JP2015063733A - ステンレス鋼製リチウムイオン二次電池電解液保管容器 - Google Patents

ステンレス鋼製リチウムイオン二次電池電解液保管容器 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、良好な表面性状を得やすいフェライト系ステンレス鋼により、電解液の品質を劣化させにくい電解液保管容器を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、本発明は、C:0.02質量%以下、Si:0.80質量%以下、Mn:0.80質量%以下、P:0.04質量%以下、S:0.003質量%以下、Cr:10.5〜35.0質量%、N:0.025質量%以下、Al:0.20質量%以下、およびNb:7×(C+N)〜0.60質量%、Ti:0.02質量%以下を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、5μmを超える非金属介在物が0.05体積%以下、NbCを含めた5μm未満の非金属介在物が0.4体積%以下であり、かつ内面の、JIS B 0601:2001で規定する算術平均粗さ(Ra)が1.5μm以下であるフェライト系ステンレス鋼を用いたリチウムイオン二次電池電解液保管容器が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池電解液保管容器に関する。具体的には、良好な表面性状を得やすいフェライト系ステンレス鋼を材料として用いたリチウムイオン二次電池電解液保管容器であって、当該電解液の品質を劣化させにくい、リチウムイオン二次電池電解液保管容器に関する。
リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、メモリー効果も小さいことから、携帯電話やハイブリッドカーを含めた電気自動車に用いられている。リチウムイオン二次電池の電解液は、エチレンカーボネート(EC)やジエチルカーボネート(DEC)などの有機溶媒に、電解質として6弗化リン酸リチウム(LiPF)を加えたものを主成分とする。
電解液の保管や輸送に用いる容器(以下、「電解液保管容器」と称する。)として、かつては樹脂容器が用いられることもあったが、現在では、密閉性、耐久性に優れるステンレス鋼製の容器が主流となっている。
電解液保管容器は、プレス加工や溶接等によって製造される。さらに、電解液の品質を低下させることがないよう、内面を酸や純水を用いて洗浄する。あらかじめ内面に電解研磨を施すことで、洗浄性を向上させることもできる。
容器の素材としては、SUS304、SUS316などのオーステナイト系ステンレス鋼が一般的に用いられている。オーステナイト系ステンレス鋼の利点として、プレス加工性、溶接性が良く、さらに電解研磨性が優れることが挙げられる。
一方、近年のリチウムイオン二次電池の生産量増加とともに、電解液保管容器のコストダウンの要求が高くなってきた。したがって、容器の大型化や形状の最適化、製造方法の改善が行われると同時に、素材の見直しが検討されている。
オーステナイト系ステンレス鋼よりも安価な鋼種として、フェライト系ステンレス鋼がある。しかし、フェライト系ステンレス鋼は内面の洗浄性が劣り、電解液の品質を低下させる恐れがあったことから、これまで使用されていなかった。そのため、洗浄性に優れるフェライト系ステンレス鋼が望まれていた。
洗浄性に優れるフェライト系ステンレス鋼として、特許文献1に開示される技術が知られている。これは、介在物を制御するとともに、表面粗さの小さな圧延ロールを用いることで、表面のマイクロピットを減らす技術である。特許文献1で用途に挙げられている、ハードディスク部材であれば、このような技術が有効であった。しかし、電解液の保管、輸送用容器は、プレス加工、溶接に加えて、酸洗や電解研磨等を行うため、初期の表面性状を保持することができず、必ずしも優れた洗浄性を示さないことが分かった。したがって、電解液の保管、輸送用容器においては、酸洗や電解研磨後に洗浄性が優れる必要がある。
特開2011−214079号公報
つまり、本発明は、洗浄性が優れるフェライト系ステンレス鋼を用いた、リチウムイオン二次電池電解液の品質を低下させない保管容器を提供することを目的とする。
上記状況を鑑み、本発明者らが鋭意検討の結果、特定の組成を有し、非金属介在物の割合が制御され、かつ、算術平均粗さRaが制御されたフェライト系ステンレス鋼が優れた洗浄性を示し、これを用いたリチウムイオン二次電池電解液保管容器が電解液の品質を維持できることを見出した。
具体的に、本発明は、C:0.02質量%以下、Si:0.80質量%以下、Mn:0.80質量%以下、P:0.04質量%以下、S:0.003質量%以下、Cr:10.5〜35.0質量%、N:0.025質量%以下、Al:0.20質量%以下、およびNb:7×(C+N)〜0.60質量%、Ti:0.02質量%以下を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、5μmを超える非金属介在物が0.05体積%以下、NbCを含めた5μm未満の非金属介在物が0.4体積%以下であり、かつ内面の、JIS B 0601:2001で規定する算術平均粗さ(Ra)が1.5μm以下であるフェライト系ステンレス鋼を用いたリチウムイオン二次電池電解液保管容器が提供される。
前記フェライト系ステンレス鋼は、さらにMo:2.5質量%以下、Ni:2.0質量%以下、Cu:2.0質量%以下の一種以上を含んでもよい。
好ましくは、算術平均粗さ(Ra)の制御は内面に酸洗あるいは電解研磨を施すことで達せられる。
前記酸洗は、弗酸0.5質量%以上と硝酸5質量%以上含む水溶液、塩酸5質量%以上を含む水溶液、硫酸10質量%以上含む水溶液のいずれかを用いて、1分以上浸漬すればよい。
電解研磨は、リン酸10質量%以上含む水溶液あるいは、リン酸10質量%以上と硫酸1質量%以上含む水溶液において、表面の平均電流密度として20mA/cm以上の電流を30秒以上通電する電解研磨を施せばよい。
本発明により、電解液の品質を低下させることのない、安価なフェライト系ステンレス鋼製リチウムイオン二次電池電解液保管容器を得ることができる。
実施例の試験例1で使用した評価用試作容器の形状を示す。 実施例の試験例1における介在物量とパーティクル数の関係を示す。「○」はパーティクル数が300個/cm以下を示し、「×」はパーティクル数が300個/cmより大きいことを示す。図中数値は、パーティクル数(個/cm)を示す。
本発明のフェライト系ステンレス鋼を構成する各合金元素について範囲選定理由について説明する。
C:0.02質量%以下、N:0.025質量%以下
C、Nはステンレス鋼中に不可避的に含まれる元素である。C含有量およびN含有量を低減すると、炭化物、窒化物の生成が少なくなり、溶接性および溶接部の耐食性が向上する。しかし、低減のためには精錬時間が長くなり、ステンレス鋼製造のコスト上昇を招くため、Cは0.020質量%まで、Nは0.025質量%までの含有を許容することにした。
Si:0.80質量%以下
Siはステンレス鋼の脱酸剤として添加される。しかし、過剰のSi含有はフェライト相を硬質化させ、加工性や靭性を劣化させる要因となることから、本発明においては上限を0.80質量%とする。
Mn:0.80質量%以下
Mnはステンレス鋼に不純物として含まれているSと結合し、化学的に不安定な硫化物であるMnSを形成して耐食性を低下させる。したがってMn含有量は低いほど好ましく、本発明においては、0.80質量%を上限とする。
P:0.04質量%以下
Pは、母材およびろう付け部の靭性を損なうので低い方が望ましい。ただし、含Cr鋼の溶製において精錬による脱Pは困難であることから、P含有量を極低化するには原料の厳選などに過剰なコスト増を伴う。したがって本発明では一般的なフェライト系ステンレス鋼と同様に、0.04質量%までのP含有を許容する。
S:0.003質量%以下
Sは、MnSを形成し、酸洗や電解研磨によってMnS周辺にピットが生じやすくなる。したがって、S含有量は低いほど好ましく、本発明では0.003質量%以下に規定される。
Cr:10.5〜35.0質量%
Crは、不動態皮膜の主要構成元素であり、耐食性の向上をもたらす。保管対象である電解液に対して耐食性を有するためには、Cr量を10.5質量%以上にする必要がある。また、電解液は、作業時の液こぼれ等によって大気に触れると腐食性が増すことが知られているが、Cr量が多いほど、そのような場合にも腐食しにくくなる。しかし、Cr含有量が多くなるとC、Nの低減が難しくなり、機械的性質や靭性を損ね、かつコストを増大させる要因となる。したがって本発明ではCr含有量を10.5〜35質量%とする。
Mo:2.5質量%以下
Moは耐食性を高めるのに有効な元素であり、必要に応じて添加される。過度の添加は加工性を損ね、かつコストを増大させる要因となる。したがって、添加する場合、本発明ではMo含有量を2.5質量%以下とする。なお、所望の効果を期待するためには、好ましく、Mo含有量を0.02質量%以上とする。
Ni:2.0質量%以下
Niは耐食性を高めるのに有効な元素であり、必要に応じて添加される。オーステナイト形成元素であり、過度に添加すると、フェライト単相組織を維持できなくなる。したがって、添加する場合、本発明ではNi含有量を2.0質量%以下とする。なお、所望の効果を期待するためには、好ましく、Ni含有量を0.02質量%以上とする。
Cu:2.0質量%以下
Cuは耐食性を高めるのに有効な元素であり、必要に応じて添加される。オーステナイト形成元素であり、過度に添加すると、フェライト単相組織を維持できなくなる。したがって、添加する場合、本発明ではCu含有量を2.0質量%以下とする。なお、所望の効果を期待するために、好ましくは、Cu含有量を0.02質量%以上とする。
Al:0.20質量%以下
Alはステンレス鋼の脱酸材として用いられる。しかし過剰のAl含有はフェライト相を硬質化させ、加工性や靭性を劣化させる要因となることから、本発明においてはAl量の上限を0.20質量%とする。
Nb:7×(C+N)〜0.60質量%
NbはC、Nを固定し、加工性および耐食性を向上させる元素である。C、Nを固定するためには、Nbを7×(C+N)以上添加する必要がある。しかし、過剰のNb含有は、ステンレス鋼が硬質化し、加工性を損なうことから、本発明ではNb量の上限を0.60質量%とする。
Ti:0.02質量%以下
TiはNbと同様に、C、Nを固定し、加工性および耐食性を向上させる元素である。しかし、TiとNによって析出するTiNは、Nb(C、N)やTiCと比べて粒径が大きく、酸洗や電解研磨によってTiN周辺にピットが生じやすくなる。したがって本発明ではTi量の上限を0.02質量%とする。
5μmを超える非金属介在物:0.05%体積以下
5μmを超える非金属介在物が存在すると、酸洗や電解研磨の際に介在物周辺が特に溶解するため、洗浄性が低下する。したがって、5μmを超える非金属介在物の体積率の上限は0.05体積%以下とする。
5μm以下の非金属介在物:0.4体積%以下
非金属介在物が小さい場合は、酸洗や電解研磨の際の介在物周辺の溶解は起こりにくい。したがって、大型介在物に比べると、許容できる量は多く、本発明では0.4体積%まで許容する。
酸洗は、不動態皮膜を破壊した上で、Hイオンの還元作用によってステンレス鋼を溶解させることによって行うものである。
弗酸:0.5質量%以上、硝酸:5質量%以上
硝酸はHの供給源として、5質量%以上添加する必要がある。ただし、硝酸には不動態を破壊する作用がないため、硝酸を用いる場合は合わせて0.5質量%以上の弗酸を用いる必要がある。なお、弗酸を過剰に添加するとFeイオンと反応してFeFとして沈殿し、むしろ効果が低くなることがあるため、弗酸濃度は5質量%以下であることが好ましい。硝酸は過剰に添加しても添加量に見合う効果の上昇が見込めず、コストの上昇を招くのみであるため、硝酸は15質量%以下であることが好ましい。
塩酸:5質量%以上
塩酸はHイオンの供給源であり、さらにClイオンによる不動態皮膜の破壊作用があることから、単独添加で5質量%以上添加すれば良い。塩酸は過剰に添加しても添加量に見合う効果の上昇が見込めず、コストの上昇を招くのみであるため、塩酸は15質量%以下であることが好ましい。
硫酸:10質量%以上
硫酸はH+イオンの供給源であり、不動態皮膜を破壊する作用はあるが、塩酸に比べるとその作用は小さいことから、10質量%以上が必要である。硫酸は過剰に添加しても添加量に見合う効果の上昇が見込めず、コストの上昇を招くのみであるため、硫酸は25質量%以下であることが好ましい。
上記の各酸洗液の酸の濃度よりも低い場合は十分な酸洗浄ができず、鋼板の表面の付着物等が除去されておらず、パーティクルが付着しやすい。そのため、所望の容器が得られない場合がある。
上述した組成の酸洗液を電解液保管容器の内部に注入、あるいは酸洗液を満たした槽に、電解液保管容器を浸漬し、1分以上保持することにより、ステンレス鋼表面が溶解し、それに伴って表面の付着物が除去される。温度は常温でかまわないが、必要に応じて80℃まで加温しても良い。
また、酸洗浄に要する時間は、酸洗液の酸の濃度や温度に依存するが所望の表面粗さが得られる時間であれば特に制限されない。しかし、通常は、1〜10分、好ましくは1〜5分である。
電解研磨は、電流を流すことでステンレス鋼を電気化学的に溶解させる方法である。特にリン酸を用いると、ステンレス鋼の表面に電気抵抗の高い液膜が形成され、平滑な表面性状を得ることができるものである。
具体的に、下記の溶液を満たした槽に、電極を入れ、電解液保管容器を浸漬し、電流密度20〜500A/cmで、1分以上保持することにより、ステンレス鋼表面が溶解し、それに伴って表面の付着物が除去される。槽の溶液の温度は常温でかまわないが、必要に応じて80℃まで加温してもよい。
また、電解研磨に要する時間は、電流密度や電解研磨に使用する溶液の酸の濃度に依存するが、所望の表面粗さが得られる時間であれば特に制限されない。しかし、通常1〜10分、好ましくは1〜5分である。
リン酸:10質量%以上
リン酸水溶液中で電解研磨を行う場合、リン酸濃度は10質量%以上にする必要がある。これよりも低い濃度の場合は、ステンレス鋼表面に電気抵抗の高い液膜を形成することができず、平滑な表面性状を得ることができない。なお、リン酸は比較的広い濃度範囲で良好な表面性状が得られるが、極端に濃度を高くすることはコストの増大を招くため、リン酸濃度は90質量%以下であることが好ましい。
硫酸:1質量%以上
リン酸水溶液に硫酸を添加すると、表面性状が向上することから、必要に応じて硫酸を加えても良い。効果を得るために必要な硫酸濃度は1質量%以上である。なお、硫酸は過剰に添加しても添加量に見合う効果の上昇は見込めず、コストの上昇を招くのみであるため、硫酸は40質量%以下であることが好ましい。
なお、本発明において、酸洗および電解研磨のいずれか一方を施すことで足りるが、双方の工程を施してもよく、酸洗を施した後、電解研磨してもよい。
算術平均粗さRa:1.5μm以下
本発明で規定するフェライト系ステンレス鋼は、過剰な酸洗や電解研磨等によって表面粗さが大きくなると洗浄性は低下することから、算術平均粗さRaを1.5μm以下に制御する。これは、酸洗や電解研磨によって制御することも可能であり、また、製造時の圧延等の条件で制御することも可能である。しかし、本発明において、酸洗や電解研磨により算術平均粗さRaを制御することが好ましい。フェライト系ステンレス鋼の表面粗さを制御することで洗浄性に優れる表面が得られる。
なお、本発明の算術平均粗さRaはJIS B 601:2001に準拠して測定された。
本発明において、触針を接触させて掃引することで粗さ曲線を測定し、掃引方向をx軸、高さ方向をy軸、粗さ曲線の平均線をy=0として粗さ曲線をy=f(x)で表し、以下の式で求められる値をマイクロメートルで表したものをRaとする。ここでlは評価長さである。
Figure 2015063733
次に、本発明のフェライト系ステンレス鋼の製造方法について説明する。
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、原料の溶解、精錬、連続鋳造したスラブを、1100℃以上、1250℃以下の温度に加熱した後熱間圧延し、さらに900℃以上、1200℃以下の温度での焼鈍、酸洗、冷間圧延、研磨、調質圧延などの冷延工程を経て製造される。連続鋳造する際に、スラグや耐火物が溶鋼中に混入すると、5μm以上の介在物の原因となることから、タンディッシュや浸漬ノズル等については、以下の文献に開示されるような技術を利用することが好ましい。
特開平7−32092号公報
特開2012−152796号公報
特開2001−87843号公報
本発明のリチウムイオン二次電池電解液保管容器が収容する電解液は、電解質塩を溶媒に溶かしたものが挙げられる。ここで、電解質塩としては、特に制限されない。具体的には、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiSbF、LiAlCl、Li10Cl10、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)等の有機酸陰イオン塩などが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等が挙げられるがこれに限定されない。以上の溶媒を1種もしくは2種以上使用することができる。
表1に示す組成を有するフェライト系ステンレス鋼(発明鋼No.1−8、比較鋼No.11−14)を以下の製造条件にて製造した。
真空溶製によって30kgインゴットを作成した。インゴットから40mm厚みの熱延用ブロックを採取し、1230℃の電気炉内に2h保持した後、熱間圧延にて板厚3mmの熱延板を作成した。熱延板を1050℃で焼鈍し、酸洗によって酸化スケールを除去した後、冷間圧延にて板厚1.0mmの冷延板とした。冷延板を結晶粒径が20〜40μmになるよう、950〜1050℃で焼鈍し、酸洗によって酸化スケールを除去して供試材とした。なお、上記酸洗はそれぞれ、弗酸1.5質量%及び硝酸8.0質量%含む酸洗液を用いて、液温24℃で5分間行った。
Figure 2015063733
下線は、本発明の範囲から外れる。
(試験例1)
容器の素材として、表1に示す板厚1mmのステンレス鋼を用いた。介在物量はSEM観察を行い、ポイントカウンティング法によって面積率を求め、介在物量とした。容器は、φ80mm×高さ50mmの円筒深絞り品と、φ80mm×高さ170mmのTIG溶接筒を、円周TIG溶接によって接合して作製した。図1を参照。
試作容器を、リン酸を85質量%含む常温の水溶液にて電流密度100mA/cm、5分の電解研磨を施し、さらに硝酸を8質量%、弗酸を1.5質量%含有する常温の水溶液に5分浸漬した後、純水よる洗浄をおこなった。その後、再度純水を1リットル注入して、一日経過後に純水を採取し、純水中のパーティクル数をリキッドパーティクルカウンタにて測定した。測定したパーティクル数と容器内面の表面積より、内面1cmあたりのパーティクルを求めた。
従来使用されているオーステナイト系ステンレス鋼製の電解液保管容器のパーティクル数を測定したところ、0.3μm以上のパーティクルが300個/cm以下であった。したがって、フェライト系ステンレス鋼のパーティクル数の基準を300個/cmとした。パーティクル数の測定結果を表1および図2に示す。
発明鋼はすべて、パーティクル数が300個/cm未満であり、洗浄性は良好であった。一方、比較鋼はパーティクル数が300個/cm以上であり、洗浄性が劣った。
算術平均粗さ(Ra)は東京精密製のSURFCOM 2900DX 3DFを用いて測定した。先端の形状が半径2μmの触針を用い、0.3mm/sの速度で掃引することで、粗さ曲線を測定した。カットオフ値は0.8mm、評価長さl=1.4mmとした。
発明鋼1の組成を有し、酸洗を行わなかったこと以外は上記製法と同じ条件で処理された鋼板を用いて、酸洗条件の影響について検討した結果を表2に示す。本発明の範囲の酸洗条件および本発明で規定する表面粗さの範囲であれば、パーティクル数は300個/cm未満であり、洗浄性は良好であった。一方、酸洗条件によって表面粗さが本発明の範囲を外れる場合、パーティクル数は300個/cm以上であり、洗浄性が劣った。これは、表面粗さが大きいために、パーティクルが付着しやすいためである。
Figure 2015063733
下線部は本発明の範囲から外れる
発明鋼1の組成を有し、酸洗を行わなかったこと以外は上記製法と同じ条件で処理された鋼板を用いて、電解研磨の影響について検討した結果を表3に示す。本発明で規定する表面粗さの範囲であれば、パーティクル数は300個/cm未満であり、洗浄性は良好であった。一方、電解研磨条件によって表面粗さが本発明の範囲を外れる場合、パーティクル数は300個/cm以上であり、洗浄性が劣った。これは、表面粗さが大きいために、パーティクルが付着しやすいためである。
Figure 2015063733
下線部は本発明の範囲から外れる
以上説明したように、本発明を用いることで、安価なフェライト系ステンレス鋼を、リチウムイオン電池の電解液保管容器に用いることが出来る。

Claims (6)

  1. C:0.02質量%以下、Si:0.80質量%以下、Mn:0.80質量%以下、P:0.04質量%以下、S:0.003質量%以下、Cr:10.5〜35.0質量%、N:0.025質量%以下、Al:0.20質量%以下、およびNb:7×(C+N)〜0.60質量%、Ti:0.02質量%以下を含有し、残部Feおよび不可避不純物から成り、5μmを超える非金属介在物が0.05体積%以下、NbCを含めた5μm未満の非金属介在物が0.4体積%以下であり、かつ内面のJIS B 0601:2001で規定する算術平均粗さ(Ra)が1.5μm以下であるフェライト系ステンレス鋼よりなるステンレス鋼製リチウムイオン二次電池電解液保管容器。
  2. Mo:2.5質量%以下、Ni:2.0質量%以下、Cu:2.0質量%以下のいずれかの1種又は2種以上を含むフェライト系ステンレス鋼よりなる、請求項1に記載のステンレス鋼製リチウムイオン二次電池電解液保管容器。
  3. 前記容器内面を、酸洗及び/又は電解研磨を施して得られる、請求項1または2に記載のステンレス鋼製リチウムイオン二次電池電解液保管容器。
  4. 前記酸洗の酸洗液として、弗酸0.5質量%以上と硝酸5質量%以上含む水溶液、塩酸5質量%以上を含む水溶液、あるいは硫酸10質量%以上を含む水溶液を用い、1分以上の酸洗を施して得られる、請求項3に記載のステンレス鋼製リチウムイオン二次電池電解液保管容器。
  5. リン酸10質量%以上含む水溶液あるいは、リン酸10質量%以上と硫酸1質量%以上を含む水溶液を用い、表面の平均電流密度として20mA/cm以上の電流を30秒以上通電する電解研磨を施して得られる、請求項3に記載のステンレス鋼製リチウムイオン二次電池電解液保管容器。
  6. 請求項3に記載のステンレス鋼製リチウムイオン二次電池電解液保管容器であって、前記容器内面を、酸洗を施した後に電解研磨を施して得られ、該酸洗の酸洗液として、弗酸0.5質量%以上と硝酸5質量%以上含む水溶液、塩酸5質量%以上を含む水溶液、あるいは硫酸10質量%以上を含む水溶液を用いて、1分以上の酸洗を施した後、リン酸10質量%以上含む水溶液あるいは、リン酸10質量%以上と硫酸1質量%以上を含む水溶液を用い、表面の平均電流密度として20mA/cm以上の電流を30秒以上通電する電解研磨を施して得られる、ステンレス鋼製リチウムイオン二次電池電解液保管容器。
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