JP2015059292A - 化粧板原紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、メラミン化粧板に用いる化粧板原紙であって、隠蔽性、耐候性及び印刷適性を有し、かつ十分な湿潤強度を有する化粧板原紙を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、木材パルプを主成分とした化粧板原紙であって、化粧板原紙は、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤とを連続して添加したパルプスラリーを抄紙することで得られ、化粧板原紙の縦目方向の湿潤強度は0.55kN/m以上であることを特徴とする化粧板原紙に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、建材や家具の内装材としての用途に適した化粧板原紙に関するものである。具体的に、本発明は、メラミン樹脂を含浸させて化粧層として使用する化粧板原紙であって、地合に優れ、十分な湿潤強度をもつ化粧板原紙に関する。
化粧板は建材や家具の内装材として広く用いられている。化粧板は、合板やパーティクルボード、繊維板等の各種基材の表面に化粧シートを貼り合わせたものであり、化粧シートを貼り合わせることにより、基材の目止めや表面保護と同時に美粧性が付与されたものである。化粧板には、天然木化粧板(突板化粧板)、メラミン化粧板、ジアリルフタレート(DAP)化粧板、ポリエステル化粧板、塩化ビニル化粧板、薄葉紙化粧板等の様々な種類があり、貼り合わせる化粧シートの素材や製造方法によって分類されている。
化粧板の中でもメラミン化粧板は、表面硬度が高く、耐汚染性、耐摩耗性、耐熱性に優れており、家具、天板、テーブル等の耐久性が必要とされるところで使用されている。メラミン化粧板は、メラミン樹脂を含浸させた化粧板原紙をコア基材に貼合することにより得られる。コア基材としては、繊維板(パーティクルボードやMDF)や、フェノール樹脂またはメラミン樹脂を含浸させたクラフト紙を幾層にも重ねあわせて、高温・高圧下で積層形成したプラスチック板を用いることができる。なお、表面に積層する化粧板用紙は、多くの場合、グラビア印刷等によって印刷層を設けた後、基材に貼り合わされる。
従来、化粧シートとしては、天然木を薄くスライスしたシート、塩化ビニル樹脂フィルム等の合成樹脂シート、又は合成樹脂を塗工含浸した化粧板用紙等が用いられていた。中でも、塩化ビニル樹脂フィルム等の合成樹脂シートは加工適性、印刷適性に優れているという利点を有していたため広く用いられていた。一方で、塩化ビニル樹脂フィルム等の合成樹脂シートは、燃焼時に有害な塩素系ガスが発生するため、環境への負荷が大きいという問題を抱えていた。このため、近年は、特に塩化ビニル樹脂フィルム代替材料として、紙を基材とした化粧板原紙が使用されるようになってきている。なお、上述したメラミン化粧板にも紙を基材とした化粧板原紙が用いられている。
しかし、紙製の化粧板原紙は塩化ビニル樹脂フィルムに比べて破断伸び率が小さいため、コア基材等への貼り付け加工工程において化粧板原紙の破断が生じ易いという欠点がある。特に、一旦平板上に接着した後に、その平板を折り曲げるVカット加工や、凹凸を有する被着基材の表面に接着するラッピング加工など、化粧板用紙の伸びを必要とする曲げ加工には不向きであった。
これらの問題を解決する方法として、特許文献1及び2には、木材パルプ等からなる紙基材に、溶液状の合成樹脂を含浸させ、伸びを付与する方法が開示されている。
また、表面に積層される化粧板原紙には、グラビア印刷等によって印刷層が設けられる場合がある。この場合、化粧板原紙は印刷適性を有することに加えて、コア基材を隠すための隠蔽性を有することも求められている。隠蔽性を向上させる方法としては、化粧板原紙に酸化チタンを抄き込むことが実施されている。例えば、特許文献3及び4には、二酸化チタンを含有した化粧板原紙が開示されている。特許文献3には、特定量のパルプ、二酸化チタン、凝結剤、湿潤紙力剤、及びポリビニルアミンからなるパルプスラリーを湿式抄紙し、灰分含量が35〜60重量%、3Dシートアナライザーで測定した地合指数が10以上の化粧板用原紙が開示されている。このような化粧板原紙を用いることにより、高速化に対応でき、歩留まりが良く、地合に優れ、化粧板としたときの遮蔽性を向上させることが提案されている。
特開平8−24639号公報 特開平9−67787号公報 特開2006−97198号公報 特開2011−106073号公報
上述したように、二酸化チタンを含有した化粧板原紙は、隠蔽性をある程度向上させることはできる。しかしながら、二酸化チタンを含有した化粧板原紙は、表面の平滑性が十分ではなく、地合が悪化するという問題があった。また、特許文献3のように地合指数を向上させたものであってもその改善効果は十分ではなく、さらなる改善が求められていた。なお、地合が悪化した化粧板原紙では、印刷適性が劣るため問題となる。
印刷適性を高めるためには、化粧板原紙をスーパーカレンダー等でプレス処理することが考えられる。しかし、強いプレス処理を行うと、紙の密度が高まり、メラミン樹脂が含浸しにくくなるため、平滑性を十分に出しつつもメラミン樹脂の含浸性を高めることは困難であった。
また、化粧板原紙にメラミン樹脂を含浸させる場合、化粧板原紙は十分な湿潤強度を有することが求められる。このため、メラミン樹脂を含浸させる化粧板原紙には、一般的に湿潤紙力増強剤が添加されている。しかし、湿潤紙力増強剤を添加すると、化粧板原紙の地合を悪化させる場合があり問題となっていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、メラミン化粧板に用いる化粧板原紙であって、十分な湿潤強度を有しつつも、優れた地合を有する化粧板原紙を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、木材パルプを主成分とし、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤とを含む化粧板原紙において、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を連続して添加することにより、湿潤強度を高めつつも、化粧板原紙の地合を改善できることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]木材パルプを主成分とした化粧板原紙であって、前記化粧板原紙は、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤とを連続して添加したパルプスラリーを抄紙することで得られ、前記化粧板原紙の縦目方向の湿潤強度は0.55kN/m以上であることを特徴とする化粧板原紙。
[2]前記二酸化チタンの含有率は前記化粧板原紙の全質量に対して15質量%以上45質量%未満であり、かつ前記化粧板原紙の全灰分量が45質量%未満であることを特徴とする[1]に記載の化粧板原紙。
[3]前記二酸化チタンの含有率は前記化粧板原紙の全質量に対して20質量%以上39.5質量%未満であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の化粧板原紙。
[4]3Dシートアナライザー(MKSystems社製)で測定したLWA(Low Weight Area) Intensity Indexが6.5以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化粧板原紙。
[5]縦目方向の引張強度が2.0kN/m以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化粧板原紙。
[6]JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に準じた王研式平滑度が30〜300秒であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の化粧板原紙。
[7]前記化粧板原紙の紙厚が50〜200μmであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化粧板原紙。
[8]木材パルプの懸濁液を白水希釈する工程と、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を添加する工程とを含み、前記二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を添加する工程は、前記白水希釈する工程の前もしくは、前記白水希釈する工程の後に設けられることを特徴とする化粧板原紙の製造方法。
[9]前記二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を添加する工程では、前記二酸化チタンと前記湿潤紙力増強剤が連続して添加されることを特徴とする[8]に記載の化粧板原紙の製造方法。
[10][8]又は[9]に記載の製造方法によって得られる化粧板原紙。
[11][1]〜[7]及び[10]のいずれか1項に記載の化粧板原紙にメラミン樹脂を含浸させたことを特徴とするメラミン樹脂含有化粧板原紙。
[12][11]に記載のメラミン樹脂含有化粧板原紙をコア基材に貼合して得られることを特徴とする化粧板。
本発明によれば、優れた地合を有する化粧板原紙を得ることができる。このため、本発明の化粧板原紙は、印刷適性に優れる。また、本発明の化粧板原紙は、十分な湿潤強度を有しており、メラミン化粧板の化粧板原紙として好ましく用いられる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(化粧板原紙)
本発明は、木材パルプを主成分とした化粧板原紙であって、酸化チタンと湿潤紙力増強剤を含む化粧板原紙に関する。化粧板原紙は、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤とを連続して添加したパルプスラリーを抄紙することで得られ、化粧板原紙の縦目方向の湿潤強度は0.55kN/m以上である。
これまで、湿潤紙力増強剤はパルプ繊維への定着を促すため、パルプ懸濁液を白水希釈する前に添加され、よく攪拌されていた。これにより、湿潤紙力を得ることとしていた。また、二酸化チタンは分散性を向上させるため、白水希釈後に添加されていた。すなわち、従来は、湿潤紙力増強剤をパルプ懸濁液に添加し、混合した後、白水希釈が行われ、その後、二酸化チタンが添加されることが行われていた。
一方、本発明の化粧板原紙の製造工程においては、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤は、連続して添加される。連続して添加するとは、白水希釈前後いずれかに、湿潤紙力増強剤と二酸化チタンを間をあけずに添加する方法である。湿潤紙力増強剤と二酸化チタンは、白水希釈前に連続して添加されてもよく、白水希釈後に連続して添加されてもよいが、白水希釈後に連続して添加されることが好ましい。なお、湿潤紙力増強剤と二酸化チタンは、白水希釈前後いずれかに、ほぼ同時に添加されてもよい。
なお、湿潤紙力増強剤と二酸化チタンを連続して添加する際には、湿潤紙力増強剤と二酸化チタンの添加時間の差は5分以内であることが好ましく、3分以内であることがより好ましく、1分以内であることがさらに好ましい。
本発明では、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤の添加方法を上記のような方法とすることにより、化粧板原紙の地合を改善し、湿潤強度の発現も向上させることができる。
二酸化チタンの含有率は、化粧板原紙の全質量に対して15質量%以上45質量%未満であることが好ましく、20質量%以上39.5質量%未満であることがより好ましく、30質量%以上39.5質量%未満であることがさらに好ましい。また、化粧板原紙の全灰分量は、45質量%未満であることが好ましい。二酸化チタンの含有率を上記範囲とし、かつ全灰分量の上限を規定することにより、化粧板原紙の隠蔽性及び耐候性を高めることができる。
本発明の化粧板原紙の3Dシートアナライザー(MKSystems社製)で測定したLWA(Low Weight Area) Intensity Indexは、6.5以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましい。3Dシートアナライザー(MKSystems社製)で測定したLWA(Low Weight Area) Intensity Indexは、地合を評価する指標であり、数値が小さいほど、地合が良好であることを意味する。
ここで、LWA Intensity Indexは、以下の方法によって測定することができる。測定装置には、M/K Systems, Inc.(MKS社)製の3Dシートアナライザー(M/K950)を用いる。測定面積は10×10cm2、測定数は256×256ピクセル、シートに直交して透過する白色光を直径0.5mmの絞りを通し、検出器によってサンプルの局部的な坪量差を光量差として測定する。
シートを透過した光は、64のクラス(坪量)に分級される。平均光学量のクラス(すなわち、最も多い度数をもつクラス)は、自動的にクラスナンバー32となる。LWAは、少なくとも0.44mm2の紙シートの部分にて、そこの光学量が平均光学量のクラスよりも2以上小さな坪量クラスに属する3つ以上のピクセルの集合とする。LWA内における最大光学量をもつピクセル(すなわち、最小の坪量ピクセル)部分の属するクラスナンバーと、平均光学量(クラスナンバー32)との差がLWA Intensity Indexとなる。
本発明の化粧板原紙の縦目方向の湿潤強度は、0.55kN/m以上であることが好ましく、0.60kN/m以上であることがより好ましく、0.65kN/m以上であることがさらに好ましい。湿潤強度を上記範囲内とすることにより、メラミンを含浸させる際の加工適性を向上させることができる。
湿潤強度は、幅15mm×縦目方向の長さ100mmに断裁した化粧板原紙を20℃のイオン交換水または蒸留水に10分間浸漬後、表面の余分な水を除き、JIS P 8135:1998「紙及び板紙−湿潤引張強さ試験方法」に準じて測定することができる。
本発明の化粧板原紙の縦目方向の引張強度は、2.0kN/m以上であることが好ましく、2.2kN/m以上であることがより好ましい。このように、本発明の化粧板原紙は、縦目方向の引張強度が強いため、化粧板原紙をロール状態で加工する場合、流れ方向の引張り特性に優れることから、テンション調整により破れる可能性が低減され、加工適性等を高めることが可能となる。なお、化粧板原紙の引張強度はJIS P 8113:2006 紙及び板紙−引張特性の試験方法−に準じて測定することができる。
本発明の化粧板原紙は、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に準じた王研式平滑度を30秒以上に制御することが好ましい。通常、化粧板原紙はグラビア印刷にて、単色、木目柄、抽象柄等が印刷される。グラビア印刷の網点再現性は、印刷される紙表面の平滑性に依存し、平滑性を上げると網点再現性も向上することが一般に知られている。平滑度を30秒以上とすることにより、グラビア印刷の仕上がりを良好なものとすることができる。なお、好ましい王研式平滑度の範囲は30〜300秒であり、特に好ましくは50〜200秒である。
また、本発明の化粧板原紙は、緊度を1.05以下に制御することが好ましい。緊度が1.05以下とすることにより、化粧板原紙にある程度のクッション性を持たせることができ、グラビア印刷を良好に行うことが可能となる。好ましい緊度の範囲は0.70〜1.05であり、特に好ましくは0.75〜1.00である。
本発明の化粧板原紙の紙厚は薄くても十分な隠蔽性を有する点に特徴がある。具体的には、本発明の化粧板原紙の紙厚は、50〜200μmであることが好ましく、60〜180μmであることがより好ましく、70〜150μmであることがさらに好ましい。化粧板原紙の紙厚を上記範囲内とすることにより、化粧板原紙の印刷適性を高めることもでき、化粧板との貼合状態を良好に保つことができる。
(木材パルプ)
本発明の化粧板原紙を抄造するのに使用する木材パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、古紙パルプを適宜混合して使用することが可能である。古紙パルプにはDIP、抄紙工程で発生する仕損品も含まれる。地合の均一性を考慮すると、LBKPの比率が多いほうが好ましい。例えば、LBKPとNBKPの混合比率は、3:1〜9:1とすることができる。また、必要に応じて任意の合成繊維や非木材繊維などを配合することが可能である。
本発明で用いる木材パルプの叩解度は、150〜500mlCSFであることが好ましい。これにより、紙層間強度を発現させることができる。また、透気度は30秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。透気度を上記範囲内とすることにより、メラミン樹脂の含浸性を高めることができ、含浸の均一性、作業効率を高めることができる。
本発明では、JIS P 8220:1998に記載のパルプ離解方法により離解して得られる離解パルプのJIS P 8121:1995に準拠する濾水度が300〜600mlCSFであることが好ましい。特に濾水度は、350〜500mlCSFであることがより好ましい。離解パルプの濾水度を上記範囲内とすることにより、加熱時の横方向の引張破断伸びを大きくすることができる。また、離解パルプの濾水度を上記範囲内とすることにより、繊維間の結合力を強くすることができ、層間剥離が生じることを抑制することができる。さらに、貼合工程やグラビア印刷工程において、熱風乾燥による収縮を抑制することが可能となり、シワ等の発生を抑制することができる。
本発明においては、化粧板原紙を離解して得られる離解パルプの重さ加重平均繊維長は0.6〜2.0mmであることが好ましく、0.6〜1.5mmであることがより好ましく、0.6〜1.0mmであることがさらに好ましい。離解パルプの重さ加重平均繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維間結合面積を広くすることができ、強度を保つことができるため、層間剥離を抑制することが可能となる。また、離解パルプの重さ加重平均繊維長を上記範囲内とすることにより、地合を良好にすることができ、貼合工程やグラビア印刷工程において、熱風乾燥による収縮を抑制することが可能となり、シワ等の発生を抑制することができる。
本発明において該化粧板原紙を離解して得られる離解パルプの繊維長分布係数は1.5〜4.0であることが好ましく、1.5〜3.0がより好ましく、1.5〜2.0であることがさらに好ましい。離解パルプの繊維長分布係数を上記範囲内とすることにより、繊維間結合面積を広くすることができ、強度を保つことがでるため、層間剥離を抑制することもできる。また、離解パルプの繊維長分布係数を上記範囲内とすることにより、地合を良好にすることができ、貼合工程やグラビア印刷工程において、熱風乾燥による収縮を抑制することが可能となり、シワ等の発生を抑制することができる。
ここで、繊維長分布係数とは、重さ加重平均繊維長(W)を数平均繊維長(M)で除した数値であり、下式で求められる値である。
繊維長分布係数=重さ加重平均繊維長(W)/数平均繊維長(M)
繊維長分布係数が大きい程繊維長分布の幅が広いことを示し、繊維長分布係数が小さい程繊維長分布の幅が狭いことを示す。なお、重さ加重平均繊維長、数平均繊維長はJAPAN TAPPI No.52:2000で規定された光学的自動計測法で測定された値である。
上記化粧板原紙からの離解パルプの重さ加重平均繊維長、繊維長分布係数、濾水度は、化粧板原紙を抄紙する際に使用するパルプの重さ加重平均繊維長、繊維長分布係数、濾水度と必ずしも一致しない。これは、化粧板原紙を抄紙する際に微細繊維の一部はワイヤーメッシュまたは網から抜けたり、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート(乾燥工程)での条件によって、パルプ繊維同士の凝集状態が変化することがあるためである。その他、ワイヤーパートに送られるまでの調成工程において、紙層間強度を向上させるため、又は歩留、地合を向上させるために、叩解したり、各種内添薬品を添加して、パルプ繊維同士で形成するフロックの大きさや形状を調整することにより変化する場合がある。
(二酸化チタン)
二酸化チタンの平均粒子径は、5〜500nmであることが好ましく、10〜400nmであることがより好ましく、20〜300nmであることがさらに好ましい。二酸化チタンの平均粒子径を上記範囲内とすることにより、化粧板原紙の隠蔽性を高めることができる。
二酸化チタンの含有率は、化粧板原紙の全質量に対して15質量%以上45質量%未満であることが好ましく、20質量%以上39.5質量%未満であることがより好ましく、30質量%以上39.5質量%未満であることがさらに好ましい。なお、パルプスラリーへの二酸化チタンの添加量は、パルプ量100質量部に対して、1〜150質量部とすることが好ましく、40〜120質量部とすることがより好ましい。
二酸化チタンは結晶型としてアナターゼ型とルチル型があるが、本発明においてはどちらの結晶型の酸化チタンも使用することができる。
本発明では、二酸化チタンとアンチモンをドーピングしたルチル型二酸化チタンを併用することとしてもよい。アンチモンをドーピングしたルチル型二酸化チタンとは、ルチル型二酸化チタンの表面にアンチモンを含有するルチル型二酸化チタンである。
本発明で用いることができるアンチモンをドーピングしたルチル型二酸化チタンとしては、例えば、特開2008−81578号公報、特開2007−9156号公報、特開平9−48931号公報、特開平2−214783号公報等に記載のような二酸化チタン粒子の表面に少なくとも緻密無水シリカを含む無水無機化合物被覆層、及びケイ素、ジルコニウム、チタン、スズ、アンチモン及びアルミニウムから選択される少なくとも1種の元素の含水酸化物である含水無機化合物被覆層をこの順に有する二酸化チタン顔料等を挙げることができる。また、アンチモンをドーピングしたルチル型二酸化チタンとしては、具体的には、堺化学社製R−3L等を例示することができる。
(湿潤紙力増強剤)
湿潤紙力増強剤としては、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、植物性ガム、ラテックス、ポリエチレンイミン等を例示することができる。特に、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂が、幅広いpH領域で使用可能であり、低添加量で高い湿潤紙力が得られることから本発明の湿潤紙力増強剤として好ましく用いることができる。
湿潤紙力増強剤に併せて、グリオキサール、ガム、マンノガラクタンポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール、澱粉、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、尿素樹脂等の紙力増強剤を使用してもよい。
湿潤紙力増強剤の含有率は、化粧板原紙の全質量に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.0質量%であることがより好ましく、0.3〜1.5質量%であることがさらに好ましい。パルプスラリーへの湿潤紙力増強剤の添加量は、パルプ量100質量部に対して、0.1〜5質量部とすることが好ましく、0.1〜2質量部とすることがより好ましく、0.1〜1質量部とすることがさらに好ましい。湿潤紙力増強剤の添加量を上記範囲内とすることにより、メラミンを含浸させる際の加工適性を向上させることができる。
(内添剤)
本発明において用いられる化粧板原紙に内添される填料としては、上述した二酸化チタン及び湿潤紙力増強剤の他に、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機顔料や、尿素・ホルマリン樹脂粒子、微小中空粒子等の有機顔料等を例示することができる。また、古紙や損紙等に含まれる填料も再使用できる。
化粧板原紙中にはパルプや填料の他に、内添サイズ剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、pH調整剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて添加することができる。内添サイズ剤の具体例としては、例えば、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系などが挙げられる。
歩留り向上剤としては、例えば、ポリアクリルアミド系化合物、ポリエチレングリコール系化合物、ポリビニルアミン系化合物が挙げられる。填料を二酸化チタンとする場合には、全体の歩留りが低下し生産性が低下しやすいため、生産性を維持するために適宜適当な歩留り剤を選択できる。
pH調整剤としては、硫酸バンド、塩化アルミニウム、硫酸、塩酸、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、水酸化カリウム、アンモニア、各種の第1級、第2級、第3級アミン等のアルカリ性化合物等が挙げられる。中でも、汎用性と経済性から硫酸バンド、硫酸、苛性ソーダが好ましい。
本発明においては、パルプ繊維に少なくとも填料、サイズ剤、歩留向上剤、pH調整剤を配合した紙料を抄紙することが好ましい。また、木目調や大理石の風合いを出すために黄色に着色することが通常実施されている。黄色の着色剤として、染料、顔料等の着色剤が好ましく用いられ、特に長期の光暴露において退色が少ないことから酸化鉄を着色剤として使用することが好ましい。
(化粧板原紙の製造方法)
本発明の化粧板原紙の製造方法は、木材パルプの懸濁液を白水希釈する工程と、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を添加する工程とを含む。二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を添加する工程は、白水希釈する工程の前もしくは、白水希釈する工程の後のいずれかの工程において設けられる。また、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を添加する工程では、二酸化チタンと前記湿潤紙力増強剤が連続して添加されることが好ましい。湿潤紙力増強剤と二酸化チタンは、白水希釈する工程の前に連続して添加されてもよく、白水希釈する工程の後に連続して添加されてもよいが、白水希釈する工程の後に連続して添加されることが好ましい。なお、二酸化チタンと前記湿潤紙力増強剤は、白水希釈前後いずれかに、同時に添加されてもよい。
本発明では、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤の添加方法を上記のような方法とすることにより、化粧板原紙の地合を改善することができる。
二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を添加する工程では、湿潤紙力増強剤を添加前後5分以内に二酸化チタンを添加することが好ましく、3分以内に添加することがより好ましく、1分以内に添加することがさらに好ましい。湿潤紙力増強剤と二酸化チタンを添加するまでの時間間隔を短くするにつれて地合が良化する傾向にある。
本発明の化粧板原紙の抄紙は、公知の湿式抄紙機、例えば長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の抄紙機を適宜選択することができる。次に、形成された紙層をフェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させる。ドライヤー乾燥前にプレドライヤー設備として、多段式シリンダードライヤーを有しても問題ない。
本発明においては、ドライヤー熱風の温度を100〜400℃の範囲、好ましくは150〜300℃の範囲にすることが好ましい。熱風の温度を上記範囲内とすることにより、ドライヤーの表面と紙間に発生する水蒸気を均一かつ迅速に蒸発させることができる。また、パルプの強度を低下させることがなく、表面の平滑性も良好に保つことができる。
また、ドライヤーフード内で発生する水蒸気の結露防止、熱効率の向上、アバタの発生防止のためには熱風を吹き付け、水蒸気を含んだ熱風を吸引する工程を少なくとも1回以上行う。通常、紙がドライヤーに貼りつく適正な水分が必要であり、その水分範囲は45〜65%であることが好ましい。水分範囲を適切な範囲とすることにより、乾燥工程をスムーズに行うことが可能となる。
ドライヤーに貼りつく適量の水分を紙が保有していても、乾燥工程で紙とドライヤーとの間に存在する水蒸気が不均一に蒸発し、結果としてアバタ(微小な光沢抜け)が発生する場合がある。このため、ドライヤーに貼りついた紙の水分を均一に且つ速やかに排除する必要がある。そこで、本発明では、水蒸気を含んだ熱風を吸引する工程を少なくとも1回以上行うことが好ましい。
また、本発明では、上記のようにして得られた化粧板原紙に、カレンダーにて表面処理を施し厚みプロファイルの均一化を図り、更なるグラビア印刷適性を付与させることとしてもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理を適宜施すことができるが、メラミン樹脂を含浸できるように、強いプレス処理や長時間のプレス処理を行わないことが好ましい。
カレンダーとしては特に規定するものではなく、マシンカレンダーや、チルドロールと弾性ロール(コットンロール)を多段に積重ねたスーパーカレンダー、弾性ロールに合成樹脂ロールを用いたソフトニップカレンダー等表面の平滑性を高めるものであればいずれでもよい。ソフトニップカレンダーは合成樹脂ロール表面の耐熱温度がコットンロールに比べて高く設定することが可能で、対となる金属ロールの温度を高温(50〜150℃)で処理することができ、同一の平滑性を目標とした場合、スーパーカレンダーに比べて処理線圧を低く設定できるので好ましい態様である。採用するカレンダーによって処理条件は左右されるが、線圧としては概ね10〜400Kgf/cm、より好ましくは10〜200Kgf/cmの範囲で処理される。
(メラミン樹脂含有化粧板原紙)
本発明の化粧板原紙には、メラミン樹脂やフェノール樹脂を含浸させることができる。中でも、本発明の化粧板原紙にメラミン樹脂を含浸させたメラミン樹脂含有化粧板原紙はメラミン化粧板に好ましく用いられる。なお、本発明で用いるメラミン樹脂としては、例えば、基本的には、メラミンとホルムアルデヒドを中性あるいはアルカリ性条件下で付加縮合反応させて得られる合成樹脂が使用可能であり、特開2001−1480号公報、特開2002−212389号公報、特開2008−73979号公報等に記載の樹脂が好ましく用いられる。
化粧板原紙にメラミン樹脂を含浸させる方法としては、メラミン樹脂の水溶液に化粧板原紙を10〜300秒程度浸漬する方法を挙げることができる。浸漬後は、余分な樹脂を掻き落とし、乾燥させることが好ましい。乾燥工程では、例えば、90〜180℃で1〜200分程度乾燥させることが好ましい。
メラミン樹脂含有化粧板原紙におけるメラミン樹脂の含浸率は、80〜180%であることが好ましく、100〜150%であることがより好ましい。ここで、メラミン樹脂の含浸率は、下記の式により算出することができる。
含浸率(%)={(含浸紙の絶乾重量)―(化粧板原紙の絶乾重量)}/(化粧板原紙の絶乾重量)x100
(化粧板)
本発明の化粧板は、メラミン樹脂含有化粧板原紙をコア基材に貼合することにより形成される。このようなメラミン化粧板は、表面硬度が高く、耐汚染性、耐摩耗性、耐熱性に優れており、家具、天板、テーブル等の耐久性が必要とされるところで使用されている。
コア基材には、合板、パーティクルボード、ハードボード、MDF、石膏ボード、各種セメント板又は鋼板を用いることができる。また、コア基材には、フェノール樹脂またはメラミン樹脂を含浸させたクラフト紙を幾層にも重ねあわせて、高温・高圧下で積層形成したプラスチック板を用いることができる。この場合、フェノール樹脂またはメラミン樹脂を上述した化粧板原紙に含浸させたものを幾層にも重ねあわせて、高温・高圧下で積層形成したプラスチック板を作成してもよい。また、このようなプラスチック板を繊維板に貼合してコア基材として用いてもよい。
化粧板原紙をコア基材と貼合する際には、100℃程度の加熱処理を施すことが好ましい。また、フェノール樹脂またはメラミン樹脂を含浸させたクラフト紙を幾層にも重ねあわせて用いる場合、これらのコア基材と化粧板原紙をプレス加工してもよい。この場合のプレス条件としては、例えば、圧力80〜120kg/cm2、温度150〜170℃、加熱時間1〜1.5時間とすることが好ましい。なお、本発明の化粧板原紙に関し、アンチモンをドーピングしたルチル型二酸化チタンを所定量含有させた場合、上記のような高温高圧条件下で処理を行った場合であっても、工程処理中に化粧板原紙が変色することが抑制される。
また、本発明においてはJIS P 8113:1998に準じて温度100℃、予備加熱時間1分での横方向の引張破断伸びを5%以上に制御することが好ましい。上記のように制御することにより、化粧板にVカット加工やラッピング加工を施す際に、化粧板原紙が破断することを抑制することができる。
化粧板には、コア基材と化粧板原紙に加えて他の機能を有する層を設けてもよい。例えば、耐摩耗性や耐薬品性を向上させ印刷模様を保護する目的で、メラミン樹脂含有化粧板原紙上にオーバーレイ紙を設けても良い。オーバーレイ紙は、一般的に高αセルロースパルプに湿潤紙力増強剤を多量に添加して抄造されており、夾雑物が少なく、透明性が高く、さらに薄くても含浸に耐え得る湿潤強度が要求される。
さらに、化粧板には、バランス紙やバリヤー紙等を設けてもよい。バランス紙は化粧板の裏面に設けられるものであり、化粧板全体の反りを抑制するために設けられる。また、バリヤー紙は、コア基材の色を遮蔽するために、設けられるものである。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
L−BKPとN−BKPを9:1で配合しフリーネス400mlCSFに叩解した3%パルプ懸濁液を準備した。パルプ100質量部に対し、硫酸バンド0.4質量部を添加し、希釈した後、二酸化チタンを60〜100質量部、ポリアミドエピクロルヒドリン系湿潤紙力増強剤WS−4024(星光PMC社製)を0.8質量部、ポリアミン系歩留まり向上剤カチオファストVSH(星光PMC社製)を0.04質量部添加し、化粧板原紙中の二酸化チタン含有率が35質量%の化粧板原紙を得た。なお、二酸化チタンを添加した後、ポリアミドエピクロルヒドリン系湿潤紙力増強剤を添加するまでの時間は30秒であった。
<実施例2>
実施例1の湿潤紙力増強剤の添加量を1.6質量部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、化粧板原紙を得た。
<実施例3>
実施例1のフリーネスを450mlCSFとした以外は実施例1と同様の操作を行い、化粧板原紙を得た。
<実施例4>
実施例1のフリーネスを450mlCSFとし、湿潤紙力増強剤添加量を1.6質量部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、化粧板原紙を得た。
<実施例5>
実施例1の湿潤紙力増強剤添加量を1.6質量部とし、湿潤紙力増強剤と二酸化チタンの添加順を変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、化粧板原紙を得た。なお、ポリアミドエピクロルヒドリン系湿潤紙力増強剤を添加した後、二酸化チタンを添加するまでの時間は30秒であった。
<実施例6>
実施例1の湿潤紙力増強剤添加量を1.6質量部とし、湿潤紙力増強剤と二酸化チタンを希釈前に連続添加とした以外は実施例1と同様の操作を行い、化粧板原紙を得た。
<実施例7>
実施例1の湿潤紙力増強剤0.8質量部を希釈前に添加し、0.8質量部を希釈後に添加した以外は実施例1と同様の操作を行い、化粧板原紙を得た。
<比較例1>
実施例1の湿潤紙力増強剤添加を希釈前とした以外は実施例1と同様の操作を行い、化粧板原紙を得た。なお、ポリアミドエピクロルヒドリン系湿潤紙力増強剤を添加した後、二酸化チタンを添加するまでの時間は10分であった。
<比較例2>
実施例1の湿潤紙力増強剤添加を希釈前とし、添加量を1.6質量部とした以外は比較例1と同様の操作を行い、化粧板原紙を得た。
<比較例3>
実施例1の湿潤紙力増強剤添加を希釈前とし、フリーネスを400mlCSFとした以外は比較例1と同様の操作を行い、化粧板原紙を得た。
(評価)
実施例及び比較例で得られた各化粧板原紙は、以下の方法にて評価を行った。
(1)DDA真空値
DDAは、パルプスラリーをワイヤー下から減圧することによりシートを形成させる。シート形成までの真空値の経時変化を測定する。真空値は最終的には安定値に達する。より密なシートでは透気性が悪く真空値は高くなる。したがって、真空値が大きいと地合は良好となる。
(2)LWA Intensity Index
手抄きシートを作成し、3Dシートアナライザー(MKSystems社製)にて測定した。3Dシートアナライザーは、光透過型光学式地合計であり、地合が良好なものは、LWA Intensity Indexの値が低い。
(3)湿潤強度
化粧板原紙の湿潤強度は、幅15mm×縦目方向の長さ100mmに断裁した化粧板原紙を20℃のイオン交換水または蒸留水に10分間浸漬後、表面の余分な水を除き、JIS P 8135:1998「紙及び板紙−湿潤引張強さ試験方法」に準じて測定した。
(4)引張強度
化粧板原紙の引張強度はJIS P 8113:2006 紙及び板紙−引張特性の試験方法−に準じて測定した。
(5)平滑度
化粧板原紙の平滑度は、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に準じて測定した。
Figure 2015059292
表1から明らかなように、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を希釈後の連続添加した実施例1〜7では良好な地合が得られている。実施例3、4ではフリーネスをあげ、実施例4、5では湿潤紙力増強剤を増添しているが、LWAはいずれも6.5以下となった。一方、希釈前に湿潤紙力増強剤を添加し、希釈後に二酸化チタンを添加し、連続添加を行わなかった比較例1〜3の地合は低位で、LAWも6.5以上となった。
なお、実施例7では湿潤紙力増強剤を分割して添加し、湿潤紙力増強剤とチタンの一部を連続添加しなかった。実施例7では、やや地合が劣るものの、良好な地合が得られた。
また、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を連続添加した実施例1及び3では湿潤紙力剤0.8質量部でも湿潤強度0.55kN/m以上であるが、連続添加を行わなかった比較例1及び3では湿潤紙力剤0.8質量部では湿潤強度が0.55kN/m以下となった。
本発明に係る化粧板原紙は、隠蔽性、耐候性及び印刷適性に優れ、十分な湿潤強度を有している。また、メラミン樹脂の含浸性にも優れているため、メラミン化粧板の化粧板原紙として好ましく用いられ、産業上の利用可能性が高い。

Claims (12)

  1. 木材パルプを主成分とした化粧板原紙であって、
    前記化粧板原紙は、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤とを連続して添加したパルプスラリーを抄紙することで得られ、
    前記化粧板原紙の縦目方向の湿潤強度は0.55kN/m以上であることを特徴とする化粧板原紙。
  2. 前記二酸化チタンの含有率は前記化粧板原紙の全質量に対して15質量%以上45質量%未満であり、かつ前記化粧板原紙の全灰分量が45質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の化粧板原紙。
  3. 前記二酸化チタンの含有率は前記化粧板原紙の全質量に対して20質量%以上39.5質量%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧板原紙。
  4. 3Dシートアナライザー(MKSystems社製)で測定したLWA(Low Weight Area) Intensity Indexが6.5以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧板原紙。
  5. 縦目方向の引張強度が2.0kN/m以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧板原紙。
  6. JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に準じた王研式平滑度が30〜300秒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧板原紙。
  7. 前記化粧板原紙の紙厚が50〜200μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の化粧板原紙。
  8. 木材パルプの懸濁液を白水希釈する工程と、二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を添加する工程とを含み、
    前記二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を添加する工程は、前記白水希釈する工程の前もしくは、前記白水希釈する工程の後に設けられることを特徴とする化粧板原紙の製造方法。
  9. 前記二酸化チタンと湿潤紙力増強剤を添加する工程では、前記二酸化チタンと前記湿潤紙力増強剤が連続して添加されることを特徴とする請求項8に記載の化粧板原紙の製造方法。
  10. 請求項8又は9に記載の製造方法によって得られる化粧板原紙。
  11. 請求項1〜7及び請求項10のいずれか1項に記載の化粧板原紙にメラミン樹脂を含浸させたことを特徴とするメラミン樹脂含有化粧板原紙。
  12. 請求項11に記載のメラミン樹脂含有化粧板原紙をコア基材に貼合して得られることを特徴とする化粧板。
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