以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
まず、サイド・バイ・サイド式冷蔵庫の全体的な構成について図1乃至及び図3を用いて説明する。図1において、冷蔵庫本体1は貯蔵温度が0℃以下の冷凍貯蔵室である冷凍室2と、貯蔵温度が0℃以上の冷蔵貯蔵室である冷蔵室3と、この冷蔵室3の下方に冷蔵室3よりも温度が高い冷蔵貯蔵室である野菜室4を備えている。尚、以下の説明では冷蔵室3と野菜室4を含めて冷蔵貯蔵室と表記する場合もある。
冷凍室2の前面開口部は冷凍室用扉2aで開閉閉塞され、冷蔵室3の前面開口部は冷蔵室用扉3aで開閉され、野菜室4の前面開口部は野菜室用扉4aで開閉される。冷凍室用扉2aはヒンジ2bによって回転自在に軸支され、冷蔵室用扉3aはヒンジ3bによって回転自在に軸支され、同じく野菜室用扉4aもヒンジ(図示せず)によって回転自在に軸支されている。
冷凍室用扉2aにはディスペンサ5が取り付けられている。このディスペンサ5は水と氷を供給する部分である。冷凍室2を開閉する冷凍室用扉2aの内壁面にはディスペンサ5の駆動部(図示せず)が取り付けられている。
図1には図示されていないが、冷蔵庫本体1は左右を区画するための縦仕切壁によって左に冷凍室2、右に冷蔵室3或いは野菜室4が配置され、更に冷蔵室3と野菜室4は横仕切壁で上下に区画されている。尚、本実施例に関係する縦仕切壁については図4乃至図6を用いて詳細に説明する。
図2を用いて冷凍室2の構成を説明する。図2において、冷蔵庫本体1を構成する外箱1aと内箱1bとの間には発泡ポリウレタンフォーム1cが充填されている。冷凍室2の背面側で、発泡ポリウレタンフォーム1cの中には真空断熱材として機能する冷凍室側断熱材組立体26Aが冷凍室2の方向に沿って縦方向に埋設されている。
上述したように本実施例のサイド・バイ・サイド式冷蔵庫は大型であるため、断熱箱体の背面側を覆う真空断熱材は、単位芯材を2枚用いて繋ぎ合わせて大きな真空断熱材としたものが使用されている。したがって、冷凍室2側に用いられる冷凍室側断熱材組立体26Aは単位芯材を内包材に収納し、後述する冷蔵貯蔵室側内包組立体27Aと共に外包材に収納され、減圧されて真空断熱材とされている。尚、図2に示した冷凍室側断熱材組立体26Aは外箱1aの内面に貼り付けられているが、内箱1bに貼り付けても良く、外箱1aに限定されるものではない。
冷蔵庫本体1の後方下部には機械室8が設けられている。この機械室8の内部には圧縮機9が収納されている。冷凍室2の背面奥側には冷却器室10が形成され、この冷却器室10内には冷却器11が収納されている。冷蔵庫に搭載される冷凍サイクルは、圧縮機9、冷却器11、及び図示しないキャピラリチューブ、蒸発器の順に配管で接続されている。
冷却器11の上部には冷気循環ファン12が取り付けられている。この冷気循環ファン12は冷却器11で冷却された冷気を冷凍室2、冷蔵室3、野菜室4に強制循環して冷却するためのものである。冷却器11と冷気循環ファン12との間は冷気通路13で連結されている。冷凍室用扉2aの表面には上述したようにディスペンサ5が取り付けられ、冷凍室用扉2aの内壁面にはその駆動部6が取り付けられている。
次に図3を用いて冷蔵貯蔵室の構成を説明する。図3において、冷蔵庫本体1を構成する外箱1aと内箱1bとの間には発泡ポリウレタンフォーム1cが充填されている。冷蔵貯蔵室である冷蔵室3と野菜室4の背面側で、発泡ポリウレタンフォーム1cの中には、冷凍室2側の冷凍室側断熱材組立体26Aとは別の冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aが埋設されている。この冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aも単位芯材を内包材に収納し、冷凍室側断熱材組立体26Aと共に外包材に収納され、減圧されて真空断熱材とされている。
冷気循環ファン12によって冷蔵室3へ供給された冷気は冷蔵室3の上部に設けたダンパ7から供給される。このダンパ7の動作は操作基板(図示せず)からの制御信号に基づいて制御される。冷蔵室3の前面開口部は冷蔵室用扉3aで開閉され、野菜室4の前面開口部は野菜室用扉4aで開閉される。
冷蔵室3と野菜室4は横仕切壁29で上下に区画形成されており、この横仕切壁29は冷蔵室用扉3aと野菜室用扉4aの扉パッキンのマグネット着磁面としての役目も果たしている。
以上のような構成のサイド・バイ・サイド式冷凍冷蔵庫において、本実施例の特徴である単位芯材を組み合わせた真空断熱材と、単位芯材の繋ぎ領域の断熱箱体内での設置場所について説明する。
まず、本実施例で使用する真空断熱材は上述したように、その面積を大きくするため2枚の単位芯材を繋ぎ合わせて形成されている。つまり、グラスウールからなる原綿を複数枚積層して単位芯材を形成し、(1)積層された原綿からなる単位芯材を圧縮して内包材に収納するか、或いは(2)繋ぎ合わされた単位芯材を圧縮して内包材に収納するかして断熱材組立体が形成される。ここで、(2)の方法であっても個々の単位芯材から見ると内包材に収納されているので、(1)の方法で作られた断熱材組立体と同じものと見做すものとする。
そして、夫々の単位芯材の繋ぎ端面には特許文献1の図2にあるような相互に単位芯材と繋ぎ合わされる相補的な凹凸部が設けられている。すなわち、一方の単位芯材の端面に形成した凹部に、他方の単位芯材の端面に形成した凸部を重ね合わせて繋ぎ合わされている。この凹凸部は単位芯材の端面で原綿の積層枚数を調整することで得られる。即ち、原綿の積層される部分を半分だけずらして積層することによって、いわゆる『相欠き接ぎ』ができるような形状に形成することができる。したがって、相互の単位芯材を『相欠き接ぎ』によって繋ぐことで面積の大きな芯材を得ることができるようになる。
そして、大きな真空断熱材を得る方法として、夫々の単位芯材を『相欠き接ぎ』によって繋いで大きな内包材に収納した後、更に外包材に収納して減圧して真空断熱材を得る方法と、夫々の単位芯材を内包材に収納した後、内包材に収納された夫々の単位芯材を『相欠き接ぎ』によって繋いで外包材に収納して減圧する方法とがあるが、どちらの方法を採用しても良いものである。
内包材はポリエチレンフィルム等で作られて柔軟性に富んでおり、単位芯材の形状に沿って変形することが可能である。本実施例では、単位芯材を内包材に収納した後、内包材に収納された夫々の単位芯材を『相欠き接ぎ』によって繋いで外包材に収納して減圧して得られた真空断熱材を使用している。
このように、『相欠き接ぎ』によると繋ぎ領域も含めて真空断熱材の平面度が向上して、外箱1aの内面への密着性を向上することができる。尚、これ以外の繋ぎ方ももちろん実施することが可能であり、相互の単位芯材を重ね合わせて繋ぎ領域とすることもできる。これによれば、単位芯材の製作が容易となる効果がある。
また、本実施例では単位芯材は結合用のバインダーを使用していないが、場合によってはフェノール樹脂などの有機バインダーを使って所定の形状に形成することも可能である。いずれにしても、真空断熱材の仕様によって上述した製作方法を適切に用いれば良いものである。
このようにして作られた大きな面積を有する真空断熱材は、図4に示すような位置に取り付けられるものである。図4はサイド・バイ・サイド式冷蔵庫の内箱を背面側から見たものであり、夫々の単位芯材の繋ぎ領域が見えるように外包材を省略して描いている。
図4において、内箱1bは合成樹脂板を真空成型装置により箱状に一体に形成されたものである。この内箱1bの内部には左右に冷凍室2と冷蔵貯蔵室(冷蔵室3及び野菜室4)とを区画、形成するために縦仕切壁28が設けられている。また、内箱1bの冷蔵貯蔵室側は横仕切壁29によって冷蔵室3と野菜室4とが上下に区画形成されている。
冷凍室2を形成する内箱1bの背面領域には図示しない外包材に包まれた、単位芯材GWが収納された冷凍室側断熱材組立体26Aが位置している。この冷凍室側断熱材組立体26Aは冷凍室2に沿っての縦方向に延びていると共に、横幅方向の端面は縦仕切壁28を越えて冷蔵貯蔵室側に位置している。同様に冷蔵貯蔵室側の内箱1bの背面領域には図示しない外包材に包まれた、単位芯材GWが収納された冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aが位置している。この冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aは冷蔵貯蔵室に沿っての縦方向に延びていると共に、横幅方向の端面は、内箱1bの横幅方向から見て縦仕切壁28より冷蔵貯蔵室側の位置に後退されている。
図4からわかるように、冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27AとはP部に示すように、その端面に『相欠き接ぎ』によると繋ぎ領域Sが形成されている。この繋ぎ領域Sは繋ぎ線30で示すように縦方向に沿って延びている。そして、この繋ぎ線30に沿った繋ぎ領域Sは、縦仕切壁28を境にして冷凍室2側ではなく冷蔵貯蔵室側に位置するようになっている。
つまり、冷凍室2、冷蔵貯蔵室(冷蔵室3、野菜室4)を各扉2a、3a、4a側から見て断熱箱体の背面に投影させた状態で、繋ぎ線30は縦仕切壁28を境にして冷蔵貯蔵室側の領域に存在するようになっている。
以上の構成を図5、図6を用いて更に詳細に説明する。図5はサイド・バイ・サイド式冷蔵庫の横断面を示しており、図6は図4のP部の拡大断面を示している。
図5において、冷凍室2と冷蔵貯蔵室である冷蔵室3とは縦仕切壁28によって仕切られている。そして外箱1aと内箱1bの間には発泡ウレタンフォーム1cが充填されている。冷凍室2と冷蔵室3の奥行き側(背面側)に位置する外箱1aには真空断熱材32が設けられている。この真空断熱材32は外包材31と、この外包材31に収納された冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aとより構成されている。冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aの隣り合う端面は繋ぎ合わされており、外箱1aの内面を縦方向に覆うように設けられている。冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aは『相欠き接ぎ』によって互いに繋がれている。
繋ぎ領域Sを『相欠き接ぎ』(単位芯材GWの突き合わせ面をクランク状に形成した)の形状にしたのは、繋ぎ領域Sからの熱漏洩をできるだけ低減するためである。一般に、繋ぎ領域Sの繋ぎ形状を複雑にすれば熱の漏洩を少なくできるが、芯材の性質上からあまり複雑な形状にすることは得策でなく、1段若しくは2段のクランク状にするのが一般的である。
また、本実施例のように、1つの外包材の中に2枚の単位芯材GWを並べ、その単位芯材GWが隣り合った箇所に『相欠き接ぎ』を形成した真空断熱材とすると、次のような問題を生じない。
つまり、単位芯材GWを個別に外包材に収納した真空断熱材とし、この個別の真空断熱材の隣り合う端部に『相欠き接ぎ』を形成した場合、ヒートブリッジの影響を受けやすくなる。更に、複数の真空断熱材同士を繋ぎ合わせる構成の場合、真空引きして真空断熱材を形成した後、プレスの圧縮加工により『相欠き接ぎ』の段部を形成する作業工程が増える。また、プレスの圧縮加工により外包材が破れて減圧状態が壊れる恐れや、圧縮力が大きすぎると芯材が破損して熱が伝わり易くなるおそれがある。本実施例のように構成にすると上述した問題を生じることはないものである。
そして、冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aの繋ぎ領域Sは図6にあるように、縦仕切壁28を境にして、冷凍室側断熱材組立体26Aが縦仕切壁28を越えて冷蔵室3側まで延びており、この部分で冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aと繋がれている。本実施例では冷蔵室2側で、縦仕切壁28が内箱1Bの背面側と接続される付近に繋ぎ領域Sの繋ぎ線30が位置するように,真空断熱材32が配置されるようになっている。
上述したように、冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aの繋ぎ領域Sでは熱の漏洩量が多くなる現象は避けられないものである。このため、熱の漏洩が多い冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aの繋ぎ領域Sをどこに配置すれば熱の漏洩量を少なくすることができるかが重要な課題であった。
そして、本実施例によれば、冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aの繋ぎ領域Sを、冷凍室2より温度が高く設定される冷蔵貯蔵室(冷蔵室3や野菜室4)の背面側の領域に位置するように、真空断熱材32を外箱1aの内面に固定するようしている。
このため、冷凍室2の温度と庫外の温度の温度差と、冷蔵貯蔵室の温度と庫外の温度の温度差とを比較すると、冷凍室2の温度と庫外の温度の温度差の方が大きい。したがって、冷凍室2側に冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aの繋ぎ領域Sを位置させると熱の漏洩が大きくなる。
これに対して、冷蔵貯蔵室の温度と庫外の温度の温度差は冷凍室2側に比べて小さいので、冷蔵貯蔵室2側に冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aの繋ぎ領域Sを位置させると、冷凍室2側に比べて熱の漏洩が小さくなるものである。このように、本実施例によれば、冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aの繋ぎ領域Sが、庫外との温度差が大きい冷凍室2が位置する領域を避けて、縦仕切壁28を含む冷蔵貯蔵室が位置する領域に存在するようにしたことによって、繋ぎ領域Sからの熱の漏洩を低減することができるようになる。
尚、本実施例では1つの外包材の中に2枚の単位芯材GWを内包材と共に収納して1つの大きな真空断熱材としているので次のような問題を生じることはないものである。
つまり、単位芯材GWを個別に内包材、及び外包材に収納した真空断熱材とし、この個別の真空断熱材を繋ぎ合わせた場合、隣り合う外包材の間に生じる隙間から熱の漏洩が生じ易くなる。このため、本実施例のように、1つの外包材の中に複数の単位芯材GWを並べた1枚の大きな真空断熱材とすることが望ましいものである。
また、外包材は金属箔や金属蒸着層を含んだラミネートフィルムから形成されているので、この金属を含んだ外包材がヒートブリッジ(熱の回り込み)の影響を受けやすくなる。ヒートブリッジの影響は芯材の面積によって変わり、芯材の面積が大きくなればヒートブリッジの影響を減らすことができる。このため、本実施例のように、1つの外包材の中に複数の単位芯材GWを並べた1枚の大きな真空断熱材とすることが望ましい。
以上述べた通り、本実施例によれば、冷凍室が存在する領域以外の貯蔵室の領域の断熱箱体内に、真空断熱材の単位芯材の繋ぎ領域Sが位置するように真空断熱材を配置したことによって、冷凍室が存在する領域に比べて熱の漏洩を少なくできて断熱性能を向上することが可能となる。
次に本発明を多扉式冷蔵庫に適用した実施例を図7乃至図10に基づき説明する。図7において、冷蔵庫本体14は貯蔵室として上から冷蔵室15、製氷室16、この製氷室16の横に並べて置かれた上部冷凍室17、下部冷凍室18、野菜室19の順に配置されている。
そして、これらの各貯蔵室は前面の開口部を開閉するための扉15a、16a、17a、18a、19aがそれぞれ取り付けられている。冷蔵室15の前面開口部を開閉する2枚の扉15aはヒンジ20で回動可能に保持され、観音扉式に開閉するようになっている。その他の扉16a、17a、18a、19aは前後方向に移動して各貯蔵室の前面開口部を開閉する引出し式扉となっている。
図8において、冷蔵庫本体14の内部奥側には冷却器室20が形成され、この冷却器室20内に冷却器21が収納されている。野菜室19の奥側と対向し、断熱壁22を隔てた位置には機械室23が設けられ、この機械室23内には圧縮機24が設置されている。冷蔵庫に搭載される冷凍サイクルは、圧縮機24、冷却器21、及び図示しないキャピラリチューブ、蒸発器の順に配管で接続されている。
冷却器21の上部には冷気循環ファン25が取り付けられている。この冷気循環ファン25は冷却器21で冷却された冷気を冷蔵室15、製氷室16、上部冷凍室17、下部冷凍室18、野菜室19に強制循環して冷却するためのものである。冷気循環ファン25の下流側にはダンパ(図示せず)が取り付けられている。このダンパは冷気循環ファン25によって吹き出された冷気を各貯蔵室に分配するためのものである。このダンパの動作は操作基板(図示せず)からの制御信号によって制御される。
冷蔵室15の前面開口部は冷蔵室用扉15aで開閉され、製氷室16の前面開口部は製氷室用扉16aで開閉される。下部冷凍室18の前面開口部は冷凍室用扉18aで開閉され、野菜室19の前面開口部は野菜室用扉19aで開閉される。図8には図示されていないが、上部冷凍室17の前面開口部は冷凍室用扉17aで開閉される。
そして、製氷室16、上部冷凍室17と冷蔵室15の間は横仕切壁29Aで上下に区画され、また下部冷凍室18と野菜室19とは横仕切壁29Bで上下に区画されている。この横仕切壁29A、29Bは、冷蔵室用扉15aと製氷室扉16A、上部冷凍室扉17A、下部冷凍室扉18a、及び野菜室扉19aの扉パッキンのマグネット着磁面ともなる。
ここで、本実施例では、製氷室16、上部冷凍室17及び下部冷凍室18が冷凍貯蔵室に該当し、冷蔵室15、野菜室19が冷蔵貯蔵室に該当する。
図9は図7に示す冷蔵庫の内箱を背面側から見た斜視図である。図9において、内箱1bは合成樹脂板を真空成型装置により箱状に一体に形成されたものである。この内箱1bの内部は冷蔵室15と製氷室16、上部冷凍室17とを区画、形成するために横仕切壁29Aと、野菜室19と下部冷凍室18とを区画、形成するために横仕切壁29Bとが設けられている。尚、図面では冷凍貯蔵室として製氷室16、上部冷凍室17、下部冷凍室18を共に描いている。
本実施例では、冷蔵室15用、製氷室16、上部冷凍室17、下部冷凍室18用、及び野菜室19用の3枚の単位芯材GWを横にして繋ぎ合わせて大きな真空断熱材としているが、図面上では製氷室16、上部冷凍室17、下部冷凍室18の冷凍室側断熱材組立体26Bと、野菜室19の野菜室側断熱材組立体27Bとを示している。
図9からわかるように、冷凍室側断熱材組立体26Bと野菜側断熱材組立体27BとはR部に示すように、その端面に『相欠き接ぎ』によると繋ぎ領域Sが形成されている。この繋ぎ領域Sは繋ぎ線30で示す通り野菜室19に沿って横方向に延びている。そして、この繋ぎ線30に沿った繋ぎ領域Sは、横仕切壁29Bを境にして下部冷凍室18側ではなく野菜室19側に位置するようになっている。
つまり、下部冷凍室18、野菜室19を各扉18a、19a側から見て断熱箱体の背面に投影させた状態で、繋ぎ線30は横仕切壁29Bを境にして野菜室19側の領域に存在するようになっている。
図10にあるように、真空断熱材32は外包材31と、この外包材31に収納された冷凍室側断熱材組立体26Bと野菜室側断熱材組立体27Bとより構成されている。冷凍室側断熱材組立体26Bと野菜室側断熱材組立体27Bの隣り合う端面は繋ぎ合わされており、外箱1aの内面を横方向に覆うように設けられている。冷凍室側断熱材組立体26Bと野菜室側断熱材組立体27Bは『相欠き接ぎ』によって互いに繋がれている。繋ぎ領域Sを『相欠き接ぎ』(単位芯材GWの突き合わせ面をクランク状に形成した)の形状にしたのは、実施例1と同様の理由である。
そして、冷凍室側断熱材組立体26Bと野菜室側断熱材組立体27Bの繋ぎ領域Sは図10にあるように、横仕切壁29Bを境にして、冷凍室側断熱材組立体26Bが横仕切壁29Bを越えて野菜室19側まで延びており、この部分で野菜室側断熱材組立体27Bと繋がれている。本実施例では野菜室19側で、横仕切壁29Bが内箱1bの背面側と接続される付近に繋ぎ領域Sの繋ぎ線30が位置するように,真空断熱材32が配置されるようになっている。
そして、本実施例によれば、冷凍室側断熱材組立体26Bと野菜室側断熱材組立体27Bの繋ぎ領域Sを、冷凍室2より温度が高く設定される野菜室19の背面側の領域に位置するように、真空断熱材32を外箱1aの内面に固定するようしている。
このため、冷凍室2の温度と庫外の温度の温度差と、野菜室の温度と庫外の温度の温度差とを比較すると、冷凍室2の温度と庫外の温度の温度差の方が大きい。したがって、冷凍室2側に冷凍室側断熱材組立体26Bと野菜室側断熱材組立体27Bの繋ぎ領域Sを位置させると熱の漏洩が大きくなる。
これに対して、冷蔵貯蔵室の温度と庫外の温度の温度差は冷凍室2側に比べて小さいので、野菜室19側に冷凍室側断熱材組立体26Bと野菜室側断熱材組立体27Bの繋ぎ領域Sを位置させると、冷凍室18側に比べて熱の漏洩が小さくなるものである。このように、本実施例も実施例1と同様に、冷凍室側断熱材組立体26Bと野菜室側断熱材組立体27Bの繋ぎ領域Sが、庫外との温度差が大きい冷凍室18が位置する領域を避けて、横仕切壁29Bを含む野菜室19が位置する領域に存在するようにしたことによって、繋ぎ領域Sからの熱の漏洩を低減することができるようになる。
尚、本実施例では下部冷凍室18と野菜室19の間の冷凍室側断熱材組立体26Bと野菜室側断熱材組立体27Bの繋ぎ領域Sの構成を説明したが、製氷室16、上部冷凍室17と冷蔵室15の間の冷凍室側断熱材組立体26Bと冷蔵室側断熱材組立体27Bの繋ぎ領域Sの構成も同様にすることができる。
また、本実施例では、3枚の断熱材組立体を使用しているが、例えば、製氷室16、上部冷凍室17、下部冷凍室18及び野菜室19を1枚の単位芯材GWで覆うことができるならば、2枚の単位芯材GWを用いることも可能である。もちろんこの場合も、冷凍室側を覆う冷凍室側断熱材組立体26Bと冷蔵室側断熱材組立体27Bの繋ぎ領域Sは冷蔵室側に位置させることはいうまでもない。
次に本発明の他の実施形態について図11、図12を用いて説明する。これらの実施形態は2枚の単位芯材GWを重ね合わせて繋ぎ領域Sに『相欠き接ぎ』を形成した真空断熱材を提案しているものである。尚、図面ではサイド・バイ・サイド式冷蔵庫を示しているが、多扉式冷蔵庫に使用しても良いことは言うまでもない。
図11において、冷凍室2側の冷凍室側断熱材組立体26Aは、2枚の単位芯材GW-A1、GW-A2(内包材に収納されている)の端面が所定の長さだけずらされて重ね合わされて『相欠き接ぎ』の一方が形成され、冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aも、2枚の単位芯材GW-B1、GW-B2(内包材に収納されている)の端面が所定の長さだけずらされて重ね合わされて『相欠き接ぎ』の他方が形成されるようになっている。
そして、冷凍室2側の冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側の冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aは夫々の単位芯材GW-A1、GW-A2、GW-B1、GW-B2の端面に形成された『相欠き接ぎ』によって繋ぎ合わされ、熱の漏洩が抑制されるようになっている。これは実施例1と同様である。このようにして形成された冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aの繋ぎ領域Sは、縦仕切壁28を境にして、冷凍室側断熱材組立体26Aが縦仕切壁28を越えて冷蔵室3側まで延びており、この部分で冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aと繋がれている。本実施例では冷蔵室2側で、縦仕切壁28が内箱1Bの背面側と接続される付近に繋ぎ領域Sの繋ぎ線30が位置するように,真空断熱材32が配置されるようになっている。
このように、本実施例では実施例1にあるような単位芯材GWに特別な『相欠き接ぎ』用の凹凸形状を形成することなく、平板状の単位芯材GWを重ね合わせて『相欠き接ぎ』を形成できるため、単位芯材GWを共用して用いることができるので製作費用が低減できる効果があるものである。また、冷凍室側断熱材組立体26Aと冷蔵貯蔵室側断熱材組立体27Aが共に、2枚の単位芯材GWが重ねられているので断熱効果を更に向上することができる。
尚、図11において、単位芯材GWが共に向き合う側とは反対側の端面は、『相欠き接ぎ』の形成に対応して長さ方向でずれているが、これは各単位芯材GWを加工しないでそのまま使用するようにして製作費用を抑えるようにしたためである。
次に、図11の変形例を図12に基づき説明すると、この変形例は冷凍室側断熱材組立体26Aを3枚の単位芯材GWを重ね合わせた点で相違している。図12においては、図11に示す実施例を基本としているが、図にある通り、単位芯材GW-A2より冷凍室2側に寄せて単位芯材GW-A3を余分に配置する構成としている。
この構成によっても図11に示す実施例と同様の効果を奏すると共に、更に、冷凍室2側に単位断熱材GW-A3を追加しているため、冷凍室2からの熱の漏洩を少なくすることができるようになる。
尚、図12において、単位芯材GWが共に向き合う側とは反対側の端面は長さ方向で揃えられるように加工されている。
以上の通り、本発明は冷凍室が存在する領域以外の貯蔵室の領域の断熱箱体内に、真空断熱材の単位芯材の繋ぎ領域Sが位置するように真空断熱材を配置するようにした。これによって、冷凍室に比べて温度が高い貯蔵室が存在する領域の断熱箱体内に単位芯材の繋ぎ領域Sが位置するようにしたため、冷凍室が存在する領域に比べて熱の漏洩を少なくできて断熱性能を向上することが可能となるものである。