JP2002129292A - 耐食性および耐水垢付着性に優れたジャーポット容器用フェライト系ステンレス冷延鋼板およびジャーポット用フェライト系ステンレス鋼製容器 - Google Patents
耐食性および耐水垢付着性に優れたジャーポット容器用フェライト系ステンレス冷延鋼板およびジャーポット用フェライト系ステンレス鋼製容器Info
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Abstract
ット容器用フェライト系ステンレス冷延鋼板を提案す
る。 【解決手段】 C+N:0.02%以下、Si:0.3 %以下、
Mn:0.5 %以下、Cr:11〜35%、P:0.05%以下、S:
0.010 %以下、Al:0.02%以下を含有し、残部Feおよび
不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼組成
を有し、かつ表面をRyで0.5 μm以下とする。上記し
た組成に加えて、NbおよびTiの1種または2種、Mo、C
a、Bを含有してもよい。
Description
下、加熱保温容器ともいう)用として好適なフェライト
系ステンレス冷延鋼板に係り、とくに耐食性および耐水
垢付着性の改善に関する。なお、本発明でいう、「耐水
垢付着性」とは、長期間にわたって、容器表面に水垢が
付着することを軽減または防止できる特性をいうものと
する。
優れ、長期間にわたり美麗な表面光沢を保ち続けるとと
もに、加工性にも優れるという特性を有している。さら
に、フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ス
テンレス鋼にくらべ耐応力腐食割れ性に優れ、しかも高
価なNiを多量に含有せず安価であることから、厨房機
器、浴槽、家電製品、建材製品等の広範な用途で利用さ
れている。
おいては、自然水または水道水に含まれる炭酸カルシウ
ム等の塩類が鋼板表面に析出し、水垢スケールと呼ばれ
る汚れが発生する場合がある。とくに、ジャーポット等
の加熱保温容器では水の沸騰・蒸発が頻繁に行われるた
め、炭酸カルシウム等の塩類の析出量が多くなる。この
ため、長期間使用すると、水垢スケールの付着により容
器内面の美麗さが損なわれるうえ、衛生上問題があるの
ではないかという不利な印象を与える懸念がある。
は、従来から容器内面にフッ素樹脂を被覆して撥水性を
付与する方法が一般的である。例えば、特開平6-90859
号公報には、液体容器内面の少なくとも加熱面に4フッ
化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂と4フッ化
エチレン樹脂とを所定の割合で含有させた被覆を形成し
た電気湯沸器が提案されている。
性ポリイミド樹脂とポリエーテルサルホン樹脂との重量
混合比が0.1/0.9 〜0.9/0.1 である被覆層を加熱水容器
内面の少なくとも加熱面に形成してなる電気湯沸器が開
示されている。また、特開平6-62962号公報には、液体
容器の内面の少なくとも加熱面に、ポリイミド、ポリサ
ルホン、ポリアクリルサルホンからなる群のなかから選
ばれた樹脂を主成分とする第1被覆層と、該第1の被覆
層の上にポリイミド、ポリサルホン、ポリアクリルサル
ホン、ポリエーテルサルホンからなる群のなかから選ば
れた樹脂とフッ素樹脂の混合物を主成分とする第2の被
覆層とを備えた電気湯沸器が開示されている。
うな有機樹脂を被覆した容器は、耐水垢付着性の改善に
はある程度有効であるが、ステンレス鋼板を容器に使用
する場合にはステンレス鋼板本来の金属光沢が失われる
という問題があった。さらに加えて、鋼板を容器形状に
成形したのち、ショットブラスト処理を施し被覆ライン
でバッチ処理により有機樹脂被覆を行う必要があり、製
造工程が複雑となり、製造コストの高騰を招くという問
題もあった。また、フッ素樹脂等の有機樹脂は、極微量
の有害物質を含むともいわれており環境ホルモンの問題
が残されている。
し、有機樹脂被覆を施すことなく水垢の付着を抑制でき
る、耐食性および耐水垢付着性に優れたジャーポット容
器用フェライト系ステンレス冷延鋼板および耐食性およ
び耐水垢付着性に優れたジャーポット用フェライト系ス
テンレス鋼製容器を提案することを目的とする。
課題を達成するため、ジャーポットにおける水垢付着状
況について、詳細に調査した。その結果、水垢は、ジャ
ーポット表面に炭酸カルシウム(CaCO3 )やSi、Mgを含
む化合物が析出して形成されるという知見を得た。ま
た、Ca、Si、Mgを合計で0.0030質量%以上含有する水が
存在する環境下では、水の蒸発により水中の成分が濃縮
されて、上記した化合物が析出しやすく、また、過飽和
に固溶された溶質の析出や溶解したCO2 の放出により水
のpHが上昇し、上記した化合物の析出がさらに促進さ
れ、水垢が形成されるという知見を得た。
ら、容器表面の表面粗さを低減し、容器表面を平滑化す
ることに想到した。これにより、水垢を形成する化合物
の析出サイトが減少して容器表面への水垢付着が抑制で
き、その結果耐水垢付着性が向上するものと考えられ
る。また、本発明者らは、Si含有酸化物が水垢との接着
エネルギーを増加させ、これにより容器表面にSi含有酸
化物被膜が存在すると、容器表面と水垢との密着性が増
大することを見いだし、耐水垢付着性の向上には、容器
用鋼板のSi含有量の低減も重要であるという知見を得
た。
検討を加えて完成されたものであり、その要旨は下記の
とおりである。 (1)mass%で、C+N:0.02%以下、Si:0.3 %以
下、Mn:0.5 %以下、Cr:11〜35%、P:0.05%以下、
S:0.010 %以下、Al:0.02%以下を含有し、残部Feお
よび不可避的不純物からなる鋼組成を有するフェライト
系ステンレス冷延鋼板であって、該フェライト系ステン
レス冷延鋼板の表面粗さがRyで0.5 μm以下であるこ
とを特徴とする耐食性および耐水垢付着性に優れたジャ
ーポット容器用フェライト系ステンレス冷延鋼板。 (2)(1)において、前記鋼組成に加えてさらに、ma
ss%で、NbおよびTiの1種または2種を合計で1.0 %以
下および/またはMo:3.0 %以下を含有することを特徴
とするジャーポット容器用フェライト系ステンレス冷延
鋼板。 (3)(1)または(2)において、前記鋼組成に加え
てさらに、mass%で、Ca:0.0010%以下を含有すること
を特徴とするジャーポット容器用フェライト系ステンレ
ス冷延鋼板。 (4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記鋼
組成に加えてさらに、mass%で、B:0.0010%以下を含
有することを特徴とするジャーポット容器用フェライト
系ステンレス冷延鋼板。 (5)鋼板を成形加工してなる鋼製ジャーポット容器で
あって、前記鋼板が、mass%で、C+N:0.02%以下、
Si:0.3 %以下、Mn:0.5 %以下、Cr:11〜35%、P:
0.05%以下、S:0.010 %以下、Al:0.02%以下を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有す
るフェライト系ステンレス冷延鋼板であり、前記鋼製ジ
ャーポット容器の表面粗さをRyで0.5 μm以下とする
ことを特徴とする耐食性および耐水垢付着性に優れたジ
ャーポット用フェライト系ステンレス鋼製容器。 (6)(5)において、前記鋼組成に加えてさらに、ma
ss%で、NbおよびTiの1種または2種を合計で1.0 %以
下および/またはMo:3.0 %以下を含有することを特徴
とするジャーポット用フェライト系ステンレス鋼製容
器。 (7)(5)または(6)において、前記鋼組成に加え
てさらに、mass%で、Ca:0.0010%以下を含有すること
を特徴とするジャーポット用フェライト系ステンレス鋼
製容器。 (8)(5)ないし(7)のいずれかにおいて、前記鋼
組成に加えてさらに、mass%で、B:0.0010%以下を含
有することを特徴とするジャーポット用フェライト系ス
テンレス鋼製容器。
ンレス冷延鋼板の鋼組成の限定理由について説明する。
以下、mass%は単に%と記す。 C+N:0.02%以下 C、Nは、Crと結合してCr炭窒化物を形成し、耐食性お
よび加工性を劣化させる元素であり、本発明ではできる
だけ低減するのが望ましい。C、N含有量の合計C+N
が0.02%を超えると、耐食性および加工性が劣化するた
め、本発明ではC+Nを0.02%以下に限定した。なお、
C、Nはそれぞれ0.01%以下、0.01%以下とするのが好
ましい。
本発明ではSiは0.3 %以下に限定する。鋼板表面にSi酸
化物の被膜が形成されると、水垢との接着力を増加さ
せ、水垢が表面に強く固着されやすくなる。このため、
Si含有量を0.3 %以下とすることにより、鋼板表面にお
けるSi酸化物被膜の形成を抑制できる。なお、好ましく
は、0.2 %以下である。
響を及ぼすSを析出固定し、鋼の熱間圧延性を向上させ
る有効な元素であるが、過剰な含有は冷間加工性を低下
させるため、本発明では0.5 %以下に限定した。なお、
より好ましくは0.4 %以下である。
11%以上の含有を必要とする。Cr:11%以上の含有で、
鋼板表面に強固な不動態被膜が形成され優れた耐食性を
示すようになる。Cr含有量の増加に伴い不動態被膜は強
固となり耐食性は向上するが、35%を超えて含有する
と、靱性が劣化するとともに、熱間加工性や冷間加工性
が劣化し、鋼板の製造が困難となる。このため、Crは11
〜35%の範囲に限定した。なお、より好ましくは15〜30
%である。
熱間加工性を低下させて鋼板の表面性状を低下させる。
このため、本発明では、Pは0.05%以下に限定した。な
お、好ましくは、0.04%以下である。 S:0.010 %以下 Sは、介在物として存在し、鋼板の延性を減少させると
ともに、耐食性をも劣化させる元素である。またさらに
Sは、熱間加工性を低下させて鋼板の表面性状を低下さ
せる。このため、本発明では、Sは0.010 %以下に限定
した。なお、好ましくは、0.005 %以下である。
%以上の含有でその効果が顕著となる。一方、0.02%を
超えて含有すると、アルミナ系介在物が増加して、表面
疵が発生しやすくなるとともに、耐食性が低下する。こ
のため、Alは0.02%以下に限定した。なお、好ましく
は、0.003 〜0.01%である。
%以下 Nb、Tiは、いずれもC、Nを固定して加工性、耐食性を
向上させる元素であり、必要に応じ選択し単独または複
合して含有できる。このような効果は、Nb、Tiが単独、
あるいは合計して0.1 %以上であるときに顕著となる。
一方、Nb、Tiが単独、あるいは合計して1.0 %を超える
と、Nbおよび/またはTiの固溶量が増加し鋼を硬質化さ
せるため、加工性、冷間圧延性が低下する。このため、
Nb、Tiの1種または2種は合計で1.0 %以下に限定する
のが好ましい。
境下で、容器の耐食性を向上させる有効な元素であり、
必要に応じ含有できる。しかし、多量の含有は熱間加工
性(熱間圧延性)、冷間圧延性および成形性を低下させ
る。このため、本発明では、Moは3.0 %以下に限定する
のが好ましい。なお、より好ましくは0.5 〜2.5 %であ
る。
性状を改善する作用を有しており、必要に応じ含有でき
る。しかし、過剰な含有は、表面性状の劣化を招くう
え、Caが鋼板表面に濃化し、鋼板表面と水垢の主成分で
ある炭酸カルシウムとの密着性を高め、耐水垢付着性を
低下させる。このため、Caは0.0010%以下に限定するの
が好ましい。
有し、本発明では必要に応じ含有できる。ジャーポット
用容器では、鋼板を成形加工し、容器形状にしたのち、
底部に二次加工が施される場合がある。このような場合
に、二次加工割れを防止するため、Bを含有するのが好
ましい。なお、多量に含有すると、かえって割れ感受性
が高くなるため、Bは0.0010%以下に限定するのが好ま
しい。
不可避的不純物である。不可避的不純物としては、O:
0.02%以下、Mg:0.1 %以下、Ni:0.5 %以下、Cu:3.
0 %以下、V:0.5 %以下が許容できる。本発明のフェ
ライト系ステンレス冷延鋼板は、上記した鋼組成を有
し、さらに表面粗さRyが0.5 μm 以下の表面を有する
鋼板である。また、本発明の鋼製ジャーポット用容器
は、上記した鋼組成を有し、さらに表面粗さRyが0.5
μm 以下の表面を有するフェライト系ステンレス鋼製容
器である。
適用するに際しては、容器の美観性からある程度の表面
仕上げを必要とするが、通常、容器が人目につくもので
ないことから、JIS G 4307に規定されるNo.2B 程度の表
面仕上げが施されていた。しかし、この程度の表面仕上
げでは、水垢の付着を防止できないことが、本発明者ら
の研究で明らかにされた。本発明では、鋼板、あるいは
ジャーポット用容器の表面粗さを、JIS B 0601に規定さ
れるRy(最大高さ)で、0.5 μm 以下に限定した。鋼
板表面、あるいはジャーポット用容器表面のRyが0.5
μm を超えると、耐水垢付着性が劣化する。
あるいは鋼板をジャーポット用容器に成形した段階で行
っても、いずれでもよい。なお、鋼板表面の表面粗さR
yの下限値はとくに限定しないが、鋼板段階で表面粗さ
を調整する場合には、Ry0.03μm 以上とするのが好ま
しい。鋼板表面のRyが0.03μm 未満では、鋼板を容器
に成形する際、とくに絞り加工を行う際に、油切れが生
じやすくなり、型かじりが発生しやすくなる。
冷延鋼板の好ましい製造方法について説明する。上記し
た組成を有する溶鋼を、転炉、電気炉等による通常公知
の溶製方法で溶製し、あるいはさらに取鍋精錬、脱ガス
等の精錬を行って、連続鋳造法あるいは造塊法で鋼素材
とする。得られた鋼素材は、ついで加熱され、あるいは
圧延可能な温度を有する場合には加熱することなく、熱
間圧延され、所望の寸法形状の熱延板とされる。なお、
熱間圧延条件は、所望の寸法形状が得られる条件であれ
ばよく、とくに限定されない。
好ましくはついで酸洗を施される。熱延板焼鈍は、800
〜1200℃の焼鈍温度で行うのが好ましい。熱延板焼鈍を
施された熱延板は、ついで冷間圧延を施され冷延板とさ
れる。冷間圧延は、累積圧下率50%以上とするのが好ま
しい。累積圧下率が50%未満では、焼鈍後に高い加工性
が付与できない。
仕上げ焼鈍は、750 〜1200℃の焼鈍温度で行うのが好ま
しい。仕上げ焼鈍温度が750 ℃未満では、再結晶が十分
に進行せず、一方、1200℃を超えると組織が粗大化して
軟質になりすぎる。このため、仕上げ焼鈍温度は750 〜
1200℃とするのが好ましい。なおより好ましくは、1100
℃以下である。また、仕上げ焼鈍は、工程管理上、ある
いはコスト低減の観点から、連続焼鈍方式とするのが好
ましいが、バッチ焼鈍方式としてもなんら問題はない。
なお、仕上げ焼鈍の雰囲気は、酸化性雰囲気あるいは還
元性雰囲気とするのが好ましい。
仕上げ焼鈍後酸洗を施されたのち、研摩ラインで、研磨
を施されるのが好ましい。なお、研磨方法は、とくに限
定されないが、Ryで0.5 μm 以下の表面を得るために
は、バフ研磨、番手の大きい(仕上がり研磨目が細か
い)砥石を用いた鏡面仕上げ研磨、電解研磨等が好適で
ある。これら研磨により、鋼板表面を、Ryで0.5 μm
以下の表面とすることができる。
してジャーポット用容器としたのち行ってもよい。表面
粗さを調整された、冷延板(冷延鋼板)、あるいは仕上
げ焼鈍まま、あるいは仕上げ焼鈍後酸洗のまま冷延板
(冷延鋼板)は、所望の寸法形状のジャーポット用容器
に絞り加工等により成形加工されたのち、付属品等を装
着され、製品(ジャーポット)とされる。
粗さの調整は、バフ研磨、番手の大きい(仕上がり研磨
目が細かい)砥石を用いた鏡面仕上げ研磨、電解研磨等
がいずれも好適である。
し、連続鋳造法により200mm 厚のスラブ(鋼素材)とし
た。ついで、これらスラブ(鋼素材)を、加熱温度:11
50〜1250℃とする熱間圧延により板厚:3.6mm の熱延板
とした。これら熱延板に、焼鈍温度:800 〜1050℃の熱
延板焼鈍を施したのち、ショットブラスト処理を施し、
20%硫酸水溶液(液温:80℃)中に60s間浸漬し、つい
で3vol.%弗酸+15vol.%硝酸水溶液(液温:60℃)中
に30s間浸漬する酸洗処理を施した。
施し板厚:0.7mm の冷延板とした。さらに、これら冷延
板に、表2に示す温度、雰囲気中で仕上げ焼鈍を施した
のち、仕上げ焼鈍済冷延鋼板の表面粗さを、圧延、研磨
等により調整した。表面粗さの調整は、表2に示すよう
に、スキンパス圧延、バフ研磨、鏡面仕上げ研磨、電解
研磨、#400 研磨を用いた。
て、表面粗さ測定試験、水垢付着性試験、耐食性試験、
表面性状の調査を実施し、冷延鋼板の耐食性、耐水垢付
着性、表面性状を評価した。 (1)表面粗さ測定試験 各冷延鋼板について、JIS B 0601の規定に準拠して二次
元の接触式表面粗さ計を用いて、圧延方向および圧延方
向に直交する方向について表面粗さ曲線を測定し、最大
高さRyを求めた。なお、測定は各冷延鋼板の5個所に
ついて行い、得られたそれぞれの最大高さRyの平均値
をその冷延鋼板のRyとした。 (2)水垢付着性試験 各冷延鋼板から試験片(板厚tmm×50mm×50mm)を採取
し、これら試験片を、水1l に対しCa、Mg、Siをそれぞ
れ30mg溶解し硬度を高めた水溶液中に浸漬し、8h沸騰
保持したのち、室温まで冷却する熱履歴を1サイクルと
し、このサイクルを10サイクル行った後、試験片を取り
出し、風乾した。ついで、該試験片に粘着テープを張り
つけ剥がしたのち、試験片表面に残留する水垢量(面積
率)を測定し、この残留水垢量により、耐水垢付着性を
評価した。残留する水垢量が多いほど水垢と鋼板との密
着度が大きく、耐水垢付着性が劣ることになる。耐水垢
付着性の評価は、残留水垢量が面積率で、20%未満の場
合を◎(極めて良好)、20%以上40%未満を○(良
好)、40%以上を×(不良)とした。 (3)耐食性 各冷延鋼板から試験片(板厚tmm×100mm ×150mm )を
採取し、これら試験片について、塩水噴霧試験を実施し
耐食性を評価した。塩水噴霧試験(SST)は、試験片
に、30℃の5%NaCl水溶液を24h噴霧後、試験片に発生
した発錆点の数を測定した。耐食性は、発錆点の数によ
りA〜Eの5段階で評価した。発錆点の数が、50個/m2
未満をA、50個/m2以上100 個/m2未満をB、100 個/
m2以上150 個/m2未満をC、150 個/m2以上200 個/m2
未満をD、200 個/m2以上をEとした。なお、評価Aお
よびBを合格とした。 (4)表面性状の調査 各冷延鋼板の全長にわたり、表面性状を目視で観察し、
表面疵の個数を測定した。表面性状は、表面疵個数(個
/コイル)により3段階で評価した。表面疵個数が5個
/コイル未満をA、5個/コイル以上10個/コイル未満
をB、10個/コイル以上をCとした。評価AおよびBを
合格とした。
性に優れ、さらに表面性状にも優れた冷延鋼板となって
いる。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、耐
食性、耐水垢付着性、表面性状のうちの少なくとも一つ
が劣化している。表面粗さが本発明範囲を高く外れる比
較例(鋼板No.1、No.5、No.6、No.18 、No.22 )では、
耐水垢付着性が劣化している。また、Si含有量が本発明
範囲を外れる比較例(鋼板No.16 、No.23 )では、耐水
垢付着性が劣化している。また、Cr、C+N、Mn、P、
S含有量がそれぞれ本発明範囲を外れる比較例(鋼板N
o.14 、No.15 、No.17 、No.19 、No.20 )では、耐食
性が劣化している。また、Al、P、S、Ti含有量がそれ
ぞれ本発明範囲を外れる比較例(鋼板No.18 、No.19 、
No.20 、No.21 )では、表面性状が劣化している。
れ、かつ水垢の付着しにくい耐水垢付着性に優れたフェ
ライト系ステンレス冷延鋼板が製造でき、これにより、
有機樹脂被覆を必要としないジャーポット用容器が安価
に製造可能となり、産業上格段の効果を奏する。また、
本発明になるジャーポット用容器は、有機樹脂被覆を含
まないため、地球環境の保護の観点からも有利となる。
Claims (5)
- 【請求項1】 mass%で、 C+N:0.02%以下、 Si:0.3 %以下、 Mn:0.5 %以下、 Cr:11〜35%、 P:0.05%以下、 S:0.010 %以下、 Al:0.02%以下 を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成
を有するフェライト系ステンレス冷延鋼板であって、該
フェライト系ステンレス冷延鋼板の表面粗さがRyで0.
5 μm 以下であることを特徴とする耐食性および耐水垢
付着性に優れたジャーポット容器用フェライト系ステン
レス冷延鋼板。 - 【請求項2】 前記鋼組成に加えてさらに、mass%で、
NbおよびTiの1種または2種を合計で1.0 %以下および
/またはMo:3.0 %以下を含有することを特徴とする請
求項1に記載のジャーポット容器用フェライト系ステン
レス冷延鋼板。 - 【請求項3】 前記鋼組成に加えてさらに、mass%で、
Ca:0.0010%以下を含有することを特徴とする請求項1
または2に記載のジャーポット容器用フェライト系ステ
ンレス冷延鋼板。 - 【請求項4】 前記鋼組成に加えてさらに、mass%で、
B:0.0010%以下を含有することを特徴とする請求項1
ないし3のいずれかに記載のジャーポット容器用フェラ
イト系ステンレス冷延鋼板。 - 【請求項5】 鋼板を成形加工してなるジャーポット用
鋼製容器であって、前記鋼板が、mass%で、 C+N:0.02%以下、 Si:0.3 %以下、 Mn:0.5 %以下、 Cr:11〜35%、 P:0.05%以下、 S:0.010 %以下、 Al:0.02%以下 を含有み、あるいはさらに、NbおよびTiの1種または2
種を合計で1.0 %以下および/またはMo:3.0 %以下、
および/またはCa:0.0010%以下、および/またはB:
0.0010%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物か
らなる鋼組成を有するフェライト系ステンレス冷延鋼板
であり、前記ジャーポット用鋼製容器の表面粗さをRy
で0.5 μm以下とすることを特徴とする耐食性および耐
水垢付着性に優れたジャーポット用フェライト系ステン
レス鋼製容器。
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JP2000330939A JP4465853B2 (ja) | 2000-10-30 | 2000-10-30 | 耐食性および耐水垢付着性に優れたジャーポット容器用フェライト系ステンレス冷延鋼板およびジャーポット用フェライト系ステンレス鋼製容器 |
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