JP2015068395A - 壁貫通配管のシール装置 - Google Patents

壁貫通配管のシール装置 Download PDF

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Abstract

【課題】壁2の貫通孔4に装着されるスリーブ5と当該スリーブ5内に挿通される配管3との径方向対向の環状空間を軸方向に遮断するシール装置6において、壁2に対する配管3の軸方向ならびに径方向の相対変位を許容したうえで、高圧負荷時の密封性を可及的に高める。【解決手段】シール装置6は、スリーブ5の軸方向で隣り合うように連結される延長筒10と、延長筒10の軸方向に離隔された状態で配置される外筒21と、延長筒10と外筒21との軸方向対向間の離隔領域を覆う状態に配置されかつ軸方向一端側(31)が延長筒10にまた軸方向他端側(32)が外筒21にそれぞれ固定される円筒形の弾性シールカバー30と、外筒21に環状板23を介して同心状に設けられて配管3の外周面に非接触に接近配置される内筒22と、内筒22と配管3との径方向対向間に、径方向内外に膨張される状態で介装される弾性シール40とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、壁の貫通孔に装着されるスリーブと当該スリーブ内に挿通される配管との径方向対向の環状空間を軸方向に遮断するシール装置に関する。
例えば原子力発電所、火力発電所、化学プラント設備などでは、配管を建屋の外に取り出す必要がある。また、電気設備や制御装置を多数の部屋に分けて設置する場合には、電気ケーブルなどを通した配管を前記両方の部屋に跨るように設置する必要がある。このようなことから、建屋の壁に前記配管を貫通させるようにしている。
前記した配管と前記壁の貫通孔との間には、適宜の密封手段を設ける必要がある(例えば特許文献1参照)。
ところで、前記配管内に高温の流体(高温水や蒸気)を流通させる場合には当該配管が径方向に伸縮することがあり、また、前記配管内を流通する流体が低温であっても、例えば地震などが発生することによって前記配管が軸方向ならびに径方向に変位することがある。
このようなことから、前記壁の貫通孔を前記配管よりも十分に大きくして、前記配管と前記壁の貫通孔との間を密封する手段については、前記配管の軸方向ならびに径方向に相対変位を許容する構成にする必要がある(例えば特許文献2参照)。
例えば特許文献2では、配管の外径側に外部被覆管を設け、この外部被覆管と壁の貫通孔との対向環状空間に、シール部材とガイド機構とを設けている。前記シール部材は、弾性変形可能なリング状をなす構造になっている。また、前記ガイド機構は、前記対向環状空間の円周4ヶ所(上、下、左、右)に設置されている。前記上下2つのガイド機構で前記配管の水平方向への拘束を行い、前記左右2つのガイド機構で前記配管の上下動を防止するようになっている。
また、前記特許文献2において請求の範囲と第3頁右欄の第11行〜第20行とには、「周方向拘束金物とラグとで格納容器の壁に対する配管の軸方向の相対移動を許容する」という記載がある。
特開平6−117545号公報 実公平3−50480号公報
上記特許文献1では、前記壁に対する前記配管の軸方向ならびに径方向の相対移動を許容することができない。また、上記特許文献2では、前記壁に対する前記配管の軸方向の相対移動を許容するようになっているものの、前記壁に対する前記配管の径方向の変位を許容することができない。
このような事情に鑑み、本発明は、壁の貫通孔に装着されるスリーブと当該スリーブ内に挿通される配管との径方向対向の環状空間を軸方向に遮断するシール装置において、前記壁に対する前記配管の軸方向ならびに径方向の相対変位を許容したうえで、高圧負荷時の密封性を可及的に高めることを目的としている。
本発明は、壁の貫通孔に装着されるスリーブと当該スリーブ内に挿通される配管との径方向対向の環状空間を軸方向に遮断するシール装置であって、前記スリーブに軸方向で隣り合うように連結される延長筒と、この延長筒に軸方向に離隔された状態で配置される外筒と、前記延長筒と前記外筒との軸方向対向間の離隔領域を覆う状態に配置されかつ軸方向一端側が前記延長筒にまた軸方向他端側が前記外筒にそれぞれ固定される円筒形の弾性シールカバーと、前記外筒に環状板を介して同心状に設けられて前記配管の外周面に非接触に接近配置される内筒と、この内筒と前記配管との径方向対向間に、径方向内外に膨張される状態で介装される弾性シールとを備えている、ことを特徴としている。
この構成では、延長筒と外筒と環状板と内筒と円筒形の弾性シールカバーとを組み合わせた構造体で前記スリーブと前記配管との径方向対向間の環状空間の大半を覆うようにしているから、本発明に係るシール装置に負荷される圧力が大きくても、十分な耐圧性を確保することが可能になる。
また、前記内筒と前記配管との径方向対向間を弾性シールで密封するようにしていて、この弾性シールを径方向内外に膨張させる状態にすることによって、当該弾性シールを前記内筒および前記配管に圧接させるようにしているから、この弾性シールによる密封性が可及的に高められている。
そして、前記延長筒と前記外筒とを前記円筒形の弾性シールカバーで連結しているから、前記延長筒が連結されるスリーブと、前記外筒の内径側に支持される配管とが軸方向ならびに径方向に相対変位したときに、その変位に追従して前記弾性シールカバーが弾性変形することによって、前記相対変位を許容することが可能になる。
好ましくは、前記内筒において前記壁寄りの端部には、径方向内向きに突出して前記配管に微小隙間を介して対向する内向き輪状片が設けられ、前記弾性シールは、グランドパッキンとされ、前記内筒において前記壁寄りの端部と反対側の端部には、前記弾性シールを前記内向き輪状片へ向けて軸方向に押圧して径方向内外に膨張させる状態にするための押圧機構が取り付けられる。
この構成では、前記弾性シールを径方向内外に膨張させる状態にするための押圧機構を比較的簡易な構成に特定している。この特定により、設備コストの上昇を抑制することが可能になる。
好ましくは、前記弾性シールカバーは、その軸方向中間が径方向外向きに膨らむような形状とされ、この弾性シールカバーの軸方向一端側および他端側の各外径側には、径方向内向きに締め付けるためのバンドが装着されることにより、前記弾性シールカバーの軸方向一端側が前記延長筒の外周面に、また、前記弾性シールカバーの軸方向他端側が前記外筒の外周面にそれぞれ圧接させられる。
この構成では、弾性シールカバーの軸方向中間が径方向外向きに膨らむような形状とされているから、当該弾性シールカバーが軸方向ならびに径方向の弾性変形量が大きくなり、例えば前記延長筒と前記外筒とが軸方向ならびに径方向に大きく相対変位したときでも、前記弾性シールカバーによって前記変位が許容されるようになる。
好ましくは、前記外筒、前記環状板ならびに前記内筒を組み合わせた構造体は、半円筒形に分割されたツーピース構造とされ、かつ前記両ピースにおいて前記環状板相当部位の円周方向両端がそれぞれフランジ結合され、前記バンドは、円周方向で少なくとも2つに分割とされる多ピース構造とされ、かつその内径側には2つの半円形に湾曲された帯状のガイド板が円形となるように組み合わされた形態で配置され、前記2つのガイド板の長手方向一端側および他端側がオーバーラップされ、このオーバーラップ領域に前記バンドの結合部位が配置される。
この構成では、前記外筒、前記環状板ならびに前記内筒を組み合わせた構造体、ならびに前記バンドをそれぞれ明確に特定している。
そもそも、前記バンドを円周方向に分割した構成の場合には、当該バンドの分割体それぞれを互いに結合するときの円周方向の締め付け力によって当該バンドの内径側に配置される弾性シールカバーの軸方向一端側および他端側が周方向に撓むおそれがあって、そこの密封性が低下することが懸念される。
これに対し、前記構成のように、前記弾性シールカバーの軸方向一端側および他端側をそれぞれ2つのガイド板で径方向内向きに押さえるようにしている場合には、円周方向に分割されるバンドを互いに結合するときの円周方向の締め付け力が前記2つの帯状板を通じて当該バンドの内径側に配置される弾性シールカバーの全周にほぼ均等に分散されることになる。これにより、前記弾性シールカバーの軸方向一端側および他端側が周方向に撓まずに済むようになるので、当該弾性シールカバーの軸方向一端側および他端側の密封性が低下せずに済むようになる。
好ましくは、前記延長筒と前記外筒との間には、それらの軸方向変位量を制限することにより前記弾性シールカバーの動作範囲を制限する保護機構が設けられる。
この構成では、前記延長筒と前記外筒とが軸方向に離れるときの変位量および軸方向に近づくときの変位量を制限することにより、前記弾性シールカバーの軸方向伸縮量を制限することができる。これにより、当該弾性シールカバーに過剰な負荷が作用することを抑制または防止することが可能になる。
好ましくは、前記保護機構は、前記延長筒の外径側に径方向外向きに突出するように設けられる第1リブと、前記外筒の外径側に径方向外向きに突出するように設けられる第2リブと、前記第1リブのボルト挿通孔から第2リブのボルト挿通孔に跨って軸方向変位可能に挿通されかつ軸方向一端側が前記第1リブのボルト挿通孔から外側にまた軸方向他端側が前記第2リブのボルト挿通孔から外側にそれぞれ突出されるタイボルトと、このタイボルトにおいて前記第1リブ側の突出部位および前記第2リブ側の突出部位にそれぞれ取り付けられかつ前記延長筒と前記外筒とが軸方向に離れる向きの変位量を規定するための第1、第2ストッパと、前記タイボルトにおいて前記第1リブと前記第2リブとの間に位置する軸方向中間領域に軸方向変位可能に外嵌装着されかつ前記延長筒と前記外筒とが軸方向に近づく向きの変位量を規定するためのカラーパイプとを備える、構成とすることができる。
ここでは、前記保護機構を比較的簡易な構成に特定している。この特定により、設備コストの上昇を抑制することが可能になる。
本発明は、壁の貫通孔に装着されるスリーブと当該スリーブ内に挿通される配管との径方向対向の環状空間を軸方向に遮断するシール装置において、前記壁に対する前記配管の軸方向ならびに径方向の相対変位を許容したうえで、高圧負荷時の密封性を可及的に高めることが可能になる。
本発明に係る壁貫通配管のシール装置の一実施形態で、上半分を断面にして示す側面図である。 図1のシール装置を建屋内側から見た端面図である。 図1のシール装置の斜視図である。 図3のシール装置においてシールホルダを取り付ける前の状態を示す斜視図である。 図3のシール装置においてバンドの1つの結合部分を示す一部断面図である。 図3のシール装置において弾性シールカバーを取り付けるときの様子を示す断面図である。 図1のシール装置においてバンドとガイド板とを取り付ける前の状態を示す斜視図である。 図1のシール装置の設置場所を説明するための断面図である。 本発明に係る壁貫通配管のシール装置の他の実施形態で、図1に対応する図である。 本発明に係る壁貫通配管のシール装置のさらに他の実施形態で、図1に対応する図である。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図7に、本発明の一実施形態を示している。図中、6は壁貫通配管のシール装置の全体を示している。
このシール装置6の説明に先立ち、図8を参照して、シール装置6の設置場所の一例を説明する。
図8に示すように、建屋1の壁2の内外に跨るように配管3が設置されている。建屋1の壁2には、断面円形の貫通孔4が設けられており、この貫通孔4内にはスリーブ5が嵌合装着されている。このスリーブ5は、円筒形の鋼管とされる。このスリーブ5内には、配管3が非接触に同心状に挿通されている。
図8に示すような設置形態の場合には、配管3およびスリーブ5において建屋1の内側に向いた軸方向端部を「軸方向内端側」と言い、また、配管3およびスリーブ5において建屋1の外側に向いた軸方向端部を「軸方向外端側」と言うことにする。
そして、配管3とスリーブ5との径方向対向間の環状空間を軸方向に遮断するために、配管3の軸方向内端側とスリーブ5の軸方向内端側との間に、シール装置6が設けられている。
このシール装置6は、建屋1の内側に配置されている。このシール装置6は、図1に示すように、延長筒10、シールホルダ20、弾性シールカバー30、弾性シール40、保護機構50などを備えている。
なお、この実施形態では、シール装置6の各構成要素(延長筒10、シールホルダ20、弾性シールカバー30、弾性シール40、保護機構50)に関して、建屋1の外側に向いた軸方向端部を「軸方向外端」と言い、建屋の内側に向いた軸方向端部を「軸方向内端」と言うことにする。
延長筒10は、スリーブ5と同一内径かつ同一外径の円筒形とされており、その軸方向外端側がスリーブ5の軸方向内端側に例えば溶接などにより連結されている。
シールホルダ20は、同心状に配置される外筒21と内筒22との両軸方向外端側を環状板23で連接した構造体であって、ハウジングとも呼ばれる。
外筒21は、延長筒10と同一外径に設定されており、延長筒10の軸方向内端側に同軸上に離隔配置されている。内筒22は、配管3の外径よりも所定寸法大きく設定されており、配管3の外周面に対して非接触に接近配置されている。この内筒22の軸方向外端側には、径方向内向きに突出して配管3に微小隙間を介して対向する内向き輪状片22aが設けられている。
環状板23の円周数ヶ所には、軸方向内側に突出する補強リブ23aが設けられている。なお、外筒21と環状板23との連結、ならびに環状板23と内筒22との連結は、それぞれ例えば溶接とされている。
弾性シールカバー30は、延長筒10と外筒21とを軸方向変位可能かつ径方向変位可能に連結するように設置されている。
弾性シールカバー30の軸方向外端部31は延長筒10の軸方向内端側に、また、弾性シールカバー30の軸方向内端部32は外筒21の軸方向外端側にそれぞれ外嵌装着されており、それによって弾性シールカバー30の軸方向中間領域が延長筒10と外筒21との軸方向対向間の離隔領域を覆う状態になっている。
なお、弾性シールカバー30の取り付けは、図6に示すように、弾性シールカバー30の円周方向下側領域を延長筒10の円周方向下側領域に引っ掛けておいて、弾性シールカバー30の上側領域を引っ張って弾性変形させながら延長筒10の円周方向上側領域に被せるようにする。
このような被せ作業を容易とするために、延長筒10の軸方向内端の外周面には、リング12が固定されている。このリング12は、前記弾性シールカバー30の下側領域の引っ掛かりとするために設けられている。さらに、シールホルダ20の外筒21の軸方向外端部の外周面にも、前記リング12と同一のリング13が固定されている。これらのリング12,13は、延長筒10やシールホルダ20の外筒21と別体にしているが、一体に形成することも可能である。
弾性シールカバー30は、円筒形でかつその軸方向中間が径方向外向きに膨らむような形状、例えば上半分の断面が「Ω」形状または半円形状になっている。この弾性シールカバー30は、例えば適宜の強化繊維を編み込んだ補強布とゴムなどの弾性体とを径方向内外に積層したような構造になっている。この弾性シールカバー30の許容伸縮量や許容撓み量については、例えば材質や内部構造の他、半円形状部分の曲率半径などによって適宜に設定することが可能である。
そして、弾性シールカバー30の軸方向外端部31および内端部32の各外径側には、径方向内向きに締め付けるためのバンド60が装着されることにより、弾性シールカバー30の軸方向外端部31が延長筒10の軸方向内端側の外周面に、また、弾性シールカバー30の軸方向内端部32が外筒21の軸方向外端側の外周面にそれぞれ圧接させられている。
なお、弾性シールカバー30の軸方向外端部31および内端部32の内周面には、それぞれ2つの輪状凸部33,33が設けられている(図6参照)。また、延長筒10の軸方向内端側の外周面および外筒21の軸方向外端側の外周面には、周溝11,21aが設けられており、この周溝11,21a内にはOリング34が嵌入されるようになっている。これら輪状凸部33およびOリング34は、バンド60の締め付けによって弾性変形して潰されるようになる。これにより、弾性シールカバー30の軸方向外端部31および内端部32における密封性が確保されている。なお、輪状凸部33は、前記のように潰されるので、図1には詳細に記載していない。
バンド60は、図7に示すように、円周方向に4分割されたフォーピース構造とされている。このバンド60の4つの分割体個々は、湾曲した帯状板とされ、その長手方向一端側および他端側には、外向きに突出する凸部61,62がそれぞれ設けられている。こ凸部61,62には、ボルト挿通孔61a,62aが設けられている。このバンド60の分割体のうち、円周方向で隣り合う分割体個々の凸部61,62どうしがボルト63およびナット64(図2および図3参照)を用いて結合されている。
このバンド60の内径側には、2つの半円形に湾曲した帯状のガイド板65,66が円形となるように組み合わされた形態で配置されている。
この2つのガイド板65,66の周方向長さは、それぞれ半円よりも大きく設定されており、この2つのガイド板65,66の長手方向一端側および他端側がオーバーラップされるように組み合わされるようになっている。図5に示すように、2つのガイド板65,66のオーバーラップ領域に、バンド60の結合部位を配置するように規定している。なお、ガイド板65,66の幅寸法は、バンド60の幅寸法と同一あるいは小さくすることにより、このガイド板65,66がバンド60からはみ出して弾性シールカバー30の軸方向中間領域の膨らみ部分に接触してしまうことを回避するのが好ましい。
弾性シール40は、内筒22と配管3との径方向対向間に、径方向内外に膨張される状態で介装されている。
詳しくは、弾性シール40は、いわゆる「グランドパッキン」と呼ばれるものとされており、軸方向に4つ配置されている。そして、4つの弾性シール40を下記押圧機構70でもって内筒22の内向き輪状片22aへ向けて軸方向に押圧することにより径方向内外に膨張させるようになっている。
なお、4つの弾性シール40の挿入方向最奥位置と挿入方向中央位置とにはスペーサ41を挟むようにしていて、挿入方向手前位置には3枚のスペーサ41を配置するようにしている。このようにスペーサ41を配置する理由は、各弾性シール40を前記したような形態で押圧する際にすべての弾性シール40にほぼ均等に押圧力を付与するためである。
押圧機構70は、内筒22の軸方向内端側に設けられており、押さえ部材71、スタッドボルト72、プレッシャープレート73、締め付けナット74などを備えている。
押さえ部材71は、円筒形状部71aの軸方向内端側に径方向外向きに突出する外向き輪状片71bが設けられている。円筒形状部71aは、内筒22と配管3との径方向対向間に軸方向変位可能に嵌入される寸法に設定されている。外向き輪状片71bは、内筒22の端面と軸方向で対向するような寸法に設置されており、この外向き輪状片71bの円周数ヶ所には、貫通孔71cが設けられている。
スタッドボルト72は、内筒22の軸方向内端側において円周数ヶ所に軸方向に沿うように取り付けられている。締め付けナット74は、複数のスタッドボルト72にそれぞれ螺合されている。
プレッシャープレート73は、締め付けナット74と押さえ部材71の外向き輪状片71bとの間に介装されており、複数の締め付けナット74の締め付けに応じた軸方向加圧力を円周方向に分散して押さえ部材71に伝達するために用いられている。
この押圧機構70では、締め付けナット74の螺合深さを深くすると、押さえ部材71の円筒形状部71aが内筒22の内向き輪状片22aに向けて近づくように軸方向に変位され、また、締め付けナット74の螺合深さを浅くすると、押さえ部材71の円筒形状部71aが内筒22の内向き輪状片22aから遠ざかるように軸方向に変位される。
つまり、締め付けナット74の螺合深さを深くするに従い、押さえ部材71の円筒形状部71aで4つの弾性シール40を軸方向に圧縮させる度合が強くなる一方で、締め付けナット74の螺合深さを浅くするに従い、押さえ部材71の円筒形状部71aで4つの弾性シール40を軸方向に圧縮させる度合が弱くなる。
保護機構50は、延長筒10と外筒21との間に設けられていて、延長筒10と外筒21との軸方向の相対変位量を規制することにより、弾性シールカバー30の動作範囲を制限するとともに、弾性シールカバー30に作用する圧縮荷重ならびに伸張荷重を制限するものである。
具体的に、保護機構50は、延長筒10やシールホルダ20の外筒21の円周数ヶ所(この実施形態では4ヶ所)に設けられている。この保護機構50は、図1および図3に示すように、第1リブ51、第2リブ52、タイボルト53、第1ストッパ54、第2ストッパ55、カラーパイプ56などを備えている。
第1リブ51は、延長筒10の外径側に径方向外向きに突出するように設けられており、また、第2リブ52は、外筒21の外径側に径方向外向きに突出するように設けられている。
なお、第1、第2リブ51,52は、延長筒10やシールホルダ20の外筒21と別体に形成されており、それらに例えば溶接などにより一体に固定されるようになっている。但し、第1、第2リブ51,52を延長筒10や外筒21と一体に形成したものも本発明の実施形態に含まれる。
タイボルト53は、第1リブ51のボルト挿通孔51aから第2リブ52のボルト挿通孔52aに跨って軸方向変位可能に挿通されている。このタイボルト53の軸方向外端側は第1リブ51のボルト挿通孔51aから外側に、またタイボルト53の軸方向内端側は第2リブ52のボルト挿通孔52aから外側にそれぞれ突出されている。
第1ストッパ54は、タイボルト53において第1リブ51側の突出部位に取り付けられていて、延長筒10と外筒21とが軸方向に離れる向きの変位量を制限するために設けられている。第2ストッパ55は、タイボルト53において第2リブ52側の突出部位に取り付けられていて、延長筒10と外筒21とが軸方向に離れる向きの変位量を制限するために設けられている。
これら第1、第2ストッパ54,55は、球面長尺ナット54a,55aと短尺ナット54b,55bとを用いるダブルナットとされている。球面長尺ナット54a,55aは、その螺合方向奥側が球面形状とされており、この球面形状部分が球面座金54c,55cに当接されるようになっており、この球面座金54c,55cが第1、第2リブ51,52に当接されるようになっている。
カラーパイプ56は、タイボルト53において第1リブ51と第2リブ52との間に位置する軸方向中間領域に軸方向変位可能に外嵌装着されており、延長筒10とシールホルダ20の外筒21とが軸方向に近づく向きの変位量を制限するために設けられている。
ところで、この実施形態では、延長筒10、シールホルダ20が上半分と下半分とに分割されたツーピース構造とされている。
図2から図4に示すように、シールホルダ20を構成する2つのピースは、フランジ結合されている。詳しくは、シールホルダ20の環状板23の分離部に軸方向に沿うフランジ23b1,23b2を設け、それぞれのフランジ23b1,23b2をガスケット24を挟んで掌合させた状態にし、当該フランジ23b1,23b2の重合部分をボルト25およびナット26(図2および図3参照)を用いて結合されている。なお、前記ガスケット24の表裏両面には、液状ガスケットと呼ばれるペーストを塗布することが好ましい。
また、この実施形態では、弾性シールカバー30、弾性シール40ならびにOリング34についても、例えば長尺に形成した部材を基材とし、その長手方向両端を適宜の方法で接合することにより輪状に形成したものとされている。
このような弾性シール40の組み込み時には、4つの弾性シール40の各接続部位を円周方向に90度ずつずらすように配置することが密封性能向上を図るためには好ましい。また、4つの弾性シール40の各接続部位は、シールホルダ20の分割位置に対して円周方向にずらすことが密封性能向上を図るためには好ましい。さらに、Oリング34の接続部位は、延長筒10の分割位置およびシールホルダ20の分割位置に対して円周方向にずらすことが密封性能向上を図るためには好ましい。
以上説明したように本発明を適用した実施形態では、壁2に対する配管3の軸方向ならびに径方向の相対変位を許容したうえで、高圧負荷時の密封性を可及的に高めることが可能になる。
つまり、延長筒10とシールホルダ20と円筒形の弾性シールカバー30とを組み合わせた構造体で、壁2の貫通孔4に装着されるスリーブ5と配管3との径方向対向間の環状空間の大半を覆うようにしているから、本発明に係るシール装置6に負荷される圧力が大きくても、十分な耐圧性を確保することが可能になる。
しかも、シールホルダ20の内筒22と配管3との径方向対向間を弾性シール40で密封する形態にしていて、この弾性シール40を径方向内外に膨張させる状態にすることによって、当該弾性シール40をシールホルダ20の内筒22および配管3に圧接させるようにしているから、この弾性シール40による密封性が可及的に高められている。
そして、延長筒10とシールホルダ20の外筒21とを弾性シールカバー30で連結しているから、延長筒10が連結されるスリーブ5と、シールホルダ20の外筒21の内径側に支持される配管3とが軸方向ならびに径方向に相対変位したときに、その変位に追従して弾性シールカバー30が弾性変形することによって、前記相対変位を許容することが可能になる。
この実施形態では、弾性シールカバー30の軸方向中間を外向きに膨らむような形状にしているから、当該弾性シールカバー30が軸方向ならびに径方向の弾性変形量が比較的大きくなる。これにより、例えば延長筒10とシールホルダ20の外筒21とが軸方向ならびに径方向に大きく相対変位したときでも、弾性シールカバー30によって前記変位が許容されるようになる。
この実施形態では、前記弾性シール40を径方向内外に膨張させる状態にするための押圧機構70を比較的簡易な構成にしているから、設備コストの上昇を抑制することが可能になる。
この実施形態では、弾性シールカバー30を締め付けるためのバンド60を円周方向に分割した構成にしている場合の懸念事項を払拭することができる。つまり、そもそも、バンド60を円周方向に分割している場合には、当該バンド60の分割体それぞれを互いに結合するときの円周方向の締め付け力によって当該バンド60の内径側に配置される弾性シールカバー30の軸方向外端部31および内端部32が周方向に撓むおそれがあって、そこの密封性が低下することが懸念される。
これに対し、この実施形態のように、弾性シールカバー30の軸方向外端部31および内端部32をそれぞれ2つのガイド板65,66で径方向内向きに押さえるようにしている場合には、円周方向に分割されるバンド60を互いに結合するときの円周方向の締め付け力が2つのガイド板を通じて当該バンド60の内径側に配置される弾性シールカバー30の全周にほぼ均等に分散されることになる。これにより、弾性シールカバー30の軸方向外端部31および内端部32が周方向に撓まずに済むようになるので、当該弾性シールカバー30の軸方向外端部31および内端部32の密封性が低下せずに済むようになる。
この実施形態では、延長筒10とシールホルダ20の外筒21とが軸方向に離れるときの変位量および軸方向に近づくときの変位量を保護機構50でもって制限することにより、弾性シールカバー30の軸方向伸縮量を制限するようにしている。これにより、弾性シールカバー30に過剰な負荷が作用することを抑制または防止することが可能になる。しかも、保護機構50について第1リブ51、第2リブ52、タイボルト53、第1ストッパ54、第2ストッパ55、カラーパイプ56などを用いた比較的簡易な構成にしているから、設備コストの上昇を抑制することが可能になる。
ところで、配管3内に蒸気や高温水などを流通させる場合には、シール装置6を次のような構成にすることが好ましい。
まず、弾性シールカバー30および弾性シール40に用いるゴム材を特に耐熱性に優れた材料(例えばシリコンゴム、フッ素ゴムなど)で形成する。また、配管3の外径寸法と弾性シールカバー30の内径寸法との差を可及的に大きくすることにより、配管3からの自然放熱作用を促進させて配管3から弾性シールカバー30への熱伝導を抑制させるようにする。さらに、シール装置6における構成要素のうち少なくとも延長筒10とシールホルダ20を、放熱性に優れた金属材料で形成する。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
(1)上記実施形態では、シール装置6を建屋1の内側に配置した場合を例に挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、例えばシール装置6を建屋1の外側に配置することも可能である。
(2)上記実施形態では、シール装置6の延長筒10、シールホルダ20を上半分と下半分とに分割したツーピース構造の場合を例に挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、例えばワンピース構造とすることが可能である他、スリーピース構造あるいはそれ以上の分割構造とすることが可能である。
(3)上記実施形態では、壁2の貫通孔4に装着するスリーブ5とシール装置6の延長筒10とが同一外径である場合を例に挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
例えば図9には、スリーブ5の外径よりも延長筒10の外径が大きい場合においてシール装置6を設置する形態を示している。この場合、スリーブ5と延長筒10とをサイズ調整用の環状板80を用いて連結するようにしている。このサイズ調整用の環状板80の内周はスリーブ5に例えば溶接などにより固定され、また、サイズ調整用の環状板80の外周は延長筒10に例えば溶接により固定されている。
例えば図10には、スリーブ5の中心に対して延長筒10の中心を偏心させた状態でシール装置6を設置する形態を示している。この場合、スリーブ5と延長筒10とをサイズ調整用の環状板80を用いて連結するようにしている。このサイズ調整用の環状板80の一側面はスリーブ5の軸方向内端に例えば溶接などにより固定され、また、サイズ調整用の環状板80の他側面が延長筒10の軸方向外端に例えば溶接により固定されている。
本発明は、壁2の貫通孔4に装着されるスリーブ5と当該スリーブ5内に挿通される配管3との径方向対向の環状空間を軸方向に遮断するシール装置6に好適に利用することが可能である。
1 建屋
2 壁
3 配管
4 壁の貫通孔
5 スリーブ
6 シール装置
10 延長筒
20 シールホルダ
21 外筒
22 内筒
22a 内向き輪状片
23 環状板
30 弾性シールカバー
31 弾性シールカバーの外端部(軸方向一端側)
32 弾性シールカバーの内端部(軸方向他端側)
40 弾性シール
50 保護機構
60 バンド
70 押圧機構

Claims (6)

  1. 壁の貫通孔に装着されるスリーブと当該スリーブ内に挿通される配管との径方向対向の環状空間を軸方向に遮断するシール装置であって、
    前記スリーブに軸方向で隣り合うように連結される延長筒と、
    この延長筒に軸方向に離隔された状態で配置される外筒と、
    前記延長筒と前記外筒との軸方向対向間の離隔領域を覆う状態に配置されかつ軸方向一端側が前記延長筒にまた軸方向他端側が前記外筒にそれぞれ固定される円筒形の弾性シールカバーと、
    前記外筒に環状板を介して同心状に設けられて前記配管の外周面に非接触に接近配置される内筒と、
    この内筒と前記配管との径方向対向間に、径方向内外に膨張される状態で介装される弾性シールとを備えている、ことを特徴とする壁貫通配管のシール装置。
  2. 請求項1に記載の壁貫通配管のシール装置において、
    前記内筒において前記壁寄りの端部には、径方向内向きに突出して前記配管に微小隙間を介して対向する内向き輪状片が設けられ、
    前記弾性シールは、グランドパッキンとされ、
    前記内筒において前記壁寄りの端部と反対側の端部には、前記弾性シールを前記内向き輪状片へ向けて軸方向に押圧して径方向内外に膨張させる状態にするための押圧機構が取り付けられる、ことを特徴とする壁貫通配管のシール装置。
  3. 請求項1または2に記載の壁貫通配管のシール装置において、
    前記弾性シールカバーは、その軸方向中間が径方向外向きに膨らむような形状とされ、
    この弾性シールカバーの軸方向一端側および他端側の各外径側には、径方向内向きに締め付けるためのバンドが装着されることにより、前記弾性シールカバーの軸方向一端側が前記延長筒の外周面に、また、前記弾性シールカバーの軸方向他端側が前記外筒の外周面にそれぞれ圧接させられる、ことを特徴とする壁貫通配管のシール装置。
  4. 請求項3に記載の壁貫通配管のシール装置において、
    前記外筒、前記環状板ならびに前記内筒を組み合わせた構造体は、半円筒形に分割されたツーピース構造とされ、かつ前記両ピースにおいて前記環状板相当部位の円周方向両端がそれぞれフランジ結合され、
    前記バンドは、円周方向で少なくとも2つに分割とされる多ピース構造とされ、かつその内径側には2つの半円形に湾曲された帯状のガイド板が円形となるように組み合わされた形態で配置され、
    前記2つのガイド板の長手方向一端側および他端側がオーバーラップされ、このオーバーラップ領域に前記バンドの結合部位が配置される、ことを特徴とする壁貫通配管のシール装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の壁貫通配管のシール装置において、
    前記延長筒と前記外筒との間には、それらの軸方向変位量を制限することにより前記弾性シールカバーの動作範囲を制限する保護機構が設けられる、ことを特徴とする壁貫通配管のシール装置。
  6. 請求項5に記載の壁貫通配管のシール装置において、
    前記保護機構は、前記延長筒の外径側に径方向外向きに突出するように設けられる第1リブと、
    前記外筒の外径側に径方向外向きに突出するように設けられる第2リブと、
    前記第1リブのボルト挿通孔から第2リブのボルト挿通孔に跨って軸方向変位可能に挿通されかつ軸方向一端側が前記第1リブのボルト挿通孔から外側にまた軸方向他端側が前記第2リブのボルト挿通孔から外側にそれぞれ突出されるタイボルトと、
    このタイボルトにおいて前記第1リブ側の突出部位および前記第2リブ側の突出部位にそれぞれ取り付けられかつ前記延長筒と前記外筒とが軸方向に離れる向きの変位量を規定するための第1、第2ストッパと、
    前記タイボルトにおいて前記第1リブと前記第2リブとの間に位置する軸方向中間領域に軸方向変位可能に外嵌装着されかつ前記延長筒と前記外筒とが軸方向に近づく向きの変位量を規定するためのカラーパイプとを備える、ことを特徴とする壁貫通配管のシール装置。
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