JPWO2007148536A1 - 成膜装置及び成膜方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の成膜装置及び成膜方法は、真空室と、前記真空室内で回転可能に設けられた成膜対象物の保持部と、複数のターゲットを保持可能であり、前記成膜対象物に対する前記ターゲットの対向面積を可変すべく自転可能に設けられたスパッタ源と、を備えたことを特徴とする。簡単な構成で、成膜対象物のサイズに合わせて均一で効率のよい成膜を行え、また汚染の可能性が少なく、メンテナンス性も良い。

Description

本発明は、成膜装置及び成膜方法に関し、詳しくは成膜対象物がスパッタ用ターゲットに対向する位置を移動通過しながら成膜される成膜装置及びこの装置を用いた成膜方法に関する。
成膜対象物がスパッタ用ターゲットに対向する位置を移動通過しながら成膜される成膜装置において、ターゲットに対して成膜対象物のサイズが大きくなると外周側に膜が付かなくなり膜厚分布が悪くなる。また、ターゲットに対して成膜対象物のサイズが小さくなると、真空室内において成膜対象物以外の部分に付着する膜の量が増えるため成膜効率が低下したり、また、真空室内の付着物は剥離すると成膜対象物を汚染し、さらにこれを防ぐため真空室内をクリーニングする必要がありその手間がかかる。
特許文献1には、ターゲットを保持したスパッタカソードを基板に対して旋回運動させながらスパッタを行う、あるいは、スパッタカソードを所定の位置で停止させ、所定時間基板に対してスパッタ成膜を行った後、スパッタカソードを回動させて位置を変更して基板に対して再度スパッタ成膜を行うことが開示されている。
しかし、特許文献1では、その図2に表されるように、スパッタカソードには円形の1つのターゲットが保持され、そのターゲットは、すべての成膜対象領域(2つの基板の全面)を同時にカバーする構成とはなっていない。2つの基板のすべての面がターゲットに対向するように、ターゲットを中心から偏心した軸のまわりに回転させながら基板に対してスパッタ成膜を行う場合には、成膜中に常時スパッタカソードを回転させることになり、電源ラインや、ターゲットに対する冷却用冷媒供給ラインも回転させなければならず、これらの回転によるねじれや破損等を防ぐための特別な構成を必要とする。
特開2005−187830号公報
本発明は、簡単な構成で、成膜対象物のサイズに合わせて均一で効率のよい成膜を行え、また汚染の可能性が少なく、メンテナンス性も良い成膜装置及び成膜方法を提供する。
本発明の一態様によれば、真空室と、前記真空室内で回転可能に設けられた成膜対象物の保持部と、複数のターゲットを保持可能であり、前記成膜対象物に対する前記ターゲットの対向面積を可変すべく自転可能に設けられたスパッタ源と、を備えたことを特徴とする成膜装置が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、真空室と、前記真空室内で回転可能に設けられた成膜対象物の保持部と、長円形状または長さの異なる辺を有する角形状のターゲットを保持可能であり、前記成膜対象物に対する前記ターゲットの対向面積を可変すべく自転可能に設けられたスパッタ源と、を備えたことを特徴とする成膜装置が提供される。
また、本発明のさらに他の一態様によれば、成膜対象物の保持部を有し真空室内に回転可能に設けられた回転テーブルと、前記回転テーブルの回転によって移動される前記保持部の移動経路に対向する位置で自転可能に設けられ少なくとも2つのターゲットが保持されたスパッタ源と、を用い、前記保持部に載置される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に小さい場合には、前記2つのターゲットの中心を結ぶ線を前記保持部に載置された前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に平行に近い状態とし、前記保持部に載置される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に大きい場合には、前記2つのターゲットの中心を結ぶ線を前記保持部に載置された前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に直交に近い状態としつつ前記成膜対象物に成膜を実行することを特徴とする成膜方法が提供される。
また、本発明のさらに他の一態様によれば、成膜対象物の保持部を有し真空室内に回転可能に設けられた回転テーブルと、前記回転テーブルの回転によって移動される前記保持部の移動経路に対向する位置で自転可能に設けられ長円形状または長さの異なる辺を有する角形状のターゲットが保持されたスパッタ源と、を用い、前記保持部に載置される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に小さい場合には、前記ターゲットの長手方向を前記保持部に載置された前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に平行に近い状態とし、前記保持部に載置される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に大きい場合には、前記ターゲットの長手方向を前記保持部に載置された前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に直交に近い状態としつつ前記成膜対象物に成膜を実行することを特徴とする成膜方法が提供される。
本発明の第1の実施形態に係る成膜装置の模式断面図である。 同成膜装置における回転テーブルとスパッタ源との平面的な位置関係を表す模式図である。 図1よりもサイズ(直径)の小さい成膜対象物に成膜を行う場合の図1に対応する図である。 図2よりもサイズ(直径)の小さい成膜対象物に成膜を行う場合の図2に対応する図である。 ターゲットのサイズ(平面寸法)に対して、成膜対象物のサイズ(平面寸法)が大きい場合の膜厚分布(実線の太線)を表す模式図である。 ターゲットのサイズ(平面寸法)に対して、成膜対象物のサイズ(平面寸法)が小さい場合の膜厚分布(実線の太線)を表す模式図である。 スパッタ源に保持された複数のターゲットのうち、成膜対象物の外周側に対向するターゲットを、成膜対象物の内周側に対向するターゲットよりも、成膜対象物に対して近づけた具体例を表す模式図である。 長方形状のターゲットを用いた場合における回転テーブルとスパッタ源との平面的な位置関係を表す模式図である。 図8よりもサイズ(直径)の小さい成膜対象物に成膜を行う場合の図8に対応する図である。 本発明の第2の実施形態に係る成膜装置における要部構成の模式図である。 図10よりもサイズ(直径)の小さい成膜対象物に成膜を行う場合の図10に対応する図である。 第2の実施形態に係る成膜装置において他の使用例を表す模式図である。 第2の実施形態に係る成膜装置においてさらに他の使用例を表す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る成膜装置におけるターゲットと成膜対象物との配置関係を表す模式図である。 図14とは異なるサイズの成膜対象物に対するターゲットの配置関係を表す模式図である。 第1の実施形態に係る成膜装置において、ターゲットと成膜対象物との配置関係の他の具体例を表す模式図である。
符号の説明
2 真空室
3 気密容器
4a〜4c 成膜対象物
6 成膜対象物の保持部
8 回転テーブル
9a〜9d ターゲット
11 スパッタ源
18 回転テーブル
100 膜厚分布
110 成膜対象エリア
120 無駄な膜が形成されるエリア
200 排気
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ構成要素については、同一の符号を付している。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る成膜装置の模式断面図である。
図2は、同成膜装置における回転テーブル8とスパッタ源11との平面的な位置関係を表す模式図である。
図3は、図1よりもサイズ(直径)の小さい成膜対象物に成膜を行う場合の図1に対応する図である。
図4は、図2よりもサイズ(直径)の小さい成膜対象物に成膜を行う場合の図2に対応する図である。
本実施形態に係る成膜装置は、内部に真空室2が形成された気密容器3を有する。気密容器3の底部中央には排気口17が形成され、この排気口17に接続された図示しない真空排気系を介して、排気200が実行されることにより真空室2内は減圧される。
真空室2内の底部には、回転軸受け13を介して、回転テーブル8が回転可能に設けられている。回転テーブル8は例えばドーナツ状を呈し、その中央孔が排気口17の上方に位置している。回転テーブル8は、モータ15からの回転駆動力を受けて、中心C1のまわりに回転する。
回転テーブル8は、円周方向に沿って設けられた複数の成膜対象物の保持部6を有する。その保持部6には、例えば半導体ウェーハ、ガラス基板などの成膜対象物4a、4bが保持される。保持部6に保持された成膜対象物4a、4bは、回転テーブル8の回転により、円を描く軌跡で真空室2内を移動する。
気密容器3の上壁部(上蓋)には、スパッタ源11が設けられている。スパッタ源11には、複数のターゲット9a、9bを保持するバッキングプレート、ターゲット9a、9bに電力を印加する電極などが具備され、また、必要に応じてマグネット、冷却機構などが適宜具備される。ターゲット9a、9bは、成膜対象物4a、4bへの成膜材料からなり、例えば円板状を呈する。
スパッタ源11は、回転テーブル8の回転によって移動する成膜対象物の保持部6の移動経路に対向する位置で自転可能に設けられている。すなわち、スパッタ源11は、自らの中心軸C2のまわりに回転可能となっている。ターゲット9a、9bは、真空室2内に臨み、保持部6及びこれに保持された成膜対象物4a、4bの移動経路に対向している。各ターゲット9a、9bは、スパッタ源11の自転中心C2を挟んで配置されている。なお、スパッタ源11の自転中心は、自らの中心位置からオフセットしていてもよく、さらに2つのターゲット9a、9b間の中心位置であることにも限らない。
なお、スパッタ源は、成膜対象物の保持部6の移動経路に沿って複数個設けてもよい。また、1つのスパッタ源に具備されるターゲットの個数は3個以上でもよい。また、複数のターゲットの材料を異ならせて、成膜対象物に複合膜、あるいは異なる材料の多層膜を形成する構成であってもよい。
回転テーブル8が回転されると、保持部6に保持された成膜対象物4a、4bは円を描く軌跡で移動され、スパッタ源11に対向する位置を通過するときに、ターゲット9a、9bからスパッタされた粒子が付着して成膜を受ける。そして、その膜厚分布100は、例示した如くである。
図5は、ターゲット9のサイズ(平面寸法)に対して、成膜対象物4aのサイズ(平面寸法)すなわち成膜対象エリア110が大きい場合の膜厚分布(実線の太線)100を表す模式図である。
ターゲット9に対して成膜対象物4aのサイズが大きくなると、成膜対象物4aにおいてターゲット9に対向しない外側部分に膜が付かなくなり、膜厚の面内均一性が悪くなる。
図6は、ターゲット9のサイズ(平面寸法)に対して、成膜対象物4bのサイズ(平面寸法)すなわち成膜対象エリア110が小さい場合の膜厚分布(実線の太線)100を表す模式図である。
ターゲット9に対して成膜対象物4bのサイズが小さくなると、無駄な膜が形成されるエリア120が増える。つまり、成膜対象物4b以外の部分に付着する無駄な膜の量が増えるためターゲット9の利用効率が悪い。また、真空室2内の付着物は剥離すると成膜対象物を汚染し、さらにこれを防ぐため真空室2内をクリーニングする必要がありその手間がかかる。
成膜対象物のサイズに合わせて複数サイズのターゲットを用意し、これらターゲットを、異なるサイズの成膜対象物ごとに交換して成膜を行うとなると手間がかかり、生産効率の低下、またコストアップをまねいてしまう。
そこで、本実施形態では、スパッタ源11を回転(自転)させることで、成膜対象物に向き合うターゲット面積を変えられるようにしている。
比較的サイズの大きい成膜対象物4aに成膜を行う場合には、図2に表されるように、スパッタ源11の下を通過する成膜対象物4aの移動方向aに対して、2つのターゲット9a、9bの中心を結ぶ線bが交差(例えば図2では略直交)するようにする。
これにより、成膜対象物4aの外周側部分にもターゲット9a、9bが対向し、図1において点線で表されるような膜厚分布100が得られ、成膜対象物4aにおける膜厚の面内均一性が向上する。
一方、比較的サイズの小さい成膜対象物4bに成膜を行う場合には、図4に表されるように、スパッタ源11の下を通過する成膜対象物4bの移動方向aに対して、2つのターゲット9a、9bの中心を結ぶ線bが略平行になるようにする。
これにより、成膜対象物4bから外れて対向するターゲット面積の縮小が図れ、図3において点線で表される膜厚分布100のように、成膜対象物4b以外の部分に付着する無駄な膜を減らすことができ、ターゲットの利用効率が向上する。また、成膜対象物4b以外の部分に付着する膜による真空室2内の汚染も抑制でき、メンテナンスの頻度や手間を軽減できる。さらに、成膜対象物4bがターゲット9a、9bの下を移動する距離が長く、成膜対象物4bがターゲット9a、9bに対向している時間を長く確保できるので、成膜速度を速くできる。
なお、本発明は、図2及び図4に表した状態のみには限定されない。すなわち、図16に表すように、2つのターゲット9a、9bの中心を結ぶ線が、成膜対象物4aが移動する方向に対して略垂直でも略平行でもない傾斜した状態とした場合も本発明の範囲に包含される。成膜対象物の移動方向と、2つのターゲット9a、9bの中心を結ぶ線との角度は、成膜対象物のサイズに応じて適宜決めることができ、成膜対象物のサイズが大きいほど、成膜対象物の移動方向と、2つのターゲット9a、9bの中心を結ぶ線とは直交する状態に近づき、成膜対象物のサイズが小さくなるにつれて成膜対象物の移動方向と、2つのターゲット9a、9bの中心を結ぶ線とは平行な状態に近づけることができる。つまり、成膜対象物のサイズが中間的な場合には、成膜対象物の移動方向と、2つのターゲット9a、9bの中心を結ぶ線とは平行な状態でも直交する状態でもないことがある。
スパッタ源11の回転は、真空室2内が大気圧下、減圧下のどちらの状態で行ってもよく、また、真空室2内に成膜対象物がある状態で行っても、ない状態で行ってもよい。また、スパッタ源11の回転は、手動操作、自動操作のどちらで行ってもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、成膜対象物のサイズに応じて、複数のターゲットを具備したスパッタ源11を回転(自転)させるという簡単な構成にて、成膜対象物に向き合うターゲット面積を変えられるようにしているため、成膜対象物のサイズに合わせて複数サイズのターゲットを用意したり、それらターゲットを、異なるサイズの成膜対象物ごとに交換して成膜を行う必要がなく、生産効率の低下やコストアップを抑制できる。
また、回転テーブル8の外周側は内周側に比べて周長が長いため、成膜対象物は外周側の方が内周側よりも速くスパッタ源11の下を通過していき、外周側の方が内周側よりも成膜レートが低下する。すなわち、外周側の方が膜厚が薄くなりやすい。
これを防ぐためには、図7に表すように、スパッタ源11に保持された複数のターゲットのうち、成膜対象物4aの外周側に対向するターゲット9bを、成膜対象物4aの内周側に対向するターゲット9aよりも、成膜対象物4aに対して近づけることが有効である。
これにより、ターゲット9bからスパッタされた粒子が成膜対象物4aの外周側に到達するレートが速まり、図7において点線で表されるように膜厚分布100を内周側と外周側とで均一にすることができる。
あるいは、各ターゲット9a、9bへの印加電力を各ターゲットごとに制御可能とし、成膜対象物4aの外周側に対向するターゲット9bへの印加電力を、成膜対象物4aの内周側に対向するターゲット9aへの印加電力よりも大きくすることで、膜厚の面内均一化を図ってもよい。
なお、内周側と外周側とで、ターゲットと成膜対象物との距離を変えて、膜厚の面内均一化を図る場合には、2つのターゲット9a、9bへの印加電力をそれぞれ変えなくてもよく、2つのターゲット9a、9bへの印加電力を同じにした条件で、膜厚の面内均一性を向上できるので、製造上のプロセス設定を統一化でき、ターゲット寿命まで使い切る時間も同一となるため、生産管理も安易となる利点がある。
次に、図8は、例えば長方形状のターゲット9cを用いた場合における回転テーブル8とスパッタ源11との平面的な位置関係を表す模式図である。
図9は、図8よりもサイズ(直径)の小さい成膜対象物に成膜を行う場合の図8に対応する図である。
図8、9に表す具体例では、前述した自転するスパッタ源11に保持されるターゲットとして、平面形状が例えば長方形状のターゲット9cを用いている。スパッタ源11には、その長方形状のターゲット9cが1つだけ保持される。
本具体例においても、スパッタ源11を回転(自転)させることで、成膜対象物に向き合うターゲット面積を変えられるようにしている。
比較的サイズの大きい成膜対象物4aに成膜を行う場合には、図8に表されるように、スパッタ源11の下を通過する成膜対象物4aの移動方向aに対して、ターゲット9cの長手方向が略直交するようにする。これにより、成膜対象物4aの外周側部分にもターゲット9cが対向し、成膜対象物4aにおける膜厚の面内均一性が向上する。
比較的サイズの小さい成膜対象物4bに成膜を行う場合には、図9に表されるように、スパッタ源11の下を通過する成膜対象物4bの移動方向aに対して、ターゲット9cの長手方向が略平行になるようにする。これにより、成膜対象物4bから外れて対向するターゲット面積の縮小が図れ、成膜対象物4b以外の部分に付着する無駄な膜を減らすことができ、ターゲットの利用効率が向上する。また、成膜対象物4b以外の部分に付着する膜による真空室2内の汚染も抑制でき、メンテナンスの頻度や手間を軽減できる。さらに、成膜対象物4bがターゲット9a、9bの下を移動する距離が長く、成膜対象物4bがターゲット9a、9bに対向している時間を長く確保できるので、成膜速度を速くできる。
この具体例におけるターゲットの平面形状は、長方形に限らず、長さの異なる辺を有する角形状、あるいは長円形であっても、スパッタ源11の回転(自転)により、成膜対象物に向き合うターゲット面積を変えることができる。
また、本具体例においても、ターゲット9cの長手方向は、図8及び図9に表した状態のみには限定されない。すなわち、ターゲット9cの長手方向が、成膜対象物4bの移動方向aに対して略垂直でも略平行でもない傾斜した状態とした場合も本発明の範囲に包含される。ターゲット9cの長手方向と線aとの角度は、成膜対象物4bのサイズに応じて適宜決めることができ、成膜対象物4bのサイズが大きいほど、ターゲット9cの長手方向と線aとは直交する状態に近づき、成膜対象物4bのサイズが小さくなるにつれてターゲット9cの長手方向と線aとは平行な状態に近づけることができる。つまり、成膜対象物4bのサイズが中間的な場合には、ターゲット9cの長手方向と線aとは平行な状態でも直交する状態でもないことがある。また、スパッタ源11の自転中心は、自らの中心位置からオフセットしていてもよく、さらにターゲット9cの中心位置であることにも限らない。
[第2の実施形態]
図10、11は、本発明の第2の実施形態に係る成膜装置における要部構成の模式図である。
本実施形態では、鉛直方向に対して略平行な中心軸C1のまわりに回転可能に配設されたドラム状の回転テーブル18を用いている。この回転テーブル18の側面に、成膜対象物4、4cの保持部が設けられている。本実施形態においても、回転テーブル18が回転すると、成膜対象物4、4cは円を描く軌跡で移動し、その移動経路に対向して、平面形状が例えば長方形状のターゲット9dが配置されている。ターゲット9dは、上記第1の実施形態と同様、成膜対象物の移動経路に対向する位置で自転可能に設けられたスパッタ源(図示省略)に保持されている。なお、回転テーブル18は、角形ドラム状に限らず、円形ドラム状であってもよい。
本具体例においても、スパッタ源を回転(自転)させることで、成膜対象物に向き合うターゲット面積を変えられるようにしている。
例えば、図10に表されるように、回転テーブル18の側面に複数の成膜対象物4を縦方向に並べて保持した場合、ターゲット9dの長手方向を、成膜対象物4が並べられた縦方向にする。これにより、縦方向に並べられた複数の成膜対象物4のすべてにターゲット9dが対向し、回転テーブル側面(保持部)がターゲットに対向する位置を通過するときに、複数の成膜対象物4に同時に成膜を行え効率がよい。
また、図11に表されるように、例えば、長手方向を横に、短手方向を縦にして回転テーブル側面(保持部)に保持された長方形状の成膜対象物4cに成膜を行う場合には、ターゲット9dの長手方向、短手方向をそれぞれ成膜対象物4cの長手方向、短手方向に合わせる。これにより、成膜対象物4cのすべての成膜対象エリアをターゲット9dに対向させて、膜厚の面内均一化を図ることができると共に、成膜対象物4cから外れて対向するターゲット面積の縮小が図れ、成膜対象物4c以外の部分に付着する無駄な膜を減らすことができ、ターゲットの利用効率が向上する。
なお、ドラム状回転テーブル18を用いた本実施形態において、成膜対象物の移動経路に対向して複数のスパッタ源を配置してもよく、また1つのスパッタ源に複数のターゲットを保持させてもよい。
また、ドラム側面に保持される成膜対象物は1つでもよく、比較的サイズの小さい成膜対象物4bの場合には、図12に表すように、矩形状ターゲット9dの長手方向を成膜対象物4bの移動方向に対して略平行にして成膜速度の向上を図り、比較的サイズの大きい成膜対象物4aの場合には、図13に表すように、矩形状ターゲット9dの長手方向を成膜対象物4bの移動方向に対して略直交させて膜の面内均一性の向上を図ることができる。
また、スパッタ源の下で、成膜対象物を自転可能に配設してもよく、図14に表すように、比較的サイズの大きい成膜対象物4dの場合には、2つのターゲット9a、9bを成膜対象物4dの半径方向に並べて対向させて膜の面内均一性の向上を図ることができ、図15に表すように、比較的サイズの小さい成膜対象物4eの場合には、2つのターゲット9a、9bを成膜対象物4eの接線方向に並べて成膜速度の向上を図ることができる。なお、成膜対象物4d、4eの自転中心は、自らの中心でもよいし、自らの中心からオフセットした位置でもよい。
本発明によれば、簡単な構成で、成膜対象物のサイズに合わせて均一で効率のよい成膜を行え、また汚染の可能性が少なく、メンテナンス性も良い成膜装置及び成膜方法が提供される。
本発明の一態様によれば、成膜対象物の保持部を有し、真空室内に回転可能に設けられた回転テーブルと、前記回転テーブルの回転によって移動される前記保持部の移動経路に対向する位置で自転可能に設けられ、複数のターゲットが保持されるスパッタ源と、を備え、前記成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に小さい場合には、前記成膜対象物の移動方向に前記複数のターゲットが並ぶように前記スパッタ源の自転角度を設定し、前記成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に大きい場合には、前記成膜対象物の移動方向に対して交差する方向に前記複数のターゲットが並ぶように前記スパッタ源の自転角度を設定することを特徴とする成膜装置が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、成膜対象物の保持部を有し、真空室内に回転可能に設けられた回転テーブルと、前記回転テーブルの回転によって移動される前記保持部の移動経路に対向する位置で自転可能に設けられ、長円形状または長さの異なる辺を有する角形状のターゲットが保持されるスパッタ源と、を備え、前記成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に小さい場合には、前記ターゲットの長手方向が前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に平行または平行に近い状態になるように前記スパッタ源の自転角度を設定し、前記成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に大きい場合には、前記ターゲットの長手方向が前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に直交または直交に近い状態になるように前記スパッタ源の自転角度を設定することを特徴とする成膜装置が提供される。
また、本発明のさらに他の一態様によれば、真空室内に回転可能に設けられた回転テーブルの保持部に成膜対象物を保持し、前記回転テーブルの回転によって移動される前記保持部の移動経路に対向する位置で自転可能に設けられたスパッタ源を用いて前記成膜対象物に成膜を実行する成膜方法であって、前記スパッタ源に複数のターゲットを保持させ、前記スパッタ源を自転させることで前記成膜対象物の移動方向と前記複数のターゲットの並び方向との相対角度を変更し、前記保持部に保持される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に小さい場合には、前記成膜対象物の移動方向に前記複数のターゲットが並ぶようにし、前記保持部に保持される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に大きい場合には、前記成膜対象物の移動方向に対して交差する方向に前記複数のターゲットが並ぶようにすることを特徴とする成膜方法が提供される。
また、本発明のさらに他の一態様によれば、真空室内に回転可能に設けられた回転テーブルの保持部に成膜対象物を保持し、前記回転テーブルの回転によって移動される前記保持部の移動経路に対向する位置で自転可能に設けられたスパッタ源を用いて前記成膜対象物に成膜を実行する成膜方法であって、前記スパッタ源に長円形状または長さの異なる辺を有する角形状のターゲットを保持させ、前記スパッタ源を自転させることで前記成膜対象物の移動方向と前記ターゲットの長手方向との相対角度を変更し、前記保持部に保持される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に小さい場合には、前記ターゲットの長手方向を前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に平行または平行に近い状態にし、前記保持部に保持される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に大きい場合には、前記ターゲットの長手方向を前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に直交または直交に近い状態にすることを特徴とする成膜方法が提供される。

Claims (6)

  1. 真空室と、
    前記真空室内で回転可能に設けられた成膜対象物の保持部と、
    複数のターゲットを保持可能であり、前記成膜対象物に対する前記ターゲットの対向面積を可変すべく自転可能に設けられたスパッタ源と、
    を備えたことを特徴とする成膜装置。
  2. 前記スパッタ源に保持される少なくとも1つのターゲットの、前記保持部に対する距離が可変であることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記スパッタ源に保持される複数のターゲットへの印加電力を各ターゲットごとに制御可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 真空室と、
    前記真空室内で回転可能に設けられた成膜対象物の保持部と、
    長円形状または長さの異なる辺を有する角形状のターゲットを保持可能であり、前記成膜対象物に対する前記ターゲットの対向面積を可変すべく自転可能に設けられたスパッタ源と、
    を備えたことを特徴とする成膜装置
  5. 成膜対象物の保持部を有し真空室内に回転可能に設けられた回転テーブルと、前記回転テーブルの回転によって移動される前記保持部の移動経路に対向する位置で自転可能に設けられ少なくとも2つのターゲットが保持されたスパッタ源と、を用い、
    前記保持部に載置される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に小さい場合には、前記2つのターゲットの中心を結ぶ線を前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に平行に近い状態とし、
    前記保持部に載置される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に大きい場合には、前記2つのターゲットの中心を結ぶ線を前記保持部に載置された前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に直交に近い状態としつつ前記成膜対象物に成膜を実行することを特徴とする成膜方法。
  6. 成膜対象物の保持部を有し真空室内に回転可能に設けられた回転テーブルと、前記回転テーブルの回転によって移動される前記保持部の移動経路に対向する位置で自転可能に設けられ長円形状または長さの異なる辺を有する角形状のターゲットが保持されたスパッタ源と、を用い、
    前記保持部に載置される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に小さい場合には、前記ターゲットの長手方向を前記保持部に載置された前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に平行に近い状態とし、
    前記保持部に載置される成膜対象物が前記ターゲットに対して相対的に大きい場合には、前記ターゲットの長手方向を前記保持部に載置された前記成膜対象物の移動方向に対して相対的に直交に近い状態としつつ前記成膜対象物に成膜を実行することを特徴とする成膜方法。
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