JP5945708B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

本発明は、真空断熱材を適用した冷蔵庫に関するものである。
近年、冷蔵庫の省エネルギー化や省スペース化を狙いに、冷蔵庫の断熱性能を高める一手段として、高断熱性能を有する真空断熱材を利用する方法があり、省エネルギーの要請が益々高まる今日では、硬質ウレタンフォームと比較して数倍から10倍程度の断熱性能を有する真空断熱材を適切な範囲内で最大限に利用することにより断熱性能を向上させていくことが急務であるといえる。
その中で、真空断熱材を備えた従来の冷蔵庫としては、例えば特開平6ー159922号公報(特許文献1)や特開2006−242439号公報(特許文献2)に開示されたものがある。
以下、図面を参照しながら上記従来の冷蔵庫を説明する。
図10は特許文献1に記載されている冷蔵庫の側面断面図を示すものである。冷蔵庫の本体1は、外箱24と内箱25とで構成される空間全体を、成形可能な袋状の紙材20で覆い、この紙材20内部に無機多孔質からなる充填材21を充填し、内外箱24、25で囲まれた空間の形状に沿って真空断熱材22が構成されている。また、使用される真空断熱材22は両面ともに金属箔を有し、形状は平面のみとなっている。
本構成により、内外箱24,25間への真空断熱材22の収納作業が容易に行えると共に内外箱24,25と真空断熱材22との隙間を塞ぐ作業などが廃止できるうえ、硬質ウレタンフォーム26を使用せず真空断熱材22のみで断熱箱体を構成できるため、極めて高い断熱性能を確保することができる。
また、図11は特許文献2に記載されている冷蔵庫の正面断面図である。
冷蔵庫は、箱状に形成された冷蔵庫の本体1と、冷蔵庫の本体1の前面開口を開閉する扉(図示せず) とを備えて構成されている。冷蔵庫の本体1は、合成樹脂製の内箱25と、この内箱25を覆う鋼板製の外箱24とで構成される空間内に、複数の真空断熱材(真空断熱パネル)39、40を配設すると共に、硬質ウレタンフォーム(ウレタン発泡樹脂)26を充填することで形成した断熱壁を有している。
この断熱壁の両側壁は、薄い部分(温度の高い貯蔵室2、3の両側壁部分)で30mm程度、厚い部分(温度の低い貯蔵室14の両側壁部分)で50mm程度の厚さを有している。
複数の真空断熱材39、40は、外箱面に密着して設置した外箱側真空断熱材39と、内箱面に密着して設置した内箱側真空断熱材40とから構成されており、真空断熱材39、40は、10mm程度の厚さで構成されている。真空断熱材39は、外箱側で平板状に構成されて設置されると共に、底面40の左右両側の外箱コーナー部41の近傍まで延びている。内箱側真空断熱材40は、内箱25の底面に設置された外箱コーナー部41に対向した内箱コーナー部を覆ってさらに外箱側真空断熱材39の投影面で重なる位置まで内箱面に沿って延びるように設置されている。
本構成により、冷蔵庫のコーナー部における硬質ウレタンフォーム26の局部的な収縮を抑制して外箱の歪みもしくは内箱の割れを防止することができると共に、冷蔵庫の本体1の熱漏洩量を低減して消費電力を低減することができる。
特開平6ー159922号公報 特開2006−242439号公報
しかしながら、上記従来例に記載されている冷蔵庫では、外箱と内箱とに密着してなる硬質ウレタンフォームと比較して強度的に劣る真空断熱材のみを使用した冷蔵庫であるため、断熱性能は高いものの強度的には非常に弱くなるといった問題があった。また、内箱や外箱の形状が平面的でないため、平面的でない部分への板状の真空断熱材の使用は困難であった。また、真空断熱材の断熱性能向上のためには、一平面にアルミ蒸着フィルムを用いた真空断熱材の使用が効果的であるが、信頼性の面からアルミ蒸着フィルムを用いた真空断熱材の使用は困難であった。
また、近年の冷蔵庫業界の小スペース・大容量化の傾向では、約10年前と比べて同等の外形寸法で、庫内容量は100L程度増加している。これは冷蔵庫の無効スペースを無くす取り組みや箱体の断熱性能を向上させつつ壁厚の薄壁化をしているためである。上記従来例のように内箱側と外箱側の真空断熱材が重なる位置まで設置するには、十分な壁厚が必要であるが真空断熱材の厚みは10mm程度であり、重ね合わせる部分と硬質ウレタンフォームの充填厚みを考慮すると40mm以上は必要となる(上記従来例では50mm)ため、更なる大容量化を行うことは困難であった。
また、真空断熱材の重なる位置と重ならない位置での硬質ウレタンフォームの壁厚が一時的に変化するため、流動性が劣り、内外面の変形やボイドの発生といった問題があった。さらに、底面部の内箱側真空断熱材は内箱コーナー部を覆う形状となっているため、底面部内箱と真空断熱材の間の空気によって密着性の劣化を招き、凹み等の変形を招くという問題があった。
また、上記従来例では、真空断熱材は硬質ウレタンフォーム内部に存在するものの、真空断熱材の空気に触れる面積が大きいため、使用時の経年経過中に真空断熱材内部に空気が侵入し易く、更に空気侵入した真空断熱材は内部真空度が劣化するため剛性や熱伝導率の低下を招くという問題があった。更に長期使用時に内部真空度の劣化した真空断熱材に入る空気によって、外観への凹み等の変形を招くという問題があった。特に、冷蔵庫は放熱用パイプが冷蔵庫の外箱に配設され、放熱用パイプを覆う様に真空断熱材が貼り付けられる。
このとき、真空断熱材は硬質ウレタンフォーム内部となるが、放熱用パイプは硬質ウレタンフォーム外部へと配設されていることと、放熱用パイプ自身を外箱に貼り付ける際のアルミテープにより空気層が生まれるため、外部空気と真空断熱材が直接的、もしくは硬質ウレタンフォームやアルミテープを介して間接的にも接触する。
このようなことから、本発明は、上記課題に鑑み、冷蔵庫の箱体強度を向上し、経年劣化によって起こる真空断熱材の空気侵入による外観変形も問題なく、省スペースで大容量の冷蔵庫で且つ、高い断熱性能を有するため省エネ性能の高い冷蔵庫を提供するものである。
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、複数の断熱区画で構成された断熱箱体と、前記断熱箱体を仕切る断熱仕切り部とを備えた複数の温度帯で構成された冷蔵庫で、少なくとも繊維材料を含む芯材と、包材からなる袋内包された気体吸着材と、水分吸着材とを備えた真空断熱材を搭載し、前記真空断熱材表面に凸状に備えられた前記気体吸着材は、前記真空断熱材のうち冷蔵庫の庫内側(内箱側)に配設したもので、前記真空断熱材に備えられた前記気体吸着材および水分吸着材は、前記真空断熱材のうち、空気抜き部の末端位置に搭載されたもので、前記気体吸着材および水分吸着材はそれぞれ独立して併設され、前記気体吸着材にのみ突起部材を内包するものである。
これによって、気体吸着材が本体内側に配設されているため、空気に触れる影響が低減でき、冷蔵庫を長期に渡り使用した場合でも、真空断熱材に搭載した気体吸着材は外部から侵入してくる空気に接触する可能性が低くなるので、真空断熱材の真空度維持を図ることが出来る。よって、真空断熱材の熱伝導率の経年劣化を防止することが出来る。
また、真空断熱材の真空度維持によって、真空断熱材の空気侵入による変形も防止できるため、本体外箱の外観変形も防止できる。
また、気体吸着材は真空断熱材のうち冷蔵庫の庫内側(内箱側)に配設したため、本体外箱への凸形状とならず、外観変形も防止できる。
なお、気体吸着材の効果で低真空度となる真空断熱材は、剛性と熱伝導率が向上される。長期使用時でも低真空度は維持されるため、向上された剛性維持を図ることができ、箱体の強度を向上させることができる。また、強度を維持したままで壁厚の薄壁化を行うことが出来、庫内容量を大きくすることが可能となる。また、壁厚の薄壁化によって、使用する硬質ウレタンフォームの使用量が低減できるとともに製品重量も低減することが出来る。
本発明の冷蔵庫は、真空断熱材に備えられた気体吸着材に外部から空気が侵入する可能性を低減することができるので真空断熱材の真空度維持ができ、真空断熱材の経年劣化防止が図れ、より高品質で省エネ性に優れた冷蔵庫を提供することが出来る。
また、壁厚の薄壁化によって、使用する硬質ウレタンフォームの使用量も低減できるとともに製品重量も低減することが出来るので、省資源で環境に配慮した冷蔵庫を提供することが可能となる。
本発明の実施の形態1における冷蔵庫の斜視図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面断面図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図 本発明の実施の形態1における気体吸着材を適用した真空断熱材の断面図 本発明の実施の形態1における図1のA−A‘断面図 本発明の実施の形態1における気体吸着材を適用した真空断熱材の経年劣化イメージ図 本発明の実施の形態1における真空断熱材の気体吸着材配置図 本発明の実施の形態2における冷蔵庫の斜視図 本発明の実施の形態2における冷蔵庫の正面断面図 従来技術の特許文献1による冷蔵庫を説明する冷蔵庫の側面断面図 従来技術の特許文献2による冷蔵庫を説明する冷蔵庫の正面断面図
第1の発明は、複数の断熱区画で構成された断熱箱体と、前記断熱箱体を仕切る断熱仕切り部とを備えた複数の温度帯で構成された冷蔵庫で、少なくとも繊維材料を含む芯材と、包材からなる袋内包された気体吸着材と、水分吸着材とを備えた真空断熱材を搭載し、前記真空断熱材表面に凸状に備えられた前記気体吸着材は、前記真空断熱材のうち冷蔵庫の庫内側(内箱側)に配設したもので、前記真空断熱材に備えられた前記気体吸着材および水分吸着材は、前記真空断熱材のうち、空気抜き部の末端位置に搭載されたもので、前記気体吸着材および水分吸着材はそれぞれ独立して併設され、前記気体吸着材にのみ突起部材を内包するものである。
これにより、本体内側に配設されて空気に触れる影響が低減される気体吸着材は、冷蔵庫を長期に渡り使用した場合でも、真空断熱材に外部から侵入してくる空気の吸着を継続して行えるので、真空断熱材の真空度維持を図ることができ、真空断熱材の熱伝導率の劣化を防止することが出来る。
さらに、気体吸着材が真空断熱材よりも出っ張る場合でも、本体外箱への凸形状とならず、外観変形も防止できる。
また、低真空度に維持される真空断熱材の空気侵入による変形も防止できるため、本体外箱の外観変形も防止できる。
の発明は、第1の発明において、真空断熱材に備えられた気体吸着材の量は、真空断熱材の寸法に対して、1m3あたり60g以上としたものである。
これにより、寸法面積の大きく、空気に触れる面積の大きい真空断熱材においても、冷蔵庫の平均使用期間である10年の間であれば真空断熱材に搭載した気体吸着材は外部から侵入してくる空気の吸着を継続して行えるので、真空断熱材の真空度維持を図ることが出来る。よって、真空断熱材の熱伝導率の劣化を防止することが出来る。
また、真空断熱材の真空度維持によって、真空断熱材の空気侵入による変形も防止できるため、本体外箱の外観変形も防止できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。また、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
なお、従来と同一構成及び差異がない部分については、詳細な説明を省略する。また、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の斜視図である。図2は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の正面断面図である。図3は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の縦断面図である。
図1から図3に示すように、冷蔵庫の本体101は、前方に開口する金属製(例えば鉄板)の外箱124と硬質樹脂製(例えばABS)の内箱125と、外箱124と内箱125の間に発泡充填された硬質ウレタンフォーム126からなる断熱箱体で、この本体101の上部に設けられた冷蔵室102と、冷蔵室102の下に設けられた上段冷凍室103と、冷蔵室102の下で上段冷凍室103に並列に設けられた製氷室104と、本体下部に設けられた野菜室106と、並列に設置された上段冷凍室103及び製氷室104と野菜室106の間に設けられた下段冷凍室105で構成されている。
上段冷凍室103と製氷室104と下段冷凍室105と野菜室106の前面部はそれぞれに対応した引き出し式の扉103a,104a,105a,106aにより開閉自由に閉塞されると共に、冷蔵室102の前面は、例えば観音開き式で回転式の扉102aにより開閉自由に閉塞される。
冷蔵室102は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。野菜室106は冷蔵室102と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にすれば葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。上段冷凍室103と下段冷凍室105は冷凍保存のために通常−22から−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30から−25℃の低温で設定されることもある。
冷蔵室102や野菜室106は庫内をプラス温度で設定されるので、冷蔵温度帯を呼ばれる。また、上段冷凍室103や下段冷凍室105や製氷室104は庫内をマイナス温度で設定されるので、冷凍温度帯を呼ばれる。また、上段冷凍室103は切替室として、冷蔵温度帯から冷凍温度帯まで選択可能な部屋としても良い。
冷蔵庫の本体101の天面部は、冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けて機械室119があり、第一の天面部108と第二の天面部109で構成されている。この階段状の凹部に配置された圧縮機117と、水分除去を行うドライヤ(図示せず)と、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ143と、キャピラリーチューブ118と、冷却器107とを順次環状に接続してなる冷凍サイクルに冷媒を封入し、冷却運転を行う。前記冷媒には近年、環境保護のために可燃性冷媒を用いることが多い。なお、三方弁や切替弁を用いる冷凍サイクルの場合は、それらの機能部品を機械室内に配設することも出来る。
ここで、真空断熱材127,128,129,130,131は、硬質ウレタンフォーム126とともに冷蔵庫の本体101を構成している。
ここで、真空断熱材127,128,129,130は、外箱124にそれぞれ天面、背面、左側面、右側面の内側に接して貼り付けられている。また、真空断熱材131は、内箱125の底面に接して貼り付けられている。
真空断熱材128,129,130には、気体吸着材137がそれぞれ内部に搭載されており、真空断熱材128,129,130の気体吸着材は、中心よりも庫内側(内箱側
)に配設されている。
また、冷蔵室102と製氷室104および上段冷凍室103とは第一の断熱仕切り部110で区画されている。
また、製氷室104と上段冷凍室103とは第二の断熱仕切り部111で区画されている。
また、製氷室104および上段冷凍室103と、下段冷凍室105とは第三の断熱仕切り部112で区画されている。
第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112は、冷蔵庫の本体101の発泡後組み立てられる部品であるため、通常断熱材として発泡ポリスチレンが使われるが、断熱性能や剛性を向上させるために硬質ウレタンフォームを用いてもよく、更には高断熱性の真空断熱材を挿入して、仕切り構造のさらなる薄型化を図ってもよい。
また、ドアフレームの稼動部を確保して第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の形状の薄型化や廃止を行うことで、冷却風路を確保でき冷却能力の向上を図ることもできる。また、第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の内部をくりぬき、風路とすることで材料の低減につながる。
また、下段冷凍室105と野菜室106とは第四の仕切り部113で区画されている。
冷蔵庫の本体101の背面には冷却室123が設けられ、冷却室123内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷気を生成する冷却器107が断熱仕切壁である第二および第三の仕切り部111,112の後方領域を含めて下段冷凍室105の背面に上下方向に縦長に配設されている。また、冷却器107の材質は、アルミや銅が用いられる。
冷却器107の近傍(例えば上部空間)には強制対流方式により冷蔵室102、製氷室104、上段冷凍室103、下段冷凍室105、野菜室106の各貯蔵室に冷却器107で生成した冷気を送風する冷気送風ファン116が配置され、冷却器107の下部空間には冷却時に冷却器107や冷気送風ファン116に付着する霜を除霜する除霜装置としてのガラス管製のラジアントヒータ136が設けられている。除霜装置は特に指定するものではなく、ラジアントヒータの他に、冷却器107に密着したパイプヒータを用いても良い。
次に冷蔵庫の冷却について説明する。例えば冷凍室106が外気からの侵入熱およびドア開閉などにより、庫内温度が上昇して冷凍室センサ(図示せず)が起動温度以上になった場合に、圧縮機117が起動し冷却が開始される。圧縮機117から吐出された高温高圧の冷媒は、最終的に機械室119に配置されたドライヤ(図示せず)まで到達する間、特に外箱124に設置される放熱パイプ143において、外箱124の外側の空気や庫内の硬質ウレタンフォーム126との熱交換により、冷却されて液化する。
次に液化した冷媒はキャピラリーチューブ118で減圧されて、冷却器107に流入し冷却器107周辺の庫内空気と熱交換する。熱交換された冷気は、近傍の冷気送風ファン116により庫内に冷気が送風され庫内を冷却する。この後、冷媒は加熱されガス化して圧縮器117に戻る。庫内が冷却されて冷凍室センサ(図示せず)の温度が停止温度以下になった場合に圧縮機117の運転が停止する。
冷気送風ファン116は、内箱125に直接配設されることもあるが、発泡後に組み立てられる第二の仕切り部111に配設し、部品のブロック加工を行うことで製造コストの低減を図ることもできる。
次に、本実施の形態で使用した気体吸着材137を用いた真空断熱材について説明する。
図4のように、気体吸着材137を用いた真空断熱材138は、少なくとも繊維材料を含む芯材132と、ガスバリア性に優れた包材133からなる袋に真空封止された気体吸着材137とを、ガスバリア性に優れた外被材135で被い、外被材135を真空封止後に、包材133に穴を開け、包材内部と外被材内部を連通させてなる真空断熱材である。
上記のように外被材135を真空封止後に包材133に穴を開ける際に、本実施の形態においては、予め包材133に隣接して突起物を有する部材134を有する部材134を外被材135に内包しておき、真空封止後に外力によって突起物を有する部材134を押すことで包材133に穴を開けている。
繊維材料を含む芯材132とは、芯材132の重量に対して繊維を1パーセント以上100パーセント以下含むものであって、繊維材料と繊維材料以外の複合体であっても良い。
ガスバリア性に優れた包材133とは、気体難透過性の製袋可能なフィルムまたはシート状の部材である。例えば、ポリプロピレンフィルム、アルミニウム箔、低密度ポリエチレンの順にラミネートしたフィルムなどがあげられる。
また、袋とは気体吸着材137を包み込むことにより、周囲の空間と独立させるものであり、4方をヒートシールした袋、ピロー袋、ガゼット袋等がある。また、気体透過度が10[cm/m・day・atm]以下であることが好ましく、より望ましくは10[cm/m・day・atm]以下となるものである。
気体吸着材137とは、気体中に含まれる非凝縮性気体を吸着できるものであり、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物や、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物等が利用でき、特に、酸化リチウム、水酸化リチウム、酸化バリウム、水酸化バリウム等がある。これによって、空気中の概ね75%を有する窒素を常温状態で吸着できるため、高い真空度を得ることが出来る。
突起物を有する部材134とは、周囲の曲率に比較して、曲率が著しく大きい部分を有するものである。曲率が大きい部分は、同一の力をより小さい面積で受けるため、単位面積あたりに加わる力が大きくなる。従って曲率が大きい部分が包材133に押し付けられた際、包材133に貫通孔が生じやすくなる。
ガスバリア性に優れた外被材135とは、芯材132、包材133、気体吸着材137、突起物を有する部材134を包み込むことにより、周囲の空間と独立させるものである。また、気体透過度が10[cm/m・day・atm]以下であることが好ましく、より望ましくは10[cm/m・day・atm]以下となるものである。
穴を開ける方法は、突起物が外被材135に接触することによりなされるものである。
なお、穴を開ける方法として、本実施の形態では突起物を用いたが、突起物や部材134を用いなくても、たとえば包材133の剛性の弱い箇所やシール部を破壊するといった
こと等で、外被材135の真空封止後に外力によって、包材133を破壊できれば良い。
連通とは、包材内部と包材外部で隔てられていた空間を一続きの空間にすることである。
なお、繊維材料を含む芯材を用いて作製した真空断熱材の熱伝導率は、粉末材料のみからなる芯材を用いて作製した真空断熱材の熱伝導率に比較して、低圧力領域では小さく、高圧力領域では大きい。従って、繊維材料を含む芯材を用いて作製した真空断熱材はその外被材内部の圧力を低く維持することが重要である。
なお、本実施の形態で使用した気体吸着材137を用いた真空断熱材138は、外被材内に気体吸着材137を有しているため、外被材内部は圧力が低く維持され、繊維材料を含む芯材132を用いた真空断熱材の熱伝導率は低く維持される。よって、外被材内部の圧力が低く維持されるため、剛性も強くなるのである。
一般に、真空断熱材の熱伝導率は、芯材による熱伝導と、外被材内の残留ガスによる熱伝導の和により決定する。例えば、芯材が粉末を含む場合は、芯材内部に存在する気体の平均自由工程が短いため、気体による熱伝導率は非常に小さく、芯材による熱伝導が支配的である。一方、芯材が繊維の場合は、繊維同士の接点が少ないため、芯材の熱伝導率は非常に小さくなるが、気体の平均自由工程が大きいため、わずかな圧力上昇で、気体による熱伝導率が支配的になってしまう。従って、芯材が繊維のみからなるときは、このような効果が大きいため繊維芯材では外被材内部を低圧に保つことが、真空断熱材の熱伝導率を低減するために非常に有効な手段となる。
ここで、繊維集合体とは、繊維のみからなる集合体であって、バインダーや酸、熱等で成型されていても良い。
なお、真空断熱材は、内部に芯材を有しており、芯材はグラスウールなどの無機繊維集合体を加熱乾燥後、蒸着層フィルムと金属箔層フィルムを貼り合わせた外被材中に挿入し、内部を真空引きして開口部を封止することにより形成されている。
蒸着層フィルムは、アルミ蒸着フィルムをナイロンフィルムと高密度ポリエチレンフィルムとで挟み込んだ複合プラスチックフィルムで、金属箔層フィルムは、アルミ箔をナイロンフィルムと高密度ポリエチレンフィルムとで挟み込んだ複合プラスチックフィルムである。
また、蒸着層フィルムと金属箔層フィルムとのシール面は蒸着層フィルム側を一平面状とし、金属箔層フィルム側の面を立体的に構成している。そして、蒸着層フィルム側を外箱124もしくは内箱125に接して配置している。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について説明する。
本実施の形態のように、野菜室106が下方に設置され、真ん中に冷凍室105が設置され、冷蔵室102が上方に設置された冷蔵庫のレイアウト構成が使い勝手と省エネの観点からよく用いられている。また、圧縮機117を天面奥部に配設した構成の冷蔵庫も、使い勝手の観点と庫内容量UPの点から用いられる。近年では更に、省エネとして環境への取り組みの中で、硬質ウレタンフォーム126と比較して数倍から10倍程度の断熱性能を有する真空断熱材を適切な範囲内で最大限に利用することにより断熱性能や強度を向上させている冷蔵庫も発売されている。
その中で、本実施の形態では、少なくとも繊維材料を含む芯材132と、ガスバリア性に優れた包材133からなる袋に真空封止された気体吸着材137を備えた真空断熱材138で、且つ、気体吸着材137を真空断熱材のうち冷蔵庫の庫内側(内箱側)に配設したものである。
これにより、本体101の内側に配設されて空気に触れる影響が低減される気体吸着材137は、冷蔵庫を長期に渡り使用した場合でも、真空断熱材に外部から侵入してくる空気の吸着を継続して行えるので、真空断熱材の真空度維持を図ることができ、真空断熱材の熱伝導率の劣化を防止することが出来る。
ここで図5は本実施の形態における図1のA−A‘断面図である。
放熱パイプ143は、図5のように、冷蔵庫の本体101の外箱124の内側に配置されアルミテープ145により固定される。アルミテープ145は、硬質ウレタンフォーム126の充填される外箱124と内箱125の内部から外部へと配設される。つまり、アルミテープ145内の空気は外部と連通となっている。これは、冷蔵庫の製造工程で硬質ウレタンフォーム126を発泡する際に発生する熱によりアルミテープ145内に存在する空気が膨張し、その圧力によって外箱124が変形するのを防止するためである。
そのため、真空断熱材は硬質ウレタンフォーム126の内部となるが、放熱用パイプ143は硬質ウレタンフォーム126の外部へと配設されていることと、放熱用パイプ143自身を外箱124に貼り付ける際のアルミテープ145により空気層が生まれるため、外部空気と真空断熱材が直接的、もしくは硬質ウレタンフォーム126やアルミテープ145を介して間接的にも接触するのである。このため、冷蔵庫を長期に渡り使用した際に、少なからず空気に触れている真空断熱材は時間経過からの変化とともに、外部から侵入してくる空気の影響を受け、内部真空度が劣化し膨張すると共に、冷蔵庫外箱124への外観変形を及ぼすのである。
本実施の形態に用いた気体吸着材137は、空気中の概ね75%程度の割合で存在する窒素を、常温でも吸着することが出来るため、真空断熱材内部の残留空気を低減でき、真空断熱材の真空度の向上や剛性の向上が図れ、熱伝導率の低減を行える。よって、従来の真空断熱材での真空度よりも、残留空気中に多く含まれる窒素を常温吸着することで真空断熱材の真空度を高めている。通常、大気圧は100KPa、真空断熱材の真空度は10Pa程度であるが、本実施の形態に用いた気体吸着材137を用いた真空断熱材は1Pa程度の低真空度である。
また、気体吸着材137は真空封止後も外被からの空気侵入分を継続して吸着することが出来るため、真空断熱材の時間経過からの空気侵入によって起こる熱伝導率の経年劣化に対する性能低下の抑制も可能となり、長期にわたり高断熱性能を維持することができる。
図6は真空断熱材の熱伝導率の経年劣化のイメージ図である。図6のように、真空断熱材は時間経過からの変化によって空気の侵入があるため、使用期間と共に熱伝導率が低下していく。その中で、気体吸着材137を用いることにより、空気の侵入による劣化までの時間が長い気体吸着材137を用いた真空断熱材(D)は従来の真空断熱材(C)に比べ実使用時の経年劣化が抑えられ、長期にわたり高性能を維持することが可能となる。これによって、真空断熱材として初期状態での性能を概ね10年間維持することができるため、省エネランニングコストとして非常にパフォーマンスの優れた省エネ性能を提供できる。
本実施の形態に使用した気体吸着材137は、図6中の経過年数のB時点を考慮し、冷蔵庫の製品使用期間が概ね10年と考え、内容量を選定している。気体吸着材1つ当たり内容量は0.5g程度であり、少なくとも10年間は真空断熱材の初期性能を維持できるようにしている。
なお、気体吸着材137の内容量を多くすれば、経過年数B時点を更に延ばすことが出来る。
本実施の形態では、気体吸着材137を用いた真空断熱材の内、最大寸法は真空断熱材(側面)129、130であり、その寸法は、縦×横×厚み=510×1505×10.5mmである。この体積は、8.06×10−3(m)である。本実施の形態では、気体吸着材137の量を、1mあたり、60gとしている。
上記の量であれば、寸法面積が大きく空気に触れる面積の大きい真空断熱材においても、冷蔵庫の平均使用期間である10年の間であれば真空断熱材に搭載した気体吸着材は外部から侵入してくる空気の吸着を継続して行えるので、真空断熱材の真空度維持を図ることが出来る。よって、真空断熱材の熱伝導率の劣化を防止することが出来るのである。また、真空断熱材の真空度維持によって、真空断熱材の空気侵入による変形も防止できるため、本体外箱の外観変形も防止できる。
真空度維持の期間は、図6中の経過年数のB時点が10年であることである。気体吸着材の量が1mあたり60g以上であれば、B時点の年数が延びるため、更に長い経過時間においても空気吸着を行うことが出来る。また、同量であっても寸法面積の小さい真空断熱材であれば、同様に更に長い経過時間においても空気吸着を行うことが出来る。
この気体吸着材137の量は、コストとも関係しているため、使用する真空断熱材の形状・寸法・体積によって変化する残留空気量に応じて気体吸着材137の量を選定すると、コストパフォーマンスの良い真空断熱材を提供できる。
また図7は、実施の形態における真空断熱材の気体吸着材配置図である。
また図7のように、本実施の形態では、真空断熱材に搭載される気体吸着材137の配置を、外被材135の末端位置としている。これは真空断熱材の精製工程において、真空断熱材の外被材135内部で空気の粗密が発生するためである。図7には従来から真空断熱材内部の水分吸着に用いられる反応型水分吸着材146である。
この反応型水分吸着材146によって、真空断熱材の作製後、芯材からの水分放出により真空断熱材の内圧が上昇した場合にも、反応型水分吸着剤が水分を吸着除去するため、水分の放出による内圧増加に伴う断熱性能の劣化がなく、乾燥時間を大幅に短縮できる。よって、真空断熱材の生産性を大幅に低下させることはない。
真空断熱材は、例えば厚さ5mmのシート状グラスウール集合体を140℃で1時間乾燥した後、外被材135中に挿入し、内部を真空引きして開口部を封止することにより形成されている。真空断熱材の精製工程の中で、真空断熱材は4辺の内、3辺を封止し、内部に芯材を入れた後、残る1辺から周囲を低圧にした環境の中で真空断熱材内部の圧力を下げた上で残る1辺を封止する。このとき、真空断熱材の内部は低圧となっているが、低圧の状態では空気の粘性状態が変化し、真空断熱材の外被材入口部分と封止されている末端部分では空気の粗密状態が変わる。即ち、外被材入口部分では空気が疎となり、末端部分では密の状態となる。
本実施の形態のように、真空断熱材に備えられた気体吸着材137の配置を外被材135の末端位置に搭載することで、残留空気も効果的に吸着できるため、より真空度の高い真空断熱材を精製することが出来る。
なお、気体吸着材137の効果で真空断熱材は、剛性と熱伝導率が向上される。これは、気体吸着材137によって、真空度が低減されるためである。真空断熱材の真空度は、真空断熱材の外被材内部の中に含まれる気体を外部からの吸引もしくは気体吸着材137の吸着性能によって決定され、また、真空断熱材の真空度と剛性および熱伝導率は相関があり、真空度が高い真空断熱材は、剛性が高く、且つ、熱伝導率も高い。真空度の低い真空断熱材はこの逆である。
これにより、本実施の形態では、冷蔵庫の本体101に貼り付けている真空断熱材の中で、側面や背面のように貼り付け寸法面積の大きい真空断熱材に気体吸着材137を搭載している。これは、寸法面積の大きい真空断熱材は性能効果が大きいものの、経年劣化しやすいためである。
寸法面積の大きい真空断熱材は、空気に触れる外被材135の面積または封止部分4辺の長さが長いため空気侵入し易く、真空断熱材の真空度が劣化し性能劣化を導きやすいが、先述したように、気体吸着材137を搭載することで使用の際の経年侵入する空気も吸着できるため、概ね10年間の冷蔵庫使用中での性能劣化を抑制することが可能である。
更に、寸法面積の大きい真空断熱材は、冷蔵庫の被覆率も大きくなる。これにより、真空断熱材の真空度が低減され、剛性だけでなく熱伝導率も向上された真空断熱材であるため、真空断熱材が同一厚みであれば、壁厚の薄壁化をしつつ庫内容量のUPと省エネ向上を図ることが出来る。本実施の形態では、側面は概ね8〜11.5mmの厚みで気体吸着材137を搭載した真空断熱材138を用い、背面には概ね15mmの厚みで気体吸着材137を用いた真空断熱材138を用いている。天面と底面の真空断熱材127、131は、概ね8〜15mmの厚みで気体吸着材137を搭載していない真空断熱材を用いることで、強度と省エネ性への寄与度の高い部分に使い分けている。
なお、冷蔵庫内の温度は生鮮食品や飲料を貯蔵する概ね1℃〜5℃のプラス温度の冷蔵温度帯から、冷凍食品を貯蔵する概ね−18℃以下のマイナス温度の冷凍温度帯に区分けされている。本実施の形態のように、冷蔵庫の側面もしくは背面に真空断熱材を搭載することで、先述の温度帯を広範囲にわたり被覆できるため、真空断熱材の高断熱性によって外部からの熱侵入を広範囲にわたり抑制でき、省エネ性に優れた箱体を実現できる。
また、最も剛性または真空度の大きい真空断熱材を側面もしくは背面に搭載することは、冷蔵庫の本体強度の骨格となる部分に搭載することとなるので、冷蔵庫全体の強度の向上を図ることが出来、壁厚の薄壁化も可能となるので、強度を維持したまま庫内容量UPも図ることが出来る。
さらに、気体吸着材137を真空断熱材のうち冷蔵庫の庫内側(内箱側)に配設しているため、気体吸着材137が真空断熱材よりも出っ張る場合でも、本体101の外箱124への凸形状とならず、外観変形も防止できる。
なお、本実施の形態では、外形寸法と壁厚の比率で5%以下の部分を中心に、気体吸着材137を搭載した真空断熱材を貼り付けている。具体的には、側面と背面の真空断熱材128、129、130であり、側面の場合は外形の幅寸法が740mmであり、壁厚は33mmである。この場合の比率は、33/740×100%=4.8%である。
一般的に、強度(断面2次モーメント)は、(幅の3乗)×高さ/12の曲げ応力の式にて表せる。本実施の場合、幅は壁厚であり、高さは冷蔵庫の高さで概ね1800mmとしている。先述の算出式によると、3乗に比例することから、概ね35mm程度の厚みから強度が加速度的に増していくため、本実施では、概ね比率を5%以下の部分を中心に強度を高めるようにしている。
なお、外形寸法と壁厚の比率を上げていくと強度は増すが、庫内容量が減少していく。これは、外形寸法を固定した場合である。冷蔵庫はその商品展開において様々な外形寸法、およびレイアウトのせ設計開発がなされる。開発段階において、十分な試験データを取ることにより、外形寸法と壁厚の比率が庫内容量と強度において最も効果的に働く比率にて設計すると、コストパフォーマンスも良い。
なお、本実施の形態での冷蔵庫において、冷凍領域の冷凍室105を囲む硬質ウレタンフォーム126と真空断熱材128、129、130で形成される本体101の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25〜50mmの分布であり、冷蔵領域の冷蔵室102、野菜室106を囲む硬質ウレタンフォーム126と真空断熱材127、131で形成される本体101の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25〜40mmの分布としている。
庫内容量UPの為には、庫内壁厚の薄壁化が有効であるが、薄壁化した場合でも気体吸着材137を搭載した真空断熱材は、概ね8〜11.5mm程度の厚みであるため、真空断熱材の貼り付け後も硬質ウレタンフォーム126の流動性を阻害することはない。さらに、熱伝導率も飛躍的に向上されるため、熱侵入抑制の為に真空断熱材を重ね合わせる必要もなく、これによって、硬質ウレタンフォーム126の壁厚の一時的な変化も無く、流動性が劣り、内外面の変形やボイドの発生も防止することが出来る。
なお、本実施の形態での気体吸着材137を搭載した厚み11.5mmの真空断熱材を冷蔵庫の左右側面に貼り付けた場合、気体吸着材137を搭載していない真空断熱材の厚みでは16mmに相当する。よって、同等性能であれば、庫内容量を+15L増やすことが可能となることに加えて、硬質ウレタンフォーム126の使用量も低減できコストダウンが図れるとともに製品重量も低減することが出来るため、搬入時の運搬性も向上する。
また、本実施の形態では、真空度を変えて剛性の異なる真空断熱材を複数で使い分けることで、冷蔵庫の本体101の強度を向上させている。特に搭載している真空断熱材の中でも、側面や背面のように冷蔵庫の被覆率を大きく取れる部分に搭載することで、本体101の強度の向上を図ることが出来る。
これは一般的なタンスや住宅での強度確保と同様に上下方向の面に対する強度を高めることで、全体の強度を高めることと同様である。このように、強度として寄与する部分には剛性の高い真空断熱材を用い、寄与しにくい部分には硬質ウレタンフォーム126よりも剛性の高い真空断熱材を用いることで、断熱性能を向上し省エネ性を向上させつつ、本体全体の強度を高めた冷蔵庫を提供することが出来る。特に壁厚の薄いところは、剛性の高い真空断熱材を用い、硬質ウレタンフォーム126よりも強いが壁厚の厚いところは剛性の弱い真空断熱材を用いることで箱体強度のバランスを高めて強度を維持することが出来る。真空断熱材の厚みは、概ね8〜15mm程度だが、同一厚みであれば硬質ウレタンフォーム126よりも剛性が高く、熱伝導率も良い。
なお、気体吸着材137の効果で低真空度となる真空断熱材は、剛性と熱伝導率が向上される。長期使用時でも低真空度は維持されるため、向上された剛性維持を図ることができ、本体101の強度を向上させることができる。また、強度を維持したままで壁厚の薄
壁化を行うことが出来、庫内容量UPが可能となる。また、壁厚の薄壁化によって、使用する硬質ウレタンフォーム126の使用量も低減できコストダウンが図れるとともに製品重量も低減することが出来るため、搬入時の運搬性も向上する。
なお、真空断熱材の寸法と厚み及び熱伝導率に対する、従来の真空断熱材や、気体吸着材137を用いた真空断熱材138の組み合わせはコストと密接な関係があるため、冷蔵庫の性能と材料費を考慮し、寸法等を決めると良い。
なお、本実施の形態では、気体吸着材137の配置を搭載される真空断熱材の中心よりも庫内側(内箱側)に配設したが、庫外側(外箱側)に配置することにより、気体吸着材137の活性度が向上するため気体吸着材137の効果が向上し、より真空度の高まった真空断熱材を提供することができ、熱伝導率や強度も向上するので高い省エネ性や外観強度の冷蔵庫を提供できる。これは、冷蔵庫の本体101の外箱側は、外気からの熱影響や外箱内側に貼り付けている放熱パイプ143による熱影響で気体吸着材137の温度が高まるからである。
この場合に、気体吸着材137が真空断熱材よりも出っ張り外観変形をきたす可能性がある場合には、気体吸着材137を搭載する箇所の真空断熱材に凹みを付けて真空断熱材よりも出っ張らないような配慮をすると良い。
なお、本実施の形態では、冷凍温度帯に掛かるように真空断熱材を貼り付けている。これにより、外気あるいは庫内他室との温度差の大きい部分を効果的に断熱でき、真空断熱材の性能を生かすことが出来る。
また、内箱125に接し配設する真空断熱材131は、投影面積で内箱125より小さいものである。換言すれば、内箱125に接し配設した真空断熱材131は、真空断熱材131が接し配設される内箱125 からはみ出ていない。
本実施の形態の冷蔵庫は、内箱125に接し配設した真空断熱材131が、真空断熱材131が接し配設される内箱125からはみ出ていないので、真空断熱材125を所定箇所に配設した後で、外箱124と内箱125との間に硬質ウレタンフォーム126を流し込んだ場合に、内箱125に配設された真空断熱材131に対して、内箱125から剥がす方向の力が加わらないため、硬質ウレタンフォーム126の流入による真空断熱材131の剥がれを防止でき、さらに、真空断熱材131の貼付けの安定を容易に図ることができると同時に、硬質ウレタンフォーム126の流動性を阻害しない。これによって、真空断熱材131と内箱125との間に空気などの不活性ガスの侵入もしくは残留を抑制することが出来るため、内箱125と真空断熱材131とが密着し、内箱凹み等の変形を抑制できる効果もある。
また、天面の真空断熱材127は外箱124に接して配設しているので、庫内照明用取り付け部材あるいは電線を内箱125の天面に取り付け可能となり、冷蔵室102の天面に照明を設けることができ、使い勝手の向上が図れる。
なお、本実施の形態では、本体底部にコの字状の底部補強部材144と真空断熱材が投影面で重なるように真空断熱材を配設している。これによって、冷蔵庫の本体101の強度が足元から向上することが出来るため、更なる強度向上が図れる。底部補強部材144は剛性の高い鉄やステンレスなどの材料が用いられ、また、外気の湿度によって錆びないような表面処理を施しておくと良い。また、本実施の形態では、コの字状の底部補強部材144としているが、コスト低減の観点や、本体強度の測定の結果、強度に尤度のある場合は、Lの字状の底部補強部材としても良い。
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態2による冷蔵庫の斜視図である。図9は本発明の実施の形態2による冷蔵庫の正面断面図である。
なお、実施の形態1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図8に示すように、冷蔵庫の本体201は、前方に開口する金属製(例えば鉄板)の外箱224と硬質樹脂製(例えばABS)の内箱225と、外箱224と内箱225の間に発泡充填された硬質ウレタンフォーム226からなる断熱箱体で、この本体201の右部に設けられた冷蔵室202と、左部に設けられた冷凍室214で構成されている。このようなレイアウトの冷蔵庫は、欧米などで以前より用いられている。
ここで、真空断熱材227,228,229,230,231,242は、硬質ウレタンフォーム226とともに冷蔵庫の本体201を構成している。
ここで、真空断熱材227,228,229,230は、外箱224にそれぞれ天面、背面、左側面、右側面の内側に接して貼り付けられている。また、真空断熱材231は、内箱225の底面に接して貼り付けられている。また、真空断熱材242は、冷蔵室202と冷凍室214を仕切る断熱仕切り部215の内部にある。真空断熱材228,229,230,242には、気体吸着材237がそれぞれ内部に搭載されている。
真空断熱材228,229,230,242の気体吸着材は、中心よりも庫内側(内箱側)に配設されている。また、冷蔵室202と冷凍室214を断熱区画する断熱仕切り部215の内部は、硬質ウレタンフォーム226が充填されており、冷蔵温度帯の冷蔵室202と冷凍温度帯の冷凍室214の温度差20Kから30Kを断熱していると共に、中仕切りとなっているため剛性が強く箱体強度の高い冷蔵庫となる。断熱仕切り部215は冷蔵庫の発泡前に組み立てられるが、製造上の作り易さから発泡後に組み立てても良い。この場合は、断熱仕切り部215の内部の断熱材は、形状の作りやすい発泡ポリスチレンを使用したり、硬質ウレタンフォーム226を別部品として作成し板状のボードとして構成しても良い。
上記構成の冷蔵庫において、本実施の形態の真空断熱材242は、気体吸着材237を用いた真空断熱材であり、真空断熱材228,229,230と同様に剛性が高いため、本体201の強度向上を図ることが出来る。
また、真空断熱材242を断熱仕切り部215の中で、冷凍室214側に貼り付けることで断熱効果の向上を図ることが出来ると共に、冷蔵室202の側壁には庫内照明用取り付け部材あるいは電線を内箱225に取り付け可能となり、冷蔵室202の側面にも照明を設けることができるため、使い勝手の向上が図れる。
このとき、真空断熱材242の内部に配置される気体吸着材237は冷蔵室202の内箱225に搭載すると良い。
また、真空断熱材242は、気体吸着材237を用いた真空断熱材であるため熱伝導率の向上が出来る。よって、剛性の向上に加え、冷蔵室202と冷凍室214との熱移動を低減できるため、断熱仕切り部215の薄壁化が可能となる。これによって、本体強度と省エネ性を向上しながら庫内容量UPを行うことが出来る。更に断熱仕切り部215を細く構成できることはデザイン性にも優れた冷蔵庫を提供できる。
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫は、真空断熱材の内部に配置される気体吸着材を冷蔵庫の庫内側(内箱側)に配設した真空断熱材を使用することにより、気体吸着材が真空断熱材内部の残留空気や外部からの侵入空気も継続的に吸着することが出来るため、経年劣化後も含め、熱伝導率や本体外観の変形を抑制し、省スペースで大容量且つ、高い断熱性能を長期に渡り維持できる。よって、環境を配慮し省エネランニングコスト低減や製品仕上がりの質感の高さを目的とする家庭用冷蔵庫などに利用ができる。
101,201,301 本体
110,111,112,113 断熱仕切り部
125 内箱
127,128,129,130,131,138 真空断熱材
228,327,328,329,330,331,342 真空断熱材
132 芯材
133 包材
137,237,337 気体吸着材

Claims (2)

  1. 複数の断熱区画で構成された断熱箱体と、前記断熱箱体を仕切る断熱仕切り部とを備えた複数の温度帯で構成された冷蔵庫で、少なくとも繊維材料を含む芯材と、包材からなる袋内包された気体吸着材と、水分吸着材とを備えた真空断熱材を搭載し、前記真空断熱材表面に凸状に備えられた前記気体吸着材は、前記真空断熱材のうち冷蔵庫の庫内側(内箱側)に配設したもので、前記真空断熱材に備えられた前記気体吸着材および水分吸着材は、前記真空断熱材のうち、空気抜き部の末端位置に搭載されたもので、前記気体吸着材および水分吸着材はそれぞれ独立して併設され、前記気体吸着材にのみ突起部材を内包することを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記真空断熱材に備えられた前記気体吸着材は、前記真空断熱材の寸法に対して、1m 3 あたり60g以上としたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
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