JP2009016853A - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

希土類焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】残留磁束密度および保磁力が共に高いNdFe14B系焼結磁石を、安定して容易に製造する。
【解決手段】成形体を焼結してR:28〜32質量%、B:0.8〜1.2質量%、残部:Feからなる焼結磁石を得る焼結工程とを有し、原料合金を粉砕して得られた粉砕粉を原料と呼んだとき、酸素含有量が相対的に多くなるように製造され、酸素含有量が1200〜5000ppm(質量比)の原料である酸素リッチ原料の少なくとも1種と、酸素含有量が相対的に少なくなるように製造され、酸素含有量が300〜1000ppm(質量比)であり、かつ酸素リッチ原料より酸素含有量が1000ppm(質量比)以上少なく、さらに酸素含有量を除いた組成が酸素リッチ原料と異なる原料である酸素プア原料の少なくとも1種とを、成形工程の前に混合する希土類焼結磁石の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、NdFe14B系磁石などの希土類焼結磁石を製造する方法に関する。
高性能を有する希土類磁石としては、例えば特許第1431617号公報に記載されているNdFe14B系磁石が知られている。
NdFe14B系磁石の残留磁束密度を向上させるためには、磁石の酸素含有量を少なくすることが有効である。しかし、NdFe14B系焼結磁石において酸素含有量を極端に少なくすると、焼結時に異常粒成長が生じて保磁力および角形性が低くなってしまい、総合的な磁石特性が良好とはならないという問題がある。また、SmCo系組成をもつ希土類焼結磁石においても、やはり酸素量低減に伴い、焼結時に異常粒成長が生じるという問題がある。
希土類焼結磁石の保磁力向上を図るために、特公平4−26525号公報では、希土類酸化物が焼結体の結晶粒径を抑制するとして、Nd、FeおよびBからなる合金に希土類酸化物を混合して粉砕し、磁場中配向、成形および焼結して永久磁石を製造することを提案している。しかし、希土類酸化物は高価であるため、磁石のコストアップを招く。また、希土類酸化物粉末は、合金粉末と密度、粒径等が異なり、かつ合金粉末に対する添加量が少ないため、混合時に均一に分散することが難しく、混合に長時間を要したり、複雑で高価な混合装置を使用する必要がある。
また、特公平7−107882号公報では、磁石中の酸素含有量を質量比で3000ppm以上となるように制御することにより、保磁力を向上させている。
特許第1431617号公報 特公平4−26525号公報 特公平7−107882号公報
本発明の発明者らは、高価な希土類酸化物を使用することなく、希土類焼結磁石中の酸素含有量を制御することによって、残留磁束密度が高くかつ保磁力が高い希土類焼結磁石を製造する実験を行った。希土類焼結磁石は、一般に、原料合金を粗粉砕した後、微粉砕し、次いで、成形および焼結を行って製造される。発明者らは、粉砕時の雰囲気中の酸素濃度を制御することにより、焼結磁石中の酸素含有量を制御して、残留磁束密度および保磁力のいずれもが良好な焼結磁石を得ようとする実験を行った。
その結果、粉砕時に雰囲気中の酸素を極力排除することにより、焼結磁石の酸素含有量を500ppm未満とでき、その結果、残留磁束密度が高めで保磁力が低めの焼結磁石を得ることができた。ただし、この場合、製造条件の幅が著しく狭くなり、再現性に乏しかった。一方、粉砕時に雰囲気中の酸素をある程度残すことにより、焼結磁石の酸素含有量を4000ppm程度とでき、その結果、保磁力が高く、角形比の高い焼結磁石を得ることができた。
しかし、残留磁束密度および保磁力を共に向上させようとして、粉砕雰囲気中の酸素濃度を様々に変更して焼結磁石を作製したところ、残留磁束密度および保磁力が共に高くなるように磁石中の酸素含有量を制御することが、極めて困難であることがわかった。具体的には、粉砕雰囲気中の酸素濃度と粉砕粉の酸素含有量との関係が線形的とはならず、たとえば雰囲気中の酸素濃度を低くしていった場合には、特定の酸素濃度より低くなったときに粉砕粉の酸素含有量が急激に少なくなり、逆に、雰囲気中の酸素濃度を高くしていった場合には、特定の酸素濃度より高くなったときに粉砕粉の酸素含有量が急激に多くなる傾向が認められた。しかも、前記特定の酸素濃度は、粉砕粉の粒度や粉砕時の処理量などに依存して変動したため、再現性が低いこともわかった。
本発明は、残留磁束密度および保磁力が共に高いNdFe14B系焼結磁石を、安定して容易に製造することを目的とする。
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) R(Rは、希土類元素の少なくとも1種)、FeおよびBを含有する原料合金を鋳造法または急冷法により製造する原料合金製造工程と、原料合金を1段階または多段階で粉砕して原料粉末を得る粉砕工程と、原料粉末を成形して成形体を得る成形工程と、成形体を焼結してR:28〜32質量%、B:0.8〜1.2質量%、残部:Feからなる焼結磁石を得る焼結工程とを有し、
原料合金を粉砕して得られた粉砕粉を原料と呼んだとき、
酸素含有量が相対的に多くなるように製造され、酸素含有量が1200〜5000ppm(質量比)の原料である酸素リッチ原料の少なくとも1種と、
酸素含有量が相対的に少なくなるように製造され、酸素含有量が300〜1000ppm(質量比)であり、かつ酸素リッチ原料より酸素含有量が1000ppm(質量比)以上少なく、さらに酸素含有量を除いた組成が酸素リッチ原料と異なる原料である酸素プア原料の少なくとも1種とを、成形工程の前に混合する希土類焼結磁石の製造方法。
(2) 酸素リッチ原料と酸素プア原料との合計に対する酸素リッチ原料の比率が10質量%以上90質量%未満である上記(1)の希土類焼結磁石の製造方法。
(3) 酸素リッチ原料と酸素プア原料との合計に対する酸素リッチ原料の比率が10〜60質量%である上記(1)または(2)の希土類焼結磁石の製造方法。
(4) 酸素リッチ原料および酸素プア原料の少なくとも一方が、酸素含有量の相異なる2種以上の原料から構成され、その2種以上の原料間における酸素含有量の差の最大値が、酸素リッチ原料を構成する原料と酸素プア原料を構成する原料との間の酸素含有量の差の最小値よりも小さい上記(1)〜(3)のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
(5) 酸素含有量(質量比)が500〜4500ppmである焼結磁石が製造される上記(1)〜(4)のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
(6) 酸素リッチ原料と酸素プア原料との間の酸素含有量の相違が、これら両原料の製造工程の少なくとも一部において、雰囲気中の酸素濃度を相異なるものとすることにより実現されたものである上記(1)〜(5)のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
(7) 酸素リッチ原料は、製造工程の少なくとも一部において、酸化性気体または水分を含む孔部を有する多孔性物質との接触または前記多孔性物質の近傍に配置されることにより、酸素含有量が制御されたものである上記(1)〜(6)のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
(8) 粉砕工程において原料合金が多段階で粉砕され、
少なくとも1段階の粉砕を行った後に、酸素リッチ原料と酸素プア原料とを混合する上記(1)〜(7)のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
(9) 粉砕工程において原料合金が多段階で粉砕され、
多段階の粉砕の最終段階終了後に、酸素リッチ原料と酸素プア原料とを混合する上記(1)〜(7)のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
残留磁束密度および保磁力が共に高い希土類焼結磁石を得ようとする場合、前述したように磁石の酸素含有量が特定の範囲内となるように制御することが有効である。しかし、前述したように、残留磁束密度および保磁力の一方だけが高くなる酸素含有量とすることは容易であるが、両者が共に高くなる酸素含有量を安定して実現することは困難である。
そこで本発明では、希土類焼結磁石を製造するに際し、酸素含有量が多くなるように製造された酸素リッチ原料と、酸素含有量が少なくなるように製造された酸素プア原料とを混合して用いる。本明細書において原料とは、急冷法や鋳造法により製造された原料合金を粉砕して得られた粉砕粉である。
前述したように、酸素プア原料は、酸素を極力排除した雰囲気を用いることにより容易に製造でき、酸素リッチ原料は、雰囲気中に酸素をある程度残留させることにより容易に製造できる。そして、焼結磁石の酸素含有量は、酸素プア原料と酸素リッチ原料との混合比を制御することにより、正確に制御できる。したがって本発明では、残留磁束密度および保磁力が共に高い希土類焼結磁石を、容易にかつ再現性よく製造することができる。しかも本発明では、均一な分散が困難で、かつ高価でもある希土類酸化物を使う必要がないため、安定して高性能が得られる希土類焼結磁石を低コストで製造できる。
さらに、本発明の製造方法を用いることにより、角形比の高い磁石が得られることがわかった。すなわち、従来の方法により単一の原料を用いて製造した焼結磁石と本発明により製造した焼結磁石とを比較したとき、酸素含有量が同等であっても本発明により製造した焼結磁石のほうが角形比が高くなる。
なお、本明細書において、角形比とはHk/HcJを意味する。Hk/HcJにおけるHkは、磁気ヒステリシスループの第2象限において磁束密度が残留磁束密度の90%になるときの外部磁界強度である。Hkが低いと高い最大エネルギー積が得られない。Hk/HcJは、磁石性能の指標となるものであり、磁気ヒステリシスループの第2象限における角張りの度合いを表わす。HcJが同等であってもHk/HcJが大きいほど磁石中のミクロ的な保磁力の分布がシャープとなるため、着磁が容易となり、かつ着磁ばらつきも少なくなり、また、最大エネルギー積が高くなる。そして、磁石使用時の外部からの減磁界や自己減磁界の変化に対する磁化の安定性が良好となり、磁石を含む磁気回路の性能が安定したものとなる。
本発明は、希土類元素Rとして少なくともNdおよび/またはPrを含有し、さらに、FeおよびBを含有する焼結磁石の製造に好適である。この組成系の磁石は、NdFe14BなどのRFe14B金属間化合物からなる硬質磁性相を有し、Feの一部がCoで置換されうるものである。このうち特に、R含有量の比較的少ない磁石の製造に本発明は適する。磁石中の酸素はR酸化物として存在するものが多いと考えられる。R含有量の比較的少ない磁石は、元素Rの酸化に対するマージンが小さい。すなわち、R含有量が比較的多い場合と同等の酸素含有量であっても、元素Rの酸化率は高くなり、その結果、磁石特性発現のために必要なRが不足し、磁石特性が低くなりやすい。製造が容易な原料粉末は、前述したように酸素含有量が比較的多いため、この原料粉末を単独で用いると、良好な磁石特性を得ることは難しい。
これに対し本発明では、いずれも製造が容易な酸素リッチ原料および酸素プア原料を用いることで、酸素含有量の比較的少ない焼結磁石を容易に実現できる。R含有量の少ない磁石は残留磁束密度を高くできるため、本発明により、残留磁束密度、保磁力および角形比のいずれもが良好な焼結磁石を容易に実現できる。
ところで、特許第2571403号公報には、Fe−B−R系(RはNd、Pr、Dy、Ho、Tbの少なくとも1種)磁石用のCa還元粉末40〜95重量%と、上記Fe−B−R系磁石用の鋳塊粉砕粉末5〜60重量%とを混合配合して、R:27〜37重量%、B:0.5〜5重量%、Fe:58〜72.5重量%を有する混合原料粉末中のO含有量を3500ppm以下に調整後、微粉砕、プレス成形、焼結することにより、希土類磁石を製造する方法が記載されている。
この方法で用いるCa還元粉末とは、希土類酸化物のうち少なくとも1種および鉄粉、ならびに、純ボロン粉、フェロボロン粉およびホウ素酸化物のうち少なくとも1種、または、上記構成元素の合金粉または混合酸化物を所要組成に配合した混合粉に、金属CaおよびCaClを混合して、不活性ガス雰囲気中にて還元拡散を行って得られた反応生成物をスラリー化し、水処理したものである。Ca還元粉末は、安価であるが、還元後、還元剤であるCa(還元後はCaO)を除去する工程において水を使用するため、鋳塊粉砕粉末と比較して含有O量が多く、かつ含有O量の変動が大きいことから、得られる焼結磁石の組成に変動を生じやすく、磁石特性にばらつきが生じる。そのため、同公報では、Ca還元粉末と鋳塊粉砕粉末との混合物を微粉砕し、成形して焼結することにより、焼結磁石中のO量を低減している。同公報には、Ca還元粉末のO含有量は2000〜5000ppmが好ましく、鋳塊粉砕中のO含有量は500〜2500ppmが好ましいことが記載されており、含有酸素量は、実施例1において、鋳塊粉砕粉が1100ppm、Ca還元粉が4000ppmであり、実施例2において、鋳塊粉砕粉が1500ppm、Ca還元粉が4300ppmである。
酸素含有量の相異なる2種の粉末の混合物を成形して焼結し、希土類焼結磁石を得るという点で、本発明と特許第2571403号公報に記載された発明とは類似する。しかし、同公報では、Ca還元粉と鋳塊粉砕粉とを混合した後、微粉砕している。同公報に記載されたCa還元粉は、一般に球状粒子であり、粉砕後も球状となりやすく、一方、鋳造や急冷法により製造した合金を粉砕すると、一般に不定形の粉砕粉が得られる。そのため、Ca還元粉の粗粉と鋳塊粉砕粉の粗粉とを混合して同時に粉砕した場合、両者を同等の粒度とすることは困難である。そのため、混合粉末中においてCa還元粉の分散が不均一となりやすい。その結果、期待される磁石性能が得られなかったり、磁石性能にばらつきが生じたりしやすくなる。このような問題は、混合粉末中におけるCa還元粉の比率が低い場合に特に生じやすい。また、Ca還元粉は球状であるため、スプリングバックが大きく、成形体の保型性が低くなるという問題もある。また、Ca還元粉は、CaやClなどの不純物を多く含むため、高特性磁石の原料には不向きである。
これに対し本発明では、Ca還元粉ではなく、鋳造や急冷法などにより製造した合金を粉砕した合金粉末を用いるため、上記問題は生じない。
本発明の製造方法は、R(Rは、希土類元素の少なくとも1種であり、本明細書において希土類元素とは、Y、Scおよびランタノイドである)を含有する原料合金を製造する原料合金製造工程と、原料合金を1段階または多段階で粉砕して原料粉末を得る粉砕工程と、原料粉末を成形して成形体を得る成形工程と、成形体を焼結して焼結磁石を得る焼結工程とを有する。
本明細書では、原料合金を粉砕して得られた粉砕粉を原料と呼ぶ。本発明では、酸素含有量が相対的に多くなるように製造した酸素リッチ原料と、酸素含有量が相対的に少なくなるように製造した酸素プア原料とを用意する。酸素リッチ原料および酸素プア原料は、いずれも1種または2種以上の原料から構成される。ここで、2種以上の原料とは、組成が相異なる複数の原料を意味するほか、組成が同じで酸素含有量が相異なる複数の原料も意味する。なお、組成が相異なる原料は、製造条件が同じであっても酸素含有量は同じとはならないのが一般的である。
本発明では、酸素リッチ原料と酸素プア原料とを、成形工程の前に混合することを特徴とする。
酸素リッチ原料の酸素含有量(質量比)と酸素プア原料の酸素含有量(質量比)との差は、1000ppm以上である。なお、本発明において、酸素リッチ原料および酸素プア原料の酸素含有量とは、これら両者を混合する直前における酸素含有量を意味する。前述したように、酸素含有量が比較的少ない原料および比較的多い原料は製造が容易であるが、酸素含有量がその中間である原料は安定して製造することが困難である。そのため、酸素リッチ原料と酸素プア原料との酸素含有量の差を、上記範囲を下回る程度に小さくしようとすると、原料の製造が容易になるという本発明の効果が得られにくくなる。なお、酸素リッチ原料および酸素プア原料の少なくとも一方が、酸素含有量の相異なる2種以上の原料から構成される場合における上記差とは、酸素リッチ原料のうち酸素含有量が最も少ないものと、酸素プア原料のうち酸素含有量が最も多いものとの差を意味する。
ただし、酸素リッチ原料と酸素プア原料との酸素含有量の差が著しく大きくなるように設定する場合、酸素プア原料の酸素含有量を著しく少なくする、および/または、酸素リッチ原料の酸素含有量を著しく多くする必要がある。酸素プア原料の酸素含有量を著しく少なくする場合、酸素プア原料の製造が困難となる。酸素リッチ原料の酸素含有量を著しく多くする場合、両原料中における酸素リッチ原料の比率をかなり低くする必要が生じ、その結果、両原料(粉末)の混合物中において酸素リッチ原料を均一に分散させることが困難となり、磁石特性の低下を招きやすい。このような理由から、酸素リッチ原料と酸素プア原料との酸素含有量の差は、4000ppm以下、特に3000ppm以下であることが好ましい。
酸素プア原料の酸素含有量(質量比)は、300〜1000ppm、より好ましくは400〜1000ppm、さらに好ましくは400〜900ppmである。この範囲を下回る酸素含有量とすることは困難であり、また、酸素含有量が著しく少ない合金粉末は、活性度が高いため取り扱いが困難である。一方、本発明において酸素プア原料を用いるのは、前述したように、希土類焼結磁石に適した酸素含有量をもつ原料を安定して製造することが困難だからである。したがって、酸素含有量が上記範囲を上回る酸素プア原料が安定して製造できるのであれば、本発明を採用する意義が小さい。
酸素リッチ原料の酸素含有量(質量比)は、1200〜5000ppm、より好ましくは1200〜4000ppmである。酸素含有量がこの範囲を下回る酸素リッチ原料が安定して製造できるのであれば、本発明を採用する意義が小さい。一方、酸素含有量がこの範囲を上回る合金粉末を製造しようとすると、合金粉末が急激に酸化する、すなわち燃えてしまうことがあるので、安定して製造することが困難である。本発明は、NdFe14B系磁石の製造に好適であるが、NdFe14B系合金はSmCo系合金に比べ酸化により特性が低下しやすいため、NdFe14B系の酸素リッチ原料の酸素含有量は、1200〜3700ppmであることがさらに好ましい。
ところで、たとえば酸素プア原料を2種以上用いる場合において、これら2種以上の原料を製造する際に、製造工程における雰囲気中の酸素濃度が同じとなるように制御しても、酸素濃度の微小な差や原料組成の相違に起因して、それぞれの酸素含有量は相異なることが普通である。しかし、酸素プア原料として製造されたものは、酸素含有量のばらつきはあっても、酸素リッチ原料として製造されたものよりは酸素含有量が少なくなる。具体的には、酸素プア原料同士の間の酸素含有量の差(酸素プア原料が3種以上ある場合、この差は3以上存在するが、その場合はそのなかの最大値)は、酸素リッチ原料と酸素プア原料との間の酸素含有量の差(酸素プア原料が3種以上ある場合、この差は3以上存在するが、その場合はそのなかの最小値)よりも小さくなる。また、酸素プア原料として2種以上の原料を使用する場合も同様である。さらに、酸素プア原料および酸素リッチ原料をいずれも2種以上使用する場合も、同様である。
すなわち、酸素リッチ原料および酸素プア原料の少なくとも一方が、酸素含有量の相異なる2種以上の原料から構成される場合、その2種以上の原料間における酸素含有量の差(最大値)は、酸素リッチ原料と酸素プア原料との間の酸素含有量の差(最小値)よりも小さい。たとえば、2種以上の酸素リッチ原料からなるグループと、2種以上の酸素プア原料からなるグループとにおいて、同じグループに所属する原料同士の酸素含有量の差より、相異なるグループに所属する原料同士の酸素含有量の差のほうが大きい。
なお、通常、酸素リッチ原料および酸素プア原料はいずれも1種だけ用いれば本発明の効果は十分に実現する。ただし、後述する2合金法に本発明を適用する場合には、酸素リッチ原料および酸素プア原料の一方または両方、通常は一方だけを、酸素含有量の相異なる2種の原料から構成する。すなわち、本発明では、4種を超える原料を用いる必要はなく、通常は3種以下の原料を用いる。
酸素リッチ原料と酸素プア原料との合計に対する酸素リッチ原料の比率は、10質量%以上90質量%未満であることが好ましい。この比率が低すぎても高すぎても、酸素リッチ原料と酸素プア原料とを混合して用いることによる効果が十分に実現しなくなる。また、本発明により製造される焼結磁石の好ましいR含有量およびそれに対応する好ましい酸素含有量から考えて、両原料中において酸素リッチ原料の比率は、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%未満、特に好ましくは20〜40質量%である。本発明では、磁石中のR含有量を比較的少なくすることが好ましいが、前述したように、R含有量の少ない磁石は酸素含有量が多くなると性能が著しく低下する。また、酸素リッチ原料は、酸素含有量を比較的多くするほうが製造が容易である。したがって、製造の容易な原料を用いて、R含有量の比較的少ない高性能な焼結磁石を得るためには、上記のように両原料中における酸素リッチ原料の比率をあまり多くしないことが好ましく、相対的に少なくすることがより好ましい。
なお、酸素含有量は、原料合金よりもその粉砕粉のほうが多くなり、また、粉砕を多段階で行う場合、粉砕が進むにつれて多くなる。また、酸素リッチ原料と酸素プア原料とを混合した後にさらに粉砕を行う場合において、両原料の組成およびサイズが著しく異ならなければ、混合時における両原料の酸素含有量の差は、その後の粉砕においてもほぼ維持され、大きくは変わらない。
酸素リッチ原料および酸素プア原料において、それぞれの酸素含有量および比率の具体的値は、得ようとする焼結磁石の酸素含有量に応じて決定すればよい。本発明により製造される焼結磁石の酸素含有量(質量比)は、好ましくは500〜4500ppmである。焼結磁石の酸素含有量が少なすぎると、高保磁力および高角形比が得られにくく、多すぎると、高残留磁束密度が得られにくい。NdFe14B系合金はSmCo系合金に比べ酸化により磁石特性が低下しやすいため、NdFe14B系焼結磁石では、酸素含有量を好ましくは500〜3000ppm、より好ましくは600〜2500ppm、さらに好ましくは800〜2400ppmとすることが望ましい。
原料合金は、鋳造法または急冷法により製造される。急冷法では、合金溶湯を一方向または対向する二方向から冷却することにより固化し、たとえばストリップ状の急冷合金を得る。一方向から冷却する方法としては、単ロール法や回転ディスク法が好ましく、二方向から冷却する方法としては双ロール法が好ましい。
粉砕は、2段階以上で行うことが好ましい。通常、まず、急冷合金に水素ガスを吸蔵させて粗粉砕する水素吸蔵粉砕工程(第1の粗粉砕工程)を設ける。次いで、ディスクミル等により10〜100μm程度の粒径まで粉砕する第2の粗粉砕工程を設ける。次いで、ジェットミル等により0.5〜5μm程度の粒径まで粉砕する微粉砕工程を設ける。ただし、第2の粗粉砕工程は、省略してもよい。
酸素リッチ原料および酸素プア原料の酸素含有量を制御する手段としては、原料を製造する工程において雰囲気中の酸素濃度を制御する方法を用いることが好ましい。具体的には、原料合金製造の際、および/または、原料合金粉砕の際に、雰囲気中の酸素濃度を制御すればよい。
また、多孔性物質の孔部内に酸化性気体または水分を含ませておき、この多孔性物質を原料合金またはその粉砕粉に接触させるかその近傍に配置することによっても、原料の酸素含有量を制御することが可能である。前記多孔性物質としては、たとえばスポンジや紙、織布、不織布を用いることができる。合金を多段階で粉砕する際には、前段の粉砕工程により得られた粉末を、次段の粉砕工程に気流によって輸送することが一般的であるが、この輸送に利用する配管の内壁に、多孔性物質を貼り付ければよい。なお、配管の内壁は一般に平滑であるが、粉末に対する多孔性物質の接触面積を大きくするために、配管の内壁の一部に凹凸を設け、そこに多孔性物質を貼り付けてもよい。また、粉末の混合装置内に多孔性物質を配置してもよい。その場合、混合装置の内壁に多孔性物質を貼り付けてもよく、スクリュー状、リボン状、パドル状などの混合羽根に、多孔性物質を貼り付けてもよい。なお、多孔性物質に酸化性気体を補充する方法は特に限定されず、たとえば、装置内部に取り付けた多孔性物質を取り外し、空気や酸素ガスにさらせばよい。ただし、配管内部に多孔性物質を貼り付けた状態で、装置の点検や清掃の際に配管内に空気を導入するだけでもよい。このとき導入する空気が、水蒸気を含む通常の空気であれば、同時に水分の補充も可能なので、多孔性物質を取り外して水に漬ける必要はない。
酸素含有量制御の具体的手順を、以下に例示する。
本発明では、たとえば、酸素リッチ原料の原料合金と、酸素プア原料の原料合金とを、それぞれ酸素含有量を制御して製造した後、両原料合金を混合して同時に粉砕してもよい。
また、たとえば、酸素含有量が同一である2つの原料合金(組成は同一であっても異なっていてもよい)を、相異なる酸素含有量となるように制御しながら独立して粗粉砕することにより、酸素リッチ原料の粗粉と酸素プア原料の粗粉とを作製し、次いで、両粗粉を混合した後、微粉砕してもよい。また、前記2つの原料合金を、独立して粗粉砕した後、独立して微粉砕することにより、酸素リッチ原料の微粉と酸素プア原料の微粉とを独立して作製し、次いで、両微粉を混合してもよい。この場合、相異なる酸素含有量とするための操作は、粗粉砕工程および微粉砕工程のいずれか一方だけで実施してもよく、両工程で実施してもよい。独立して粉砕した後に混合することにより、酸素リッチ原料と酸素プア原料との酸素含有量の差を大きくすることが容易となるので、磁石全体の酸素含有量の制御が容易になるとともに、酸素含有量の調整範囲が広がる。このような効果は、微粉砕後に混合する場合により高くなり、また、粗粉砕および微粉砕の両工程において、相異なる酸素含有量とするための操作を行う場合により高くなる。すなわち、このような効果を十分に得るためには、多段階の粉砕の最終段階終了後に、酸素リッチ原料と酸素プア原料とを混合することが好ましい。また、粗粉砕粉は粒径が大きいため、酸化されにくい。そのため、酸素含有量の特に多い粗粉砕粉(酸素リッチ原料)を得ようとする場合、粉砕時や粉末搬送時の雰囲気中の酸素濃度を高くする以外に、加熱が必要になったりするなど制御すべき項目が増え、生産上好ましくない。したがって、この点からも、多段階の粉砕の最終段階終了後に、酸素リッチ原料と酸素プア原料とを混合することが好ましい。
なお、前述したように、原料の酸素含有量を比較的多くすることおよび比較的少なくすることは容易であっても、その中間の酸素含有量をもつ原料を安定して製造することは困難である。これが、本発明がなされた背景である。したがって、酸素プア原料を製造する際に、合金鋳造工程、合金溶湯急冷工程、粉砕工程などにおける酸素濃度や酸素分圧の具体的値は特に限定されず、利用する製造装置に応じ、比較的少ない酸素含有量をもつ原料がその装置で安定して製造できるように製造条件を設定すればよい。酸素リッチ原料においても同様であり、利用する製造装置に応じ、比較的多い酸素含有量をもつ原料がその装置で安定して製造できるように製造条件を設定すればよい。
酸素リッチ原料と酸素プア原料とは、酸素含有量を除く組成が異なる。また、酸素リッチ原料および/または酸素プア原料は、組成の相異なる2種以上の原料を含むものであってもよい。
組成の相異なる原料を用いる場合としては、いわゆる2合金法を用いる場合が挙げられる。2合金法は、組成の異なる2種の合金粉末を混合して焼結することにより、磁気特性や耐食性を向上させる方法である。2合金法に関して様々な提案がなされているが、いずれも主相とほぼ同じ組成(RFe14B)の合金粉末に第二の合金の粉末を添加するものである。第二の合金としては、主相よりもR比率が高く融点の低いRリッチ合金(特開平4−338607号公報、特開平5−105915号公報等)、Rの種類が主相とは異なるRFe14B合金(特開昭61−81603号公報等)、Rの金属間化合物を含むもの(特開平5−21219号公報等)などがある。また、特開平7−176414号公報には、主相用母合金の粉末と粒界相用母合金の粉末との混合物からなる成形体を焼結して磁石とする方法が開示されている。同公報において主相用母合金とは、実質的にR(Fe,Co)14Bから構成される柱状結晶粒と、R(Fe,Co)14BよりもRの含有率が高いRリッチ相を主体とする結晶粒界とを有するものであり、粒界相用母合金とは、Rを32〜60質量%含み、残部が実質的にCo、またはCoおよびFeである結晶質合金である。同公報では前記混合物中における主相用母合金の比率を60〜95質量%としている。
本発明において2合金法を用いる場合、組成の相異なる2種の原料のうちの一方を酸素リッチ原料とし、他方を酸素プア原料としてもよい。ただし、両原料の混合比は、磁石の最終組成に応じて決定される(たとえば、主相とほぼ同じ組成の合金粉末は混合比が高くなる)ので、磁石中の酸素含有量を所望の値とするのが困難となることがある。このような問題を回避するために、組成の相異なる2種の原料の一方を、酸素リッチ原料と酸素プア原料とに分割してもよい。また、組成の相異なる2種の原料の両方を、いずれも酸素リッチ原料と酸素プア原料とに分割してもよい。
成形は、好ましくは磁場中で行う。この場合、磁場強度は800kA/m以上、成形圧力は10〜500MPa程度であることが好ましい。成形には、一軸加圧またはCIPなどの等方加圧のいずれを用いてもよい。
得られた成形体を、焼結する。焼結条件は、磁石組成に応じて適宜決定すればよく、たとえばNdFe14B系組成では、1000〜1200℃で0.1〜100時間焼結すればよい。焼結は、複数回行ってもよい。焼結は、非酸化性雰囲気、たとえば真空中またはArガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。また、加圧焼結(ホットプレス)を行ってもよい。
焼結後、保磁力を向上させるために時効処理を行うことが好ましい。たとえばNdFe14B系磁石では、好ましくは不活性ガス雰囲気中において、好ましくは500℃以上焼結温度以下の温度、より好ましくは500〜950℃の温度で、0.1〜100時間時効処理を行うことが好ましい。なお、時効処理は、多段階の熱処理から構成してもよい。例えば2段の熱処理からなる時効処理では、1段目の熱処理を700℃以上焼結温度未満の温度で0.1〜50時間行い、2段目の熱処理を500〜700℃で0.1〜100時間行うことが好ましい。
本発明はNdFe14B系焼結磁石の製造に特に好適である。
本発明が適用されるNdFe14B系焼結磁石は、Rとして少なくともNdおよび/またはPrを含有し、さらに、FeおよびBを含有するものが好ましく、Feの一部をCoで置換したものがより好ましい。各元素の含有量は、
R:28〜32質量%、
B:0.8〜1.2質量%、
残部:Fe
である。各元素の含有量をこのような範囲内とすることにより、良好な磁石特性が得られる。特に、
R:28〜31.5質量%、
B:0.9〜1.1質量%、
残部:Fe
とすれば、より高い残留磁束密度が得られる。
R含有量が少なくなるにつれて残留磁束密度は向上するが、R含有量が少なくなりすぎると、α−Fe相等の鉄に富む相が析出して粉砕に悪影響を与え、磁気特性も低下する。また、焼結が困難となって焼結密度が低くなってしまうので、残留磁束密度向上は頭打ちになってしまう。R含有量が多すぎると、高残留磁束密度が得られなくなる。元素Rには、Ndおよび/またはPrが必ず含まれる。NdとPrとの比率は特に限定されない。元素RとしてNdおよび/またはPrだけを用いてもよいが、これら以外の希土類元素、すなわちY、Sc、La、Ce、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuの少なくとも1種を用いてもよい。これらのうちでは、Dyおよび/またはTbが好ましい。磁石特性を低下させないためには、NdおよびPrの両者以外の元素の合計量は、元素R全体の30質量%以下とすることが好ましい。なお、元素Rとして2種以上の元素を用いる場合、原料としてミッシュメタル等の混合物を用いることもできる。
B含有量が少なすぎると、菱面体組織となるため保磁力が低くなる。一方、B含有量が多すぎると、Bリッチな非磁性相が多くなるため残留磁束密度が低くなる。
残部は実質的にFeであるが、Feの一部をCoで置換してもよい。Coを添加することにより、保磁力の温度依存性および耐食性を改善することができ、残留磁束密度も向上できる。ただし、Co含有量が多すぎると保磁力が低下するため、磁石中におけるCoの含有量は0.1〜10質量%とすることが好ましい。
焼結磁石中には、上記各元素のほか、微量添加物ないし不可避的不純物として例えばCu、C、P、S、Al、Ti、V、Cr、Mn、Bi、Nb、Ta、Mo、W、Sb、Ge、Sn、Zr、Ni、Si、Hf、Ga、Znなどの少なくとも1種が含有されていてもよい。ただし、磁石特性低下を抑えるためには、これらの合計含有量を5質量%以下とすることが好ましい。
本発明により製造される焼結磁石の用途は特に限定されず、例えばモータやスピーカなど各種機器に適用可能である。
実施例1
以下に示す組成の原料合金を、急冷法(ストリップキャスティング)により製造した。ただし、組成Dのものは鋳造法により製造した。なお、下記組成において、数値は質量百分率である。
組成A:30.0%Nd−1.0%B−0.5%Co−0.2%Al−0.05%Cu−Fe、
組成A1:29.3%Nd−1.1%B−0.2%Al−0.05%Cu−Fe、
組成A2:40.5%Nd−5.0%Co−0.2%Al−0.05%Cu−Fe、
組成B:28.9%Nd−2.0%Dy−1.0%B−0.5%Co−0.3%Al−0.08%Cu−Fe、
組成C:24.3%Nd−7.1%Dy−1.0%B−1.0%Co−0.5Al−0.08%Cu−0.2%Sn−Fe、
組成D:35.4%Sm−Co
これらの原料合金を、水素吸蔵により粗粉砕した後、窒素ガス気流中で微粉砕することにより、表1〜表7にそれぞれ示す酸素プア原料(微粉)および酸素リッチ原料(微粉)を得た。これらの原料微粉の平均粒径は4.0〜5.5μm程度であった。なお、これらの原料微粉の酸素含有量は、粗粉砕および微粉砕における雰囲気中の酸素濃度を制御することにより制御した。具体的には、酸素プア原料微粉は酸素濃度50ppm以下の雰囲気中で、酸素リッチ原料微粉は酸素濃度0.3〜0.5%の雰囲気中でそれぞれ作製した。各表に示す原料微粉の酸素含有量は、不活性ガス融解法により測定した。この測定は、正確な結果を得るために非酸化雰囲気中で行った。
これらの原料微粉を表1〜表7にそれぞれ示す比率で混合し、1200kA/mの磁場中で圧力150MPaで成形した。得られた成形体を真空中において1000〜1100℃で4時間焼結した後、アルゴンガス雰囲気中において500〜900℃の温度範囲で1〜4時間の時効処理を、1段または多段で行い、焼結磁石サンプルを得た。ただし、組成Dの粉末を含む成形体については、水素雰囲気中において1150℃で焼結した。
これらの焼結磁石サンプルについて、密度ρ、磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力HcJ、角形比Hk/HcJ)をB−Hトレーサで測定した。また、サンプル断面を走査型電子顕微鏡により観察して、異常粒成長(AGG:abnormal grain growth)の有無を調べた。また、サンプルの酸素含有量を、不活性ガス融解法により測定した。これらの結果を表1〜表7に示す。なお、表1〜表7の中で、表1〜表4、表7は参考例である。
Figure 2009016853
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Figure 2009016853
Figure 2009016853
Figure 2009016853
Figure 2009016853
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表1〜表5から、酸素リッチ原料と酸素プア原料とを混合して用いることにより、残留磁束密度、保磁力および角形比がいずれも高い焼結磁石が得られることがわかる。また、酸素リッチ原料と酸素プア原料との合計に対する酸素リッチ原料の比率が60質量%以下、特に50質量%未満であれば、より良好な磁石特性が得られることがわかる。
表6に示される磁石は、2合金法により製造したものである。表6に示す原料微粉において、組成A1は磁石の主相に近い組成であり、組成A2は磁石の粒界相に近い組成である。そして、組成A1の微粉と組成A2の微粉とを質量比でA1:A2=9:1となるように混合して製造した磁石の組成は、組成Aの微粉だけを用いて製造した磁石の組成とほぼ同じとなる。表6において、酸素リッチ原料は微粉R6であり、酸素プア原料は微粉P6−1および微粉P6−2である。表6から、2合金法を用いた場合でも、本発明の効果が実現することがわかる。
表7において、サンプルNo.701は、酸素リッチ微粉と酸素プア微粉とを用いて製造され、サンプルNo.702は、原料微粉を1種だけ用いて製造されたものである。サンプルNo.702に用いた原料微粉Sの酸素含有量は、サンプルNo.702の酸素含有量がサンプルNo.701とほぼ同じとなるように設定してある。
表7から、組成がほぼ同じであっても、本発明を適用することにより角形比が向上することが明らかである。
参考例1
実施例1と同様にして粗粉砕まで行うことにより酸素リッチ原料(粗粉)と酸素プア原料(粗粉)とを製造し、これらの粗粉を混合した後、微粉砕した。ただし、表9に示す酸素リッチ粗粉R9を製造するに際しては、酸素含有量を多くするために、加熱も併用した。微粉砕の際の雰囲気中の酸素濃度は、50ppm以下とした。このほかは実施例1と同様にして、焼結磁石サンプルを作製した。これらのサンプルについて実施例1と同様な測定を行った。結果を表8および表9に示す。
Figure 2009016853
Figure 2009016853
表8および表9から、酸素リッチ原料と酸素プア原料とを粗粉砕後かつ微粉砕前に混合した場合でも、本発明の効果が得られることがわかる。
参考例2
組成E:28.2%Nd−1.0%B−0.2%Co−0.05%Al−0.05%Cu−Fe
の原料合金を用いたほかは参考例1と同様にして、焼結磁石サンプルを作製した。これらのサンプルについて実施例1と同様な測定を行った。結果を表10に示す。
Figure 2009016853
本参考例で用いた組成Eは、R含有量が少ないため、元素Rの酸化に対するマージンが小さい。そのため、酸素量に関連して特性が敏感に変化する。このような低R組成に対して本発明を適用する場合、酸素リッチ原料の比率を比較的低くすることにより、特に40質量%以下とすることにより、特に良好な性能が得られることがわかる。

Claims (9)

  1. R(Rは、希土類元素の少なくとも1種)、FeおよびBを含有する原料合金を鋳造法または急冷法により製造する原料合金製造工程と、原料合金を1段階または多段階で粉砕して原料粉末を得る粉砕工程と、原料粉末を成形して成形体を得る成形工程と、成形体を焼結してR:28〜32質量%、B:0.8〜1.2質量%、残部:Feからなる焼結磁石を得る焼結工程とを有し、
    原料合金を粉砕して得られた粉砕粉を原料と呼んだとき、
    酸素含有量が相対的に多くなるように製造され、酸素含有量が1200〜5000ppm(質量比)の原料である酸素リッチ原料の少なくとも1種と、
    酸素含有量が相対的に少なくなるように製造され、酸素含有量が300〜1000ppm(質量比)であり、かつ酸素リッチ原料より酸素含有量が1000ppm(質量比)以上少なく、さらに酸素含有量を除いた組成が酸素リッチ原料と異なる原料である酸素プア原料の少なくとも1種とを、成形工程の前に混合する希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 酸素リッチ原料と酸素プア原料との合計に対する酸素リッチ原料の比率が10質量%以上90質量%未満である請求項1の希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 酸素リッチ原料と酸素プア原料との合計に対する酸素リッチ原料の比率が10〜60質量%である請求項1または2の希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 酸素リッチ原料および酸素プア原料の少なくとも一方が、酸素含有量の相異なる2種以上の原料から構成され、その2種以上の原料間における酸素含有量の差の最大値が、酸素リッチ原料を構成する原料と酸素プア原料を構成する原料との間の酸素含有量の差の最小値よりも小さい請求項1〜3のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
  5. 酸素含有量(質量比)が500〜4500ppmである焼結磁石が製造される請求項1〜4のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
  6. 酸素リッチ原料と酸素プア原料との間の酸素含有量の相違が、これら両原料の製造工程の少なくとも一部において、雰囲気中の酸素濃度を相異なるものとすることにより実現されたものである請求項1〜5のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
  7. 酸素リッチ原料は、製造工程の少なくとも一部において、酸化性気体または水分を含む孔部を有する多孔性物質との接触または前記多孔性物質の近傍に配置されることにより、酸素含有量が制御されたものである請求項1〜6のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
  8. 粉砕工程において原料合金が多段階で粉砕され、
    少なくとも1段階の粉砕を行った後に、酸素リッチ原料と酸素プア原料とを混合する請求項1〜7のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
  9. 粉砕工程において原料合金が多段階で粉砕され、
    多段階の粉砕の最終段階終了後に、酸素リッチ原料と酸素プア原料とを混合する請求項1〜7のいずれかの希土類焼結磁石の製造方法。
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