JP2015063802A - 既存構造物の免震構造化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存構造物の基礎等、柱と隣接する柱に接続する隔壁とで区画され、二重ピット構造のいずれかの層の閉鎖空間内に免震装置を設置し、既存構造物を免震構造化する上で、避難経路の確保の課題を解決しながら、既存の柱の位置に免震装置の設置する。
【解決手段】いずれかの層の屋外に面するいずれかの隔壁2に開口4を形成し、その開口4が形成された隔壁2が構成する閉鎖空間3から、その閉鎖空間3とそれに隣接する閉鎖空間3を隔てる隔壁2に開口4を形成する作業を繰り返して全閉鎖空間3を連通させた後、各柱1が負担している、いずれかの層上の上部構造7の鉛直荷重を隔壁2、もしくはジャッキ5に仮支持させた状態で、柱1の一部を切断して除去し、この柱1の除去区間に免震装置6を設置する。
【選択図】図2

Description

本発明は既存構造物の基礎等、いずれかの層に新たに免震装置を設置し、免震装置の設置層で下部構造から区分される上部構造を免震構造化する既存構造物の免震構造化方法に関するものである。
免震構造でない既存構造物の基礎等、いずれかの層の躯体の一部に免震装置を据え付け、免震装置を挟んだ下部構造から分離する上部構造を免震構造化する場合、既存構造物には、免震装置の設置層を挟んで上下に区分される上部構造の鉛直荷重を柱の周辺に設置されるジャッキ等に仮支持させた状態で、既存の柱の一部区間を除去することにより免震装置が設置される(特許文献1〜4参照)。免震装置は上部構造の耐震性能や地震時の安全性向上を目的として設置されるため、免震装置の設置層は基礎、もしくは地上階のいずれかになる。
特許文献1〜4のように免震装置が設置される柱の周囲の空間が開放し、柱が屋外に連通している場合には、柱の周囲で免震装置の設置作業をするための設備・機材の搬入と作業遂行のための空間が確保され、この空間は作業中の避難のための経路(空間)も兼ねるため、免震装置の設置作業中の安全性も確保されていると言える。
これに対し、例えば免震装置の設置層が柱と、隣接する柱に接続する隔壁とで区画される空間の上方に上部のスラブが存在し、下方に下部のスラブ(耐圧版)が存在する場合には、柱と隔壁とで区画される空間が上下のスラブに挟まれた閉鎖空間(二重ピット)になり、この閉鎖空間は屋外に連通しないため、そのままでは閉鎖空間内の柱周囲における作業中の安全性は確保されない。
このように柱と隔壁とで区画された空間が上下のスラブによって閉鎖空間になる場合、閉鎖空間内に免震装置を設置し、閉鎖空間を上部構造と下部構造に区分させるには、隔壁に少なくとも免震装置の設置に要する資機材と設備機器等の搬入のための経路としての開口を形成しなければならない。
但し、免震装置の設置が行われる閉鎖空間に面するいずれかの隔壁に開口が形成されるのみでは、避難経路の確保の面では十分ではなく、作業中に地震や火災に遭遇するような非常時(緊急時)での安全性が確保されたとは言えないため、閉鎖空間に免震装置を設置する事例は少ない。
閉鎖空間(二重ピット)に免震装置を設置する事例としては、柱に接続した隔壁に開口を形成し、開口に免震装置を設置する方法がある(特許文献5参照)。
特開平8−270255号公報(請求項1、段落0010〜0016、図1〜図6、図8〜図12) 特開平8−338155号公報(請求項1、段落0014〜0018、図1〜図3) 特開平10−299263号公報(段落0013〜0017、図2〜図5) 特開2001−311314号公報(請求項1、段落0022〜0033、図1〜図3) 特開平10−292637号公報(請求項1、段落0009〜0026、図1、図2、図10〜図13)
特許文献5では特許文献1〜4において免震装置の設置のために使用しているジャッキの使用を不要にする目的から(段落0006)、免震装置の設置が終了するまでの上部構造の鉛直荷重を柱に負担させることで(段落0028)、敢えて柱を外した隔壁(基礎梁)に免震装置を設置する方法を採用している(請求項1)。
しかしながら、この方法では分断された柱が負担していた鉛直荷重を柱周辺に配置された複数個の免震装置に均等に分担させる必要が生ずるため(段落0012、図1−B、図2−B)、免震装置を柱の位置に設置する場合より免震装置の設置数が2倍以上になる新たな問題を抱えることになる。
また特許文献5では閉鎖空間(二重ピット)を構成する隔壁(基礎梁)の一部を免震装置の設置のために切断し、除去することをしているだけであるから(段落0026、図11)、閉鎖空間内への免震装置の設置が完了するまでの間、閉鎖空間内に留まる作業者が直面する避難経路の確保の課題は解決されていない。
本発明は上記背景より、閉鎖空間に免震装置を設置する上で、避難経路の確保の課題を解決しながら、既存の柱の位置に免震装置の設置することを可能にする既存構造物の免震構造化方法を提案するものである。
請求項1に記載の発明の既存構造物の免震構造化方法は、水平二方向に間隔を置いて配列する複数本の柱と、隣接する柱に接続する隔壁とで区画される閉鎖空間が前記水平二方向に配列する既存構造物のいずれかの層において、
前記いずれかの層の屋外に面するいずれかの前記隔壁に開口を形成し、その開口が形成された前記隔壁が構成する閉鎖空間から、その閉鎖空間とそれに隣接する閉鎖空間を隔てる前記隔壁に開口を形成する作業を繰り返して全閉鎖空間を連通させた後、前記各柱が負担している、前記いずれかの層上の上部構造の鉛直荷重を前記隔壁、もしくはジャッキに仮支持させた状態で、前記柱の一部を切断して除去し、この柱の除去区間に免震装置を設置することを構成要件とする。
「既存構造物のいずれかの層」とは、既存構造物の基礎を含めた全層の内、免震装置が設置される層を指す。閉鎖空間は柱と隣接する柱間に架設される隔壁と上下に対向するスラブから二重ピットとして構成されるため、基礎であることが多いが、地上の任意の階であることもある。既存構造物は免震装置を挟んで上部構造と下部構造とに区分される。
屋外から各閉鎖空間に向かって開口を形成していく際には、例えば図2−(a)に示すように屋外に面するいずれかの隔壁に開口が形成された後、その隔壁が構成する閉鎖空間とそれに隣接するいずれかの閉鎖空間とを隔てる隔壁に次の開口が形成される。この作業が繰り返されることで、全閉鎖空間が開口を通じて隣接する閉鎖空間と連通し、屋外とも連通する。屋外に面する隔壁を含む閉鎖空間はその隔壁に開口が形成されることで屋外に直接、連通するか、または最初に開口が形成された隔壁を含む閉鎖空間を介して間接的に屋外に連通する。屋外からの距離がある奥側の閉鎖空間は屋外寄りの閉鎖空間を通じて間接的に屋外に連通する。結果として全閉鎖空間が隔壁の開口を通じて直接、もしくは間接的に屋外に連通する。
全閉鎖空間が直接、もしくは間接的に屋外に連通することで、結果的に全閉鎖空間から屋外へ通じる避難経路が形成される。免震装置の柱への設置作業に先立ち、全閉鎖空間からの屋外への避難経路が形成されることで、各閉鎖空間内での免震装置の設置作業中での非常時(緊急時)の安全性が確保されるため、閉鎖空間内で、柱の一部に免震装置を設置するための、柱の切断と除去を含む作業を安全裡に遂行する環境が整う。この結果、水平二方向に複数の閉鎖空間が配列する既存構造物の特定の層に免震装置を設置する場合に直面する避難経路確保の課題が解決されるため、作業中の安全性が確保された状況下で、特定の層の柱の一部に免震装置を設置する作業に着手し、遂行することが可能になる。
全閉鎖空間を屋外に連通させるための開口の形成手順としては、例えば図2−(a)に示すように屋外に面するいずれかの閉鎖空間3から全閉鎖空間3を通過するまで一筆書きの要領で進行する場合が効率的に全閉鎖空間3を連通させる方法になるが、全閉鎖空間3を連通させるための開口4の形成手順はこれには限られない。例えば一筆書きによる経路上、屋外から最も遠い閉鎖空間3には、隣接する閉鎖空間3へ通じる、避難通路としての開口4が1箇所形成され、最初に開口4が形成される、隔壁2が屋外に面した閉鎖空間3にも開口4は1箇所形成され、中間の閉鎖空間3には屋外側へ向かう位置にある隔壁2と奥側へ向かう位置にある隔壁2の2箇所に開口4、4が形成される。
開口4が免震装置6の設置作業中、免震装置6を設置するために必要な資機材搬入のための通路としての役目と、緊急時の避難通路としての役目を果たす上では、隔壁2への開口4の形成位置は問われず、各閉鎖空間3に面する開口4の数も問われない。この場合の開口4は必ずしも柱1の周囲にジャッキ5を設置する場合を前提にしない。
屋外に面する閉鎖空間3から奥側の閉鎖空間3まで1経路の一筆書きで進行した場合には、最後に到達した閉鎖空間3を除き、各閉鎖空間3に面する開口は2個、形成され、図2−(b)に示すように屋外に面する、異なる2箇所の隔壁2、2から奥側の異なる閉鎖空間3、3まで2経路の一筆書きで進行して開口4を形成した場合には、各閉鎖空間3に面する開口4は3個以上、形成される。図2−(b)の場合で言えば、一筆書きで最後に到達した閉鎖空間3に面する開口4の数は3個であり、それ以外の閉鎖空間3に面する開口4の数は4個になっている。
図2−(b)に示す手順の結果を見れば、屋外に面する少なくとも2枚の異なる隔壁2、2に開口4、4が形成され、各閉鎖空間3に面する開口4が少なくとも3個、形成されている(請求項2)。ここでの開口4は搬入路と避難通路としての役目を持つため、請求項1における柱1の切断前に形成される。この場合、最終的な屋外への出口は屋外に面する隔壁2に形成された開口4の2箇所になるが、その出口に到達するまでの経路の数は2通り以上になり、避難時に作業者が複数の経路に分散して避難できる状況が確保されるため、各閉鎖空間3内での免震装置6の設置作業中での安全性が向上する。
免震装置6の設置が終了するまでの間、柱1の切断によって下部構造8から分離する上部構造7の鉛直荷重をジャッキ5に支持させる場合には、柱1の周囲に形成される開口4はジャッキ5を設置するための空間として利用可能である(請求項4)。その場合、1本の柱1に接続する複数枚の隔壁2に開口4を形成することになる。例えば4枚の隔壁2が接続する中柱1cの周囲にジャッキ5を設置する場合、上部構造7側の柱1上の鉛直荷重を複数本のジャッキ5に均等に負担させる上では、ジャッキ5は柱1の断面上の中心に関して対称に配置されることが適切であるため、少なくとも2枚の隔壁2、2に開口4、4を形成する必要がある。
請求項1における「上部構造の鉛直荷重を隔壁に仮支持させる」とは、柱1に接続する隔壁2が耐力壁として十分な厚さを持ち、柱1に代わって上部構造7の鉛直荷重を負担する能力を持っている場合に、柱1周りの複数枚の隔壁2に上部構造7の鉛直荷重を柱1の切断から免震装置6の設置までの間、仮支持させることを言う。その場合、特開2012−177282号公報の新設壁のように隔壁2が上部構造7の鉛直荷重を負担し得、柱1が負担すべき上部構造7の鉛直荷重を仮支持することができるため、必ずしも柱1の周囲にジャッキ5を設置することは必要ではなく、前記のように隔壁2への開口4の形成位置は問われず、柱1周りに確保すべき開口4の位置と数も問われない。但し、安全を見込んで隔壁2の負担能力を増すために壁厚を増す等の補強を隔壁2に施すこともある他、隔壁2の鉛直荷重負担能力を補うために、ジャッキ5を併用することもある。
免震装置6の設置が終了するまで、切断される柱1より上の上部構造7の鉛直荷重を柱1の周辺に設置されるジャッキ5に仮支持させる場合には、開口4はジャッキ5を設置するための空間として利用されるため、開口4は柱1に接近した箇所に形成されることが適切である(請求項3)。
開口4が柱1に接近した箇所に形成されることで、柱1に接近した箇所にジャッキ5を設置することができるため、ジャッキ5の反力を受ける上部構造7と下部構造8の負担(曲げモーメント)が軽減される利点がある。ジャッキ5が負担する上部構造7の鉛直荷重の反力は上部構造7と下部構造8に作用するが、ジャッキ5の接触部分(脚部)に荷重が集中することから、閉鎖空間3を構成する上下のスラブ71、81間にジャッキ5を設置することが難しいため、ジャッキ5は開口4の形成によって残され、開口4の上下に分離した隔壁2の残部間に設置される(請求項4)。この点で、開口4は上記した搬入路と避難通路としての役目に加え、ジャッキ5の設置のための空間としての役目を持つことになる。「隔壁2の残部」とは、開口4の形成後に残された隔壁2のことであり、ジャッキ5は開口4に面する上部構造7側の隔壁2の下面と下部構造8側の隔壁2の上面間に設置されることになる。
「柱1に接近した箇所に形成」とは、図3−(b)に示すように柱1の側面に接して開口4が形成されるか、柱1の側面に接近した位置を通過するように開口4が形成されることを言う。開口4が柱1に接した箇所に形成された場合には、柱1が切断されたときに、柱1に接続していた各隔壁2の開口4が柱1の除去部分を通じて連続する。開口4が柱1に接していない場合にも、柱1の切断時に開口4から柱1までを同時に切断し、除去することで、開口4が柱1に接していた場合と同様に、柱1の切断後に柱1に接続していた各隔壁2の開口4が連続する状態になる。
また開口4を柱1に接近した箇所に形成した場合、上部構造7の荷重を複数本のジャッキ5に均等に負担させる上では、ジャッキ5は柱1の断面上の中心に関して対称に配置されることが合理的であるため、開口4は隅柱1aを除き、柱1の断面上の中心に関して対称位置にある隔壁2、2に形成され、例えば柱1の断面上の中心に関して対称位置の2箇所、もしくは4箇所に形成されることが適切である。「開口4が柱1の中心に関して2箇所形成されること」は柱1を挟んで対称に配置されている2枚の隔壁2、2に開口4、4が形成されることを言い、その柱1は側柱1b、もしくは中柱1cになる。「開口4が4箇所形成されること」は図3−(b)、図5−(c)に示すように柱1を挟んで二方向に対称に配置されている4枚の隔壁2に開口4が形成されることを言い、その柱1は中柱1cになる。
柱1が側柱1bであれば、柱1には二方向に3枚の隔壁2が接続するが、屋外に面した一方向の2枚の隔壁2、2に開口4、4が形成されれば、柱1の断面上の中心に関して2箇所、開口4、4が形成されることになるため、ジャッキ5を柱1の中心に関して対称に配置することが可能である。中柱1cには二方向に4枚の隔壁4が接続するが、2箇所の開口4、4はいずれかの方向を向き、柱1を挟んで連続する2枚の隔壁2、2に形成される。中柱1cにおいては二方向の4枚の隔壁2に開口4が形成される場合に、開口4が4箇所形成されることになる。
隅柱1aには二方向に2枚の隔壁2、2が接続するが、各方向の隔壁2の方向が相違するため、開口4を柱1の断面上の中心に関して対になる隔壁4に形成することができない。この場合、ジャッキ5は方向の相違する2枚の隔壁2、2の開口4、4に設置されることになるが、この2箇所のジャッキ5、5のみでは分断された柱1の付近において上部構造7の荷重を安定して支持できない場合には、図9−(a)に示すように少なくともいずれかの隔壁2と対になる屋外側の面の、下部構造8側と上部構造7側に、ジャッキ5を受けるための補助ブロック15、15が設置、もしくは構築される。隅柱1aに接続する2枚の隔壁2、2と対になる位置に補助ブロック15が設置等された場合、ジャッキ5は隅柱1aの周囲の4箇所に設置可能になる。補助ブロック15、15は下部構造8側と上部構造7側とで上下に対になった状態でジャッキ5を受ける。
補助ブロック15は図9−(b)に示すように側柱1bに接続する屋外に面する隔壁2以外の隔壁2と対になる位置に設置されることもあり、その場合もジャッキ5は側柱1bの周囲の4箇所に設置可能になる。なお、上部構造7の荷重を隔壁2に負担させておく場合には、必ずしもジャッキ5は使用されないため、補助ブロック15の設置等も必ずしも必要ではない。
隅柱1aと側柱1bの屋外側の面に補助ブロック15を設置する場合には、中柱1cにおけるジャッキ5の設置時の状況(図4、図5)と同様に、柱1の周方向に隣接する隔壁2、2間、隔壁2と補助ブロック15間、及び補助ブロック15、15間に補強ブロック11、12が構築、もしくは設置される(請求項5)。
既存の柱を分断させて免震装置を設置する場合、通常、柱の周囲にはジャッキを設置すべき部位が存在しないため、ジャッキは分断された上部構造側の柱と下部構造側の柱の周囲に付加されるコンクリート等の上下のブロック間に設置されることになる(特許文献3、4)。これに対し、本発明では上記のように上部構造7の鉛直荷重をジャッキ5に支持させる場合に、ジャッキ5を隔壁2に形成された搬入路と避難通路を兼ねる開口4に設置することで(請求項4)、ジャッキ5を設置する場所を確保する上で、特許文献3、4のようなブロックを必ずしも構築する必要がない。
このため、ジャッキ5の設置箇所以外の空間を資機材の移動等のための空間として、またはジャッキ5の設置状態での隔壁2の安定性を確保するための空間として、あるいは免震装置設置後の上部構造と下部構造を補強する、例えば後述の補強ブロック11、12を設置等するための空間として利用することが可能になる。従って閉鎖空間3内に確保された限られた空間を、免震装置5の設置作業を効率的に進めるためと、免震装置5設置後の上部構造7と下部構造8の安定性と安全性確保のために有効に活用できる利点がある。
隔壁2への開口4の形成によって前記のように上部構造7側の隔壁2の下面と下部構造8側の隔壁2の上面が開口4側を向いた面になるため、ジャッキ5はこの上部構造7側の開口4に面する下面と下部構造8側の開口4に面する上面との間に設置され、各面に軸方向両端部(脚部)が仮固定される。ジャッキ5が開口4内に設置されることで、ジャッキ5全体が開口4の幅の範囲内に納まり、隔壁2内に収納される場合には、ジャッキ5自体が閉鎖空間3内に突出することがないため、閉鎖空間3内での免震装置6の設置作業の妨げになることがない。
免震装置6は開口4にジャッキ5が設置された状態で、開口4の空間を通じ、上部構造7側の柱1の下面と、下部構造8側の柱1の上面との間に差し込まれることになるが、図6、図7に示すように柱1を水平方向に挟んだ両側の開口4、4の幅と柱1の除去部分の幅を合わせた幅の大きさが免震装置6の幅より十分に大きい寸法を持っていれば、ジャッキ5が免震装置6の設置時の障害になることもない。
ジャッキ5を開口4に設置した場合に、隔壁2の幅(開口4内周面の幅)の程度に応じ、ジャッキ5の設置状態でのジャッキ5の安定性、またはジャッキ5を受ける隔壁2の安定性が十分に確保されないような場合、ジャッキ5、または隔壁2の安定性を確保するための補強ブロック11、12が隔壁2に付加される(請求項5)。具体例には図4、図5に示すように開口4の上下に分離した上部構造7側の、柱1の周方向に隣接する隔壁2、2間と、上部構造7から区分された下部構造8側の、柱1の周方向に隣接する隔壁2、2間に補強ブロック11、12を構築、もしくは設置することが行われる(請求項5)。
補強ブロック11、12は現場打ちコンクリート造で構築されるか、プレキャストコンクリート製、もしくは鋼製のブロックの接合等によって隔壁2に設置される。ブロックは例えばPC鋼材等を用いた圧着接合等により隔壁2に接合される。いずれの場合も、補強ブロック11、12は隔壁2に接合されるが、同時に上部構造7側の上部スラブ71と下部構造8側の下部スラブ81にも接合され、上部構造7側の補強ブロック11は隔壁2と上部スラブ71に一体化し、下部構造8側の補強ブロック12は隔壁2と下部スラブ81に一体化する。
補強ブロック11、12は柱1の周方向に隣接する、開口4の形成された隔壁2、2間に跨ることで、開口4の形成によって分断した上部構造7側の柱1に接続する複数枚の隔壁2と上部スラブ71を一体化させ、下部構造8側の柱1に接続する複数枚の隔壁2と下部スラブ81を一体化させる。結果として上部構造7と下部構造8の各隔壁2の剛性を高めながら、上部構造7から免震装置6への鉛直荷重と水平荷重の伝達能力を高め、免震装置6から下部構造8への鉛直荷重と水平荷重の伝達能力を高める役目も果たす。この補強ブロック11、12の働きから、免震装置6の設置が完了するまでの間、上部構造7の鉛直荷重を隔壁2に負担させる場合にも補強ブロック11、12の構築等は行われることがある。
分断された上部構造7側の柱1の下面と、下部構造8側の柱1の上面との間に免震装置6を設置する際には、免震装置6の上下に例えば図6、図7に示すように免震装置6の上部フランジ61と下部フランジ62を定着させるための上部基礎9と下部基礎10が構築、もしくは設置されることがある。この場合、ジャッキ5が隔壁2の開口4内に収納されることで、柱1を挟んだ両側の開口4、4と柱1の除去部分を合わせた分の開口全体の水平方向の長さとして上部基礎9と下部基礎10の幅に対応した大きさを確保し、開口4内の柱1の反対側にジャッキ5を設置すれば、柱1の断面積より大きい断面積の上部基礎9と下部基礎10を構築等することが可能である。それに伴い、柱1の断面積より大きい断面積を持つ免震装置6を設置することも可能になる。
屋外に面するいずれかの隔壁に開口を形成した後、その隔壁が構成する閉鎖空間とそれに隣接するいずれかの閉鎖空間とを隔てる隔壁に次の開口を形成する作業を繰り返すことにより全閉鎖空間を直接、もしくは間接的に屋外に連通させるため、免震装置の柱への設置作業に先立ち、全閉鎖空間から屋外へ通じる避難経路を形成することができる。この結果、各閉鎖空間内での非常時(緊急時)の安全性が確保された状況下で、免震装置を設置するための準備作業と設置作業を遂行することができる。
既存構造物のいずれかの層において水平二方向に閉鎖空間が配列している状況を示した平面図である。 (a)は図1に示す複数の閉鎖空間において隅柱に接続する隔壁から1経路の一筆書きの進路で全閉鎖空間を連通させる開口を形成した場合の経路を示した平面図、(b)は側柱に接続する、異なる隔壁から2経路の一筆書きの進路で全閉鎖空間を連通させる開口を形成した場合の経路を示した平面図である。 (a)は中柱に接続した隔壁への開口の形成前の状態を示した隔壁の縦断面図、(b)は(a)に示す隔壁の柱に接した箇所に開口を形成した様子を示した縦断面図である。 (a)は図3−(b)の後、下部構造側となる下部スラブ(耐圧版)上の隔壁の周囲に補強ブロックを構築(設置)した様子を示した縦断面図、(b)は上部構造側となる上部スラブ下の隔壁の周囲に補強ブロックを構築(設置)した様子を示した縦断面図、(c)は(a)の補強ブロックの変形例として下部スラブの全面に亘って補強ブロックを構築した様子を示した縦断面図である。 (a)は図4−(b)の後、図3で形成した隔壁の開口にジャッキを設置し、上部構造の鉛直荷重をジャッキに仮支持させた様子を示した縦断面図、(b)は開口に囲まれた柱の一部の区間を切断し、除去する前の様子を示した縦断面図、(c)は(a)のx−x線断面図である。 (a)は図5−(b)で切断した柱の一部を除去し、免震装置の下部フランジを受ける下部ベースプレートを下部構造側の柱上に設置した様子を示した縦断面図、(b)は下部ベースプレートを下部構造側の柱に定着させるための下部基礎を構築し、下部ベースプレートのアンカーを下部基礎と補強ブロック中に埋設した様子を示した縦断面図である。 (a)は図6−(b)の後、下部ベースプレート上に免震装置を設置した様子を示した縦断面図、(b)は免震装置の上部フランジを受ける上部ベースプレートを定着させる上部基礎を上部構造側の柱の下に構築し、上部ベースプレートのアンカーを上部基礎と補強ブロック中に埋設した様子を示した縦断面図である。 (a)は図7−(b)の後、ジャッキの仮支持状態を解除し、上部構造の鉛直荷重を免震装置に負担させた様子を示した縦断面図、(b)は開口に連続する隔壁に水平にスリットを形成し、隔壁を上部構造側と下部構造側に切り離した様子を示した縦断面図である。 (a)は隅柱の屋外側に隅柱を挟んで隔壁と対になる補助ブロックを設置し、上下の補助ブロック間にジャッキを設置した様子を示した水平断面図、(b)は側柱の屋外側に屋内側の隔壁と対になる補助ブロックを設置し、上下の補助ブロック間にジャッキを設置した様子を示した水平断面図である。
図1は水平二方向に間隔を置いて配列する複数本の柱1と、隣接する柱1、1に接続する隔壁2とで区画される閉鎖空間3が水平二方向に配列する既存構造物のいずれかの、免震装置6が設置される層の平面を示す。図1は既存構造物のいずれかの層の全平面の内、例えば1/4の領域等、一部の平面を示している。一個の閉鎖空間3は4本の柱1と隣接する柱1、1間に架設される隔壁2、及び柱1の頭部に接続する上部構造7の上部スラブ71と柱1の脚部に接続する下部構造8の下部スラブ81から構成される。隔壁2は柱1と上部スラブ71及び下部スラブ81に接続している。
図2−(a)、(b)は図1に示すいずれかの層の屋外に面するいずれかの隔壁2に開口4を形成し、その開口4が形成された隔壁2が構成する閉鎖空間3から、その閉鎖空間3とそれに隣接する閉鎖空間3を隔てる隔壁2に開口4を形成する作業を繰り返して全閉鎖空間3を連通させ、屋外にも連通させた様子を示す。
図2−(a)は隅柱1aに接続するいずれかの隔壁2を含む(隅柱1aに面する)閉鎖空間3から開口4の形成を開始し、1経路の一筆書きの進路で全閉鎖空間3を連通させる開口4を形成した場合の経路を示す。1本の一筆書きの進路で全閉鎖空間3を連通させる経路は、隅柱1aに面する閉鎖空間3から最後に到達する閉鎖空間3まで同一の閉鎖空間3を繰り返して通過することがないため、最短の経路で全閉鎖空間3を連通させる手順例であるが、一度の進行により1本の避難経路が形成されるため、免震装置6の設置前の段階で、効率的に非常時(緊急時)の安全性を確保する方法でもある。
図2−(b)は異なる側柱1b、1bに接続する、異なる隔壁2、2を含む(側柱1b、1bに面する)異なる閉鎖空間3、3から開口4の形成を開始し、2通りの一筆書きの進路で全閉鎖空間3を連通させる開口4を形成した場合の経路を示す。2本の経路で全閉鎖空間3を連通させることで、複数本の避難経路が形成されるため、図2−(a)の状態より免震装置6の設置前の段階での安全性が向上する。図2−(b)では屋外に面する少なくとも2枚の異なる隔壁2、2に開口3を形成し、各閉鎖空間3に面する開口3を少なくとも3個、形成した状況になっている。
全閉鎖空間3を互いに連通させ、屋外にも連通させた後、図3〜図8に示すように各柱1において柱1が負担している、いずれかの層上の上部構造7の鉛直荷重を各柱1に接続する複数枚の隔壁2、もしくはジャッキ5に仮支持させた状態で、柱1の一部を切断して除去し、この柱1の除去区間に免震装置6を設置する作業を行うことにより上部構造7が免震構造化される。
以下、図3〜図8により柱1周りにおいて開口4の形成から、免震装置6の設置後、上部構造7と下部構造8の分離までの作業手順を説明する。図3〜図8に示す柱1は中柱1cであるが、ジャッキ5に上部構造7の鉛直荷重を負担させる場合には、図9に示すように側柱1bと隅柱1aにおいても図3〜図8に示す作業が行われる。隅柱1aと側柱1bにおいては柱1を挟んで開口4、4が対にならないが、免震装置6を上部構造7と下部構造8に固定するための上部基礎9と下部基礎10を上部構造7側の柱1の下面と、下部構造8側の柱1の上面に構築する必要があるため、その上部基礎9と下部基礎10が柱1の断面積を超える断面積を必要とする場合には、上部構造7側と下部構造8側にそれぞれ補強ブロック11、12を設置(構築)することが必要になる。その場合、隅柱1aと側柱1bにおいても中柱1c周りでの作業と同じ作業が行われる。
図3−(a)は柱1に接続した隔壁2への開口4の形成前の状態を示しているが、図2−(a)、(b)に示すように免震装置6の設置作業に移行する以前には、各閉鎖空間3に面するいずれかの隔壁2に避難経路としての開口4が1個、もしくは複数個形成されているため、避難経路の形成後にはほとんどの柱1に接続したいずれかの隔壁2には開口4が形成されている。図2−(a)の場合は一部の柱1を除き、柱1に接続するいずれかの隔壁2に既に開口4が形成されており、(b)の場合は全柱1において柱1に接続するいずれかの隔壁2に既に開口4が形成されている。免震装置6の設置作業開始前の段階で、図2−(b)に示す作業が完了している場合であれば、図3−(a)中、断面で示されている隔壁2の、柱1を挟んだ反対側の隔壁2に開口4が形成されていることになる。
図3−(a)の状態からは(b)に示すように開口4が形成されている隔壁2以外の隔壁2に開口4が形成される。開口4は免震装置6の設置のための資機材、設備等の搬入路、及び非常時の避難路としての機能に加え、免震装置6の設置時に上部構造7の鉛直荷重を支持するジャッキ5を設置するための収納空間としての機能を持つ。以下では開口4がジャッキ5用の収納空間を兼ねる場合の作業手順を説明する。
上部構造7の鉛直荷重をジャッキ5に仮支持させる上では、開口4は基本的には柱1を挟んで対になって配置される。免震装置6は開口4内にジャッキ5が設置された状態で、上下に分離した上部構造7側の柱1と下部構造8側の柱1間に差し込まれるため、開口4は水平方向に柱1の両側にジャッキ5、5が配置された状態で免震装置6が水平方向に差し込めるだけの幅を持つ。柱1を切断したときには、柱1を挟んだ両側の開口4、4と柱1除去後の空間が水平方向に連続するため、開口4の水平方向の幅は両側の開口4、4の幅と柱1の幅の和になる。開口4の高さはジャッキ5をジャッキアップしたときの、ジャッキ5の高さに対応した大きさになる。
柱1の切断時に柱1の除去後の空間と両側の開口4、4を連続させるために、開口4は柱1の切断時に除去された柱1の存在した区間と、柱1を挟んだ両側の開口4、4が連続するよう、図3−(b)に示すように柱1に接した箇所等、柱1に接近した箇所に形成される。中柱1cには隔壁2が二方向に4枚接続するため、上部構造7の鉛直荷重を柱1周辺のジャッキ5に均等に負担させるために、基本的には4枚の隔壁2に開口4が形成される。「基本的に」とは、一方向に配列する2枚の隔壁2、2への開口4の形成で済む場合には必ずしも4枚の隔壁2に開口4を形成する必要がない意味である。隅柱1aと側柱1bにおいても同様に、柱1に接続する全隔壁2に開口4が形成され、図9−(a)、(b)に示すように隔壁2が接続しない側にはジャッキ5を設置するための空間を形成する補助ブロック15が設置、もしくは構築される。
柱1に接続する全隔壁2への開口4の形成後、図4−(a)、(b)に示すように開口4の上下に、分離した上部構造7側の、柱1の周方向に隣接する隔壁2、2間と、下部構造8側の、柱1の周方向に隣接する隔壁2、2間に補強ブロック11、12を構築、もしくは設置することが行われる。図4では下部構造8側の補強ブロック12の構築等を先行させ、補強ブロック12の構築等の後に上部構造7側の補強ブロック11を構築等しているが、各補強ブロック11、12の構築等の作業は逆になる場合と並行して行われる場合もある。
図4−(a)は閉鎖空間3を構成する下部構造8の下部スラブ(耐圧版)81上に開口4の幅より大きめの幅の補強ブロック12を構築等した場合であるが、図4−(c)は下部スラブ81の全面上に補強ブロック12を連続させて構築等した場合の例を示す。図4−(c)の例では下部スラブ81の全体の板厚が増加する結果になるため、例えば下部スラブ81の下面側に水圧等、上向きの荷重が作用するような場合に有効な補強ブロック12の構築例になる。
補強ブロック11、12は図5−(c)に示すように平面上は上部構造7側と下部構造8側のそれぞれにおいて柱1の周方向に隣接する隔壁2、2間に跨って設置、もしくは構築されて両隔壁2、2に一体化させられ、隣接する隔壁2、2を、すなわち柱1に接続する全隔壁2を一体構造化する。補強ブロック11、12は鋼製、もしくはプレキャストコンクリート製で予め製作されているか、現場打ちコンクリート造で構築される。予め製作されている場合は、搬入の便宜より分割されている場合もある。コンクリート製等の場合、補強ブロック11、12は例えばPC鋼材等を用いた圧着接合により隔壁2に一体化させられる。図5−(c)中、二点鎖線は後述の、免震装置6の下部フランジ62を定着させる下部基礎10を示す。下部基礎10上にはそれと対になる上部基礎9が構築される。
下部構造8側の補強ブロック12と上部構造7側の補強ブロック11の構築等の完了後、図5−(a)に示すように開口4内にジャッキ5が設置される。ジャッキ5は開口4に面する上部構造7側の隔壁2の下面と、下部構造8側の隔壁2の上面との間に設置される。このとき、図7−(a)に示すように免震装置6の幅が柱1の幅より大きい場合には、分断している上部構造7側の柱1と下部構造8側の柱1との間への、免震装置6の挿入時に、免震装置6がジャッキ5に接触(衝突)しないよう、ジャッキ5は柱1から遠い側(柱1の反対側)に配置される。柱1周りの開口4内にジャッキ5を設置した様子を図5−(c)に示す。
開口4へのジャッキ5の設置後、ジャッキ5をジャッキアップさせ、柱1を分断した後の、柱1が負担していた分の上部構造7の鉛直荷重を柱1周りの複数本のジャッキ5に分担させる。その後、図5−(b)に示すように前記した上部基礎9と下部基礎10を含む、免震装置5の設置に要する空間の高さ分の区間に亘り、柱1を切断し、除去することが行われる。柱1の除去により開口4を挟んだ上下の隔壁2は上部構造7側の柱1と下部構造8側の柱1に接続した状態になる。
切断した柱1の一部の除去後、図6−(a)に示すように下部構造8側の柱1上に免震装置6の下部フランジ62を受ける下部ベースプレート14が設置され、続いて(b)に示すように下部ベースプレート14を下部構造8側の柱1と補強ブロック12に定着させるための下部基礎10が下部構造8側の柱1上に構築、もしくは設置される。図面では免震装置6の幅が柱1の幅より大きい場合の例を示しているため、下部ベースプレート14と下部基礎10の幅が図5−(a)〜(c)に示すように柱1を挟んで構築等されている補強ブロック12、12間に亘る大きさになっているが、下部ベースプレート14は柱1の水平断面内に納まることもある。
下部基礎10は現場打ちコンクリート造で構築されるか、または予めプレキャストコンクリート、もしくは鋼材で製作された状態で現場に搬入され、設置される。下部基礎10は免震装置6が負担する水平荷重を負担しながら下部構造8に伝達するために、下部構造8側の柱1に、または柱1と補強ブロック12に定着され、一体化させられる。下部基礎10の構築等時には下部ベースプレート14のアンカー14aが下部基礎10中に埋設され、定着される。下部基礎10中のアンカー10aは補強ブロック12中に、または補強ブロック12と下部構造8側の柱1中に埋設され、定着される。
下部基礎10の下部構造8への定着後、あるいは下部基礎10のコンクリートの硬化後、図7−(a)に示すように下部基礎10上の、上部構造7側の柱1の下面との間に免震装置6が差し込まれ、下部フランジ62が下部ベースプレート14に接合される。図面では免震装置6の設置作業の効率化を図り、狭小空間での接合作業を省略するために、免震装置6の上部フランジ61に上部ベースプレート13が予め接合されている様子を示しているが、必ずしもその必要はない。
分離した上下の柱1、1間への免震装置6の設置後、図7−(b)に示すように上部ベースプレート13上の上部構造7側の柱1の下面側に、上部ベースプレート13を上部構造7側の柱1に定着させるための上部基礎9が構築、もしくは設置される。上部基礎9も現場打ちコンクリート造で構築されるか、または予めプレキャストコンクリート等で製作された状態で搬入された後に現場で設置される。上部基礎9も上部構造7からの水平荷重を免震装置6に伝達するために、上部構造7側の柱1に、または柱1と補強ブロック11に定着され、一体化させられる。上部基礎9の構築等時には上部ベースプレート13のアンカー13aが上部基礎9中に埋設され、定着される。上部基礎9中のアンカー9aは補強ブロック11中に、または補強ブロック11と上部構造7側の柱1中に埋設され、定着される。
上部基礎9の上部構造7への定着後、あるいはコンクリートの硬化後、図8−(a)に示すようにジャッキ5をジャッキダウンさせ、上部構造7の鉛直荷重を免震装置6に負担させる。その後、図8−(b)に示すように上部構造7と下部構造8に接続している隔壁2に全長に亘って水平方向等にスリット2aを入れ、隔壁2を上部構造7側と下部構造8側に分離させる。前記にように柱1の除去時に隔壁2は柱1から分離しているため、スリット2aの形成によって上下に互いに分離し、それぞれ上部スラブ71と下部スラブ81に接続した状態になる。隔壁2が上部構造7側と下部構造8側に分離することにより上部構造7の免震構造化が終了する。ジャッキ5の役目はジャッキダウン時に終えるため、図8−(a)の時点でジャッキ5を回収することができる。
図5−(b)に示す柱1の切断から、図8−(a)に示す免震装置の設置までの間、上部構造7の鉛直荷重を隔壁2に負担させておくことができる場合には、予備的に、あるいは補助的に使用される場合以外、ジャッキ5は必要とされないが、免震装置6設置後の上部構造7側の柱1周りと下部構造8側の柱1周りの剛性を確保する等のために、上部構造7側と下部構造8側に補強ブロック11、12を構築等する作業は行われる。
1……柱、1a……隅柱、1b……側柱、1c……中柱、
2……隔壁、2a……スリット、3……閉鎖空間、4……開口、
5……ジャッキ、6……免震装置、61……上部フランジ、62……下部フランジ、
7……上部構造、71……上部スラブ、8……下部構造、81……下部スラブ、
9……上部基礎、9a……アンカー、10……下部基礎、10a……アンカー、
11……補強ブロック、12……補強ブロック、
13……上部ベースプレート、13a……アンカー、
14……下部ベースプレート、14a……アンカー、
15……補助ブロック。

Claims (5)

  1. 水平二方向に間隔を置いて配列する複数本の柱と、隣接する柱に接続する隔壁とで区画される閉鎖空間が前記水平二方向に配列する既存構造物のいずれかの層において、
    前記いずれかの層の屋外に面するいずれかの前記隔壁に開口を形成し、その開口が形成された前記隔壁が構成する閉鎖空間から、その閉鎖空間とそれに隣接する閉鎖空間を隔てる前記隔壁に開口を形成する作業を繰り返して全閉鎖空間を連通させた後、前記各柱が負担している、前記いずれかの層上の上部構造の鉛直荷重を前記隔壁、もしくはジャッキに仮支持させた状態で、前記柱の一部を切断して除去し、この柱の除去区間に免震装置を設置することを特徴とする既存構造物の免震構造化方法。
  2. 前記柱の切断前に、屋外に面する少なくとも2枚の異なる前記隔壁に前記開口を形成し、前記各閉鎖空間に面する開口を少なくとも3個、形成することを特徴とする請求項1に記載の既存構造物の免震構造化方法。
  3. 前記開口を前記隔壁の前記柱に接近した箇所に形成することを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の既存構造物の免震構造化方法。
  4. 前記開口に前記上部構造の鉛直荷重を仮支持するジャッキを設置することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の既存構造物の免震構造化方法。
  5. 前記開口の上下に分離した前記上部構造側の、前記柱の周方向に隣接する前記隔壁間と、前記上部構造から区分された下部構造側の、前記柱の周方向に隣接する前記隔壁間に補強ブロックを構築、もしくは設置することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の既存構造物の免震構造化方法。
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