JP2015059777A - 炭素測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】分析計の流路内に侵入したCO2を速やかに排出し、キャリアガスの消費量も多くしない。【解決手段】TC反応管及びTC反応管への試料の出し入れのためのTC試料導入部を備えた試料加熱装置、キャリアガス供給部、及びTC反応管の下流に配置された検出器を備えた炭素測定装置を対象にしている。そこでは、TC試料導入部はTC反応管につながる内部空間が外部との間に開閉口をもっている。キャリアガス供給部はTC試料導入部の内部空間にキャリアガスを一定流量で供給するように構成されている。そして、TC反応管と検出器との間の流路に切換え機構を介して接続され、二酸化炭素吸収材を備えたバイパス流路を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、液体や固体などの試料の炭素成分を測定する炭素測定装置に関する。測定対象となるのは液体試料と固体試料である。液体試料としては、河川水、湖沼水、海洋水、雨水、地下水などの環境水、各種の試験や研究で発生する液体を挙げることができる。固体試料としては、土壌、堆積物、農畜産物、各種の試験や研究で発生する固体を挙げることができる。測定項目はTC(全炭素)、IC(無機炭素)又はTOC(全有機体炭素)である。
前処理のための装置として、液体や固体の試料を試料ボートに載せて加熱し、酸化又は蒸発を行う反応管を備えた試料加熱装置がある(例えば特許文献1を参照。)。
そのような試料加熱装置を備えた炭素分析計では、分析計の流路にキャリアガスと支燃ガスを兼ねるガスが常時一定流量で流されている。試料をセラミック製の試料ボートに載せ、それを高温に加熱された燃焼管に挿入することで試料中の有機物を燃焼して酸化分解し.そのとき発生するCO2量を赤外線式CO2量検出器で測定する(例えば非特許文献1参照。)。
特許第2531427号公報
島津評論, vol.50, No.4 (1994), p.467-472
分析計に試料を導入または排出する際は、試料導入部のカバーを開けるが、このカバーが開いている間に開口部から大気が分析計の流路内に侵入する。大気にはCO2が含まれているため、次の試料測定の際は試料を導入してから測定開始(すなわち、試料を燃焼管に挿入)するまでに、このCO2を分析計の流路から排出しておかなければならない。
その1つの方法は、このCO2をキャリアガス流によって分析計の流路から排出する方法(方法Aとする)である。しかし、方法Aでは測定開始前の待機時間が長く、そのため、測定時間が長くなってしまう。
他の方法は、試料導入部を介して試料を導入または排出し、試料導入部のカバーを閉じた後にキャリアガス流量を増加させることでCO2排出に必要な時間を短縮する方法(方法Bとする)である。しかし、方法Bではキャリアガス流量の変動によってCO2検出器出力が乱れるため、CO2排出後にCO2検出器出力の安定を待つ必要が生じ、結局この方法Bによっても測定時間が長くなる問題を解決することはできない。また、キャリアガスの消費量が多くなる問題もある。
通常、検出器出力を処理するデータ処理装置がベースライン上のピークやノイズ、ベースラインのふらつきなどを検出し、それらの値が所定の値以下にならなければ測定開始を指示しないので、この測定開始の指示が出るまでの時間が長くなると結果として測定時間が長くなるということである。
本発明は、分析計に試料を導入または排出する際に開口部から分析計の流路内に侵入したCO2を速やかに排出し、しかも測定時間を長くすることなく、かつキャリアガスの消費量も多くしないようにすることを目的とするものである。
本発明では、分析計流路において、測定用の流路に並列にCO2吸収材を備えたCO2除去用のバイパス流路を設け、キャリアガスがいずれかの流路を通るように切換え機構により切り換えるようにする。キャリアガスは流量を一定に保ったままとする。
本発明は、酸化触媒が充填されたTC反応管及びTC反応管への試料の出し入れのためのTC試料導入部を備えたTC測定用試料加熱装置、キャリアガス供給部、及びTC反応管の下流に配置され、TC反応管から送られてきたガス中の二酸化炭素を測定する検出器を備えた炭素測定装置を対象にしている。そこでは、TC試料導入部はTC反応管につながる内部空間が外部との間に開閉口をもっている。キャリアガス供給部はTC試料導入部の内部空間にキャリアガスを一定流量で供給するように構成されている。そして、本発明では、TC反応管と検出器との間の流路に切換え機構を介して接続され、二酸化炭素吸収材を備えたバイパス流路を備えている。
試料導入部を介して試料を導入または排出し、試料導入部の開閉口を閉じた後、切換え機構によって分析計流路を測定用の流路からCO2除去用のバイパス流路に切り換える。これにより、試料導入部の開口部から侵入したCO2がバイパス流路のCO2吸収材で吸収される。所定時間の経過後、再び切換え機構によって流路を測定用の流路に戻す。試料を導入した場合は、これにより測定を開始することができるので、測定開始までの待ち時間を短縮することができる。
これを方法Aと比較すると、測定を開始するには、方法AではCO2が分析計出口から排出されるのを待つ必要がある。分析計流路には遅延チューブなどの容積の大きな部品が遅延部として設けられていることが多く、仮に遅延チューブなどと称される独立した部品が配置されていなくても一般に分析計流路の容積は大きいため、CO2がこれらすべてを通過するのに長時間を要するうえ、通過中に流路内で拡散してCO2の分布が広がるので排出にさらに時間を要する。本発明では、CO2吸収材で吸収されるので、方法Aが必要とする待ち時間が短縮される。
方法Bでは方法AよりもCO2排出が加速されるが、キャリアガス流量を変化させることによるCO2検出器出力の変動は避けられない。本発明ではキャリアガス流量が変化しないので、CO2検出器出力の変動は生じない。キャリアガスの消費量も増えない。
一実施例を概略的に示すブロック図である。 同実施例を詳細に示すブロック図である。 他の実施例を詳細に示すブロック図である。
一実施形態では、切換え機構と前記検出器との間に、検出器へ被検出ガスが到達するのを送らせるための容量をもった遅延部が設けられている。遅延部としての独立した部品が設けられていなくても、一般に分析計流路の容積は大きいので、バイパス流路を設けたことにより測定開始までの待ち時間を短縮できる効果はある。遅延部が設けられている場合は分析計流路の容積はさらに大きくなるので、本発明によりバイパス流路を設けたことにより測定開始までの待ち時間を短縮できる効果はより顕著になる。
他の実施形態では、TC測定用試料加熱装置と切換え機構との間にIC測定用試料加熱装置が配置されている。IC測定用試料加熱装置は、酸化触媒が充填されていないIC反応管及びIC反応管への試料の出し入れのためのIC試料導入部を備え、IC試料導入部もIC反応管につながる内部空間が外部との間に開閉口をもっている。TC反応管の下流がIC試料導入部の内部空間につながっている。この実施形態の炭素測定装置はTCとICを測定してTOCを求めるTOC測定装置となる。
さらに他の実施形態では、切換え機構は自動で切り換えられる機構である。そして、さらに、TC試料導入部の開閉口の開閉を検知するセンサと、前記センサの検出信号を取り込み、TC試料導入部の前記開閉口が閉じられてから一定時間だけTC反応管からのガスがバイパス流路を流れるように切換え機構の切換え動作を制御する制御部と、を備えている。
さらに他の実施形態では、IC試料導入部の開閉口にもその開閉を検知するセンサが設けられている。その場合、制御部はIC試料導入部のセンサが作動したときは、そのセンサの検出信号を取り込み、IC試料導入部の開閉口が閉じられてから一定時間だけIC反応管からのガスがバイパス流路を流れるように切換え機構の切換え動作も制御するものとなる。
切換え機構が自動で切り換えられる機構であるこれらの実施形態では、TC反応管又はIC反応管からのガスがバイパス流路を流れてCO2が吸収され除去される時間を予め求めて制御部に保持しておくことにより、TC試料導入部又はIC試料導入部に試料を導入して開閉口を閉じてから測定を開始できるようになるまでの動作を自動化することができる。ガスをバイパス流路に流す時間は分析計の流路の径や長さ、キャリアガスの流量等により異なってくるが、予め実験により求めることができる。
図1と図2により一実施例を説明する。TC測定用試料加熱装置1は反応管(TC反応管)5を備えている。反応管5は例えば石英ガラス製であり、横向きに配置され、内部に酸化触媒19が充填されている。酸化触媒19は試料内の全ての炭素成分をCO2に変換するためのものであり、例えば白金酸化触媒を用いることができる。反応管5を所定の温度、例えば900℃に加熱するために、反応管5は横向きの筒状電気炉からなる加熱炉7内に収容されている。
試料加熱装置1には反応管5への試料の出し入れのために試料導入部(TC試料導入部)3が設けられている。試料導入部3は、キャリアガスが供給される内部空間15、及び試料ボート出入口開閉機構として試料ポートカバー17を備えている。試料ポートカバー17で開閉される試料ボート出入口が内部空間15と外部との間の開閉口である。
試料導入部3の内部空間15は反応管5につながっている。試料導入部3は反応管5への試料の出し入れのための試料ボート移動棒21を備えており、試料ボート移動棒21はその先端に試料ボートホルダ23を備えている。試料ボートホルダ23は試料ボート29を保持するためのものである。試料ボート移動棒21は、内部空間15内で試料ボートホルダ23上に設置された試料ボート29を反応管5内へ移動させ、また反応管5内から内部空間15内へ引き出すためのものである。試料ボート29は、例えばセラミック製である。
試料ボート移動棒21は内部空間15の外部から操作されるように配置されている。試料導入部3と試料ボート移動棒21との間には内部空間15の気密を維持するためにシール部材25が配置されている。シール部材25は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製Oリングである。この実施例では、試料ボート移動棒21は手動で操作するようになっている。しかし、試料ボート移動棒21をモータ駆動で移動できるようにし、後述の制御部48からの測定開始を指示する信号により試料ボート29を反応管5内へ移動させ、その後、所定の時間に所定の条件で試料ボート29を反応管5内から引き出すように、自動的に操作できるようにすることもできる。
反応管5が高温に加熱されることから、反応管5につながる試料導入部3が高温になるのを防ぐために、試料導入部3の下部には反応管5側の位置に冷却用のファン45が設けられている。
試料導入部3の内部空間15を経て反応管5にキャリアガスを供給するために、キャリアガス供給部37のキャリアガス供給口が内部空間15に接続されている。キャリアガス供給部37はキャリアガスが供給されるキャリアガス入口につながり、キャリアガス入口側から順に、供給されるキャリアガスの圧力を一定にする圧力調節弁60、流量を一定にするマスフローコントローラ62及び流量計64が配置されており、圧力調節弁60とマスフローコントローラ62の間に圧力計66が接続されている。キャリアガス供給部37は、試料導入部3の内部空間15にキャリアガスを一定流量、例えば500mL/分で連続して供給するように接定される。キャリアガスは、例えば支燃ガスを兼ねる酸素である。
反応管5の下流には、反応管5で発生した水を凝縮させる除湿部としてのコイル状冷却管39が配置され、冷却管39には冷却用のファン47が設けられている。冷却管39の下流に遅延部42としての遅延チューブが配置されている。遅延チューブ42の下流には遅延チューブ42を経たガス中のCO2を測定する検出器43が接続されている。検出器43は、例えば非分散形赤外線ガス分析計(NDIR)である。
遅延部42を設ける理由は次のようなものである。測定の際、試料を反応管5に導入すると試料中の炭素成分の急激な燃焼や試料に含まれる水分の急激な蒸発によってキャリアガスの圧力と流量が一時的に乱れる。後の実施例で示すIC反応管5Aでも同様の現象が起こる。検出器43がこの乱れの影響を受けている間にCO2測定を行うと、測定精度が低下したり、試料濃度と検出出力との間の直線性が低下したりするなどの悪影響がでる。このような影響を防ぐために、十分な容量をもったチューブや容器を接続することによって意図的に時間遅れを作り出すのが遅延部である。この作用により、キャリアガスが安定した後にCO2が検出器43に流入して正確な測定を行うことができるようになる。
冷却管39と遅延チューブ42との間の測定用流路49に切換え機構50としての三方電磁弁を介して、二酸化炭素吸収材を備えたバイパス流路51が接続されている。バイパス流路51は測定用流路49と並行に配置され、遅延チューブ42に至るまでに測定用流路49と合流するように設けられている。三方電磁弁50の切換えにより、キャリアガスは測定用流路49とバイパス流路51のいずれかを通って遅延チューブ42に至るように流れる。
二酸化炭素吸収材としては、例えば、ソーダライム、活性炭など、固体状でCO2吸収能力があれば特に限定されない。より短時間でCO2を吸収できるものほど好ましい。二酸化炭素吸収材をバイパス流路51に設ける形態は特に限定されないが、例えば二酸化炭素吸収材をチューブに充填したCO2吸収管52の形態となったものが取扱いの点から好都合である。この実施例では、ソーダライムをチューブに充填したCO2吸収管52を使用する。
三方電磁弁50は制御部48からの命令により自動で切換え動作を行う。そのために、試料導入部3の開閉口の開閉を検知するセンサ18が設けられ、制御部48はそのセンサ18の検出信号を取り込み、試料導入部3の開閉口が閉じられてから一定時間だけ反応管5からのガスがバイパス流路51を流れるように三方電磁弁50の切換え動作を制御するように構成されている。センサ18としては、試料ポートカバー17の動きを検知できるものであれば特に限定されない。例えば、ホトセンサ、磁気的なセンサ、マイクロスイッチなどを用いることができる。
制御部48はこの炭素測定装置の動作を制御するための専用の制御コンピュータにより実現してもよく、三方電磁弁50を制御するための専用のコンピュータとして実現してもよく、又は汎用のパーソナルコンピュータにより実現してもよい。
反応管5からのガスがバイパス流路51を流れる時間は、キャリアガス流量や流路のサイズに応じて予め実験で求め、制御部48に設定しておくことができる。その時間は、ガスがバイパス流路51を流れてCO2が吸収されるのに必要な時間で、最も短い時間に設定するのが好ましい。その時間は例えば20秒であるが、最適な時間を任意に設定することができる。
測定は次の手順で行う。試料をボート29に載せ、試料ポートカバー17を開けて試料導入部3の内部空間15内の試料ボートホルダ23上に置き、試料ポートカバー17を閉じる。試料ポートカバー17が閉じられたことはセンサ18で検知され、制御部48により三方電磁弁50が切り換えられてキャリアガスがバイパス流路51を流れるようになる。バイパス流路51にはソーダライムを充填したCO2吸収管52が接続されており、キャリアガスに含まれるCO2が吸収されて除去される
制御部48に設定された時間、この実施例では、例えば20秒が経過すると、制御部48からの命令により三方電磁弁50が切り換えられて、キャリアガスは測定用の流路49を流れるようになる。この時点で、制御部48は測定開始可能を示す何らかの指示を出す。例えば、この炭素測定装置の見やすい位置にランプを設けておき、制御部は測定開始可能を示す指示として、そのランプを点灯するようにすることができる。
オペレータは、その時点で試料ボート移動棒21を操作することで試料ボート29を反応管5内に挿入する。これによって試料中の炭素成分を燃焼酸化分解し、そのとき発生するCO2をキャリアガスの流れで検出器43に導いて検出する。検出器43では、流入するCO2をベースライン上のピークとして捉え、検出器43からの信号を受けた演算処理装置がその面積からCO2量を測定する。演算処理装置は、この炭素測定装置の動作を制御するための専用の制御コンピュータにより実現してもよく、検出器43の検出信号を演算処理するための専用のコンピュータとして実現してもよく、又は汎用のパーソナルコンピュータにより実現してもよい。この実施例では、炭素量としてTCが求められる。
CO2吸収管52が接続されたバイパス流路51を備えていない点を除いて、図2と同じ構成の炭素測定装置を用い、キャリアガス流量もこの実施例と同じ条件にして測定を行ったところ、試料ポートカバー17を閉じてから測定開始可能状態となるまでに約120秒の待ち時間を要した。測定開始可能状態になったときとは、ベースライン上のピーク、ノイズ及びベースラインのふらつきがそれぞれの所定の値以下になったときであり、検出器の信号を処理するデータ処理装置が判定をする。それに対し、この実施例ではその時間を20秒にすることができるので、測定時間を約100秒短縮することができる。
図3はこの炭素測定装置をTOC計に適用した第2の実施例を示す。TC測定用の試料加熱装置1とIC測定用の試料加熱装置35とを備え、試料加熱装置1と試料加熱装置35は直列に接続されている。
TC測定用の試料加熱装置1は図2を参照して説明したものと同じである。加熱炉7の炉温度は例えば900℃に設定される。キャリアガス供給部37から支燃ガスを兼ねるキャリアガス(酸素)が内部空間15へ連続的に例えば500mL/分の流量で導入される。キャリアガスが、TC用試料加熱装置1、冷却管39、除湿部41、IC用試料加熱装置35、再度除湿部41を経て、遅延部としての遅延チューブ42を経て検出器43に流れるように流路が構成されている。TC用試料導入部3と冷却管39にはそれぞれの冷却用ファン45,47が設けられている。
IC測定用の試料加熱装置35は、基本的には、TC測定用の試料加熱装置1と同じ構成であるが、反応管5Aは内部に酸化触媒は備えていない単なる石英管である。また、反応管5AはTC測定用の反応管5に比べて加熱温度は低温でよい。IC測定用の試料加熱装置35において、TC測定用の試料加熱装置1と同じ機能を果たす部分にはTC測定用の試料加熱装置1と同じ符号に「A」を付加して付されている。
IC測定用の試料加熱装置35において、試料が収容された試料ボート29Aは、試料導入部3Aの試料ボートカバー17Aが開けられて開閉口である試料ボート出入口から内部空間15A内へ入れられ、試料ボートホルダ23Aに搭載される。試料ボートカバー17Aが閉じられると、そのことがセンサ18Aにより検知され、制御部48により三方電磁弁50が切り換えられてキャリアガスがバイパス流路51に流される。キャリアガス中のCO2がCO2吸収管52の二酸化炭素吸収材に吸収される。所定の時間の後、測定開始が可能な状態になると、酸分注器53から試料ボート29内の試料に無機酸が添加される。酸を添加する操作は手動で行ってもよく、制御部48からの命令により自動で行うように構成することもできる。酸としては、不揮発性酸であるリン酸が好適である。
IC測定用の試料加熱装置35において、加熱炉7Aの加熱温度は、TC測定用の試料加熱装置1の加熱炉7に比べ比較的低温、例えば200℃であり、ここでは試料中のIC成分と酸との反応が促進され、さらには加熱による攪拌や追い出し作用を受けて、反応によって変換生成された二酸化炭素の気相への抽出が迅速に行なわれる。気相へ抽出されたCO2ガスはキャリアガスと共に除湿部41から遅延チューブ42を経て検出器43に導かれて、TC測定と同様に、試料中のICが測定される。IC測定用のキャリアガスは、キャリアガス供給部27からTC測定用の試料加熱装置1、冷却管39、除湿部41を経てIC用の試料導入部3Aの内部空間15Aへ供給される。
IC測定用の試料加熱装置35の温度は比較的低温であるため、TC測定用の試料導入部3を冷却するファン45に相当するものは試料導入部3Aには必須ではないが、設けてもよい。
この実施例では、切換え機構としての三方電磁弁50はIC測定用の反応管5Aと除湿器41との間の流路49に接続され、その流路49に並列にバイパス流路51が接続されている。バイパス流路51には二酸化炭素吸収材が充填されたCO2吸収管52が設けられている。キャリアガスは、三方電磁弁50により測定用流路49とバイパス流路51のいずれかを通って除湿器41から遅延チューブ42に至るように流路が切り換えられる。
この実施例の場合も三方電磁弁50の切換えはオペレータが手動で行ってもよいが、この実施例では、三方電磁弁50は制御部48からの命令により自動で切換え動作を行う。そのために、TC用の試料導入部3の開閉口の開閉を検知するセンサ18と、IC用の試料導入部3Aの開閉口の開閉を検知するセンサ18Aが設けられ、制御部48はそれらのセンサ18、18Aの検出信号を取り込み、いずれかの試料導入部3、3Aの開閉口が閉じられてから一定時間だけキャリアガスがバイパス流路51を流れるように三方電磁弁50の切換え動作を制御するように構成されている。
制御部48は、TC用の試料導入部3が使用されてTC測定がなされるときはセンサ18による検出信号に基づいて三方電磁弁50の切換え動作を制御し、IC用の試料導入部3Aが使用されてIC測定がなされるときはセンサ18Aによる検出信号に基づいて三方電磁弁50の切換え動作を制御する。TC用の試料導入部3が使用されるときもIC用の試料導入部3Aが使用されるときもキャリアガスの流量は同じであるが、それぞれの反応管5又は5Aから三方電磁弁50までの流路の長さが異なる。そのため、キャリアガスをバイパス流路51に流すように三方電磁弁50を切り換えるタイミングは、TC用の試料導入部3が使用されるときはIC用の試料導入部3Aが使用されるときよりも遅れるように設定するのが好ましい。しかし、その時間の差はそれほど大きくないときは、TC用の試料ボートカバー17が閉じられたときも、IC用の試料ボートカバー17Aが閉じられたことをIC用の試料導入部3Aのセンサ18Aが検知したタイミングでキャリアガスがバイパス流路51を流れるように三方電磁弁50を切り換え、TC用の反応管5から送られてきたキャリアガス中のCO2がすべてCO2吸収管52の炭素吸収材に吸収されるタイミングでキャリアガスが測定用の流路49を流れるように三方電磁弁50を切り換えるように、三方電磁弁50を切り換えるタイミングを制御部48に設定してもよい。
TC測定を行うときは、TC測定用の試料加熱装置1において試料導入部3の試料ポートカバー17を開いて、試料が収容された試料ボート29を内部空間15内の試料ボートホルダ23に搭載する。その後、試料ポートカバー17を閉じる。試料ポートカバー17が閉じられたことをセンサ18が検知すると、制御部48はセンサ18の検出信号に基づいて三方電磁弁50を切り換えてキャリアガスがバイパス流路51を流れるようにする。所定の時間経過後、制御部48は三方電磁弁50を切り換えてキャリアガスが測定用流路49を流れるようにするとともに、例えばランプを点灯させて測定を開始できることを知らせる。オペレータは試料ボート移動棒21を移動させて試料ボート29を反応管5内に挿入する。これでTC測定が開始される。
IC測定を行うときも動作は同じである。IC測定用の試料加熱装置35において試料導入部3Aの試料ポートカバー17Aを開いて、試料が収容された試料ボート29Aを内部空間15A内の試料ボートホルダ23Aに搭載する。その後、試料ポートカバー17Aを閉じる。試料ポートカバー17Aが閉じられたことをセンサ18Aが検知すると、制御部48はセンサ18Aの検出信号に基づいて三方電磁弁50を切り換えてキャリアガスがバイパス流路51を流れるようにする。所定の時間経過後、制御部48は三方電磁弁50を切り換えてキャリアガスが測定用流路49を流れるようにするとともに、この場合も例えばランプを点灯させて測定を開始できることを知らせる。オペレータは試料ボート移動棒21Aを移動させて試料ボート29Aを反応管5内に挿入する。これでIC測定が開始される。
測定終了後、演算処理装置において、TC測定値からIC測定値が引き算されることによりTOC値が求められる。
以上の実施例は、試料ポートカバー17,17Aが閉じられたことをセンサ18,18Aで検知して三方電磁弁50を自動で切り換えるようにしているが、センサ18,18Aを設けないようにすることもできる。その場合は、オペレータは試料ポートカバー17,17Aを閉じると三方電磁弁50に切換え信号を送って三方電磁弁50を切り換えてキャリアガスをバイパス流路51に流す。そして、所定の時間後、例えば20秒後にオペレータは再び三方電磁弁50に切換え信号を送って三方電磁弁50を元の状態に戻してキャリアガスが測定用の流路49に流れるようにする。その場合も、三方電磁弁50を切り換える操作をオペレータが行う手間がかかるが、従来よりも測定開始までの時間を短縮できる効果は達成できる。また、センサ18,18A及び制御部48が不要になる分だけ装置のコストが低下する。
三方電磁弁50は切換え機構の一例にすぎないので、オペレータが切換え操作を行うのであれば、切換え機構は電磁弁でなくてもよく、手動で切り換える機械的な切換え弁でもよい。
また、以上の上の実施例では、遅延部42を設けているが、本発明は、遅延チューブなどの遅延部としての独立した部品が設けられていない炭素測定装置も含む。
以上、本発明の実施例を説明したが、実施例における構成、配置、数値等は一例であり、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
1,35 試料加熱装置
3,3A 試料導入部
5,5A 反応管
7,7A 加熱炉
15,15A 内部空間
17,17A 試料ポートカバー
21,21A 試料ボート移動棒
29,29A 試料ボート
37 キャリアガス供給部
43 検出器
48 制御部
49 測定用流路
50 三方電磁弁
52 CO2吸収管

Claims (5)

  1. 酸化触媒が充填されたTC反応管及び前記TC反応管への試料の出し入れのためのTC試料導入部を備え、前記TC試料導入部は前記TC反応管につながる内部空間が外部との間に開閉口をもっているTC測定用試料加熱装置と、
    前記内部空間にキャリアガスを一定流量で供給するように構成されたキャリアガス供給部と、
    前記TC反応管の下流に配置され、前記TC反応管から送られてきたガス中の二酸化炭素を測定する検出器と、
    前記TC反応管と前記検出器との間の流路に切換え機構を介して接続され、二酸化炭素吸収材を備えたバイパス流路と、
    を備えた炭素測定装置。
  2. 前記切換え機構と前記検出器との間に、前記検出器へ被検出ガスが到達するのを送らせるための容量をもった遅延部が設けられている請求項1に記載の炭素測定装置。
  3. 前記TC測定用試料加熱装置と前記切換え機構との間にIC測定用試料加熱装置が配置され、
    前記IC測定用試料加熱装置は、酸化触媒が充填されていないIC反応管及び前記IC反応管への試料の出し入れのためのIC試料導入部を備え、前記IC試料導入部も前記IC反応管につながる内部空間が外部との間に開閉口をもっており、
    前記TC反応管の下流が前記IC試料導入部の内部空間につながっており、
    この炭素測定装置がTCとICを測定してTOCを求めるTOC測定装置となっている請求項1又は2に記載の炭素測定装置。
  4. 前記切換え機構は自動で切り換えられる機構であり、
    前記TC試料導入部の前記開閉口の開閉を検知するセンサと、
    前記センサの検出信号を取り込み、前記TC試料導入部の前記開閉口が閉じられてから一定時間だけ前記TC反応管からのガスが前記バイパス流路を流れるように前記切換え機構の切換え動作を制御する制御部と、をさらに備えている請求項1から3のいずれか一項に記載の炭素測定装置。
  5. 前記IC試料導入部の前記開閉口にもその開閉を検知するセンサが設けられており、
    前記制御部は前記IC試料導入部の前記センサが作動したときは、そのセンサの検出信号を取り込み、前記IC試料導入部の前記開閉口が閉じられてから一定時間だけ前記IC反応管からのガスが前記バイパス流路を流れるように前記切換え機構の切換え動作も制御するものである請求項4に記載の炭素測定装置。
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