JP4216266B2 - 高感度な既知変異遺伝子検出方法、およびegfr変異遺伝子検出方法 - Google Patents

高感度な既知変異遺伝子検出方法、およびegfr変異遺伝子検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、PNAからなるクランププライマーとLNAを含む変異プローブとを用いて野生型遺伝子群に混在する既知の変異遺伝子を検出する方法と、当該方法によりヒト上皮成長因子受容体の変異遺伝子を特異的に検出する変異プローブとクランププライマーの提供、及びその使用方法に関する。
癌は心疾患、脳血管疾患と並ぶ三大生活習慣病の一つであり、現在日本における最大の死因となっている。癌発生は通常人体を構成する一部の細胞が癌化して、癌細胞となることに端を発する。多くの場合、細胞の癌化は細胞分裂や細胞増殖等に関与する遺伝子の突然変異に起因している。このような癌の原因となる遺伝子の突然変異は、遺伝子の塩基配列上の一つの塩基が他の塩基に置換した点突然変異であることが多い。
癌の早期治療のためには、癌細胞の早期発見が重要となる。癌細胞の有無は通常、検体から病理組織切片や細胞を採取し、固定、染色後に細胞検査士等によって顕微鏡下で診断される。しかし、このような病理診断法は組織形態学の専門的な知識と技術が必要とされる上に、結果が出るまでに数日を要し、また大量な処理が困難であるという問題点があった。そこで近年、PCR法等の遺伝子増幅法を応用して癌細胞を遺伝子レベルで迅速、かつ簡便に検出する方法が開発されている。例えば、PNA(Peptide Nucleic Acid)やLNA(Locked Nucleic Acid)等の核酸類似体をプライマーやプローブとして用いた変異遺伝子検出法が挙げられる。
PNAとは、ペプチド核酸とも呼ばれる人工的に化学合成された核酸類似物である。五単糖とリン酸から構成される核酸の基本骨格を、グリシンを単位とする電荷の無いポリアミド骨格に置換した構造をもつ。相補的な塩基配列を有する核酸に対してDNAやRNAよりも特異的、かつ強力に結合する。一方で、化学合成物質であることから核酸ポリメラーゼやヌクレアーゼが作用しない性質を有する。このような性質を利用して、非特許文献1のように、野生型ras遺伝子に特異的なPNAオリゴマーを用いてPCR法を行うことで野生型遺伝子を抑制し、変異遺伝子のみを選択的に増幅させる方法等が知られている。
LNAは、ロックド核酸とも呼ばれる核酸類似体であり(特許文献1)、リボヌクレオシドのリボース環の2'−酸素と4'−炭素間のメチレン結合によってリンクされた構造をもつ分子の総称である。PNAと同様に相補的な塩基配列を有する核酸に対して親和性が高く、DNAやRNAよりも特異的、かつ強力に結合する。一方、PNAと異なり、ヌクレアーゼに対する感受性を有する他、核酸ポリメラーゼのプライマーとしても機能し得る。このような性質を利用して、非特許文献2のように、LNAプローブを用いて静脈血栓塞栓症の発症率を高めるV因子ライデン変異(Factor V Leiden mutation)をPCR法によって検出する方法も報告されている。
しかし、通常検体から得られる細胞集団の大多数は野生型の遺伝子を有する正常細胞であり、変異遺伝子を有する癌細胞は極僅かに混在するに過ぎない。したがって、上記のような遺伝子増幅法を用いた変異遺伝子検出法を行ったとしても、野生型遺伝子のバックグラウンドが高いために検出感度が低く、また結果の信頼性も十分とは言い難かった。そのため実際臨床で遺伝子検査として使用するにはまだ多くの問題を残していた。しかし、このような多数の野生型遺伝子から変異遺伝子を検出する技術は、癌の早期発見のみならず、臨床上の癌治療においても極めて重要な意味を持つ。その顕著な例が、非小細胞肺癌(non−small cell lung cancer:以下NSCLCとする)に対する分子標的薬ゲフィチニブ(Gefitinib:商品名「イレッサ」Iressa)の感受性である。
NSCLSは、肺癌症例の約75%を占める疾患である。進行性が速いことから半数以上の患者は癌発見時に手術不能な状態であることが多く、また死亡率も高い。このような進行性肺癌には通常抗がん剤としてプラチナ製剤やドセタキセル(Docetaxel)を用いた化学療法と放射線療法の併用による治療が行われるが、一部の例を除き十分な効果はあげられていない。(非特許文献3)
ゲフィチニブは英国アストラゼネカ社が開発した経口抗癌治療剤である。従来の抗がん剤の作用がDNA合成や細胞分裂を広く阻害するのに対して、ゲフィチニブは、ヒト上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:以下EGFRとする)を標的とする。EGFRは、細胞外ドメインに上皮成長因子(EFG)等のリガンドが結合すると二量体を形成し、細胞内ドメインのチロシンキナーゼ活性化が起きる。この活性によって自己リン酸化が引き起こされ、下流の細胞内シグナル伝達経路が作動される。EGFRの活性化が細胞増殖に関与することや、NSCLC患者の多くでEGFR遺伝子の突然変異が確認されていること、そしてNSCLC患者ではEGFRタンパク質の過剰発現が見出されること等の結果から、EGFR遺伝子の変異がNSCLCの発症の一因であると考えられている。ゲフィチニブは、EGFRの自己リン酸化を阻害することでシグナルの伝達を遮断する作用を持つために分子標的剤と呼ばれている。
ゲフィチニブは日本では2002年に承認された。当該治療剤の投与によって一部のNSCLC患者は劇的な治療効果が現れている。一方で、間質性肺炎等の副作用により死亡するという例も発生している。ゲフィチニブのこのような作用効果の二面性については、未だに原因は不明であるが、近年になって非特許文献4、及び5において、EGFRの遺伝子変異とゲフィチニブの有効性の密接な関係が発表された。これらの文献によれば、ゲフィチニブの投与によって良好な治療効果が得られたNSCLC患者(ゲフィチニブ感受性患者)は、いずれもEGFR遺伝子上の特定の位置に変異を有していた。すなわち、ゲフィチニブはEGFRの活性阻害剤としてではなく、変異したEGFRの活性阻害剤として作用することが示唆された。したがって、EGFR遺伝子上の特定の変異の有無を検出することができれば、NSCLC患者へのゲフィチニブ投与の是非を検索することが可能となる。
上記の例のように、野生型遺伝子群に混在する変異遺伝子の検出は、癌の早期発見や個々の患者に応じたテーラーメイド治療を実現化する上で極めて重要であり、そのような変異遺伝子を簡便に、かつ高感度に検出できる方法の開発が望まれている。
特表2002−521310 Thiede C. et al. 1996, 24,983−984 Orum H. et al. 1999, 45:11;1898−1905 Muhsin M. et al. Nat. Rev. Drug Discov.2003,2(7);515−516. Paez G.J. et al. Science, 2004, 304;1497−1500 Lynch T.J. et al. N Engl J Med, 2004,350; 2129−2139
本発明は、係る問題点に鑑み、野生型遺伝子群に混在する変異遺伝子を迅速、かつ簡便に、そして高感度に検出できる方法の提供を目的とする。また、当該方法を用いてEGFR変異遺伝子を検出するに当たり、高感度で信頼性の高い結果が得られる条件の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、標的部位に対して、野生型遺伝子の配列を有するPNAからなるクランププライマーと、LNAを含み変異遺伝子の配列からなる変異プローブを用いて遺伝子増幅反応を行うことにより、PNAからなるクランププライマーやLNA変異プローブをそれぞれ独で使用して遺伝子増幅反応を行った時よりも変異遺伝子の検出感度が飛躍的に向上することを見出した。本発明は、係る発見に基づいて完成された変異遺伝子検出方法を提供する。また、本発明者らは前記変異遺伝子検出方法により既知のEGFR遺伝子の変異を特異的、かつ高感度に検出できる変異プライマーと、クランププライマーを見出した。さらに高い検出効果の得られるこれらの変異プライマーとクランププライマーの組み合わせの方法を見出した。本発明は、そのような発見に基づいて完成されたEGFRの変異遺伝子の検出法と、それに使用する変異プライマーとクランププライマーを提供する。
本発明によれば、遺伝子プールに混在する変異遺伝子の有無を迅速に、また簡便に、また高精度に、そして高感度に検出することができる。すなわち、本発明によれば、遺伝子プールにおける変異遺伝子の混在率が0.1%でも検出が可能であり、また、増幅反応に伴うバックグラウンドの出現はほとんど検出されない。さらに結果が出るまでに要する時間は約2時間で済む。その上、本発明の変異プローブとクランププライマーを用いれば既知のEGFR遺伝子の変異を特異的、かつ高感度に検出可能することが可能である。当該検出方法を「PNA−LNA−PCRクランプ法」と呼ぶ。
以下に、各発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれらの実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる様態で実施しうる。
<実施形態1> 実施形態1について説明する。本実施形態は、主に請求項1に関する。本実施形態の概要は、遺伝子プールに混在する既知の変異遺伝子の有無を検出する方法であって、野生型遺伝子の配列を有する標的部位の全部または一部にハイブリダイゼーションするPNAからなるクランププライマーと、変異遺伝子の配列を有する標的部位の全部または一部にハイブリダイゼーションし、配列の少なくとも一部がLNAにより構成されている変異プローブと、前記遺伝子プールとを遺伝子増幅用反応液中に共存させ、遺伝子増幅法により変異遺伝子の標的部位を含む検出領域を選択的に増幅させることで、該変異遺伝子の有無を検出する変異遺伝子検出方法である。
実施形態1の要件について説明する。まず、本発明において、DNA、RNA、核酸、遺伝子、遺伝子発現、コード、相補、鋳型、プロモーター、プローブ、プライマー、ハイブリダイゼーション、PCR等の用語の定義に関しては、現在、分子生物学、遺伝学、遺伝子工学等で広く一般的に使用されている用語と同じ意味である。
本発明において「野生型遺伝子」とは、変異を生じておらず、本来の正常な機能を有する遺伝情報を含む遺伝子である。ここで言う遺伝情報とは、mRNA、tRNA、rRNA、snRNA等の情報をコードする転写領域だけでなく、プロモーター等の遺伝子発現上必要な調節領域を含むものとする。
本発明において「変異遺伝子」とは、変異を生じた遺伝子である。「変異」とはDNAやRNA等の核酸配列の変化であり、遺伝学等で使用される塩基置換、挿入、欠失、逆位、重複、転座等が該当する。当該変異遺伝子において、変異の存在する領域は転写領域だけでなく、プロモーター等の遺伝子発現上必要な調節領域を含むものとする。なお、変異により変異遺伝子が機能上の変化を有する必要はない。
本発明において「遺伝子プール」とは、多数の遺伝子から構成される遺伝子集団を言う。例えば、患者の胸水に含まれる全細胞から得られるゲノムDNA等が該当する。このとき、検出の対象である遺伝子における変異遺伝子の存在率は問わない。例えば、100%が野生型遺伝子であってもよいし、50%が野生型遺伝子で残り50%が変異遺伝子であってもよい。また、当該プールの遺伝子は、細胞から得られるゲノムDNAであってもよいし、細胞から調製されたmRNAを鋳型にして逆転写反応を行って得られるcDNAであってもよいし、クローン化された多数の遺伝子を人工的に混合したものであってもよい。
本発明において「配列」とは、遺伝子、またはプライマー、またはプローブにおける塩基の並びである塩基配列をいう。当該塩基配列はDNAやRNA等の核酸によって構成されていてもよいし、核酸でPNAやLNA等の核酸類似体から構成されていてもよいし、またそれらの組み合わせから構成されていてもよい。本発明においては、例えばその塩基配列が特にDNAで構成されている場合は「DNA配列」とし、またその塩基配列がPNAで構成されている場合は「PNA配列」とする。また、本発明において「ポリヌクレオチド」とは、DNA、またはRNA、またはPNA、またはLNA、あるいはその組み合わせによって構成されているものをいう。
本発明において「標的部位」とは、変異遺伝子において変異が見られる塩基が存在する部位、若しくは変異によって塩基が失われた部位であり、野生型遺伝子を含め、本発明において検出の標的とする部位である。例えば、塩基置換があった場合には野生型遺伝子、変異遺伝子共に当該塩基置換した塩基が該当する。また挿入があった場合には変異遺伝子においては挿入された塩基が該当し、野生型遺伝子においては変異遺伝子で塩基が挿入された部位が該当する。また欠失があった場合には変異遺伝子においては欠失によって塩基が失われた部位が該当し、野生型遺伝子においては変異遺伝子で失われた塩基が該当する。当該標的部位の配列は、遺伝情報をコードする配列を有する側(以下センス側とする)を示すものであってもよいし、センス側に対して相補的な配列を有する側(以下アンチセンス側とする)を示すものであってもよい。
本発明において「PNA」とは、通常のPNAだけでなく、PNAを基礎として改良されたPNAに類似の性質を有するPNA誘導体を含むものとする。例えば、Active Motif 社のgripNA等が該当する。
本発明において「クランププライマー」とは、標的部位にハイブリダイゼーションするPNAからなるプライマーをいう。当該クランププライマーは、全配列がPNAによって構成されている。したがって、プライマーとしてハイブリダイゼーションする際に、PNAの性質により塩基配列に対する非常に高い選択性を示す。また、PNAが核酸ポリメラーゼやヌクレアーゼに作用しない性質から、当該クランププライマーもプライマーとして機能せず、ヌクレアーゼに対しても完全な耐性を有する。本実施形態においては、当該クランププライマーの塩基配列が野生型遺伝子の配列に相補的な配列であることを特徴とする。当該クランププライマーの塩基配列は標的部位の一部、または全部と特異的にハイブリダイゼーションするものであれば、特に限定はされない。クランププライマーの長さは、10塩基から25塩基であれば特に問わない。遺伝子プール中には変異遺伝子の数よりも野生型遺伝子の数が多いことから、クランププライマーが野生型遺伝子に十分にハイブリダイゼーションできるために、遺伝子増幅用反応液中でクランププライマーの濃度が変異プローブの濃度の10倍以上あることが好ましい。例えば変異プローブの濃度を100nMとするとき、クランププライマーの濃度は1μM、好ましくは5μM程度にすることである。なお、クランププライマーの合成はPNAオリゴの委託合成を行っている各業者に委託してもよい。例えば、グライナージャパン社に委託してもよい。
本発明において「LNA」とは、通常のオキシ−LNA、チオ−LNA、アミノ−LNA等のLNA変異体はもちろんのこと、LNAを基礎として改良されたLNAに類似の性質を有するLNA誘導体の含むものとする。
本発明において「変異プローブ」とは、標的部位にハイブリダイゼーションし、DNA配列のうち少なくとも一つ以上がLNAに置換された変異プローブである。本実施形態においては、当該変異プローブの塩基配列が変異遺伝子の配列に相補的な配列であることを特徴とする。当該変異プローブの塩基配列は標的部位の一部、または全部と特異的にハイブリダイゼーションし、Tm値が好ましくは54℃から56℃の範囲内であれば特に限定はされない。変異プローブの配列は、マニュアルでデザインし、Tm値をLNA Tm prediction tool(http://lna−tm.com/)で確認することが好ましい。当該変異プローブの塩基数は10塩基から50塩基であり、好ましくは15塩基から25塩基である。LNAの数は1つ以上存在すればよく、全てがLNAに置換されていてもよい。当該変異プローブにおいてLNAと置換する位置については、標的部位において野生型遺伝子では見られない塩基が存在する場合には、当該塩基の少なくとも一つ以上をLNAで置換することが好ましい。例えば、変異が数塩基の挿入の場合には、挿入された数塩基のうち少なくとも一つ以上をLNAで置換するとよい。変異プローブの合成はLNAオリゴの委託合成を行っている各業者に委託してもよい。例えば、オランダExicon社や米国Integrated DNA Technologies(IDT)社等であってもよい。
本発明において「遺伝子増幅法」とは、増幅プライマーを用いて標的部位を含む検出領域を増幅する方法である。本実施形態で使用する遺伝子増幅反応は、検出領域を増幅できれば特に問わない。例えば、PCR法であってもよいし、ICAN法(isothermal and chimeric primer−initiated amplification of nucleic acids法)であってもよいし、LAMP法(Loop−mediated isotheremal amplification法)であってもよい。当該遺伝子増幅法において、遺伝子増幅を行うための化学反応を「遺伝子増幅反応」という。
本発明において「遺伝子増幅用反応液」とは、前記遺伝子増幅法において遺伝子増幅反応を行う上で必要な試薬等を含有する溶液である。当該遺伝子増幅用反応液の組成は、使用する遺伝子増幅法によって多少異なるが、通常は基質としての4種のデオキシヌクレオシド三リン酸(dATP、dTTP、dCTP、dGTP:以下まとめてdNTPとする)と、酵素としてのDNAポリメラーゼと、前記酵素の補因子としてのマグネシウムイオンと、伸長用のプライマーとしての増幅プライマーと、をバッファー中に含むことを基本とする。前記dNTPの濃度は、4種の各終濃度が100nMから400nMの範囲で最適な濃度を検討すればよい。前記DNAポリメラーゼは、当該遺伝子増幅法に適する性質を有したものを使用する。例えば、LAMP法であれば鎖置換型DNAポリメラーゼを使用するのがよい。前記マグネシウムイオン濃度は、終濃度が1mMから6mMの範囲で最適な濃度を検討すればよい。
前記「増幅プライマー」とは、遺伝子増幅法で検出領域を増幅するために用いられるプライマーである。増幅プライマーは、DNA、RNA等の核酸、またはLNA、またはそれらの組み合わせによって構成される。増幅プライマーの濃度は、終濃度が100nMから1μMの範囲で最適な濃度を検討すればよい。
この場合は、変異プローブの5'側である上流にハイブリダイゼーションする増幅プライマーが無いことが好ましい。また、この場合には、プライマーの配列中に標的部位を含んでいてもよい。増幅プライマーの数は、標的部位を含む検出領域を前記遺伝子増幅法によって増幅可能であれば特に問わない。例えば、1つのプライマーが、伸長する方向が向かい合うように単独でハイブリダイゼーションできる場合には、増幅プライマーの数は1つであってもよい。また、伸長する方向がお互いに向かい合う形で鋳型にハイブリダイゼーションできるばあいであれば、異なる1つの増幅プライマーであってもよい。増幅プライマーの塩基数は、10塩基から40塩基の範囲であれば特に問わないが、好ましくは15塩基から30塩基であり、特に好ましくは18塩基から25塩基である。増幅プライマー間の距離、すなわち検出領域は100塩基から5000塩基(5kb:以下1000塩基を1kbで表す)の範囲であれば特に問わないが、好ましくは150塩基から2kbである。増幅プライマーの配列は、標的部位を含む検出領域を前記遺伝子増幅法によって増幅可能であり、Tm値が50℃から65℃の範囲内であり、好ましくは55℃から60℃の範囲内であれば特に問わない。増幅プライマーの配列のデザインは、マニュアルで行ってもよいし、適当なプライマーデザイン用のソフトウェアを用いてもよい。例えば、Primer3 software (http://frodo.wi.mit.edu/cgi−bin/primer3/primer3.cgi)等を用いてもよい。前記変異プローブが増幅プライマーとして機能してもよい。
バッファーは、前記DNAポリメラーゼの活性が得られる至適pH、および至適塩濃度を有する。使用する遺伝子増幅法によっては、さらにリボヌクレアーゼH(RNaseH)や逆転写酵素(RT)等を含んでいてもよい。また、遺伝子増幅用反応液は、各遺伝増幅法の反応用として様々なタイプが市販されているが、そのような市販のキットに添付されたものを用いてもよい。Taq DNAポリメラーゼを酵素とする場合、当該遺伝子増幅用反応液の組成の基本的な一例を挙げれば、10mM Tris−HCL(pH8.3)/50mM KCl/2mM MgCl/2.5U Taq DNAポリメラーゼである。もちろん、この条件に限られるものではない。
本発明において「検出領域」とは、前記増幅プライマーを用いて前記遺伝子増幅反応を行った結果増幅される標的部位を含む領域である。検出領域の増幅産物は、増幅プライマーに由来する部分を除けばDNA配列からなる断片として増幅される。本発明によれば、検出領域は変異遺伝子由来のものが選択的に増幅される。したがって、当該検出領域の増幅産物を以降の増幅した核酸の検出に用いてもよい。
本発明において「共存」とは、遺伝子増幅用反応液中で共に存在し、お互いが影響し得る状態にあることをいう。
本実施形態の原理を図1で例示し、以下で説明する。なお、図1の例は変異遺伝子の変異が点突然変異で、遺伝子増幅反応がPCR法の場合を示している。
(プローブ、およびプライマーの鋳型へのハイブリダゼーション) まず、野生型遺伝子(0103)の標的部位(0101)に相補的な配列であるPNAからなるクランププライマー(0105)と、変異遺伝子(0104)の標的部位(0102)に相補的な配列で、かつLNAを含むDNAからなる変異プローブ(0106)とを、増幅用プライマー(0107)、及び遺伝子プールと共に遺伝子増幅用反応液中に共存させる。通常野生型遺伝子は、遺伝子プール中に多数存在することからクランププライマーは、やや過剰に加えておく。これによって、クランププライマーと、変異プローブと、増幅用プライマーは、検出の対象である遺伝子上のそれぞれに相補的な配列上にハイブリダイゼーションする。標的部位が同じことからクランププライマーと変異プローブは、全部または、一部の塩基配列がお互いに一致する。したがって標的部位への両者のハイブリダイゼーションは本来競合し合う。しかし、PNAとLNAは相補的な塩基配列に対してそれぞれ高い特異性を有することから、変異がわずか1塩基の相違であっても、実際には図1(A)のようにクランププライマーの大多数は野生型遺伝子の標的部位にハイブリダイゼーションし、また変異プローブの大多数は変異型遺伝子の標的部位にハイブリダイゼーションする。
(プライマー伸張反応) 次に、当該遺伝子増幅用反応液に対して遺伝子増幅法によりプライマーの伸長反応を行う。図1(B)で示すようにクランププライマーはプライマーとして機能しないため伸張反応は生じない。したがって、野生型遺伝子の標的部位を含む検出領域の増幅は、クランププライマーのハイブリダイゼーションによって抑制される。一方、LNAにはPNAのようなプライマー伸長を阻害する性質はない。つまり、変異プローブは、プライマーとして機能し得ることから伸長反応が起こり、図1(C)のように増幅プライマーとの間で、変異遺伝子の標的部位を含む検出領域が増幅される。
(遺伝子増幅反応サイクル) 伸長反応終了後、クランププライマーと、変異プローブと、増幅用プライマーを、検出の対象である遺伝子上のそれぞれに相補的な配列上に再びハイブリダイゼーションさせる。再ハイブリダイゼーションの反応は、例えば、PCR法の場合は90℃前後にまで加熱させる熱変性処理を加えるが、この処理は遺伝子増幅法によっては必ずしも必要としない。例えば、ICAN法やLAMP法のように50℃から65℃の一定温度で増幅可能な場合が該当する。遺伝子増幅法により遺伝子増幅反応のサイクルを繰り返すことで変異遺伝子の標的部位を含む検出領域を選択的に増幅させることができる。サイクル数は遺伝子増幅法によって、あるいは使用するDNAポリメラーゼの種類によって異なるが、30サイクルから55サイクルの範囲であれば特に問わない。好ましくは35サイクルから50サイクル、特に好ましくは40サイクルから45サイクルである。
(増幅産物の検出) 記遺伝子増幅法によって、増幅された変異遺伝子の検出領域の検出を行う。当該検出法については変異遺伝子の検出領域の増幅が確認できれば、その検出方法については問わない。例えば、遺伝子増幅反応後の溶液をフェノール・クロロホルム(1:1)溶液で除タンパク処理後、水層を直接か、あるいはエタノール沈殿や適当な精製キットを用いて精製した後、波長260nmの吸光度を吸光光度計を用いて測定してもよいし、増幅産物を電気泳動によりアガロースゲル、またはポリアクリルアミドゲルで展開した後、適当なプローブを用いてサザンハイブリ法によって検出してもよいし、金ナノ粒子を用いたクロマトハイブリ法によって検出してもよいし、増幅した遺伝子による溶液の濁度を測定してもよい。または増幅プライマーの5'末端を予め蛍光標識しておき、遺伝子増幅反応後にアガロースゲル、またはポリアクリルアミドゲルで電気泳動後、イメージングプレートに蛍光発光を取り込み、適当な検出装置を用いて検出してもよい。以上の検出方法は、前記コントロールの他、それぞれに適当なコントロールの結果と比較することで、より信用性の高い結果を得ることができる。また、シークエンシングにより増幅産物における変異遺伝子の標的部位の存在を確認することで、さらに正確な結果を得ることができる。
<実施形態2> 実施形態2について説明する。本実施形態は、主に請求項2に関する。本実施形態の概要は、遺伝子プールに混在する既知の変異遺伝子の有無を検出する方法であって、野生型遺伝子に相補的な配列を有する標的部位の全部または一部にハイブリダイゼーションするPNAからなるクランププライマーと、変異遺伝子に相補的な配列を有する標的部位の全部または一部にハイブリダイゼーションし、配列の少なくとも一部がLNAにより構成されている変異プローブと、前記遺伝子プールとを遺伝子増幅用反応液中に共存させて遺伝子増幅法により変異遺伝子の標的部位を含む検出領域を選択的に増幅させることにより該変異遺伝子の有無を検出する変異遺伝子検出方法である。
すなわち、前期実施形態1が検出の対象とする遺伝子のセンス側の配列を鋳型として変異遺伝子を検出する方法であるのに対して、本実施形態は、検出の対象とする遺伝子のアンチセンス側の配列を鋳型として変異遺伝子を検出する方法である。したがって、本実施形態においては、当該クランププライマーの塩基配列が野生型遺伝子のセンス側と同じ配列であることを特徴とする。さらに、当該変異プローブの塩基配列が変異遺伝子のセンス側と同じ配列であることを特徴とする。これは、本発明の変異遺伝子の検出に用いる鋳型は、センス側の配列に限定されるものではなく、アンチセンス側の配列でも使用できることによる。実施形態1とはこの点のみが異なり、その他の要件や原理に関しては実施形態1と同じであることからここではその説明を省略する。
したがって、本発明において鋳型の配列はセンス側とアンチセンス側のいずれを使用してもよい。好ましくは本発明で用いるクランププライマーの配列中のプリン残基の数が少ない側,またはグアニン残基が3つ以上連続しない側にしてもよい.これは,プリン残基の数が増加,またはグアニン残基が3つ以上連続するとPNAの溶解が困難になる事に起因する
<実施形態3> 実施形態3について説明する。本実施形態は、主に請求項3に関する。本実施形態の概要は、前記実施形態1または2の方法を基本として、さらに遺伝子増幅法がPCR法である変異遺伝子検出方法である。本実施形態において、前記実施形態1と同じである要件等に関してはその説明を省略し、ここでは本実施形態に特徴的な要件等に関してのみ説明する。
本発明における「PCR法」は、最も基本的な原理に基づくPCR法の他に、それを基礎として開発されたPCR法のバリエーション方法も含むものとする。例えば、nested−PCR法やRT−PCR法等が該当する。
本実施形態の遺伝子増幅用反応液の条件は、実施形態1の遺伝子増幅用反応液の条件と同様であるので、ここではその説明を省略し、本実施形態に特徴的な方法を以下で説明する。
当該PCR法で使用するDNAポリメラーゼの種類は、増幅プライマーを伸長する活性を有するものであれば、特に問わないが、好ましくは熱耐性DNAポリメラーゼである。例えば、Taq DNAポリメラーゼやPfu DNAポリメラーゼの他、バイオサイエンス関連の各社が独自に開発している各種熱耐性DNAポリメラーゼを用いてもよい。
一のサイクルの反応は、熱変性とアニーリング/伸長反応からなる2ステップPCRであってもよいし、熱変性とアニーリングと伸長反応からなる3ステップPCRであってもよい。
また、nested−PCR法を使用する場合、2度目の遺伝子増幅反応の条件は、最初の反応に用いた増幅プライマー(以下、アウター増幅プライマーとする)に代えて、2度目の反応に用いる増幅プライマー(以下、インナー増幅プライマーとする)を使用する点と、最初の遺伝子増幅反応後の遺伝子増幅用反応液を希釈したものを鋳型として用いる点を除けば、非特異的な増幅産物の増幅を抑制することができれば、特に問わない。例えば、最初の反応条件と同じでもよいし、増幅産物の量等に基づいて反応サイクル数を増減する等適宜変更してもよい。1組のインナー増幅プライマーは、少なくとも一方の配列がアウター増幅プライマーの配列よりも1塩基以上3'側(下流側)にあればよい。例えば、一方のインナー増幅プライマーの配列は、アウター増幅プライマーの配列と同一であってもよいし、いずれのインナー増幅プライマーの配列も、アウター増幅プライマーの配列とほとんど重複していてもよい。最初の遺伝子増幅反応後の遺伝子増幅用反応液の希釈は、1/10倍から1/10倍の範囲で最適な条件を検討すればよい。好ましくは5/10倍から5/10倍の範囲内である。
PCR法は最も広く用いられている遺伝子増幅法であることから当該方法に最適化された様々試薬や機器等が容易に入手できるだけでなく、当該方法に基づいた革新的な技術も多く、汎用性が極めて高い。また、分子生物学、遺伝子工学を行う通常の研究室や検査室では、PCR法に必要な試薬や機器が既に設置されていることが多く、新たな試薬や危機の購入を必要としない点からも便利である。
<実施形態4> 実施形態4は、主に請求項4に関する。本実施形態の概要は、実施形態1から3のいずれか一の方法を基本として、さらに変異プローブがRNAを含むことを特徴とする変異遺伝子検出方法である。本実施形態において、前記実施形態1から3のいずれかと同じである要件等に関してはその説明を省略し、ここでは本実施形態に特徴的な要件等に関してのみ説明する。
本実施形態は、変異プローブの一部がRNAを含む。これによって、例えば後述の実施形態5において変異プローブが増幅産物にハイブリダイゼーションを形成した際に、RNaseHで処理することにより、当該RNAが分解されて蛍光物質とクエンチャーが分離することによって蛍光物質の抑制が解除され、蛍光を発することができる。これによって生じる蛍光を測定することで変異遺伝子を検出できる等便利である。
<<実施形態5>> 実施形態5について説明する。本実施形態は、主に請求項5に関する。本実施形態の概要は、実施形態1から4のいずれか一の方法を基本として、さらに変異プローブは一の末端が蛍光物質により標識され、他の末端が前記蛍光物質を抑制するクエンチャーにより標識されている変異遺伝子検出方法である。本実施形態において、前記実施形態1から4のいずれかと同じである要件等に関してはその説明を省略し、ここでは本実施形態に特徴的な要件等に関してのみ説明する。
本発明において「蛍光物質」とは、特定波長の励起光を吸収することで励起状態となり、元の基底状態に戻る際に蛍光を発する性質を有する物質を言う。標識に用いる蛍光物質は、変異プローブの末端に標識可能なものであれば、特に問わない。例えば、FAM、TET、HEX、Cy3、Cy5、Texas Red、TAMRA、FITC等いずれであってもよい。
本発明において「クエンチャー」とは蛍光物質の励起エネルギー吸収物質等をいう。使用する種類はBHQ1、BHQ2、Dabcyl等いずれであってもよい。ただし、当該抑制する物質の種類によって蛍光の抑制範囲が異なるため、一の変異プローブ上で組となる蛍光物質の発光を抑制できるクエンチャーの種類を選択する必要がある。発光を抑制できる選択範囲内では特に問わない。例えば、蛍光物質がFAMやTETの場合には、抑制範囲の波長がやや短波寄り(480nm〜580nm)のBHQ1を、また蛍光物質がCy3やTexas redの場合には、抑制範囲の波長がやや長波寄り(550nm〜650nm)のBHQ2を、選択してもよい。
本発明において「末端」とは変異プローブの塩基配列における5'末端、あるいは3'末端を言う。
本発明において「標識され」とは、前記蛍光物質、およびクエンチャーが化学結合によって変異プローブの末端部に付されていることを言う。すなわち、前記蛍光物質と前記クエンチャーのうち、いずれか一方は5'末端に、また他方は3'末端に化学的に結合されていることを意味する。通常5'末端に蛍光物質が結合していることが多いが、同様の効果が得られるのであれば3'末端に蛍光物質が結合していても、特に問わない。また、3'末端にクエンチャー、あるいは蛍光物質が結合している場合には、変異プローブは増幅用プライマーとしては機能しない。クエンチャーや蛍光物質が伸長反応を阻害するためである。したがって、この場合には、変異プローブの5'側である上流にハイブリダイゼーションする増幅プライマーが少なくとも一つは必要となる。さらに、標的部位にハイブリダイゼーションしている変異プローブが当該増幅プライマーの伸長を妨げることの無いよう、遺伝子増幅法に用いるDNAポリメラーゼが5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を有するようにすることが望ましい。
(実施形態5の検出方法) 本実施形態における検出方法は、前記蛍光物質から発する蛍光を利用することが好ましい。しかし、本実施形態の変異プローブは、通常状態では一の末端に標識された蛍光物質に励起光を照射しても、他の末端に存在するクエンチャーの抑制により蛍光を発しない。したがって、本実施形態で蛍光を利用するためには、クエンチャーによる抑制を解除する必要がある。クエンチャーによる解除ができれば、方法は特に問わない。例えば、5'末端が蛍光物質で標識されている変異プローブにおいて、当該変異プローブの上流にハイブリダイゼーションする増幅用プライマーと、5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼとを遺伝子増幅用反応液に加え、PCR法によって遺伝子増幅反応を行うことで、DNAポリメラーゼの5'→3'エキソヌクレアーゼ活性により変異プローブが分解され、蛍光物質が変異プローブから遊離することでクエンチャーによる抑制を解除するようにしてもよい。あるいは、前記実施形態4で述べたように変異プローブの一部をRNAで構成することで、RNaseHの活性を利用して解除してもよい。
本実施形態の検出の原理の一例を図2で例示し、以下で説明する。なお、図2の例は変異遺伝子の変異が点突然変異で、遺伝子増幅反応が5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いたPCR法の場合を示している。
(プローブ、およびプライマーの鋳型へのハイブリダゼーション) まず、野生型遺伝子(0203)の標的部位(0201)に相補的な配列であるPNAからなるクランププライマー(0205)と、変異遺伝子(0204)の標的部位(0202)に相補的な配列で、かつLNAを含むDNAからなる変異プローブ(0206)とを、2種の増幅用プライマー(0207)、及び遺伝子プールと共に遺伝子増幅用反応液中に共存させる。この時変異プローブは5'側に蛍光物質(0209)が、また3'側にクエンチャー(0210)がそれぞれ結合している。通常はクエンチャーが蛍光物質の蛍光発光を抑制している。前記図1の説明と同様に、PNAとLNAの相補配列に対する強い特異性から、変異がわずか1塩基の相違であっても、図2(A)のようにクランププライマーの大多数は野生型遺伝子の標的部位にハイブリダイゼーションし、また変異プローブの大多数は変異型遺伝子の標的部位にハイブリダイゼーションする。
(プライマー伸張反応) 次に、当該遺伝子増幅用反応液に対して遺伝子増幅法によりプライマーの伸長反応を行う。図2(B)で示すようにクランププライマーはプライマーとして機能しないため伸張反応は生じない。また、PNAのヌクレアーゼ耐性により、伸長反応に用いるDNAポリメラーゼが、Taq DNAポリメラーゼのような5'→3'エキソヌクレアーゼ活性(0208)を有する場合であっても、その分解を受けない。したがって、野生型遺伝子の標的部位を含む検出領域の増幅は、例えクランププライマーを挟み込むようにデザインした増幅用プライマー2種を共存させていたとしても、クランププライマーのハイブリダイゼーションによって抑制される。一方、LNAにはPNAのようなプライマー伸長を阻害する性質や、核酸ヌクレアーゼに対する耐性はない。ただし、変異プローブの3'側にはクエンチャーが結合しているために伸長反応は阻害される。したがって、この場合は2種の増幅用プライマー(0207)間で伸長反応が起こる。すなわち、伸長反応に用いるDNAポリメラーゼの5'→3'エキソヌクレアーゼ活性によって変異プライマーは分解され、増幅プライマー間で、変異遺伝子の標的部位を含む検出領域が増幅される。この、分解によって蛍光物質は遊離し、クエンチャーによる抑制が解除される。この遊離した蛍光物質から発せられる蛍光物質を検出することにより、増幅した変異遺伝子を検出できる。
<実施形態6> 実施形態6について説明する。本実施形態は、主に請求項6に関する。本実施形態の概要は、前記実施形態1から4のいずれか一を基本として、さらに前記変異遺伝子の検出領域の増幅産物を核酸染色剤で染色する変異遺伝子検出方法である。本実施形態において、前記実施形態1から3のいずれかと同じである要件等に関してはその説明を省略し、ここでは本実施形態に特徴的な要件等に関してのみ説明する。
本発明において「核酸染色剤」とは、核酸、または核酸類似体に結合、若しくは挿入してそれらを染色する試薬を総称して言う。例えば、2本鎖核酸の塩基対間にインターカレートして核酸の染色を行うインターカレーターが該当する。インターカレーターも多くの種類が知られている。例えば、エチジウムブロマイド(EB)、ヨウ化プロピジウム(PI)、DAPI、アクリジンオレンジ、各種Hoechst、各種SYBR、各種SYNTOX、各種TOTO等があるが、当該増幅産物を染色する場合には、十分に染色できればその種類は特に問わない。
本発明において「染色」とは、目視によって確認できるような増幅産物の呈色を意味するだけでなく、励起光を照射することで染色が確認できる蛍光染色も含むものとする。
(実施形態6の検出方法) 核酸染色剤は、前記インターカレーターを始めとして、いずれも特定波長の励起光を照射することにより特有の蛍光を発する。したがって、本実施形態における検出方法は、この蛍光発光を利用できるようにすることが好ましい。染色の方法や時期は、結果として染色できれば特に問わない。例えば、遺伝子増幅反応後に核酸染色剤を溶解した染色液中に浸漬して染色してもよいし、反応中に染色してもよい。検出の方法は、染色した増幅産物を検出できれば特に特に問わない。例えば、アガロースゲルやポリアクリルアミドゲルで電気泳動後、核酸染色剤で染色したゲルをトランスイルミネーター上で励起光を照射し、予想される増幅産物のサイズの位置のバンドとコントロールのバンドとを目視により比較確認してもよいし、ライトキャプチャー(化学発光・蛍光撮影装置)によって蛍光物質から発する発光を検出した後、解析ソフトを用いてコントロールとの蛍光強度の比較定量を行うこと検出してもよい。
<実施形態7> 実施形態7について説明する。本実施形態は、主に請求項7に関する。本実施形態の概要は、前記実施形態1から6のいずれか一の方法を基本として、さらに変異遺伝子の検出領域の増幅産物の増加を蛍光強度の増加によって経時的に検出する変異遺伝子検出方法である。本実施形態において、前記実施形態1から5のいずれかと同じである要件等に関してはその説明を省略し、ここでは本実施形態に特徴的な要件等に関してのみ説明する。
本発明における「経時的」とは、時間経過的であることを意味する。したがって、「増幅産物の増加を経時的に検出する」とは、増幅産物の増加を遺伝子増幅反応の時間経過を追って検出することを言う。
検出は「蛍光強度の増加」によって行われる。ここで言う、「蛍光」は、実施形態5で述べた蛍光物質や実施形態6で述べた核酸染色剤が励起されて基底状態に戻る際に発する蛍光等をいう。
(実施形態7の検出方法) 本実施形態の検出法については、増幅産物の増加を反映する蛍光強度の増加を経時的に検出できれば、その検出方法については問わない。例えば、実施形態5で述べたように、末端を蛍光ラベルした変異プローブが、5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼによって分解され5'が遊離することで発せられる蛍光をリアルタイムで検出してもよい(TaqManプローブ法)。または、末端を蛍光ラベルしたRNAを含む変異プローブが、RNaseHの添加によりその活性でRNA部分が分解されることで発せられる蛍光をリアルタイムで検出してもよい(サイクリングプローブ法)。あるいは、実施形態6のようにSYBER Green I等の核酸染色剤を遺伝子増幅用反応液中に加えて、遺伝子増幅反応とともに染色する。増幅産物の増加をインターカレートした当該核酸染色剤から発せられる蛍光の強度を励起光を照射しながら測定してもよい。
<実施形態8> 実施形態8について説明する。本実施形態は、主に請求項8に関する。本実施形態の要は、前記実施形態1から7のいずれか一の方法を基本として、さらに前記変異が点突然変異である変異遺伝子検出方法である。本実施形態において、前記実施形態1から6のいずれかと同じである要件等に関してはその説明を省略し、ここでは本実施形態に特徴的な要件等に関してのみ説明する。
本発明において「点突然変異」とは、検出の対象である遺伝子に関して塩基配列上の1塩基が置換した変異だけでなく、1塩基が挿入した変異を含むものとする。したがって、当該点突然変異においては1塩基の置換、若しくは挿入がされた部位が、標的部位となる。
本実施形態で使用する変異プローブは、標的部位が変異遺伝子の配列を有し、かつ少なくとも標的部位はLNAで置換されていることを特徴とする。例えば、変異が1塩基置換で実施形態1を基本とする場合には、当該変異プローブの配列は変異遺伝子に相補的配列であり、さらに少なくとも置換された当該1塩基の配列がLNAで置換されていることが該当する。これにより野生型遺伝子と変異遺伝子が僅か一塩基の相違であっても、変異プローブは変異遺伝子に特異的にハイブリダイゼーションすることが可能である。また、野生型遺伝子の配列を有するクランププライマーは、当該変異遺伝子に対してハイブリダイゼーションすることが困難となり、標的部位に対する変異プローブとクランププライマーの配列特異性が明確になる。
<実施形態9> 実施形態9について説明する。本実施形態は、主に請求項9に関する。本実施形態の概要は、前記実施形態1から7のいずれか一の方法を基本として、さらに前記変異が欠失変異である変異遺伝子検出方法である。本実施形態において、前記実施形態1から7のいずれかと同じである要件等に関してはその説明を省略し、ここでは本実施形態に特徴的な要件等に関してのみ説明する。
本発明において「欠失変異」とは、検出の対象である遺伝子に関して野生型遺伝子の塩基配列上の一塩基が失われた場合、若しくは二塩基以上の連続性が失われた変異をいう。したがって、遺伝学上の欠失の意味に留まらない。例えば、染色体の転座や逆位、あるいはレトロウィルスの挿入等によって検出の対象である遺伝子が分断された場合も該当する。したがって、当該欠失変異においては、野生型遺伝子の塩基配列上の一塩基が失われた部位、若しくは二塩基以上の連続性が失われた部位が標的部位となる。
本実施形態で使用する変異プローブは、標的部位が変異遺伝子の配列を有し、かつ変異プローブの配列のうち少なくとも一つ以上がLNAで置換されている。特に、標的部位において野生型遺伝子では見られない特異な塩基配列が存在する場合には、当該特異な塩基配列のうち少なくとも一つ以上はLNAで置換されていることが好ましい。例えば、変異が3塩基挿入の場合には、挿入された3塩基のうち少なくとも一つ以上をLNAで置換することが好ましい。変異プローブは当該特異な塩基配列の全部または一部を有していればよい。また、標的部位において野生型遺伝子で見られる塩基が存在しない場合、すなわち遺伝学上の欠失の場合には、変異プローブの配列のうち、少なくともいずれか一つ以上をLNAで置換することが好ましい。特に好ましくは欠失の結果として連結された部位の塩基のうち少なくとも一方がLNAで置換されていることである。本実施形態により変異プローブは、欠失変異であっても変異遺伝子により特異的、かつ強固にハイブリダイゼーションできる。
<実施形態10> 実施形態10について説明する。本実施形態は、主に請求項10に関する。本実施形態の概要は、前記実施形態1から9のいずれか一の方法を基本として、さらに前記クランププライマーの鎖長が14塩基から18塩基である請求項1から9のいずれか一に記載の変異遺伝子検出方法である。本実施形態において、前記実施形態1から9のいずれかと同じである要件等に関してはその説明を省略し、ここでは本実施形態に特徴的な要件等に関してのみ説明する。
本実施形態は、クランププライマーが14塩基から18塩基である点を特徴とする。PNAからなるクランププライマーは13塩基以下では十分なクランピングの効果が得られず、また19塩基以上はプライマー自体の合成精度が落ちている等の問題がある。しかし、14塩基から18塩基の範囲内では、本発明においてはいずれの長さであっても顕著な差異は見出せない。本発明のクランププライマーの鎖長としては最適、かつ十分な長さであるとして本実施形態がある。
<実施形態11>
実施形態11について説明する。本実施形態は、主に請求項11から22に関する。本実施形態の概要は、前記実施形態1から10のいずれか一の方法を基本として、さらに前記変異遺伝子がヒトEGFRの変異遺伝子であることを特徴とする変異遺伝子検出法と、ヒトEGFRの変異遺伝子検出用の変異プローブ及びクランププライマーの提供と、ヒトEGFRの変異遺伝子検出において高い効果が得られる前記変異プローブ及びクランププライマーを用いた検出方法である。
本実施形態において、前記実施形態1から10のいずれかと同じ要件等に関してはその説明を省略し、ここでは本実施形態に特徴的な要件等に関してのみ説明する。
(検出用遺伝子プールの調製)
本実施形態において使用する遺伝子プールは、ヒトEGFRの変異遺伝子の有無を検査する目的で、その対象者から得られるゲノムDNAやcDNAを用いる。好ましくは、当該対象者の喀痰、または胸水、または気管支洗浄液、または手術により得られる組織の一部、病理組織切片等の一般に肺癌診断に使用される全ての試料から得ることである。これらの試料からゲノムDNAやmRNAを調製する方法は、例えばアルカリ法のように広く一般に使用されているゲノムDNAやmRNAの調製方法でよい。また、市販のDNA調製キットやmRNA調製キットを用いてもよい。mRNAからcDNAを調製する方法も、RTを用いた広く一般に使用されている方法でよい。また、市販のcDNA調製キットを用いてもよい。
(EGFRの既知の変異遺伝子について)
非特許文献4、及び5にあるように、現在までにNSCLC患者由来のEGFR遺伝子変異は、11種類が報告されている。当該11種類の変異は、4種類の点突然変異と、7種類の欠失変異の二つに大別される。また、当該全ての変異がEGFRの細胞内チロシンキナーゼドメインをコードする第18エクソン、または第19エクソン、または第21エクソンのいずれかに存在している。以下、本発明の詳細な説明を行う上で必要であることから、各変異遺伝子について具体的に以下で説明する。
1.G719C: 第18エクソンにコードされる2155番塩基(開始コドンのAを1番塩基としたcDNA上の塩基番号とする、以下同じ)GがTに置換した点突然変異遺伝子であり、その結果、ヒトEGFRタンパク質の719番目のグリシン残基がシステイン残基に置換したものである。
2.G719S: 第18エクソンにコードされる2155番塩基GがAに置換した点突然変異遺伝子であり、その結果、ヒトEGFRタンパク質の719番目のグリシン残基がセリン残基に置換したものである。
3.E746−A750del−1 第19エクソンにコードされる2235番塩基Gから2249番塩基Cまでの15塩基が欠失した欠失変異遺伝子であり、その結果、ヒトEGFRタンパク質の746番目のグルタミン酸残基から750番目のアラニン残基が欠失したものである。
4.E746−A750del−2 第19エクソンにコードされる2236番塩基Gから2250番塩基Aまでの15塩基が欠失した欠失変異遺伝子であり、その結果、ヒトEGFRタンパク質の746番目のグルタミン酸残基から750番目のアラニン残基が欠失したものである。
5.L747−A750delT751S 第19エクソンにコードされる2240番塩基Tから2251番塩基Aまでの12塩基が欠失した欠失変異遺伝子であり、その結果、ヒトEGFRタンパク質の747番目のロイシン残基から750番目のアラニン残基が欠失し、また751番目のチミジン残基がセリン残基に置換したものである。
6.L747−S752delP753S 第19エクソンにコードされる2240番塩基Tから2257番塩基Cまでの16塩基が欠失した欠失変異遺伝子であり、その結果、ヒトEGFRタンパク質の747番目のロイシン残基から752番目のセリン残基が欠失し、また753番目のプロリン残基がセリン残基に置換したものである。
7.L747−E740delA750P 第19エクソンにコードされる2239番塩基Tから2247番塩基Aまでの9塩基が欠失した欠失変異遺伝子であり、その結果、ヒトEGFRタンパク質の747番目のロイシン残基から740番目のグルタミン酸残基が欠失し、また750番目のアラニン残基がプロリン残基に置換したものである。
8.L747−S752delE746V 第19エクソンにコードされる2238番塩基Aから2255番塩基Cまでの18塩基が欠失した欠失変異遺伝子であり、その結果、ヒトEGFRタンパク質の747番目のロイシン残基から752番目のセリン残基が欠失し、また746番目のグルタミン酸残基がバリン残基に置換したものである。
9.S752−I759del 第19エクソンにコードされる2254番塩基Tから2277番塩基Cまでの24塩基が欠失した欠失変異遺伝子であり、その結果、ヒトEGFRタンパク質の752番目のセリン残基から759番目のイソロイシン残基が欠失したものである。
10.L858R: 第21エクソンにコードされる2573番塩基TがGに置換した点突然変異遺伝子であり、その結果、ヒトEGFRタンパク質の858番目のリジン残基がアルギニン残基に置換したものである。
11.L861Q: 第21エクソンにコードされる2582番塩基TがAに置換した点突然変異遺伝子であり、その結果、ヒトEGFRタンパク質の861番目のリジン残基がグルタミン残基に置換したものである。
(EGFR変異遺伝子の特異的検出用変異プローブ)
本実施形態のEGFRの変異遺伝子検出方法により前記11種類の変異遺伝子をそれぞれ特異的に検出可能な変異プローブの配列は、標的部位、変異プローブの長さ、GC含量を考慮すると限定される。当該限定された配列を用いて検出効果を調べることにより、高い検出効果が得られる変異プローブ用のポリヌクレオチドの配列が決定される。11種類の変異遺伝子に関して、当該高い検出効果が得られる変異プローブの配列を以下に挙げて説明する。
(1)G719Cp: 5'−accggagcAcagcactt−3'
上記塩基配列のうちAがLNAに置換されているものである。当該塩基配列は、前記G719Cの点突然変異遺伝子において2140番塩基から2163番塩基のアンチセンス側の配列に該当する。LNAで構成されているAは、G719C変異の原因である2155番塩基に相当する。したがって、当該G719Cp変異プローブは、実施形態11の方法によりG719Cの点突然変異遺伝子を特異的に検出可能なポリヌクレオチドである。なお、当該塩基配列は、DNAを基礎として構成されているが、一部がRNAから構成されていてもよい。
(2)G719Sp:5'−accggagcTcagcactt−3'
上記塩基配列のうちTがLNAに置換されているものである。当該塩基配列は、前記G719Cの点突然変異遺伝子において2140番塩基から2163番塩基のアンチセンス側の配列に該当する。LNAで構成されているTは、G719S変異の原因である2155番塩基に相当する。したがって、当該G719Sp変異プローブは、実施形態11の方法によりG719Sの点突然変異遺伝子を特異的に検出可能なポリヌクレオチドである。なお、当該塩基配列は、DNAを基礎として構成されているが、一部がRNAから構成されていてもよい。
(3)L858Rp:5'−tttggccCgcccaa−3'
上記塩基配列のうちCがLNAに置換されているものである。当該塩基配列は、前記L858Rの点突然変異遺伝子において2566番塩基から2580番塩基のアンチセンス側の配列に該当する。LNAで構成されているCは、L858R変異の原因である2573番塩基に相当する。したがって、当該L858Rp変異プローブは、実施形態11の方法によりL858Rの点突然変異遺伝子を特異的に検出可能なポリヌクレオチドである。なお、当該塩基配列は、DNAを基礎として構成されているが、一部がRNAから構成されていてもよい。
(4)L861Qp:5'−acccagcTgtttGg−3'
上記塩基配列のうちTがLNAに置換されているものである。当該塩基配列は、前記L861Qの点突然変異遺伝子において2575番塩基から2589番塩基のアンチセンス側の配列に該当する。LNAで構成されているCは、L861Q変異の原因である2582番塩基に相当する。したがって、当該L861Qp変異プローブは、実施形態11の方法によりL861Qの点突然変異遺伝子を特異的に検出可能なポリヌクレオチドである。なお、当該塩基配列は、DNAを基礎として構成されているが、一部がRNAから構成されていてもよい。
(5)E746−A750del−1p:5'−ctatcaa/aacatctccgaaagc−3' (配列中の「/」は欠失部位を示す 以下同じ)
上記塩基配列のうち少なくとも一つ以上がLNAに置換されているものである。当該塩基配列は、前記E746−A750del−1の欠失変異遺伝子に基づく配列であり、野生型遺伝子の2228番塩基から2234番塩基と、2250番塩基から2264番塩基のセンス側の配列に該当する。このうち少なくとも一つ以上がLNAで構成されていればよいが、特に2250番塩基aがLNAで構成されていることが好ましい。当該LE746−A750del−1p変異プローブは、実施形態11の方法によりE746−A750del−1の欠失突然変異遺伝子を特異的に検出可能なポリヌクレオチドである。なお、当該塩基配列は、DNAを基礎として構成されているが、一部がRNAから構成されていてもよい。
(6)E746−A750del−2p:5'−cgctatcaag/acatctccg−3'
上記塩基配列のうち少なくとも一つ以上がLNAに置換されているものである。当該塩基配列は、前記E746−A750del−2の欠失変異遺伝子に基づく配列であり、野生型遺伝子の2226番塩基から2235番塩基と、2251番塩基から2259番塩基のセンス側の配列に該当する。このうち少なくとも一つ以上がLNAで構成されていればよいが、特に2226番塩基gがLNAで構成されていることが好ましい。当該LE746−A750del−1p変異プローブは、実施形態11の方法によりE746−A750del−2の欠失突然変異遺伝子を特異的に検出可能なポリヌクレオチドである。なお、当該塩基配列は、DNAを基礎として構成されているが、一部がRNAから構成されていてもよい。
(7)L747−A750delT751Sp:5'−ctatcaaggaat/catctcc−3'
上記塩基配列のうち少なくとも一つ以上がLNAに置換されているものである。当該塩基配列は、前記L747−A750delT751Sの欠失変異遺伝子に基づく配列であり、野生型遺伝子の2228番塩基から2239番塩基と、2252番塩基から2258番塩基のセンス側の配列に該当する。このうち少なくとも一つ以上がLNAで構成されていればよいが、特に2239番塩基tと2252番塩基cがLNAで構成されていることが好ましい。当該L747−A750delT751Sp変異プローブは、実施形態11の方法によりL747−A750delT751Sの欠失突然変異遺伝子を特異的に検出可能なポリヌクレオチドである。なお、当該塩基配列は、DNAを基礎として構成されているが、一部がRNAから構成されていてもよい。
(8)L747−S752delC753Sp:5'−ctatcaaggaat/cgaaagcca−3'
上記塩基配列のうち少なくとも一つ以上がLNAに置換されているものである。当該塩基配列は、前記L747−S752delP753Sの欠失変異遺伝子に基づく配列であり、野生型遺伝子の2228番塩基から2239番塩基と、2258番塩基から2266番塩基のセンス側の配列に該当する。このうち少なくとも一つ以上がLNAで構成されていればよいが、特に2258番塩基cがLNAで構成されていることが好ましい。当該L747−S752delP753Sp変異プローブは、実施形態11の方法によりL747−S752delP753Sの欠失突然変異遺伝子を特異的に検出可能なポリヌクレオチドである。なお、当該塩基配列は、DNAを基礎として構成されているが、一部がRNAから構成されていてもよい。
(9)L747−E740delA750Pp:5'−atcaaggaa/ccaacatctcc−3'
上記塩基配列のうち少なくとも一つ以上がLNAに置換されているものである。当該塩基配列は、前記L747−E740delA750Pの欠失変異遺伝子に基づく配列であり、野生型遺伝子の2230番塩基から2239番塩基と、2248番塩基から2258番塩基のセンス側の配列に該当する。このうち少なくとも一つ以上がLNAで構成されていればよいが、特に2248番塩基cがLNAで構成されていることが好ましい。当該L747−E740delA750Pp変異プローブは、実施形態11の方法によりL747−E740delA750Pの欠失突然変異遺伝子を特異的に検出可能なポリヌクレオチドである。なお、当該塩基配列は、DNAを基礎として構成されているが、一部がRNAから構成されていてもよい。
(10)L747−S752delE746Vp:5'−tatcaaggt/tccgaaagcca−3'
上記塩基配列のうち少なくとも一つ以上がLNAに置換されているものである。当該塩基配列は、前記L747−S752delE746Vの欠失変異遺伝子に基づく配列であり、野生型遺伝子の2229番塩基から2237番塩基と、2256番塩基から2266番塩基のセンス側の配列に該当する。このうち少なくとも一つ以上がLNAで構成されていればよいが、特に2257番塩基cがLNAで構成されていることが好ましい。当該L747−S752delE746Vp変異プローブは、実施形態11の方法によりL747−S752delE746Vの欠失突然変異遺伝子を特異的に検出可能なポリヌクレオチドである。なお、当該塩基配列は、DNAを基礎として構成されているが、一部がRNAから構成されていてもよい。
(11)S752−I759delp:5'−agagaagcaaca/ctcgat−3'
上記塩基配列のうち少なくとも一つ以上がLNAに置換されているものである。当該塩基配列は、前記S752−I759delの欠失変異遺伝子に基づく配列であり、野生型遺伝子の2242番塩基から2253番塩基と、2278番塩基から2283番塩基のセンス側の配列に該当する。このうち少なくとも一つ以上がLNAで構成されていればよいが、特に2249番塩基cと2252番塩基cがLNAで構成されていることが好ましい。当該S752−I759delp変異プローブは、実施形態11の方法によりS752−I759delの欠失突然変異遺伝子を特異的に検出可能なポリヌクレオチドである。なお、当該塩基配列は、DNAを基礎として構成されているが、一部がRNAから構成されていてもよい。
(EGFR変異遺伝子の特異的検出用クランププライマー)
本実施形態のEGFRの変異遺伝子検出方法において、前記11種類の変異遺伝子を検出するために使用されるクランププライマーに関しても、変異プローブと同様に、変異の位置、GC含量、クランププライマーの長さを考慮することにより、その配列は限定される。さらに、変異遺伝子のいくつかについては、標的部位に集合性が見られる。例えば、欠失変異遺伝子はその欠失が全て第19エクソンで生じている。したがって、そのような集合をなす標的部位については、単一のクランププライマーで全てをカバーできる。PNAは高額であることから、このような単一で集合をなす標的部位の全ての検出に使用できるクランププライマーは経済的効果もある。以下、11種類の変異遺伝子に関して使用される、当該高い検出効果が得られるクランププライマーの配列を以下に挙げて説明する。なお、NHとCONHは当該クランププライマーがPNAから構成される故の末端であり、DNA配列における5'、 3'にそれぞれ相当する。
(A)G179c:NH−GAGCCCAGCACTTT−CONH
上記塩基配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドである。当該塩基配列は野生型遺伝子に基づく配列であり、2146番塩基から2159番塩基のアンチセンス側の配列に該当する。当該G179cは、実施形態11の方法により前記G719C、またはG719Sの点突然変異遺伝子を検出する上で、いずれの点突然変異遺伝子の検出用クランププライマーとしても使用できるポリヌクレオチドである。
(B)Delc1:NH−AGATGTTGCTTCTCTTAA−CONH
上記塩基配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドである。当該塩基配列は野生型遺伝子に基づく配列であり、2239番塩基から2256番塩基のセンス側の配列に該当する。当該Delc1は、実施形態11の方法により欠失変異遺伝子を検出する上で、前記7種類のいずれの欠失変異遺伝子の検出用のクランププライマーとしても使用できるポリヌクレオチドである。
(C)L858c:NH−CAGTTTGGCCAGCCCA−CONH
上記塩基配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドである。当該塩基配列は野生型遺伝子に基づく配列であり、2568番塩基から2583番塩基のアンチセンス側の配列に該当する。当該L858cは、実施形態11の方法により前記L858Rの点突然変異遺伝子を検出する上で、検出用クランププライマーとしても使用できるポリヌクレオチドである。
(D)L861c:NH−ACCCAGCAGTTTGGC−CONH
上記塩基配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドである。当該塩基配列は野生型遺伝子に基づく配列であり、2575番塩基から2589番塩基のアンチセンス側の配列に該当する。当該L861cは、実施形態11の方法により前記L861Qの点突然変異遺伝子を検出する上で、検出用クランププライマーとしても使用できるポリヌクレオチドである。
(EGFR変異遺伝子の特異的検出用変異プローブとEGFR変異遺伝子の特異的検出用クランププライマーとの好適な組み合わせによる変異遺伝子検出方法)
前記EGFRの既知の変異遺伝子を特異的に検出する上で効果の高い変異プローブやEGFR変異遺伝子の特異的検出する上で検出効果の高い包括的クランププライマーもそれぞれを検出効果の低い変異プローブやクランププライマーを組み合わせては検出感度が十分に高い結果を得ることはできない。そこで、ヒトEGFRの各変異遺伝子を高感度に管出する上で好適な変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる変異遺伝子検出方法を以下で示し、説明をする。
(a)変異プローブG719CpとクランププライマーG719cの組み合わせからなる変異遺伝子検出方法。
請求項12に記載のポリヌクレオチドからなる変異プローブと、クランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法である。当該変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる実施形態1から10のいずれか一に記載の方法は、EGFRの点突然変異G719Cを検出する上で好適である。
(b)変異プローブG719SpとクランププライマーG719cの組み合わせからなる変異遺伝子検出方法。
請求項13に記載のポリヌクレオチドからなる変異プローブと、クランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法である。当該変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる実施形態1から10のいずれか一に記載の方法は、EGFRの点突然変異G719Sを検出する上で好適である。
(c)変異プローブL858RpとクランププライマーL858cの組み合わせからなる変異遺伝子検出方法。
請求項14に記載のポリヌクレオチドからなる変異プローブと、クランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法である。当該変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる実施形態1から10のいずれか一に記載の方法は、EGFRの点突然変異L858Rを検出する上で好適である。
(d)変異プローブL861QpとクランププライマーL861cの組み合わせからなる変異遺伝子検出方法。
請求項15に記載のポリヌクレオチドからなる変異プローブと、クランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法である。当該変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる実施形態1から10のいずれか一に記載の方法は、EGFRの点突然変異L861Qを検出する上で好適である。
(e)変異プローブE746−A750del−1pとクランププライマーDelc1の組み合わせからなる変異遺伝子検出方法。
請求項16に記載のポリヌクレオチドからなる変異プローブと、クランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法である。当該変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる実施形態1から10のいずれか一に記載の方法は、EGFRの欠失変異E746−A750del−1を検出する上で好適である。
(f)変異プローブE746−A750del−2pとクランププライマーDelc1の組み合わせからなる変異遺伝子検出方法。
請求項17に記載のポリヌクレオチドからなる変異プローブと、クランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法である。当該変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる実施形態1から10のいずれか一に記載の方法は、EGFRの欠失変異E746−A750del−2を検出する上で好適である。
(g)変異プローブL747−A750delT751SpとクランププライマーDelc1の組み合わせからなる変異遺伝子検出方法。
請求項18に記載のポリヌクレオチドからなる変異プローブと、クランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法である。当該変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる実施形態1から10のいずれか一に記載の方法は、EGFRの欠失変異L747−A750delT751Sを検出する上で好適である。
(h)変異プローブL747−S752delC753SpとクランププライマーDelc1の組み合わせからなる変異遺伝子検出方法。
請求項19に記載のポリヌクレオチドからなる変異プローブと、クランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法である。当該変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる実施形態1から10のいずれか一に記載の方法は、EGFRの欠失変異L747−S752delC753Sを検出する上で好適である。
(i)変異プローブL747−E740delA750PpとクランププライマーDelc1の組み合わせからなる変異遺伝子検出方法。
請求項20に記載のポリヌクレオチドからなる変異プローブと、クランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法である。当該変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる実施形態1から10のいずれか一に記載の方法は、EGFRの欠失変異L747−E740delA750Pを検出する上で好適である。
(j)変異プローブL747−S752delE746VpとクランププライマーDelc1の組み合わせからなる変異遺伝子検出方法。
請求項21に記載のポリヌクレオチドからなる変異プローブと、クランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法である。当該変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる実施形態1から10のいずれか一に記載の方法は、EGFRの欠失変異L747−S752delE746Vを検出する上で好適である。
(k)変異プローブS752−I759delpとクランププライマーDelc1の組み合わせからなる変異遺伝子検出方法。
請求項22に記載のポリヌクレオチドからなる変異プローブと、クランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法である。当該変異プローブとクランププライマーの組み合わせによる実施形態1から10のいずれか一に記載の方法は、EGFRの欠失変異S752−I759delを検出する上で好適である。
以下に実施例を用いて、本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実施例は、本発明の特定の態様の例示を提供するものであり、本発明の範囲を制限するためのものではない。
<EGFRの点突然変異遺伝子L858R検出感度の検証> 実施例では、EGFRの遺伝子プールに混在するEGFRの点突然変異遺伝子L858Rの検出を、実施形態11によって行い、その有効性と検出感度について検証を行った。
(材料と方法)
1.EGFR野生型遺伝子と変異遺伝子のクローニング ヒトEGFRの野生型遺伝子(Uni gene Hs.488293)は、健常者の抹消血より通常の方法を用いて調製したヒトゲノムDNAを用いた。L858Rの変異が存在する第21エクソンを含む領域をプライマーF21,B21を用いて通常のPCR反応条件によって増幅した。反応に用いたプライマーの配列は以下の通り。F21:5'−ctggatggagaaaagttaatggtc−3' B21:5'−cagcaagtaccgttcccaaag−3'。得られたPCR増幅産物をpCR−Script ベクター(Stratagene社)内に、添付のプロトコルに従って挿入しクローニングした。これを野生型Ex21プラスミドとした。当該野生型Ex21プラスミドに、Megaprimmer法(非特許文献6)を用いてsite−directed mutagenesisを行い、L858R変異を導入した。すなわち、当該方法により、EGFR遺伝子の2573番塩基TをGに変異させた。その結果、得られたDNA断片をpCR−Script ベクター(Stratagene社)内に、添付のプロトコルに従って挿入し、クローニングした。これをL858R型プラスミドとした。次に、前記野生型Ex21プラスミドと前記L858R型プラスミドのそれぞれを鋳型として、約500塩基の鎖長のDNA断片が得られる前記プライマーセットF21とB21とを用いて通常のPCR反応条件によってそれぞれ増幅を行い、直鎖状のEGFR野生型遺伝子断片(WT−21)とEGFR−L858R型遺伝子断片(L858R-21)を得た。これらを以降の実験の鋳型として用いた。
Sarkar G。 and Sommer S.S.、1990 Biotechniques,8:404−407
2.遺伝子プールの調製 本実施例の野生型遺伝プールを前記1で調製したWT−21及びL858R-21を各割合で混合して調製した。混合比は、WT−21:L858R-21=1:1、または10:1、または100:1、または1000:1、または1:0(WT−21のみ)となるように、それぞれ調製をした。
3.PCR用反応液の調製 「遺伝子増幅用反応液」として以下の試薬を混合して調製した。
25mM TAPS(pH9.3)/50mM KCl/2mM MgCl/1mM 2−mercaptoethanol/ 200μM 各dNTP(=dATP,dTTP,dGTP,dCTP)/1.25U TAKARA Ex Taq HS(タカラ バイオ)。上記「遺伝子増幅用反応液」に、「増幅プライマー」1組(ex21−F & ex21−B)をそれぞれ200mM添加した。この「増幅プライマー」は、L858Rの変異が存在する第21エクソン内の領域を増幅する。配列は以下の通り。ex21−F:5'−gcatgaactacttggaggac−3' ex21−B:5'−acctaaagccacctccttac−3'。これらの増幅プライマーは、Tm値が55℃から60℃の範囲になるようにデザインした。
4.PNA−LNA PCR遺伝子増幅用反応液の調製 PNA−LNA PCR遺伝子増幅用反応液として以下の(A)から(C)をそれぞれ調製した。また、これらは最終総量が25μlに調節した。
(A)PNA(-)LNA(+):上記「遺伝子増幅用反応液」に、末端蛍光標識したL858R用の「変異プローブ(L858RpF)」のみを100nM添加した。配列は以下の通り。L858RpF:5'−(6−FAM)tttggccCgcccaa(BHQ1)−3'。ここで、配列の小文字はDNAを、大文字CはLNAを、6−FAMは蛍光色素を、BHQ1は蛍光抑制物質を、それぞれ示す。L858RpFはIDT社に合成委託した。
(B)PNA(+)LNA(-):上記「遺伝子増幅用反応液」に、L858R用の「クランププライマー(L858c)」のみを5μM添加した。配列は実施形態11の通りである。L858cはグライナージャパン社に合成委託した。
(C)PNA(+)LNA(+):上記「遺伝子増幅用反応液」に、L858R用の前記「変異プローブ(L858RpF)」100nMと、L858R用の前記「クランププライマー(L858c)」5μMを共に添加した。
上記(A)から(B)のそれぞれに、前記2で調製した各混合比の遺伝子プールを鋳型として25μg加えて、次のリアルタイムPCR反応に用いた。
5.リアルタイムPCR反応 Ex Taqの5'→3'ヌクレアーゼ活性を利用したリアルタイムPCRは、Smart Cycler II(Cepheid Sunnyvale社)を用いてモニタリングした。PCR反応のサイクルは、95℃で30秒保持した後、95℃3秒と56℃30秒のステップを45サイクルで行った。
6.PCR増幅産物の配列確認 前記5のリアルタイムPCR反応の結果得られたPCR増幅産物をWizard PCR Prep DNA purification Kit(プロメガ社)を用いて精製した後、クローニングで用いた前記F21をプライマーとして、BigDye Terminator v1.1 cycle sequencing Kit(ABI社)を用いて直接、自動DNAシークエンサー(ABI PRISM 310:ABI社)で配列を読み、増幅産物がL858Rであることを確認した。以上の得られたデータを解析して、検出感度についての検証を行った。
(結果) 図3にその結果を示す。各グラブの縦軸は蛍光強度であり、また横軸はPCRのサイクル数を示す。aからeは、各PCR反応の鋳型に用いたWT−21:L858R-21の混合比を示す。すなわち、aは1:1、bは10:1、cは100:1、dは1000:1、eはWT−21のみ、である。図3で示すように、(A)のLNAのみを用いたPNA(-)LNA(+)では、遺伝子プールに混在する変異遺伝子の混在率は10%が限界であった。また、(B)のPNAのみを用いたPNA(+)LNA(-)では、遺伝子プールに混在する変異遺伝子の検出感度は混合比依存的な結果が得られ、dの1/1000量であっても、弱いながら検出ができた。しかし、eのWT−21のみにおいても35サイクルを越えた辺りからバックグラウンドの増加が検出された。一方、LNAとPNAの両方を用いた(C)のPNA(+)LNA(+)では、dの1/1000量であっても、十分な検出が可能であった。しかもeのWT−21のみにおいては45サイクルであってもバックグラウンドは全く検出されなかった。(C)のc、およびdにおいて、反応後に得られた増幅産物の配列をシークエンスした結果、いずれの増幅産物もL858R-21由来の配列を有することが確認された。
(考察) 以上の結果から、PNAとLNAを共に用いた本発明によれば、EGFRの遺伝子プールに混在する点突然変異遺伝子の検出は、その混在比率が0.1%であっても可能であることが判明した。従来の方法では、信用性の高い検出感度の限界が約10%であったことを考えると、本発明の変異遺伝子検出方法は非常に高い検出感度を有するといえる。さらに、極めて重要な点として、PNAのみを用いた検出方法では、35サイクル以上からは、野生型のみの場合であってもバックグラウンドが検出された事に対して、本発明によれば45サイクルであっても、そのようなバックグラウンドが全く検出されなかったことが挙げられる。従来技術でも説明したように、ゲフィチニブの有効性はEGFRの遺伝子変異と密接な関係があるとされている。したがって、変異を有しない患者への投与は逆に副作用を生じさせる危険性が高い。すなわち、(B)のPNAのみを用いた検出方法のように、標的の変異を有しないeのサンプルにおいてバックグラウンドが検出されたことは、当該検出方法に対する信用性を失墜させることとなる。もちろん、臨床上の遺伝子検査法として使用できない。一方、本発明は、非常に高い検出感度と共にバックグラウンドが検出されないという検出精度の高さを併せ持ち、遺伝子検査法としての利用性の高さを示唆している。なお、他の点突然変異の検出感度に関しても、いずれもL858R以上の検出感度が見られた。すなわち、最も検出感度の低かったL858Rの実験結果を、当該実施例としている。
<EGFRの欠失変異遺伝子E746−A750del−1検出感度の検証> 本実施例では、EGFRの遺伝子プールに混在するEGFRの欠失変異遺伝子E746−A750del−1の検出を、実施形態11によって行い、その有効性と検出感度について検証を行った。
(材料と方法)
1.EGFR野生型遺伝子と変異遺伝子のクローニング ヒトEGFRの野生型遺伝子は、実施例1で調製のものを用いた。また、E746−A750del−1変異遺伝子のクローニングの方法は、実施例1におけるL858Rのクローニングの方法と同様であることから、異なる点のみを以下で説明し、その他の説明は省略する。E746−A750del−1の変異が存在する第19エクソンを含む領域を増幅するプライマーF19,B19の配列は以下の通り。F19:5'−ctggatgaaatgatccacacg−3' B19:5'−tgggtagatgccagtaattgc−3'。このプライマーセットによって調整されたプラスミドを野生型Ex19プラスミドとした。野生型Ex19プラスミドを用いてsite−directed mutagenesisを行い、E746−A750del−1変異を導入した。すなわち、当該方法により、EGFR遺伝子の2235番塩基Gから2249番塩基Cまでの15塩基を欠失させた。その結果、得られたプラスミドをE746−A750del−1型プラスミドとした。次に、前記野生型Ex19プラスミドと前記E746−A750del−1型プラスミドのそれぞれを鋳型として、約500塩基の鎖長のDNA断片が得られるプライマー前記プライマーセットF19とB19とを用いて通常のPCR反応条件によってそれぞれ増幅を行い、直鎖状のEGFR野生型遺伝子断片(WT−19)とEGFR−E746−A750del−1型遺伝子断片(E746−A750del−1−19)を得た。これらを以降の実験の鋳型として用いた。
2.遺伝子プールの調製 本実施例の野生型遺伝プールを前記1で調製したWT−19及びE746−A750del−1−19を各割合で混合して調製した。混合比は、実施例1と同じである。
3.PCR用遺伝子増幅用反応液の調製 「遺伝子増幅用反応液」として以下の試薬を混合して調製した。遺伝子増幅用反応液の組成は以下の増幅プライマーの種類を除き、実施例1と同じであることから、その説明は省略する。本実施例の「増幅プライマー」(ex19−F & ex19−B)は、E746−A750del−1の変異が存在する第19エクソン内の領域を増幅する。配列は以下の通り。ex19−F:5'− gtgcatcgctggtaacatcc−3' ex19−B:5'−tgaggttcagagccatggac−3'。
4.PNA−LNA PCR遺伝子増幅用反応液の調製 PNA−LNA PCR遺伝子増幅用反応液として以下の(A)から(C)をそれぞれ調製した。また、これらは最終総量が25μlに調節した。
(A)PNA(-)LNA(+):上記「遺伝子増幅用反応液」に、末端蛍光標識したE746−A750del−1用の「変異プローブ(E746−A750del−1pF)」のみを100nM添加した。配列は以下の通り。E746−A750del−1pF:5'−(6−FAM)ctatcaaAaCatctccgaaagc(BHQ1)−3'。ここで、配列の小文字はDNAを、大文字CはLNAを、6−FAMは蛍光色素を、BHQ1は蛍光抑制物質を、それぞれ示す。E746−A750del−1pFはIDT社に合成委託した。
(B)PNA(+)LNA(-):上記「遺伝子増幅用反応液」に、欠失変異共用の「クランププライマー(Delc1)」のみを5μM添加した。配列は実施形態11に示した通りである。Delc1はグライナージャパン社に合成委託した。
(C)PNA(+)LNA(+):上記「遺伝子増幅用反応液」に、E746−A750del−1用の前記「変異プローブ(E746−A750del−1pF)」100nMと、欠失変異共用の前記「クランププライマー(Delc1)」5μMを共に添加した。
上記(a)から(c)のそれぞれに、前記2で調製した各混合比の遺伝子プールを鋳型として25μg加えて、次のリアルタイムPCR反応に用いた。
5.リアルタイムPCR反応
反応条件は実施例1と同じであることから、その説明を省略する。
6.PCR増幅産物の配列確認
PCR増幅産物のシークエンスニに用いたプライマーは前記F19である。その他は実施例1と同じであることから、その説明を省略する。
(結果) 図4にその結果を示す。各グラブの縦軸は蛍光強度であり、また横軸はPCRのサイクル数を示す。aからeは、各PCR反応の鋳型に用いたWT−19:E746−A750del−1−19の混合比を示す。すなわち、aは1:1、bは10:1、cは100:1、dは1000:1、eはWT−19のみ、である。図4で示すように、(A)のLNAのみを用いたPNA(-)LNA(+)では、遺伝子プールに混在する変異遺伝子の混在率は実施例1と同様10%が限界であった。また、(B)のPNAのみを用いたPNA(+)LNA(-)では、1%が限界であった。一方、LNAとPNAの両方を用いた(C)のPNA(+)LNA(+)のdでは、弱いながらも01%までの検出ができた。このdにおいて、反応後に得られた増幅産物の配列をシークエンスした結果、E746−A750del−1−19由来の配列を有することが確認された。
(考察) 以上の結果から、PNAとLNAを共に用いた本発明によれば、EGFRの遺伝子プールに混在する欠失変異遺伝子の検出は、その混在比率が0.1%までは検出が可能であり、シークエンスによりアーティファクトでないことも確認された。LNAのみの方法では10%、PNAのみの方法では1%が検出の限界であったことを考えると、本発明の変異遺伝子検出方法は欠失変異であっても非常に高い検出感度を有することが判明した。なお、他の欠失変異の検出感度に関しても、いずれもE746−A750del−1とほぼ同程度の検出感度が見られた。
<EGFR欠失変異遺伝子における変異プローブの検出感度の特異性の検証> EGFRの欠失変異E746−A750del−1とE746−A750del−2は欠失部位がお互いにわずか1塩基ずれているだけであり、欠失塩基数も等しい。そこで本実施例では、E746−A750del−1用の検出プローブE746−A750del−1pを用いて、EGFRの遺伝子プールに混在するE746−A750del−2の検出が可能か否かを実施形態11によって行い、検出プローブの特異性について検証をした。
(材料と方法)
1.EGFR野生型遺伝子と変異遺伝子のクローニング ヒトEGFRの野生型遺伝子は、実施例1で調製のものを用いた。また、E746−A750del−2変異遺伝子のクローニングの方法は、実施例2におけるE746−A750del−2のクローニングの方法と同様であることから、異なる点のみを以下で説明し、その他の説明は省略する。前記実施例2で得られた野生型Ex19プラスミドを用いてsite−directed mutagenesisを行い、E746−A750del−2変異を導入した。すなわち、当該方法により、EGFR遺伝子の2236番塩基Gから2250番塩基Aまでの15塩基を欠失させた。その結果、得られたプラスミドをE746−A750del−2型プラスミドとした。次に、このE746−A750del−2型プラスミドを鋳型として、約500塩基の鎖長のDNA断片が得られる前記プライマーセットF19とB19とを用いて通常のPCR反応条件によってそれぞれ増幅を行い、EGFR−E746−A750del−2型遺伝子断片(E746−A750del−2−19)を得た。これらを以降の実験の鋳型として用いた。
2.遺伝子プールの調製 前記実施例2の野生型遺伝プールを前記1で調製したWT−19及びE746−A750del−2−19を各割合で混合して調製した。混合比は、実施例1と同じである。
3.PCR用遺伝子増幅用反応液の調製 「遺伝子増幅用反応液」の組成は実施例2と同じなので省略する。
4.PNA−LNA PCR遺伝子増幅用反応液の調製
PNA−LNA PCR遺伝子増幅用反応液は実施例2(A)から(C)と同じなので省略する。
上記(A)から(C)のそれぞれに、前記2で調製したE746−A750del−2型遺伝子を含む各混合比の遺伝子プールを鋳型として25μg加えて、次のリアルタイムPCR反応に用いた。
5.リアルタイムPCR反応 反応条件は実施例1と同じであることから、その説明を省略する。
6.PCR増幅産物の配列確認 反応条件は実施例1と同じであることから、その説明を省略する。
(結果) 図5にその結果を示す。各グラフの縦軸は蛍光強度であり、また横軸はPCRのサイクル数を示す。aからeは、各PCR反応の鋳型に用いたWT−19:E746−A750del−2−19の混合比を示す。すなわち、aは1:1、bは10:1、cは100:1、dは1000:1、eはWT−19のみ、である。図5で示すように、(A)のPNA(-)LNA(+)、および(C)のPNA(+)LNA(+)ではいずれの混合比の場合も検出できなかった。これに対して(B)のPNA(+)LNA(-)では、c以上、すなわち混合比率が1%以上では蛍光が検出された。
(考察) 以上の結果から、PNAとLNAを共に用いた本発明によれば、EGFRの遺伝子プールに混在する非特異的な変異プローブによる欠失変異遺伝子の検出は、変異がわずか1塩基ずれただけで、検出されなかった。同一変異プローブによる実施例2の結果と比較するとその差は顕著であり、本発明の変異プローブは、変異に対する特異性が極めて高いことを意味する。一方、PNAのみを用いた方法は、実施例2では1%程度までは検出ができたが、本実施例においても1%まで弱いながらも蛍光が検出された。これは、PNAのみの使用では感度が高くなるが精度が低いことを示唆している。したがって、本発明の変異遺伝子検出方法は、感度、精度共に非常に高い効果を有することが判明した。
本発明は、変異遺伝子検出のための遺伝子検査法として、臨床上の利用性が非常に高い。また、発明の実施に関しても、専用の装置等を必要とせず、一般的な臨床検査室に設置された機器や機材の利用が可能である。さらに、従来の病理組織切片や細胞診用による臨床検査にあっては、結果の判断に専門的知識と熟練が必要とされることから、事業化には細胞検査士等の養成等も必須であった。しかし、本発明によれば、一定の操作技術のみを習得すれば、特段の専門的知識や熟練性を必要としない。また、検査のルーチン化が極めて容易であり、大量のサンプルを短時間で処理できる。したがって、事業化も容易である。
特に、EGFRの変異遺伝子の検出によりゲフィチニブの感受性を直接検索することが可能であることから、NSCLC患者に対するゲフィチニブ投与の早期判断や、ゲフィチニブへの感受性が低い患者への投与の回避が可能となる。すなわち、本発明によりNSCLCに対する最も実現性の高いテーラーメイド治療が可能となる。したがって、社会的なニーズは非常に高い。
また、EGFR遺伝子の既知の変異において、各変異を特異的に検出可能な変異プローブとクランププライマー、及びそれらの組み合わせによる検出効果の高い検出方法の発明により、EGFRの変異遺伝子を検出するためのキット化が可能である。
実施形態1の原理を説明するための図 実施形態5の原理を説明するための図 実施例1の結果 実施例2の結果 実施例3の結果
符号の説明
0101 野生型遺伝子の標的部位
0102 変異遺伝子の標的部位
0103 野生型遺伝子
0104 変異遺伝子
0105 クランププライマー
0106 変異プローブ
0107 増幅プライマー
0208 DNAポリメラーゼの5'→3'エキソヌクレアーゼ活性
0209 蛍光物質
0210 クエンチャー

Claims (22)

  1. 遺伝子プールに混在する既知の変異遺伝子の有無を検出する方法であって、
    野生型遺伝子の配列を有する標的部位の全部または一部にハイブリダイゼーションするPNAからなるクランププライマーと、
    変異遺伝子の配列を有する標的部位の全部または一部にハイブリダイゼーションし、配列の少なくとも一部がLNAにより構成されている変異プローブと、
    前記遺伝子プールと
    を遺伝子増幅用反応液中に共存させ、
    遺伝子増幅法により変異遺伝子の標的部位を含む検出領域を選択的に増幅させることで、該変異遺伝子の有無を検出する変異遺伝子検出方法。
  2. 遺伝子プールに混在する既知の変異遺伝子の有無を検出する方法であって、
    野生型遺伝子に相補的な配列を有する標的部位の全部または一部にハイブリダイゼーションするPNAからなるクランププライマーと、
    変異遺伝子に相補的な配列を有する標的部位の全部または一部にハイブリダイゼーションし、配列の少なくとも一部がLNAにより構成されている変異プローブと、
    前記遺伝子プールと
    を遺伝子増幅用反応液中に共存させ、
    遺伝子増幅法により変異遺伝子の標的部位を含む検出領域を選択的に増幅させることで、該変異遺伝子の有無を検出する変異遺伝子検出方法。
  3. 前記遺伝子増幅法はPCR法である請求項1または2に記載の変異遺伝子検出方法。
  4. 前記変異プローブはRNAを含む請求項1から3のいずれか一に記載の変異遺伝子検出方法。
  5. 前記変異プローブは一の末端が蛍光物質により標識され、他の末端が前記蛍光物質を抑制するクエンチャーにより標識されている請求項1から4のいずれか一に記載の変異遺伝子検出方法。
  6. 前記変異遺伝子の検出領域の増幅産物を核酸染色剤で染色する請求項1から4のいずれか一に記載の変異遺伝子検出方法。
  7. 前記変異遺伝子の検出領域の増幅産物の増加を蛍光強度の増加によって経時的に検出する請求項1から6のいずれか一に記載の変異遺伝子検出方法。
  8. 前記変異が点突然変異である請求項1から7のいずれか一に記載の変異遺伝子検出方法。
  9. 前記変異が欠失変異である請求項1からのいずれか一に記載の変異遺伝子検出方法。
  10. 前記クランププライマーの鎖長が14塩基から18塩基である請求項1から9のいずれか一に記載の変異遺伝子検出方法。
  11. 前記変異遺伝子は、ヒト上皮成長因子受容体の変異遺伝子である請求項1から10のいずれか一に記載の変異遺伝子検出方法。
  12. 5'−accggagcAcagcactt−3'なる配列のうちAがLNAに置換されたポリヌクレオチドからなる変異プローブと、
    NH −GAGCCCAGCACTTT−CONH なる配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドからなるクランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法。
  13. 5'−accggagcTcagcactt−3'なる配列のうちTがLNAに置換されたポリヌクレオチドからなる変異プローブと、
    NH −GAGCCCAGCACTTT−CONH なる配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドからなるクランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法。
  14. 5'− tttggccCgcccaa−3'なる配列のうちCがLNAに置換されたポリヌクレオチドからなる変異プローブと、
    NH −CAGTTTGGCCAGCCCA−CONH なる配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドからなるクランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法。
  15. 5'−acccagcTgtttGg−3'なる配列のうちTとGがLNAに置換されたポリヌクレオチドからなる変異プローブと、
    NH −ACCCAGCAGTTTGGC−CONH なる配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドからなるクランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法。
  16. 5'− ctatcaaaacatctccgaaagc−3'なる配列のうち少なくとも1つ以上がLNAに置換されたポリヌクレオチドからなる変異プローブと、
    NH − AGATGTTGCTTCTCTTAA−CONH なる配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドからなるクランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法。
  17. 5'−cgctatcaagacatctccg−3'なる配列のうち少なくとも1つ以上がLNAに置換されたポリヌクレオチドからなる変異プローブと、
    NH − AGATGTTGCTTCTCTTAA−CONH なる配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドからなるクランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法。
  18. 5'− ctatcaaggaatcatctcc−3'なる配列のうち少なくとも1つ以上がLNAに置換されたポリヌクレオチドからなる変異プローブと、
    NH − AGATGTTGCTTCTCTTAA−CONH なる配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドからなるクランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法。
  19. 5'−ctatcaaggaatcgaaagcca−3'なる配列のうち少なくとも1つ以上がLNAに置換されたポリヌクレオチドからなる変異プローブと、
    NH − AGATGTTGCTTCTCTTAA−CONH なる配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドからなるクランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法。
  20. 5'−atcaaggaaccaacatctcc−3'なる配列のうち少なくとも1つ以上がLNAに置換されたポリヌクレオチドからなる変異プローブと、
    NH − AGATGTTGCTTCTCTTAA−CONH なる配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドからなるクランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法。
  21. 5'−tatcaaggttccgaaagcca−3'なる配列のうち少なくとも1つ以上がLNAに置換されたポリヌクレオチドからなる変異プローブと、
    NH − AGATGTTGCTTCTCTTAA−CONH なる配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドからなるクランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法。
  22. 5'−agagaagcaacactcgat−3'なる配列のうち少なくとも1つ以上がLNAに置換されたポリヌクレオチドからなる変異プローブと、
    NH − AGATGTTGCTTCTCTTAA−CONH なる配列の全てがPNAからなるポリヌクレオチドからなるクランププライマーとを遺伝子増幅用反応液中に共存させる請求項11に記載の変異遺伝子検出方法。
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