JP2015071562A - パーフルオロテトラメチル化合物の製造方法 - Google Patents

パーフルオロテトラメチル化合物の製造方法 Download PDF

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真聖 長友
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Abstract

【課題】パーフルオロテトラメチル化合物((CFX(XはC、Si、Ge、Sn、又はPb))の製造において、その収率を向上させる方法の提供。
【解決手段】液状又は気体状の式(1)で表わされるテトラメチル化合物を気体状のフッ素化剤と反応させてフッ素化することにより、式(2)で表わされるパーフルオロテトラメチル化合物を製造する方法において、前記フッ素化は、前記フッ素化剤を不活性ガスにより希釈して反応させるフッ素化工程を2回以上有し、2回目以降のフッ素化工程は、一つ前のフッ素化工程にて得られた未反応のテトラメチル化合物を含有する生成ガスを、式(1)で表されるテトラメチル化合物源として反応に用いる工程であるパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法。(CHX・・・(1)(CFX・・・(2)(XはC、Si、Ge、Sn、又はPb)
【選択図】図1

Description

本発明は、一般式:(CFX(式中のXは、C、Si、Ge、Sn、又はPbを示す。)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法に関するものである。
一般式:(CFX(式中のXは、C、Si、Ge、Sn、又はPbを示す。)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物において、XがCの場合、ドラックデリバリーシステムの材料として、XがSiの場合、半導体でのハードマスク材として用いられている。更に、XがGe、Sn、又はPbの場合は、金属ドーピングの前躯体として用いられており、近年、光透過性のある電子伝導体薄膜の材料としても注目されている。
また、一般式:(CFX(式中のXは、C、Si、Ge、Sn、又はPbを示す。)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物は、(a)テトラメチル化合物とフッ素ガスを接触させるフッ素化反応による方法 (例えば、特許文献1、非特許文献1)、(b)(CFHgや(CFCdを使用しこれら化合物のパーフルオロメチル基を、ハロゲン化ゲルマニウムのハロゲンと置換させることにより、ハロゲン化ゲルマニウムをトリフルオロメチル化する方法(例えば、非特許文献2、非特許文献3)、又は(c)高周波放電を用いてCからCFラジカルを発生させ、発生したCFラジカルとハロゲン化ゲルマニウムのハロゲンとを置換させることにより、ハロゲン化ゲルマニウムをトリフルオロメチル化する方法(例えば、特許文献2、非特許文献4)等により製造できることが報告されている。
上記(a)の方法では、例えば、非特許文献1には、テトラメチルゲルマニウム((CHGe)と略1.6vol%に希釈したフッ素ガスを、反応温度が−100℃以上−20℃以下、且つ反応時間が8時間以上48時間以内で反応させることにより、パーフルオロテトラメチルゲルマニウム((CFGe)を、(CHGeを基準とした収率で63.5モル%、製造できることの記載がある。
上記(b)の方法では、例えば、非特許文献2には、(CFHgとGeBrを混合して、反応温度150℃、且つ反応時間24時間でGeBrと反応させたとき、パーフルオロテトラメチルゲルマニウム((CFGe)を、GeBr基準とした収率で20モル%、得ることができ、更に未反応物を再使用した場合の収率は40モル%であることの記載がある。
上記(c)の方法では、例えば、特許文献2には、バイコール製反応器内にGeI、又はGeBrを配置し、ヘキサフルオロエタン(C)を15cc/minで流通下、高周波電源装置を使用して放電を行うことでパーフルオロテトラメチルゲルマニウム((CFGe)を、ハロゲン化ゲルマニウムを基準とした収率で80モル%、得られることの記載がある。
米国特許第4113435号明細書 米国特許第3954585号明細書
Edmund.K.S.Liu, R.J.Lagow, J.Organomet.Chem.,(1978)145,167 R.J.Lagow, R.Eujen, L.L.Gerchman, J.A.Morisson, J.Am.Chem.Soc.,(1978),100(6),1722 L.J.Krause, J.A. Morrison, J.Am.Chem.Soc.,(1981),103(11),2995 R.J.Lagow, L.L.Gerchman, R.A.Jacob, J.A.Morrison, J.Am.Chem.Soc.,(1973)97,3,518
上記のとおり、従来のパーフルオロテトラメチル化合物((CFX(式中のXは、C、Si、Ge、Sn、又はPbを示す。))の製造において、上記(a)、(b)の方法では、反応時間が長く、反応温度を−100℃以上−20℃以下の低温又は150℃の高温に温度制御することが必要で、特に(b)の方法では、有毒な水銀やカドミウムのパーフルオロメチル化合物を使用しなければならず、いずれの方法も低収率である。又、上記(c)の方法では、上記(a)、(b)の方法に比べ収率は向上するものの、高周波電源等の放電設備が必要となる。
本発明は、パーフルオロテトラメチル化合物((CFX(式中のXは、C、Si、Ge、Sn、又はPbを示す。))の収率を更に向上させる製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、鋭意検討の結果、(CHXと気体状のフッ素化剤を不活性ガスにより希釈して反応させるフッ素化を2回以上行うことで、上記目的が達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、下記一般式(1)で表される液状又は気体状のテトラメチル化合物を気体状のフッ素化剤と反応させてフッ素化することにより、下記一般式(2)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物を製造する方法において、
前記フッ素化は、前記フッ素化剤を不活性ガスにより希釈して反応させるフッ素化工程を2回以上有し、2回目以降のフッ素化工程は、一つ前のフッ素化工程にて得られた未反応のテトラメチル化合物を含有する生成ガスを、一般式(1)で表されるテトラメチル化合物源として反応に用いる工程であることを特徴とするパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法を提供するものである。
(CHX ・・・(1)
(CFX ・・・(2)
(式中のXは、C、Si、Ge、Sn、又はPbを示す。)
さらには、フッ素化剤は、F、HF、ClF、ClF、ClF、BrF、BrF、BrF、IF、IF、IF、及びIFから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記のパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法を提供するものである。
又は、1回目のフッ素化工程では、フッ素化剤を0.01体積%以上3体積%以下の範囲内に希釈して反応させ、2回目以降のフッ素化工程では、フッ素化剤の濃度を0.1体積%以上10体積%以下の範囲内に希釈して反応させ、且つ、前記全てのフッ素化工程の反応時の温度が−30℃以上40℃以下であることを特徴とする上記のパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法、さらには、2回目以降のフッ素化工程のフッ素化剤の濃度は、一つ前のフッ素化工程のフッ素化剤の濃度より高いことを特徴とするパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法を提供するものである。
又は、全てのフッ素化工程のフッ素化に使用されるフッ素化剤の全供給量は、1回目のフッ素化工程において導入される該テトラメチル化合物に対するフッ素化剤のモル比(フッ素化剤/テトラメチル化合物)が12以上24以下の範囲内であることを特徴とするパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法により、上記一般式(2)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物の収率を、使用する上記一般式(1)で表されるテトラメチル化合物を基準とした収率で70モル%以上に向上できる。
本発明を用いた例の概略系統図である。
使用する上記一般式(1)で表される液状又は気体状のテトラメチル化合物は、2,2−ジメチルプロパン((CHC)、テトラメチルシラン((CHSi)、テトラメチルゲルマニウム((CHGe))、テトラメチル錫((CHSn)、及びテトラメチル鉛((CHPb)が挙げられる。その純度は、生成物の純度に影響を及ぼすことから98%以上が好ましい。
使用するフッ素化剤は、気体状でテトラメチル化合物をフッ素化できるものであれば特に限定されない。好ましいものとして、F、ClF、ClF、ClF、BrF、BrF、BrF、IF、IF、IF、及びIFが挙げられる。又、その純度は、生成物の純度に影響を及ぼすことから99%以上のものが好ましい。さらに、使用するフッ素化剤の種類は、1種又は2種以上を用いることができる。
気体状のフッ素化剤を希釈する不活性ガスは、気体状のフッ素化剤、上記一般式(1)で表されるテトラメチル化合物、及び上記一般式(2)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物と反応性が低いものであれば特に限定されない。例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、及びアルゴンガス等を用いることができる。さらに、使用する不活性ガスの種類は、1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法では、上記一般式(1)で表されるテトラメチル化合物に、不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を反応させることによりフッ素化する。さらに、不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を反応させてフッ素化する工程(フッ素化工程)を繰り返して行う必要がある。
つまり、上記一般式(1)で表されるテトラメチル化合物と不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を反応させるフッ素化(1回目のフッ素化工程)を行った後、未反応の該テトラメチル化合物を含有するガスに再び不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を導入して、該テトラメチル化合物と反応させるフッ素化(2回目のフッ素化工程)を1回以上繰り返す。
(A)1回目のフッ素化工程について
本工程において、上記一般式(1)で表される液状又は気体状のテトラメチル化合物と不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を反応させるとき、該テトラメチル化合物は液状又は気体状が好ましい。
該テトラメチル化合物を液状で反応させる場合、液体の該テトラメチル化合物を用い、不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を該液中に導入してバブリングして接触させることにより反応させる方法、又は、不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を液体の該テトラメチル化合物が充填されている反応器の気相部に導入することにより反応させる方法を用いることができる。
該テトラメチル化合物を気体状で反応させる場合、気体状の該テトラメチル化合物と不活性ガスにより希釈された気体状のフッ素化剤とを接触させることができればよい。気体状の該テトラメチル化合物を用意するために、液体の該テトラメチル化合物を原料として用いる場合は、該液中に不活性ガスを吹き込み排出されるガスに該テトラメチル化合物を同伴させる、液体の該テトラメチル化合物の蒸気(気相部)を取り出す、又は液体の該テトラメチル化合物に熱量を与えることで気化させて取り出す等の方法により、気体状の該テトラメチル化合物を製造してこれをフッ素化反応に用いることができる。
また、1回目の本工程は、バッチ式、流通式のいずれを用いても良いが、工業的に生産効率を向上させるためには、流通式を用いるのが好ましい。
バッチ式の場合、反応器内に充填されている該テトラメチル化合物中に不活性ガスにより希釈された気体状のフッ素化剤を導入する、又は、反応器内に充填されている不活性ガスにより希釈された気体状のフッ素化剤中に該テトラメチル化合物を導入することにより、反応させてもよく、あるいは、該テトラメチル化合物と不活性ガスにより希釈された気体状のフッ素化剤を同時に反応器に導入することにより接触させてもよい。いずれの場合も、反応器への導入は、間隔を開けて分割して行なってもよい。
流通式の場合、液状の該テトラメチル化合物と反応させる方法では、反応器内に充填されている液体の該テトラメチル化合物に、上記の液状で反応させる場合の方法により、不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を反応器内の該液中にバブリング、又は反応器内の気相中への導入にて、流通させて反応させることができる。
一方、気体状の該テトラメチル化合物を接触させる方法では、上記の気体状で反応させる場合の方法により、該テトラメチル化合物と不活性ガスにより希釈された気体状のフッ素化剤を反応器に同時に導入し、流通させることで反応させることができる。
該テトラメチル化合物を気体状にして供給する場合、その濃度は、供給する気体状の該テトラメチル化合物が反応器や該反応器に供給するための導管等で凝縮しない(液体状にならない)濃度、すなわち、供給する気体状の該テトラメチル化合物の該反応器内の圧力に対する分圧が反応時の温度における該テトラメチル化合物の蒸気圧以下となる濃度が好ましい。凝集を考慮すると、例えば、反応器及び該反応器に供給するための導管等の温度が24℃、該反応器内の圧力が101kPa(絶対圧)で該パーフルオロテトラメチル化合物を製造するとき、用いるテトラメチル化合物が、(CHCの場合、その供給濃度は100体積%(分圧101kPa(絶対圧))、(CHSiの場合、その供給濃度は91.24体積%(分圧92.45kPa(絶対圧))、(CHGeの場合、その供給濃度は48.89体積%(分圧49.53kPa(絶対圧))、(CHSnの場合、その供給濃度は13.92体積%(分圧14.10kPa(絶対圧))、(CHPbの場合、その供給濃度は3.60体積%(分圧3.71kPa(絶対圧))以下あることが好ましい。
本工程では、いずれの方式においても、反応に用いた該テトラメチル化合物を全て、目的生成物である上記一般式(2)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物までフッ素化することは困難であるため、本工程の生成ガスには、目的生成物である該パーフルオロテトラメチル化合物の他に、不活性ガス、未反応のフッ素化剤、副生成物、未反応のテトラメチル化合物、部分的にフッ素化されたテトラメチル化合物、該パーフルオロテトラメチル化合物のX−C結合の一部又は全部が開裂した分解生成物等のいずれかを含む。副生成物としては、フッ素化剤の種類により異なるが、例えば、フッ素化剤が、Fの場合はHF、ClFの場合はHFとClF、BrFの場合はHFとBrF、IFの場合はHFとIF、などが挙げられる。分解生成物としては、CF、(CFFXなどが挙げられる。
希釈された気体状のフッ素化剤の濃度としては、0.01体積%以上3体積%以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、0.01体積%以上2体積%以下の範囲内がよい。
希釈された気体状のフッ素化剤の濃度が2体積%超の場合、該パーフルオロテトラメチル化合物を得ることはできるが、X−C結合の開裂による分解生成物が増加することにより該パーフルオロテトラメチル化合物の収率が低下し、3体積%超ではこの収率低下が顕著になるため好ましくない。
また、希釈された気体状のフッ素化剤の濃度が0.01体積%未満の場合、該パーフルオロテトラメチル化合物を得ることはできるが、未反応の該テトラメチル化合物や部分的にフッ素化されたテトラメチル化合物が増加することにより該パーフルオロテトラメチル化合物の収率が低下するため好ましくない。
反応時の温度としては、−30℃以上40℃以下の範囲内が好ましい。反応時の温度が40℃超のとき、該パーフルオロテトラメチル化合物を得ることはできるが、X−C結合の開裂による分解生成物が増加することにより該パーフルオロテトラメチル化合物の収率が低下するため好ましくない。反応時の温度が−30℃未満のとき、該パーフルオロテトラメチル化合物を得ることはできるが、未反応の該テトラメチル化合物や部分的にフッ素化されたテトラメチル化合物が増加することにより該パーフルオロテトラメチル化合物の収率が低下するため好ましくない。
滞在時間(反応器内で該テトラメチル化合物と気体状のフッ素化剤が接触する時間)については、該テトラメチル化合物と気体状のフッ素化剤が効率よく混合できる反応器、例えば流通式の場合、該テトラメチル化合物と気体状のフッ素化剤は接触後に速やかに反応するので、滞在時間は0.5秒程度以上でよい。該テトラメチル化合物と気体状のフッ素化剤が効率よく混合できない反応器、例えば、該テトラメチル化合物と気体状のフッ素化剤を混合するための攪拌機を使用しないバッチ式の場合、滞在時間は10分程度以上必要である。
反応時の圧力は、用いる反応器、マスフローコントーラ、導管、及び弁を含む装置の耐圧以下であれば、特に限定されないが、気体状のフッ素化剤は腐食性と毒性を有するので反応装置の腐蝕と漏洩を防止するために、大気圧(101kPa(絶対圧))以下の圧力が好ましい。
(B)2回目以降のフッ素化工程について
本工程は、一つ前のフッ素化工程にて得られた未反応のテトラメチル化合物を含有する生成ガスを、上記一般式(1)で表されるテトラメチル化合物源として反応に用い、該テトラメチル化合物と不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を反応させてフッ素化する工程である。未反応の該テトラメチル化合物を含有する一つ前のフッ素化工程にて得られる生成ガスと不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤とを接触させることができればよい。したがって、接触させる方法としては、バッチ式、流通式のいずれを用いても良いが、工業的に生産効率を向上させるためには、流通式を用いるのが好ましい。また、一つ前のフッ素化工程は、バッチ式、流通式のいずれであってもよいが、工業的に生産効率を向上させるためには、本工程と同じ方式が好ましい。
また、一つ前のフッ素化工程にて得られた生成ガス中のCFとHFを除去する為の精製を行って得られる精製物を該テトラメチル化合物源として反応に用いてもよいが、工程が煩雑になるので好ましくない。
バッチ式の場合、反応器に、一つ前のフッ素化工程にて得られる生成ガスの一部又は全部と不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を、導入することで反応させることができるが、導入の順番は、同時又はどちらか一方を先に充填してもよい。
流通式の場合、一つ前のフッ素化工程にて得られる生成ガスの一部又は全部と不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を反応器に同時に導入し、流通させることで反応させることができる。
2回目以降の本工程を1回行うだけでもよいが、更に、目的生成物である上記一般式(2)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物の収率を向上させるには、本工程を繰り返し行うことにより、未反応の該テトラメチル化合物又は部分的にフッ素化されたテトラメチル化合物が減少し、収率の向上は可能となる。
2回目以降の本工程で得られる生成ガスには、目的生成物である該パーフルオロテトラメチル化合物の他に、不活性ガス、未反応のフッ素化剤、副生成物、未反応のテトラメチル化合物、部分的にフッ素化されたテトラメチル化合物、該パーフルオロテトラメチル化合物のX−C結合の一部又は全部が開裂した分解生成物等のいずれかを含むが、70モル%以上の収率で該パーフルオロテトラメチル化合物を得ることができる。副生成物としては、フッ素化剤の種類により異なるが、例えば、フッ素化剤が、Fの場合はHF、ClFの場合はHFとClF、BrFの場合はHFとBrF、IFの場合はHFとIF、などが挙げられる。分解生成物としては、CF、(CFFXなどが挙げられる。
希釈された気体状のフッ素化剤の濃度としては、0.1体積%以上10体積%以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、0.1体積%以上5体積%以下の範囲内がよい。更に、一つ前のフッ素化工程の反応に用いる希釈された気体状のフッ素化剤の濃度より高くすることで効率的に高濃度の上記一般式(2)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物を製造することができるので好ましい。
希釈された気体状のフッ素化剤の濃度が5体積%超の場合、該パーフルオロテトラメチル化合物を得ることはできるが、X−C結合の開裂による分解生成物が増加することにより該パーフルオロテトラメチル化合物の収率が低下し、10体積%超ではこの収率低下が顕著になるため好ましくない。
また、希釈された気体状のフッ素化剤の濃度が0.1体積%未満の場合、該パーフルオロテトラメチル化合物を得ることはできるが、未反応の該テトラメチル化合物又は部分的にフッ素化されたテトラメチル化合物が増加することにより該パーフルオロテトラメチル化合物の収率が低下するため好ましくない。
反応時の温度としては、−30℃以上40℃以下の範囲内が好ましい。反応時の温度が40℃超のとき、該パーフルオロテトラメチル化合物を得ることはできるが、X−C結合の開裂による分解生成物が増加することにより該パーフルオロテトラメチル化合物の収率が低下するため好ましくない。反応時の温度が−30℃未満のとき、該パーフルオロテトラメチル化合物を得ることはできるが、フッ素化の反応が抑制される為、一つ前のフッ素化工程の生成ガス中に含有する未反応の該テトラメチル化合物や部分的にフッ素化されたテトラメチル化合物の副生成物の減少が抑制され好ましくない。
滞在時間については、該テトラメチル化合物と気体状のフッ素化剤が効率よく混合できる反応器、例えば流通式の場合、該テトラメチル化合物と気体状のフッ素化剤は接触後に速やかに反応するので、滞在時間は0.5秒程度以上でよい。該テトラメチル化合物と気体状のフッ素化剤が効率よく混合できない反応器、例えば、該テトラメチル化合物と気体状のフッ素化剤を混合するための攪拌機を使用しないバッチ式の場合、滞在時間は10分程度以上必要である。
反応実施時の圧力としては、用いる反応器の耐圧強度以下、及びマスフローコントーラ、及びと仕切り弁を含む装置の耐圧の使用上限圧力以下であれば、特に限定されないが、気体状のフッ素化剤は腐食性と毒性を有するので反応装置の腐蝕と漏洩を防止するために、大気圧(101kPa(絶対圧))以下の圧力が好ましい。
(C)全フッ素化工程について
前記の全てのフッ素化工程のフッ素化に使用されるフッ素化剤の全供給量は、流通式の場合はフッ素化剤の流通量と、バッチ式の場合はフッ素化剤の導入量との総和に相当する。フッ素化剤の該全供給量は、1回目のフッ素化工程において導入される該テトラメチル化合物に対するフッ素化剤のモル比(フッ素化剤/テトラメチル化合物)が12以上24以下(反応当量の1倍以上2倍以下)の範囲内となることが好ましい。フッ素化剤の該モル比が12未満では、フッ素化反応が不十分となり、未反応の該テトラメチル化合物及び部分的にフッ素化されたテトラメチル化合物が増加し収率が低下する虞がある。フッ素化剤の該モル比が24超では、該パーフルオロテトラメチル化合物を得ることはできるが、未反応のフッ素化剤が増加し経済的に好ましくない。
上記のいずれのフッ素化工程に使用する反応器、及びその反応器に接続する導管の材質としては、気体状のフッ素化剤、上記一般式(1)で表されるテトラメチル化合物及び上記一般式(2)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物に対して反応性が低いものが好ましく、例えば、ステンレス鋼、アルミ、ニッケル或いはモネル等を使用することができる。
本発明において、不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を二回以上反応させることにより、70モル%以上の収率で上記一般式(2)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物を得ることができる。さらに、上記記載のより好ましいフッ素濃度範囲において、90モル%以上の収率で上記一般式(2)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物を得ることができる。その理由は、フッ素化剤と上記一般式(1)で表されるテトラメチル化合物((CHX)との反応熱が高いため、この発熱によりX−C結合の開裂が生じることによって、例えば、CF等が分解生成するが、不活性ガスにより希釈した気体状のフッ素化剤を二回以上に分けて反応させることにより、反応熱が抑制され、さらに分解性生物の発生が抑制されるためと思われる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されない。
本発明を用いた例の概略図を図1に示す。3つの反応器10、11、12は、導管により直列に連結されており、ガスは反応器10から反応器11を経由し反応器12へ流れ、反応器12より生成ガスとして排出される。反応器12の排出側には、自動式開閉弁13が導管で連結されており、自動式開閉弁13により反応器内の圧力を調整しながら生成ガスは排出される。また、3つの反応器10、11、12には、導入部と排出口を有し、導入部ではテトラメチル化合物を含有するガスとフッ素化剤を同時に導入できるよう、導管の他、供給部が接続されている。本例の場合、各反応器の導入部にT字管を用い、反応器10、11、12の該T字管に、不活性ガスで希釈された気体状のフッ素化剤の各供給部101、102、103が接続されている。不活性ガスで希釈された気体状のフッ素化剤の供給部101、102、103の各々にマスフローコントローラ7、8、9、及び不活性ガスで希釈された気体状のフッ素化剤ボンベ4、5、6を備えており、それぞれのボンベから各々のマスフローコントローラにより不活性ガスで希釈された気体状のフッ素化剤を反応器毎に所望の流量で供給できる。
また、テトラメチル化合物の供給部100は反応器10の導入部に接続されており、気体状のテトラメチル化合物は、不活性ガスで希釈された気体状のフッ素化剤の供給部101からの不活性ガスで希釈された気体状のフッ素化剤と共に反応器10の導入部より供給される。その際、気体状のテトラメチル化合物はマスフローコントローラ2により、不活性ガスで希釈された気体状のフッ素化剤はマスフローコントローラ7により、所望の流量にて供給できる。
反応器10の排出口より排出されるガスは、導管により反応器11の導入部に導かれ、同様に、反応器11の排出口より排出されるガスは、導管により反応器12の導入部に導かれる。また、不活性ガスで希釈された気体状のフッ素化剤の供給部102より、不活性ガスで希釈された気体状のフッ素化剤は所望の流量にて、反応器10からの排出ガスと共に反応器11の導入部に供給される。該気体状のフッ素化剤ボンベ6からの不活性ガスで希釈されたフッ素ガスの供給部103からも同様に、不活性ガスで希釈された気体状のフッ素化剤が所望の流量にて、反応器11からの排出ガスと共に反応器12の導入部に供給される。
テトラメチル化合物の供給部100では、テトラメチル化合物充填容器3内に充填されている液状のテトラメチル化合物に不活性ガスボンベ1よりマスフローコントローラ2を経由して不活性ガスを吹き込み、排出する該ガスにテトラメチル化合物を同伴させることにより、気体状にして反応器10に供給する。テトラメチル化合物充填容器3は、温度調節機能を有しており、内部のテトラメチル化合物の温度を制御して蒸気圧を調整することにより、所望の濃度にて気体状のテトラメチル化合物を供給できる。また、供給量は、マスフローコントローラ2により調整できる。
図示していないが、生成ガスの組成分析のため、反応器と自動式開閉弁13を連結する導管の途中に抜き出し口を設置し、この抜き出し口から流通ガスの一部を抜き出し、FT−IR(株式会社島津製作所製Prestige21)で分析する。
(CFGeの収率は、流通ガスのFT−IR分析の(CFGeのピーク強度から(CFGe濃度を求め、(CHGeの供給濃度を基準とした百分率で算出した。
[実施例1]
本例は、フッ素化剤としてフッ素ガスと気体状のテトラメチル化合物として(CHGe(STREM CHEMICALS製テトラメチルメチルゲルマニウム、純度>99%、以下同様)を使用して(CFGeを流通式で製造する例である。前記反応器10、11、12として、片端にT時型の継ぎ手が1ケ接続されているステンレス鋼製で内径10.7mm、長さ5.0mの光輝焼鈍管(BA管)を直径0.3mでコイル状に巻いたものを各々使用した。前記充填容器3内に、テトラメチル化合物として、液体状の(CHGeが充填されている。不活性ガスとして窒素ガスを用い、窒素ガスが充填されている前記ボンベ1よりマスフローコントローラ2によって、6.6L/minの流量で窒素ガスを前記充填容器3内に吹き込み、気体状の(CHGeを1.00体積%の濃度で反応器10に供給した。
また、フッ素ガスを希釈する不活性ガスとして窒素ガスを用い、供給部101では、窒素ガスで希釈された濃度0.01体積%のフッ素ガスを、供給部102では、窒素ガスで希釈された濃度3.00体積%のフッ素ガスを、供給部103では、窒素ガスで希釈された濃度10.00体積%のフッ素ガスを、それぞれ用いた。これら希釈されたフッ素ガスをマスフローコントローラ7、8、9によって、反応器10、11、12に、21.7L/min、14.5L/min、7.2L/min各々の流量で(CHGeの供給とともに供給した。その際、自動式開閉弁13によって系内の圧力は101kPa(絶対圧)に調整した。このとき、反応時の温度は24℃であり、各反応器での滞在時間は、反応器10では1.0秒、反応器11では0.6秒、反応器12では0.5秒に相当する。
反応器12から排出されるガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は1.24×10−1体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.09であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は94モル%であった。
[実施例2]
本例は、フッ素化剤としてフッ素ガスと液体状のテトラメチル化合物として(CHGeを使用して(CFGeを流通式で製造する例である。前記反応器10、11として、片端にT時型の継ぎ手が1ケ接続されているステンレス鋼製で内径10.7mm、長さ7.5mの光輝焼鈍管(BA管)を直径0.3mでコイル状に巻いたものを各々使用した。又、反応器12は用いず、したがって、前記自動式開閉弁13は導管により前記反応器11の排出口に連結され、この導管の途中に抜き出し口が設置されている。
前記充填容器3内に、液体状の(CHGeが充填されている。不活性ガスとして窒素ガスを用い、窒素ガスが充填されている前記ボンベ1よりマスフローコントローラ2によって、6.6L/minの流量で窒素ガスを前記充填容器3内に吹き込み、気体状の(CHGeを0.02体積%の濃度で反応器10に供給した。
また、フッ素ガスを希釈する不活性ガスとして窒素ガスを用い、供給部101では、窒素ガスで希釈された濃度0.01体積%のフッ素ガスを、供給部102では、窒素ガスで希釈された濃度0.1体積%のフッ素ガスを、それぞれ用いた。これら希釈されたフッ素ガスをマスフローコントローラ7、8によって、反応器10、11に、28.9L/min、14.5L/min各々の流量で(CHGeの供給とともに供給した。その際、自動式開閉弁13によって系内の圧力は101kPa(絶対圧)に調整した。このとき、いずれの反応器における反応時の温度は24℃であり、各反応器での滞在時間は、反応器10では1.1秒、反応器11では0.8秒に相当する。
反応器11から排出されるガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は2.43×10-3体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.02であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は92モル%であった。
[実施例3]
前記(CHGeの供給部100において、マスフローコントローラ2によって6.6L/minの流量で窒素ガスを前記充填容器3内に吹き込み、気体状の(CHGeを1.50体積%の濃度で反応器10に供給した。
供給部101では窒素ガスで希釈された濃度0.01体積%のフッ素ガスを、供給部102では窒素ガスで希釈された濃度10.00体積%のフッ素ガスを、マスフローコントローラ7、8によって、反応器10、11に、28.9L/min、14.5L/min各々の流量で(CHGeの供給とともに供給した。その際、自動式開閉弁13によって系内の圧力は101kPa(絶対圧)に調整した。このとき、各反応器での滞在時間は、反応器10では1.1秒、反応器11では0.8秒に相当する。その他の条件は、実施例2と同様である。
反応器11から排出されるガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は1.80×10−1体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.11であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は91モル%であった。
[実施例4]
前記(CHGeの供給部100において、マスフローコントローラ2によって6.6L/minの流量で窒素ガスを前記充填容器3内に吹き込み、気体状の(CHGeを2.00体積%の濃度で反応器10に供給した。
供給部101では窒素ガスで希釈された濃度3.00体積%のフッ素ガスを、供給部102では窒素ガスで希釈された濃度10.00体積%のフッ素ガスを、マスフローコントローラ7、8によって、反応器10、12に、28.9L/min、14.5L/min各々の流量で(CHGeの供給とともに供給した。その際、各反応器での滞在時間は、反応器10では1.1秒、反応器11では0.8秒に相当する。その他の条件は、実施例2と同様である。
反応器11から排出される生成ガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は2.48×10−1体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.05であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は94モル%であった。
[実施例5]
反応時の温度が−30℃である以外は、実施例4と同様の条件である。
反応器11から排出される生成ガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は2.51×10−1体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.01であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は95モル%であった。
[実施例6]
反応時の温度が40℃である以外は、実施例4と同様の条件である。
反応器11から排出される生成ガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は2.46×10−1体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.08であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は93モル%であった。
[実施例7]
反応時の温度が−40℃である以外は、実施例4と同様の条件である。
反応器11から排出される生成ガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は1.98×10−1体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.02であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は75モル%であった。
[実施例8]
反応時の温度が50℃である以外は、実施例4と同様の条件である。
反応器11から排出される生成ガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は2.19×10−1体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.52であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は78モル%であった。
[実施例9]
フッ素化剤としてIFガスを使用する以外は、実施例4と同様の条件である。
反応器11から排出される生成ガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は2.48×10−1体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.04であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は94モル%であった。
[実施例10]
テトラメチル化合物として(CHSi(東京化成工業社製テトラメチルシラン、純度>99.9%)を使用する以外は、実施例2と同様の条件である。
反応器11から排出されるガスをFT−IRで分析したところ、(CFSiの濃度は2.40×10−3体積%であり、CFの生成量は(CFSiに対するモル比(CF/(CFSi)で0.15であり、(CHSiを基準とした(CFSiの収率は91モル%であった。
[実施例11]
本例は、フッ素化剤としてフッ素ガスと液体状のテトラメチル化合物として(CHGeを使用して(CFGeを流通式で製造する例であり、一回目のフッ素化反応はフッ素ガスと液体状の(CHGeを接触、二回目のフッ素化反応はフッ素ガスと気体状の(CHGeを接触させる反応である。
前記反応器10として、末端にT字型の継ぎ手1ケが接続されているステンレス鋼製で内径10.7mm、長さ15.0mの光輝焼鈍管(BA管)を直径0.3mでコイル状に巻いたものを使用した。又、反応器11,12は共に用いず、したがって、前記自動式開閉弁13は導管により前記反応器10の排出口に連結され、この導管の途中に抜き出し口が設置されている。
前記充填容器3は−15℃の温度で保たれた中に(CHGeが充填されている。窒素ガスで希釈された濃度0.01体積%のフッ素ガスが充填されている前記ボンベ1よりマスフローコントローラ2によって、希釈されたフッ素ガスを30L/minの流量で充填容器3に吹き込み、充填容器3内で、液状の(CHGeとフッ素ガスを接触させ、その後、充填容器3から排出されるガス(気体状の(CHGeを濃度0.10体積%、窒素ガス、気体状の部分的にフッ素化された(CHGe及び気体状の(CFGeを含有しているガス)を反応器10に供給した。
また、供給部101では、窒素ガスで希釈された濃度2.00体積%のフッ素ガスをマスフローコントローラ7によって、反応器10に20.0L/minの流量で、充填容器3から排出されるガスとともに供給した。その際、反応器10における反応時の温度は24℃であり、反応器での(CHGeの滞在時間は、反応器10では1.6秒に相当する。その他の条件は、実施例2と同様である。
反応器10から排出される生成ガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は5.40×10−2体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.10であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は90モル%であった。
[実施例12]
前記(CHGeの供給部100において、マスフローコントローラ2によって2.0L/minの流量で窒素ガスを前記充填容器3内に吹き込み、気体状の(CHGeを0.01体積%の濃度で反応器10に供給した。
前記フッ素ガスの供給部101、102において、供給部101では窒素ガスで希釈された濃度0.005体積%のフッ素ガスを、供給部102では窒素ガスで希釈された濃度0.01体積%のフッ素ガスを、マスフローコントローラ7、8によって、反応器10、11に、32.0L/min、16.0L/min各々の流量で(CHGeの供給とともに供給した。その際、反応器での(CHGeの滞在時間は、反応器10では1.2秒、反応器11では0.8秒に相当する。その他の条件は、実施例2と同様である。
反応器11から排出される生成ガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は3.00×10−4体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.01以下であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は75モル%であった。
[実施例13]
前記(CHGeの供給部100において、マスフローコントローラ2によって6.6L/minの流量で窒素ガスを前記充填容器3内に吹き込み、気体状の(CHGeを3.00体積%の濃度で反応器10に供給した。
供給部101では、窒素ガスで希釈された濃度0.005体積%のフッ素ガスを、供給部102では窒素ガスで希釈された濃度20体積%のフッ素ガスを用いた。その他の条件は、実施例2と同様である。
反応器11から排出される生成ガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は2.81×10−1体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で1.21であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は71モル%であった。
[実施例14]
前記(CHGeの供給部100において、マスフローコントローラ2によって6.6L/minの流量で窒素ガスを吹き込み、気体状の(CHGeを4.0体積%の濃度で反応器10に供給した。
供給部101では窒素ガスで希釈された4.0体積%のフッ素ガスを、供給部102では窒素ガスで希釈された20.0体積%のフッ素ガスを用いた。その他の条件は、実施例2と同様である。
反応器11から排出される生成ガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は3.70×10−1体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で1.85であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は70モル%であった。
[実施例15]
本例は、フッ素化剤としてフッ素ガスとテトラメチル化合物として(CHGeを使用して(CFGeをバッチ式で製造する例である。反応器として、ガスを導入及び抜き出すため、開閉弁を備えた配管が1ケ接続されている1000mlのステンレス鋼製のシリンダを使用した。あらかじめ、この配管よりシリンダ内部を真空に脱気した後、(CHGeの蒸気を267Pa(絶対圧)充填した。さらに、該シリンダに、窒素で0.5体積%に希釈したフッ素ガスを100kPa導入して、反応温度24℃で10分間保持して反応させた(一回目のフッ素化)。その後、該シリンダに窒素で4.0体積%に希釈したフッ素ガスを100kPa導入して、反応温度24℃で10分間保持して反応させた(二回目のフッ素化)後、シリンダ内部のガスをFT−IRで分析した。
その結果、(CFGeの濃度は1.28×10−1体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.03であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は96モル%であった。
[比較例1]
本例は、フッ素化剤としてフッ素ガスとテトラメチル化合物として(CHGeを使用して(CFGeを流通式で製造する例である。
前記反応器10として、片端にT字型の継ぎ手1ケが接続されているステンレス鋼製で内径10.7mm、長さ15.0mの光輝焼鈍管(BA管)を直径0.3mでコイル状に巻いたものを使用した。又、反応器11、12は用いず、したがって、前記自動式開閉弁13は導管により前記反応器10の排出口に連結され、この導管の途中に抜き出し口が設置されている。
供給部101では、マスフローコントローラ7によって反応器10に、43.4L/minの流量で(CHGeの供給とともに供給した。その際、反応器10での(CHGeの滞在時間は、1.6秒に相当する。その他の条件は、実施例4と同様の条件である。
反応器10から排出される生成ガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は1.32×10−3体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.04であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は68モル%であった。
[比較例2]
本例は、実施例13と同様の反応器を使用した。
あらかじめ、配管よりシリンダ内部を真空に脱気した後、(CHGeの蒸気を267Pa(絶対圧)充填した。さらに、該シリンダに、窒素で0.5体積%に希釈したフッ素ガスを200kPa導入して、反応温度24℃で10分間保持して反応させた後、シリンダ内部のガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は9.02×10−2体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で0.42であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は69モル%であった。
[比較例3]
本例は、実施例13と同様の反応器を使用した。
あらかじめ、配管よりシリンダ内部を真空に脱気した後、(CHGeの蒸気を1kPa(絶対圧)充填した。一回目のフッ素化において、0.5体積%に希釈したフッ素ガスを100kPa導入する代わりに、希釈していないフッ素ガスを該シリンダに6kPa導入反応させた。二回目のフッ素化において、4.0体積%に希釈したフッ素ガスを該シリンダに100kPa導入する代わりに、希釈していないフッ素ガスを該シリンダに6kPa導入する以外は、実施例13と同様の条件で反応させた。
二回目のフッ素化後のシリンダ内部のガスをFT−IRで分析したところ、(CFGeの濃度は2.54体積%であり、CFの生成量は(CFGeに対するモル比(CF/(CFGe)で12.36であり、(CHGeを基準とした(CFGeの収率は33モル%であった。
以上、実施例1〜12及び比較例1の結果を表1に、実施例13及び比較例2、3の結果を表2に示す。各実施例の収率は70モル%以上であり、比較例に比べ明らかにパーフルオロテトラメチル化合物の収率は向上していることが分かる。
Figure 2015071562
Figure 2015071562
本発明の製造方法は、パーフルオロテトラメチル化合物((CFX(式中のXは、C、Si、Ge、Sn、又はPbを示す。))を安価で且つ高収率で得ることができることから、従来のパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法に比べ、効率的な製造方法であり、工業的な製造方法として提供できる。
また、本発明の製造方法で得られる化合物の利用について、XがCの場合、ドラックデリバリーシステムの材料として、XがSiの場合、半導体でのハードマスク材として、更に、XがGe、Sn、又はPbの場合は、金属ドーピングの前躯体として用いることができる。XがGe、Sn、又はPbの場合は、更に、光透過性のある電子伝導体薄膜の材料として利用可能である。
1:不活性ガスボンベ
2、7、8、9:マスフローコントローラ
3:テトラメチル化合物充填容器
4、5、6:不活性ガスで希釈したフッ素ガスボンベ
10、11、12:反応器
13:自動式開閉弁
100:テトラメチル化合物の供給部
101、102、103:不活性ガスで希釈されたフッ素ガスの供給部

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される液状又は気体状のテトラメチル化合物を気体状のフッ素化剤と反応させてフッ素化することにより、下記一般式(2)で表されるパーフルオロテトラメチル化合物を製造する方法において、
    前記フッ素化は、前記フッ素化剤を不活性ガスにより希釈して反応させるフッ素化工程を2回以上有し、2回目以降のフッ素化工程は、一つ前のフッ素化工程にて得られた未反応のテトラメチル化合物を含有する生成ガスを、一般式(1)で表されるテトラメチル化合物源として反応に用いる工程であることを特徴とするパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法。
    (CHX ・・・(1)
    (CFX ・・・(2)
    (式中のXは、C、Si、Ge、Sn、又はPbを示す。)
  2. フッ素化剤は、F、ClF、ClF、ClF、BrF、BrF、BrF、IF、IF、IF、及びIFから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法。
  3. 1回目のフッ素化工程では、フッ素化剤を0.01体積%以上3体積%以下の範囲内に希釈して反応させ、2回目以降のフッ素化工程では、フッ素化剤の濃度を0.1体積%以上10体積%以下の範囲内に希釈して反応させ、且つ、前記全てのフッ素化工程の反応時の温度が−30℃以上40℃以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法。
  4. 2回目以降のフッ素化工程のフッ素化剤の濃度は、一つ前のフッ素化工程のフッ素化剤の濃度より高いことを特徴とする、請求項3に記載のパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法。
  5. 全てのフッ素化工程のフッ素化に使用されるフッ素化剤の全供給量は、1回目のフッ素化工程において導入される該テトラメチル化合物に対するフッ素化剤のモル比(フッ素化剤/テトラメチル化合物)が12以上24以下の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のパーフルオロテトラメチル化合物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP6843490B1 (ja) * 2020-08-04 2021-03-17 積水化学工業株式会社 ガス製造装置、ガス製造システム、製鉄システム、化学品製造システムおよびガス製造方法

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