JP2015063723A - コーティング装置およびステント製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コーティング装置1は、ワーク(例えばステントW)をチャンバ3内に収容してチャンバ3内にモノマーガスを通すことで、モノマーの重合によりできるポリマーを前記ワークに蒸着してコーティングする装置であり、チャンバ3内には、複数個のワークを保持するワーク保持装置20が配置されており、ワーク保持装置20は、チャンバ3内で回転可能に配置されている回転部60と、回転部60に相互に間隔をおいて固定されて、各ワーク内に通すことで各ワークを保持する複数のワーク支持体30とを備える。
【選択図】図2
Description
この可動セルタンブルコータとコーティングチャンバの間には、複数の円筒でなり、内部にワークであるワイヤ部品を多数一緒に充填収容するための可動部分セル(12)が配置されており、この可動部分セル(12)は多数の穴を有している。この可動セルタンブルコータ(11)と共に複数の可動部分セル(12)が、コーティングチャンバ(14)内で回転するようになっている。
しかも、各可動部分セルをコーティングチャンバの内部で回転移動させるので、可動部分セル内に充填されている各ワイヤ部品が相互に衝突する。このため、各ワイヤ部品からポリマー被膜が剥がれてしまうおそれがある。このため、ワイヤ部品に対するポリマーのコーティング処理の効率を上げることができない。
上記構成によれば、回転部の回転中心よりも離れた箇所に、相互に間隔をおいて設けられている複数のワーク支持体を有している。そして、前記各ワーク支持体が前記ワークを保持した状態において、前記ワーク同士の間には隙間を形成する構成とされている。
このため、チャンバ内にモノマーガスを通し、回転部をチャンバ内で回転させることにより、モノマーが重合してできるポリマーを個々のワークの外面に均一かつ確実にモノマーガスが触れることが可能とされる。特に、ワーク同士が重なりあったり、互いに衝突したりすることが無いので、ワークからポリマー被膜の剥がれを無くして、ワークのコーティング処理の効率を上げることができる。
上記構成によれば、回転部の第1回転体と第2回転体とは、対向して配置されているので、前記回転部が1つの回転体を有する場合に比べて、該回転部が回転する際には、バランス良く回転させることができる。しかも、前記回転部に設けることができる前記ワーク支持体の数を増やすことができるので、保持できる前記ワークの数を増やして、これらワークのコーティング処理の効率を上げることができる。
上記構成によれば、第1回転体においてワーク支持体が取り付けられている面と、第2回転体においてワーク支持体が取り付けられている面が、反対方向の面である。このため、駆動機構部は第1回転体と第2回転体の間に容易に設けることができる。
上記構成によれば、整流板がチャンバ内に配置されているので、モノマーガスは回転部に保持されている複数のワークに確実に案内することができる。
上記構成によれば、整流板は、チャンバ内でモノマーガスの上流側と下流側に配置されているので、モノマーガスは回転部に保持されている複数のワークに確実に案内した後に下流側において排出することができる。
上記構成によれば、駆動モータがチャンバ内に配置されていないので、チャンバ内においてワークに送られるモノマーガスの流れを阻害せず、駆動モータにモノマーガスが触れるのを防ぐことができる。
上記構成によれば、医療用のステントからのポリマー被膜の剥がれを無くすことができるので、ステントの製造効率を上げることができる。
上記構成によれば、回転部に固定されているワーク支持体を各ステント内に通すことで各ステントはワーク支持体に保持し、そしてチャンバ内にモノマーガスを通し、回転部をチャンバ内で回転させることにより、モノマーの重合によりできるポリマーがステントに均一に被膜を形成することができる。ワーク支持体は、相互に間隔をおいて回転部に固定されており、ワーク支持体を各ステント内に通すことで各ステントはワーク支持体に保持しているので、各ステントにはモノマーガスが行き渡り、回転部が回転してもステント同士は衝突することが無い。これにより、ステントからポリマー被膜の剥がれを無くして、ワークのコーティング処理の効率を上げることができる。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明のコーティング装置の好ましい実施形態を示す図である。
図1に示すコーティング装置1は、コーティング処理の対象物(以下では、ワークという)である金属製のステントの面に対して、蒸着プロセスによりパリレンのモノマーガスを供給することにより、モノマーが重合したパリレンを蒸着させる装置である。
本発明の実施形態においては、以下の説明では、パリレンCを単にパリレンという。
図1に示す処理炉2は、気化炉と熱分解室を有している。処理炉2の気化炉は、パリレンの原料ポリマーを、好ましくは50℃から125℃の温度で加熱して気化させる。処理炉2の熱分解室は、気化させたパリレンの原料ポリマーを、例えば680℃に加熱させて分解させることで、反応性に富んだパリレンのモノマーガスを生成させることができるようになっている。
後で詳しく説明するが、このチャンバ3内には、複数個のステントが収容されている。チャンバ3内では、パリレンのモノマーガスが通過することで、パリレンのモノマーガスを、常温でポリマーに変えて、各ステントには、パリレンのポリマー被膜を堆積させることができるようになっている。
図2は、図1に示すチャンバ3の構造例を示している。図3は、図2に示すチャンバ3の容器11内に配置されているワーク保持装置20の構造例を示す図である。
図2に示すように、チャンバ3は、容器11と、整流板12,13と、蓋部材14と、ワーク保持装置20を有している。
図1に示すように、この容器11は、上流側の開口部11Aと下流側の開口部11Bを有している。上流側の開口部11Aには配管7が接続され、下流側の開口部11Bには配管8が接続されている。
さらに、図3に示すように、ワーク保持装置20は、カバー部材23と、カバー部材24と、駆動モータ25と、駆動機構部26と、減速機27を有している。図3に示すように、カバー部材23とカバー部材24と駆動機構部26は、チャンバ3内に配置されているが、駆動モータ25と減速機27は、チャンバ3の外側に配置されている。カバー部材24は、回転部60とカバー部材23と駆動機構部26をチャンバ3の底部15に対して支える支柱でもある。
第1回転体21と第2回転体22は、共に同じ大きさを有する、例えばSUS製の円盤である。第1回転体21の外面21Aには、第1回転体21外面に複数本のワーク支持体30が外面21Aに対して垂直に、かつ、相互に間隔をおいて突出するように固定されている。同様にして、第2回転体22の外面22Aには、第2回転体22の外面22Aに対して垂直に多数のワーク支持体30が相互に間隔をおいて突出するように固定されている。
第1回転体21の外面21Aと第2回転体22の外面22Aは、反対側に向いている面であり、それぞれの複数本のワーク支持体30は、互いに反対方向に向けて水平に突出している。このワーク支持体30は、好ましくは断面円形のピンあるいは芯金である。
例えば、ワーク支持体30が棒体である場合(その断面形状は円形に限らない。)、ワーク支持体30の直径は、挿通されるステントWの内径に比べてかなり小さくされており、挿通時の作業に支障が出るほど互いの直径の値が近くなく、かつ挿通後(装着後)は各回転体の動きにより容易に脱落しない程度にステントWが緩く拘束されるようにされている。
また、各回転体の外面において、ワーク支持体Wはできるだけ多く立設されているが、互いの間隔はワークであるステントWの直径を超える寸法とされることで、回転体が動きながら後述する蒸着工程を実行する際に、隣り合うステントWが触れあわないようにされている。
このように、チャンバ3内では、駆動機構部26の回転軸33,34と歯車35,36は、カバー部材23,24により覆われているので、回転軸33,34と歯車35,36にはパリレンのポリマー被膜が形成されてしまうことが無いので、駆動機構部26の動作に影響がでない。
図2に示すように、これらの整流板12,13は、それぞれ例えばパンチングメタル板であり、複数個の貫通穴Hを有している。整流板12,13の複数の貫通穴Hの形成領域は、好ましくは、第1回転体21と第2回転体22に装着されている複数個のステントWに対してパリレンのモノマーガスを集中的に案内しながら効率良く流すことができるように設定されている。
そして、このモノマーガスは、複数本のワーク支持体30が回転体の外面21Aに対して垂直に、かつ、相互に間隔をおいて突出するように固定されている支持体に保持されたワークとしてのステントWの露出された表面に行きわたる。つまり、ワークは互いに重なり合い、密着して、一部の表面を覆うことがないので、パリレンのモノマーガスに対して完全に暴露される。これにより均一なコーティングがむらなく形成される。
図4(A)は、ワークであるステントWの形状例を示している。このステントWは、金属パイプを所定のデザイン(例えば図3のデザイン)に沿ってレーザーカットし、研磨・焼鈍することで形成されている。ワイヤDのC−C線における断面形状は、例えば矩形形状に形成されている。図4(B)に例示するのは、図4(A)においてワイヤDの面にパリレンのポリマー50がコーティングされている例を示している。図4(C)は、パリレンのポリマー50の上にさらに薬剤80が形成されている例を示している。
図1に示すように、コーティング装置1の処理炉2は、配管7を用いてチャンバ3の容器11の上流側の開口部11Aを介して容器11内に接続されている。容器11は蓋部材14により閉じている。チャンバ3の容器11内は、容器11の下流側の開口部11Bと配管8を介して、チラートラップ4に接続されている。
その後、図1に示すように、蓋部材14を用いて容器11の上端部の円形の開口部16を確実に密閉して閉じることで、チャンバ3内が気密に保たれる。
ここで、チャンバ3の真空度は、真空計6により検出しており、真空度の検出値は、真空計6から制御部100に送られることで、制御部100は真空度を監視している。
図3に示すように、制御部100が駆動モータ25に指令を与えることにより、駆動モータ25の出力軸の回転は、減速機27により減速されたのちに、回転軸34を回転させて、歯車35,36を介して回転軸33の回転に変える。これにより、チャンバ3内では、第1回転体21と第2回転体22と回転軸33は、回転中心CLを中心にして、所定の回転数で矢印R方向に連続回転される。
従って、パリレンのモノマーガスが、図2と図3に示すカバー部材23,24側に流れるのを防ぐことができる。このため、カバー部材23,24にパリレンのモノマーガスが通ってコーティング膜が形成されてしまうことを、できる限り防いでいる。しかも、駆動機構部26の回転軸33,34と、歯車35,36は、カバー部材23,24により覆われているので、コーティング膜が形成されてしまうことを防いでいる。
この場合、例えば、該薬剤に徐放性を加えるために、PLA(Poly lactic acid)と免疫抑制剤(バイオリズムA9)を調整した薬剤等を塗布することができる。
反応性の高いパリレンのモノマーガスは、被コーティング材料(対象物、ワーク)であるステントWを収容した真空のチャンバ3内に導入して、このパリレンのモノマーガスがステントWの表面に接したところで重合するので、図4(B)に例示するように、パリレンのポリマー50をステントWの表面に安定してコーティングできる。
これにより、回転部に固定されているワーク支持体30を各ワーク内に通すことで各ワークはワーク支持体30に保持し、そしてチャンバ3内にモノマーガスを通し、回転部をチャンバ3内で回転させることにより、ポリマー被膜がワークに均一に形成することができる。ワーク支持体30は、相互に間隔をおいて回転部60に固定されており、ワーク支持体30を各ワーク内に通すことで各ワークはワーク支持体30に保持しているので、各ワークにはモノマーガスが行き渡り、回転部60が回転してもワーク同士は衝突することが無い。これにより、ワークからポリマー被膜の剥がれを無くして、ワークのコーティング処理の効率を上げることができる。
これにより、回転部に固定されているワーク支持体を各ステント内に通すことで各ステントはワーク支持体に保持し、そしてチャンバ内にモノマーガスを通し、回転部をチャンバ内で回転させることにより、ポリマー被膜がステントに均一に形成することができる。ワーク支持体30は、相互に間隔をおいて回転部60に固定されており、ワーク支持体30を各ステントW内に通すことで各ステントWはワーク支持体30に保持しているので、各ステントWにはモノマーガスが行き渡り、回転部60が回転してもステントW同士は衝突することが無い。これにより、ステントWからポリマーの剥がれを無くして、ワークWのコーティング処理の効率を上げることができる。
例えば、ワークとしては、医療用のステントWを例に挙げているが、これに限らず、ポリマーのコーティングを施す必要のあるワークであれば、ワークの種類は特に限定されない。
Claims (8)
- ワークをチャンバ内に収容して前記チャンバ内にモノマーガスを通すことで、モノマーの重合によりできるポリマーを前記ワークに蒸着してコーティングするコーティング装置であって、
前記チャンバ内には、複数個の前記ワークを保持するワーク保持装置が配置されており、
前記ワーク保持装置は、
前記チャンバ内で回転可能に配置されている回転部と、
前記回転部の回転中心よりも離れた箇所に、相互に間隔をおいて設けられている複数のワーク支持体とを備えており、
前記各ワーク支持体が前記ワークを保持した状態において、前記ワーク同士の間には隙間を形成する構成とした
ことを特徴とするコーティング装置。 - 前記回転部は、第1回転体と、該第1回転体と対向して配置された第2回転体とを有しており、前記第1回転体と前記第2回転体のそれぞれには、前記複数のワーク支持体が固定されていることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置。
- 前記第1回転体の一つの平面には、該平面に対して垂直に起立するように前記複数のワーク支持体が相互に間隔をおいて固定され、前記第2回転体の一つの平面には、該平面に対して垂直に起立するように前記複数のワーク支持体が相互に間隔をおいて固定され、
前記第1回転体の前記平面と前記第2回転体の前記平面は、互いに反対方向に向いている面であることを特徴とする請求項1または2に記載のコーティング装置。 - 前記チャンバ内には、前記モノマーガスを整流して前記回転部に保持された前記複数のワークに案内するための整流板が配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のコーティング装置。
- 前記整流板は、前記チャンバ内において、前記モノマーガスが流れる上流側と下流側にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項4に記載のコーティング装置。
- 前記回転部を回転駆動させる駆動モータを有しており、前記駆動モータは前記チャンバの外側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のコーティング装置。
- 前記ワークは、医療用のステントであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のコーティング装置。
- 複数のワークであるステントをチャンバ内に収容して前記チャンバ内にモノマーガスを通すことで、前記ステントにポリマーをコーティングするステント製造方法であって、
前記チャンバ内に配置されているワーク保持装置の回転部には複数のワーク支持体が設けられており、前記複数のワークをそれぞれ前記ステント内に入れて前記ステントを前記ワーク支持体に、前記複数のワークどうしの間に隙間をつくるように保持し、
前記回転部を前記チャンバ内で回転しながら、前記チャンバ内に前記モノマーガスを通すことで、モノマーの重合によりできるポリマーを前記ステントに蒸着してコーティングすることを特徴とするステント製造方法。
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