JP2015063771A - 繊維製品の処理方法 - Google Patents

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ひとみ 小林
Hitomi Kobayashi
ひとみ 小林
宮原 岳彦
Takehiko Miyahara
岳彦 宮原
聖一 戸部
Seiichi Tobe
聖一 戸部
洋子 浅沼
Yoko Asanuma
洋子 浅沼
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Abstract

【課題】繊維に付着したウイルスに対する不活化効果に優れた繊維製品の処理方法を提供すること。
【解決手段】カチオン性化合物を含有する処理液(X)を繊維製品に接触させる第1の処理工程と、前記第1の処理工程で処理された繊維製品を乾燥させる乾燥工程と、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸塩及び水溶性金属塩からなる群より選ばれる1以上の化合物と、カチオン性化合物と、を含有する処理液(Y)を、前記乾燥工程で乾燥された繊維製品に接触させる第2の処理工程と、を備える、繊維製品の処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維製品の処理方法に関する。
最近では、一年を通して多様なウイルスによる感染症(例えば、インフルエンザ、風疹、感染性胃腸炎など)が問題となっている。感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫感染、食べ物などからの摂取、又は患者の嘔吐物から二次感染する場合など、多くの場面が考えられる。また、清掃によりウイルスを除去したつもりでも完全に除去しきれなかったウイルスが空気中に漂い、活性が残っているウイルスに感染して、ノロウイルス等による感染性胃腸炎を発症することがある。
そこで、ウイルスの消毒が必要となる。ウイルスの消毒に対する効果は、ウイルスの構造によって差があると言われている。例えば、「一般的にエンベロープを持つウイルスはアルコールや石鹸など脂質を溶解する消毒剤に対しては感受性が高いこと、逆に持たないウイルスは不活化しにくいことは容易に予測できる(標準微生物学、第11版、平松啓一監修、株式会社医学書院発行、p376)。」と記載されていることからも、ウイルスのエンベロープの有無により、不活化に違いがあることが分かる。
エンベロープを持つウイルスとしては、例えばインフルエンザウイルスや風疹ウイルスが挙げられる。一方、エンベロープを持たないウイルスとしては、例えばノロウイルス、ロタウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス等が挙げられる。
近年、ウイルスの不活化に関する研究の報告が増えてきている。
特許文献1では、ジアルキルジメチルアンモニウム塩及びアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の第4級アンモニウム塩と、ベンジルアルコールと、を含有する組成物がノロウイルスに対して不活化効果を有すること、が開示されている。
また、特許文献2では、2価の水溶性金属塩と、特定構造の化合物(メチルグリシンジ酢酸、イミノジコハク酸等)と、水溶性溶剤と、を含有する組成物がウイルス不活化効果を有すること、が開示されている。
特開2013−40167号公報 国際公開第2012/090989号
家庭においては、ウイルスの感染を防ぐため、流水や石けんによる手洗い、うがい等に加えて、繊維製品におけるウイルス除去やウイルス不活化を図ることも有効である。
前記の特許文献1、2に記載の組成物によるウイルス不活化の効果は、液状組成物(薬剤)とウイルス液とを混合し、両者を直接作用させることで評価されている。このように、ウイルス不活化の評価は、従来、溶液中で直接ウイルスに対する薬剤の効果を確認することにより行われていることが多い。しかしながら、繊維に付着したウイルスに対する薬剤の効果は、薬剤とウイルスとを直接作用させたときに比べてその効果が若干低下する場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、繊維に付着したウイルスに対する不活化効果に優れた繊維製品の処理方法を課題とする。
本発明者らは検討により、ウイルス不活化の効果を有する特定の処理液を、特定の方法で使用することで、そのウイルス不活化の効果がさらに高まることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の繊維製品の処理方法は、カチオン性化合物を含有する処理液(X)を繊維製品に接触させる第1の処理工程と、前記第1の処理工程で処理された繊維製品を乾燥させる乾燥工程と、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸塩及び水溶性金属塩からなる群より選ばれる1以上の化合物と、カチオン性化合物と、を含有する処理液(Y)を、前記乾燥工程で乾燥された繊維製品に接触させる第2の処理工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の繊維製品の処理方法によれば、繊維に付着したウイルスに対する不活化効果に優れる。
また、本発明の繊維製品の処理方法は、特にエンベロープウイルスに比べて薬剤が効きにくいと言われている、非エンベロープウイルスに対してもウイルス不活化効果が高い。
本発明の繊維製品の処理方法は、処理液(X)を繊維製品に接触させる第1の処理工程と、前記第1の処理工程で処理された繊維製品を乾燥させる乾燥工程と、処理液(Y)を前記乾燥工程で乾燥された繊維製品に接触させる第2の処理工程と、を備える。
かかる処理方法の対象となる繊維製品としては、例えば、Yシャツ、Tシャツ、ポロシャツ、ブラウス、チノパン、スーツ、スラックス、スカート、テーブルクロス、ランチョンマット、カーテン、枕カバー、ソファー、シーツ、トイレマット等が挙げられる。
また、該繊維製品の素材については、特に限定されず、例えば、綿、ウール、麻等の天然繊維;ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維;アセテート等の半合成繊維;レーヨン、テンセル、ポリノジック等の再生繊維、又はこれらの各種繊維の混紡品、混織品もしくは混編品等が挙げられる。
(処理液(X))
処理液(X)は、カチオン性化合物を含有する液である。以下、処理液(X)に含まれるカチオン性化合物を「(c1)成分」ともいう。
・(c1)成分
(c1)成分としては、水溶性のカチオン性化合物、水不溶性のカチオン性化合物が挙げられる。水溶性のカチオン性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、水不溶性のカチオン性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。さらに、(c1)成分には、水溶性のカチオン性化合物と水不溶性のカチオン性化合物とを併用してもよい。
尚、本明細書において、水溶性のカチオン性化合物における「水溶性」とは、25℃の水100gに1g以上溶解する性質を意味し、「水不溶性」とは、25℃の水100gへの溶解度が1g未満である性質を意味する。
・・水溶性のカチオン性化合物
(c1)成分における水溶性のカチオン性化合物として、好ましくは、下記一般式(I)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物、下記一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物、水溶性のカチオン性高分子化合物が挙げられる。
Figure 2015063771
[式中、Rは、エステル基、エーテル基又はアミド基を有していてもよい炭素数8〜22の炭化水素基を表す。R2a、R2b及びR2cは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表す。R3a及びR3bは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれエステル基、エーテル基又はアミド基を有していてもよい炭素数8〜12の炭化水素基を表す。]
・・・3級アミン化合物の中和物又はその4級化物
前記式(I)中、Rは、エステル基、エーテル基又はアミド基を有していてもよい炭素数8〜22の炭化水素基を表す。
における炭化水素基の炭素数は、8〜22であり、好ましくは12〜20であり、より好ましくは12〜18である。尚、この炭素数には、炭化水素基が有していてもよいエステル基又はアミド基中の炭素原子は含まない。
における炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基が挙げられ、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
前記式(I)中、R2a及びR2bは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表す。
2a、R2bとしては、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましく、メチル基、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
前記式(II)中、R2cは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表し、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましく、メチル基、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
前記式(II)中、R3a及びR3bは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれエステル基、エーテル基又はアミド基を有していてもよい炭素数8〜12の炭化水素基を表す。
3a、R3bにおける炭化水素基の炭素数は、8〜12であり、好ましくは10〜12である。尚、この炭素数には、炭化水素基が有していてもよいエステル基又はアミド基中の炭素原子は含まない。
3a、R3bにおける炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基が挙げられ、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
3a、R3bとして具体的には、デシル基、ドデシル基、デシロイルオキシエチル基が挙げられる。
一般式(I)又は一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物を構成する酸は、特に限定されず、好ましいものとして塩酸、硫酸、メチル硫酸などが挙げられる。
該3級アミン化合物の中和物を得る方法としては、一般式(I)又は一般式(II)で表される3級アミン化合物を、直接、酸で中和する方法;処理液を調製する際、予め酸を含有する液に、該3級アミン化合物を加える方法;処理液を調製する際、該3級アミン化合物と酸とを同時に加える方法などが挙げられる。
一般式(I)又は一般式(II)で表される3級アミン化合物の4級化物を得るために用いる4級化剤としては、特に限定されず、好ましいものとして塩化メチル、ジメチル硫酸などが挙げられる。
一般式(I)又は一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物もしくは4級化物としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアロイルオキシエチル−N,N−ジヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェート、N,N−ジデシロイルオキシエチル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェートが好ましく、これらの中でも、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアロイルオキシエチル−N,N−ジヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェートが特に好ましい。
一般式(I)又は一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物もしくは4級化物として具体的には、アーカード12−37W(ライオン・アクゾ株式会社製)、アーカードT−800(ライオン・アクゾ株式会社製)等の塩化アルキルトリメチルアンモニウム;アーカード210(ライオン・アクゾ株式会社製)等の塩化ジデシルジメチルアンモニウム、アーカードCB−50(ライオン・アクゾ株式会社製)等の椰子アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等を用いることができ、これらの中でも、アーカード210(ライオン・アクゾ株式会社製)等の塩化ジデシルジメチルアンモニウムが特に好ましい。
・・・水溶性のカチオン性高分子化合物
(c1)成分における水溶性のカチオン性高分子化合物としては、カチオン化度の下限値が0.1%以上のものが好ましく、2.5%以上のものがより好ましい。より具体的には、カチオン化度が0.1〜35%のものが好ましく、2.5〜20%のものがより好ましい。カチオン化度が上記範囲であると、繊維上でのウイルス不活化の効果が高まりやすい。
ここでいう「カチオン化度」とは、高分子化合物がカチオン性モノマーの重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体、又はノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)の場合には、下式(1)により算出される値をいう。
カチオン化度(%)=S×T×100 ・・・(1)
S:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
T:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数
また、高分子化合物がカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとの共重合体、又はカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体の場合には、下式(2)により算出される値をいう。
カチオン化度(%)=S×(T−U)×100 ・・・(2)
S:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
T:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数
U:高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基のモル数
Uにおけるアニオン性基とは、高分子鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシ基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボキシ基などである。但し、アニオン性基は、カチオン性基の対イオンを含まない。
上記のカチオン化度の算出方法によれば、ノニオン性モノマーの重合体のカチオン化度、アニオン性モノマーの重合体のカチオン化度はいずれも0%となる。
カチオン化度の算出例として、下記化学式(III)で表される繰返し単位を有する共重合体からなる、水溶性のカチオン性高分子化合物(MERQUAT280、NALCO社製)の場合を示す。
Figure 2015063771
このカチオン性高分子化合物(MERQUAT280)は、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとの共重合体(塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸とのモノマー質量比=80:20)である。
S:14(窒素原子の原子量)
T:4.95×10−3モル(カチオン性高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基の質量0.8gと、カチオン性基の分子量とから算出)
U:2.78×10−3モル(カチオン性高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基の質量0.2gと、アニオン性基の分子量とから算出)
式(2)より、カチオン性高分子化合物(MERQUAT280)のカチオン化度は、以下のように算出される。
カチオン化度(%)=S×(T−U)×100
=14×(4.95×10−3−2.78×10−3)×100
=3.0
また、(c1)成分における水溶性のカチオン性高分子化合物は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定される重量平均分子量が1000〜5000000であることが好ましく、より好ましくは3000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜500000である。重量平均分子量が上記範囲であると、処理液の粘度上昇が抑えられ、処理液の使用性が高まる。
かかる水溶性のカチオン性高分子化合物として具体的には、MERQUAT100(NALCO社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業株式会社製)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業株式会社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体;MERQUAT550 JL5(NALCO社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(NALCO社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP(ライオン株式会社製)等のカチオン化セルロース、LUVIQUAT−FC905(B・A・S・F社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、LUGALVAN−G15000(B・A・S・F社製)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318(株式会社クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等を用いることができる。
これらの中でも、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、カチオン化セルロースが特に好ましい。
・・水不溶性のカチオン性化合物
(c1)成分における水不溶性のカチオン性化合物として、好ましくは、下記一般式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物が挙げられる。
Figure 2015063771
[式中、R4a及びR4bは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれエステル基、エーテル基又はアミド基を有していてもよい炭素数14〜20の炭化水素基を表す。Rは、エステル基、エーテル基もしくはアミド基を有していてもよい炭素数14〜20の炭化水素基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表す。]
前記式(IV)中、R4a及びR4bは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれエステル基、エーテル基又はアミド基を有していてもよい炭素数14〜20の炭化水素基を表す。
4a、R4bにおける炭化水素基の炭素数は、14〜20であり、好ましくは16〜20であり、より好ましくは18〜20である。尚、この炭素数には、炭化水素基が有していてもよいエステル基又はアミド基中の炭素原子は含まない。
4a、R4bにおける炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基が挙げられ、直鎖状のアルキル基、直鎖状のアルケニル基が好ましい。
なかでも、R4a、R4bにおける炭化水素基は、エステル基又はアミド基を有していてもよい炭化水素基が好ましい。
前記式(IV)中、Rは、エステル基、エーテル基もしくはアミド基を有していてもよい炭素数14〜20の炭化水素基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表す。
における、エステル基、エーテル基もしくはアミド基を有していてもよい炭素数14〜20の炭化水素基についての説明は、R4a及びR4bについての説明と同様である。
における、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基としては、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましく、メチル基、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
一般式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物を構成する酸は、特に限定されず、好ましいものとして塩酸、硫酸、メチル硫酸などが挙げられる。
一般式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物を得る方法としては、一般式(I)又は一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物を得る方法と同様である。
一般式(IV)で表される3級アミン化合物の4級化物を得るために用いる4級化剤としては、特に限定されず、好ましいものとして塩化メチル、ジメチル硫酸などが挙げられる。
一般式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物としては、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジパルミチルジメチルアンモニウムクロライド、N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、N,N−ジオレオイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートが好ましく、これらの中でも、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、N,N−ジオレオイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートが特に好ましい。
処理液(X)に含まれる(c1)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、(c1)成分としては、一般式(I)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物、一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物、一般式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物が好ましく、ウイルス不活化効果の点から、一般式(I)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物、一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物がより好ましく、一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物がさらに好ましく、一般式(II)で表される3級アミン化合物の4級化物が特に好ましい。
(c1)成分として、一般式(I)又は一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物もしくは4級化物を用いる場合、処理液(X)中の、該3級アミン化合物の中和物もしくは4級化物の含有割合は、例えば、(c1)成分を溶媒に溶解又は分散させて処理液(X)を調製する際には、処理液(X)の全質量に対して0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%であり、最も好ましくは0.05〜5質量%であり; 処理剤(衣料用洗剤、衣料用柔軟剤など)に配合し、該処理剤を溶媒に溶解又は分散させて処理液(X)を調製する際には、処理液(X)の全質量に対して0.02〜300ppmが好ましく、より好ましくは0.2〜200ppm、最も好ましくは1〜100ppmである。
(c1)成分として、水溶性のカチオン性高分子化合物を用いる場合、処理液(X)中の、該水溶性のカチオン性高分子化合物の含有割合は、例えば、(c1)成分を溶媒に溶解又は分散させて処理液(X)を調製する際には、処理液(X)の全質量に対して0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%であり、最も好ましくは0.05〜5質量%である。
処理剤(衣料用洗剤、衣料用柔軟剤など)に配合し、該処理剤を溶媒に溶解又は分散させて処理液(X)を調製する際には、処理液(X)の全質量に対して0.02〜300ppmが好ましく、より好ましくは0.2〜200ppm、最も好ましくは1〜100ppmである。
(c1)成分として、一般式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物を用いる場合、処理液(X)中の、該3級アミン化合物の中和物もしくは4級化物の含有割合は、例えば、
処理剤(衣料用洗剤、衣料用柔軟剤など)に配合し、該処理剤を溶媒に溶解又は分散させて処理液(X)を調製する際には、処理液(X)の全質量に対して1〜900ppmが好ましく、より好ましくは1.5〜600ppm、最も好ましくは2〜160ppmである。
処理液(X)中、(c1)成分の含有割合が前記の好ましい範囲であれば、繊維上でのウイルス不活化の効果が高まりやすい。
・溶媒
処理液(X)は、調製しやすさ、使用する際の水への溶解性等の観点から、溶媒として水を用いることが好ましい。
使用する水は、水道水、精製水、イオン交換水又は蒸留水を用いることが好ましい。
処理液(X)中、水の含有割合は、処理液(X)の全質量に対して30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
水の含有割合が好ましい下限値以上であると、使用性がより良好となる。
溶媒としては、水以外に、水溶性溶剤を用いてもよい。ここでいう「水溶性溶剤」とは、任意の比率で水と混合して透明に混ざる有機溶媒をいう。
水溶性溶剤を用いることで、処理液(X)中に(c1)成分を均一に分散させやすくなる。水溶性溶剤としては、例えば、エタノール、2−イソプロパノールなどの炭素数2〜3の1級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの炭素数2〜6のグリコール;グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの炭素数3〜8の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、エタノール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、エタノールが特に好ましい。
繊維製品に処理液(X)を噴霧、滴下又は塗布する場合、水溶性溶剤としては、乾燥しやすくなることから、エタノール、又はエタノールを含む混合溶剤を用いることが好ましい。
エタノールとしては、10%安息香酸デナトリウム・アルコール溶液、又は、八アセチル化しょ糖もしくはブルシンなどの「変性アルコールのアルコール事業法下での表記」(アルコール使用の手引き(第10版)[分割版2]アルコール使用許可申請マニュアル 平成24年8月 経済産業省)に記載されている変性剤を微量含んだエタノールを用いることが好ましい。
水溶性溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
処理液(X)中の水溶性溶剤の含有割合は、例えば、繊維製品に処理液(X)を噴霧、滴下又は塗布する場合、処理液(X)の全質量に対して3〜30質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%であり、さらに好ましくは5〜15質量%である。
・その他成分
処理液(X)は、(c1)成分以外のその他成分を含有していてもよい。
かかるその他成分としては、香料、シリコーン化合物、(c1)成分に該当しない防腐剤、(c1)成分に該当しない界面活性剤、後述の処理液(Y)に含まれる(a1)成分、(a2)成分などが挙げられる。また、その他成分としては、従来公知の衣料用洗剤、衣料用柔軟剤、衣料用しわとり・消臭剤、衣類布製品用芳香剤などに使用可能な成分も挙げられる。
例えば、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、減粘剤又は可溶化剤、増粘剤、(a1)成分に該当しない金属イオン捕捉剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、再汚染防止剤、パール剤、酵素、着色剤、乳濁化剤、紫外線吸収剤、(c1)成分に該当しない高分子、忌避剤、消臭成分等の任意成分を含有してもよい。
・・香料
香料としては、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香料の化学(日本化学会編、赤星亮一著、昭和58年9月16日発行)」、「合成香料 化学と商品知識 化学工業日報社 1996年発行」および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 )および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載のものが挙げられ、それぞれの文献を引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
香料として具体的には、特開2002−146399号公報に記載されている香料の代表例や、特開2003−96667号公報における実施例に記載の香料組成物A〜D、特開2007−321270号公報における表5に記載の香料A〜C、特開2009−155739号公報における表13に記載の香料組成物A、Bなどを用いることができる。
処理液(X)及び後述の処理液(Y)には、同一の香料が含まれていることが好ましいが、両方の処理液に含まれる香料組成物は、その全成分が同一であっても、一部の成分が同一であっても構わない。なお、香料には、植物エキスやオイルなどの植物抽出物(例えば、クララ、セージ、ティーツリー、ユーカリ、ラベンダー、ローズ、ローズマリー等)も含む。
処理液(X)中の香料の含有割合(質量基準)は、例えば、繊維製品に処理液(X)を噴霧する場合、処理液(X)の全質量に対して1ppm以上、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5ppm以上、5質量%以下であり;処理剤(衣料用洗剤、衣料用柔軟剤など)を溶媒に溶解又は分散させてなる処理液(X)に繊維製品を浸漬させる場合、処理液(X)の全質量に対して0.03〜150ppmが好ましく、より好ましくは0.1〜50ppm、最も好ましくは0.5〜30ppmである。
・・シリコーン化合物
シリコーン化合物を用いることで、繊維製品への処理液(X)の浸透性がより高まる。シリコーン化合物としては、例えば、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、カルボキシ変性シリコーン、グリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられ、これらの中でも、ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
繊維製品に処理液(X)を噴霧する場合、1分子当たりのオキシエチレン基の割合が、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは25〜80質量%、さらに好ましくは35〜80質量%、特に好ましくは50〜80質量%のポリエーテル変性シリコーンを用いることが好適である。このようなポリエーテル変性シリコーンは、適度に親水基を有するため、かかるポリエーテル変性シリコーンを用いることで、繊維製品への処理液(X)の浸透性がより高まる。かかるポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のSH3771M(HLB13)、SH3772M(HLB6)、SH3773M(HLB8)、SH3775M(HLB5)が挙げられ、これらの中でも、SH3771M、SH3772M、SH3773Mが好ましく、SH3771M、SH3773Mがより好ましく、SH3771Mがさらに好ましい。
「HLB」は、その化合物の親水親油バランスを示す。前記のポリエーテル変性シリコーンのHLBは、(該シリコーン化合物中のオキシエチレン基の割合(質量%))/5、で算出される値である。
繊維製品に処理液(X)を噴霧する場合、処理液(X)中のシリコーン化合物の含有割合は、処理液(X)の全質量に対して0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%、最も好ましくは0.1〜3質量%である。
処理液(X)を、繊維製品に柔軟性を付与する柔軟剤を用いて調製した場合、シリコーン化合物として、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のSH3772、SH3775、DC2501、DC2502、DC2503、DC580、AMS−C30、SF8417、BY16−837、BY16―878、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222を用いることができる。
処理液(X)を、柔軟剤を用いて調製する場合、処理液(X)中のシリコーン化合物の含有割合は、処理液(X)の全質量に対して200ppm以下が好ましく、より好ましくは0.1〜150ppmである。
・・(c1)成分に該当しない防腐剤
防腐剤は、対象物上での菌の増殖を抑制し、菌増殖による不快臭の発生を抑制するために用いることができる。防腐剤としては、公知の成分を特に制限なく用いることができ、具体的には、有機系防菌防黴剤や無機系防菌防黴剤が挙げられる。
有機系防菌防黴剤としては、アルコール系、フェノール系、アルデヒド系、カルボン酸系、エステル系、エーテル系、ニトリル系、過酸化物・エポキシ系、ハロゲン系、ピリジン・キノリン系、トリアジン系、イソチアゾロン系、イミダゾール・チアゾール系、アニリド系、ビグアナイド系、ジスルフィド系、チオカーバメート系、糖質系、トロポロン系、有機金属系のものが挙げられる。
無機系防菌防黴剤としては、金属酸化物や銀系のものが挙げられる。
防腐剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
処理液(X)中の防腐剤の含有割合は、繊維製品に処理液(X)を噴霧する場合、処理液(X)の全質量に対して0.001〜1質量%が好ましく、処理剤を溶媒に溶解又は分散させてなる処理液(X)に繊維製品を浸漬させる場合、処理液(X)の全質量に対して0.00001〜90ppmが好ましい。
・・(c1)成分に該当しない界面活性剤
処理液(X)は、(c1)成分に該当しない界面活性剤を含有してもよい。(c1)成分に該当しない界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、繊維製品に処理液(X)を噴霧する場合、例えば、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基を有し、オキシエチレン基の平均繰返し数が5〜100であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキル(炭素数1〜3)エステル、オキシエチレン基の平均繰返し数が10〜100であるポリオキシエチレンアルキルアミン、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルポリグルコシド、オキシエチレン基の平均繰返し数が20〜100である硬化ヒマシ油などが挙げられる。
これらの中でも、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル、前記硬化ヒマシ油が好ましく、その中でも、炭素数10〜14のアルキル基を有し、オキシエチレン基の平均繰返し数が5〜20のポリオキシエチレンアルキルエーテル、オキシエチレン基の平均繰返し数が30〜50である硬化ヒマシ油が好ましい。ノニオン性界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
処理液(X)を、繊維製品に柔軟性を付与する柔軟剤を用いて調製する場合も、処理液(X)の分散安定性を高める目的から、ノニオン界面活性剤を併用することが好ましい。このノニオン界面活性剤は、特開2013−87382号公報の段落0019〜0020に記載のものを用いることができる。
処理液(X)を、衣料用洗剤を用いて調製する場合は、洗浄力向上の点から、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
アニオン界面活性剤としては、通常衣料用洗剤に汎用されているものであれば、特に限定されない。好ましい成分としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩;アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩;α−スルホ脂肪酸エステル塩等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤における塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8〜16のものが好ましく、直鎖アルキル基の炭素数が10〜14のものがより好ましい。 α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。アルキル硫酸エステル塩としては、アルキル基の炭素数が10〜20のものが好ましい。アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均1〜10モルのエチレンオキシドを付加したもの(即ち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩)が好ましい。アルカンスルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数が10〜20のものが好ましく、14〜17のものがより好ましく、中でも、該アルキル基が2級アルキル基であるもの(即ち、2級アルカンスルホン酸塩)がさらに好ましい。α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、脂肪酸残基の炭素数が10〜20のものが好ましい。中でも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びα−オレフィンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記以外の他のアニオン界面活性剤としては、例えば、炭素数10〜20の高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(又はアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤等が挙げられる。
これらの成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
両性界面活性剤としては、繊維製品に処理液(X)を噴霧する場合でも、柔軟剤や衣料用洗剤を用いて調製する場合でも、従来公知の両性界面活性剤を用いることができ、例えば、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
・・減粘剤又は可溶化剤
減粘剤又は可溶化剤としては、例えば、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、置換もしくは非置換ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、又はこれらの塩等が挙げられる。芳香族スルホン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩又はアルカノールアミン塩等が挙げられる。減粘剤又は可溶化剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
・・(c1)成分に該当しない金属イオン捕捉剤
金属イオン捕捉剤としては、特に限定はされないが、例えば、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。金属イオン捕捉剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
・・酸化防止剤
酸化防止剤としては、特に限定はされないが、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤が挙げられる。具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、没食子酸プロピルの混合物;BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル、クエン酸の混合物、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、チバスペシャルティケミカルから入手可能なイルガノックス系化合物、クエン酸及び/又はクエン酸イソプロピル、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸)、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸又はそのナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中でも、組成物の外観や保存安定性の観点から、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、メトキシフェノール、トコフェロール系化合物等が好ましい。酸化防止剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
・・蛍光増白剤
蛍光増白剤としては、例えば、ジスチリルビフェニル型等が挙げられる。
・・再汚染防止剤
再汚染防止剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
・・酵素
酵素としては、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が挙げられる。
・・着色剤
着色剤としては、例えば、アシッドレッド138、Polar Red RLS、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、緑色3号、ターコイズP−GR(いずれも商品名)等の汎用の色素や顔料が挙げられる。
・・乳濁化剤
乳濁化剤としては、例えば、ポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられ、通常、固形分30〜50質量%のエマルションが好適に用いられる。このようなエマルション型の乳濁化剤としては、ポリスチレンエマルション(商品名:サイビノールRPX−196 PE−3、固形分40質量%、サイデン化学株式会社製)等が挙げられる。
・・pH調整剤
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。これらのpH調整剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。ただし、pH調整剤を除く成分のみで所望のpHの組成物が得られる場合は、必ずしもpH調整剤を用いる必要はない。
処理液(X)のpHは、特に限定されないが、(c1)成分を溶媒に溶解又は分散させて処理液(X)を調製する場合、pH2〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくはpH3〜9の範囲である。
柔軟剤や衣料用洗剤を溶媒に溶解させて処理液(X)を調製する場合、pH4〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくはpH5〜8の範囲である。
処理液(X)のpHが上記の好ましい範囲であると、液安定性がより向上し、使用性の面からも好ましい。
本発明において、処理液のpHは、pH測定器(pHメーター:型番F−52、pH電極:型番9615−10D、株式会社堀場製作所製)を用い、25℃に調温した該処理液に、該pH電極を入れ、2分後の値を読み取ることにより測定される値を示す。
処理液(X)の粘度は、繊維製品に処理液(X)を噴霧する場合、10mPa・s以下が好ましく、より好ましくは5mPa・s以下であり;
処理剤(衣料用洗剤、衣料用柔軟剤など)を溶媒に溶解又は分散させて処理液(X)を調製する場合、100mPa・s以下が好ましく、より好ましくは50mPa・s以下である。処理液(X)の粘度が上記の好ましい範囲であると、使用性の面から好ましい。
本発明において、処理液の粘度は、B型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定される値を示す。
・処理液(X)の調製方法
処理液(X)の調製方法としては、特に限定されず、例えば、(c1)成分を、溶媒に溶解又は分散させる方法;(c1)成分を含有する衣料用洗剤(粉末洗剤、液体洗剤、タブレット状、シート型など)を、溶媒に溶解又は分散させる方法;(c1)成分を含有する衣料用柔軟剤を、溶媒に溶解又は分散させる方法などが挙げられる。
前記の衣料用洗剤、衣料用柔軟剤は、常法により製造すればよい。
(処理液(Y))
処理液(Y)は、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸塩及び水溶性金属塩からなる群より選ばれる1以上の化合物と、カチオン性化合物と、を含有する液である。以下、処理液(Y)に含まれるアミノカルボン酸、アミノカルボン酸塩(以下「(a1)成分」ともいう)及び水溶性金属塩(以下「(a2)成分」ともいう)からなる群より選ばれる1以上の化合物を「(a)成分」、処理液(Y)に含まれるカチオン性化合物を「(c2)成分」ともいう。
処理液(Y)には、繊維に付着したウイルスを不活化させる効果がある。このウイルス不活化のメカニズムは定かではないが、処理液(Y)は、カチオン性の化合物である(c2)成分を含有することに加えて(a1)成分を含有する。(a1)成分はキレート効果をもつ化合物であり、キレート効果によって、ウイルス中のカルシウムが、(a1)成分に取り込まれることによりウイルスがさらに不活化しやすくなる、と考えられる。(a2)成分のメカニズムは不明であるが、(a1)成分と同様に、ウイルスがさらに不活化しやすくなる。
・(a)成分
(a)成分は、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸塩及び水溶性金属塩からなる群より選ばれる1以上の化合物である。
・・アミノカルボン酸又はその塩
アミノカルボン酸又はその塩(以下「(a1)成分」ともいう)は、1分子中にアミノ基及びカルボキシ基を少なくともそれぞれ1つずつ含む化合物である。(a1)成分中に存在するカルボキシ基は、フリー体であってもよくアミン系化合物の塩であってもよい。(a1)成分は、アミノ基及びカルボキシ基をそれぞれ分子内に複数有するものでもよく、アミノ基及びカルボキシ基に加えてこれら以外の官能基をさらに含んでいてもよい。
(a1)成分としては、例えば、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、アスパラギン酸ジ酢酸(ASDA)、イソセリンジ酢酸(ISDA)、β−アラニンジ酢酸(ADAA)、セリンジ酢酸(SDA)、グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、イミノジコハク酸(IDS)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA−OH)、ヒドロキシエチレンイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジカルボキメチルグルタミン酸(CMGA)、(S,S)−エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)又はこれらの塩等が挙げられる。
また、上記の他にも、(a1)成分としては、例えば、オクチルアミノ酢酸ナトリウム、ラウリルアミノ酢酸ナトリウム、ミリスチルアミノ酢酸ナトリウム、パルミチルアミノ酢酸ナトリウム、オレイルアミノ酢酸ナトリウム等のアルキルアミノ酢酸塩又はアルケニルアミノ酢酸塩;オクチルアミノプロピオン酸ナトリウム、デシルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ミリスチルアミノプロピオン酸ナトリウム、パルミチルアミノプロピオン酸ナトリウム、オレイルアミノプロピオン酸ナトリウム等のアルキルアミノプロピオン酸塩又はアルケニルアミノプロピオン酸塩;N−オクチルグリシンナトリウム、N−デシルグリシンナトリウム、N−ラウリルグリシンナトリウム、N−ミリスチルグリシンナトリウム、N−パルミチルグリシンナトリウム、N−オレイルグリシンナトリウム等のN−アルキルグリシン塩又はアルケニルグリシン塩;N−オクチル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−デシル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ドデシル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ミリスチル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−パルミチル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−オレイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム等のN−アルキル−N−メチル−β−アラニン塩又はアルケニル−N−メチル−β−アラニン塩;オクチルアミノジ酢酸ナトリウム、デシルアミノジ酢酸ナトリウム、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム、ミリスチルアミノジ酢酸ナトリウム、パルミチルアミノジ酢酸ナトリウム、オレイルアミノジ酢酸ナトリウム等のアルキルアミノジ酢酸塩又はアルケニルアミノジ酢酸塩;オクチルアミノジプロピオン酸ナトリウム、デシルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ミリスチルアミノジプロピオン酸ナトリウム、パルミチルアミノジプロピオン酸ナトリウム、オレイルアミノジプロピオン酸ナトリウム等のアルキルアミノジプロピオン酸塩又はアルケニルアミノジプロピオン酸塩等が挙げられる。
上記の中でも、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、アスパラギン酸ジ酢酸(ASDA)、イソセリンジ酢酸(ISDA)、β−アラニンジ酢酸(ADAA)、セリンジ酢酸(SDA)、グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、イミノジコハク酸(IDS)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)又はこれらの塩が好ましく、MGDA、IDS又はこれらの塩がより好ましく、MGDA又はその塩が特に好ましい。
・・水溶性金属塩
水溶性金属塩(以下「(a2)成分」ともいう)は、水和物の形態のものも用いることができる。
(a2)成分における「水溶性」とは、「改訂4版、化学便覧、基礎編II、日本化学会編、丸善株式会社発行」に記載されている水に対する溶解度に準じ、ここでは25℃における飽和溶液100g中に含まれる無水物の質量、あるいは、飽和溶液1dm中に含まれる無水物の質量が0.1g以上であることをいう。
(a2)成分としては、例えば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水溶性金属塩、水溶性銀塩、水溶性亜鉛塩、水溶性銅塩、水溶性鉄塩、水溶性マンガン塩、水溶性アルミウム塩又はこれらの水和物などが挙げられ、なかでも、水溶性銀塩、水溶性銅塩、水溶性亜鉛塩又はこれらの水和物が好ましく、水溶性亜鉛塩、水溶性銅塩又はこれらの水和物がより好ましく、水溶性亜鉛塩又はその水和物が特に好ましい。
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水溶性金属塩として具体的には、硫酸ナトリウム(21.9g:飽和溶液中の無水物の質量、以下同様に記載)、硫酸カリウム(10.75g)などが挙げられる。
水溶性銀塩として具体的には、硫酸銀(0.83g)、硝酸銀(70.7g)などが挙げられる。
水溶性銅塩として具体的には、硝酸銅(60.8g)、硫酸銅(18.2g)などが挙げられる。
水溶性亜鉛塩として具体的には、硝酸亜鉛(56.1g)、硫酸亜鉛(36.49g)、塩化亜鉛(77g)などが挙げられる。
水溶性金属塩のなかでも、二価の金属塩が好ましく、そのなかでも水溶性亜鉛塩がより好ましく、硫酸亜鉛が特に好ましい。
処理液(Y)に含まれる(a)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、(a)成分は、ウイルス不活化効果がより高まることから、(a1)成分と(a2)成分とを併用することが好ましい。
(a1)成分と(a2)成分とを併用する場合、(a1)成分と(a2)成分との混合比率(a2)/(a1)(モル比)は、(a2)/(a1)=0.01〜7が好ましく、0.05〜5がより好ましい。(a2)/(a1)が上記の好ましい範囲であると、ウイルス不活化効果が高まる。
(a)成分として(a1)成分を用いる場合、処理液(Y)中の(a1)成分の含有割合は、処理液(Y)の全質量に対して0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
(a)成分として(a2)成分を用いる場合、処理液(Y)中の(a2)成分の含有割合は、処理液(Y)の全質量に対して0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜5質量%であり、さらに好ましくは0.05〜3質量%である。
(a)成分として(a1)成分と(a2)成分とを併用する場合、処理液(Y)中の、(a1)成分と(a2)成分との合計の含有割合は、処理液(Y)の全質量に対して0.1〜25質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜20質量%である。
処理液(Y)中、(a)成分の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、繊維におけるウイルス不活化効果が高まる。一方、(a)成分の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、処理液の液安定性が高まる。
・(c2)成分
(c2)成分は、カチオン性化合物である。(c2)成分についての説明は、処理液(X)に含まれるカチオン性化合物((c1)成分)についての説明と同様である。
処理液(Y)に含まれる(c2)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(c2)成分としては、一般式(I)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物、一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物、一般式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物が好ましく、ウイルス不活化効果の点から、一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物又はその4級化物がより好ましく、一般式(II)で表される3級アミン化合物の4級化物が特に好ましい。
(c2)成分として、一般式(I)又は一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物もしくは4級化物を用いる場合、処理液(X)中の、該3級アミン化合物の中和物もしくは4級化物の含有割合は、処理液(X)の全質量に対して0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%であり、最も好ましくは0.05〜5質量%である。
処理液(Y)中、(c2)成分の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、繊維上でのウイルス不活化効果がより高まり、一方、(c2)成分の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、処理液の液安定性が高まる。
特に(a)成分として(a1)成分を用いる場合、処理液(Y)中の(c2)成分と(a1)成分との混合比率(c2)/(a1)(質量比)は、(c2)/(a1)=0.01〜100が好ましく、0.01〜50がより好ましく、0.01〜20がさらに好ましく、0.1〜10が特に好ましい。
(c2)/(a1)が前記の好適な範囲であると、ウイルス不活化効果がより高まる。
・溶媒
処理液(Y)は、調製しやすさ、使用する際の水への溶解性等の観点から、溶媒として水を用いることが好ましい。また、溶媒としては、水以外に、水溶性溶剤を用いてもよい。
処理液(Y)における溶媒としての水、水溶性溶剤についての説明は、処理液(X)における溶媒としての水、水溶性溶剤についての説明と同様である。
・その他成分
処理液(Y)は、(a)成分及び(c2)成分以外のその他成分を含有していてもよい。
かかるその他成分としては、香料、シリコーン化合物、(c2)成分に該当しない防腐剤、(c2)成分に該当しない界面活性剤、従来公知の衣料用しわとり・消臭剤、衣類布製品用芳香剤などに使用可能な成分などが挙げられる。これらの香料、シリコーン化合物、(c2)成分に該当しない防腐剤、(c2)成分に該当しない界面活性剤についての説明は、処理液(X)におけるその他成分で例示した香料、シリコーン化合物、(c1)成分に該当しない防腐剤、(c1)成分に該当しない界面活性剤、その他使用可能な成分の説明と同様である。
処理液(Y)のpHは、特に限定されないが、pH2〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくはpH3〜9の範囲である。この好ましい範囲であると、液安定性がより高まる。
処理液(Y)の粘度は、10mPa・s以下が好ましく、より好ましくは5mPa・s以下である。
・処理液(Y)の調製方法
処理液(Y)の調製方法としては、特に限定されず、例えば、(c2)成分と(a)成分とを溶媒に溶解又は分散させる方法などが挙げられる。
(繊維製品の処理方法)
本発明の繊維製品の処理方法は、第1の処理工程と、乾燥工程と、第2の処理工程と、を備える。以下、各工程について説明する。
<第1の処理工程>
第1の処理工程では、処理液(X)を繊維製品に接触させる。これにより、カチオン性化合物((c1)成分)が繊維製品に吸着する。処理液(Y)を繊維製品に接触させる前に、予め、(c1)成分を繊維製品に吸着させ乾燥しておくことで、処理液(Y)によるウイルス不活化の効果がより向上する。
処理液(X)を繊維製品に接触させる方法は、使用場面等によって適宜選択でき、処理液(X)に繊維製品を浸漬する方法、繊維製品に処理液(X)を噴霧、滴下又は塗布する方法などが挙げられる。例えば、前者であれば、複数の衣類等をまとめて処理でき、後者であれば、処理が簡便である。
また、第1の処理工程で、これらの接触方法を用いて、処理液(X)を繊維製品に接触させる処理を繰り返し行ってもよい。
・処理液(X)に繊維製品を浸漬する方法
処理液(X)に繊維製品を浸漬する方法(以下「浸漬方法」ともいう)としては、処理液(X)に直接、繊維製品を漬け置きする方法;(c1)成分を含有する衣料用洗剤で繊維製品を洗浄(洗濯機使用、又は手洗い)する方法;洗濯機を使用した通常の洗濯(濯ぎ)において、(c1)成分を含有する衣料用柔軟剤を用いる方法などが挙げられる。
洗濯機は、ドラム式洗濯機、縦型全自動洗濯機、二槽式洗濯機など、通常使用されるものであれば特に限定されない。洗濯機の洗濯コースを選ぶ場合には、通常コース、節水コース、時短コースなどいずれも選択できる。
洗濯機を使用する場合、効果的に(c1)成分を繊維製品に吸着させる点から、好ましい浴比は5〜40、より好ましい浴比は7〜30、さらに好ましい浴比は10〜30である。処理液(X)の温度は、1〜40℃が好ましく、撹拌時間(処理液(X)と繊維製品との接触時間)は1〜60分間が好ましい。
処理液(X)に繊維製品を漬け置きする場合、その漬け置き時間(処理液(X)と繊維製品との接触時間)は、1分間以上12時間以下が好ましく、より好ましくは1分間以上2時間以下である。
なかでも、浸漬方法としては、洗濯機で機械力(好ましくは1〜30分間、より好ましくは1〜10分間)を与えた方が、(c1)成分が繊維により吸着することから好ましい。
洗濯機による洗濯、手洗い、漬け置きのいずれも、その後に繊維製品の脱水を行うことが好ましい。(c1)成分を含有する衣料用洗剤を用いる場合であれば、洗浄、脱水後に濯ぎを行い、さらに脱水を行うことが好ましい。(c1)成分を含有する衣料用柔軟剤を用いる場合であれば、濯ぎ(該柔軟剤の処理)後は脱水のみを行うことが好ましい。
浸漬方法としては、(c1)成分がより吸着しやすいことから、(c1)成分を含有する衣料用柔軟剤を用いる方法がより好ましい。
・繊維製品に処理液(X)を噴霧、滴下又は塗布する方法
繊維製品に処理液(X)を噴霧、滴下又は塗布する方法(以下「噴霧等の方法」ともいう)において、繊維製品に対する処理液(X)の噴霧、滴下又は塗布する量は、繊維製品の全質量に対して、下限の好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。上限の好ましくは100質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。繊維製品に対する処理液(X)の量が前記範囲内であれば、ウイルス不活化効果が充分に得られ、加えて、乾燥性や経済性にも優れるため好ましい。
なかでも、繊維製品に処理液(X)を噴霧、滴下又は塗布する方法としては、処理液(X)が繊維製品に均一に浸透しやすいことから、繊維製品に処理液(X)を噴霧又は滴下する方法が好ましい。具体的には、処理液(X)をスプレー容器に収容し、該スプレー容器から処理液(X)を繊維に直接噴霧する方法や、容器等から直接繊維製品上に処理液(X)を滴下する方法が挙げられる。繊維製品に処理液(X)を噴霧しても滴下しても、繊維製品上に処理液(X)が均一に接触すればウイルス不活化効果は変わらないが、面積が広い繊維製品に均一に付着させることができ、より簡便な方法であることから、噴霧する方法が好ましい。
スプレー容器としては、例えば、エアゾールスプレー容器、トリガースプレー容器(直圧型又は蓄圧型)、ディスペンサースプレー容器等が挙げられる。
エアゾールスプレー容器としては、特開平9−3441号公報、特開平9−58765号公報等に記載のものが挙げられる。エアゾールスプレー容器に用いられる噴射剤としては、LPG(液化プロパンガス)、DME(ジメチルエーテル)、炭酸ガス、窒素ガス等が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
トリガースプレー容器としては、特開平9−268473号公報、特開平9−256272号公報、特開平10−76196号公報等に記載のものが挙げられる。
ディスペンサースプレー容器としては、特開平9−256272号公報等に記載のものが挙げられる。
第1の処理工程においては、繊維製品質量当たりの(c1)成分の濃度を、1回の処理当たり0.001〜5質量%owfとすることが好ましく、0.01〜2質量%owfとすることがより好ましく、0.02〜1質量%owfとすることが特に好ましい。
(c1)成分の濃度が好ましい下限値以上であれば、ウイルス不活化効果がより向上しやすい。一方、好ましい上限値以下であれば、経済性の面から良好である。
第1の処理工程で用いる処理液(X)は、第2の処理工程で用いる処理液(Y)と同じでもよく異なっていてもよい。
処理液(X)にも(a)成分が含まれている場合、第2の処理工程の操作によるウイルス不活化の効果がさらに高まる。
また、処理液(X)に(a2)成分が含まれるとより好ましく、(a1)成分と(a2)成分とが含まれるとさらに好ましい。
<乾燥工程>
乾燥工程では、前記第1の処理工程で処理された繊維製品を乾燥させる。これにより、(c1)成分が繊維に強く吸着される。第1の処理工程で(c1)成分が吸着した繊維製品を乾燥しておくことで、処理液(Y)によるウイルス不活化の効果が一段と高まる。
繊維製品の乾燥条件としては、繊維製品の含水率を30質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましく、10質量%以下とすることがさらに好ましい。
尚、「繊維製品の含水率が30質量%の状態」とは、水分を含んでいない状態の繊維製品の質量(これを100とする)の30質量%分の水分を該繊維製品が含んでいる状態(100が130に増加)を意味する。含水率は下式により求められる。
含水率={(水分を含んでいる状態の繊維製品の質量−水分を含んでいない状態の繊維製品の質量)/水分を含んでいない状態の繊維製品の質量}×100
また、本乾燥工程では、繊維製品における、第1の処理工程の操作前後の質量差(第1の処理工程の操作による質量の増加分)の70%以上を減少させるように乾燥することが好ましく、80%以上を減少させるように乾燥することがより好ましく、90%以上を減少させるように乾燥することがさらに好ましい。このように乾燥することにより、処理液(Y)によるウイルス不活化の効果がより高まる。
尚、第1の処理工程で、処理液(X)に繊維製品を浸漬する方法を採用した場合、脱水を行った後の繊維製品の質量を、第1の処理工程の操作後の質量とする。
乾燥時間は、特に限定されないが、例えば0.5〜48時間が好ましく、より好ましくは1〜24時間である。乾燥場所は、室内でも屋外でもよい。室内の場合、相対湿度を20%以上とすることが好ましい。
また、前記第1の処理工程で処理された繊維製品は、特に限定されないが、吊るして乾かしてもよく、衣類用の電気乾燥機もしくはガス乾燥機、ドラム式洗濯機の乾燥コース、洗濯乾燥機の乾燥コース、浴室用乾燥機などを用いて乾燥させてもよい。
<第2の処理工程>
第2の処理工程では、処理液(Y)を、前記乾燥工程で乾燥された繊維製品に接触させる。これにより、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸塩及び水溶性金属塩からなる群より選ばれる1以上の化合物((a)成分)とカチオン性化合物((c2)成分)とが繊維製品にさらに吸着する。そして、繊維に付着したウイルスに対して、よりウイルス不活化効果を高めることができる。
かかる効果が得られる理由は定かではないが、繊維上に存在するウイルスに対しては、薬剤が効きにくい場合があるため、本発明においては、第1の処理工程及び乾燥工程の操作によって、処理液(Y)が接触する前に予め繊維に吸着した(c1)成分の存在により、ウイルスの薬剤への感受性が高くなり、そこに、処理液(Y)が接触することで、処理液(Y)を単独で用いる場合に比べて、ウイルス不活化効果が増強している、と考えられる。
処理液(Y)を繊維製品に接触させる方法は、使用場面等によって適宜選択でき、好ましい方法として、繊維製品に処理液(Y)を噴霧、滴下又は塗布する方法が挙げられる。この方法についての説明は、第1の処理工程についての説明の中で例示した「噴霧等の方法」と同様である。
また、第2の処理工程で、この方法を用いて、処理液(Y)を繊維製品に接触させる処理を繰り返し行ってもよい。
上記の中でも、処理液(Y)を繊維製品に接触させる方法としては、繊維製品に処理液(Y)を噴霧又は滴下する方法がより好ましい。繊維製品に処理液(Y)を噴霧しても滴下しても、繊維製品上に処理液(Y)が均一に接触することで、良好なウイルス不活化効果が同様に得られる。
第2の処理工程においては、繊維製品質量当たりの(c2)成分の濃度を、1回の処理当たり0.002〜5質量%owfとすることが好ましく、0.01〜2質量%owfとすることがより好ましく、0.02〜1質量%owfとすることが特に好ましく、0.02〜0.8質量%owfとすることが最も好ましい。
(c2)成分の濃度が好ましい下限値以上であれば、ウイルス不活化効果がより向上しやすい。一方、好ましい上限値以下であれば、(a)成分との相互作用が働きやすくなる。
また、第2の処理工程においては、繊維製品質量当たりの(a1)成分の濃度を、1回の処理当たり0.001〜15質量%とすることが好ましく、0.01〜10質量%とすることがより好ましく、0.02〜5質量%とすることが最も好ましい。
繊維製品質量当たりの(a2)成分の濃度(無水物換算)を、1回の処理当たり0.002〜10質量%とすることが好ましく、0.01〜5質量%とすることがより好ましく、0.05〜3質量%とすることが最も好ましい。
(a)成分((a1)成分、(a2)成分)の濃度が好ましい下限値以上であれば、ウイルス不活化効果がより向上しやすい。一方、好ましい上限値以下であれば、(c2)成分との相互作用が働きやすくなる。
本発明の繊維製品の処理方法においては、上述の第1の処理工程と乾燥工程と第2の処理工程との組合せの処理を繰り返し行っても構わない。該組合せの処理を繰り返すことで、ウイルス不活化効果がより高まる。
また、本発明の繊維製品の処理方法は、上述の第1の処理工程、乾燥工程及び第2の処理工程以外の工程を備えていてもよい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本実施例において「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
各例で使用した処理液(X)、処理液(Y)の組成を表1、2に示した。各処理液中の成分の配合量は、その成分の純分としての質量%の値を示す。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
<使用原料>
(カチオン性化合物:(c1)成分、(c2)成分)
c−1:塩化ジデシルジメチルアンモニウム(商品名アーカード210−80E、ライオン・アクゾ株式会社製)。
c−2:カチオン界面活性剤、後述の合成方法により得られた合成品。
c−3:C12カチオン、C1225(CHCl(商品名アーカード12−37w、ライオン・アクゾ株式会社製)。
[c−2の合成]
特開2003−12471号公報における実施例4に記載の合成方法と同様にしてc−2の合成を行った。すなわち、以下のようにして目的のカチオン界面活性剤を得た。
パーム油由来のステアリン酸メチル45質量%とオレイン酸メチル35質量%とパルミチン酸メチル20質量%とを含む脂肪酸低級アルキルエステルの混合物(ライオン株式会社、パステルM180とパステルM181とパステルM16との混合物)785g(2.68モル)、トリエタノールアミン250g(1.68モル)、酸化マグネシウム0.52g、及び、14質量%水酸化ナトリウム水溶液3.71g(エステル交換触媒;モル比(ナトリウム化合物/マグネシウム化合物)=1.01/1、前記脂肪酸低級アルキルエステルの混合物及びトリエタノールアミンの総質量に対するエステル交換触媒の使用量0.10質量%)を、撹拌器、分縮器、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに仕込んだ。窒素置換を行った後、窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。次いで、1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、6時間反応させた。未反応メチルエステルが1質量%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から、触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると582であった。
得られたアルカノールアミンエステル(分子量582)300g(0.515モル)を、温度計、滴下ロート及び冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、窒素置換した。その後、60℃に加熱し、ジメチル硫酸63.7g(0.505モル)を1時間かけて滴下した。反応熱による急激な温度上昇が無いように少しずつ温度を調節し、ジメチル硫酸の滴下終了時点で90℃に到達させた。そのまま90℃に保ち1.5時間撹拌した。反応終了後、約69gのエタノールを滴下しながら冷却し、目的のカチオン界面活性剤をエタノール溶液(エタノール濃度15.9質量%)として得た。なお、上記すべての操作は窒素微量流通下で行った。
(アミノカルボン酸又はその塩:(a1)成分)
a−1:メチルグリシンジ酢酸3ナトリウム(BASF社製)。
a−2:2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム(ランクセス社製)。
(水溶性金属塩:(a2)成分)
m−1:硫酸亜鉛七水和物(試薬、特級、関東化学株式会社製)。
(その他成分)
エタノール(1):安息香酸デナトリウム変性エタノール(純度95%エタノールにビトレックス変性剤をあらかじめ混合したもの)、すなわち、エタノール200L当たりビトレックス溶液(10%安息香酸デナトリウムアルコール溶液、甘糟化学産業株式会社製)20mLを混合したものを用いた。
シリコーン(ポリエーテル変性シリコーン、商品名SH3771M、東レ・ダウコーニング株式会社製)。
香料:特開2003−96667号公報に記載の香料組成物D。
水:イオン交換水。
pH調整剤:0.1N水酸化ナトリウム、希硫酸。
カプリル酸2−エチルヘキシル(商品名パステル2H−08、ライオン株式会社製)。
MEE(C12/14−15EO):椰子脂肪酸メチル(質量比でラウリン酸メチル/ミリスチン酸メチル=8/2の混合物)に対し、アルコキシル化触媒を用いて15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。下記の合成方法により得られた合成品。
[MEE(C12/14−15EO)の合成]
特開2000−144179号公報に記載の製造例5(サンプルDに対応するもの)に準じて合成した。組成が2.5MgO・Al・nHOである水酸化アルミナ・マグネシウム(商品名キョーワード330、協和化学工業株式会社製)を、600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5N水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gと、ミリスチン酸メチルエステル70gとを4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温を行い、温度を180℃、圧力を3×10Paに維持しつつ、エチレンオキシド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。さらに、反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾別助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5gとを添加した後、触媒を濾別し、MEE(C12/14−15EO)を得た。
直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(商品名ライポンLH−200、LAS−H純分96質量%、平均分子量322、ライオン株式会社製)。処理剤の調製時にpH調整剤である水酸化ナトリウムにより中和されてナトリウム塩となる。
エタノール(2)(商品名:特定アルコール95度合成、日本アルコール販売株式会社製)。
パラトルエンスルホン酸(PTS、協和発酵ケミカル株式会社製)。
モノエタノールアミン(株式会社日本触媒製)。
椰子脂肪酸(日油株式会社製)。
パルミチン酸(試薬、特級;関東化学株式会社製)。
ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT;商品名アイオノールCP、ジャパンケムテック株式会社製)。
乳酸(純正化学株式会社製)。
緑色3号(癸巳化成株式会社製)。
酵素(商品名コロナーゼ48L、ノボザイムズ社製)。
クエン酸(液体クエン酸、一方社油脂工業株式会社製)。
ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル60EO(BASF社製の商品名ルテンゾールTO3にエチレンオキシド(EO)を付加させたもの(60EOは、エチレンオキシドの平均付加モル数が60であることを示す))。
アシッドレッド138(日本化薬株式会社製)。
エタノール(3)(エタノール(99.5);関東化学株式会社製、試薬、鹿1級、純度99.5%以上)。
イソチアゾロン液(商品名ケーソンCG−ICP、ダウケミカル社製)。
エタノール(4):ブルシン変性エタノール(純度95%エタノールに、ブルシン2水和物(和光純薬株式会社製)を、「変性アルコールのアルコール事業法下での表記」(アルコール使用の手引き(第10版)[分割版2]アルコール使用許可申請マニュアル 平成24年8月 経済産業省)に記載されている量になるように混合したものを用いた。
<処理液の調製>
表1、2に示す組成(配合成分、処理液中の含有割合(質量%表示))に従い、各処理液を下記の調製方法によりそれぞれ得た。
表中、空欄がある場合、その配合成分は配合されていない。
水の含有割合を示す「バランス」は、処理液に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように加えられた配合量を意味する。
pH調整剤の含有割合を示す「適量」とは、処理液のpH(25℃)を、所定のpH値に調整するために加えたpH調整剤の総量を示す。
表2中、「(c2)/(a1)(質量比)」は、処理液(Y)中の(c2)成分と(a1)成分との混合比率を示す。
処理液のpHは、pH測定器(pHメーター:型番F−52、pH電極:型番9615−10D、株式会社堀場製作所製)を用い、25℃に調温した該処理液に、該pH電極を入れ、2分後の値を読み取ることにより測定した。
[処理液(X)の調製方法]
(処理液(X1)の調製)
容量300mLのビーカー内で、それぞれ所定量のエタノール(1)と、c−1と、香料と、を予め混合し、そこへ、合計の配合量が100質量%となるように水を加え、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)を用いて充分に撹拌することにより、処理剤(T1)200gを調製した。
次いで、後述の第1の処理工程で、二槽式洗濯機(東芝株式会社製、商品名VH−30S)に、20℃の水道水30Lを入れ、該処理剤(T1)30gを加えて充分に混ぜることにより処理液(X1)を調製した。
(処理液(X2)の調製)
カチオン性化合物を、c−1から、予め60℃に加温したc−2に変更した他は、前記処理剤(T1)の調製方法と同様にして処理剤(T2)200gを調製した。
次いで、後述の第1の処理工程で、二槽式洗濯機(東芝株式会社製、商品名VH−30S)に、20℃の水道水30Lを入れ、該処理剤(T2)30gを加えて充分に混ぜることにより処理液(X2)を調製した。
尚、処理剤(T2)中のエタノール(1)は、c−2を配合する際に持ち込まれるエタノールと合わせて10質量%である。
(処理液(X3)の調製)
カチオン性化合物を、c−1からc−3に変更した他は、前記処理剤(T1)の調製方法と同様にして処理剤(T3)200gを調製した。
次いで、後述の第1の処理工程で、二槽式洗濯機(東芝株式会社製、商品名VH−30S)に、20℃の水道水30Lを入れ、該処理剤(T3)30gを加えて充分に混ぜることにより処理液(X3)を調製した。
(処理液(X4)の調製)
容量300mLのビーカー内で、それぞれ所定量のエタノール(1)と、c−1と、香料と、シリコーンと、を予め混合し、そこへ、合計の配合量が100質量%となるように水を加え、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)を用いて充分に撹拌することにより、処理剤(T4)200gを調製した。
そして、該処理剤(T4)を、そのまま処理液(X4)として用いた。
(処理液(X5)の調製)
容量500mLビーカーに、MEE(C12/14−15EO)と、直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸と、エタノール(2)と、一部の水と、を入れ、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)を用いて充分に撹拌した。
次いで、パラトルエンスルホン酸と、モノエタノールアミンと、椰子脂肪酸と、を加えた後、25℃でのpHが7.0になるようにpH調整剤を添加した。
pHを7に調整した後、カプリル酸2−エチルヘキシルと、c−3と、パルミチン酸と、香料と、ブチル化ヒドロキシトルエンと、乳酸と、緑色3号と、クエン酸と、を加え撹拌しながら、全体量が95質量%になるように水を入れ、さらに充分に撹拌した。
次いで、酵素を加え、25℃でのpHが7.0になるようにpH調整剤を添加した後、合計の配合量が100質量%となるように水を加え、充分に撹拌することにより、処理剤(T5)300gを衣料用液体洗剤として調製した。
次いで、後述の第1の処理工程で、二槽式洗濯機(東芝株式会社製、商品名VH−30S)に、20℃の水道水30Lを入れ、該処理剤(T5)60gを加えて充分に混ぜることにより処理液(X5)を調製した。
尚、表1中、「※1」は、処理剤(T5)中にその他成分として下記の成分を含有していることを示す。含有割合は、処理剤(T5)の全質量に対する割合を示す。
※1:カプリル酸2−エチルヘキシル 2質量%、MEE(C12/14−15EO)40質量%、直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸 5質量%、パラトルエンスルホン酸 1質量%、モノエタノールアミン 1質量%、椰子脂肪酸 1質量%、パルミチン酸 0.1質量%、ブチル化ヒドロキシトルエン 0.05質量%、乳酸 1質量%、緑色3号 0.0002質量%、酵素 0.6質量%、pH調整剤 適量、クエン酸 0.1質量%。
(処理液(X6)の調製)
c−2をその融点以上に加熱し、所定量のc−2を内径100mm、高さ150mmのガラス容器に計り取った。次いで、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル60EOと、香料と、を加えて均一になるように撹拌し、油性混合物を得た。
また、所定量の水に、アシッドレッド138を溶解させて50℃に加温し、水性混合物を得た。
次いで、前記油性混合物に、50℃に加温した水性混合物を2回に分割して添加した。その際、水性混合物の1回目添加/2回目添加の分割比率を30/70(質量比)とし、各添加のときの撹拌にはスリーワンモーター(新東科学株式会社製)及び撹拌羽(長さが100mmの羽を30mm間隔で3本有するパドル羽)を用い、回転速度を1000rpmに設定し、水性混合物の1回目添加の後に3分間、2回目添加の後に3分間、それぞれ撹拌した。
その後、油性混合物と水性混合物との混合物を、回転速度200rpmで撹拌しつつ、エタノール(3)を混合することにより、処理剤(T6)1000gを衣料用柔軟剤として調製した。得られた処理剤(T6)のpH(25℃、原液)は2.5であった。
次いで、後述の第1の処理工程で、二槽式洗濯機(東芝株式会社製、商品名VH−30S)に、20℃の水道水30Lを入れ、該処理剤(T6)10gを加えて充分に混ぜることにより処理液(X6)を調製した。
尚、処理剤(T6)中のエタノール(3)は、c−2を配合する際に持ち込まれるエタノールと合わせて7.8質量%である。
表1中、「※2」は、処理剤(T6)中にその他成分として下記の成分を含有していることを示す。含有割合は、処理剤(T6)の全質量に対する割合を示す。
※2:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル60EO 2質量%、アシッドレッド138 0.001質量%、イソチアゾロン液 0.01質量%、pH調整剤 適量。
(処理液(X7)の調製)
容量300mLのビーカー内で、それぞれ所定量のエタノール(1)と、c−1と、香料と、シリコーンと、を予め混合し、そこへ、一部の水を加え、その後、m−1と、a−1と、を加えて混合した。
次いで、得られた混合物を撹拌しつつ、pH測定器(pHメーター:型番F−52、pH電極:型番9615−10D、株式会社堀場製作所製)を用いてpHを測定しながら、25℃でのpHが4.5になるようにpH調整剤を添加した後、合計の配合量が100質量%となるように残りの水を加え、充分に撹拌することにより、処理剤(T7)200gを調製した。
そして、該処理剤(T7)を、そのまま処理液(X7)として用いた。
表1中、「※3」は、処理剤(T7)中にその他成分として下記の成分を含有していることを示す。含有割合は、処理剤(T7)の全質量に対する割合を示す。
※3:a−1 0.5質量%、m−1 0.4質量%、pH調整剤 適量。
Figure 2015063771
[処理液(Y)の調製方法]
(処理液(Y1)の調製)
容量300mLのビーカー内で、それぞれ所定量のエタノール(1)と、c−1と、香料とシリコーンと、を予め混合し、そこへ、一部の水を加え、その後、a−1を加えて混合した。
次いで、得られた混合物を撹拌しつつ、pH測定器(pHメーター:型番F−52、pH電極:型番9615−10D、株式会社堀場製作所製)を用いてpHを測定しながら、25℃でのpHが4.5になるようにpH調整剤を添加した後、合計の配合量が100質量%となるように残りの水を加え、充分に撹拌することにより、処理液(Y1)200gを調製した。
(処理液(Y2)、(Y4)、(Y5)、(Y7)、(Y8)の調製)
容量300mLのビーカー内で、それぞれ所定量のエタノール(1)と、c−1と、香料とシリコーンと、を予め混合し、そこへ、一部の水を加え、その後、m−1と、a−1と、を加えて混合した。
次いで、得られた混合物を撹拌しつつ、pH測定器(pHメーター:型番F−52、pH電極:型番9615−10D、株式会社堀場製作所製)を用いてpHを測定しながら、25℃でのpHが4.5になるようにpH調整剤を添加した後、合計の配合量が100質量%となるように残りの水を加え、充分に撹拌することにより、各処理液200gをそれぞれ調製した。
(処理液(Y3)の調製)
容量300mLのビーカー内で、それぞれ所定量のエタノール(1)と、c−1と、香料とシリコーンと、を予め混合し、そこへ、一部の水を加え、その後、m−1と、a−2と、を加えて混合した。
次いで、得られた混合物を撹拌しつつ、pH測定器(pHメーター:型番F−52、pH電極:型番9615−10D、株式会社堀場製作所製)を用いてpHを測定しながら、25℃でのpHが4.5になるようにpH調整剤を添加した後、合計の配合量が100質量%となるように残りの水を加え、充分に撹拌することにより、処理液(Y3)200gを調製した。
(処理液(Y6)の調製)
a−1をm−1に変更した他は、処理液(Y1)の調製方法と同様にして処理液(Y6)200gを調製した。
(処理液(Y9)の調製)
c−1を配合しない他は、処理液(Y2)の調製方法と同様にして処理液(Y9)200gを調製した。
(処理液(Y10)の調製)
エタノール(1)をエタノール(4)に変更した他は、処理液(Y2)の調製方法と同様にして処理液(Y10)200gを調製した。
Figure 2015063771
<評価>
以下に示す評価方法によってウイルス不活化効果を評価した。その結果を表3、4に示した。
表3、4中、「含水率」は、次式により求めた。
含水率(質量%)={(第1の処理工程後(脱水又は噴霧後)の試験布の質量−水分を含んでいない状態の試験布の質量)/水分を含んでいない状態の試験布の質量}×100
水分を含んでいない状態の試験布の質量は、温度20℃、相対湿度40%下で一晩放置後に質量を測定し、第1の処理工程で浸漬の場合は1500g、噴霧の場合は10gであった。
[ウイルス不活化効果の評価]
(1)試験布
かかる評価においては、JIS L 1902:2008に準拠し、L0803に規定する染色堅ろう度試験用添付白布(綿3.1号)に対して「二槽式洗濯機(東芝株式会社製、商品名VH−30S)を用い、60℃に保持した水道水30Lで10分間湯洗いし、5分間のすすぎを2回行う操作」を10回繰り返した後、温度20℃、相対湿度40%で一晩風乾したものを試験布として用いた。
(2)ウイルス不活化の評価方法
(2−1)供試ウイルス
かかる評価においては、ウイルスとして、ネコカリシウイルス(ノロウイルス代替ウイルス)を用いた。
(2−2)ウイルス液の調製
(2−2−1)ネコ腎細胞の調製
DULBECCO’S MODIFIED EAGLE’S MEDIUM(D−MEM、SIGMA社、D6429)に、ペニシリンストレプトマイシン混合液(SIGMA社、P4333)3mLと、56℃で30分間保温して非働化処理したウシ胎児血清(FBS、Fetal CloneIII Hyclone社、SH30109.03)25mLと、を加え、5%FBS D−MEM培養液を調製した。
T−75細胞培養フラスコ(IWAKI社、75平方センチメートル、270mL、カントネック、3123−075)にて培養したネコ腎細胞(Crandall−Rees feline kidney cell、CRFK、ATCC株CCL−94)の培養上清を捨て、37℃に保温したダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS(−))10mLを入れて、細胞表面を洗浄して排水した。
そこに、37℃のトリプシン−EDTA(GIBCO社、TrypLE Express with Phenol Red 12605−028)2mLを入れて、37℃で2分程度静置し、細胞をフラスコから剥した。
そこに、FBSを含まないD−MEM培養液8mLを入れ、細胞を懸濁して抽出し、800rpm×5分間の遠心分離にて細胞を沈澱させた。
上清を取り除き、5%FBS D−MEM培養液を約8mL添加して、細胞懸濁液を調製した。
5%FBS D−MEM培養液10mLをT−75細胞培養フラスコに入れ、細胞懸濁液2mLを添加し、COインキュベーターにて37℃で3〜4日間培養した。
(2−2−2)96穴マイクロプレート評価用のためのCRFKの調製
上記(2−2−1)に従い、培養細胞を5%FBS D−MEM培養液にて1/3〜1/7に希釈し、96穴マイクロプレート(Nunc社、167008)に0.2mLずつ添加し、同様に3〜4日間の培養を行った。
(2−2−3)ウイルス液の調製
培養細胞が充分に増殖した状態(コンフルエント)のT−75培養フラスコの培養上清を除き、PBS(−)10mLで2回洗浄を行った。
ネコカリシウイルス(Feline calicivirus F9株、FCV、ATCC株VR−782)を、PBS(−)に、TCID50法における感染値が1×10/mLとなるように懸濁させて、その1mLを添加した。
10分おきに撹拌して37℃で1時間培養し、そこに、Opti−MEM(GIBCO社、31985−070)12mLを添加し、37℃で培養した。
培養時間の目安は約20時間で、細胞培養面積の約90%に細胞変性(CPE)が認められた。
その培養上清を回収して4000rpmで10分間遠心し、その上清を0.2ミクロンメンブレンフィルターにてろ過した。
その後、遠心式フィルターユニット(ミリポア社、Amicon Ultra−15、100kDa、50mL容器)に添加して4000rpmで5分間遠心し、培養上清約80mLを1mL程度に濃縮し、ウイルス液を得た。
(2−3)試験布の処理
(実施例1)
第1の処理工程:
二槽式洗濯機(東芝株式会社製、商品名VH−30S)に、20℃の水道水30Lを入れ、前記処理剤(T1)30gを加えて充分に混ぜることにより処理液(X1)を調製した後、試験布1500gを投入し、洗濯槽を3分間回転させた(処理液(X1)を試験布に接触させた)。排水の後、脱水槽側で該試験布を3分間脱水した。
乾燥工程:
第1の処理工程で処理された試験布を、温度20℃、相対湿度40%下で一晩風乾した。
[ウイルス接種]
乾燥工程で乾燥された試験布から、該試験布0.4g分を切り取り、これをバイアル瓶(JIS L 1902:2008に準拠)に折り畳んで入れ、該試験布に、上記(2−2)で調製したウイルス液0.01mLをピペットで数箇所に接種した。
第2の処理工程:
ウイルス接種の後、JIS L 1902:2008(繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果)に準じ、処理液(Y2)0.2gをピペットで正確に採取し、ウイルス液が接種された試験布の数箇所に均一に滴下した。ここでは、処理剤を噴霧した場合と、均一に滴下した場合と、でウイルス不活化効果が変わらないため、滴下方法を採用した。以下同様に操作した。
(実施例2)
処理液(X1)を処理液(X2)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例1と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例3)
処理液(X1)を処理液(X3)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例1と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例4)
処理液(Y2)を処理液(Y1)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例1と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例5)
処理液(Y2)を処理液(Y6)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例1と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例6)
第1の処理工程:
処理液(X4)を収容したスプレー容器(スタイルガード しわもニオイもすっきりスプレー携帯用、ライオン株式会社製)を予め用意した。
そして、試験布10gに対し、前記スプレー容器から処理液(X4)5g(噴霧量として50質量%owf)を噴霧した(処理液(X4)を該試験布に接触させた)。
乾燥工程、[ウイルス接種]、第2の処理工程:
実施例1と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例7)
処理液(Y2)を処理液(Y1)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例6と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例8)
処理液(Y2)を処理液(Y6)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例6と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例9)
処理液(Y2)を処理液(Y10)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例6と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例10)
処理液(Y2)を処理液(Y3)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例6と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例11)
処理液(Y2)を処理液(Y4)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例6と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例12)
処理液(Y2)を処理液(Y7)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例6と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例13)
処理液(Y2)を処理液(Y5)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び実施例2と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例14)
第1の処理工程:
二槽式洗濯機(東芝株式会社製、商品名VH−30S)に、20℃の水道水30Lを入れ、前記処理剤(T5)30gを加えて充分に混ぜることにより処理液(X5)を調製した後、試験布1500gを投入し、洗濯槽を3分間回転させた(処理液(X5)を試験布に接触させた)。排水の後、脱水槽側で該試験布を1分間脱水した。次いで、洗濯槽に、20℃の水道水30Lを入れて、すすぎ3分間を1回行い、排水の後、脱水槽側で該試験布を3分間脱水した。
乾燥工程、[ウイルス接種]、第2の処理工程:
実施例1と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例15)
第1の処理工程:
二槽式洗濯機(東芝株式会社製、商品名VH−30S)に、20℃の水道水30Lを入れ、前記処理剤(T6)10gを加えて充分に混ぜることにより処理液(X6)を調製した後、試験布1500gを投入し、洗濯槽を3分間回転させた(処理液(X6)を試験布に接触させた)。排水の後、脱水槽側で該試験布を3分間脱水した。
乾燥工程、[ウイルス接種]、第2の処理工程:
実施例1と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(実施例16)
処理液(X4)を処理液(X7)に変更した他は、第1の処理工程、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例6と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(比較例1)
第1の処理工程、乾燥工程及び[ウイルス接種]の各操作を、実施例1と同様にして行うことにより試験布を処理し、ウイルス液が接種された試験布を作製した(第2の処理工程の操作は行わず)。
(比較例2)
第1の処理工程、乾燥工程及び[ウイルス接種]の各操作を、実施例6と同様にして行うことにより試験布を処理し、ウイルス液が接種された試験布を作製した(第2の処理工程の操作は行わず)。
(比較例3)
第1の処理工程の操作を行わず、試験布に対して直接、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を、実施例1と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(比較例4)
処理液(Y2)を処理液(Y8)に変更した他は、比較例3と同様にして、すなわち、第1の処理工程の操作を行わず、試験布に対して直接、乾燥工程、[ウイルス接種]及び第2の処理工程の各操作を行うことにより、試験布を処理した。
(比較例5)
第2の処理工程で用いる処理液を、処理液(Y2)から処理液(X4)に変更した他は、実施例1と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(比較例6)
第2の処理工程で用いる処理液を、処理液(Y2)から処理液(X4)に変更した他は、実施例6と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(比較例7)
第2の処理工程で用いる処理液を、処理液(Y2)から処理液(Y9)に変更した他は、実施例6と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(比較例8)
第1の処理工程:
処理液(X4)を収容したスプレー容器(スタイルガード しわもニオイもすっきりスプレー携帯用、ライオン株式会社製)を予め用意した。
そして、試験布0.4gに対し、前記スプレー容器から処理液(X4)0.2g(噴霧量として50質量%owf)を噴霧した(処理液(X4)を該試験布に接触させた)。
乾燥工程:行わず。
[ウイルス接種]
第1の処理工程で処理された、湿った状態の試験布をそのままバイアル瓶に入れ、該試験布に、上記(2−2)で調製したウイルス液0.01mLを接種した。
第2の処理工程:
実施例6と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(比較例9)
第1の処理工程で用いる処理液を、処理液(X4)から処理液(X7)に変更した他は、比較例8と同様にして行うことにより、試験布を処理した。
(2−4)ウイルス不活化試験
各例でそれぞれ最後の工程の操作を行った後、試験布の入ったバイアル瓶のキャップを閉め、8時間静置した(処理液をウイルスに作用させた)。
かかる8時間静置の後、PBS(−)10mLでウイルスを抽出した液を、感染価測定用試料原液とした。この感染価測定用試料原液を、PBS(−)で10倍段階希釈し、上記(2−2−2)で調製した96ウエルプレートに植え込んだ後、TCID50法(Behrens・Karber法に準拠)に従って感染価を測定した。
TCID50法は下記文献に従った。
文献1:Hierholzer, Virus isolation and quantitation. In Virology methods manual, Harcourt Brace & Company, London,pp. 25(1996)
文献2:Tobe,J.Oleo Sci.Vol61,211(2012)
この値を実施例1〜16、比較例1〜9でそれぞれ処理した試験布の感染価とした。
一方、0.4g分の大きさに切断した試験布([ウイルス不活化効果の評価]の(1)試験布で処理したもの:以下同様に記載)をブランクとし、この試験布をバイアル瓶に入れた後、該試験布にウイルス液0.01mLを接種し、ウイルス液を接種した場所と同じところへ、比較例3で用いた処理液(Y2)0.2gを滴下し、バイアル瓶のキャップを閉め、8時間静置した(処理液をウイルスに作用させた)。
かかる8時間静置の後、PBS(−)10mLでウイルスを抽出した液を、感染価測定用試料原液とした。この感染価測定用試料原液を、PBS(−)で10倍段階希釈し、96ウエルプレートに植え込んだ後、上記と同じようにTCID50法に従って感染価を測定し、この値をブランクの試験布の感染価とした。
そして、ブランクの試験布の感染価から、各例でそれぞれ処理した試験布の感染価を差し引いた値を、感染価対数減少値とし、以下の評価基準で判定を行うことにより、ウイルス不活化効果について評価した。その結果を表3、4に示す。
感染価対数減少値が大きいほど、ウイルス不活化効果が高く、感染価対数減少値が0.5を超えている場合、ウイルス不活化効果が増強している、と言える。
評価基準
++:感染価対数減少値が1.5以上。
+:感染価対数減少値が0.5以上1.5未満。
±:感染価対数減少値が0.5未満。
Figure 2015063771
Figure 2015063771
表3、4に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜16の処理方法は、繊維に付着したウイルスに対する不活化効果に優れていることが確認できる。
加えて、実施例1〜16の処理方法は、非エンベロープウイルスに対してウイルス不活化効果が高いことも確認できる。

Claims (1)

  1. カチオン性化合物を含有する処理液(X)を繊維製品に接触させる第1の処理工程と、
    前記第1の処理工程で処理された繊維製品を乾燥させる乾燥工程と、
    アミノカルボン酸、アミノカルボン酸塩及び水溶性金属塩からなる群より選ばれる1以上の化合物と、カチオン性化合物と、を含有する処理液(Y)を、前記乾燥工程で乾燥された繊維製品に接触させる第2の処理工程と、
    を備える、繊維製品の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017008443A (ja) * 2015-06-22 2017-01-12 ライオン株式会社 繊維製品用抗ウイルス組成物

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