JP2015060961A - 波長制御システムおよび波長制御方法 - Google Patents

波長制御システムおよび波長制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高精度かつ高速で波長を制御することができる波長制御システムおよび波長制御方法を提供する。【解決手段】波長制御システム100は、波長可変光源10が出力する光信号を第1〜第3光信号に分岐する分岐部と、第1エタロン31を透過した第1光信号に対して光電変換する第1受光素子51と、第1エタロンとFSRが等しく透過光強度のピーク波長が異なる第2エタロン32を透過した第2光信号に対して光電変換する第2受光素子52と、第3光信号に対する第3受光素子53と、下記式(1)または(2)係数=(PD1−A・PD3)/(PD2−B・PD3)・・(1)係数=(PD2−B・PD3)/(PD1−A・PD3)・・(2)(ただし、PD1〜PD3は第1〜第3受光素子の出力、AはPD3に対するPD1の比の平均値、BはPD3に対するPD2の比の平均値)のいずれかで求まる係数を用いて波長可変光源を制御する制御部と、を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、波長制御システムおよび波長制御方法に関するものである。
波長周期性を持った光フィルタを透過する光をモニタする第1のフォトダイオード、光フィルタに入射する全光パワーをモニタする第2のフォトダイオードを備え、これら2つのフォトダイオードの出力を用いて波長をモニタする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、単体のエタロンフィルタから振幅周期が相対的にπ/2ずれた2つの光透過特性を実現する光フィルタ手段を透過した2つの光ビーム出力をモニタする2つのフォトダイオードの出力を用いて波長をモニタする技術が開示されている(例えば、特許文献2,3参照)。
特開2001−308444号公報 特開2002−196131号公報 特開2002−202190号公報
特許文献1の技術では、透過特性の山または谷に相当する波長が不感帯となり、当該不感帯では波長をモニタすることが困難である。任意の波長をモニタするためには、エタロンフィルタの温度または角度を変えて透過特性の山または谷の位置をシフトさせる必要があり、高速動作が困難となる。特許文献2の技術では、不感帯をなくすためには両モニタ出力がオーバーラップして動作する領域が必要となる。しかしながら、当該領域においてフィルタ透過特性の微分係数(=モニタ感度)が小さくなってしまう。特許文献3の技術では、フィルタに入射する全光パワーをモニタしていないため、波長変動と光パワー変動を識別することができない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高精度かつ高速で波長を制御することができる波長制御システムおよび波長制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係る波長制御システムは、波長可変光源が出力する光信号を第1〜第3光信号に分岐する分岐部と、第1エタロンを透過した前記第1光信号に対して光電変換する第1受光素子と、前記第1エタロンとFSRが等しく透過光強度のピーク波長が異なる第2エタロンを透過した前記第2光信号に対して光電変換する第2受光素子と、前記第3光信号に対して光電変換する第3受光素子と、下記式(1)または(2)
係数=(PD1−A・PD3)/(PD2−B・PD3)・・・(1)
係数=(PD2−B・PD3)/(PD1−A・PD3)・・・(2)
(ただし、PD1は第1受光素子の出力、PD2は第2受光素子の出力、PD3は第3受光素子の出力、AはPD3に対するPD1の比の平均値、BはPD3に対するPD2の比の平均値)
のいずれかで求まる係数を用いて前記波長可変光源を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
前記制御部は、前記式のうち絶対値の小さい方を用いてもよい。前記制御部は、前記式を用いて前記波長可変光源をフィードバック制御してもよい。前記制御部は、前記フィードバック制御の開始前に、波長設定情報に応じて取得した初期値に基づいて前記波長可変光源を制御してもよい。前記初期値は、あらかじめ作成したテーブルに格納されていてもよい。前記第1エタロンおよび前記第2エタロンの透過光強度のピーク波長は、FSRの4分の1±10%の範囲で異なっていてもよい。
本発明に係る波長制御方法は、波長可変光源が出力する光信号を第1〜第3光信号に分岐し、第1エタロンを透過した前記第1光信号に対して第1受光素子で光電変換し、前記第1エタロンとFSRが等しく透過光強度のピーク波長が異なる第2エタロンを透過した前記第2光信号に対して第2受光素子で光電変換し、前記第3光信号に対して第3受光素子で光電変換し、下記式(1)または(2)
係数=(PD1−A・PD3)/(PD2−B・PD3)・・・(1)
係数=(PD2−B・PD3)/(PD1−A・PD3)・・・(2)
(ただし、PD1は第1受光素子の出力、PD2は第2受光素子の出力、PD3は第3受光素子の出力、AはPD3に対するPD1の比の平均値、BはPD3に対するPD2の比の平均値)
のいずれかで求まる係数を用いて前記波長可変光源を制御する、ことを特徴とする。
本発明によれば、高精度かつ高速で波長を制御することができる波長制御システムおよび波長制御方法を提供することができる。
比較例1に係る波長制御システムの構成例を示す図である。 エタロンの透過特性を表す図である。 比較例2に係る波長制御システムの構成例を示す図である。 第1エタロンおよび第2エタロンの透過特性を示す図である。 (a)は図4の2つの透過特性の微分係数を示したグラフであり、(b)は(a)の2つの微分利得の絶対値の大きい方をトレースすることによって得たグラフである。 実施例1に係る波長制御システムの全体構成を示す図である。 疑似正接関数X,Yを表す図である。 (a)は図7の疑似正接関数X,Yから求めた微分係数を示し、(b)は(a)の2つの微分利得の絶対値の小さい方をトレースすることによって得たグラフである。 波長制御の動作を表すフローチャートの一例である。 ステップS11の詳細を表す図である。 2つのエタロンの透過特性を表す図である。 2つのエタロンの透過特性を表す図である。
インターネットトラフィックの爆発的な増大に応える大容量光通信システムを実現するため、より効率の良い波長資源の利用が必要となっている。現在では、一定の100GHzまたは50GHz間隔で波長を並べて伝送する固定グリッド方式が主流である。しかしながら、ITU−T G.694.1で規定されているような6.25GHzの整数倍の波長の利用を許したフレックスグリッドシステムや、任意の波長を使用するグリッドレスシステムの導入が検討され始めている。
このようなシステムで使用される波長可変光源は、発振波長の安定化のため波長ロッカと組み合わせて使用されることが多い。この場合、波長ロッカで波長可変光源の出力波長をモニタし、そのモニタ出力を使って光源を負帰還制御することで出力波長を安定化させることができる。
図1は、比較例1に係る波長制御システム200の構成例を示す図である。図1に示すように、波長可変光源201が出力する単一波長光の一部がビームスプリッタ202に入射する。ビームスプリッタ202から出射される2分岐光のうち一方は、エタロン203を透過して第1受光素子204に入射し、他方は、エタロンを透過せずに第2受光素子205に入射する。エタロン203の透過特性は、周波数に対して周期的に変化する。エタロン203を用いることで、周波数変動が光強度変動に変化する。したがって、第1受光素子204の出力と第2受光素子205の出力との比を検出することによって、波長可変光源201の出力波長を検出することができる。
第1受光素子204の光電変換によって得られる電流信号は、TIA(トランスインピーダンス)206に入力される。TIA206は、第1受光素子204が出力する電流信号を電圧信号に変換し、演算回路208に入力する。第2受光素子205の光電変換によって得られる電流信号は、TIA207に入力される。TIA207は、第2受光素子205が出力する電流信号を電圧信号に変換し、演算回路208に入力する。演算回路208は、TIA206,207から入力される電圧信号に基づいて、波長可変光源201の出力波長を検出し、当該検出結果を用いて、波長可変光源201の波長を制御するための波長制御信号を波長可変光源201に入力する。それにより、波長可変光源201の波長が所望の波長に制御される。
図2は、エタロン203の透過特性を表す図である。図2の実線で示すように、エタロン203の透過光強度のピークは、周波数に対して周期的に表れる。周波数変動を強度変動に変換するためには、透過特性のスロープ部分(例えばA点)を使って波長をモニタすることが望ましい。周波数に対する強度変動が大きいからである。
50GHz固定グリッドシステムにおいてFSR(自由スペクトル領域)=50GHzのエタロンを使用すれば、すべての波長でほぼ同じスロープ特性を利用することができる。この際、エタロン203は波長基準(周波数基準)となるよう正確な特性を持つことが要求される。エタロン203の透過特性は温度に応じて変化するため、所望の透過特性が得られるように、エタロン203の温度は、例えば温度制御装置209によって一定に制御される。温度制御装置209は、例えばTEC(Thermo Electric Cooler)であり、ペルチェ素子を含む。
波長制御システム200をフレックスグリッドシステムやグリッドレスシステムに適用しようとすると、例えば、波長モニタ位置が図2の点Bにずれることがある。エタロン203の透過特性の山あるいは谷の部分では、周波数変動を強度変動に変換する微分利得が小さくなる。このような領域では波長制御が困難となる(あるいはこのような領域は不感帯となる)。
波長制御システム200においてこのような不感帯を無くすためには、エタロン203の温度を変える、あるいはエタロン203の角度を変えることで、エタロン203の透過特性を図2の実線から破線にずらす必要がある。これにより、波長モニタ位置がスロープ部分の点Cとなり、点Aと同様の微分利得が得られるからである。しかしながら、エタロン203の動作状態を変更するために、温度制御に時間を要する他、消費電力の点でも不利である。
また、設定可能な分解能を高めるためにエタロン203のFSRを小さくする(例えばFSR=12.5GHz)場合は、制御可能な範囲も狭くなってしまう。従って、あらかじめ設定する初期値を目標ロック点の近くにする必要があるなど、実現上の困難が増す。
このような課題に鑑み、比較例2に係る波長制御システム300が考えられる。図3は、波長制御システム300の構成例を示す図である。図3に示すように、波長可変光源301が出力する単一波長光の一部がビームスプリッタ302に入射する。ビームスプリッタ302から出射される2分岐光のうち一方は、ビームスプリッタ303に入射する。ビームスプリッタ303から出射される2分岐光のうち一方は、第1エタロン304を透過して第1受光素子305に入射し、他方は、第2エタロン306を透過して第2受光素子307に入射する。ビームスプリッタ302から出射される2分岐光のうち他方は、エタロンを透過せずに第3受光素子308に入射する。
第1受光素子305の光電変換によって得られる電流信号は、TIA309に入力される。TIA309は、第1受光素子305から入力される電流信号を電圧信号に変換し、スイッチ312に入力する。第2受光素子307の光電変換によって得られる電流信号は、TIA310に入力される。TIA310は、第2受光素子307から入力される電流信号を電圧信号に変換し、スイッチ312に入力する。第3受光素子308の光電変換によって得られる電流信号は、TIA311に入力される。TIA311は、第3受光素子308から入力される電流信号を電圧信号に変換し、演算回路313に入力する。スイッチ312は、波長設定情報に応じて、TIA309およびTIA310の出力電気信号のうちいずれか一方を演算回路313に入力する。
図4は、第1エタロン304および第2エタロン306の透過特性を示す図である。図4において、細線は第1受光素子305の出力を表す。太線は第2受光素子307の出力を表す。図4に示すように、第1エタロン304および第2エタロン306は、同じFSRを有している。第1エタロン304および第2エタロン306の透過特性は、周波数方向において、FSR/4(位相ではπ/2)ずれるように設定されている。それにより、第1エタロン304および第2エタロン306の透過特性の山および谷の位置は、重ならないようになる。こうすることで、例えば第1受光素子305の出力が第1エタロン304の透過特性の山あるいは谷に近くなった場合(不感帯になった場合)に第2受光素子307の出力を波長制御信号生成に用いればよい。逆に、第2受光素子307の出力が不感帯になった場合に第1受光素子305の出力を用いればよい。このような動作によって、全波長域で不感帯を無くすことができる。
図5(a)は、図4に示した2つの透過特性の微分係数を示したグラフである。図5(b)は、図5(a)の2つの曲線の微分利得の絶対値の大きい方をトレースすることによって得たグラフである。A→Bでは、第1受光素子305の出力(微分係数は正)を、B→Cでは第2受光素子307の出力(微分係数は正)を、C〜Dでは第1受光素子305の出力(微分係数は負)を、D→Aでは第2受光素子307の出力(微分係数は負)を使うことで微分利得の大きな箇所を使いながら波長制御が可能となる。スイッチ312は、外部からの波長設定情報に応じて、第1受光素子305および第2受光素子307のどちらの出力を使用するのか決定する。また、演算回路313は、当該波長設定情報に応じて、モニタ値の目標値を決定する。
しかしながら、この方式では同じ第1受光素子305の出力を使って波長制御する場合でも、微分係数が正になる場合および負になる場合があることによって、制御が複雑になる。また、点Aのように微分利得が決して大きくない点を使わざるを得ないという問題がある。なお、点Aと点Cとで対称性が見られないのは、エタロンの透過特性が完全な正弦関数とはならないためである。このような問題を回避するために、さらに位相がπ/2ずれた第3のエタロンを使うことが考えられる。しかしながら、その場合には、システムの規模が大きくなるという別の問題が発生する。
以下の実施例では、簡易な構成で高精度かつ高速で波長を制御することができる波長制御システムおよび波長制御方法について説明する。
図6は、実施例1に係る波長制御システム100の全体構成を示す図である。図6に示すように、波長制御システム100は、波長可変光源10、第1ビームスプリッタ21、第2ビームスプリッタ22、第1エタロン31、第2エタロン32、第1温度制御装置41、第2温度制御装置42、第1受光素子51、第2受光素子52、第3受光素子53、TIA61〜63、演算回路70などを備える。
波長可変光源10は、単一波長光を出力する光源である。波長可変光源10は、例えば、半導体レーザ、駆動回路、温度制御装置等を備える。波長可変光源10の出力波長は、演算回路70から入力される波長制御信号に応じて制御される。波長制御信号には、波長可変光源10を所望の波長で発振させるための駆動電流値、波長可変光源10の温度制御のための電流値、波長を変更するための信号等の情報が含まれている。波長可変光源10の出力光の一部は、第1ビームスプリッタ21に入射する。
第1ビームスプリッタ21から出射される2分岐光のうち一方は、第2ビームスプリッタ22に入射する。第2ビームスプリッタ22から出射される2分岐光のうち一方は、第1エタロン31を透過して第1受光素子51に入射し、他方は、第2エタロン32を透過して第2受光素子52に入射する。第1ビームスプリッタ21から出射される2分岐光のうち他方は、エタロンを透過せずに第3受光素子53に入射する。
第1エタロン31は、第1温度制御装置41上に配置されている。第2エタロン32は、第2温度制御装置42上に配置されている。第1温度制御装置41および第2温度制御装置42は、例えばTEC(Thermo Electric Cooler)であり、ペルチェ素子を含む。第1エタロン31の温度は、第1温度制御装置41によって制御される。第2エタロン32の温度は、第2温度制御装置42によって制御される。
第1受光素子51の光電変換によって得られる電流信号は、TIA61によって電圧信号に変換されて演算回路70に入力される。TIA61の出力を、以下、出力PD1と称する。第2受光素子52の光電変換によって得られる電流信号は、TIA62によって電圧信号に変換されて演算回路70に入力される。TIA62の出力を、以下、出力PD2と称する。第3受光素子53の光電変換によって得られる電流信号は、TIA63によって電圧信号に変換されて演算回路70に入力される。TIA63の出力を、以下、出力PD3と称する。
第1エタロン31および第2エタロン32は、同じFSRを有している。第1エタロン31および第2エタロン32の透過特性は、周波数方向において、FSR/4(位相ではπ/2)ずれるように設定されている。この透過特性のずれは、第1温度制御装置41および第2温度制御装置42の温度制御や、エタロンの配置角度等によって実現することができる。
図4で示したように、エタロンの透過特性は、疑似的に正弦波関数とみなすことができる。この透過特性の位相をπ/2(FSRの4分の1)ずらすことによって、疑似的に余弦波関数とみなすことができる。そこで、演算回路70は、出力PD1および出力PD2から、疑似正弦波関数および疑似余弦波関数を作り出す。そのために、第1エタロン31および第2エタロン32の反射率(エタロンのFinesse)を適正に設計することに加えて、出力PD1および出力PD2の波長平均値がゼロになるようにキャリブレーションする必要がある。
このキャリブレーションに出力PD3を使用する。具体的には出力PD1および出力PD2から両出力の波長平均値(図4の破線)を差し引くことで、それぞれ疑似正弦波関数および疑似余弦波関数を求める。波長制御システム100の運用中には出力PD1および出力PD2の波長平均を求めることができないため、予めモニタすべき波長範囲に渡って入力光波長をスキャンして出力PD3と出力PD1および出力PD2との比の平均値を求めておく。この比をそれぞれ定数Aおよび定数Bとしておくと、光入力レベルが変動した場合でもA×PD3およびB×PD3を計算することで、それぞれ出力PD1および出力PD2の波長平均値として求めることができる。なお、このキャリブレーションは、演算回路70の外側でアナログ回路により実現しても構わない。
疑似正弦波関数は、下記式(1)で表すことができる。疑似余弦波関数は、下記式(2)で表すことができる。なお、定数Aは下記式(3)で表すことができ、定数Bは下記式(4)で表すことができる。
疑似正弦波関数=PD1−A・PD3 (1)
疑似余弦波関数=PD2−B・PD3 (2)
Figure 2015060961
Figure 2015060961
疑似正弦波関数と疑似余弦波関数との比をとることで、疑似正接関数を求めることができる。疑似正接関数Xは、下記式(5)で表すことができる。疑似正接関数Yは、下記式(6)で表すことができる。なお、下記式(5)、(6)では、TIAの出力(電圧信号)を用いているが、第1受光素子51の出力をPD1とし、第2受光素子52の出力をPD2とし、第3受光素子53の出力をPD3としてもよい。
X=(PD1−A・PD3)/(PD2−B・PD3) (5)
Y=(PD2−B・PD3)/(PD1−A・PD3) (6)
図7は、疑似正接関数X,Yを表す図である。図7において、太字の「×」印が疑似正接関数Xを表し、細字の「×」印が疑似正接関数Yを表す。波長制御システム100では、点A→点B、点C→点DではYの値を、点B→点C、点D→点AではXの値を用いて波長制御すればよい。XおよびYのどちらの値を用いて波長制御するのかは外部からの波長設定情報により決定される。
図8(a)は、図7の疑似正接関数X,Yから求めた微分係数を示す。図5と比較すると大きな絶対値の微分係数が得られていることが分かる。また、Yの値を用いた場合は微分係数が正に、Xの値を用いた場合は微分係数が負に固定される。図8(b)は、図8(a)の2つの微分利得の絶対値の小さい方をトレースしたものである。このようにすることで、Xの値とYの値とを切り替えるポイントで利得が大きくなる。
なお、演算回路70として、デジタル技術を用いることが実際的である。AD(アナログ/デジタル)変換器を介して出力PD1〜PD3の信号をデジタル化し、FPGA(Field Programmable Gate Array)で演算をおこない、演算結果である波長制御信号をDA(デジタル/アナログ)変換器でアナログ信号にして、波長可変光源に印加する。FPGAを用いると高速に制御することが可能である。FPGAの代わりにCPU(中央演算処理装置)を使うこともでき、一般に速度は遅くなるが低コストで構成できる。
図9は、波長制御の動作を表すフローチャートの一例である。図9に示すように、演算回路70は、入力された設定波長情報に応じて、初期値テーブルを参照する(ステップS1)。表1は、初期値テーブルの一例を示す。
Figure 2015060961
表1に示すように、初期値テーブルでは、各初期波長と関連付けて、目標値と、疑似正接関数X,Yのうちフィードバック制御に用いる関数とが設定されている。また、初期値テーブルには、波長可変光源10を各初期波長で発振させるための駆動電流値、波長可変光源10の温度制御のための電流値、波長を変えるための信号、第1温度制御装置41および第2温度制御装置42の制御温度値等のデータも含まれている。一例として、各波長として、ITU−T G.694.1で規定されているような6.25GHzの整数倍の波長を用いることができる。
演算回路70は、一例として、設定波長情報に含まれる設定波長に最も近い波長の初期値を参照する。なお、初期値テーブルに格納されている初期値そのものを参照してもよいが、当該初期値に何らかの演算を施したものを取得してもよい。例えば、フレキシブルグリッドでは、6.25GHzの整数倍の全ての波長をテーブルとして保持するのは現実的でないので、間引いてもよい。その場合、間引かれた波長については、補間によって算出すればよい。
次に、演算回路70は、ステップS1で参照した駆動電流値、温度制御のための電流値などを波長制御信号として波長可変光源10に出力する(ステップS2)。波長可変光源10は、波長制御信号に従って光出力を行う。次に、演算回路70は、波長変更要求があったか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3で「Yes」と判定された場合、ステップS1から再度実行される。ステップS3で「No」と判定された場合、演算回路70は、出力PD1〜PD3を取得する(ステップS4)。次に、演算回路70は、疑似正接関数X,Yの値を測定値として演算によって求める(ステップS5)。その際に、演算回路70は、定数A,Bを用いる。
なお、演算回路70は、ステップS1〜S5と並行して、設定波長情報に従って、目標値SVを決定し、疑似正接関数X,Yのいずれを用いるか決定しておく(ステップS11)。図10は、ステップS11の詳細を表す図である。図10に示すように、演算回路70は、疑似正接関数X,Yのいずれを用いるか決定する。設定波長が周波数F1であれば、疑似正接関数Yを用いる。演算回路70は、周波数F1に近い初期波長F0に係る初期値を初期値テーブルから参照する。周波数F1が設定波長であれば、演算回路70は、目標値SVとして目標値SV1を演算によって求める。周波数F2が設定波長であれば、演算回路70は、目標値SVとして目標値SV2を演算によって求める。目標値は、設定波長情報から何らかのアルゴリズムを用いて求めてもよく、初期値テーブルに格納しておいてもよい。
次に、演算回路70は、ステップS5で得られた測定値と、ステップS11で得られた目標値SVとの間の誤差を算出する(ステップS6)。次に、演算回路70は、ステップS6で求めた誤差の絶対値が小さくなるように、フィードバック操作量MVを算出する(ステップS7)。例えばフィードバック操作量MVの絶対値が大きければ波長の修正量が大きいことを意味し、フィードバック操作量MVの絶対値が小さければ波長の修正量が小さいことを意味する。演算回路70は、フィードバック操作量MVの算出に、PID(Proportional Integral Derivative)定数を用いる。PID定数とは、PID制御の比例定数、積分定数、微分定数である。次に、演算回路70は、フィードバック操作量MVから、波長可変光源10への波長制御信号を算出する(ステップS8)。その後、ステップS2が実行される。設定波長情報が周波数F2に変更されれば、上記説明の目標値SV1が目標値SV2となり、同様の動作が行われる。
本実施例によれば、同一FSRで位相関係がπ/2ずれた2つのエタロン透過光パワー、および当該2つのエタロンに入力される全光パワーの3つの値を使い、波長に対して疑似正接関数的に応答するモニタ信号を生成することで精度の高い波長制御が可能となる。より具体的には、出力PD1〜PD3を使って疑似正接関数を計算することで全波長領域に渡って微分係数の大きなモニタが可能となる。また、設定波長ごとにエタロンの温度を変更する必要がないため、高速動作が可能となる。また、エタロン数を抑えることができるため、構成が簡易となる。
以上の説明ではフィードバック制御を繰り返して行うことを前提としたが、必ずしもそれに限らない。生じるドリフトが許容される条件下(ドリフト量が少ない、短時間のロックしか必要としない、など)では、フィードバック制御を繰り返すことは必須ではない。
上記説明では2つのエタロンの透過特性差がFSRの4分の1になるように、各々を温度制御するようにしているが、組み立て精度を高めるなど特性差を適切にあらかじめ調整することができれば必ずしも別々に温度制御する必要はない。同じ温度とすることも可能である。さらに、温度変化が許容できる条件下(温度変化が小さい、温度変化によるエタロンの特性変化が小さい、など)では、温度制御自体も不要である。
なお、2つのエタロンのFSRは同じであることが前提であるが、2つのエタロンの透過特性差は、必ずしもFSRの4分の1でなくてもよい。2つのエタロンの透過特性差は、0またはπとならないように異なっていればよい。ただし、2つのエタロンの透過特性差が大きくなると微分利得にばらつきが生じるようになる。
図11(a)は、2つのエタロンの透過特性差をFSRの4分の1から12%減とした場合の透過特性を表す図である。図11(b)は図11(a)の2つの透過特性の微分利得の絶対値を表し、図11(c)は図11(a)の特性の疑似正接関数X,Yを表し、図11(d)は図11(c)の微分利得の絶対値を表す。図11(d)に示すように、微分利得にばらつきが生じている。
図12(a)は、2つのエタロンの透過特性差をFSRの4分の1から12%増とした場合の透過特性を表す図である。図12(b)は図12(a)の2つの透過特性の微分利得の絶対値を表し、図12(c)は図12(a)の特性の疑似正接関数X,Yを表し、図12(d)は図12(c)の微分利得の絶対値を表す。図12(d)に示すように、微分利得にばらつきが生じている。
以上のことから、2つのエタロンの透過特性差がFSRの4分の1から10%を超えてずれると、微分利得にばらつきが生じるため、2つのエタロンの透過特性差は、FSRの4分の1±10%以内であることが好ましい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 波長可変光源
21 第1ビームスプリッタ
22 第2ビームスプリッタ
31 第1エタロン
32 第2エタロン
41 第1温度制御装置
42 第2温度制御装置
51 第1受光素子
52 第2受光素子
53 第3受光素子
61〜63 TIA
70 演算回路
100 波長制御システム

Claims (7)

  1. 波長可変光源が出力する光信号を第1〜第3光信号に分岐する分岐部と、
    第1エタロンを透過した前記第1光信号に対して光電変換する第1受光素子と、
    前記第1エタロンとFSRが等しく透過光強度のピーク波長が異なる第2エタロンを透過した前記第2光信号に対して光電変換する第2受光素子と、
    前記第3光信号に対して光電変換する第3受光素子と、
    下記式(1)または(2)
    係数=(PD1−A・PD3)/(PD2−B・PD3)・・・(1)
    係数=(PD2−B・PD3)/(PD1−A・PD3)・・・(2)
    (ただし、PD1は第1受光素子の出力、PD2は第2受光素子の出力、PD3は第3受光素子の出力、AはPD3に対するPD1の比の平均値、BはPD3に対するPD2の比の平均値)
    のいずれかで求まる係数を用いて前記波長可変光源を制御する制御部と、を備えることを特徴とする波長制御システム。
  2. 前記制御部は、前記式のうち絶対値の小さい方を用いることを特徴とする請求項1記載の波長制御システム。
  3. 前記制御部は、前記式を用いて前記波長可変光源をフィードバック制御することを特徴とする請求項1または2記載の波長制御システム。
  4. 前記制御部は、前記フィードバック制御の開始前に、波長設定情報に応じて取得した初期値に基づいて前記波長可変光源を制御することを特徴とする請求項3記載の波長制御システム。
  5. 前記初期値は、あらかじめ作成したテーブルに格納されていることを特徴とする請求項4記載の波長制御システム。
  6. 前記第1エタロンおよび前記第2エタロンの透過光強度のピーク波長は、FSRの4分の1±10%の範囲で異なっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の波長制御システム。
  7. 波長可変光源が出力する光信号を第1〜第3光信号に分岐し、
    第1エタロンを透過した前記第1光信号に対して第1受光素子で光電変換し、
    前記第1エタロンとFSRが等しく透過光強度のピーク波長が異なる第2エタロンを透過した前記第2光信号に対して第2受光素子で光電変換し、
    前記第3光信号に対して第3受光素子で光電変換し、
    下記式(1)または(2)
    係数=(PD1−A・PD3)/(PD2−B・PD3)・・・(1)
    係数=(PD2−B・PD3)/(PD1−A・PD3)・・・(2)
    (ただし、PD1は第1受光素子の出力、PD2は第2受光素子の出力、PD3は第3受光素子の出力、AはPD3に対するPD1の比の平均値、BはPD3に対するPD2の比の平均値)
    のいずれかで求まる係数を用いて前記波長可変光源を制御する、ことを特徴とする波長制御方法。
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