JP2015070142A - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

R−t−b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁石内部のより奥深くまでRHを拡散させ、磁石の端部と中心部の保磁力の差が少なく、磁石全体の保磁力を向上させたR−T−B系焼結磁石を提供する。【解決手段】 本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、少なくとも1つのR−T−B系焼結磁石体を準備する工程と、重希土類元素RHを含有するRH拡散源を準備する工程と、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを処理室内に装入する工程と、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを、前記処理室内にて加熱することにより、前記RH拡散源から前記R−T−B系焼結磁石体にRHを供給しつつ拡散させるRH拡散工程と、を包含するR−T−B系焼結磁石の製造方法において、前記R−T−B系焼結磁石体は、希土類元素の含有量が14.2原子%以上14.6原子%以下、炭素含有量が800ppm以下、酸素含有量が1500ppm以上4000ppm以下、であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、R14B型化合物を主相として有するR−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素、TはFeまたはFeとCo)の製造方法、およびR−T−B系焼結磁石に関する。
14B型化合物を主相とするR−T−B系焼結磁石は、永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られており、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)や、ハイブリッド車搭載用モータ等の各種モータや家電製品等に使用されている。
R−T−B系焼結磁石は、高温で固有保磁力HcJ(以下、単に「保磁力」または「HcJ」と表記する)が低下するため、不可逆熱減磁が起こる。不可逆熱減磁を回避するため、モータ用等に使用する場合、高温下でも高い保磁力を維持することが要求されている。
R−T−B系焼結磁石は、R14B型化合物相中のRの一部を重希土類元素RH(Dy、Tb)で置換すると、保磁力が向上することが知られている。高温で高い保磁力を得るためには、R−T−B系焼結磁石中に重希土類元素RHを多く添加することが有効である。しかし、R−T−B系焼結磁石において、Rとして軽希土類元素RL(Nd、Pr)を重希土類元素RHで置換すると、保磁力が向上する一方、残留磁束密度B(以下、単に「B」と表記する)が低下してしまうという問題がある。また、重希土類元素RHは希少資源であるため、その使用量を削減することが求められている。
そこで、近年、Bを低下させないように、より少ない重希土類元素RHによってR−T−B系焼結磁石の保磁力を向上させることが検討されている。本出願人は、既に特許文献1において、R−T−B系焼結磁石体表面にDy等の重希土類元素RHを供給しつつ、該表面から重希土類元素RHを焼結磁石体の内部に拡散させる方法(「蒸着拡散法」)を開示している。
また、本出願人は、特許文献2において、R−T−B系焼結磁石体とRHおよびFeを含有するRH拡散源とを、相対的に移動可能かつ近接または接触可能に処理室内に装入し、これらを前記処理室内にて連続的または断続的に移動させながら熱処理を行うことにより、前記RH拡散源からRHをR−T−B系焼結磁石体へ供給し、内部に拡散させる方法(「接触拡散法」)を提案した。
国際公開第2007/102391号 国際公開第2012/008426号
特許文献1および特許文献2に記載の方法は、どちらもRHを効率的に磁石内部に拡散させることができ、また、RHが磁石表層部分の主相結晶粒の中央部に拡散しにくいため、Bの低下を極力抑制しつつ保磁力を向上させることのできる優れた方法である。また、従来の、スパッタ法や蒸着法などによって磁石表面にRHの膜を成膜した後、熱処理によって磁石内部にRHを拡散させる方法に比べ、磁石の内部奥深くまでRHを拡散させることができ、かつ、処理室内壁に付着するなどのRHの無駄な消費がない。
しかしながら、昨今、高いBを有し、かつ、RHの使用量を抑えつつ、さらに保磁力の高い磁石を得ることが望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、RHの使用量を抑えながらBを低下させることなく重希土類元素RHをR−T−B系焼結磁石体の表面から内部に拡散させることで高い保磁力を得るR−T−B系焼結磁石の製造方法において、磁石内部のより奥深くまでRHを拡散させ、特に、磁石の端部と中心部の保磁力の差が少なく、磁石全体の保磁力を向上させたR−T−B系焼結磁石を提供することである。
本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、少なくとも1つのR−T−B系焼結磁石体(Rは希土類元素、TはFeまたはFeとCo)を準備する工程と、重希土類元素RH(Dyおよび/またはTb)を含有するRH拡散源を準備する工程と、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを処理室内に装入する工程と、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを、前記処理室内にて850℃超1000℃以下の処理温度に加熱することにより、前記RH拡散源から前記R−T−B系焼結磁石体にRHを供給しつつ拡散させるRH拡散工程と、を包含するR−T−B系焼結磁石の製造方法において、前記R−T−B系焼結磁石体は、希土類元素の含有量が14.2原子%以上14.6原子%以下、炭素含有量が800ppm以下、酸素含有量が1500ppm以上4000ppm以下、であることを特徴とする。
ある実施形態において、前記RH拡散源は、重希土類元素RH(Dyおよび/またはTb)および40質量%以上60質量%以下のFeを含有し、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを処理室内に装入する工程は、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを相対的に移動かつ近接または接触可能に処理室内に装入する工程であり、前記RH拡散工程は、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを前記処理室内にて連続的または断続的に移動させながら、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源を加熱する工程である。
ある実施形態において、前記R−T−B系焼結磁石体は、酸素含有量が1000ppm以下のR−T−B系焼結磁石用原料粉末と、酸素含有量が4000ppm以上のR−T−B系焼結磁石用原料粉末を混合して酸素含有量を調整した原料粉末を用いて作製される。
本発明によれば、特に、磁石の端部と中心部の保磁力の差が少なく、磁石全体の保磁力が向上したR−T−B系焼結磁石を得ることができる。
本発明の実施例におけるR−T−B系焼結磁石体の酸素含有量と拡散後のR−T−B系焼結磁石の保磁力との関係を示す図である。 本発明の比較例におけるR−T−B系焼結磁石体の酸素含有量と拡散後のR−T−B系焼結磁石の保磁力との関係を示す図である。 本発明の実施例における、拡散時のR−T−B系焼結磁石体の形状、および拡散後のR−T−B系焼結磁石の磁気特性測定時の形状を示す図である。 本発明の実施例におけるR−T−B系焼結磁石体の酸素含有量と拡散後のR−T−B系焼結磁石端部の保磁力との関係を示す図である。
本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、少なくとも1つのR−T−B系焼結磁石体(Rは希土類元素、TはFeまたはFeとCo)を準備する工程と、重希土類元素RH(Dyおよび/またはTb)を含有するRH拡散源を準備する工程と、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを処理室内に装入する工程と、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを、前記処理室内にて850℃超1000℃以下の処理温度に加熱することにより、前記RH拡散源から前記R−T−B系焼結磁石体にRHを供給しつつ拡散させるRH拡散工程と、を包含するR−T−B系焼結磁石の製造方法において、前記R−T−B系焼結磁石体は、希土類元素の含有量が14.2原子%以上14.6原子%以下、炭素含有量が800ppm以下、酸素含有量が1500ppm以上4000ppm以下、であることを特徴とする。
発明者らは、特許文献1の方法や特許文献2の方法において、これまでの拡散条件(同程度の温度と時間)のままで、従来方法よりも磁石内部の保磁力を向上させるために、R−T−B系焼結磁石に含まれる総希土類量(TRE)と炭素含有量、および酸素含有量によるRHの拡散状況について調査したところ、磁石中央部の保磁力を向上させるのに最適な範囲と磁石端部の保磁力を向上させるのに最適な範囲があることを突き止め、これらをある一定の範囲、具体的には、総希土類量がある一定の範囲において、炭素含有量と酸素含有量を所定の範囲とすることによって、磁石中央部と端部の両方の保磁力を向上させる、その結果磁石全体の保磁力を向上させることができることを知見した。
本発明の特徴は、特許文献1の方法や特許文献2の方法を用いてR−T−B系焼結磁石の保磁力を向上させるに際し、対象となるR−T−B系焼結磁石の含有総希土類量(以下、「TRE」と表記する)が所定の範囲の場合に、R−T−B系焼結磁石の炭素含有量を極力少なくし、さらに、酸素含有量を所定の範囲に限定したことにある。
通常、R−T−B系焼結磁石中の保磁力は他の元素量が同じ場合は酸素含有量が少ないほうが高くなる傾向にある。さらに、従来の、スパッタ法や蒸着法などによって磁石表面にRHの膜を成膜した後、熱処理によって磁石内部にRHを拡散させる方法(特許文献1の方法、特許文献2の方法以外の粒界拡散法)においても、磁石の酸素含有量が多いと、結晶粒界に存在する酸素が拡散によって導入されたRHとの間に希土類酸化物を形成してRHが磁石内部奥深くまで拡散するのを妨げるため、磁石中心部の保磁力が向上しにくい傾向にある。
しかしながら、発明者らは、特許文献1の方法や特許文献2の方法の場合、酸素含有量が少なすぎると保磁力が低下することがあることを見出した。
さらに、磁石の保磁力を磁石の端部と中央部に分けて調査したところ、磁石の総希土類量TREが所定の範囲の場合、磁石の中央部と端部の保磁力がともに向上し、磁石全体の保磁力を向上させることのできる酸素含有量の範囲があることがわかった。
すなわち、特許文献1の方法や特許文献2の方法の場合、磁石全体の保磁力を向上させるという観点から最適な総希土類量TREと最適な酸素含有量の範囲が存在する。
以下、本発明の製造方法の実施形態をさらに詳細に説明する。
[R−T−B系焼結磁石体]
まず、本発明では、重希土類元素RHの拡散の対象とするR−T−B系焼結磁石体を準備する。このR−T−B系焼結磁石体は公知のものが使用できるが、特に総希土類量(TRE)、炭素含有量、酸素含有量は以下の通りとする。
希土類元素R:14.2原子%以上14.6原子%以下(TRE)
炭素:0ppm以上800ppm以下
酸素:1500ppm以上4000ppm以下
(本明細書におけるppmはすべて質量比率を表す)
その他は公知の組成でよいが、例えば以下の通りである。
B:5〜8原子%
添加元素M(Al、Mn、Ni、Cu、Ga、Nb、およびSiからなる群から選択された少なくとも1種):0〜2原子%
T(Feを主とする遷移金属であって、Coを含んでもよい)および不可避不純物:残部
上記組成のR−T−B系焼結磁石体は、任意の製造方法によって製造される。
なお、本明細書では、拡散処理前の母材磁石をR−T−B系焼結磁石体、拡散処理後の磁石をR−T−B系焼結磁石と称することとする。
ここで、希土類元素Rは、主として軽希土類元素RL(Nd、Pr)から選択される少なくとも1種の元素であるが、重希土類元素を含有していてもよい。なお、重希土類元素を含有する場合は、DyおよびTbの少なくとも一方を含むことが好ましい。総希土類量TREは14.2原子%以上14.6原子%以下とする。TREは多いほどR−T−B系焼結磁石体の保磁力が向上する。またTREが多いほど粒界内のR量が増え、その結果RHの磁石中央部への拡散が促進される。この観点から、TREは14.2原子%以上とする。TREが14.6原子%より多いと、磁石中央部と磁石端部のそれぞれの保磁力がピークになる酸素含有量のずれが大きく、合わせることが難しくなる。TREは14.2原子%以上14.4元素%以下が好ましい。
最適な酸素含有量は、磁石のTREが上記の範囲にある場合、1500ppm以上4000ppm以下である。この範囲であれば、磁石中央部の保磁力向上のピークと磁石端部の保磁力向上のピークのずれが少なく、磁石全体の保磁力を向上させることができる。酸素含有量が1500ppmより少ないと、特に磁石端部の保磁力が低くなることの影響が大きく、磁石全体の保磁力を均一に向上させることができないということがわかった。図4は本発明の実施例の結果(表4)から算出したRH拡散後の磁石端部(端部の形状は図3参照)のみの保磁力とRH拡散前の磁石体の酸素含有量との関係を示す図である。磁石端部の保磁力は酸素量が3405ppmのときに最も高く、それより酸素量が少なければ少ないほど保磁力が低くなっている。すなわち、酸素量が少なければ少ないほど磁石端部の保磁力低下の影響が大きくなることがわかる。酸素含有量は2000ppm以上であることが好ましい。また、酸素含有量が4000ppmより多いと結晶粒界に存在するRL酸化物の量が多くなり、RHの磁石中央部への拡散を妨げ、磁石中央部の保磁力向上が少なくなる。
酸素含有量を上記の範囲に調節するためには、焼結磁石製造工程における酸素含有量を厳密に管理する必要がある。原料への酸素を均一に導入するには、微粉砕時に行うことがもっとも好ましい。酸素含有量が1000ppm以下の公知の低酸素原料粉と酸素含有量が4000〜5000ppmの公知の高酸素原料粉末とを個別に作成し、高酸素原料粉末の酸素含有量を分析したうえで、これらを所定の割合でブレンドして焼結することで、酸素含有量が上記範囲の磁石を容易に作製することができる。
炭素含有量は極力少ないほうが望ましく、RHの拡散に多大な悪影響を与え、炭素含有量が多いと、磁石の中心部、磁石の端部のいずれの保磁力向上も妨げるので、磁石の端部と中央部に拡散するRHの量を適切に制御し、磁石全体の保磁力を向上させるためには、炭素含有量は800ppm以下とする必要がある。
R−T−B系焼結磁石体内の炭素は、原料合金に含まれている他、作製工程で使用される潤滑材、および必要以上の酸素混入を防ぐためのスラリー化によって混入する。このため、できるだけ炭素量が少ない原料合金を用い、焼結前の脱炭処理の時間を長くしたり、成形体の大きさをできるだけ小さくすることで、R−T−B系焼結磁石体の炭素含有量を800ppm以下とすることができる。
[RH拡散工程]
本発明のRH拡散工程は、例えば特許文献1に記載の蒸着拡散法や特許文献2に記載の接触拡散法によって行われる。以下、本発明のRH拡散工程の実施形態についてさらに詳しく説明する。
[RH拡散源]
本発明のRH拡散源は、重希土類元素RH(Dy及びTbの少なくとも1種)を含有する。RH拡散源中のRH含有量は、例えば40質量%以上である。
特許文献2の方法の場合、RH拡散源は、重希土類元素RHと40質量%以上60質量%以下のFeを含有する希土類鉄合金である。この組成範囲であれば、RH拡散源はRHFeなどの重希土類元素RHと鉄との化合物を主に含有する。RH拡散源のFeの含有量が40質量%未満であると、R−T−B系焼結磁石体に溶着しやすくなり、RHの供給量が安定しなくなったり、RH拡散源が再利用しにくくなったりする恐れがある。また、RH拡散源のFeの含有量が60質量%を超えるとRHの含有量が40質量%よりも少なくなるため、RH拡散源からの重希土類元素RHの供給量が小さくなり、所望の保磁力向上効果を得るためには処理時間が非常に長くなる為、量産には適しない。本発明のRH拡散源に含まれるFeの質量比率は、変質しにくい組成範囲であるという観点から、好ましくは40質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上43質量%以下である。また上記範囲では、RH拡散源中に含まれるDyFe等のRHFe化合物および/またはDyFe等のRHFe化合物の体積比率が両者の合計で90%以上となる。これらの化合物の体積比率が合計で90%以上になると、R−T−B系焼結磁石体とほとんど反応しなくなるため、より溶着が発生しにくくなる。
RH拡散源は、Dy、Tb、Fe以外に、本発明の効果を損なわない限りにおいて、Nd、Pr、La、Ce、およびCoからなる群から選択された少なくとも1種を含有してもよい。また、不可避不純物などとして、例えば、5質量%以下の、Al、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Ga、Nb、Mo、Zn、Zr、Sn、Ag、In、Hf、Ta、W、Pb、SiおよびBiからなる群から選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
本発明におけるRH拡散源の形態は、例えば、板状、球状、線状、リン片状、塊状、粉末など任意であり、その大きさは、例えば数十μm〜数cm(板状の場合は数十cm)に設定され得る。
RH拡散源の作製方法は任意であるが、例えば、一般的な合金溶製法の他、拡散還元法などによって作製した所定組成のRH−Fe合金のインゴット、鋳片、ワイヤーなどを切断したり、粉砕したりすることによって得ることができる。
[熱処理温度]
本実施形態では、RH拡散源およびR−T−B系焼結磁石体の温度を850℃超1000℃以下の範囲内に保持する。この温度範囲は、重希土類元素RHがR−T−B系焼結磁石体の粒界相を伝って内部へ拡散するのに好ましい温度領域である。拡散時の熱処理温度は870℃以上970℃以下がより好ましい。
熱処理温度が850℃未満では、気化・昇華するRH元素が少ないため拡散が起こりにくく、所望の保磁力向上効果を得ることができないか、もしくは所望の保磁力向上効果を得るためのRH拡散処理工程に長時間を要し、好ましくない。また、1000℃を超えると重希土類元素RHが供給過多となり、RHが過剰に拡散して磁石表層部分のBが低下したり、R−T−B系焼結磁石体とRH拡散源が溶着したりしてしまう問題が生じやすくなる。
熱処理の時間は、RH拡散処理工程をする際のR−T−B系焼結磁石体およびRH拡散源の投入量の比率、R−T−B系焼結磁石体の形状、RH拡散源の形状、および、RH拡散処理によってR−T−B系焼結磁石体に拡散されるべき重希土類元素RHの量(拡散量)などを考慮して決められ、例えば10分から72時間である。好ましくは1時間から12時間である。
本実施例および比較例で使用するR−T−B系焼結磁石体を以下の方法で作製した。
まず、ストリップキャスト法によって作製されたR−T−B系原料合金に水素を吸蔵させたあと295Paの真空で550℃、2時間加熱保持することによって粗粉砕(水素粉砕)を行った。
続いて、得られた粗粉末に対し、酸素導入量を調整しながらジェットミルによって微粉砕を行い、酸素含有量が1000ppm以下の低酸素R−T−B系原料粉末と、酸素含有量が4000ppm以上の高酸素R−T−B系原料粉末を作製した。微粉砕は潤滑剤を添加しながら窒素雰囲気で行った。微粉砕の条件は、体積基準の粒径の中央値(D50)が4.6±0.2μmとなるようにした。低酸素R−T−B系原料粉末は、極力酸素の混入を防ぐようにして作製し(酸素濃度計の表示は10〜50ppm)、高酸素R−T−B系原料粉末は、大気を酸素量が約5000ppmになるよう導入することにより作成した。R−T−B系焼結磁石体の酸素量の調整はこのようにして作製した低酸素R−T−B系原料粉末と高酸素R−T−B系原料粉末を各種割合で混合することによって行った。
続いて、上記低酸素R−T−B系原料粉末と高酸素R−T−B系原料粉末を混合した原料粉末に潤滑剤を添加し、油中で回収してスラリー化することにより、その後の工程での大気との接触を防止した。
続いて、上記スラリー化した原料粉末を配向磁界強度1.7Tの磁場中でプレス成形を行った。得られた成形体に対して200℃で5時間熱処理することで脱炭を行った後、1020℃〜1050℃で4時間焼結を行った後寸法加工を行い、TRE、酸素含有量、炭素含有量の異なる計6種類の7.2mm角立方体のR−T−B系焼結磁石体を得た。得られたR−T−B系焼結磁石体組成、および酸素含有量、炭素含有量を表1に示す。なお、炭素含有量については、上記工程で得られたR−T−B系焼結磁石体の炭素含有量は485ppm〜585ppmの間にあったが、その他、微粉砕後に黒鉛を添加混合することで炭素含有量が935ppmと1095ppmのR−T−B系焼結磁石体を作製した。
表1において、組成の分析は、(株)島津製作所製ICP分析装置(ICPV−1017)、酸素および炭素の分析はそれぞれ(株)堀場製作所製ガス分析装置(EMGA−620w、EMGA−820)により行った。分析は同じ磁石体試料から切り出したものをそれぞれ分析した。表1の値は、酸素と炭素以外の元素については、分析結果(質量%)から微量の不可避不純物を除いて原子%に換算し、Feを残部として合計を100%としたものである。このとき、ICPで分析できない酸素と炭素の量は考慮していない。
また、得られたR−T−B系焼結磁石体の磁気特性を表2に示す。磁気特性は、得られたR−T−B系焼結磁石体を7mm角の立方体に加工し、東英工業(株)製のパルスBHカーブトレーサー(TPM−2−10)で測定した。
表2の組成No.3と4の比較、あるいはNo.5と6の比較から、炭素量増加の保磁力に対する影響、さらに、No.1、2、5の比較から酸素量増加の保磁力に対する影響がわかり、これらの結果より、R−T−B系焼結磁石体の保磁力は酸素、炭素のどちらが増えても低下することを示している。
次に、図1の装置を用いてRH拡散処理を実行した。筒の容積:128000mm3、R−T−B系焼結磁石体の投入重量:3000g、RH拡散源の投入重量:3000gであった。RH拡散源はDyおよび41質量%のFeを含有したストリップキャスト合金(DyFe組成)を2mm以下にピンミル粉砕したものを用いた。また、カケ防止と拡散効率向上の目的でφ5mmのジルコニアボールを3000g投入した。
拡散条件は、拡散処理温度930℃、拡散処理時間6時間、筒の回転数0.5rpmとした。熱処理は、室温からヒータによる昇温を行いながら、真空排気を実行した。昇温レートは、約10℃/分である。処理室内の圧力が上記のレベルに達するまで、例えば約600℃に温度を保持した。その後、処理室の回転を開始し、上記拡散処理温度に達するまで昇温を行った。昇温レートは約10℃/分であった。拡散処理温度に達した後、上記拡散処理時間だけ、その温度に保持した。その後、筒の回転を止め、処理室内の温度を900℃まで降温させてから、900℃で6時間追加熱処理を行った。その後ヒータによる加熱を停止し、室温程度まで降温させ、R−T−B系焼結磁石を得た。
表3に拡散処理後のR−T−B系焼結磁石の磁気特性を示す。磁気特性の評価は拡散処理後の7.2mm角の立方体の周囲を順次研削した7mm角、5mm角、2mm角の立方体に対して行った。(図3参照。)
これらのR−T−B系焼結磁石の保磁力を比較すると、酸素量=825〜950ppmの比較例より、酸素量=2015ppmの実施例1と、酸素量=2450ppmの実施例2のほうが保磁力が高いことが確認できる。
一方で炭素量=585ppmの比較例3と、炭素量=1095ppmの比較例4を比較(これらの酸素含有量はそれぞれ825ppm、950ppmであり、差は少ない)すると、炭素量が多い比較例4のほうが7mm角、5mm角、2mm角のいずれの保磁力も炭素量が低い比較例3に劣っていることがわかる。よって、母材のR−T−B系焼結磁石体の保磁力は、酸素も炭素も少ないほうが高い値を示したが、拡散後の結果は、炭素は少なく、かつ酸素はある範囲の量をもつR−T−B系焼結磁石体のほうが良いことになる。
そこで、酸素量と拡散後の保磁力との関係を調べ、有効な酸素量の範囲を見つけるために、TRE=13.5、14.2〜14.4原子%のR−T−B系焼結磁石体に対して、上記低酸素R−T−B系原料粉末と高酸素原料粉末との混合比を変えることによって酸素量を変えて上記と同じ方法で接触拡散処理を行った。その結果を表4に示す。
図1、2は表4をグラフにしたものである。TREの量は2種類に分け、TREが14.2〜14.4原子%のもの(本発明のTREの範囲)を図1、TREが13.5原子%のもの(本発明のTREの範囲外)を図2に表した。(図1についてはTREの値が互いに異なるものが含まれているが、この範囲内ではTRE量の違いによる保磁力への影響が少なかったことから同じグラフに表した。)図1と図2の結果を比較すると、TREが本発明の範囲外である図2の場合に比べて、TREが本発明の範囲である図1の場合においては明らかに磁石全体の保磁力が高くなる酸素含有量の範囲があり、酸素含有量が1500ppm〜4000ppmのときに磁石全体の保磁力が高いことがわかる。
本発明は、希少な重希土類元素を効率的に利用するため、磁石特性に優れたR−T−B系焼結磁石の量産に好適に使用され得る。

Claims (3)

  1. 少なくとも1つのR−T−B系焼結磁石体(Rは希土類元素、TはFeまたはFeとCo)を準備する工程と、
    重希土類元素RH(Dyおよび/またはTb)を含有するRH拡散源を準備する工程と、
    前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを処理室内に装入する工程と、
    前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを、前記処理室内にて850℃超1000℃以下の処理温度に加熱することにより、前記RH拡散源から前記R−T−B系焼結磁石体にRHを供給しつつ拡散させるRH拡散工程と、
    を包含するR−T−B系焼結磁石の製造方法において、
    前記R−T−B系焼結磁石体は、希土類元素の含有量が14.2原子%以上14.6原子%以下、炭素含有量が800ppm以下、酸素含有量が1500ppm以上4000ppm以下(ppmは質量比率)、であることを特徴とする、R−T−B系焼結磁石の製造方法。
  2. 前記RH拡散源は、重希土類元素RH(Dyおよび/またはTb)および40質量%以上60質量%以下のFeを含有し、
    前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを処理室内に装入する工程は、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを相対的に移動かつ近接または接触可能に処理室内に装入する工程であり、
    前記RH拡散工程は、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源とを前記処理室内にて連続的または断続的に移動させながら、前記R−T−B系焼結磁石体と前記RH拡散源を加熱する工程であることを特徴とする、請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  3. 前記R−T−B系焼結磁石体は、酸素含有量が1000ppm以下のR−T−B系焼結磁石用原料粉末と酸素含有量が4000ppm以上のR−T−B系焼結磁石用原料粉末を混合して酸素含有量を調整した原料粉末を用いて作製される、請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
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