JP2015101809A - 繊維製品の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】時間が経ったあとも繊維製品に香りが残る繊維製品の処理方法を提供すること。
【解決手段】(A)高度分岐環状デキストリンと、(B)陽イオン性界面活性剤又はアミン化合物とを含有する繊維処理剤1で、繊維製品を処理した後、脱水し、脱水した繊維製品を、(C)香料組成物を含有する繊維処理剤2で処理する工程を含む、繊維製品の処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維製品の処理方法に関する。
スプレーを用いて繊維製品に香りを付けることは知られている(特許文献1)。スプレーを用いることにより、香りの強さを調節できるという長所を有する。しかし、反面、時間が経ったあとにはあまり香りが残らないという短所を有する。
特開2010−90330号公報
本発明は、時間が経ったあとも繊維製品に香りが残る繊維製品の処理方法及び繊維製品処理剤キットを提供することを課題とする。
本発明により、工程1:(A)高度分岐環状デキストリンと、(B)陽イオン性界面活性剤又はアミン化合物とを含有する繊維処理剤1で、繊維製品を処理した後、
工程2:脱水し、
工程3:脱水した繊維製品を、(C)香料組成物を含有する繊維処理剤2で処理する工程を含む、繊維製品の処理方法を提供する。
本発明はまた、(A)高度分岐環状デキストリンと、(B)陽イオン性界面活性剤又はアミン化合物とを含有する繊維処理剤1と、
(C)香料組成物を含有する繊維処理剤2とから少なくとも構成され、それぞれを別々の容器に収容してなる繊維製品処理剤キットを提供する。
本発明により、処理後、長時間経過後も香り立ちを強くすることができる。
[(A)成分]
本発明の繊維処理剤1に含まれる(A)成分は、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカンである。このようなグルカンは、高度分岐環状デキストリンとも呼ばれ、本明細書においても、(A)成分を「高度分岐環状デキストリン」と言う。(A)成分は、繊維処理剤2に含まれていても良い。
本発明の繊維処理剤1に含まれる高度分岐環状デキストリンは、分子量が3万から100万程度であり、分子内に環状構造を1つ有し、さらにその環状部分に多数のグルカン鎖が結合した重量平均重合度2500程度のデキストリンを主に含む。
本発明の繊維処理剤1に含まれる高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分は10〜100個程度のグルコースで構成されており、この内分岐環状構造部分に、非環状の多数の分岐グルカン鎖からなる外分岐構造部分が結合している。
例えば、本発明の繊維処理剤1に含まれる高度分岐環状デキストリンの重合度は50〜5000の範囲にある。
例えば、本発明の繊維処理剤1に含まれる高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分の重合度は、10〜100の範囲である。
例えば、本発明の繊維処理剤1に含まれる高度分岐環状デキストリンの外分岐構造部分の重合度は、40以上である。
例えば、本発明の繊維処理剤1に含まれる高度分岐環状デキストリンの外分岐構造部分の各単位鎖の重合度は、平均で10〜20である。
本発明の繊維処理剤1に含まれる高度分岐環状デキストリンは、例えば、デンプンを原料として、ブランチングエンザイムという酵素を作用させて製造される。原料であるデンプンは、グルコースがα−1,4−グルコシド結合によって直鎖状に結合したアミロースと、α−1,6−グルコシド結合によって複雑に分岐した構造をもつアミロペクチンからなり、アミロペクチンは、クラスター構造が多数連結された巨大分子である。使用酵素であるブランチングエンザイムは、動植物、微生物に広く分布するグルカン鎖転移酵素であり、アミロペクチンのクラスター構造の継ぎ目部分に作用し、これを環状化する反応を触媒する。
より詳細には、本発明の繊維処理剤1に含まれる高度分岐環状デキストリンは、特開平8−134104に記載の、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンである。本明細書において、高度分岐環状デキストリンは、特開平8−134104の記載を参酌して理解され得る。
本発明の繊維処理剤1に含まれる高度分岐環状デキストリンは、上記の通り特定の構造を有し、かつ重合度(重量平均分子量)が大きいものであり、α−シクロデキストリン(n=6)、β−シクロデキストリン(n=7)、γ−シクロデキストリン(n=8)などのグルコースが6〜8個結合した一般的なシクロデキストリンとは異なる。
本発明の繊維処理剤1に含まれる高度分岐環状デキストリンの具体例としては、グリコ栄養食品株式会社の「クラスターデキストリン」(登録商標)が挙げられる。
なお、高度環状分岐デキストリンに代えて、α−シクロデキストリン(n=6)、β−シクロデキストリン(n=7)、γ−シクロデキストリン(n=8)などのグルコースが6〜8個結合した一般的なシクロデキストリンを繊維処理剤1中に配合しても、本発明の繊維処理剤1と同等の優れた残香性向上効果は得られない。
本発明の繊維処理剤1において、(A)成分の配合量は特に限定されないが、柔軟剤組成物として用いる場合、組成物全体の総質量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.03〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜3質量%である。(A)成分の配合量が0.01質量%よりも多いと優れた残香性向上効果を発揮し得る。(A)成分の配合量を10質量%よりも多く配合すると残香性向上効果は特に向上せず、高温保存での安定性が悪くなる場合があり、組成物の液粘度が高くなりハンドリング性が低下する場合がある。
[(B)成分]
本発明の繊維処理剤1に含まれる(B)成分は、陽イオン界面活性剤又はアミン化合物である。(B)成分は、繊維処理剤2に含まれていても良い。例えば、本発明において(B)成分として用いられるアミン化合物は、エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜26の炭化水素基(以下「長鎖炭化水素基」ということがある)を分子内に1〜3個有するアミン化合物であり得、例えば、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。本発明の(B)成分として用いられる陽イオン界面活性剤は、前記アミン化合物の塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり得る。(B)成分の中でも、分子内にエステル基又はアミド基で分断されていても良い総炭素数10〜26の炭化水素基を少なくとも1つ有する第3級アミンの酸塩又はその4級化物が好ましい。この化合物は、通常、柔軟剤組成物の柔軟基剤として用いられている。しかし、本発明の(B)成分として使用可能な陽イオン界面活性剤は柔軟基剤に限られない。
本発明の繊維処理剤1に用いる場合には、(B)成分は、エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。特に、長鎖炭化水素基の炭素数は、10〜26であり、16〜26が好ましく、18〜24がより好ましい。長鎖炭化水素基の炭素数が10以上であると柔軟性が良好で、26以下であるとハンドリング性が良好である。
本発明の繊維処理剤2に用いる場合、(B)成分は、エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜14の炭化水素基を分子内に2個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物、並びにエステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜18の炭化水素基を分子内に1個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。中でも、エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜14の炭化水素基を分子内に2個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物が特に好ましい。
長鎖炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わない。
長鎖炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であっても構造中に環を含む炭化水素基であってもよく、好ましくは鎖状の炭化水素基である。鎖状の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基またはアルケニル基が好ましい。
長鎖炭化水素基は、エステル基(−COO−)又はアミド基(−NHCO−)で分断されていてもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、その炭素鎖中に、エステル基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種の分断基を有し、該分断基によって炭素鎖が分断されたものであってもよい。該分断基を有すると、生分解性が向上する等の点から好ましい。
該分断基を有する場合、1つの長鎖炭化水素基が有する分断基の数は1つであっても2つ以上であってもよい。すなわち長鎖炭化水素基は、分断基によって1ヶ所が分断されていてもよく、2ヶ所以上が分断されていてもよい。分断基を2つ以上有する場合、各分断基は、同じであっても異なっていてもよい。
なお、炭素鎖中に分断基を有する場合、分断基が有する炭素原子は、長鎖炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。
長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
本発明の繊維製品用液体処理剤組成物に含まれる(B)成分におけるアミン化合物としては、2級アミン化合物又は3級アミン化合物が好ましく、3級アミン化合物がより好ましい。
(B)成分におけるアミン化合物としてより具体的には、下記一般式(B1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015101809
[式中、R1〜R3はそれぞれ独立に、炭素数10〜26の炭化水素基、−CH2CH(Y)OCOR4(Yは水素原子又はCH3であり、R4は炭素数7〜21の炭化水素基である。)、−(CH2nNHCOR5(nは2又は3であり、R5は炭素数7〜21の炭化水素基である。)、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−CH2CH(Y)OH、又は−(CH2nNH2であり、R1〜R3のうちの少なくとも1つは、炭素数10〜26の炭化水素基、−CH2CH(Y)OCOR4、又は−(CH2nNHCOR5である。]
式中、R1〜R3における炭素数10〜26の炭化水素基の炭素数は、17〜26が好ましく、19〜24がより好ましい。該炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。該炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。
−CH2CH(Y)OCOR4中、Yは水素原子又はCH3であり、水素原子が特に好ましい。
4は炭素数7〜21、好ましくは15〜19の炭化水素基である。式中にR4が複数存在するとき、該複数のR4は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
4の炭化水素基は、炭素数8〜22の脂肪酸(R4COOH)からカルボキシ基を除いた残基(脂肪酸残基)であり、R4のもととなる脂肪酸(R4COOH)は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。中でも、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。柔軟処理した衣類に良好な吸水性を付与するために、R4のもととなる脂肪酸の飽和/不飽和比率(質量比)は、90/10〜0/100が好ましく、80/20〜0/100より好ましい。
4が不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在するが、シス体/トランス体の質量比率は、40/60〜100/0が好ましく、70/30〜90/10が特に好ましい。
4のもととなる脂肪酸として具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。中でも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、およびリノール酸から選ばれる2種以上を所定量ずつ組み合わせて、以下の条件(a)〜(c)を満たすように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10〜0/100、より好ましくは80/20〜0/100である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60〜100/0、より好ましくは70/30〜90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21〜22の脂肪酸が1質量%未満である。
−(CH2nNHCOR5中、nは2又は3であり、3が特に好ましい。
5は炭素数7〜21、好ましくは15〜19の炭化水素基である。式中にR5が複数存在するとき、該複数のR5は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
5としては、R4と同様のものが挙げられる。
1〜R3のうち、少なくとも1つは長鎖炭化水素基であり、2つが長鎖炭化水素基であることが好ましい。
1〜R3のうち、1つ又は2つが長鎖炭化水素基である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−CH2CH(Y)OH、又は−(CH2nNH2であり、炭素数1〜4のアルキル基、−CH2CH(Y)OH、又は−(CH2nNH2であることが好ましい。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。−CH2CH(Y)OHにおけるYは−CH2CH(Y)OCOR4中のYと同様である。−(CH2nNH2におけるnは−(CH2nNHCOR5中のnと同様である。
前記一般式(B1)で表される化合物の好ましい例として、下記一般式(B1−1)〜(B1−8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015101809
[式中、R7及びR8はそれぞれ独立に、炭素数10〜26の炭化水素基である。R9及びR10はそれぞれ独立に、炭素数7〜21の炭化水素基であり、炭素数15〜17の直鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基が特に好ましい。]
7及びR8における炭化水素基としては、前記R1〜R3における炭素数10〜26の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
9、R10における炭素数7〜21の炭化水素基としては、前記R4における炭素数7〜21の炭化水素基と同様のものが挙げられる。式中にR9が複数存在するとき、該複数のR9は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
アミン化合物の塩は、アミン化合物を酸で中和することにより得られる。アミン化合物の中和に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよく、例えば塩酸、硫酸、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は、公知の方法により実施できる。
アミン化合物の4級化物は、該アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。アミン化合物の4級化に用いる4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸などが挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
本発明の繊維処理剤1または繊維処理剤2に含まれる(B)成分としては、前記一般式(B1)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、前記一般式(B1−1)〜(B1−8)、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、(B1−4)〜(B1−6)、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。(B1−4)〜(B1−6)の4級化物の二種以上がさらにより好ましい。式中、R9が炭素数15〜17の直鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基である(B1−4)〜(B1−6)の4級化物の二種以上が特に好ましい。
式(B1)で表される化合物、その塩及びその4級化物は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
例えば、一般式(B1−2)で表される化合物(以下「化合物(B1−2)」)、一般式(B1−3)で表される化合物(以下「化合物(B1−3)」)は、上記脂肪酸組成物、または該脂肪酸組成物における脂肪酸を該脂肪酸のメチルエステルに置き換えた脂肪酸メチルエステル組成物とメチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性を良好にする観点から、「化合物(B1−2)/化合物(B1−3)」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。その際、柔軟性の観点から「化合物(B1−2)の4級化物/化合物(C1−3)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
一般式(B1−4)で表される化合物(以下「化合物(B1−4)」)、一般式(B1−5)で表される化合物(以下「化合物(B1−5)」)、一般式(B1−6)で表される化合物(以下「化合物(B1−6)」)は、上記脂肪酸組成物または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、化合物(B1−4)、(B1−5)、(B1−6)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性の観点から、化合物(C1−4)が1〜60質量%、化合物(B1−5)が5〜98質量%、化合物(B1−6)が0.1〜40質量%であることが好ましく、化合物(B1−4)が30〜60質量%、化合物(B1−5)が10〜55質量%、化合物(B1−6)が5〜35質量%であることがより好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化反応を十分に進行させる点で、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。化合物(B1−4)、(B1−5)、(B1−6)の各4級化物の存在比率は、柔軟性の観点から質量比で、化合物(B1−4)の4級化物が1〜60質量%、化合物(B1−5)の4級化物が5〜98質量%、化合物(B1−6)の4級化物が0.1〜40質量%であることが好ましく、化合物(B1−4)の4級化物が30〜60質量%、化合物(B1−5)の4級化物が10〜55質量%、化合物(B1−6)の4級化物が5〜35質量%であることがより好ましい。また、化合物(B1−4)、(B1−5)、(B1−6)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、「4級化物/4級化されていないエステルアミン」の比率は70/30〜99/1の質量比率の範囲内であることが好ましい。
一般式(B1−7)で表される化合物(以下「化合物(B1−7)」)、一般式(B1−8)で表される化合物(以下「化合物(B1−8)」)は、上記脂肪酸組成物とN−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、JOrg.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、「化合物(B1−7)/化合物(B1−8)」で表される存在比率が質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。またその4級化物を用いる場合には4級化剤として塩化メチルを用いることが好ましく、「化合物(B1−7)の4級化物/化合物(B1−8)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
本発明の繊維処理剤1において、(B)成分は、(A)成分の吸着を高める作用を有し、また処理布に柔軟性を付与するために配合される。
本発明の繊維処理剤1または繊維処理剤2において、(B)成分の配合量は特に限定されないが、組成物全体の総質量に対して、0.01〜30質量%であることが好ましい。
本発明の繊維処理剤1に用いる場合、(B)成分の配合量は特に限定されないが、組成物全体の総質量に対して、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは8〜22質量%である。5質量%以上であると、充分な柔軟性付与効果が得られる。30質量%以下であると、保存安定性が良好である。
本発明の繊維処理剤2に用いる場合、(B)成分の配合量は特に限定されないが、組成物全体の総質量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.03〜8質量%、さらに好ましくは0.05〜5質量%である。
本発明の(A)成分/(B)成分の質量比率は特に限定されないが、繊維処理剤1に用いる場合、好ましくは1/300〜2/3、より好ましくは1/25〜2/3、さらに好ましくは1/15〜2/3であり、繊維処理剤2に用いる場合、好ましくは1/1000〜1000/1、より好ましくは1/80〜200/1、さらに好ましくは1/10〜100/1である。
[(C)成分]
本発明の繊維処理剤2に含まれる(C)成分は、香料組成物である。(C)成分は、繊維処理剤1に含まれていても良い。
本発明において用いられる香料組成物は、繊維製品用処理剤組成物、例えば、繊維製品用仕上げ剤組成物又は柔軟剤組成物に一般的に使用される香料成分を1種類以上含む香料組成物である。一般的に、衣類等の柔軟剤組成物は、柔軟基剤として含まれる陽イオン界面活性剤を安定に保つため、そのpHを2〜3と低く設定する。従って、柔軟剤組成物に加える香料成分は、そのような低pHでも安定に存在し得る化合物に限られる。しかし、本発明の繊維処理剤1は、その実施態様の一つとして柔軟剤組成物が挙げられるがこれに限定されないし、繊維処理剤1を柔軟剤組成物として使用する場合であっても、香料成分は、これとは別に繊維処理剤2に含まれるので、このような制限無く香料成分を使用することができる。
低pHで安定性が低い香料成分の具体例としては、メチルパンプルムース、フェノキシエチルイソブチレート、フロロパール、アリルアミルグリコレート、リグストラルなどが挙げられる。繊維処理剤1のpHが2〜3のとき、メチルパンプルムース、フェノキシエチルイソブチレート、フロロパール、アリルアミルグリコレート、リグストラルは繊維処理剤2に配合することが好ましい。
前記香料成分の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、テルペン骨格を有する香料、天然香料、動物性香料などが挙げられる。
前記アルデヒド類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC−12MNA、ミラックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、エチルバニリン、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリン、ヘリオナールなどが挙げられる。
前記フェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オイゲノール、イソオイゲノールなどが挙げられる。
前記アルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バクダノール、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ジハイドロリナロール、ゲラニオール、リナロール、ネロール、サンダロール、サンタレックス、ターピネオール、テトラハイドロリナロール、フェニルエチルアルコールなどが挙げられる。
前記エーテル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セドランバー、グリサルバ、メチルオイゲノール、メチルイソオイゲノールなどが挙げられる。
前記エステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルプロピオネート、シス−3−ヘキセニルサリシレート、p−クレジルアセテート、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、アミルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、アミルサリシレート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、デカハイドロ−β−ナフチルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エリカプロピオネート、エチルアセトアセテート、エリカアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ヘディオン、リナリルアセテート、β−フェニルエチルアセテート、ヘキシルサリシレート、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、ベチベリルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、マンザネート、アリルヘプタノエートなどが挙げられる。
前記ハイドロカーボン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、d−リモネン、α−ピネン、β−ピネン、ミルセン等が挙げられる。
前記ケトン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α−イオノン、β−イオノン、メチル−β−ナフチルケトン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、シス−ジャスモン、メチルイオノン、アリルイオノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコンなどが挙げられる。
前記ラクトン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ドデカラクトン、クマリン、アンブロキサンなどが挙げられる。
前記ムスク類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ムスクケトン、トナリッド、ニトロムスク類などが挙げられる。
前記テルペン骨格を有する香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲラニオール(ゼラニオール)、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、ミント、シトロネラール、ミルセン、ピネン、リモネン、テレピネロール、カルボン、ヨノン、カンファー(樟脳)、ボルネオールなどが挙げられる。
前記天然香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油、タイム油などの精油が挙げられる。
前記動物性香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、じゃ香、霊猫香、海狸香、竜涎香などが挙げられる。
本発明の繊維処理剤2において、(C)成分として、ClogP値が5.0以下の香料成分を含有する香料組成物を用いることが好ましく、香料組成物の総質量に対して、10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上含有し得る。
また、本発明の繊維処理剤2において、(C)成分として、構造中に環式構造を有する香料成分を含有する香料組成物を用いることが好ましく、香料組成物の総質量に対して、10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、特に好ましくは60質量%以上含有し得る。
より好ましくは、本発明の繊維処理剤2において、ClogP値が5.0以下であるか、又は構造中に環式構造を有する香料成分を含有する香料組成物が用いられる。
ClogP値が5.0以下であるか、又は構造中に環式構造を有する香料成分は、香料組成物の総質量に対して、30質量%以上、より好ましく50質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、特に好ましくは80質量%以上含有し得る。
さらにより好ましくは、本発明の繊維処理剤2において、ClogP値が5.0以下であり、かつ環式構造を有する香料成分を含有する香料組成物が用いられる。
さらに特に好ましくは、本発明の繊維製品用液体処理剤組成物において、ClogP値が5.0以下であり且つ環式構造を持つ香料成分を20質量%以上含有する香料組成物、特に好ましくは、ClogP値が5.0以下であり且つ環式構造を持つ香料成分を40質量%以上含有する香料組成物が用いられる。
ここで言う環式構造とは、例えば、炭化水素環構造又は複素環構造であり得、単環式であっても多環式であってもよく、縮合多環構造、橋かけ環構造、スピロ環構造であってもよく、飽和環構造であっても不飽和環構造であってもよい。複素環内に含まれるヘテロ原子としては、例えば、O、S、N及びPが挙げられる。
環式構造として、具体的には、ベンゼンなどの単環化合物、ナフタレンなどの縮合環化合物が挙げられる。また、環式構造を形成する元素として、炭素環化合物でも複素環化合物でも構わない。また、環の大きさとして、シクロペンタン、フランなどの五員環化合物、シクロヘキサン、ベンゼンなどの六員環化合物あるいはそれ以外でも構わない。
本発明の繊維処理剤2において、好適に使用される(C)成分中の香料成分として、具体的には、イソイースーパー(ClogP4.7、環式構造あり)、エチルバニリン(ClogP1.8、環式構造あり)、γウンデカラクトン(ClogP3.8、環式構造あり)、オイゲノール(ClogP2.4、環式構造あり)、βダマスコン(ClogP4.7、環式構造あり)、ヘリオナール(ClogP1.4、環式構造あり)、ベンジルサリシレート(ClogP4.2、環式構造あり)、カシュメラン(ClogP4.0、環式構造あり)、クマリン(ClogP1.4、環式構造あり)、ジメチルベンジルカルビニルアセテート(ClogP1.9、環式構造あり)、ターピネオール(ClogP2.6、環式構造あり)、ダマセノン(ClogP4.3、環式構造あり)、トリプラール(ClogP2.4、環式構造あり)、フェニルエチルアルコール(ClogP1.2、環式構造あり)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(ClogP4.9、環式構造あり)、βヨノン(ClogP3.8、環式構造あり)、ヘディオン(ClogP2.4、環式構造あり)、ベルトフィックス(ClogP5.0、環式構造あり)、メチルイオノン(ClogP4.2、環式構造あり)、リモネン(ClogP4.4、環式構造あり)、リラール(ClogP2.2、環式構造あり)、リリアール(ClogP3.9、環式構造あり)、フェノキシエチルイソブチレート(ClogP3.0、環式構造あり)、フロロパール(ClogP3.1、環式構造あり)、リグストラル(ClogP2.9、環式構造あり)等が挙げられるが、本発明において用いられる香料成分がこれに限定されるものではない。より好ましくは、イソイースーパー、エチルバニリン、γウンデカラクトン、オイゲノール、βダマスコン、ヘリオナール、ベンジルサリシレート、フェノキシエチルイソブチレート、フロロパール、リグストラルである。より好ましくは、オイゲノール、βダマスコン、ヘリオナール、ベンジルサリシレート、フェノキシエチルイソブチレート、フロロパール、リグストラルである。
ClogP値とは、化学物質について、1−オクタノール中及び水中の平衡濃度の比を表す1−オクタノール/水分配係数Pを、底10に対する対数logPの形態で表した値である。ClogP値は、f値法(疎水性フラグメント定数法)により、化合物の化学構造をその構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数・f値を積算して求めることができる(例えば、Clog 3 Reference Manual DaylightSoftware 4.34,Albert Leo,David Weininger, Version 1,March 1994 参照)。
一般に、香料はClogP値が大きいほど疎水的であることから、ClogP値が小さい香料成分を多く含む香料組成物は、ClogP値が大きい香料成分を多く含む香料組成物よりも親水的な香料組成物であるといえる。
本発明の繊維処理剤2において、香りのフレッシュ感と嗜好性の点から、ClogP値が1.0以上8.0以下である香料成分を、香料組成物の総質量に対して、30質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、更に特に好ましくは90質量%以上含有することが望ましい。
本発明において用いられる香料組成物には、繊維製品用処理剤組成物、例えば、繊維製品用仕上げ剤組成物又は柔軟剤組成物に一般的に使用される溶剤を配合してもよい。香料用溶剤としては、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル(BB)、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコール(DPG)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
これら溶剤は、香料組成物中に、例えば0.1〜30質量%配合されるが、好ましくは1〜20質量%配合される。
本発明において、(C)成分の配合量は特に限定されないが、繊維処理剤1に用いる場合、繊維処理剤1の総質量に対して、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。繊維処理剤2に用いる場合、繊維処理剤2の総質量に対して、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.005〜1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.5質量%である。(C)成分の配合量が0.001質量%より少ないと香気が弱く、残香性向上効果が分かりにくい。(C)成分の配合量が5質量%より多いと高温での保存安定性が低下する場合がある。
[任意成分]
本発明の繊維処理剤1、繊維処理剤2は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記(A)〜(C)成分以外の他の成分を含有してもよい。
該他の成分としては、繊維製品用液体処理剤組成物において公知の成分を適宜配合することができる。例えば、水;ノニオン界面活性剤;両性界面活性剤;半極性界面活性剤;陰イオン界面活性剤;シリコーン;水溶性溶剤;染料及び/又は顔料;防腐剤;紫外線吸収剤;抗菌剤;アミノカルボン酸又はその塩;塩化カルシウム等の安定剤などを含有させることができる。
本発明の繊維処理剤1、繊維処理剤2は、好ましくは水性組成物であり、水を含むことが好ましい。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができる。中でもイオン交換水が好適である。
ノニオン界面活性剤は、本発明の繊維処理剤1、繊維処理剤2が乳化物である場合に、主に、乳化物中での油溶性成分の乳化分散安定性を向上する目的で好ましく用いられ得る。特に、ノニオン界面活性剤を配合すると、商品価値上、充分なレベルの凍結復元安定性が確保されやすい。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール、高級アミン又は高級脂肪酸から誘導されるものを用いることができる。より具体的には、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が8〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキル(該アルキルの炭素数1〜3)エステル;エチレンオキシドの平均付加モル数が10〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルアミン、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルポリグルコシド、エチレンオキシドの平均付加モル数が10〜100モルである硬化ヒマシ油などが挙げられる。中でも、炭素数10〜18のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が8〜80モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
本発明の繊維処理剤1、繊維処理剤2中のノニオン界面活性剤の含有量は、所望とする機能に応じて決定でき、例えば、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜8質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。ノニオン界面活性剤の含有量が下限値以上であると、乳化物中での油溶性成分の乳化分散安定性、乳化物の凍結復元安定性がより向上する。上限値以下であれば、繊維処理剤1、繊維処理剤2の粘度の上昇を抑えて、使用性の面で良好なものとすることができる。
両性界面活性剤は、炭素数10〜24のアルキル基を有するN−アルキル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、炭素数10〜24のアルキル基を有するN−アルキル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、炭素数10〜24のアルカノイル基を有するN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、炭素数10〜24のアルカノイル基を有するN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等を挙げることができる。両性界面活性剤の含有量は、繊維処理剤の総質量に対し、0.01〜10質量%が好ましい。
半極性界面活性剤は、炭素数10〜24のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数10〜24のアルカノイル基を有するアルカノイルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド等を挙げることができる。両性界面活性剤または半極性界面活性剤の含有量は、繊維処理剤の総質量に対し、0.01〜10質量%が好ましい。
陰イオン界面活性剤は、炭素数10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜24のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜24のα−オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸の炭素数が10〜24のα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、炭素数10〜24のアルキル基と数平均付加モル数1〜6のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。中でも、炭素数10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。陰イオン界面活性剤の含有量は、繊維処理剤の総質量に対し、0.01〜25質量%が好ましい。
シリコーン化合物は、その種類に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。シリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよいし、また、架橋していてもよい。また、シリコーン化合物は変性シリコーン化合物であってもよく、前記変性シリコーン化合物は、1種の有機官能基により変性されたものであってもよいし、2種以上の有機官能基により変性されたものであってもよい。
シリコーン化合物は、オイルの状態で使用することができ、また任意の乳化剤によって分散された乳化物の状態でも使用することができる。
シリコーン化合物の具体例としては、例えば、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、アミノ変性シリコーンなどが挙げられる。
これらの中でも、汎用性、消臭防臭効果の向上の観点から、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチルシリコーンなどが好ましく、効果、製造時の取り扱いの観点からは、特にポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、例えば、アルキルシロキサンとポリオキシアルキレンとの共重合体などが挙げられる。なお、前記アルキルシロキサンのアルキル基の炭素数としては、1〜3が好ましく、また、前記ポリオキシアルキレンのアルキレン基の炭素数としては、2〜5が好ましい。これらの中でも、前記ポリエーテル変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体等)との共重合体が好ましい。このようなポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物、下記一般式(II)で表される化合物などが挙げられる。

Figure 2015101809
前記一般式(I)中、M、N、a、及びbは、平均重合度を表し、Rは、水素又はアルキル基を表す。ここで、Mは、10〜10,000であることが好ましく、100〜300がより好ましい。Nは、1〜1,000であることが好ましく、1〜100がより好ましい。更に、M>Nであることが好ましい。aは、2〜100であることが好ましく、2〜50がより好ましい。bは、0〜50であることが好ましく、0〜10がより好ましい。Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
前記一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えば、ポリオキシアルキレンアリルエーテル等の炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを、白金触媒下、付加反応させることにより製造することができる。したがって、前記ポリエーテル変性シリコーン中には未反応のポリオキシアルキレンアルキルエーテルやSi−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンがわずかに含まれる場合がある。Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは反応性が高いため、前記ポリエーテル変性シリコーン中での存在量としては、30ppm以下(Si−Hの量として)であることが好ましい。
Figure 2015101809
前記一般式(II)中、A、B、h、及びiは、平均重合度であり、Rは、アルキル基を表し、R’は、水素又はアルキル基を表す。ここで、Aは、5〜10,000であることが好ましく、Bは、2〜10,000であることが好ましい。hは、2〜100であることが好ましく、iは、0〜50であることが好ましい。Rは、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。R’は、水素又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
前記一般式(II)で表される線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。このようなポリエーテル変性シリコーンは、側鎖のポリオキシアルキレン鎖が長く、ポリシロキサン鎖の重合度が大きいものほど粘度が高くなるので、製造時の作業性改善及び水性組成物への配合を容易にするために、水溶性有機溶剤とのプレミックスの形で配合に供することが好ましい。該水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール等が挙げられる。
前記ポリエーテル変性シリコーンとしては、より具体的には、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製の、SH3772M、SH3775M、FZ−2166、FZ−2120、L−720、SH8700、L−7002、L−7001、SF8410、FZ−2164、FZ−2203、FZ−2208、信越化学工業(株)製の、KF352A、KF615A、X−22−6191、X−22−4515、KF−6012、KF−6004等、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452、TSF4460等が挙げられる。
アミノ変性シリコーンとしては、ジメチルシリコーン骨格の末端あるいは側鎖にアミノ基を導入したシリコーンオイルであり、アミノ基以外に水酸基、アルキル基、フェニル基等の置換基が置換されていてもよい。また、オイルの形態でも良ければ、ノニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤を乳化剤として乳化させたアミノ変性シリコーンエマルジョンの形態でも良い。好ましいアミノ変性シリコーンのオイルまたは、エマルジョンの場合の基油オイルは、次の一般式(III)で表される。
Figure 2015101809
式(III)中、R1、R6は互いに同一でも、異なっていてもよく、メチル基、水酸基、水素のいずれかを表す。R2は、−(CH2n−A1、及び−(CH2n−NHCO−(CH2m−A1のいずれかを表す。A1は、−N(R3)(R4)、及び−N+(R3)(R4)(R5)・X-のいずれかを表す。R3〜R5は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、及び−(CH2n−NH2のいずれかを表す。X-は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸メチルイオン、及び硫酸エチルイオンのうちのいずれかを表す。m及びnの値は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、0〜12の整数を表す。p及びqの値は、ポリシロキサンの重合度を表し、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、pは0〜20000、好ましくは10〜10000、qは1〜500、好ましくは1〜100を表す。
本発明の繊維処理剤で用いるアミノ変性シリコーンのオイルの場合、25℃における動粘度が50〜20000mm2/sであることが好ましく、100〜10000mm2/sであることがより好ましい。動粘度がこの範囲にあると、高い風合い付与効果が発現されるとともに、製造性が良好であり、組成物の取り扱いも容易になるため好ましい。
アミノ変性シリコーンとしては商業的に入手できるものを使用することができ、例えば、アミノ変性シリコーンオイルとしては、東レ・ダウコーニング株式会社から、SF―8417、BY16−892、BY16−890で販売されているもの、信越化学工業株式会社から、KF−864、KF−860、KF−8004、KF−8002、KF−8005、KF−867、KF−861、KF−880、KF−867Sなどが挙げられる。
アミノ変性シリコーンエマルジョンタイプのものとしては、東レ・ダウコーニング株式会社から、SM8904、BY22−079、FZ−4671、FZ−4672で販売されているもの、信越化学工業株式会社から、Polonシリーズで販売されているPolonMF−14、PolonMF−29、PolonMF−14D、PolonMF−44、PolonMF−14EC、PolonMF−52で販売されているもの、旭化成ワッカーシリコーン株式会社から、WACKER FC201、WACKER FC218で販売されているものがあげられる。
ジメチルシリコーンの動粘度としては、特に制限はなく、1〜100,000,000mm2/sが好ましく、10〜10,000,000mm2/sがより好ましく、100〜1,000,000mm2/sが更に好ましい。また、オイルであっても、エマルジョンであってもよい。
本発明の繊維処理剤は、水に加えて、水溶性溶剤を含むことが好ましい。
水溶性溶剤としては、低級(炭素数1〜4)アルコール、グリコールエーテル系溶剤、多価アルコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。具体的には、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及び下記一般式(X)で表わされる水溶性溶剤から選ばれる溶媒成分を配合することが好ましい。
11−O−(C24O)y−(C36O)z−H ・・・(X)
式中、R11は、炭素数1〜6、好ましくは2〜4のアルキル基又はアルケニル基である。yおよびzは平均付加モル数であり、yは1〜10、好ましくは2〜5、zは0〜5、好ましくは0〜2の数を示す。
水溶性溶剤として、上記に挙げた中でも、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、が好ましい。
水溶性溶剤は、本発明の繊維処理剤に、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0.01〜25質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%配合される。
染料及び/又は顔料は、本発明の繊維製品用液体処理剤組成物の外観を向上する目的で配合することができる。好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上である。
添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。
本発明の繊維製品用処理剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料、反応性染料が好ましく、その配合量は組成物全体に対し、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜30ppmである。
本発明の繊維製品用液体処理剤組成物に用いられる染料としては、特開平6−123081号公報、特開平6−123082号公報、特開平7−18573号公報、特開平8−27669号公報、特開平9−250085号公報、特開平10−77576号公報、特開平11−43865号公報、特開2001−181972号公報又は特開2001−348784号公報などに記載されている染料を用いることもできる。
防腐剤は、主に、防腐力、殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために本発明の繊維処理剤において用いられ得る。
防腐剤としては、例えば、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、又はこれらの混合物などが挙げられる。中でも、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましく、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)、又はこれらの混合物などが挙げられる。中でも、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
本発明の繊維処理剤中、防腐剤の配合量は、繊維処理剤の総量に対して0.0001〜1質量%であることが好ましい。防腐剤の配合量が下限値未満であると、防腐剤の添加効果が得られにくく、上限値を超えると、保存安定性が低下するおそれがある。
紫外線吸収剤は、紫外線を防御する効果のある薬剤であり、紫外線を吸収し、赤外線や可視光線等に変換して放出する成分である。
紫外線吸収剤としては、例えば、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、p−メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物;4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
抗菌剤は、繊維上での菌の増殖を抑え、さらには微生物の分解物由来の嫌なにおいの発生を抑える効果を有する成分である。
抗菌剤としては、例えば、(B)成分の他に四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム)などのカチオン性殺菌剤、ダイクロサン、トリクロサン、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、8−オキシキノリン、ポリリジン等が挙げられる。
アミノカルボン酸又はその塩は、1分子中にアミノ基及びカルボキシ基を少なくともそれぞれ1つずつ含む化合物である。
アミノカルボン酸又はその塩としては、例えば、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、アスパラギン酸ジ酢酸(ASDA)、イソセリンジ酢酸(ISDA)、β−アラニンジ酢酸(ADAA)、セリンジ酢酸(SDA)、グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、イミノジコハク酸(IDS)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA−OH)、ヒドロキシエチレンイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジカルボキメチルグルタミン酸(CMGA)、(S,S)−エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)又はこれらの塩等が挙げられる。
前記の化合物以外に、機能向上剤として、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、ポリビニルピロリドンなどの移染防止剤、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、4,4−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャルティケミカルズ製チノパールCBS−X)などの蛍光増白剤、染料固定剤、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなどの退色防止剤、染み抜き剤、繊維表面改質剤としてセルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ケラチナーゼなどの酵素、抑泡剤、水分吸放出性など絹の風合い・機能を付与できるものとしてシルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、乳化分散液があり、具体的にはK−50、K−30、K−10、A−705、S−702、L−710、FPシリーズ(出光石油化学)、加水分解シルク液(上毛)、シルクゲンGソルブルS(一丸ファルコス)、アルキレンテレフタレートおよび/またはアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位からなる非イオン性高分子化合物、例えば互応化学工業製FR627、クラリアントジャパン製SRC−1などの汚染防止剤などを配合することができる。
[組成物のpH]
本発明の繊維処理剤のpHは特に限定されないが、繊維処理剤1は、保存経日に伴う(B)成分の加水分解を抑制する等の観点から、25℃におけるpHが1〜6の範囲内であることが好ましく、2〜4の範囲内であることがより好ましい。
本発明の繊維処理剤2は、香気の安定性を高める観点から、25℃におけるpHが5〜11であることが好ましく、7〜10であることがより好ましい。
pH調整を行う場合、pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジメチルアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
[組成物の粘度]
本発明の繊維処理剤の粘度は特に限定されないが、繊維処理剤1は、1000mPa・s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃、以下同様)未満であることが好ましい。保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の粘度は800mPa・s未満であるのがより好ましく、500mPa・s未満であるのがさらに好ましい。このような範囲にあると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。
本発明の繊維処理剤2は、ハンドリング性の点から、25℃における粘度が10mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以下であることがより好ましい。
[製造方法]
本発明の繊維処理剤1、繊維処理剤2の調製方法は特に限定されない。
繊維処理剤1が液体柔軟剤組成物の場合には、公知の方法、例えば主剤として陽イオン界面活性剤を用いる従来の液体柔軟剤組成物の製造方法と同様の方法により製造できる。
例えば、(B)成分、ノニオン性界面活性剤を含む油相と、水相とを、(B)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、その後、必要に応じて、得られた乳化物に他の成分を添加、混合することにより製造することができる。油相は、(B)成分の融点以上の温度で、(B)成分とノニオン性界面活性剤と、必要に応じて任意成分とを混合することにより調製できる。水相は、水と必要に応じて任意成分とを混合することにより調製できる。
繊維処理剤2がスプレー式繊維処理剤の場合には、特に限定されず、常法に従って調製できる。たとえば上記各成分を、必要に応じて水とともに混合することにより調製できる。
[繊維製品の処理方法・用途]
本発明の繊維製品の処理方法は、繊維製品を繊維処理剤1で処理した後に、脱水工程を経て、繊維処理剤2で処理する方法である。脱水は処理液を繊維製品から脱水する工程である。例えば、家庭での通常の洗濯において行われる脱水工程によって実施することができる。脱水は完全に行われる必要はなく、乾燥した衣類に対して120質量%以下程度まで水を含有していてよい。脱水する工程と繊維処理剤2の処理の間に、乾燥する工程を含むこともできる。繊維製品を繊維処理剤1で処理した後に、脱水、乾燥し、乾燥した状態の繊維製品を繊維処理剤2で処理する方法、繊維製品を繊維処理剤1で処理した後に、脱水し、その濡れた状態の繊維製品を繊維処理剤2で処理する方法が好ましい。繊維製品を繊維処理剤1で処理した後に、脱水し、その濡れた状態の繊維製品を繊維処理剤2で処理する方法がより好ましい。濡れた状態の繊維製品の好ましい含水率(繊維製品の乾燥総質量に対して含んでいる水の割合を百分率で示したもの。)は、20〜120質量%であり、好ましくは30〜110質量%、より好ましくは40〜100質量%である。繊維製品の乾燥した状態とは、20℃45%RHの条件下にて24時間放置した繊維製品と定義し、繊維製品の乾燥総質量とは、20℃45%RHの条件下にて24時間放置した繊維製品の質量と定義する。
本発明の繊維処理剤1、繊維処理剤2の用途は特に限定はされない。
繊維処理剤1は洗浄剤組成物、漂白剤組成物、液体柔軟剤組成物、スプレー式繊維処理剤、繊維処理剤2はスプレー式繊維処理剤等に応用することができる。中でも、繊維処理剤1は液体柔軟剤組成物、繊維処理剤2はスプレー式繊維処理剤として応用することが好ましい。
本発明の繊維処理剤1、繊維処理剤2による衣類等の繊維製品の処理方法は特に制限されるものではなく、従来知られている洗剤、仕上げ剤(柔軟剤、糊剤等)、スプレー式繊維処理剤等と同様に処理できる。
本発明の繊維処理剤1は、液体柔軟剤組成物の場合には、使用方法は特に限定されないが、例えば洗濯のすすぎの段階ですすぎ水に本発明の組成物を溶解させて処理を行う、またはたらいのような容器を用い本発明の組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れて浸漬処理する方法があるが、その場合は適度な濃度に希釈して使用される。その場合、浴比(繊維製品に対する処理液の重量比)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。具体的には、柔軟処理を行う際は、全使用水量に対し、(C)成分の濃度が0.01ppm〜1000ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは0.1ppm〜300ppmとなるような量で使用される。
本発明の繊維処理剤2をスプレー式繊維処理剤組成物として用いる場合には、使用方法は特に限定されないが、たとえば該処理剤を、トリガー式スプレー容器やディスペンサータイプのポンプスプレー容器に収容し、繊維製品に直接噴霧することにより実施できる。噴霧後、必要に応じて乾燥処理を行ってもよい。繊維製品としては、特に制限されるものではなく、例えば、衣類、カーテン、ソファー、カーペット、タオル、ハンカチ、シーツ、マクラカバー等が挙げられる。その素材も、綿や絹、ウール等の天然繊維でもよいし、ポリエステル等の化学繊維でもよい。繊維製品に対する処理剤組成物の塗布量は、繊維製品100gあたり、0.5〜10gが好ましく、1〜5gがより好ましい。
スプレー式繊維処理剤は、トリガー式スプレー容器(以下、トリガー容器という)に収容したものが好ましい。トリガー容器としては、特に限定されず、一般に、衣類等の繊維製品に対して香りや消臭効果などの付与等を行うために用いられている繊維処理剤製品に用いられているトリガー容器と同様のものを使用できる。本発明に使用するトリガー容器としては、噴霧性状、スプレーパターンが良好であること、アフタードローが発生しないとの観点から、蓄圧式のトリガー容器が好ましい。また、1回の噴霧量は、処理剤組成物を散布した繊維製品にしみが発生することを防ぐ観点、また、手に過度の疲労感を与えずに好ましい効果を付与するとの観点から、0.2〜0.6gであることが好ましい。
[(A)成分]
A-1:クラスターデキストリン(登録商標、グリコ栄養食品株式会社製)
A-2(比較例):ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(日本食品化工(株)製 商品名セルデックスHP−β−CD)
[(B)成分]
B-1:陽イオン界面活性剤(特開2003−12471 実施例4に記載のカチオン性界面活性剤)
B-2:陽イオン界面活性剤(特開2002−167366 実施例1に記載のカチオン性界面活性剤)
B-3:ジデシルジメチルアンモニウム塩(商品名:アーカード210、ライオンアクゾ社)
Figure 2015101809

Figure 2015101809
[その他の任意成分]
D-1:
・1級イソトリデシルアルコールエチレンオキシド60モル付加物:2.5%
・塩化カルシウム(商品名:粒状塩化カルシウム、(株)トクヤマ):0.5%
・イソチアゾロン液(商品名:ケーソンCG−ICP、ダウケミカル):100ppm*
D-2:
・ポリオキシエチレンラウリルエーテルエチレンオキシド8モル付加物(商品名:ニューコール1100、日本乳化剤):0.2%
・イソチアゾロン液(商品名:ケーソンCG−ICP、ダウケミカル)100ppm*
*イソチアゾロン液は有り姿での配合量を記載。
なお、「%」は、質量%であり、繊維処理剤1,繊維処理剤2それぞれの総質量を基準とした値である。
[繊維処理剤1の調製方法]
各成分の配合量を、下記表2に記載の通り調整して、次の手順により繊維処理剤1を調製した。なお、表中の数値は、質量%であり、繊維処理剤1の全質量を基準とする。
繊維処理剤1は、内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、次の手順により調製した。まず、(B)成分、さらに任意成分である1級イソトリデシルアルコールエチレンオキシド60モル付加物を、繊維処理剤1−6は(C)成分も共に混合撹拌して、油相混合物を得た。一方、(A)成分と、任意成分であるイソチアゾロン液をバランス用精製水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、980gから油相混合物と(A)の合計質量を差し引いた残部に相当する。次に、(B)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(B)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、撹拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。しかる後、任意成分である塩化カルシウムを添加し、必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH2.5に調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の繊維処理剤1を得た。繊維処理剤1の25℃における粘度をB型粘度計(TOKIMEC社)を用いて測定したところ、20mPa・sであった。
[繊維処理剤2の調製方法]
各成分の配合量を、下記表3に記載の通り調整して、次の手順により繊維処理剤2を調製した。なお、表中の数値は、質量%であり、繊維処理剤2の全質量を基準とする。
500mlビーカーを用いて、任意成分であるエタノールに(C)成分を溶かした溶液と、そこへ任意成分を溶解させたイオン交換水を撹拌条件下にて添加した。しかる後、必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH5.0に調整し、更に全体質量が400gになるようにイオン交換水を添加して、目的の繊維処理剤2を得た。繊維処理剤2の25℃における粘度をB型粘度計(TOKIMEC社)を用いて測定したところ、5mPa・sであった。
[残香性の評価]
1.評価用綿メリヤス布の前処理
前処理として、市販の綿メリヤス布(綿100%、谷頭商店)を10cm×10cmに裁断したものを市販洗剤「トッププラチナクリア」(ライオン社製)で、二槽式洗濯機(東芝製VH−30S)を用いて、以下の前処理を3回行った。
前処理:洗剤標準使用量、浴比30倍、45℃の水道水での洗浄10分間と、続く注水すすぎ10分間とのサイクルを2回。
2.処理方法
上記の通り調製した繊維処理剤1を使用して処理し、脱水を1分間行い、乾燥させた。乾燥させた後の綿メリヤス布を、上記の通り調製した繊維処理剤2をトリガー容器に充填して噴霧し、乾燥させた。
乾燥後、20℃、60RHの条件下で30日間保管した後の処理布(綿メリヤス)の香気強度を、下記の6段階臭気強度表示法に準拠して官能評価した。専門パネラー10人の平均点(小数点第1位まで算出)により、下記判定基準で香り持続性を判定した。商品価値上、○以上を合格とした。
繊維処理剤1での処理は、二槽式洗濯機(東芝製VH-30S)を用いて行った(綿メリヤス布1.5Kgに対し、組成物10mL、浴比15倍、25℃の水道水使用)。
繊維処理剤2での処理は、トリガー容器として、市販の衣類手入れ剤(商品名「スタイルガード しわもニオイもスッキリスプレー」、ライオン(株)製)の容器の中身を取り出し、よく洗浄し、しっかりと水分を乾かしたものを用意した。スプレー式繊維処理剤組成物をトリガー容器に充填し、評価布に対し、2%o.w.f(=処理剤組成物の重量(g)/処理布の重量(g)×100)の量を均一になるよう噴霧した。
<6段階臭気強度表示法>
0:無臭
1:やっと検知できる程度の香り
2:何の香りか分かる程度の香り
3:楽に感知できる香り
4:強い香り
5:強烈な香り
<判定基準>
◎◎◎:3.0点以上
◎◎:2.9〜2.5点
◎:2.4〜2.0点
○:1.9〜1.5点
△:1.4〜1.0点
×:0.9点以下
Figure 2015101809
Figure 2015101809
Figure 2015101809

Claims (6)

  1. 工程1:(A)高度分岐環状デキストリンと、(B)陽イオン性界面活性剤又はアミン化合物とを含有する繊維処理剤1で、繊維製品を処理した後、
    工程2:脱水し、
    工程3:脱水した繊維製品を、(C)香料組成物を含有する繊維処理剤2で処理する工程を含む、繊維製品の処理方法。
  2. 繊維処理剤1に用いる(A)成分が、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカンである請求項1に記載の繊維製品の処理方法。
  3. 繊維処理剤1に用いる(A)成分が、繊維処理剤1の全質量を基準にして、0.01〜10質量%の量で含まれる、請求項1又は2に記載の繊維製品の処理方法。
  4. 繊維処理剤2に用いる(C)成分が、CLogP値が5.0以下である香料成分もしくは構造中に環状構造を有する香料成分を含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維製品の処理方法。
  5. 繊維処理剤1に用いる(B)成分が、エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩又はその4級化物から選ばれる陽イオン性界面活性剤である、請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維製品の処理方法。
  6. (A)高度分岐環状デキストリンと、(B)陽イオン性界面活性剤又はアミン化合物とを含有する繊維処理剤1と、
    (C)香料組成物を含有する繊維処理剤2とから少なくとも構成され、それぞれを別々の容器に収容してなる繊維製品処理剤キット。
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