JP2015058661A - 壁紙用不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、インクジェット印刷適性を有しながら、表面に繊維質によるテクスチャを残し、かつ目開きの少ない壁紙を提供するものである。【解決手段】少なくともパルプ繊維と繊維状バインダーと有機繊維を含み、有機繊維と繊維状バインダーの含有量が不織布を構成する全繊維に対して、18〜40質量%であり、インクジェット印刷を施す面にカチオン性ポリマーを塗工してなる壁紙用不織布であり、2層以上の多層抄紙にて構成され、インクジェット印刷を施す最表層のパルプ繊維含有量が80質量%以上であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、壁紙基材として使用される壁紙用不織布およびその製造方法に関する。
一般に用いられている壁紙は、裏打ち紙の上に、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂、紙などに印刷やエンボス加工などによる意匠を施した装飾層を印刷、塗工、貼り合わせ等の方法で積層することで構成されている。壁紙を壁に施工する際、裏打ち紙の裏面または壁面に澱粉、酢酸ビニルエマルジョン、メチルセルロース等の水溶性の糊を塗工し、石膏ボードやコンクリート等の壁面に貼り付けられる。
近年はデザインの個性化が進むことで多様なデザインが創造されているため、製造においては小ロット多品種を求められるケースが増え、大量生産型の製法では在庫量が非常に多くなるケースや、受注生産となるために納期が厳しくなるというケースがある。
このような状況に対応するために、印刷をインクジェット方式によるオンデマンド印刷で行うことが考えられる。
また、壁紙のデザインの個性化という観点からは、柔らかな風合いを有した壁紙の需要があり、一般に用いられているポリ塩化ビニル発泡体およびそのエンボス品とは異なる、基材の繊維質によるテクスチャをそのまま活かせるような基材が求められている。
環境の温湿度変化を要因として発生する壁紙の寸法変化により、目開きが発生することがある。近年における高デザイン性要求の中で、目開きが発生した壁はその意匠性を著しく損ねるため、目開きを起こさない壁紙が求められている。
インクジェット印刷用の壁紙としては、インクジェット受容層を設けた加工壁紙として、未発泡熱可塑性樹脂層、可塑剤、発泡剤等を塗工した壁紙(例えば、特許文献1参照)が開示されている。しかし、この壁紙は発泡エンボス用であり、基材の繊維質をデザインに反映することができない。また、目開きの課題に対しては効果を発揮しない。
目開きを抑えた壁紙としては、基材に合成繊維を入れて寸法変化を抑える壁紙基材(例えば、特許文献2及び3参照)が開示されているが、壁紙裏打ち紙としての設計であり、これら基材そのものをインクジェット用壁紙として取り扱うには印刷適性が不足している。
特開2000−226799号広報 特開2011−208323号広報 特開2011−157642号広報
本発明の課題は、インクジェット印刷適性を有しながら、表面に繊維質によるテクスチャを残し、かつ目開きの少ない壁紙を提供するものである。
本発明者は、この課題を解決するため研究を行った結果、
(1)少なくともパルプ繊維と繊維状バインダーと有機繊維を含み、有機繊維と繊維状バインダーの含有量が不織布を構成する全繊維に対して、18〜40質量%であり、インクジェット印刷を施す面にカチオン性ポリマーを塗工してなる壁紙用不織布、
(2)壁紙を2層以上の多層にて構成され、インクジェット印刷を施す最表層のパルプ繊維含有量が80質量%以上である(1)記載の壁紙用不織布、
を見出した。
本発明によれば、インクジェット印刷用の壁紙に関し、インクジェット印刷適性を有しながらも、表面に繊維質によるテクスチャを残し、かつ目開きの少ない壁紙を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の壁紙用不織布に用いるパルプ繊維は、植物繊維として、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプや藁パルプ、竹パルプ、リンターパルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類を含むものとし、また、パルプの蒸解、漂白の工程種別或いは有無を問わず使用することができる。また、古紙、損紙などから得られるパルプ繊維等を使用しても良い。
パルプ繊維の叩解度は、300mlCSF以上が好ましく、400mlCSF以上がより好ましい。叩解度が300mlCSF未満の場合には、空隙部分が少なくなって吸水性が低下することがあり、施工時に糊が入り込みにくくなって直ぐに乾いてしまい、作業性が低下する場合がある。
全繊維に対するパルプの含有量は、全繊維に対して、60〜82質量%が好ましく、65〜80質量%がより好ましい。60質量%未満の場合、強度維持、壁紙としての寸法安定性は良好であるが、空隙部が多くなり過ぎるために良好なインクジェット適性を得られず、一方、82質量%を超えると、壁紙としての寸法安定性が得られなく、施工時に目隙き等の問題発生の原因となり得る場合がある。
本発明の壁紙用不織布の坪量は、特に限定しないが、30g/m以上が好ましく、60g/m以上がより好ましい。30g/m未満では、引張強度、硬さに問題があり、塗工や印刷の際にカールの発生や断紙を起こす恐れがある。一方、カールや断紙の抑制効果は、坪量が200g/mを超えた領域ではほとんど変わらないため、坪量は200g/m以下であることが好ましく、150g/m以下でもよい。
本発明の壁紙用不織布は、2層以上の多層抄紙にて構成され、インクジェット印刷を施す最表層(以下、「インクジェット印刷層」と記す場合がある)のパルプ繊維含有量を80質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上がより好ましい。インクジェット印刷を施す最表層にパルプ含有量が高めの層を設けることは、インクジェット印刷面として平滑性の確保、およびカチオン性ポリマー吸着体としての効果がある。該インクジェット印刷層のパルプ含有量が80質量%未満の場合、平滑性およびカチオン性ポリマー吸着力が不足するため、良好なインクジェット印刷適性を得られない場合がある。
パルプ繊維80質量%以上のインクジェット印刷層の坪量は、2〜30g/mであることが好ましく、より好ましくは5〜20g/mである。2g/m未満ではインクジェット印刷面としての平滑性向上およびカチオン性ポリマー吸着体としての効果が小さすぎる場合がある。30g/m超では、壁面に貼り付ける側の貼り付け層が持っている不織布としてのテクスチャが印刷表面に反映されなかったり、寸法安定性が落ちたりする場合がある。
本発明において配合される繊維状バインダーの含有量は、全繊維に対して、13〜20質量%が好ましく、15〜20質量%がより好ましい。繊維状バインダーの含有量が好ましい範囲よりも少ない場合、湿潤状態下での強度維持が困難となり、抄造時の紙切れ等が問題となる。一方、好ましい範囲を超えると、強度維持は良好であるが、抄造時乾燥時にヤンキードライヤーからの剥離不良の原因を招き抄造が困難となる。
繊維状バインダーの繊度は、0.1〜5.6デシテックスが好ましく、0.6〜3.3デシテックスがより好ましく、1.1〜2.2デシテックスがさらに好ましい。0.1デシテックス未満の場合、不織布が緻密で薄いものになってしまうことがある。一方、5.6デシテックスを超えた場合、パルプ繊維との接点が少なくなり、湿潤状態下での強度維持が困難になることがあるばかりでなく、均一な地合いが取れないことがある。繊維状バインダーの繊維長は、1〜20mmが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。1mm未満の場合、抄造時に抄紙ワイヤーから抜け落ちることがあり、十分な強度が得られないことがある。一方、20mmを超えた場合、水に分散する際にもつれ等を起こすことがあり、均一な地合いが得られないことがある。
繊維状バインダーは、湿式抄造法における乾燥工程において、熱融接着性または湿熱接着性を発現する繊維である。繊維状バインダーとしては、単成分からなる単繊維の他、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維などの複合繊維が挙げられる。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、不織布の空隙部を保持したまま、耐水強度を向上させることができる。繊維状バインダーとしては、例えば、ポリプロピレンの短繊維、ポリエステルの短繊維、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせが挙げられる。また、ポリエチレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、ポリビニルアルコール(PVA)繊維のような湿熱接着性の繊維状バインダーも使用することができる。特に、鞘成分が熱融接着性を発現する芯鞘繊維状バインダーが、空隙部確保と強度発現の両方を備えているので好ましい。
有機繊維は、パルプ繊維と繊維状バインダー以外の再生繊維、半合成繊維、合成繊維等である。空隙部を埋めやすい断面形状が扁平な繊維よりも、断面形状が真円に近い繊維の方が好ましい。有機繊維を配合することによって、水浸漬における伸縮を抑え、壁紙施工時の寸法安定性にも寄与することができる。また、表面に繊維質によるテクスチャを残すことができる。有機繊維としては、再生繊維としてのレーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等が、半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックスが、合成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール系などの繊維が挙げられる。
本発明において、有機繊維と繊維状バインダーの含有量が、不織布を構成する全繊維に対して、18〜40質量%であり、20〜35質量%であることがより好ましい。有機繊維と繊維状バインダーの含有量が18質量%未満の場合、寸法安定性が悪くなることで目空きを抑えきれない。また、40質量%を超えると、紙中に空隙が多くなり過ぎることで良好なインクジェット印刷適性を得られない。
本発明の壁紙用不織布が2層以上の多層抄紙にて構成される場合、各層における有機繊維の含有量は特に限定しないが、インクジェット印刷層に配合される有機繊維の含有量は、インクジェット印刷層の全繊維量に対して、5〜40質量%が好ましい。貼り付け層に配合される有機繊維の含有量は、貼り付け層の全繊維に対して、9〜35質量%が好ましい。壁紙用不織布に配合される有機繊維の含有量が、全繊維に対して5〜20質量%がより好ましい。有機繊維の含有量が好ましい範囲より少ない場合、パルプ繊維リッチとなり、繊維のテクスチャが得られない場合や、寸法安定性が維持できなくなる場合がある。一方、好ましい範囲を超えると、壁面からの剥離が軽くなり過ぎる問題が発生することがある。
有機繊維の繊度は、主体として用いる有機繊維として、0.1〜11デシテックスが好ましく、0.6〜2.2デシテックスがより好ましい。0.1デシテックス未満の場合、不織布が緻密で薄いものになってしまうことがある。一方、11デシテックスを超えた場合、抄紙工程での表面毛羽抑制ができない場合がある。有機繊維の繊維長は、1〜20mmが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。1mm未満の場合、抄造時に抄紙ワイヤーから抜け落ちることがある。一方、20mmを超えた場合、水に分散する際にもつれ等を起こすことがあり均一な地合いが得られないことがある。また、特殊なテクスチャを表現するために、2.2デシテックス以上、或いはかつ、20mm以上の繊維を少量混合しても良い。
本発明において、各層には、パルプ繊維、繊維状バインダー、有機繊維に加えて、必要に応じて、性能を阻害しない範囲で、金属繊維、ガラス繊維、岩石繊維等の無機繊維を加えることができる。
本発明における壁紙用不織布原布は、湿式抄造法で製造することができる。湿式抄造法で使用される抄紙機としては、例えば、長網式、円網式、傾斜ワイヤー式等の抄紙方式を有する抄紙機を用いることができる。これらの抄紙方式は、単独でも使用できるし、同種または異種の2以上の抄紙方式がオンラインで組み合わされているコンビネーション抄紙機を使用しても良い。また、本発明の壁紙用不織布が2層以上の多層抄紙にて構成されている場合には、各々の抄紙方式で抄き上げた湿紙を積層する抄き合わせ法や、一方のシートを形成した後に、該シートの上に繊維を分散したスラリーを流延する方法等で製造することができるが、層間剥離が起こりにくいことから、抄き合わせ法が好ましい。
2層の多層抄紙にて構成されている壁紙用不織布原布は、例えば、以下のように製造することができる。インクジェット印刷層は、パルプ繊維、繊維状バインダー、有機繊維、必要に応じてサイズ剤等を混合分散した後、パルプスラリーとして貯蔵タンクに送り、インクジェット印刷層用として一定量ずつ抄紙機に送り、目標の坪量となるようにインクジェット印刷層を先に抄造する。次に、貼り付け層は、パルプ繊維、繊維状バインダー、有機繊維、必要に応じてサイズ剤等を混合分散した後、貯蔵タンクに送り、このスラリーを貼り付け層用として一定量ずつ抄紙機に送り、先に抄造したインクジェット印刷層に貼り付け層の目標の坪量となるように抄き合わせる。さらに、この抄き合わせたシートをプレス後、インクジェット印刷層面がヤンキードライヤー面に当たるようにして乾燥し、壁紙用不織布原布とすることができる。
本発明の壁紙用不織布原布には、必要に応じてサイズ剤を配合することができる。サイズ剤としては、本発明の所望の効果を損なわないものであれば、強化ロジンサイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、合成サイズ剤、中性ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)など公知のサイズ剤のいずれをも用いることができる。
この他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から使用されている各種アニオン性、ノニオン性、カチオン性、或いは両性の歩留り向上剤、濾水剤、分散剤、紙力向上剤や粘剤が必要に応じて適宜選択して使用される。なお、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を目的に応じて適宜添加することも可能である。
また、必要に応じて、クレー、カオリン、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の填料や、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の自己消火性を有する填料等も配合できる。
本発明の壁紙用不織布は、壁紙用不織布原布のインクジェット印刷を施す面にカチオン性ポリマーを塗工してなる。有機繊維を用いた不織布の抄造においては、該有機繊維分散の際に分散粘剤としてアニオン性ポリマーを用いることが多々あるが、ここにインクジェット適性付与のためにカチオン性ポリマーを抄紙時に内添すると、そのイオン性を打ち消し合ってしまうために分散剤としてもインクジェット適性付与としても、その効果を発揮できない或いは非常に生産効率・コスト効率の悪い配合となってしまう。ゆえに、カチオン性ポリマーの付与は抄紙時に配合するのではなく、塗工形式で行うことが非常に望ましい。
本発明で使用するカチオン性ポリマーは、水に溶解したときカチオン性を呈する1級〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩のオリゴマー、ポリマーであり、好ましくは、オリゴマーまたはポリマーである。また、これらのカチオン性ポリマーと塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム等の水溶性多価金属塩を混合したものを用いることもできる。
カチオン性ポリマーを付着させる方法としては、抄紙工程の中間に設置された2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、コンマコーター、バーコーター、グラビアコーター、キスコーター等の含浸または塗工装置による処理が可能であるが、これに限定されるものではない。また、抄紙後にオフマシン装置での含浸または塗工処理も可能である。
カチオン性ポリマーの塗工量は、そのカチオン剤の濃度、粘度、カチオン化度、原布のアニオン/カチオン価に応じて、適宜設定することができる。塗工量は、インクジェット適性を得るに必要十分な量を選定することが肝要であり、少なすぎるとインクジェット適性が得られず、多すぎると、コストアップや褪色しやすくなるという問題を引き起こすことがある。
本発明において、カチオン性ポリマー付与の際に、表面サイズ剤を併用してサイズ度をコントロールしても良い。スチレン/アクリル酸系重合体、スチレン/メタアクリル酸系重合体、アクリロニトリル/ビニルホルマール/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸系共重合体、AKD系、ロジン系などの表面サイズ剤が挙げられるが、カチオン性ポリマーとの混合のためには、微弱アニオン性〜カチオン性の表面サイズ剤が好ましい。
本発明において、インクジェット印刷以外の一般的な印刷適性付与を目的として、或いは有機繊維配合により低密度になりやすい不織布の表面にカチオン性ポリマーを残すための粘度調整剤として、各種バインダーを必要に応じて用いることができる。例えば、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉または各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ハイドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコールまたはそれらの誘導体などを単独或いは併用して使用することができる。本発明でいう澱粉には、上記の酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、各種変性澱粉が含まれる。
以下実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は質量基準である。
実施例1
パルパー分散タンク中の水に500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、芯鞘繊維状バインダー(商品名:メルティー(登録商標)4080、ユニチカ株式会社製、2.2デシテックス×5mm)、有機繊維(帝人ファイバー株式会社製、ポリエステル繊維、0.6デシテックス×5mm)を72:14:14の比率で投入して10分間混合分散した後、貯蔵タンクに送り、抄紙ヘッドタンクから坪量65g/mとなるような抄造条件で、原布1を抄造した。パルプの叩解度は、JIS P 8121に準じたカナダ標準濾水度を測定した。
原布1に対し、カチオン性ポリマー(商品名:ジェットフィックス36N、里田化工株式会社製)を固形分付着量1.2g/m、酸化澱粉(商品名:MS#3800、日本食品化工株式会社製)を固形付着量で0.2g/mとなるようにグラビアコーターで塗工し、実施例1の壁紙用不織布を得た。
実施例2
パルパー分散タンク中の水に500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、芯鞘繊維状バインダー(商品名:メルティー(登録商標)4080、ユニチカ株式会社製、2.2デシテックス×5mm)、有機繊維(帝人ファイバー株式会社製、ポリエステル繊維、0.6デシテックス×5mm)を84:8:8の比率で投入して10分間混合分散した後、貯蔵タンクに送り、抄紙ヘッドタンクから坪量5g/mとなるような抄造条件でインクジェット印刷層を抄造し、原布1を貼り付け層として、その表面に抄き合わせを行うことで、原布2を抄造した。インクジェット印刷層側にカチオン性樹脂塗工を実施例1と同様にして行い、実施例2の壁紙用不織布を得た。
実施例3
実施例2のインクジェット印刷層の坪量を10g/mに変えた以外は、実施例2と同様にして、実施例3の壁紙用不織布を得た。
実施例4
実施例2のインクジェット印刷層の坪量を20g/mに変えた以外は、実施例2と同様にして、実施例4の壁紙用不織布を得た。
実施例5
実施例2のインクジェット印刷層の坪量を30g/mに変えた以外は、実施例2と同様にして、実施例5の壁紙用不織布を得た。
実施例6
実施例2のインクジェット印刷層の坪量を40g/mに変えた以外は、実施例2と同様にして、実施例6の壁紙用不織布を得た。
比較例1
一般に市販されている、有機繊維を用いていないパルプ繊維のみを含有してなる壁紙用紙(65g/m)を、比較例1とした。
比較例2
実施例1のパルプ繊維、芯鞘繊維状バインダー、有機繊維を84:8:8の比率に変え、カチオン性ポリマーの塗工を行わない以外は、実施例1と同様にして比較例2の壁紙用不織布を得た。
比較例3
実施例1のカチオン性ポリマーの塗工を行わない以外は、実施例1と同様にして、比較例3の壁紙用不織布を得た。
試験1(寸法安定性)
目開きの指標値として、寸法安定性を測定する。壁紙用不織布を温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間以上調湿し、サンプルの横方向の長さ(原寸)を正確に測定する。このサンプルを温度23℃の水中へ5分間浸した後、速やかにサンプルの長さを測定し、原寸に対する伸び率を求めた。0.0%に近い程、寸法安定性がよい。従来の経験則より伸び率は0.4%以内が望ましく、最低でも0.7%以内が必要である。
試験2(インクジェット適性)
キヤノン株式会社製インクジェットプリンター(PIXUS850i、ブラック顔料インク/イエロー染料インク/マゼンタ染料インク/シアン染料インクを搭載)により所定の評価画像を印刷し、画像の細部の判読性を基準とし次の3段階に分類した。ここで、×は実用上問題があるレベルである。
◎:印画部にムラや滲みがなく、非常に良好。
○:印画部の異なる色の境界部に若干滲みが確認されるものの、良好。
×:異なる色の境界部の滲みが顕著になり、ベタ部に吸収ムラが確認される。
試験3(表面テクスチャ感)
壁紙用不織布の表面を観察し、表面テクスチャ感を評価した。表面テクスチャ感は、壁紙として使用するときのデザインに寄与するファクターであり、配合している有機繊維が立体的な風合いを出しているかの指標であって、◎或いは○であれば立体的な風合いを持った壁紙として認識できる。
◎:有機繊維の形状が表面から凸凹となって見て取れ、羽毛のような立体感がある。
○:有機繊維の形状が表面から凸凹となって見て取れるが、羽毛のような立体感は無い。
×:通常の壁紙用紙と同程度であり、立体的な風合いはほぼ無い。
Figure 2015058661
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜6の壁紙用不織布は、寸法安定性、インクジェット適性、表面テクスチャ感に優れた壁紙用不織布として使用が可能である。

Claims (2)

  1. 少なくともパルプ繊維と繊維状バインダーと有機繊維を含み、有機繊維と繊維状バインダーの含有量が不織布を構成する全繊維に対して、18〜40質量%であり、インクジェット印刷を施す面にカチオン性ポリマーを塗工してなる壁紙用不織布。
  2. 2層以上の多層抄紙にて構成され、インクジェット印刷を施す最表層のパルプ繊維含有量が80質量%以上である請求項1記載の壁紙用不織布。
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