JP2015063625A - 顔料分散剤、これを含む緑色顔料組成物、カラーフィルター用顔料組成物、カラーフィルター用分散レジスト組成物、及びカラーフィルター - Google Patents

顔料分散剤、これを含む緑色顔料組成物、カラーフィルター用顔料組成物、カラーフィルター用分散レジスト組成物、及びカラーフィルター Download PDF

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Masao Kawamorita
正雄 川守田
正剛 田中
Masatake Tanaka
正剛 田中
丈史 成瀬
Takefumi Naruse
丈史 成瀬
加藤 明
Akira Kato
加藤  明
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Abstract

【課題】カラーフィルター用緑色顔料として主に使用されるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンをその色表示域を変化させることなく、分散・安定化させるための分散剤の提供。
【解決手段】ピグメントグリーン36を28%発煙硫酸でスルホン化して合成される化合物、および式(2)で表わされるピグメントイエロー138を28%発煙硫酸でスルホン化して合成される化合物とを含有する顔料分散剤。

(ただし、式中のcは0.5〜3.0の数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、顔料分散剤、これを含む緑色顔料組成物、カラーフィルター用顔料組成物、カラーフィルター用分散レジスト組成物、及びカラーフィルターに関する。
世界のディスプレイ市場は年5%程度の成長が見込まれ、2016年には12兆円の巨大市場になると予想される。このディスプレイ中でLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)が80%強を占めることが見込まれる。
この拡大する市場においてLCDには低コストとともに、表示性能(色再現性、コントラスト、輝度等)の向上が要求される。LCDの表示性能にとって、光の3原色である、赤、緑および青からなるカラーフィルターの特性が重要となる。特に、前記3原色を形成するカラーフィルター用顔料は、LCDの性能を決める最重要材料の1つである。
このカラーフィルター用顔料は、表示性能のひとつである、コントラストを向上させるため、粒径の微細化と狭い粒度分布を有している。そのためカラーフィルター用顔料の分散・安定化は難しく、一般的に分散剤を使用する。この分散剤の性能は顔料のカラーフィルターとしての表示性能を大きく左右する。
前記カラーフィルター用顔料として、赤色にはPigment Red 254や177、緑色にはPigment Green 36や58(ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン)、青色にはPigment Blue 15:6などの顔料が主として使用される。しかし、これらの顔料は単独ではNTSC(National Television System Committee Standard)の色域に達しないため、例えば以下のような補正顔料の配合により色補正を行って使用されるのが一般的である。
(主顔料) (補正顔料)
赤色 P.Red 254 P.Yellow 138 又は P.Yellow 150
緑色 P.Green 58 P.Yellow 138
青色 P.Blue 15:6 P.Violet 23
主顔料および補正顔料はそれぞれの分散液を作製し、その後に混合して赤、緑、青のカラーレジストを作製する。ここで顔料の分散液を作製する際に顔料の分散・安定性を図るために、顔料分散剤が使用される。この顔料分散剤には各顔料構造体からの誘導体(例えば顔料のスルホン化物、その塩、顔料のスルホンアミド等)が使用されることが多い。
しかし、P.Green 58であるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンでは芳香族環の水素の殆どがハロゲンで置換されているため、P.Green 58の誘導体を合成することが難しい。
一方で、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは表示性能が高く、近年、カラーフィルター用緑色顔料の主流となっている(例えば、特許文献1〜4)。このポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、その分散・安定化が難しいことが知られている。そのため、このポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを分散・安定化させるため特許文献5〜7に示されるような様々な分散剤が提案されている。
特開2003−176424号公報 特開2004−70342号公報 特開2004−70343号公報 特開2008−19383号公報 特開2012−27496号公報 特開2008−248112号公報 特開2005−316244号公報
前記特許文献5〜7のようなこれまでの分散剤は、元顔料のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンと色相が全く異なるものであった。そのため、これらの分散剤は、元顔料の色表示域を変化させるため添加量が制限され、その結果、微細化されたポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを十分に分散・安定化することが出来なかった。また、前述のとおり、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンの誘導体を分散剤として合成することも難しかった。
本発明は、このような問題点に着目し、カラーフィルター用緑色顔料として主に使用されるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンをその色表示域を変化させることなく、分散・安定化させるための分散剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、P.Green 7(塩素化フタロシアニン)やP.Green 36(塩素化臭素化フタロシアニン)など、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンと化学構造が類似する化合物から得られる顔料誘導体が、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンの顔料分散剤として期待できることを見い出した。また、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンをカラーフィルター用の緑色顔料とするには前述のように黄色顔料により色補正を行って使用される。このことから、顔料分散剤自体の色相を最終的な緑色カラーフィルターの色域に近づけることで、カラーフィルターの表示性能を高められることを見出した。本発明は、これらの知見に基づき完成するに至ったものである。
すなわち本発明によれは以下の手段が提供される。
(1)下記の成分Aと成分Bとを含有する顔料分散剤。
成分A:一般式(1)で表わされる化合物、そのアンモニウム塩、アミン塩及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種
成分B:一般式(2)で表わされる化合物、そのアンモニウム塩、アミン塩及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種
(ただし、式中のMは銅、亜鉛、アルミニウム、錫またはチタニル(TiO)を示す。またXはハロゲン原子(塩素、臭素原子の何れか、あるいは両方含んでもよい。)を示す。aは10〜15の数である。bは0.5〜3.0の数である。)
(ただし、式中のcは0.5〜3.0の数である。)
(2)前記成分Aと前記成分Bとの質量比率が10/90〜90/10である(1)記載の顔料分散剤。
(3)(1)又は(2)に記載の顔料分散剤を含む緑色顔料組成物。
(4)前記顔料分散剤の含有割合が、顔料100質量部に対して1〜50質量部である(3)記載の緑色顔料組成物。
(5)(1)又は(2)に記載の顔料分散剤を含むカラーフィルター用緑色顔料組成物。
(6)(1)又は(2)に記載の顔料分散剤を含むカラーフィルター用黄色顔料組成物。
(7)(5)に記載のカラーフィルター用緑色顔料組成物、又は、(5)に記載のカラーフィルター用緑色顔料組成物及び(6)に記載のカラーフィルター用黄色顔料組成物を含有するカラーフィルター用分散レジスト組成物。
(8)(7)に記載のカラーフィルター用分散レジスト組成物からなる、前記顔料分散剤を緑色画素部に含有するカラーフィルター。
実施例及び比較例で用いられた顔料分散剤の透過スペクトルを示すグラフである。 実施例で用いられた顔料分散剤の異なる成分比率のものの透過スペクトルを示すグラフである。
まず、本発明の顔料分散剤について詳述する。
本発明の顔料分散剤は、前記の成分Aと成分Bとを含有する。成分Aは、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンと化学構造が類似する化合物の誘導体ないしその塩である。成分Bは、色補正として添加される黄色顔料の化合物と化学構造が類似する化合物の誘導体ないしその塩である。
本発明の顔料分散剤は、前記成分Aと成分Bとが複合化されたものであることがこのましい。「複合化」とは、前記成分Aと成分Bとが混合して相互に均一な溶融の状態になることをいい、典型的には、結晶の状態になることをいう。例えば、成分Aと成分Bとの分子レベルでの均一状態になることを意味する。複合化により、分散剤として分散効果即ち色特性に優れた特性を有する。前記顔料分散剤の態様としては、特に限定されないが、微粉砕した粉末状態が実際的である。また溶媒に溶解された状態でもよい。
以下、成分A及び成分Bについて説明する。
(成分A)
成分Aは、下記一般式(1)で表わされる化合物、そのアンモニウム塩、アミン塩及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
前記一般式(1)で表される化合物は、緑色を呈するフタロシアニン系顔料の化合物を通常の方法によりスルホン化して得ることができる。具体的にはスルホン化は後述の方法によりなされる。スルホン化剤として発煙硫酸、濃硫酸、クロロ硫酸などを用いることができる。
用いられる緑色を呈するフタロシアニン系顔料の化合物は、例えば、P.Green 7、10、36、37、58等が挙げられる。この化合物は、クロルスルホン酸法、ハロゲン化フタロニトリル法、塩化アルミニウム溶融法などの通常の方法により得ることができる。これらは、1種で又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。
一般式(1)中、Mは銅、亜鉛、アルミニウム、錫またはチタニル(TiO)を示す。
Xは、ハロゲン原子を示す。このハロゲン原子としては、塩素及び臭素原子のいずれかを含んでいてもよく、両方を含んでいてもよい。Xで表されるハロゲン原子は、一般式(I)で表される化合物中の4つのベンゼン環のいずれかに結合している。aは10〜15の数であり、より好ましくは12〜15の数であり、さらに好ましくは14〜15の数である。aが多いほど結合したハロゲン原子の数が多くなり、緑色が濃くなる。少なすぎると青みがかってしまう。また、Xとしては、塩素>臭素の順に緑色が濃くなる。
bは0.5〜3.0の数である。より具体的には、bは、一般式(1)で表される化合物に導入されたスルホン基の平均個数である。すなわち、所定の分子数の前記化合物に導入されたスルホン基の個数から求められる、1分子あたりの平均個数である。スルホン基を導入することでハロゲン化金属フタロシアニンの顔料誘導体となって顔料の表面に吸着し易くなり、分散剤としての性能を発揮するようになる。この観点から、bは、0.5〜2.0がより好ましく、1.0〜1.5がさらに好ましい。少なすぎると、分散剤としての効果が少なくなり好ましくない。多すぎると、極性が高くなり過ぎ、顔料表面に吸着しにくく、分散剤としての効果が小さくなり好ましくない。
(スルホン基の個数の測定方法)
一般式(1)におけるスルホン基の個数は、硫黄の元素分析の方法により測定することができる。
(成分B)
成分Bは、下記一般式(2)で表わされる化合物、そのアンモニウム塩、アミン塩及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
一般式(2)で表される化合物は、黄色を呈する顔料化合物を通常の方法によりスルホン化したものである。具体的にはスルホン化は後述の方法によりなされる。スルホン化剤として発煙硫酸、濃硫酸、クロロ硫酸などを用いることができる。
前記黄色顔料の化合物としては、例えば、例えばC.I.ピグメントイエロー(PY)1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、126、127、128、129、138、139、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、199等が挙げられる。なかでも、輝度が高い、又は、顔料が少量で済み薄膜化に適している点から、PY83、138、139、150、185が好ましく、特にPY138、150、185が好ましい。これらは、1種で又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
一般式(2)式中のcは0.5〜3.0の数である。より具体的には、は、一般式(2)で表される化合物に導入されたスルホン基の平均個数である。すなわち、所定の分子数の前記化合物に結合されたスルホン基の個数から求められる、1分子あたりの平均個数である。スルホン基を導入することで黄色顔料の顔料誘導体となって、分散剤としての性能を発揮するようになる。この観点から、bは、0.5〜3.0がより好ましく、1.0〜1.5がさらに好ましい。少なすぎると、分散剤としての効果が少なくなり好ましくない。多すぎると、極性が高くなり過ぎ、顔料表面に吸着しにくく、分散剤としての効果が小さくなり好ましくない。
なお、スルホン基の個数の測定方法は、前述の成分Aにおける方法を用いることができる。
成分A及び成分Bはそれぞれ、前記一般式(1)及び一般式(2)で表わされる化合物のアンモニウム塩、アミン塩及び金属塩であってもよい。これらの塩であることで、成分A及び成分BのpHを中性付近にすることが可能となる。ただし、K、Naで代表されるアルカリ金属類はそのイオンがカラーフィルターから液晶へ溶出し液晶セルの電圧保持率を低下させる恐れがあるので好ましくない。
一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物とアンモニウム塩またはアミン塩を形成するアミンとしては、例えば、(モノ、ジまたはトリ)アルキルアミン類、置換または未置換のアルキレンジアミン類、アルカノールアミン類、アルキルアンモニウムクロライドおよびアンモニアなどが挙げられる。また、一般式(1)で表される化合物と金属塩を形成する金属としては、例えば、Ca、Ba、Al、Mn、Sr、MgおよびNiなどの多価金属が挙げられる。
(本発明の顔料分散剤の製造方法)
本発明の顔料分散剤の製造方法の好ましい1例について説明する。
例えば、まず、緑色顔料粉末を濃硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸又はそれらの混合液に溶解し、室温ないし所定温度(80〜110℃)に加熱し攪拌する。これにより一般式(1)で表される化合物となるスルホン化がなされる。次いで、温度を60℃程度に下げ黄色顔料粉末を加えて溶解する。溶解を確認後さらに攪拌する。これにより一般式(2)で表される化合物となるスルホン化がなされる。
その後、30℃程度まで冷却し、次いで多量の水(あるいは氷水)に希釈する。この時、スルホン化された化合物は互いに混合して結晶化し、懸濁状態となる。
次いで、得られた懸濁液を濾過後、水洗し、ウェットケーキの水分を十分絞った後、水に再度解こうし、1〜3時間程度攪拌する。この操作(水分散〜ろ過)を合計複数回(例えば3回程度)繰り返し、硫酸等を十分に取り除く。これにより、溶液の、本発明の顔料分散剤を得ることができる。
さらに前記溶液を、乾燥し、粉砕することにより、固体の、本発明の顔料分散剤を得ることができる。
前記方法における温度や時間は適宜設定することができる。また、上記のように一般式(1)及び一般式(2)におけるスルホン化を連続的に行うほか、別々にスルホン化処理して化合物を得て最後に複合化する方法であってもよい。
なお、上記の製造方法において、得られたスルホン化物を、前述のアミンや金属と反応させ、成分A及びBの一部ないし全部を塩としてもよい。
前述した一般式(1)の「b」及び一般式(2)の「c」の数の調整は、スルホン化条件(酸濃度、温度、時間)を変えることで調整できる。一般式(1)の「a」の数は塩素化の条件(温度、ハロゲン量等)により調整できる。
本発明の顔料分散剤は、化学構造の類似性から、分散の難しいハロゲン化亜鉛フタロシアニンに吸着し易い。吸着した顔料分散剤による立体障害等により、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンの粒子同士の分散性及びその安定性が高まる。また、化学構造の類似性からハロゲン化亜鉛フタロシアニンと色相が近い。そのため、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンの色表示域を変えずに、添加量を増やすことができる。このことが、緑色顔料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニンの分散・安定性をさらに高める。
加えて、本発明の顔料分散剤は、成分A及び成分Bの含有量のバランスにより、それ自身の色相を種々の顔料組成物の色相に合わせて適宜調製することができる。これにより、特に、カラーフィルターの緑色画素部の色域(黄色により色補正された緑色の色域)に近い顔料分散剤とすることができ、カラーフィルターの表示性能の向上に資する。すなわち、カラーフィルターの緑色画素部に必要な分光透過スペクトルを、本発明1の顔料分散剤が実現し、顔料とともに緑色画素部の表示性能を高める。
また、カラーフィルター用の緑色分散レジスト組成物の調製においては、本発明の顔料分散剤は、緑色顔料及び色補正で用いられる黄色顔料の両方の分散剤として作用する。
(成分Aと成分Bとの質量比率)
本発明の顔料分散剤において、成分Aと成分Bとの質量比率は、分散させる顔料の種類や成分比率に合わせて適宜決めることができる。特に、顔料分散剤自体の分光透過スペクトルが、カラーフィルターに形成される緑色画素部に最適なものとなる比率であることが好ましい。具体的には、緑色に必要とされる480〜590nm波長領域での光の透過率(T%)が最も高く、この領域の透過率よりも周辺の波長領域の透過率が低くなることが好ましい。この観点から、成分Aと成分Bとの質量比率(A/B)は、20/80〜80/20が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。成分Aが少なすぎると黄色が強くなり、多すぎると青緑となり、各々に好ましくない。
(分光透過スペクトル)
前述のとおり、本発明の顔料分散剤は、緑色に求められる分光透過スペクトルを具備するものとなる。特に、成分Aと成分Bとの組み合わせにより、該顔料分散剤の分光透過スペクトルは緑色カラーラーフィルター用として主用に使用されるハロゲン化ゲン化亜鉛フタロシアニン(P.Green 58)の分光透過スペクトルと近似させる事が出来るので元顔料の色表示域を損なうことなく使用出来る特徴を有する。
(分光透過スペクトルの測定方法)
顔料分散剤1部、高分子活性剤 1部、アクリル樹脂 30部、シンナー 69部をガラス製の容器に入れ、ジルコニアビーズを加えペイントコンディショナーで1時間分散し顔料分散剤の分散液を作製する。また顔料分散剤を除いて、高分子活性剤 1部、アクリル樹脂 30部、シンナー 69部をガラス容器に入れ、同様に1時間分散する。これらを透明ポリプロピレンフィルムにアプリケーター(60μm)により展色する。シンナー揮発後、後者の顔料分散剤を含まないフィルムをブランクとして、顔料分散剤の分光透過スペクトルを分光光度計(島津UV−2450)で測定する。
(粒径)
顔料分散剤は使用時に溶媒に溶解あるいは半溶解した後に顔料表面に吸着すると考えられることから、その粒子径は特に限定されない。一般的には顔料誘導体の粒子径はカラーフィルター用顔料の粒子径に比べて大きく、0.1〜数ミクロンである。しかしその粒径が小さい方がより速く溶解あるいは半溶解し顔料表面に到達すると考えられる。そのため、顔料分散剤の粒子径は小さい方が好ましい。本発明の顔料分散剤の粒子径は体積平均径で0.1〜0.3μm程度が好ましい。尚、粒子径は動的光散乱法による粒度分析計(日機装社製 「Nanotrac 150」(商品名))により測定できる。
(本発明の緑色顔料組成物(顔料分散体))
本発明の緑色顔料組成物は、前記顔料分散剤を用いて、緑色顔料が分散したものであり、溶媒や樹脂等の添加物を含む。前記溶媒としては、エステル類;例えば酢酸エチル、ケトン類;例えばエチルブチルケトン、多価アルコール;例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、含窒素系溶剤;例えばジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
この緑色顔料組成物は、前記顔料分散剤の作用で、緑色顔料の分散・安定性に優れたものとなる。そして、カラーフィルター用緑色顔料組成物としたときに、緑色の分光透過特性に優れ、カラーフィルターの表示特性の向上に資する。
この緑色顔料組成物は、緑色顔料及び前記顔料分散剤のほか、この種の組成物の形成に用いられる溶媒や樹脂、その他の添加物を必要により含有していてもよい。また、緑色の色補正として、黄色顔料を含有していてもよい。特に、カラーフィルター用緑色顔料組成物とする場合、カラーフィルターを形成する際に露光等を行う関係から光重合開始剤等の感光性化合物を必須成分として含んでいる。
緑色顔料としては、特に制限はなく、通常の、緑色を呈するフタロシアニン系顔料を種々用いることができる。たとえば、P.Green 7、10、36、37、58等を用いることができる。中でも、P.Green 58で表されるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であることが好ましい。用いる緑色顔料は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、黄色顔料は、色補正として通常用いられるものを種々用いることができる。例えば、前記顔料分散剤の成分Bで述べた、黄色顔料などを用いることができる。この黄色顔料は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(分散・安定性)
本発明の緑色顔料組成物の分散・安定性は粘度により示すことができる。これは、分散体すなわち緑色顔料組成物の粘度が、分散状態によってさまざまに変化することによる。分散が進むと粘度は低下する傾向にあり、粘度の低さは分散度の高さを示す。
この緑色顔料組成物の粘度は、用いる顔料の種類や、顔料分散剤の成分比率(成分A/成分B)、顔料分散剤の含有割合、測定場所の気温、湿度等に左右される。しかし、本発明の緑色顔料組成物は、他の分散剤を用いる場合よりも低く抑えられ、かつその低い粘度が安定的に持続する。
例えば、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料のP.Green 58 17部に前記分散剤を3部加えた緑色顔料組成物の場合、分散直後の粘度は、10mP・s〜20mP・sの範囲となり、従来の顔料分散剤を使用したものよりも30〜50%粘度が低下する。また5日間放置後のこの顔料組成物の粘度は殆ど変化せずに安定した分散状態を維持する。
前述の緑色顔料組成物の粘度を低く抑えこれを安定的に持続させる観点から、元顔料である緑色顔料100質量部に対する前記顔料分散剤の含有量は、1〜50質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましく、5〜10がさらに好ましい。前記顔料分散剤の含有量が少なすぎると分散効果が低下し、多すぎると元顔料の色表示域を変化させる。また、本発明の緑色顔料組成物100質量部に対する前記顔料分散剤の含有量は、0.1〜7.5質量部が好ましく、0.3〜3.0質量部がより好ましく、0.5〜1.5がさらに好ましい。前記顔料分散剤の含有量が少なすぎると分散効果が低下し、多すぎると元顔料の色表示域を変化させる。
さらに前記顔料分散剤による分散・安定性の向上により、前記緑色顔料組成物中の元顔料の含有率を従来よりも向上させることができる。具体的には、前記緑色顔料組成物100質量部に対する元顔料の含有量は、従来の顔料分散剤を使用した場合、一般的に10〜15質量部使用されるのに対し、15〜20質量部とすることができる。
(粘度の測定方法)
緑色顔料組成物の粘度は、円錐・円板型粘度計である、東機産業(株)社製 E型粘度計(RE80)、ローターNo.0(3〜680mPa・s)を用い測定することができる。
(緑色顔料組成物(顔料分散体)の製造方法)
緑色顔料組成物(顔料分散体)は、前述の含有成分をこの種の物品に用いられる通常の分散機を用いて得られる。顔料は、通常、粉体の状態で一次粒子が凝集した二次粒子の状態(二粒粒子径は、通常1〜50μm)である。そのため、溶媒や、必要により樹脂等を添加した後、分散機を用いて顔料の二次粒子に剪断応力を印加し、一次粒子または小数の一次粒子の集合体の粒子に微細化する。その際、前記顔料分散剤のスルホン基の部分が微細化、分散化に貢献する。前記溶媒としては、エステル類;例えば酢酸エチル、ケトン類;例えばエチルブチルケトン、多価アルコール;例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、含窒素系溶剤;例えばジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
前記分散機としては、例えば、ペイントコンディショナー、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、3本ロールミル、アトライターなどが用いられる。分散ビーズの例としては、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、ガラスビーズなどが挙げられ、効率よく微細化するためには、特にジルコニアビーズを使用することが好ましい。分散条件としては、ジルコニアビーズのビーズ径、分散機の周速、分散時間等を適切に制御することで剪断応力を適当な大きさに調整でき、かつ、顔料の粗大粒子を効率よく微細化することができる。
(本発明のカラーフィルター用緑色顔料組成物及び黄色顔料組成物)
本発明のカラーフィルター用緑色顔料組成物及び黄色顔料組成物は、前述のとおり、カラーフィルターを形成する際に露光等を行う関係から光重合開始剤等の感光性化合物を必須成分として含んでいる。
カラーフィルター用緑色顔料組成物としては、前述の緑色分散組成物のとおり、色補正のための黄色顔料を含んでいてもよい。本発明の前記顔料分散剤が、成分A及び成分Bにより両方の顔料の分散剤として作用する。あるいは、カラーフィルター用緑色顔料組成物は、黄色顔料を含まず、色補正される前の組成物としてもよい。その場合、本発明の前記顔料分散剤を用いて、色補正のためのカラーフィルター用黄色顔料組成物を調製しておくことができる。
いずれのカラーフィルター用顔料組成物も、本発明の前記顔料分散剤を含有しているため、分散・安定性に優れ、カラーフィルター用の緑色画素部の表示性を向上させる。
前記感光性化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの様な1〜3官能性の各種アクリレートや、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等のその他のモノマーや、各種アルカリ可溶性樹脂等が挙げられる。
(カラーフィルター用分散レジスト組成物)
緑色のカラーフィルター用分散レジスト組成物は、後述のカラーフィルターの製造において、ガラス基板上に塗布され、露光で重合して塗膜を形成し緑色のサブ画素部となるものである。そのため、本発明の緑色のカラーフィルター用分散レジスト組成物は、元顔料及び前記顔料分散剤のほか、光重合開始剤等の感光性化合物を必須成分として含んでいる。また、ガラス基板への密着性の観点から、アルカリ可溶性樹脂などを含んでいてもよい。
本発明の緑色のカラーフィルター用分散レジスト組成物は、前記サブ画素部における緑色の色再現性の観点から、緑色顔料を黄色顔料で色補正したものであることが好ましい。すなわち、前述の色補正されたカラーフィルター用緑色顔料組成物、又は色補正されていないカラーフィルター用緑色顔料組成物とカラーフィルター用黄色顔料組成物とを調合してなるものである。いずれの場合でも、本発明のカラーフィルター用分散レジスト組成物は、前記顔料分散剤を含有しているため、分散・安定性に優れ、カラーフィルター用の緑色画素部の表示性(色再現性、輝度、コントラスト)を向上させる。
(カラーフィルター)
本発明の、前記顔料分散剤を含むカラーフィルター用分散レジスト組成物を用いて、カラーフィルターの緑色パターンを形成することができる。
カラーフィルターの製造方法としては、例えば、この本発明のカラーフィルター用分散レジスト組成物を、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等でガラス等の透明基板上に薄く均一に塗布し、ついでこの塗布膜に対して、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光(焼き付け)を行った後、未露光部分を溶剤等で洗浄して緑色パターンを得る、フォトリソグラフィーと呼ばれる方法が挙げられる。その他、電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法の方法で緑色パターンを形成して、カラーフィルターを製造してもよい。また、3原色(RGB)の他の色である赤色パターンおよび青色パターンも同様にして形成される。さらに、RGB上に透明樹脂による保護膜を必要に応じて形成してもよい。
このようにして得られたカラーフィルターは、本発明の前記顔料分散剤を含有する緑色画素部を有するため、緑色の優れた色表示特性(色再現性、輝度、コントラスト)を有する。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、下記の(1)〜(8)の工程により、本発明例としての顔料分散剤S1を調製した。次いで、この顔料分散剤S1を用いて、下記(9)の工程により、顔料分散液(顔料組成物)を調製した。以下、文中の組成を示す「部」及び「%」は質量基準である。
(1)Pigment Green 36顔料100部を28%発煙硫酸1000部中に溶解させた。
(2)その後105℃で7時間撹拌した。
(3)ここで反応状態を確認するため、反応液を一部分氷水中(以下の操作では水、氷はイオン交換水を使用した。)に取り出し、ろ過、水洗により硫酸分を十分に除いた後、乾燥して少量の反応確認用サンプルを得た。
サンプルは、前述の方法によって元素分析を行った結果、スルホン基の置換基の分子平均導入数が0.5に相当する結果が得られた。
(4)続いて温度を60℃に下げPigment Yellow 138顔料100部を加え溶解させる。溶解を確認後さらに60℃で1時間撹拌した。
(5)その後30℃以下まで冷却し、氷水30000部の中に取り出した。
(6)これをろ過、水洗を行いウェットケーキの水分を十分絞った後(水含有量65%)、水30000部に再度解こうし、1時間撹拌して、顔料分散剤濃度0.7%の分散液を得た。
(7)(6)の操作を合計3回繰り返し行い、硫酸分を十分に除いた。
(8)80℃で10時間乾燥後、Pigment Green 36のスルホン化物とPigment Yellow 138のスルホン化物の複合物(顔料分散剤S1)210部(固形分100%)を得た。
この複合物の前述の方法による元素分析を行った結果、スルホン基の平均置換基数は0.8であった(一般式(1)中のbは0.6であり、一般式(2)中のcは1.0であった。)。また、一般式(1)中のMは銅であった。一般式(1)中のXはハロゲン(臭素及び塩素)であり、その合計個数aは14.5であった。
(9)次いで、この顔料分散剤S1 2部と元顔料であるPigment Green 58 18部、高分子活性剤 4部、アクリル樹脂 30部、シンナー(多価アルコール)46部をガラス製の容器に入れ、ジルコニアビーズを加えペイントコンディショナーで1時間分散し顔料分散液(顔料分散組成物)を得た。この元顔料と顔料分散剤S1との比率は、前記元顔料100質量部に対して顔料分散剤S1約11質量部であった。
(実施例2)
前記実施例1の(9)の操作を、前記顔料分散剤S1を3部、元顔料であるPigment Green 58を17部とした以外は同様に行い、顔料分散液を得た。この元顔料と顔料分散剤S1との比率は、前記元顔料100質量部に対して顔料分散剤S1約17質量部であった。
(比較例1)
前記実施例1の(9)の操作を、顔料分散剤を加えず、元顔料であるPigment Green 58を20部とした以外は同様に行い、顔料分散液を得た。
(比較例2)
前記実施例1の(9)の操作を、前記顔料分散剤S1の代わりに顔料分散剤C1(Pigment Yellow 138スルホン化物、ダイワ化成(株)社製)を2部、元顔料であるPigment Green 58を18部とした以外は同様に行い、顔料分散液を得た。この元顔料と顔料分散剤C1との比率は、前記元顔料100質量部に対して顔料分散剤C1約11質量部であった。
(比較例3)
前記実施例1の(9)の操作を、前記顔料分散剤S1の代わりに顔料分散剤C1(Pigment Yellow 138スルホン化物、ダイワ化成(株)社製)を3部、元顔料であるPigment Green 58を17部とした以外は同様に行い、顔料分散液を得た。この元顔料と顔料分散剤C1との比率は、前記元顔料100質量部に対して顔料分散剤C1約17質量部であった。
(比較例4)
前記実施例1の(9)の操作を、前記顔料分散剤S1の代わりに顔料分散剤C2(ソルスパース5000;銅フタロシアニンスルホン酸の誘導体、ルーブルリゾール社製)を2部、元顔料であるPigment Green 58を18部とした以外は同様に行い、顔料分散液を得た。この元顔料と顔料分散剤C2との比率は、前記元顔料100質量部に対して顔料分散剤C2約11質量部であった。
(比較例5)
前記実施例1で(9)の操作を顔料分散剤C2(ソルスパース5000;銅フタロシアニンスルホン酸の誘導体、ルーブルリゾール社製)3部とPigment Green 58を17部とした以外は同様に行い、顔料分散液を得た。この元顔料と顔料分散剤C2との比率は、前記元顔料100質量部に対して顔料分散剤C2約17質量部であった。
(顔料分散液の粘度測定)
前記実施例1〜2及び比較例1〜5で得られた顔料分散液について、以下の方法で粘度を測定した。
分散液作製した直後(1時間)の顔料分散液と、40℃で5日間経過した後の顔料分散液の粘度を測定した。測定は東機産業(株)社製 E型粘度計(RE80)、ローターNo.0(3〜680mPa・s)を用い温度20℃で測定した。結果を表1に示す。
表1に示したように、実施例1及び2で用いられた本発明例の顔料分散剤S1は、Pigment Green 58の分散剤として使用したとき、比較例1〜5で用いられた顔料分散剤C1及びC2と比べて粘度が低く分散剤としての効果が認められた。この粘度は顔料の分散の程度を示す。すなわち、本発明例の顔料分散剤S1が比較例1〜5の顔料分散剤C1及びC2に比べて顔料の分散性に優れることが分かった。また、本発明例の顔料分散剤S1を用いた実施例1及び2顔料分散液では、5日後においても、粘度の上昇がなく安定していた。特に実施例2では粘度の低下がみられた。これに対し、比較例1〜5の顔料分散剤C1及びC2を用いた顔料分散液では、5日後の粘度が調製直後の粘度より上昇していた。このことから、本発明例の顔料分散剤S1が比較例1〜5の顔料分散剤C1及びC2に比べて分散した顔料の安定性に優れることが分かった。
(顔料分散剤の分光透過スペクトル)
実施例1及び2で用いられた顔料分散剤S1、比較例2及び3で用いられた顔料分散剤C1、並びに比較例4及び5で用いられた顔料分散剤C2をそれぞれ1部、高分子活性剤 1部、アクリル樹脂 30部、シンナー 69部をガラス製の容器にそれぞれ入れ、ジルコニアビーズを加えペイントコンディショナーで1時間分散し顔料分散剤の分散液を作製した。これを透明ポリプロピレンフィルムにアプリケーター(60μm)により展色した。シンナー揮発後、フィルムの分光透過スペクトルを前述の方法により測定した。結果を図1に示す。
図1に示したように、本発明例の顔料分散剤S1は、カラーフィルターの緑色として高透過率が必要とされる、480〜590nm波長領域の光の透過率(T%)が比較例の顔料分散剤C1及びC2と比べて明らかに高かった。一方、前記の領域外、すなわち480nm未満の領域及び590nm超の領域のいずれの波長についても、本発明例の顔料分散剤S1は、比較例の顔料分散剤C1及びC2と比べて、透過率(T%)が低く抑えられていた。すなわち、本発明例の顔料分散剤S1は、比較例の顔料分散剤C1及びC2と比べて、緑色の波長領域に好適な光透過性能を有することが分かった。
このことから、本発明例の分散剤S1は、カラーフィルターの緑色画素部に使用される元顔料(例えば、Pigment Green 58、Pigment Green 36、Pigment Green 7等)の色再現性を損なわない顔料分散剤であることが分かった。
さらに、本発明例の顔料分散剤S1について、一般式(1)の化合物(成分A)と一般式(2)の化合物(成分B)の複合比率を変えた場合の分光透過スペクトルを図2に示した。具体的には、成分A/成分Bの比率50/50の顔料分散剤S1に対し、成分A/成分Bの比率60/40の顔料分散剤S2と、成分A/成分Bの比率40/60の顔料分散剤S3を調製し、これらの分光透過スペクトルを前述の方法により測定した。
図2に示したように、一般式(1)の化合物(成分A)と一般式(2)の化合物(成分B)の複合比率を変えると、分散剤の分光透過スペクトルも変化していた。しかし、いずれの顔料分散剤も、緑色のカラーフィルターとしては480〜590nm波長領域の光の透過率が高く、それ以外の波長領域の光の透過率が低くなっていた。すなわち、本発明例の顔料分散剤S1、S2及びS3はいずれも緑色の波長領域に好適な光透過性能を有することが分かった。また、成分Aに対する成分Bの割合の増加により、透過率が上がることが確認された。
さらにこれらの顔料分散剤の分光透過スペクトルの変化について、透過率の最も高い560〜565nmの極大透過率(a)と、700〜705nmの極大透過率(b)の2点で捉え、これを下記の表2に示した。
本発明例の分散剤S1、S2及びS3の分光透過スペクトルはいずれも、560〜565nm(a)で最も高い透過率を示し、透過率の低く抑えられた波長領域の中で700〜705nm(b)に極大透過率が認められた。緑色カラーフィルターの分光透過スペクトルとしては(a)が高く(b)は低いことが好ましい。このことは(a)−(b)の差が大きいほうがより好ましいことを意味する。
上記結果では、いずれの顔料分散剤も(a)−(b)の差が45以上となっていた。特に成分A/成分Bの比を50/50にした顔料分散剤S1の(a)−(b)の差がより大きく、カラーフィルター緑色用の分散剤としてより好ましい分光透過スペクトルを示していた。
カラーフィルターに対する要求性能は増加の一方である。高輝度、高コントラスト、高色再現性の他に、最近では高色純度が求められる。このためカラーレジストにおける顔料濃度を高くすることが要求されている。本発明の顔料分散剤は、その添加量を増やすことが可能であり、高顔料分の緑色顔料分散体が得ることが可能となる。
さらに、本発明の顔料分散剤はオフセットインキ、グラビアインキ、塗料、プラスチック、トナー、インクジェット、捺染等の顔料分散剤としても優れた効果が認められる。すなわち、本発明の顔料分散剤を含有する顔料着色剤はカラーフィルター、印刷インキ、塗料、プラスチック、インクジェット、捺染用等の用途に有用である。特にカラーフィルター用に有用である。

Claims (8)

  1. 下記の成分Aと成分Bとを含有する顔料分散剤。
    成分A:一般式(1)で表わされる化合物、そのアンモニウム塩、アミン塩及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種
    成分B:一般式(2)で表わされる化合物、そのアンモニウム塩、アミン塩及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種
    (ただし、式中のMは銅、亜鉛、アルミニウム、錫またはチタニル(TiO)を示す。またXはハロゲン原子(塩素、臭素原子の何れか、あるいは両方含んでもよい。)を示す。aは10〜15の数である。bは0.5〜3.0の数である。)
    (ただし、式中のcは0.5〜3.0の数である。)
  2. 前記成分Aと前記成分Bとの質量比率が10/90〜90/10である請求項1記載の顔料分散剤。
  3. 請求項1又は2に記載の顔料分散剤を含む緑色顔料組成物。
  4. 前記顔料分散剤の含有割合が、顔料100質量部に対して1〜50質量部である請求項3記載の緑色顔料組成物。
  5. 請求項1又は2に記載の顔料分散剤を含むカラーフィルター用緑色顔料組成物。
  6. 請求項1又は2に記載の顔料分散剤を含むカラーフィルター用黄色顔料組成物。
  7. 請求項5に記載のカラーフィルター用緑色顔料組成物、又は、請求項5に記載のカラーフィルター用緑色顔料組成物及び請求項6に記載のカラーフィルター用黄色顔料組成物を含有するカラーフィルター用分散レジスト組成物。
  8. 請求項7に記載のカラーフィルター用分散レジスト組成物からなる、前記顔料分散剤を緑色画素部に含有するカラーフィルター。
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