JPH11159950A

JPH11159950A - 冷蔵庫の断熱箱体

Info

Publication number: JPH11159950A
Application number: JP32823497A
Authority: JP
Inventors: Takayoshi Iwai; 隆賀岩井; Masato Tago; 正人田子; Hironobu Okada; 大信岡田
Original assignee: Toshiba Corp
Current assignee: Toshiba Corp
Priority date: 1997-11-28
Filing date: 1997-11-28
Publication date: 1999-06-15

Abstract

(57)【要約】【課題】断熱箱体の強度維持を図りながら、内容積の
向上を図る。【解決手段】外箱１と内箱５との間に、真空断熱パネ
ル１５を挿入し、残った空隙にポリウレタン原液２５を
注入発泡させて断熱箱体３を構成し、前記内箱５を、合
成樹脂の射出成形により製造し、少なくとも前記外箱１
と対向し合う外側面５ａがほぼ平らな面に形成された複
数の組み合わせによって構成する。一方、外箱１と内側
５の間に挿入された前記真空断熱パネル１５の少なくと
も一方の面を、内箱５の壁面と接した状態で設置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、冷蔵庫の断熱箱
体に関する。

【０００２】

【従来の技術】冷蔵庫の断熱箱体は、通常、ＡＢＳ等の
合成樹脂製の内箱と鋼板製の外箱に、冷却器ほかの冷凍
サイクル部品、電装品、その他機構部品などを予め組込
んで発泡型に固定した後、内箱と外箱との間の空間に、
ウレタン原液を注入発泡させて製造される。

【０００３】断熱箱体の強度は、充填発泡されたポリウ
レタンフォーム自身と、ポリウレタンフォームが内箱お
よび外箱と強固に接着することによって保持されてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】断熱箱体は、強度面だ
けでなく、高い断熱性も要求され、断熱性能の向上を図
る目的として、例えば、特開昭５６−１２７８８８号公
報の如く真空断熱パネルを組込んだ断熱箱体が提案され
ている。

【０００５】真空断熱パネルは、微細な連通セル構造の
ポリウレタンフォームや無機微粉末などのコア材を、空
気の透過を遮断するガスバリア性の容器に入れ、内部を
真空排気し封入したものである。真空断熱パネルの熱伝
導率は、コア材の種類や内圧によって異なるが、ポリウ
レタンフォーム（一般的な値：０．０１７５Ｗ／ｍＫ）
の約１／３の０．００６Ｗ／ｍＫ以下であり優れた断熱
性能を示す。

【０００６】真空断熱パネルの組込みは、一般的には内
箱と外箱の間に形成される外箱の内壁面側寄りに空隙を
残して真空断熱パネルを固定し、残りの空隙にウレタン
原液を注入発泡することにより、断熱厚み方向に、真空
断熱パネルとポリウレタンフォームを積層することによ
って行われる。この時、ウレタン原液が十分に回り込み
ボイドなく充填される条件を満すためと、断熱箱体とし
ての十分な強度を保持する条件を満すためには、充填さ
れるポリウレタンフォームの厚みが、少なくとも１５〜
２０ｍｍは必要となる。このために、トータルの断熱厚
みを大幅に薄くすることは難しくなる。

【０００７】また、外箱の内側には、放熱パイプが配設
されることが多いため、真空断熱パネルを固定する位置
の制約が起きる。さらに、外箱の外壁は外気温等の温度
の影響を受け易く、真空断熱パネルの長期性能維持のた
めには、温度等の影響が受けにくい低温領域となる内箱
寄りに配置することが望ましい。

【０００８】また、内箱は、棚板、レール部等庫内の部
品を保持するために、真空成形により深ぼり成形して凹
凸を作っている。この凹凸により内箱側へ直接接触させ
て、真空断熱パネルを確実に固着させることは困難とな
る。しかも、内箱は薄くて撓み易い。

【０００９】また、断熱性能を上げるためには、断熱厚
みの関係から真空断熱パネルだけで断熱壁を構成するの
が望ましいが、真空成形の内箱との組合せにおいては、
断熱箱体の強度を保持しながら、断熱厚みを薄くし、庫
内のスペースの容積効率のアップを図ることは困難であ
った。

【００１０】そこで、この発明は、断熱箱体の断熱厚み
を薄くしながら、強度保持を確保し、しかも、庫内スペ
ースの容積効率のアップを図った冷蔵庫の断熱箱体を提
供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明は、外箱と内箱との間に、真空断熱パネル
を挿入し、残った空隙にポリウレタン原液を注入発泡さ
せて構成した冷蔵庫の断熱箱体において、前記内箱を、
合成樹脂からなる複数の射出成形品により構成し、前記
真空断熱パネルの少なくとも一方の面を、内箱の壁面と
接した状態で設置する。

【００１２】そして、好ましい実施形態として、真空断
熱パネルの厚み方向には、注入発砲されるポリウレタン
フォームを積層しない。

【００１３】かかる構成によれば、合成樹脂の射出成形
によって、外箱と対向し合う内箱の外側面はほぼ平らな
面となっているため、真空断熱パネルを、内箱の壁面に
直接接した状態で配置できるため、断熱箱体の強度アッ
プが図れる。また、トータルの断熱厚みを大幅に薄くで
きるため庫内容積をアップできる。

【００１４】また、真空断熱パネルを設ける部位として
は、冷却器と冷気循環ファンとを有するそれぞれ独立し
た複数の区画によって構成される区画室の外壁、ないし
は、異なる温度帯にそれぞれ仕切る仕切壁が好ましい。

【００１５】また、デッドスペースの低減による断熱性
向上のために、注入発泡されるポリウレタンフォームと
直接接触しない真空断熱パネルの側面を、フランジ部が
無い構造とするか、あるいは、フランジ部を折り込むよ
うにする。

【００１６】また、内箱の一部領域を、真空断熱パネル
のガスバリア層の一部として兼用する構成としても良
い。

【００１７】また、前記ガスバリア層は、内箱に一体成
形した排気口から真空断熱パネル内部を真空排気したの
ち、その排気口を溶封して構成することで達成される。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、この発明にかかる第１の実
施形態について図１乃至図４の図面を参照しながら具体
的に説明する。

【００１９】図１において、１は冷蔵庫の断熱箱体３を
構成する外箱，５は冷蔵室７と冷凍室９とを構成する内
箱をそれぞれ示している。

【００２０】外箱１は、鋼板製で前面が開放されると共
に、上部１ａ，底部１ｂ，両側部１ｃ及び機械室１１と
なる下端側が一部開放された背部１ｄとから成る形状と
なっている。

【００２１】内箱５は、ポリプロピレン等の合成樹脂材
料による射出成形品であり、独立した冷蔵室７と冷凍室
９とに構成されている。内箱５の庫内側となる内壁面
は、図４に示す如く棚板用の凸部１３が設けられる一
方、外箱１と対向し合う外側面５ａはほぼ平らな面に形
成されている。

【００２２】冷蔵室７を構成する内箱５の天井部１７と
外箱１との間と、冷凍室９を構成する内箱５の底部と外
箱１との間には真空断熱パネル１５が設けられている。
天井部側の真空断熱パネル１５の上面は外箱１と、下面
は内箱５の天井部１７とを、それぞれホットメルト接着
剤やあるいは両面粘着テープ等の接着手段により固着し
ている。

【００２３】真空断熱パネル１５は、図３に示す如く微
細な連通セル構造を持つプラスチックフォーム（ポリウ
レタン、ポリスチレン）等の成形体から成るコア材２１
を、アルミ箔とプラスチック層を備えたラミネートフィ
ルム（最内層にポリプロピレンフィルム）からなるガス
バリアフィルム２３によって真空封入したものである。

【００２４】コア材２１は、前記プラスチックフォーム
以外に、無機微粉末やその成形体、有機・無機繊維やそ
の成形体等があり、大気圧に対して変形しない十分な圧
縮強度を有するものを選択して使用する。

【００２５】内箱５と外箱１の左右両側及び背部側は、
図４に示す如くウレタン原液を注入・発泡させたポリウ
レタンフォーム２５が、内箱５のほぼ平らな外側面５ａ
と外箱１ほぼ平らな内壁面と直接接触し合う状態で充填
されている。

【００２６】なお、図示省略するが、ポリウレタンフォ
ーム２５にかえて、真空断熱パネル１５を挿入すること
も可能である。この場合には、真空断熱パネル１５と真
空断熱パネル１５の間の突合せ隙間にはポリウレタンフ
ォームを充填することが望ましい。

【００２７】このように構成された第１の実施形態で
は、内箱５は射出成形により製造されている関係上、凸
部１３の形状や平滑な内壁面が精度良く成形できるとと
もに、内箱５自体に十分な強度が得られるので、断熱箱
体３の強度を低下させることなく、真空断熱パネル１５
を組み込むことが可能となる。また、コア材２１は、大
気圧に対して変形しない充分な強度を有するものを選択
使用しているので、図２に示すように、真空断熱パネル
１４を上面や下面に配置しても強度面での問題は発生し
ない。

【００２８】また、このように構成された断熱箱体３に
よれば、４００リットルクラスの冷蔵庫に適用した場
合、１０から３０リットルの庫内容積のアップが図れる
と共に、十分な強度が確保される。しかも、天井部側、
底部側の断熱厚みを薄くできるため、冷蔵室７及び冷凍
室９の庫内の高さを増やすことが可能となり、レイアウ
トの自由度も増す。

【００２９】図５は第２の実施形態を示したもので、真
空断熱パネルを温度帯の異なる独立した庫内を仕切る仕
切壁２７に用いるものである。

【００３０】即ち、内箱５は、ポリプロピレン等の合成
樹脂材料による射出成形品であり、独立した冷蔵室２９
と冷凍室３１とに構成する。内箱５の庫内側となる内側
面は図４の凸部１３と同様に凸部（図示していない）が
設けられる一方、外箱１と対向し合う外側面２９ａ，３
１ａはほぼ平らな面に形成されている。

【００３１】冷蔵室２９と冷凍室３１とを仕切る仕切壁
２７には、真空断熱パネル３３が設けられ、温度帯の異
なる独立した庫内に仕切っている。

【００３２】真空断熱パネル３３は、冷蔵室２９の底部
下面と冷凍室３１の天井部上面とを、ホットメルト接着
剤等の接着手段により固着している。

【００３３】一方、冷蔵室２９及び冷凍室３１には、蒸
発器となる冷却器３５と冷気循環ファン３７がそれぞれ
独立して設けられ、冷却器３５は、機械室１１に設けら
れた圧縮機３９を始めとして凝縮器、絞り機構（いずれ
も図示していない）とを接続して冷凍サイクルを構成し
ている。

【００３４】なお、内箱と外箱の残りの空隙には図２と
同様にポリウレタンフォーム２５が充填されており、同
一符号を付して詳細な説明を省略する。

【００３５】かかる実施形態によれば、冷蔵室２９及び
冷凍室３１は、それぞれ独立して配置された２組の冷却
器３５及び冷気循環ファン３７によって冷気が庫内をそ
れぞれ独立して循環するようになる。

【００３６】このために、１組の冷却器と冷気循環ファ
ンを用いて冷気を、冷蔵室及び冷凍室のそれぞれの庫内
へ分配していた従来の構造に比べると、ダクト構造が簡
単となり庫内を完全に分離できる。従って、ダクト構造
が簡単になるので、仕切壁２７に真空断熱パネル３３を
用いることにより従来のウレタンフォームに比べて約半
分以下の厚みにできるだけでなくさらに大きな真空断熱
パネルを採用することが可能となる。

【００３７】この結果、庫内容積のアップを図ることが
できると共に、冷蔵室２９と冷凍室３１の高さ方向を十
分に確保できる。

【００３８】図９は第３の実施形態を示したもので、真
空断熱パネル３３を仕切壁２７に組込むにあたり、断熱
性能の低下を防止するように構成したものである。

【００３９】即ち、図７，図８，図９に示す如く、コア
材４１をガスバリアフイルム４３で取囲み、周囲を熱溶
着する時に、扉４５側となる前方側面４７を折り返し
て、フランジ部４９（シール部）が無い構造の真空断熱
パネル３３を構成したものである。

【００４０】これにより、両側及び後側のフランジ部４
９の領域は、図９に示す如く隙間なく、注入発泡される
ポリウレタンフォーム２５が充填されるようになる。

【００４１】また、防露パイプ５１等が配置されると共
に、あらかじめポリウレタンフォームやポリスチレンフ
ォームを切断して組込んだ断熱材５３と接触する前方側
面４７はフランジ部４９がないため、デッドスペースが
最小となり断熱性の向上が図れる。

【００４２】この構成で、防露パイプ５１側にフランジ
部が形成された真空断熱パネル３３を採用する場合に
は、フランジ部４９を、例えば下方へ折り込むようにす
ることでもデッドスペースを小さく抑えることが可能と
なり、断熱性能の向上が図れる。

【００４３】図１０は第４の実施形態を示したもので、
真空断熱パネルを構成するガスバリアフィルムの一部が
内箱５の一部側壁と一体的に構成されるものである。

【００４４】即ち、冷凍室となる内箱５の両側壁に凹部
５７，５７を形成し、その凹部５７内に、連通ポリウレ
タン等から成るコア材５９を配設し、外側からアルミ箔
とプラスチック層を備えたラミネートフィルムから成る
ガスバリアフィルム６１で密閉状態に被覆することによ
り、真空断熱パネル５５を構成する。凹部５７の前方に
は図１１に示す如く真空排気通路６３を設ける。真空排
気通路６３の排気口６３ａは、真空排気後、溶封するよ
うになっている。

【００４５】したがって、この実施形態によれば、内箱
５の両側壁を真空断熱パネル５５のガスバリア層の一部
として兼用させているので、断熱厚みを薄くできること
が可能となり、庫内容積のアップを図ることができると
共に、左右方向の幅の自由度が増す。

【００４６】なお、この実施形態の場合には、図１２に
示す如く、凹部５７の内側にもガスバリアフィルム６５
を設けることで、内箱５の凹部５７壁面のガス透過性を
小さくして、真空断熱パネルの内圧を維持し長期間に亘
り安定した真空断熱状態が得られる。

【００４７】

【発明の効果】以上、説明したように、この発明の断熱
箱体によれば、内箱の断熱厚みを薄くすることが可能と
なり、庫内容積の向上を図ることができる。また、断熱
箱体の強度維持が図れると共に、しかも、真空断熱パネ
ルの熱の影響を小さく抑え、長期間に亘り安定した断熱
状態が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る冷蔵庫の断熱箱体を示した概要
斜視図。

【図２】真空断熱パネルを、天井部と底部とに配設した
概要断面図。

【図３】図２のＡ−Ａ線一部切断面図。

【図４】図２のＢ−Ｂ線一部切断面図。

【図５】温度帯の異なる冷蔵室と冷凍室とを仕切る仕切
壁に真空断熱パネルを採用した断熱箱体全体の概要断面
図。

【図６】図５の分解概要斜視図。

【図７】一辺にフランジ部をなくした真空断熱パネルを
作る説明図。

【図８】完成した真空断熱パネルの斜視図。

【図９】真空断熱パネルを仕切壁とした拡大断面図。

【図１０】内箱の一部側壁を真空断熱のガスバリア層と
して兼用させる構成を示した分解斜視図。

【図１１】図１０の真空排気通路を示した一部分の説明
図。

【図１２】図１０の内側にもガスバリアフィルムを用い
た断面図。

【符号の説明】

１外箱３断熱箱体５内箱５ａ外壁面１５真空断熱パネル２５ポリウレタンフォーム

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】外箱と内箱との間に、真空断熱パネルを
挿入し、残った空隙にポリウレタン原液を注入発泡させ
て構成した冷蔵庫の断熱箱体において、前記内箱を、合
成樹脂からなる複数の射出成形品により構成し、前記真
空断熱パネルの少なくとも一方の面を、内箱の壁面と接
した状態で設置することを特徴とする冷蔵庫の断熱箱
体。
【請求項２】真空断熱パネルの厚み方向には、注入発
泡されるポリウレタンフォームを積層しないことを特徴
とする請求項１記載の冷蔵庫の断熱箱体。
【請求項３】真空断熱パネルを、冷却器と冷気循環フ
ァンとを有するそれぞれ独立した複数の区画によって構
成される区画室の外壁、ないしは、異なる温度帯にそれ
ぞれ仕切る仕切壁に設けることを特徴とする請求項１記
載の冷蔵庫の断熱箱体。
【請求項４】ポリウレタンフォームと直接接触しない
真空断熱パネルの側面を、フランジ部が無い構造とする
か、あるいは、フランジ部を折り込むようにすることを
特徴とする請求項１記載の冷蔵庫の断熱箱体。
【請求項５】内箱の一部領域を、真空断熱パネルのガ
スバリア層の一部として兼用する構成とすることを特徴
とする請求項１記載の冷蔵庫の断熱箱体。
【請求項６】内箱に一体成形した排気口から真空断熱
パネル内部を真空排気したのち、その排気口を溶封して
構成することを特徴とする請求項５記載の冷蔵庫の断熱
箱体。