JP2015070808A - Jak2変異遺伝子の検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高感度でありながら、擬陽性を生じない正確なJAK2遺伝子変異の検出方法の提供。【解決手段】ヒト由来の遺伝子含有試料中のJAK2G1849T変異遺伝子の有無を検出する方法であって、(A)ヒト由来の遺伝子含有試料に対して遺伝子増幅手法により、JAK2遺伝子のJAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程、(B)(A)で得られた増幅物を制限酵素BsaX1で処理する工程、及び(C)(1)JAK2G1849T又はその相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブ及び(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブの存在下に、(B)で得られた処理物に対して遺伝子増幅手法により、JAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程、を含むJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。【選択図】なし
Description
本発明は、骨髄増殖性腫瘍の診断に有用なJAK2遺伝子変異の検出方法に関する。
骨髄増殖性腫瘍(MPN:myeloproliferative neoplasms)とは、造血幹細胞の異常により骨髄系細胞の過剰な増殖をきたす疾患群であり、真性赤血球増加症(PV:polycythemia vera)、本態性血小板血症(ET:essential thrombocytosis)及び原発性骨髄線維症(PMF:primary myelofibrosis)が含まれる。これらの疾患は、血栓症や心筋梗塞を併発するほか、症状が進むと白血病化することもあるため、診断を確定させる遺伝子マーカーの存在証明が必要である。
MPNにおける遺伝子マーカーとしてJAK2遺伝子の変異が知られており、その変異はJAK2V617F(JAK2G1849T)であることが知られている。この変異は、PV患者の95%、ET患者及びPMF患者のおよそ半数に見られる。現在、JAK2変異を検出することがMPNの診断基準のひとつとなっている。当該JAK2変異の検出手段としては、PNAプローブを用いたLAMP法(非特許文献1)が知られている。
G Minnucci, et al., A novel, highly sensitive and rapid allele-specific loop-mediated amplification assay for the detection of the JAK2V617F mutation in chronic myeloproliferative neoplasms, Haematologica 97: 1394-1400 (2012)
しかしながら、従来の検出技術では、感度が高くなったことに伴い、擬陽性の問題が顕在化している。すなわち、実際はJAK2変異が陰性であるにもかかわらず陽性と判定され、抗がん剤を投与されてしまうケースが懸念されている。
従って、本発明の課題は、高感度でありながら、擬陽性を生じない正確なJAK2遺伝子変異の検出方法を提供することにある。
従って、本発明の課題は、高感度でありながら、擬陽性を生じない正確なJAK2遺伝子変異の検出方法を提供することにある。
そこで本発明者は、野生型JAK2遺伝子を検出することなく、変異型JAK2遺伝子を高感度に検出できる手段を開発すべく検討したところ、変異領域を増幅するPCRを行った後、制限酵素BsaX1処理により野生型JAK2遺伝子を特異的に分解し、次いで変異型JAK2遺伝子に特異的な蛍光プローブと野生型JAK2遺伝子に特異的なBNAプローブとの存在下に再度PCRを行い、蛍光強度を測定すれば、野生型JAK2遺伝子の増幅が強力に抑制でき、変異型JAK2遺伝子が高感度で検出でき、かつ野生型JAK2遺伝子の検出を排除できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔7〕を提供するものである。
〔1〕ヒト由来の遺伝子含有試料中のJAK2G1849T変異遺伝子の有無を検出する方法であって、
(A)ヒト由来の遺伝子含有試料に対して遺伝子増幅手法によって、JAK2遺伝子のJAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程、
(B)(A)で得られた増幅物を制限酵素BsaX1で処理する工程、及び
(C)(1)JAK2G1849T又はその相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブ及び(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブの存在下に、(B)で得られた処理物に対して遺伝子増幅手法によって、JAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程、
を含むJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔2〕(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブが、LNA−BNA複合体プローブである〔1〕記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔3〕(1)JAK2G1849Tにハイブリダイゼーションする蛍光プローブが、GenBankアクセッション番号AL161450における55052番目のグアニンを先頭とし、3’側に10〜30塩基を有する配列に蛍光標識したプローブである〔1〕又は〔2〕記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔4〕(1)JAK2G1849Tの相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブが、GenBankアクセッション番号AL161450における55072番目のシトシンを先頭とし、5’側に12〜32塩基を有する配列に蛍光標識したプローブである〔1〕又は〔2〕に記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔5〕(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブがJAK2野生型遺伝子の1849Gを含む9〜21塩基又はその相補鎖を有する配列の糖鎖構造が変異したBNAプローブである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔6〕(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブが、CCACAGACACATACT又はその相補鎖を有する配列の糖鎖構造が変異したBNAプローブである〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔7〕工程(A)、次いで工程(B)のサイクルを1〜2回行う〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
(A)ヒト由来の遺伝子含有試料に対して遺伝子増幅手法によって、JAK2遺伝子のJAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程、
(B)(A)で得られた増幅物を制限酵素BsaX1で処理する工程、及び
(C)(1)JAK2G1849T又はその相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブ及び(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブの存在下に、(B)で得られた処理物に対して遺伝子増幅手法によって、JAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程、
を含むJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔2〕(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブが、LNA−BNA複合体プローブである〔1〕記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔3〕(1)JAK2G1849Tにハイブリダイゼーションする蛍光プローブが、GenBankアクセッション番号AL161450における55052番目のグアニンを先頭とし、3’側に10〜30塩基を有する配列に蛍光標識したプローブである〔1〕又は〔2〕記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔4〕(1)JAK2G1849Tの相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブが、GenBankアクセッション番号AL161450における55072番目のシトシンを先頭とし、5’側に12〜32塩基を有する配列に蛍光標識したプローブである〔1〕又は〔2〕に記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔5〕(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブがJAK2野生型遺伝子の1849Gを含む9〜21塩基又はその相補鎖を有する配列の糖鎖構造が変異したBNAプローブである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔6〕(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブが、CCACAGACACATACT又はその相補鎖を有する配列の糖鎖構造が変異したBNAプローブである〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
〔7〕工程(A)、次いで工程(B)のサイクルを1〜2回行う〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
本発明の検出方法によれば、野生型JAK2遺伝子の検出がほとんどなく、かつ変異型JAK2遺伝子を0.05%までの感度で正確に検出できる。従って、従来法と同様の高感度を維持でき、かつJAK2変異陰性の患者を陽性又は擬陽性と判定することがなくなり、必要のない患者に抗がん剤を投与する危険性を回避することが可能となった。
本発明に用いる塩基配列及び塩基番号は、Gen Bank Accessin No.AL161450の記載に基づくものである。JAK2G1849Tは、JAK2V617Fに相当する。
本発明のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法は、次の工程(A)〜(C)を含む。
(A)ヒト由来の遺伝子含有試料に対して遺伝子増幅手法によって、JAK2遺伝子のJAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程。
(B)(A)で得られた増幅物を制限酵素BsaX1で処理する工程。
(C)(1)JAK2G1849T又はその相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブ及び(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブの存在下に、(B)で得られた処理物に対して遺伝子増幅手法によって、JAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程。
本発明のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法は、次の工程(A)〜(C)を含む。
(A)ヒト由来の遺伝子含有試料に対して遺伝子増幅手法によって、JAK2遺伝子のJAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程。
(B)(A)で得られた増幅物を制限酵素BsaX1で処理する工程。
(C)(1)JAK2G1849T又はその相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブ及び(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブの存在下に、(B)で得られた処理物に対して遺伝子増幅手法によって、JAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程。
(工程(A))
工程(A)に用いるヒト由来の遺伝子含有試料としては、血液又は骨髄を用いることもでき、ヒトの赤血球、白血球、血小板又は造血幹細胞を含む試料から遺伝子を抽出した試料も用いることができる。具体的には、骨髄又は血液から、DNAを抽出した試料が挙げられる。より具体的には、骨髄又は血液から細胞を採取し、細胞を破砕し、次いでタンパク質を除去することにより得られた試料が挙げられる。
工程(A)に用いるヒト由来の遺伝子含有試料としては、血液又は骨髄を用いることもでき、ヒトの赤血球、白血球、血小板又は造血幹細胞を含む試料から遺伝子を抽出した試料も用いることができる。具体的には、骨髄又は血液から、DNAを抽出した試料が挙げられる。より具体的には、骨髄又は血液から細胞を採取し、細胞を破砕し、次いでタンパク質を除去することにより得られた試料が挙げられる。
JAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる手法としては、この変異部位を含む領域を増幅できる遺伝子増幅手法であればよく、PCR法、NASBA法、LAMP法等が挙げられる。工程(A)のPCRに用いられるプライマーとしては下記表1のインナーフォワードプライマー(FI)(配列番号3)、工程(A)のインナーリバースプライマー(RI−A)(配列番号4)、アウターフォワードプライマー(FO)(配列番号1)及びアウターリバースプライマー(RO)(配列番号2)が用いられる。
具体的には、表1のFO及びROを用いたPCRを行い、2回目以降はFI及びRI−Aを用いたPCRを行うのが好ましい。またPCR反応は1回以上、特に2回行うのが好ましい。各々のPCR反応は、90〜95℃3分→(90〜95℃30秒、55〜60℃30秒、70〜75℃40秒)×25サイクル→70〜75℃2分とするのが好ましい。
これらのプライマーを用いたPCRにより、JAK2G1849Tを含む500〜600塩基の領域が増幅される。なお、工程(A)で得られる増幅物中には、野生型JAK2の増幅物及び変異型JAK2(JAK2G1849T)の増幅物が含まれる。
(工程(B))
工程(B)は、(A)で得られた増幅物を制限酵素BsaX1で処理する工程である。この処理は、例えばこの増幅物に制限酵素BsaX1を添加し、35〜40℃で1〜3時間行うのが好ましい。
工程(B)は、(A)で得られた増幅物を制限酵素BsaX1で処理する工程である。この処理は、例えばこの増幅物に制限酵素BsaX1を添加し、35〜40℃で1〜3時間行うのが好ましい。
この制限酵素処理により、野生型JAK2遺伝子が特異的に分解され、変異型JAK2遺伝子が濃縮される。この制限酵素処理は1回以上、特に2回行うのが好ましい。
さらに、工程(A)の遺伝子増幅を行い、次いで工程(B)を行うというサイクルを1回以上、特に2回繰り返すのが、野生型JAK2遺伝子を分解し、変異型JAK2遺伝子を濃縮するうえで特に好ましい。
(工程(C))
工程(C)は、(1)JAK2G1849T又はその相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブ及び(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブの存在下に、(B)で得られた処理物に対して遺伝子増幅手法によりJAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程である。
工程(C)は、(1)JAK2G1849T又はその相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブ及び(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブの存在下に、(B)で得られた処理物に対して遺伝子増幅手法によりJAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程である。
(1)JAK2G1849T又はその相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブは、JAK2G1849Tの変異部位にハイブリダイゼーションするプローブであり、JAK2G1849T(変異型JAK2遺伝子)を検出するためのプローブである。当該プローブとしては、JAK2G1849Tにハイブリダイゼーションする蛍光プローブの場合は、GenBankアクセッション番号AL161450における55052番目のグアニンを先頭とし、3’側に10〜30塩基を有する配列に蛍光標識したプローブが好ましい。また、JAK2G1849Tの相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブの場合は、GenBankアクセッション番号AL161450における55072番目のシトシンを先頭とし、5’側に12〜32塩基を有する配列に蛍光標識したプローブであるのが好ましい。さらに具体的には、表1の配列番号6の配列を有する配列に蛍光標識したプローブが好ましい。
(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブは、野生型JAK2遺伝子に特異的にハイブリダイゼーションして野生型JAK2遺伝子の増幅を抑制するプローブである。当該プローブとしては、JAK2野生型遺伝子の1849Gを含む9〜21塩基又はその相補鎖を有する配列の糖鎖構造が変異したBNAプローブが好ましく、JAK2の野生型遺伝子1849Gを含む12〜17塩基又はその相補鎖を有する配列の糖鎖構造が変異したBNAプローブがより好ましい。さらに具体的には、CCACAGACACATACT又はその相補鎖を有する配列の糖鎖構造が変異したBNAプローブが好ましい。ここでBNAプローブの糖鎖構造としては、以下のものが挙げられる。
(式中、Rは、アルキル基を示し、特にメチル基が好ましい。)
これらの糖鎖構造のうち、2種以上を有するLNA−BNA複合体プローブを用いるのが好ましく、LNAと2’,4’−BNACOCの複合態プローブ、LNAと3’−Amino−2’,4’−BNAの複合体プローブ、LNAと2’,4’−BNANCの複合体プローブ等がさらに好ましい。
本発明のようなBNAプローブを用いた場合、PNAプローブを用いた場合に比べて、検出感度が顕著に向上する。
工程(C)のPCRは、前記蛍光プローブ及びBNAプローブの存在下で行う。PCR反応は、JAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅できるプライマーを用いて行えばよい。例えば、表1のインナーフォワードプライマー(FI)とインナーリバースプライマー(RI−B)を用いてPCR反応を行うのが好ましい。またPCR反応は1回以上で行えばよい。PCR反応は、例えば90〜95℃3分→(90〜95℃30秒,55〜65℃30秒,65〜70℃30秒)×40サイクルとするのが好ましい。
工程(C)により、JAK2G1849Tの変異部位を有するDNAが増幅され、かつBNAクランプにより野生型JAK2遺伝子の増幅が顕著に抑制される。PCR反応後は、反応液の温度を上昇させながら蛍光プローブの蛍光強度を測定すればよい。
本発明方法によれば、工程(B)により野生型JAK2遺伝子が分解され、かつ工程(C)により変位型JAK2遺伝子のみが増幅されるため、擬陽性の危険性をなくし、かつ高感度でJAK2G1849Tを検出できる。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
試験例1
(1)反応液20μL(0.5×Titanium Taq DNA polymerase,1×Titanium PCR buffer,0.2mM dNTP mix,0.5μM FO(表1)、RO(表1)、template genomic DNA 1μL)を調製し、検出したい変異を含む領域をPCR法により増幅した調製した(温度条件:94℃,3min→(94℃,30sec,58℃,30sec,72℃,40sec)×25cycles→72℃,2min)。
(2)PCR後の反応液1μLを制限酵素反応液10μL(0.4units BsaXI,1×NEBuffer 4)へ供試し、37℃、2時間処理した。
(3)本技術の感度の確認のため、上記のPCR、制限酵素処理を1回、2回、3回実施したサンプルを準備し、続く融解曲線解析へ供試した。なお、2回目以降のPCRでは、プライマーはFO、ROの代わりにFI(表1)、RI−A(表1)を用いた。
(4)融解曲線解析では、制限酵素処理したサンプル1μLを反応液15μL(0.5×Titanium Taq DNA polymerase,1×Titanium PCR buffer,0.2mM dNTP mix,1μM FI(表1)、0.1μM RI−B(表1)、0.5μM BNAプローブ(表1)、0.05μM蛍光プローブ(表1))中へ添加し、PCRを実施した(温度条件:94℃,5min→(94℃,30sec,60℃,30sec,68℃,30sec)×40cycles)。PCR後、反応液を95℃、2min→65℃、2min→40℃,2minの条件でインキュベートしたのち、0.5℃/secの割合で40℃から80℃までの蛍光強度を継続的に測定した。
(1)反応液20μL(0.5×Titanium Taq DNA polymerase,1×Titanium PCR buffer,0.2mM dNTP mix,0.5μM FO(表1)、RO(表1)、template genomic DNA 1μL)を調製し、検出したい変異を含む領域をPCR法により増幅した調製した(温度条件:94℃,3min→(94℃,30sec,58℃,30sec,72℃,40sec)×25cycles→72℃,2min)。
(2)PCR後の反応液1μLを制限酵素反応液10μL(0.4units BsaXI,1×NEBuffer 4)へ供試し、37℃、2時間処理した。
(3)本技術の感度の確認のため、上記のPCR、制限酵素処理を1回、2回、3回実施したサンプルを準備し、続く融解曲線解析へ供試した。なお、2回目以降のPCRでは、プライマーはFO、ROの代わりにFI(表1)、RI−A(表1)を用いた。
(4)融解曲線解析では、制限酵素処理したサンプル1μLを反応液15μL(0.5×Titanium Taq DNA polymerase,1×Titanium PCR buffer,0.2mM dNTP mix,1μM FI(表1)、0.1μM RI−B(表1)、0.5μM BNAプローブ(表1)、0.05μM蛍光プローブ(表1))中へ添加し、PCRを実施した(温度条件:94℃,5min→(94℃,30sec,60℃,30sec,68℃,30sec)×40cycles)。PCR後、反応液を95℃、2min→65℃、2min→40℃,2minの条件でインキュベートしたのち、0.5℃/secの割合で40℃から80℃までの蛍光強度を継続的に測定した。
本実験で使用した測定サンプルは野生型遺伝子をもつ細胞株(UT−7/EPO株)と変異型遺伝子をもつ細胞株(HEL株)より抽出したDNAを任意の変異の割合(0.001%,0.005%,0.01%,0.05%,0.1%,0.5%,1%及び10%)となるようブレンドしたものである。
得られた蛍光データを用いて、蛍光強度の変化量(時間微分)を算出し、温度との関係をグラフ化した(図1)。測定サンプル中の変異の有無は58℃付近に現れるピークの有無で判定される。その結果、図1のように本発明方法によれば感度0.05%まではっきりと変異を検出できた。
試験例2
試験例1の条件のもと、健常人30人分のサンプルを用いて擬陽性が検出されるかを検討した。なお、最初のPCR、制限酵素のステップは2回繰り返した。また、陽性コントロールとして、HEL株より抽出したDNAを用いた。
その結果、図2に示すように、30例の健常者サンプルのJAK2変異を測定したが、ひとつとして陽性例は検出されなかった。この実験は3回実施し、延べ90回検討している。
ひとつ蛍光強度に変化が見られているが、これは陽性コントロール(JAK2変異陽性の細胞株抽出DNA)である。また、灰色のラインは測定サンプルの代わりに水を添加したno template controlである。
試験例1の条件のもと、健常人30人分のサンプルを用いて擬陽性が検出されるかを検討した。なお、最初のPCR、制限酵素のステップは2回繰り返した。また、陽性コントロールとして、HEL株より抽出したDNAを用いた。
その結果、図2に示すように、30例の健常者サンプルのJAK2変異を測定したが、ひとつとして陽性例は検出されなかった。この実験は3回実施し、延べ90回検討している。
ひとつ蛍光強度に変化が見られているが、これは陽性コントロール(JAK2変異陽性の細胞株抽出DNA)である。また、灰色のラインは測定サンプルの代わりに水を添加したno template controlである。
試験例3
試験例1の条件において、BNAプローブの代わりにPNAプローブを用いて、それぞれの感度を比較した。最初のPCR、制限酵素のステップは2回実施し、用いたPNAプローブの濃度はBNAプローブと同様とした。
その結果、図3に示すように、PNAプローブでは検出感度が0.5%までであり、BNAプローブでは感度0.05%まで検出できた。
試験例1の条件において、BNAプローブの代わりにPNAプローブを用いて、それぞれの感度を比較した。最初のPCR、制限酵素のステップは2回実施し、用いたPNAプローブの濃度はBNAプローブと同様とした。
その結果、図3に示すように、PNAプローブでは検出感度が0.5%までであり、BNAプローブでは感度0.05%まで検出できた。
Claims (7)
- ヒト由来の遺伝子含有試料中のJAK2G1849T変異遺伝子の有無を検出する方法であって、
(A)ヒト由来の遺伝子含有試料に対して遺伝子増幅手法によって、JAK2遺伝子のJAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程、
(B)(A)で得られた増幅物を制限酵素BsaX1で処理する工程、及び
(C)(1)JAK2G1849T又はその相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブ及び(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブの存在下に、(B)で得られた処理物に対して遺伝子増幅手法によって、JAK2G1849T部位を含む検出領域を選択的に増幅させる工程、
を含むJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。 - (2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブが、LNA−BNA複合体プローブである請求項1記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
- (1)JAK2G1849Tにハイブリダイゼーションする蛍光プローブが、GenBankアクセッション番号AL161450における55052番目のグアニンを先頭とし、3’側に10〜30塩基を有する配列に蛍光標識したプローブである請求項1又は2記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
- (1)JAK2G1849Tの相補鎖にハイブリダイゼーションする蛍光プローブが、GenBankアクセッション番号AL161450における55072番目のシトシンを先頭とし、5’側に12〜32塩基を有する配列に蛍光標識したプローブである請求項1又は2に記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
- 〔5〕(2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブが、JAK2野生型遺伝子の1849Gを含む9〜21塩基又はその相補鎖を有する配列の糖鎖構造が変異したBNAプローブである請求項1〜4のいずれかに記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
- (2)JAK2野生型遺伝子又はその相補鎖にハイブリダイゼーションするBNAプローブが、CCACAGACACATACT又はその相補鎖を有する配列の糖鎖構造が変異したBNAプローブである請求項1〜5のいずれかに記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
- 工程(A)、次いで工程(B)のサイクルを1〜2回行う請求項1〜6のいずれかに記載のJAK2G1849T変異遺伝子の検出方法。
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CN114350767A (zh) * | 2022-01-17 | 2022-04-15 | 武汉海希生物科技有限公司 | 检测jak2基因v617f突变的引物和探针及其应用和试剂盒 |
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2013
- 2013-10-03 JP JP2013207818A patent/JP2015070808A/ja active Pending
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