードが溶融させられることによりブローホールが塞がるため、一層溶接ビードに形成されるブローホールが少なくなる。本実施形態においては、二股に分岐させられた電子ビームの強さの割合は等しくされる。そして、電子ビームの強さに基づいて、溶接部を適度に溶融させるのに適した電子ビームの移動速度(前記回転駆動装置の回転速度)が設定される。また、各電子ビームの照射点の間隔は、前の電子ビームにより溶融させられた溶接部の材料の凝固状態が適度な状態において次の電子ビームが照射されてブローホールが消滅させられるように、適宜の値に設定される。
【0031】
このようにして本体部材162に2個の閉塞部材164が固定された後、頭部72を構成することになる部分、すなわち本体部材162の頭部本体部170および閉塞部材164の外周面を始めとする複数の部分の切削加工が行われる。この時2個の閉塞部材164にそれぞれ設けられた保持部202のセンタ穴204にセンタが嵌合され、心出しがなされるとともに、2個の保持部202がそれぞれチャックにより挟持された状態で、回転駆動装置の回転が閉塞部材164および本体部材162に伝達されて加工が良好に行われる。
【0032】
次に、本体部材162の頭部本体部170および閉塞部材164の外周面を始めとする部分に塗装が行われ、例えば、ポリテトラフルオロエチレンのコーティング層が形成される。そして、閉塞部材164の端面200が削られて保持部202が除去された後、コーティング層が形成された頭部本体部170および閉塞部材164の外周面にセンタレス研削が行われ、頭部72が完成する。続いて、二連係合部168に機械加工が施され、ブリッジ部182が除去されるとともに、ピストン14となった際にシュー76を保持する凹部114(図3に二点鎖線で図示)が加工され、係合部70が完成する。そして、素材160が2つに切り離され、2個のピストン14が得られる。
【0033】
本実施形態においては、頭部本体部170と閉塞部材164との溶接部がブローホールの少ないものとなり、両部材の接合強度が向上し、要求強度を満たして実用に耐えうるピストン14が得られる。
【0034】
本実施形態のように、金型内にスライドコアを設けることにより、スライドコアにより頭部本体部170の内周面および底面が形成されるため、後の機械加工を必要とせず、製造コストが低減されるのであるが、スライドコアを設けることは不可欠ではない。
【0035】
本体部材162は、溶湯鍛造により製造してもよい。この溶湯鍛造工程が、キャスティング工程の別の形態である。溶湯鍛造に使用される装置は、図9に概略的に示すように、開閉可能な一対の金型300,302を備える。一対の金型300,302内部には、本体部材162の形状に対応したキャビティ306が設けられている。一方の金型300内部には、加圧部材308が金型300,302の開閉方向と平行な方向に相対移動可能に設けられている。加圧部材308は、キャビティ306内と、キャビティ306から退避させられた後退位置とに図示しない駆動装置により移動させられる。キャビティ306内に溶融状態または半溶融状態にある金属(アルミニウム合金)の溶湯を流入させた後、加圧部材308をキャビティ306側に前進させることにより、溶湯に高い圧力(30〜200MPa )が加えられてキャビティ306全体に溶湯が供給され、高圧力下で凝固させられる。また、閉塞部材164も同様に溶湯鍛造により製造してもよい。この溶湯鍛造によっても、製造される本体部材162および閉塞部材164の材料中の気体量が1気圧,常温の標準状態に換算して5cc/100g以下に低く抑えられるため、本体部材162と閉塞部材164との溶接部がブローホールの少ないものとなり、接合強度が向上する。
【0036】
本体部材162の内周面は、単純な円筒面としてもよい。この場合閉塞部材164の嵌合突部192が本体部材162の内周面に嵌合され、本体部材162の開口側端面180と閉塞部材164の肩面194との当接により閉塞部材164の嵌合深さが規定される。
【0037】
前記二股に分岐させられた電子ビームは、強さの割合を互いに異ならせることも可能である。例えば、溶接線上を照射点が先行する電子ビームより、後行する電子ビームの方が強くされる。これは、先行する電子ビームでは溶接部をブローホールを消滅させ得る程度の溶融状態とし、後行する強い電子ビームで本来の溶接を行うことによって、ブローホールの少ない製品を得るためである。また、電子ビームの揺動とは、電子ビームを溶接線を横切ってジグザグに移動させる運動や、電子ビームを溶接線に沿って前後に移動させる運動や、これらの運動を組み合わせた運動も含む。さらに、一方の電子ビームを揺動させ、他方を前記溶接線に沿って単純に移動させるのみとしてもよいし、両方の電子ビームを前記溶接線に沿って単純に移動させるのみとしてもよい。さらに、電子ビームを溶接線上の1点を照射するものとし、溶接線上の各点を複数回通過するように、電子ビームを溶接線に沿って2周以上させてもよい。この場合、電子ビームは、溶接線に沿って単純に移動させてもよいし、揺動させてもよい。
図1〜図8に示す実施形態においては、素材160が回転させられることにより、電子ビームの照射点が周方向に移動させられるのであるが、電子ビーム照射装置または電子ビーム照射点が回転させられるようにしてもよい。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態を図10〜図14に示す。なお、本実施形態における圧縮機用ピストンの製造方法は、前記図1〜図8に示す実施形態における斜板式圧縮機に組み込まれる片頭ピストンの製造方法として採用可能であり、したがって、前記実施形態と同様に構成される部分については、同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態における片頭ピストンを製造するための片頭ピストン製造用素材400(以下、素材400と略称する。)は、図10に示すように、片頭ピストン製造用素材160と同様、片頭ピストン2個分の素材が一体的に設けられた二連素材であり、本体部材402と2個の閉塞部材404とを備える。閉塞部材404は、本体部材402の開口を単純に閉塞するカバー部材である。本体部材402は、本体部材162と同様、一対のアーム部410,412およびそれらアーム部410,412の基端部同士を連結する連結部414とを備える係合部416と、係合部416のアーム部412側と一体的に設けられた有底中空円筒状の頭部本体部420とを備えている。本体部材402は、2つの頭部本体部420が互いに逆向きに開口し、かつ、互いに同心となる状態で、2つの係合部416同士が一体に連結されている。頭部本体部420は、単純な円筒面をなす内周面422を備えている。閉塞部材404は、閉塞部材164と同様、段付の有底円筒状をなし、他の部分より小径の嵌合部430において本体部材402の内周面422に嵌合可能である。閉塞部材404の嵌合部430側とは反対側の端面432の中心には、突出部434が突設されている。突出部434は、図12に示すように、横断面形状が概して円形をなし、その外周面から互いに逆方向に延び出す2つの耳部436が一体的に設けられている。
【0039】
本実施形態における本体部材402および閉塞部材404は、共に金属の一種であるアルミニウム合金製であり、キャスティング工程において、前述のポアフリー法または溶湯鍛造により製造され、本体部材402および閉塞部材404の材料中の気体量が1気圧,常温の標準状態に換算して5cc/100g以下に抑えられている。これらポアフリー法および溶湯鍛造については、前に詳しく説明したため、ここでは説明は省略する。
【0040】
このようにして製造された本体部材402と閉塞部材404とが溶接により接合される。閉塞部材404の嵌合部430側が先端部とされ、頭部本体部420の開口へ、同軸に位置決めされた状態で挿入され、嵌合部430が内周面422と嵌合させられる。頭部本体部420の開口が閉塞部材404によって閉塞され、頭部本体部420の開口側端面440と、閉塞部材404の嵌合部430から半径方向外向きに延びる肩面444とが当接させられて嵌合深さが規定された状態で、頭部本体部420と閉塞部材404とがビーム溶接の一種である電子ビーム溶接により接合される。この溶接工程では、本体部材402と閉塞部材404とが、互いに接触する溶接面としての開口側端面440および肩面444において接合される。以下、溶接工程について詳しく説明する。なお、図10に示すように、2個の閉塞部材404の突出部434の中央部には、予めセンタ穴450が形成されている。
【0041】
図11に示すように、一対のセンタ452,454が互いに接近させられて両センタ穴450に係合させられ、素材400がセンタ452,454により心出しされた状態で両側から支持される。一対のセンタ452,454は、図示しない移動装置により共に素材400の軸方向に移動可能とされてもよいが、本実施形態では、一方のセンタ452が移動させられ、他方のセンタ454は固定とされている。このようにして心出しがなされた状態では、図示を省略する回転駆動装置の回転トルク伝達部材456が、図12に示すように、閉塞部材404の耳部436の一側面に近接させられた状態となる。そして、上記回転駆動装置が起動されれば、その回転(図12に矢印で示す)が、回転トルク伝達部材456と上記耳部436の側面との係合により閉塞部材404および本体部材402に伝達される。そして、電子ビーム溶接機の電子ビーム照射装置460(図11に概略的に図示)から上記溶接面(開口側端面440および肩面444)に沿って周方向に形成された溶接線462(図11参照)上に溶接ビームとしての電子ビーム(図11,12に破線矢印で示す)が照射される。本体部材402および閉塞部材404が一対のセンタ452,454により両側から挟まれて保持された状態で、回転駆動装置により閉塞部材404および本体部材402が共に回転させられつつ、電子ビームが照射されることにより、電子ビームの照射点が溶接線462に沿って周方向に移動することになり、上記溶接面近傍部が溶融させられて頭部本体部420と閉塞部材404とが接合される。センタ452,454により、閉塞部材404の本体部材402からの浮き上がりが防止され、また、本体部材402および閉塞部材404が電子ビーム照射装置460に対して精度良く位置決めされるため、溶接が良好に行われる。なお、本実施形態においては、電子ビーム溶接のため真空状態で溶接が行われる。上記センタ移動装置,回転駆動装置,電子ビーム照射装置460を含む電子ビーム溶接機等は、図示しない制御装置により制御される。
【0042】
電子ビームの照射点が溶接線462に沿って複数回周回させられることによって溶接線462上の各点に電子ビームが複数回ずつ照射される。図13には本実施形態における溶接条件が示されている。本実施形態においては、溶接線462上の1点に5回電子ビームが照射され(言い換えれば、電子ビームの照射点が五周させられ)、それら同一点における5回の電子ビームの照射において、電子ビームの電流の強さが全て等しくされた状態で、1回目から4回目までの照射では、後続の照射における電子ビームの移動速度(前記回転駆動装置の回転速度)が、先行する全ての照射における電子ビーム移動速度より大きくされ、最後とその直前の2回の電子ビームの移動速度は互いに等しくされている。具体的には、電子ビームの電流の強さが50mAとされ、電子ビームの移動速度が、最初(1回目)の電子ビーム照射において5m/min、2回目が7m/min、3回目が9m/min、4回目が11m/min、最後(5回目)が11m/minとなるように、前記回転駆動装置が制御される。
【0043】
本実施形態においても、ポアフリー法または溶湯鍛造により本体部材402と閉塞部材404とが材料中の気体量が少なく抑えられて製造されており、ブローホールの少ない溶接ビードが形成される。しかも、上述のようにして溶接線462上の同一点に電子ビームが複数回照射されることにより、一旦溶接ビードにブローホールが形成されても、再び電子ビームが照射されて溶接ビードが溶融させられることによりブローホールが塞がるため、一層溶接ビードに形成されるブローホールが少なくなる。特に、本実施形態においては、溶接工程において、上述のようにして電子ビーム移動速度が制御されることにより、図14に示すように、本体部材402と閉塞部材404との溶融させられて互いに接合される溶接部である溶融領域であって、電子ビーム照射の1回目から4回目までの各溶融領域I ,II,III ,IVにおいて、後の電子ビームの照射による溶融領域が、先行するいずれの電子ビームの照射による溶融領域よりも小さくなるため、始めての領域が溶融させられることがない。図13に示す溶接条件は、溶融誤差を考慮に入れても、溶融領域II,III ,IVが、先行するいずれの照射による溶融領域からもはみ出すことがない条件なのである。したがって、後の照射により材料内部の気体が新たにブローホールを形成することがなく、また、先行する溶融領域に形成されたブローホールが良好に塞がることになり、本体部材402と閉塞部材404との接合強度が向上する。
【0044】
また、4回目の照射と5回目の照射とにおいて電子ビーム移動速度が共に等しくされることにより、4回目と5回目との溶融領域IV, Vが同じになる。5回の照射において電子ビーム移動速度を漸増させれば、それら照射による溶融領域は漸減させられることになる。この形態も本発明の一形態と言い得るが、照射回数が多い場合に、各回の照射による溶融領域を毎回減少させれば、最初の照射による溶融領域と最後の照射による溶融領域の大きさが大きく異なることとなる。そして、溶融領域が小さくなり過ぎると、電子ビーム照射の効果が不十分になるため、これを回避するためには、最初の溶融領域を非常に大きくすることが必要になってしまう。この点を勘案すると、複数回の照射のうち、一部については溶融領域が同じになるようにすることが望ましいのである。そこで、本実施形態においては、最後とその直前との照射の溶融領域IV, Vが同じになる条件で溶接されるようにされたのであり、具体的には、最後の2回の電子ビーム移動速度が同じになるように制御されるのである。このように、同じ溶接条件で溶接が行われても溶融領域がほぼ同じになる。例えば、最初とその直後の照射において電子ビーム移動速度を同じにする場合、最初の照射により頭部本体部420および閉塞部材404の温度が常温より大きく高められているため、その直後の溶融領域が最初の溶融領域からはみ出す可能性があるのであるが、電子ビーム照射の回数が多くなれば、頭部本体部420および閉塞部材404の温度がほぼ定常状態となって、温度上昇量が小さくなる。したがって、本実施形態におけるように、4回目と5回目との照射になれば、温度変化は小さくなり、4回目と5回目との電子ビーム移動速度を同じにしても、溶融領域IV, Vがほぼ同じになるのである。このようにすれば、最後の照射においても十分な広さの領域を溶融させつつ、ブローホールを良好に消滅させ、本体部材402と閉塞部材404とを、開口側端面440および肩面444において強固に接合することができる。
【0045】
溶接条件は、図13に示すもの以外に、例えば、図15に示すものを採用することも可能である。本実施形態においては、電子ビームの移動速度は複数回(例えば5回)全て同じとするとともに、回数を重ねる毎に、電子ビームの強さを漸減させ、最後とその直前の照射においては電子ビームの強さを同じにするものである。具体的には、5回の電子ビームの照射において、電子ビームの移動速度を全て5m/minとし、電子ビーム電流の強さを、1回目が50mA、2回目が40mA、3回目が30mA、4回目が20mA、5回目が20mAとなるように、電子ビーム照射装置460を含む電子ビーム溶接機を制御するのである。本実施形態によっても、図10〜図14に示す実施形態と同様にブローホールの少ない良好な溶接を行うことができる。
ただし、溶接作業の能率をよくするためには、前記実施形態におけるように電子ビーム移動速度を漸増させる方がよく、回転駆動装置を速度制御の不可能なものとして装置コストを低減させるためには、本実施形態におけるように電子ビーム電流の強さを漸減させる方がよい。
【0046】
溶接ビームの中心位置(あるいは照射点)を、複数回の照射において互いに異ならせてもよい。図16にその一実施形態を示す。図16に示す実施形態においては、溶接ビームの一種である電子ビームの4回の照射のうち、最初の照射では溶接ビームの中心位置が溶接線462と直交する方向にずらされた位置とされ、2回目の照射では溶接線462に対して1回目とは反対側にずらされた位置とされ、3回目の照射では溶接線462上とされる。ただし、図16においては、理解を容易にするために、溶接ビームの中心位置のずらし量が誇張して図示されている。上記3回の照射による各溶融領域(図16に▲1▼,▲2▼および▲3▼で示される領域)は、互いに重なる部分を含み、開口側端面440と肩面444とからなる溶接面を含む溶接部(溶接線462上の同一箇所)に電子ビームが複数回(本実施形態においては3回)照射されることによって、溶接部が複数回溶融させられることになり、先行する照射により形成されたブローホールが塞がる。なお、これら3回の照射において、各電子ビームの移動速度と各電子ビーム電流の強さとは、全て同じとされる。このようにすれば、溶融領域がほぼ同じ幅(溶接線462に直交する方向の寸法)および深さを有するものとなり、電子ビーム溶接機等の制御が容易になる。そして、最後の照射において、その電子ビームの移動速度がそれ以前(1回〜3回)の電子ビーム移動速度より大きくされるか、電子ビーム電流の強さがそれ以前より小さくされるかの少なくとも一方を含む条件で、電子ビームの中心位置が溶接線462上に位置する状態で電子ビームが照射される。この溶接条件により、最後の照射による溶融領域(図16に▲4▼で示される破線で囲まれた領域)が、それに先行する照射による溶融領域の和より小さくなり、始めての領域が溶融されることがない。したがって、図10〜図14に示す実施形態で説明したように、後の照射により新たにブローホールが形成されることがなく、先行する溶融領域に形成されたブローホールが良好に塞がることになり、本体部材402と閉塞部材404との接合強度が向上する。なお、上記3回の照射において、各電子ビームの移動速度と各電子ビーム電流の強さとの少なくとも一方を異ならせることにより、3回の溶融領域が正確に同じになるようにしてもよい。
【0047】
前記図1〜図8に示す実施形態において説明したように溶接ビームを揺動させるとともに、その揺動量(あるいは揺動範囲)を変えてもよい。その一実施形態を図17に示す。図17に示す実施形態においては、溶接ビームとしての電子ビームは、溶接線462に沿って一定の速度で移動させられるとともに、電子ビームが円錐面に沿って旋回させられることにより、電子ビームの照射点が溶接線462に沿って螺旋状の軌跡を描く。この螺旋状の軌跡を描く運動が、揺動の一形態である。このようにして電子ビームの照射点が、溶接線462に沿って一周させられることによって、溶接線462上の各点に電子ビームが複数回照射されることになるが、本実施形態の溶接工程においては、電子ビームが2回周回させられる。勿論3回以上としてもよい。本実施形態の溶接工程では、2周目の照射(図17に▲2▼で示す)の際、電子ビームは、1周目の照射(図17に▲1▼で示す)よりも幅(溶接線462に直交する方向の寸法)の小さい螺旋状の軌跡を描くように旋回させられる。なお、図17には、これら電子ビームの軌跡の違いが理解を容易にするために誇張して示されている。また、2周目の照射においては、1周目よりも電子ビーム移動速度が大きくされるか、電子ビーム電流の強さが小さくされるかの少なくとも一方の条件で電子ビームが照射される。このようにすれば、2周目の溶融領域が1周目の溶融領域から幅方向,深さ方向共にはみ出すことはなく、始めての領域が溶融されることがない。
【0048】
図10〜図14,図15,図16および図17に示す各実施形態において、電子ビームは、前記図1〜図8に示す実施形態において説明したように、途中で二股に分岐させられた状態でそれぞれ溶接線上の1点に照射されるものとすることも可能である。また、電子ビームを揺動させてもよい。揺動とは、図17に示す実施形態のように、電子ビームの照射点が溶接線に沿って螺旋状の軌跡を描く運動や、電子ビームを溶接線を横切ってジグザグに移動させる運動や、電子ビームを溶接線に沿って前後に移動させる運動や、これらの運動を組み合わせた運動等含む。さらに、一方の電子ビームを揺動させ、他方を前記溶接線に沿って単純に移動させるのみとしてもよいし、両方の電子ビームを前記溶接線に沿って単純に移動させるのみとしてもよい。
【0049】
図10〜図14,図15,図16および図17に示す各実施形態においては、素材400が回転させられることにより、電子ビームの照射点が周方向に移動させられるのであるが、電子ビーム照射装置460または電子ビーム照射点が回転させられるようにしてもよい。
【0050】
溶接条件は上記各実施形態の値に限らず、最後の電子ビームの照射によって溶融された領域が、その照射に先行するすべての照射による溶融領域の和以内となる条件であればよく、電子ビームの1箇所への照射回数,電子ビームの移動速度,電子ビーム電流の強さは、種々の値に設定可能であるし、電子ビームの移動速度や電子ビーム電流の強さ以外の溶接条件を変更することも可能である。
【0051】
前記図1〜図8に示す実施形態においても、図10〜図14に示す実施形態と同様に、治具250に代えて、一対のセンタを保持部のセンタ穴に係合させることにより、素材160を両側から支持し、回転トルク伝達部材により回転駆動装置の回転を素材160に伝達する構成としてもよい。この場合、保持部は、突出部434のように、円形部の外周面から延び出す耳部を一体的に設け、上記回転トルク伝達部材を係合可能とすることが望ましい。
【0052】
溶接工程は、前記実施形態における電子ビーム溶接のように、真空状態で行われれば、加熱による空気の膨張がなく、閉塞部材164,404により開口が閉じられた本体部材162,402内の空気を逃がす必要がないため、ピストン14を空気逃がし孔のないものとすることができるが、このことは不可欠ではない。
【0053】
閉塞部材の形状は、種々のものを採用可能であり、例えば、平板状としてもよい。閉塞部材は、ダイキャスト以外の方法で製造してもよく、例えば、鍛造により製造してもよいし、また、閉塞部材164,404のように単純な形状であれば、市販の棒材等汎用素材の機械加工により製造してもよい。
【0054】
本体部材と閉塞部材との接合方法は、電子ビーム溶接に限らず、真空状態を必要としないレーザビーム溶接としてもよい。
【0055】
本体部材164を製造するための一対の金型216,218のパーティング面を、頭部本体部170の中心線を含み、かつ、一対のアーム部186,188の延び出す方向に直交する方向に平行な平面上に設定することも可能である。この場合、係合部166側のパーティング面は、幅(アーム部186,188の延び出す方向に直交する方向)の最も大きい部分を通る平面とされる。
【0056】
上記各実施形態は、係合部同士が連結された二連素材の一例であり、これ以外にも、頭部同士あるいは頭部と係合部とが連結された二連素材としてもよい。さらに、上記各実施形態においては、1個の片頭ピストン製造用素材から2個のピストンを製造することができるため、鋳造コストが低減される。しかし、このことは不可欠ではなく、例えば、片頭ピストン製造用素材を1個のピストンを製造するものとしてもよい。
【0057】
ピストンの分割形態は、上記各実施形態のものに限定されるわけではなく、例えば、駆動機構と係合する係合部と閉塞部材とをポアフリー法や溶湯鍛造等の特殊なダイキャスト法により一体に製造するとともに、同じくポアフリー法や溶湯鍛造等により製造された有底中空円筒状をなす頭部部材の開口を閉塞部材で閉塞して両部材を溶接して一体化してもよい。
本体部材と閉塞部材とは、アルミニウム合金以外の金属材料で形成してもよく、例えば、マグネシウム合金製としてもよい。
【0058】
斜板式圧縮機の構造は、上記実施形態におけるそれに限らず、他の構造のものとすることもできる。例えば、電磁制御弁90は不可欠ではなく、吐出室24の圧力と斜板室86の圧力との差圧に基づいて機械的に開閉させられる開閉弁を設けることもできる。また、電磁制御弁90に代えて、あるいはそれとともに、排出通路100の途中に、電磁制御弁90と同様な電磁制御弁を設けてもよいし、あるいは斜板室86の圧力と吸気室22との圧力との差圧に基づいて機械的に開閉させられる開閉弁を設けてもよい。
また、ピストンを斜板の傾斜角度が不変の固定容量型斜板式圧縮機用のピストンや、両頭ピストンとすることも可能である。さらに、斜板式圧縮機以外の圧縮機、例えばウェーブカム式圧縮機用のピストンとすることも可能である。
【0059】
以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である圧縮機用ピストンの製造方法により製造されたピストンを備える斜板式圧縮機を示す正面断面図である。
【図2】上記ピストンを示す正面図(一部断面)である。
【図3】上記ピストンを製造するためのピストン製造用素材において閉塞部材が本体部材に嵌合された状態を示す正面図(一部断面)である。
【図4】上記本体部材を示す正面図(一部断面)である。
【図5】上記製造方法におけるキャスティング工程を説明するための図である。
【図6】上記キャスティング工程において使用される金型装置の一部を示す側面断面図である。
【図7】上記製造方法における溶接工程を説明するための図である。
【図8】上記溶接工程を説明するための別の図である。
【図9】本発明の別の実施形態である圧縮機用ピストンの製造方法におけるキャスティング工程を説明するための図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態である圧縮機用ピストンの製造方法に使用されるピストン製造用素材を示す正面図(一部断面)である。
【図11】上記圧縮機用ピストンの製造方法の溶接工程を説明するための正面図(一部断面)である。
【図12】上記溶接工程を説明するための側面図である。
【図13】上記溶接工程における溶接条件を示す図表である。
【図14】上記溶接条件により溶接された頭部本体部および閉塞部材の溶融領域を示す正面断面図である。
【図15】本発明のさらに別の実施形態である圧縮機用ピストンの製造方法における溶接工程の溶接条件を示す図表である。
【図16】本発明のさらに別の実施形態である圧縮機用ピストンの製造方法の溶接工程における頭部本体部および閉塞部材の溶融領域を示す正面断面図である。
【図17】本発明のさらに別の実施形態である圧縮機用ピストンの製造方法の溶接工程を説明するための図である。
【符号の説明】
14:片頭ピストン 72:頭部 120:頭部本体部 122:閉塞部材 144:肩面 154:開口側端面 160:片頭ピストン製造用素材 162:本体部材 164:閉塞部材 170:頭部本体部 180:開口側端面 194:肩面 400:片頭ピストン製造用素材 402:本体部材 404:閉塞部材 420:頭部本体部 440:開口側端面 444:肩面 460:電子ビーム照射装置 462:溶接線

Claims (3)

  1. 一端が開放された有底の中空円筒状をなす頭部本体部を、その頭部本体部の材料内部の気体量を5cc/100g以下に抑えてダイキャスティングするキャスティング工程と、
    そのキャスティング工程で製造した頭部本体部の開口を閉塞部材で閉塞し、それら頭部本体部と閉塞部材とを、溶接ビームを溶接線上の同一箇所に複数回照射して溶接する溶接工程と
    を含む圧縮機用ピストンの製造方法。
  2. 前記溶接工程が、前記溶接線上の同一箇所における複数回の溶接ビームの照射のうち、最後の溶接ビームの照射による前記頭部本体部および前記閉塞部材の溶融領域が、その照射に先行するすべての照射による溶融領域の和以内となる溶接条件で溶接を行う工程である請求項1に記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
  3. 前記溶接工程が、前記溶接線上の同一箇所における前記複数回の溶接ビームの照射による前記頭部本体部および前記閉塞部材の各溶融領域が、先行するいずれの照射による溶融領域からもはみ出すことがない溶接条件で溶接を行う工程である請求項2に記載の圧縮機用ピストンの製造方法。
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