以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
この印刷システムは、クライアントPC1000と、印刷装置2000がLAN等のネットワークに接続されている。クライアントPC1000は、PDL(Page Description Language)印刷データを印刷ジョブとして作成して印刷装置2000へ転送し、印刷装置2000は、クライアントPC1000から転送された印刷ジョブを基に印刷処理を行う。
また、印刷装置2000は、プリンタエンジン103(印刷手段)によって印刷処理が施された印刷媒体であるプレプリント紙に対して、前記プリンタエンジン103を用いて光沢処理を施すことができるように構成されている。なお、プレプリント紙に対して光沢処理を施すとは、プリンタエンジン103で画像が印刷されたプレプリント紙上の当該画像(印刷結果と同義)の光沢度に変化を与えるための処理である。これは、印刷結果の光沢度を調整するための処理と同義である。
そして、本実施の形態では、クライアントPC1000から印刷装置2000に投入される前記印刷ジョブは、印刷処理を行うための第1の印刷工程と、前記光沢処理を行うための第2の印刷工程とを順次実行する光沢印刷ジョブ、或いは前記第2の印刷工程が不要な非光沢印刷ジョブを想定している。
なお、本実施の形態は、印刷媒体に印刷され画像の光沢度を、光沢処理を施す前と比較して上げることができるように構成された印刷装置2000/印刷システムに適用される。これは、光沢処理(シート処理)前と比較してより光沢感をもたせるものである。また、本実施の形態は、印刷媒体に印刷され画像の光沢度を、光沢処理を施す前に比べて下げることができるように構成された印刷装置2000/印刷システムに適用される。これは、光沢処理前と比較してよりマット感が強調される。このように、光沢感をアップすることも、光沢感を減らす、どちらの構成においても適用できるものであって、これらを理由に限定されるものではない。たとえば、本実施の形態のように、画像が印刷された印刷媒体(印刷用紙)に対して光沢処理を印刷装置2000(プリンタエンジン103を含む)を用いて施すように構成されていれば、如何なる構成でも良いし本実施の形態が適用可能である。なお、本実施の形態では、光沢処理によって印刷媒体の光沢感をアップさせるケースと、光沢感を抑える(マット感を出す)ケースのどちらのケースにも対応できるように構成されている印刷装置を例示する。このように、印刷結果のつやだし機能、印刷結果のつや消し機能の両方を有しているような印刷装置に適用しても良いし、これらのうちの何れか一方にのみ対応した構成でも良い。
図2は、図1中の印刷装置2000の機能構成を示すブロック図である。
この印刷装置2000は、UIパネル101、スキャナエンジン102、ネットワークI/F110、HDD装置111、プリンタエンジン103、及びコントローラ112で構成されている。
UIパネル101は、各種操作画面等の表示を行い、ユーザインタフェースとしての機能を有する。スキャナエンジン102は、原稿画像を読み取るスキャン処理を行い、プリンタエンジン103は、クライアントPC1000から転送されたPDL印刷データを基に印刷処理を行う。
コントローラ112は、UI制御部104、スキャナ制御部105、プリンタ制御部106、画像処理部107、ネットワーク制御部108、及びジョブ管理部109を備えている。UI制御部104はUIパネル101の表示を制御し、スキャナ制御部105はスキャナエンジン102のスキャン開始・停止を制御する。プリンタ制御部106は画像処理部107から受けた画像データをプリンタエンジン103へ転送すると同時に各種アクセサリを通じてステイプル、パンチ、ソートなど印刷物へのフィニッシング処理を実現する。ネットワーク制御部108は、ネットワークI/F110を介してPDL印刷データをネットワーク3000を経由して受信するとともに画像処理部107へデータを転送する。
ジョブ管理部109は、ネットワーク制御部108が外部からのPDL印刷データを受信すると同時に印刷ジョブの各種ステータスの管理を行う。さらにジョブ管理部109は、各制御部に対して受信したPDL印刷データに必要な処理を要求する。また、用紙ジャムが発生した場合のリスタート位置の決定や印刷ジョブをキャンセルする条件判断なども、上記したコントローラ112内の各部からのステータス情報に基づき、ジョブ管理部109で行う。
画像処理部107は、第1の印刷工程及び第2の印刷工程のそれぞれのPDL印刷データをネットワーク制御部108から受信する。そして、このPDL印刷データに対してRIP(Raster Image Processor)処理などの処理を行い、プリンタ制御部106を通じてプリンタエンジン103での印刷処理を実現している。
図3は、クライアントPC1000のハードウェア構成を示すブロック図である。
このクライアントPC1000は、ビデオRAM(VRAM)301、キーボード304、ポインティングデバイス(PD)305、CPU306、ROM308、及びRAM309を有している。さらに、ハードディスク(HDD)310、フロッピー(登録商標)ディスク(FDD)311、及びネットワークインタフェース312等も備えている。そして、これらの各デバイスがバス307を介して接続されている。
CPU306は、ROM308や、ハードディスク310に記憶されたプログラムを実行する。RAM309は、CPU306が実行するときのワークエリアやエラー処理時の一時退避エリアとして用いられる。ハードディスク310及びフロッピー(登録商標)ディスク311は、各種データベースやアプリケーションプログラムなどの保存用に用いられる。ビデオRAM301は、ディスプレイ装置302の画面に表示される文字やイメージを展開記憶するメモリであり、キーボード304は、入力に関する各種キーを備え、ポインティングデバイス305は、画面上でアイコンなどを指し示すためのマウス等である。ネットワークインタフェース312は、ネットワーク3000に接続されている。
図4は、クライアントPC1000のソフトウェア構成を示すブロック図である。
ユーザは、クライアントPC1000上のユーザアプリケーション201で第1の印刷工程のPDL印刷データ、並びに第2の印刷工程のPDL印刷データを生成する。このときのPDL印刷データの組み合わせに関しては図5の表形式図で後ほど説明する。また、この第1の印刷工程、第2の印刷工程に関わる説明も後ほど行う。
ユーザはアプリケーション201で作成したデータを印刷する場合、プリンタドライバ202を介してアプリケーションデータをPDL印刷データへ変換し、ネットワーク制御部205を通じて印刷装置2000へ転送する。このとき、PDL印刷データは第1の印刷工程だけのPDL印刷データ、第2の印刷工程だけのPDL印刷データに分けて、クライアントPC1000から印刷装置2000へ転送される。
第1の印刷工程で出力されるPDL印刷データは、第1の印刷工程のPDL画像生成部203で生成され、内容は一般的な4色(例えばC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック))のPDL印刷データである。第2の印刷工程のPDL画像生成部204で生成されるPDL印刷データは、透明(クリア)トナーやバーコード、各種の地紋データを想定している。
第2の印刷工程で使用するPDL印刷データは第1の印刷工程の全頁に対して同一の画像を載せることも、それぞれのページに異なる画像を載せることも可能である。前者の場合は、第2の印刷工程は単ページとなり、後者の場合は第2の印刷工程のPDLページ数と第1の印刷工程のPDLページ数が同数となる。
<光沢処理、光沢印刷ジョブ、非光沢印刷ジョブ、1パス方式、2パス方式等>
本実施の形態の印刷装置2000は、印刷媒体に光沢処理を施すことができるように構成されている。
そして、本実施の形態では、プリンタエンジン103を用いて印刷処理と光沢処理の両方を要する印刷ジョブを光沢印刷ジョブとして取り扱っている。一方、プリンタエンジン103による印刷処理については要するが光沢処理については要さない印刷ジョブについては非光沢印刷ジョブとして取り扱っている。
また、この光沢処理を施す方式として、本実施の形態では、CMYK4色による画像形成に加えて透明トナーを用いた画像形成を行う方式を用いている。なお、この方式には二種類の方式があり、本実施の形態では1パス方式と2パス方式と呼んでいる。
これらに関して図12を用いながら説明する。
図12は、印刷装置2000の装置断面図(メカ構成図)を示したものである。印刷装置2000は、装置上部にスキャナエンジン102に相当するメカ機構を備え、装置下部にプリンタエンジン103に相当するメカ機構を備えている。
スキャナエンジン102は、固体撮像素子センサ(以下、CCDという。)を備え、光学的に原稿に印刷された画像を読み取る。図3に示すように、鏡面圧板1200、原稿台ガラス1203、ランプ1205、ミラー1206、1207、1208、レンズ1209、3ラインのCCD1210、データ処理部1211(図2の画像処理部107に相当)等を備える。
ランプ1205は、原稿台ガラス1203の上の原稿1204に光を照射する。ミラー1206、1207、1208は、原稿1204から反射された光をレンズ1209に導く。レンズ1209は、ミラー1208から受けた光をCCD1210上に結像する。CCD1210は、結像された像の明暗を電荷の量に光電変換し、それを順次読み出して電気信号に変換し、データ処理部211に出力する。CCD1210が出力する電気信号は、赤(R;Red)、緑(G;Green)、青(B;Blue)の3色に分解されたRGB信号である。ランプ1205とミラー1206は、速度vでCCD1210の主走査(電気的走査)方向に対して垂直方向に機械的に動き、ミラー1207とミラー1208は、速度1/2vで同様に動く。これによって、CCD1210は、原稿全面を副走査する。原稿1204は、主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で読み取られる。読み取られた画像信号(RGB信号)のデータは、原稿1ページ分の単位でデータ処理部1211(図2の画像処理部107に相当)のメモリに格納される。
データ処理部1211(図2の画像処理部107に相当)は、メモリに格納した画像信号(RGB信号)のデータを画素単位に処理する。具体的には、データ処理部1211は、画素データをシアン(C;Cyan)、マゼンタ(M;Magenta)、イエロー(Y;Yellow)、ブラック(K;blacK)の色成分に変換し、プリンタエンジン103に出力する。また、データ処理部1211は、透明(CL;Clear)の色成分を画素単位で生成し、プリンタエンジン103に出力する。すなわち、データ処理部1211は、C、M、Y、K、CLの色成分からなる画像信号をプリンタエンジン103に出力する。
プリンタエンジン103は、レーザードライバ1212、半導体レーザー1213、ポリゴンミラー1214、f−θレンズ1215、ミラー1216、感光ドラム1217、回転現像器1218を備える。さらに、プリンタエンジン103は、マゼンタ現像部1219、シアン現像部1220、イエロー現像部1221、ブラック現像部1222、クリア(透明)現像部1223、転写ドラム1224、用紙カセット1225、1226、定着ユニット1227、排紙トレイ1228を備える。
レーザードライバ1212は、C、M、Y、K、CLの色成分からなる画像信号を受け取り、その画像信号に応じて半導体レーザー1213を変調駆動する。
半導体レーザー1213が発するレーザー光は、ポリゴンミラー1214、f−θレンズ1215、ミラー1216を介し、感光ドラム1217上を走査する。これにより、感光ドラム1217には、原稿の読み取りと同様に主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で静電潜像が形成される。
回転現像器1218は、マゼンタ現像部1219、シアン現像部1220、イエロー現像部1221、ブラック現像部1222、クリア(透明)現像部1223を備える。各現像部は、交互に感光ドラム1217に接し、感光ドラム1217上に形成された静電潜像を現像する。
転写ドラム1224は、用紙カセット1225、1226から搬送される用紙(シート)を巻き付け、現像された静電潜像を用紙に転写する。1パス方式の場合、C、M、Y、K、CLの5色のトナー(記録剤)が順次用紙に転写され、定着ユニット1227で、トナーを用紙に定着させる。そして、排紙トレイ1228に用紙が排出される。
1パス方式の場合は、給紙部(1226又は1225)から給紙した印刷用紙を排紙トレイ1228に排紙するまでの一連の手続の中で、光沢処理についても行われる。即ち、1つの印刷プロセス(一連の印刷シーケンス)で光沢処理についても行われることとなる。
これに対して、2パス方式で光沢処理を施す場合は以下のようになる。
給紙部(1226又は1225)に印刷用紙がセットされたら、このセットした印刷用紙をプリンタエンジン103内部へ供給して、クリア(透明)現像部1223以外の現像ユニット(1219、1220、1221、1222)と、定着ユニット1227とによって、まず、先に、CMYKだけ転写・定着させる(1回目の定着)。そして、この印刷処理が施された印刷用紙を排紙トレイ1228へ排紙する(1回目の排紙)。このように、光沢処理は行わず(透明トナー使わない)に印刷処理だけをはじめに済ませる(第1の印刷工程に相当)。
その後、この印刷結果に相当する印刷物(プレプリン紙)を、オペレータが、排紙トレイ1228から取出し、これを、先ほど利用していた給紙部(1226又は1225)に再度セットしなおす。そして、あらためて、この印刷処理済みの印刷用紙を、プリンタエンジン部103内部へ導く。そして、クリア(透明)現像部1223と定着ユニット1227とを用いて、当該プレプリント紙に対して透明トナーだけを定着させる(2回目の定着)。そして、この光沢処理も済んだ印刷用紙を排紙トレイ1228へ排紙する(2回目の排紙)。このように、この光沢処理については後から別途行う(第2の印刷工程に相当)。
以上のように、まず、最初に印刷処理だけを先に済ませる。その後、別途、独立して、この印刷処理済みの印刷用紙に対して光沢処理を行う。このように、一連の処理を2つの処理に分けて行う方式を、本実施の形態では、2パス方式としている。
また本実施の形態における光沢印刷ジョブに関して、第1の印刷工程(原稿画像などの本来の可視画像を印刷媒体に印刷する工程)と、第2の印刷工程(この印刷済みの印刷用紙に光沢処理を施す工程)の2つに大別して取り扱っている。そして、これら第1の印刷工程と、第2の印刷工程とが、印刷装置2000(プリンタエンジン113を含む)にて順次行われるよう構成している。そして、これら二種類の印刷工程をそれぞれ互いに区別して取り扱うよう印刷装置2000を構成している。尚且つ、これらの工程がそれぞれ互いに関連性のある1つの印刷ジョブとしてコントローラ112で管理するよう構成している。
また、本実施の形態にてコントローラ112は、このような光沢印刷ジョブを実行するためのユーザ要求をユーザインタフェースを介して受け付ける。例えば、ローカルユーザインタフェースとして適用されるUIパネル101、或いは、リモートユーザインタフェースとして適用されるクライアントPC1000のディプレイ装置302(及びキーボード304)から、この光沢印刷ジョブについての実行要求を受け付ける。
そして、この要求を受付たら、その光沢印刷ジョブで必要な第1、第2の印刷工程のうち、まず第1の印刷工程を印刷装置2000(プリンタエンジン113を含む)で行うようコントローラ112により制御する。そして、このように、第2の印刷工程に先立って第1の印刷工程が済んだら、それを条件に、今度は、そのジョブで必要な第2の印刷工程を印刷装置2000(プリンタエンジン113を含む)で行うようコントローラ112により制御する。また、本実施の形態では、光沢処理を行うか否か上述のユーザインタフェースを介してユーザが選択できるよう構成している。そして、処理対象の印刷ジョブのために光沢処理を行う指示が入力されたら、その印刷ジョブは光沢印刷ジョブとして取り扱うようコントローラ112により印刷装置2000を制御する。一方、処理対象の印刷ジョブのために光沢処理を行う指示が入力されなかったら、その印刷ジョブは非光沢印刷ジョブとして取り扱うようコントローラ112により印刷装置2000を制御する。このように非光沢印刷ジョブを受付けた場合、当該ジョブのために印刷処理については行い、光沢処理については行わないようコントローラ112により印刷装置2000を制御する。この場合、印刷処理が施された印刷用紙を排紙トレイ1228に排紙したら、当該ジョブは終了と判断する。そして、他の印刷ジョブが存在するなら、その印刷ジョブのための処理を速やかに開始するよう制御する。
以上のように、本実施の形態の印刷装置1000は、プリンタエンジン103で印刷処理が施された印刷媒体に対して、当該プリンタエンジン103を用いて光沢処理を施すことができるように構成されている。
そして、本実施の形態では、光沢印刷ジョブを受付けた場合、プリンタエンジン103を用いて印刷処理を行うための工程(第1の印刷工程に相当)と光沢処理を行うための工程(第2の印刷工程に相当)とを順次実行するようコントローラ112により制御する。一方、非光沢印刷ジョブを受付けた場合には、プリンタエンジン103を用いて印刷処理を行うための工程(第1の印刷工程に相当)については行うが光沢処理を行うための工程(第2の印刷工程に相当)については行わないようコントローラ112により制御する。
そして、本実施の形態では、これら光沢印刷ジョブと非光沢印刷ジョブとで、それぞれ互いに区別したジョブリカバリ制御(ジョブキャンセル制御)をコントローラ112により選択的に実行するよう構成している。以下、その説明を行う。
なお、本実施の形態にて上述のユーザインタフェースは、1パス方式の光沢印刷ジョブとして光沢処理を実行させるか、2パス方式の光沢印刷ジョブとして光沢処理を実行させるか等についてもユーザが選択指示できるよう構成されている。
<光沢印刷ジョブに係るジョブリカバリ制御(ジョブキャンセル制御)>
ここでは、まず、本実施の形態における光沢印刷ジョブに係るジョブリカバリ制御(ジョブキャンセル制御)の基本的な処理フローについて図13を用いて説明する。
この図13に関する一連の処理は、印刷装置2000(プリンタエンジン103含む)にて印刷ジョブの処理を実行している最中に当該処理の中断要因が印刷装置2000にて発生した場合に行われる。
なお、本実施の形態では、印刷装置2000で中断要因が発生したことに応じて当該印刷ジョブの処理を中断するようコントローラ112により制御する。また、図13に関する一連の処理を実行するためのコンピュータ実行可能な制御プログラムは、印刷装置2000内部の所定のメモリに記憶されており、コントローラ112のCPUにより読出実行される。これにより、この一連の処理が行われる。以下、図13に関する説明を行う。
まず、S1301にてコントローラ112は、処理対象の印刷ジョブに係わる中断要因の発生によって当該印刷ジョブの処理が印刷装置2000にて中断したか否か判断する。この判断でYES判定を下した場合は、S1302へ処理を進める。なお、如何なる中断要因が適用されるかについては本実施の形態の最後で説明する。
次に、S1302にてコントローラ112は、この処理が中断した印刷ジョブ(中断対象の印刷ジョブ)は光沢印刷ジョブであるか否か判断する。
このS1302の判断により、この印刷ジョブは非光沢印刷ジョブであることを判断したら、S1303へ移行する。たとえば、ユーザインタフェースを介して光沢処理が指示されていない印刷ジョブ(即ち、非光沢印刷ジョブ)ならば、S1302からS1303へ処理を進める。
S1303へ進んだ場合、当該中断対象の印刷ジョブについては、中断要因が解除された後にリカバリ処理を印刷装置2000にて行うようコントローラ112により制御する。なお、このS1303の処理は、当該中断対象の印刷ジョブに関して自動的にキャンセル処理を行わないように制御する処理としても適用される。
なお、このS1303に関して本実施の形態では、この中断対象の印刷ジョブ(この例では非光沢印刷ジョブ)に係る中断要因が解除されたのを条件に自動的に当該印刷ジョブのリカバリ処理を印刷装置2000にて実行するよう制御する。このように中断要因の解除を契機に自動的にリカバリ処理を実行する構成でも良いが、オペレータによる手動操作を介してリカバリ処理を行う構成でも良い。
たとえば、中断要因が解除されたら当該印刷ジョブ(S1302でNO判定が下された非光沢印刷ジョブ)のリカバリ処理を行うかユーザに問い合わせる画面を上述のユーザインタフェース(UIパネル101等)に表示するようコントローラ112により制御する。そして、この画面でリカバリ処理を行う指示がオペレータ入力されたら、当該印刷ジョブのリカバリ処理を印刷装置2000で行うようコントローラ112により制御する。このような構成でも良い。
次に、S1302にてYES判定を下した場合について説明する。
S1302の判断により、中断対象の印刷ジョブは光沢印刷ジョブであることがコントローラ112によって判断されたとする。たとえば、ユーザインタフェースを介して光沢処理が指示されている印刷ジョブ(即ち、光沢印刷ジョブ)ならば、S1302からS1304へ処理を進める。
S1304にてコントローラは、当該中断対象の印刷ジョブ(即ち、光沢印刷ジョブ)は、第1の印刷工程の実行中に処理が中断したのか、第2の印刷工程の実行中に処理が中断したのか判断する。つまり、印刷処理と光沢処理の両方を要する当該光沢印刷ジョブに関して、印刷処理の途中で処理が中断したのか光沢処理の途中で処理が中断したのか判断する。
このS1304に係わる処理は、2パス方式の光沢印刷ジョブに対して適用される処理である。この点に関して、詳しく説明する。
この2パス方式の光沢印刷ジョブは、上述のように、光沢処理(第2の印刷工程に相当)を行うのに先立って印刷処理(第1の印刷工程に相当)を完了させる印刷ジョブである。そして、これら2種類の工程が、それぞれ、独立且つ間隔をおいて順次行われる印刷ジョブである。
例えば、2パス方式の光沢印刷ジョブでは、そのジョブで必要な印刷媒体に対してプリンタエンジン103により印刷処理(第1の印刷工程)を行うと、一旦は、印刷装置2000の機外の排紙トレイ1228に、この印刷ジョブの印刷媒体は全て排紙される。その後、この印刷処理済みの印刷媒体は、オペレータの介入作業を介して、給紙部(1225又は1226)に再びセットされる。そして、この印刷処理済の印刷媒体は、再び、印刷装置2000の機内に導かれ、プリンタエンジン103によって光沢処理が施され、あらためて排紙トレイ1228へ排紙される。これにより光沢処理まで施された最終成果物となる。
このように、2パス方式の光沢印刷ジョブを処理する場合には、オペレータによる印刷媒体の再セット等の介入作業を要する。本実施の形態では、このような、オペレータの特定の介入作業が含まれている特定のシーケンスでもって光沢印刷ジョブを印刷装置2000にて処理するようコントローラ112により制御している。このように、他の種類の印刷ジョブ(非光沢印刷ジョブ/1パス方式の光沢印刷ジョブ)とは異なるシーケンスで2パス方式の光沢印刷ジョブを処理する。
そこで本実施の形態では、このように他の種類の印刷ジョブ(非光沢印刷ジョブ/1パス方式の光沢印刷ジョブ)とは異なる属性(性質、特徴)を有する印刷ジョブとして、この2パス方式の光沢印刷ジョブに着目したジョブリカバリ制御を行っている。
この1つの仕組みとして、光沢印刷ジョブにて処理が中断したら、第1の印刷工程にて処理が中断したのか(印刷処理の途中で処理が中断したのか)、第2の印刷工程にて処理が中断したのか(光沢処理の途中で処理が中断したのか)S1304にて判断する。
そして、S1304の判断により、この中断した光沢印刷ジョブは第1の印刷工程にて処理が中断した印刷ジョブであることを判断したら、S1304からS1303へ処理を進める。例えば、印刷処理の途中で処理が中断した2パス方式の光沢印刷ジョブならば、S1304からS1303へ処理を進める。そして、この印刷ジョブについては、中断要因解除後に印刷装置2000にてリカバリ処理が行えるようコントローラ112により制御する。
一方、S1304の判断により、この中断した光沢印刷ジョブは第2の印刷工程にて処理が中断した印刷ジョブであるとことを判断したら(光沢処理の途中で処理が中断したことを判断したら)、S1304からS1305へ処理を進める。例えば、光沢処理の途中で処理が中断した2パス方式の光沢印刷ジョブならば、S1304からS1305へ処理を進める。
S1305の処理へ進んだ場合、このS1305の処理により、当該中断対象の印刷ジョブについてはキャンセル処理を行うようコントローラ112により印刷装置2000を制御する。つまり、この印刷ジョブに関しては、中断要因の解除後に自動的にリカバリ処理を行わない(禁止する)ようコントローラ112により制御する。
なお、本実施の形態におけるリカバリ処理とは、中断要因の発生時点にて既に実行済みの処理を当該中断要因の解除後に再実行することである。
たとえば、S1303により処理される印刷ジョブの印刷データは中断要因が発生しても、そのままHDD111に保持しておくよう制御している。そこで、このジョブのリカバリ処理では、このHDD111に記憶された印刷データを用いて、この印刷ジョブの再印刷をプリンタエンジン103で行うようコントローラ112により制御する。このような処理がリカバリ処理として適用される。
また、中断要因の発生時点にて未処理であった処理を当該中断要因の解除後に実行することも、リカバリ処理として適用される。
たとえば、紙無しで印刷処理が中断した印刷ジョブに関し、印刷媒体が給紙部に補給されたら、このジョブのリカバリ処理として、残りの頁(未印刷の頁)の印刷を行う。このような処理もリカバリ処理として適用される。
また、本実施の形態におけるキャンセル処理とは、中断した印刷ジョブとは別の印刷ジョブのためにプリンタエンジン103を利用できるようにするための処理である。
たとえば、中断した印刷ジョブに係わる中断要因が解除されたら、その印刷ジョブの処理については行わずに、HDD111に印刷データが保持されている処理待ちの印刷ジョブ(後続の印刷ジョブ)についての印刷処理を開始する。このように、中断対象の印刷ジョブよりも優先して、他の印刷ジョブの処理をプリンタエンジン103により行うようコントローラ112により制御する。このような処理もキャンセル処理として適用される。
上述のように、中断対象の印刷ジョブが、光沢処理にて処理が中断した2パス方式の光沢印刷ジョブならば、当該中断要因の解除後に当該印刷ジョブよりも優先して他の印刷ジョブの処理をプリンエンジン103で実行するようコントローラ112により制御する。このように本実施の形態におけるコントローラ112は、他の印刷ジョブとのスケジューリングなどについても制御する。
この点に関して、中断対象の印刷ジョブが、非光沢印刷ジョブ(或いは、印刷処理にて処理が中断した2パス方式の光沢印刷ジョブ)であるとする。つまり、S1303の処理へ進んだとする。この場合、コントローラ112は、当該中断要因の解除後に他の印刷ジョブよりも優先して当該印刷ジョブの処理をプリンエンジン103で実行するよう制御する。
なお、中断した印刷ジョブの印刷データをHDD111から削除する処理も、キャンセル処理として適用される。
また、処理中または処理待ちの印刷ジョブについての情報を表示するリストから当該中断した印刷ジョブについての情報を削除する処理も、本実施の形態におけるキャンセル処理として適用される。
以上、リカバリ処理、キャンセル処理に関して種々説明したが、これらは例示的なものであって、少なくともこれらのうちの何れかが適用されることが望ましいが、これらに限定されるものでもない。
また、1パス方式の光沢印刷ジョブに関しても種々の形態が適用できる。
たとえば、図13のS1302にてYESと判断された光沢印刷ジョブが1パス方式の光沢印刷ジョブであるとする。1パス方式の光沢印刷ジョブは、光沢処理を要する。しかし、1回の定着で、印刷処理と光沢処理がもれなく行われる(給紙部から排紙部へ1回、印刷媒体を通すことで、この印刷媒体に施すべき一連の処理は完結する)。また、この光沢処理が施された最終成果物を得るために必要な一連の処理工程の途中でオペレータの介入作業なども無い。このように、1パス方式の光沢印刷ジョブは非光沢印刷ジョブと同様の属性も持つ。
そこで、この点を考慮し、中断対象の印刷ジョブが光沢印刷ジョブであっても、1パス方式の光沢印刷ジョブならば、S1303へ処理を進める。そして、S1303の処理により、この1パス方式の光沢印刷ジョブについては、中断要因が解除された後に(自動或いは手動で)リカバリ処理を印刷装置2000にて行うようコントローラ112により制御する。このような仕組みも盛り込むことで、非光沢印刷ジョブと同等の取扱いを1パス方式の光沢印刷ジョブにも適用したいといったニーズにも応えることができる。
次に、この2パス方式の光沢印刷ジョブに関する更なる仕組みに関して図5〜図11を用いて説明する。なお、図5〜図11に関する仕組みは、図13に関する仕組みの下位概念的な仕組み、或いは、具体例として適用される。本実施の形態におけるジョブリカバリ制御(ジョブキャンセル制御)は、図13に関する仕組みだけでも成立する。図5〜図11に関する仕組みは、よりユーザメリットを考慮した仕組みであって、全ての仕組みを持たなくてもよい。つまり、図5〜図11に係る何れかの仕組みに相当する構成を持ち合わせていないものでも、少なくとも図13に係る仕組みに相当する構成を有するものは本発明に包含される。
<2パス方式の光沢印刷ジョブに関するジャム発生時のリカバリ制御>
以下に、上述の2パス方式の光沢印刷ジョブに関するジャム発生時のリカバリ制御の更なる仕組みについて説明する。以下では、2パス方式における透明トナーの処理工程でエラーが発生した場合のリカバリ処理について述べる。2パス方式の場合は1つのジョブが転写・定着を2回通るためにジャムの発生が1パス/2パス目のどちらか、更には1パス目の印刷ジョブの内容によって、最適なリカバリ方法が変わってくる。ここでリカバリとは、例えばHDD装置111に記憶された印刷データを用いて再印刷を行うための処理である。また、1パス目とは、2パス方式の光沢印刷ジョブにおける印刷処理を行う段階に相当する。2パス目とは、この印刷処理がなされた後、即ち、2パス方式の光沢印刷ジョブにおける光沢処理を行う段階に相当する。また、以下に記す第1の印刷工程として、2パス方式の光沢印刷ジョブにおける印刷処理を行うための工程が適用される。また、第2の印刷工程として、2パス方式の光沢印刷ジョブにおける光沢処理を行うための工程が適用される。
(A)ジャム発生時のリカバリ処理の分類
図5は、PDL印刷データの組み合わせと第2の印刷工程でジャムなどのトラブルが発生した場合のリカバリ手順を分類したものを示す表形式図である。この分類は、投入される印刷ジョブのパターンにより6つに分類している(分類I〜VI)。つまり、投入される印刷ジョブの内容により最適なリカバリ方法が変わる。
(a)分類I
分類Iは、1つの印刷ジョブにつき、第1及び第2の印刷工程共に、全てのページに対して同一の原稿が印字され、部数が1部である例である。
この印刷ジョブの場合、第1の印刷工程での印刷出力が1ページしかないため、第2の印刷工程で用紙ジャムが発生した場合は最初からやり直しとなる。このため、強制的に印刷ジョブをキャンセルし、終了する。
ここで、キャンセルとは、中断した印刷ジョブとは別の印刷ジョブのためにプリンタエンジン103を利用できるようにするための処理である。また、キャンセルとは、中断した印刷ジョブの印刷データを例えばHDD111から削除するための処理、或いは、印刷未完了のジョブについての情報を表示するリストから当該中断した印刷ジョブについての情報を削除するための処理である。
(b)分類II
分類IIは、1つの印刷ジョブにつき、第1及び第2の印刷工程共に、全てのページに対して同一の原稿が印字され、部数が複数(m)部である例である。
この印刷ジョブの場合、PDL印刷データの構成は上記分類Iと同様であるが、複数部存在するため、必ず印刷ジョブをキャンセルするのではなく、キャンセルするか、リカバリ後に次の部から処理を継続するかを、ユーザに確認する。
(c)分類III
分類IIIは、1つの印刷ジョブにつき、第1の印刷工程では各ページ(nページ)毎にPDL印刷データが用意されて各ページ毎に異なる原稿が印字され、第2の印刷工程では全てのページに対して同一の原稿が印字され、部数が1部である例である。
この印刷ジョブの場合、第1の印刷工程での印刷出力が複数ページあるため、基本的には1部(n枚)で1セットとして扱う必要がある。用紙ジャムが発生した時点で、1セット分は無駄になってしまい、基本的には第1の印刷工程からやり直しが必要となる。印刷装置2000は印刷ジョブのキャンセルか、或いは継続をユーザへ確認する。
(d)分類IV
分類IVは、1つの印刷ジョブにつき、第1の印刷工程では各ページ(nページ)毎にPDL印刷データが用意されて各ページ毎に異なる原稿が印字され、第2の印刷工程では全てのページに対して同一の原稿が印字され、部数が複数(m)部である例である。
この印刷ジョブの場合、分類IIIと同様、第1の印刷工程での印刷出力が複数ページあるため、基本的には1部(n枚)で1セットとして扱う必要がある。用紙ジャムが発生した時点で、1セット分は無駄になってしまい、第1の印刷工程からやり直しが必要となる。印刷装置2000はユーザへ印刷処理の中断・継続の判断を要求する。
ユーザは、印刷ジョブのキャンセルか或いは継続かを指示する。継続を選択した場合、分類IVは複数部指定されているため、ユーザから再開条件に関して再開位置の指示と給紙段原稿の調整を行う。給紙段のプレプリント紙の調整(部の先頭出し)は、再開位置を「次の部の先頭」とした場合に必要となる。
(e)分類V
この分類Vは、1つの印刷ジョブにおいて、第1の印刷工程では各ページ(nページ)毎にPDL印刷データが用意されて各ページ毎に異なる原稿が印字される。また、第2の印刷工程でもプレプリント済みの各ページ毎にPDL印刷データが用意されて異なる原稿が印刷され、部数が1部である例である。
基本的には分類IVと同様であるが、第2の印刷工程がnページデータであることから、再開位置を指定された場合は、それに合わせて第2の印刷工程のPDL印刷データの開始位置を「次のページ」へ調整することが必要となる。
(f)分類VI
この分類VIは、1つの印刷ジョブにつき、第1の印刷工程では各ページ(nページ)毎にPDL印刷データが用意されて各ページ毎に異なる原稿が印字される。また、第2の印刷工程でもプレプリント済みの各ページ毎にPDL印刷データが用意されて異なる原稿が印刷され、部数が複数(m)部である例である。
基本的には分類IVと同様である。但し、第2の印刷工程がnページのPDL印刷データであることから、再開位置を指定された場合は、それに合わせて第2の印刷工程のPDL印刷データの開始位置を「次のページ」か、或いは「先頭ページ」へ調整することが必要となる。
(B)用紙ジャム発生時のリカバリ処理のフロー
図6及び図7は、用紙ジャム発生時のリカバリ処理を示すフローチャートである。
印刷装置2000のジョブ管理部109はこのフローに従い、用紙ジャム発生時の印刷装置2000の動作を決定する。本フローにおいて判断の根拠となる情報は、第1の印刷工程におけるPDLのページ数、第2の印刷工程におけるPDLのページ数、印刷部数、用紙ジャムが発生した印刷工程の4点である。
これらの情報に基づき、印刷ジョブを強制的にキャンセルするか、或いはユーザの判断を確認した上で処理を継続するか、キャンセルするかなどの処理を行う。本実施の形態では、ユーザの判断を確認してからキャンセルさせているパターンが多いが、第2の印刷工程におけるPDL印刷データが複数ページ持つ場合(図5の分類V、分類VI)は、印刷装置2000側で強制的にキャンセルする実装仕様も考えられる。以降は、図5の6パターン(分類I〜VI)について、図6及び図7のフローとの関連を説明していく。
クライアントPC1000から印刷装置2000へネットワーク3000経由でPDL印刷データが投入される。印刷装置2000のジョブ管理部109はネットワーク制御部108によってPDL印刷データの受信が開始されると、まず画像処理部107を起動し、画像データの展開処理とプリンタ制御部106を通じた展開済みページの印刷開始を指示する(S401)。
プリンタ制御部を通じてPDL印刷データがプリンタエンジン103へ渡されると転写・定着などの印刷処理が開始される(S402)。この印刷処理において用紙ジャムなどの何らかのトラブルが発生すると、プリンタ制御部106及び画像処理部107を通じてジョブ管理部109へ詳細な停止理由がイベント情報として通知される(S403)。この時点で、ジョブ管理部109は現在の印刷ジョブの印刷工程や各工程のPDL印刷データのページ数、ジョブの印刷部数を把握している。これらの情報を基に、エラーの発生した工程が第1の印刷工程か、第2の印刷工程かを判断する(S404)。
第1の印刷工程の場合は、白紙に対する印刷処理を行っているので通常通り、ユーザが用紙ジャムした紙を取り除くなどのリカバリ処置を行い、印刷処理を再開する(S405,406)。第2の印刷工程の場合はS407へ進む。印刷ジョブの印刷部数が1の場合(図5の分類I,III,V)はS408へ進み、複数の場合はS411(図5の分類II,IV,VI)へ進む。
S408では、第1の印刷工程でのPDL印刷データのページ数を確認し、1ページであれば、印刷ジョブをキャンセル、複数ページであれば、S411(図5の分類III,VI,V,VI)へ戻る。S411へ到達した印刷ジョブに関しては一度印刷処理を停止させ(S412)、S412で第2の印刷工程でのページ数が1か第1の印刷工程のページ数と同等かを判断し、第2の印刷工程でのページ数が1の場合はS413へ進む。
S413では、第2の印刷工程の処理を継続するか否かをユーザに選択させ、継続しない場合はS414,S415でキャンセル処理を行い、継続する場合はS416で停止要因が取り除かれた後の開始位置を決定する。次の部の境からスタートさせる場合はS417,418へと進みユーザ自身に給紙段のプレプリント紙が部の先頭となるよう頭出しの処理をさせる。次のページから再開させる場合は、用紙ジャム処理のみを行う(S420,S421)。
S412において第2の印刷工程のPDL印刷データの複数ページの場合、S422にて第2の印刷工程を継続するか ̄ユーザに確認する。印刷ジョブをキャンセルする場合は、S431,432へ進み印刷ジョブをキャンセルする。処理を継続する場合はS423へ進み、印刷の再開位置をユーザに確認する。部数の境から再開する場合はS424〜S427の処理を行う。次のページから再開する場合はS428〜430の処置を行う。S417〜S421までとの差は、第2の印刷工程のPDL印刷データが複数ページであるため、給紙段の紙だけでなく、PDL印刷データの読み出し位置もそれぞれ、部の境か次のページへ進める処理(S426,S429)が必要となる。
(C)用紙ジャム発生時のリカバリ処理のシーケンス
図8は、図5の分類Iの印刷ジョブを印刷装置2000へ転送し、用紙ジャムが発生した場合のリカバリ・シーケンスを示すシーケンス図である。
印刷ジョブのリカバリ条件はジョブ管理部109において判断・制御する。また、クライアントPC1000から印刷装置2000へ投入される印刷ジョブは、図5の分類Iの印刷ジョブである。
まずS501,502では、第1の印刷工程のためのPDL印刷データを作成し、S503,504では第2の印刷工程のためのPDL印刷データを作成する。S507〜S512までは第1の印刷工程の印刷処理であり、この間に用紙ジャムが発生した場合はS508〜S511までの用紙ジャムのリカバリ処理を行う。第1の印刷工程では、白紙に対する印刷処理のため、用紙ジャムのリカバリ後、そのまま印刷を継続することができる。
第1の印刷工程終了後、第2の印刷工程を行うため、S512でS511で得られた出力成果物を給紙段へ再度設定する。設定完了後、S513でオペレータがクライアントPC1000へ第2の印刷工程を開始するため、PDL印刷データの送信を指示し、S514でクライアントPC1000から印刷装置2000へPDL印刷データが送信される。
S515において画像処理部107でPDL印刷データの展開処理が行われ、給紙段からプレプリント紙を給紙し、印刷処理が開始される。このとき、第2の印刷工程の印刷開始後に用紙ジャムが発生した場合、S517で用紙ジャム処理が行われた後、S518で印刷ジョブのキャンセル処理を行う(S409,S410)。印刷装置2000内の処理は、ジョブ管理部109によって行われる。
図9は、図5の分類IIの印刷ジョブを印刷装置2000へ転送し、用紙ジャムが発生した場合のリカバリ・シーケンスを示すシーケンス図である。
クライアントPC1000から印刷装置2000へ投入される印刷ジョブは、図5の分類IIの印刷ジョブである。
S601〜S612までは図8と同等、第1の印刷工程に関するステップである。第2の印刷工程はS613のPDL印刷データ送信指示に始まり、S615においてジョブ管理部109、プリンタ制御部106によって給紙、及び印刷処理が開始される。印刷処理開始後にS616にて用紙ジャムが発生すると、S617〜S618で用紙ジャムのリカバリ後の動作をユーザに確認し、S620でユーザの指示に従いリカバリ処理を行う(S413〜S421)。
図10は、図5の分類IIIの印刷ジョブを印刷装置2000へ転送し、用紙ジャムが発生した場合のリカバリ・シーケンスを示すシーケンス図である。
クライアントPC1000から印刷装置2000へ投入される印刷ジョブは、図5の分類IIIの印刷ジョブである。
S701〜S712までは図8と同等、第1の印刷工程に関するステップである。第2の印刷工程はS713のPDL印刷データ送信指示に始まり、S715においてジョブ管理部109、プリンタ制御部106によって給紙、及び印刷処理が開始される。印刷処理開始後にS616にて用紙ジャムが発生すると、S617〜S819で用紙ジャムのリカバリ後の動作をユーザに確認する。そして、S720でユーザからの指示に従いリカバリ処理を行う(S422,S422,S423,S428〜S430,S431〜S432)。
図11は、図5の分類VIの印刷ジョブを印刷装置2000へ転送し、用紙ジャムが発生した場合のリカバリ・シーケンスを示すシーケンス図である。
クライアントPC1000から印刷装置2000へ投入される印刷ジョブは、図5の分類VIの印刷ジョブとなっており、図10との差分は、複数部指定されている点である。これに伴い、ユーザから用紙ジャムのリカバリを指示する際に、リカバリ位置を「次のページ」と「次の部の先頭」のいずれかから選択する(S420〜S430)。
<本実施の形態の補足説明>
以下、上述した本実施の形態の全てに共通して適用される点に関する補足を行う。
(1)本実施の形態では、上述した各フローチャートについての判断や制御をコントローラ112によって行う。各フローチャートに示す処理を実行するためのコンピュータ実行可能な制御プログラムは印刷装置2000内部の所定のメモリに記憶されている。そして、この制御プログラムをコントローラ112のCPUにより読み出し実行することで、上述した各種の処理が実行される。但し、これは例示的なものであって上述した各種の制御が実現できるならば如何なる構成でも良い。
(2)本実施の形態では、印刷装置2000にて印刷ジョブの処理を実行中に中断要因が発生していなかどうかコントローラ112によって監視する。そして、印刷ジョブの処理を実行中に当該ジョブの中断要因が発生したら、速やかに当該印刷ジョブの処理を印刷装置2000にて中断するようコントローラ112により制御する。
この中断要因として、上述の具体例では、用紙ジャムを例示しているが、本実施の形態は、例えば、少なくとも以下の何れか1つが適用できれば良い。
<原稿ジャム> この中断要因が発生したケースでは、スキャナエンジン102のセンサからの情報で当該原稿ジャムがオペレータにより除去されたのを確認したら、コントローラ112は、当該印刷ジョブの印刷中断要因が解除(解消)されたと判断する。
<スキャナエラー> この中断要因が発生したケースでは、スキャナエンジン102のセンサからの情報で当該スキャナエンジン102におけるスキャナエラーがオペレータにより除去されたのを確認したら、コントローラ112は、当該印刷ジョブの印刷中断要因が解除されたと判断する。
<用紙ジャム> この中断要因が発生したケースでは、プリンタエンジン103のセンサからの情報で当該スキャナエンジン103における用紙ジャムがオペレータにより除去されたのを確認したら、コントローラ112は、当該印刷ジョブの印刷中断要因が解除されたと判断する。
<用紙無しエラー> この中断要因が発生したケースでは、印刷装置2000にて印刷動作を実行している途中で用紙無しが発生した給紙部(225又は226)に中断対象の印刷ジョブで必要な印刷用紙がオペレータにより補給されたか否かを当該給紙部のセンサからの情報で判断する。もし、補給されたのを確認したら、コントローラ112は、当該印刷ジョブの印刷中断要因が解除されたと判断する。
<メモリフルエラー> この中断要因が発生したケースでは、HDD111のメモリ残量を示すステータス情報から当該HDD111におけるメモリフルエラーが除去されたのを確認したら、コントローラ112は、当該印刷ジョブの印刷中断要因が解除されたと判断する。
<フィニッシャエラー> ステイプル針無しエラーやステイプル針のジャムなどが、印刷装置2000に接続されたフィニッシャで発生するケースがこれに該当する。この中断要因が発生したケースでは、印刷装置2000に接続されるフィニッシャからのセンサ情報により、当該フィニッシャエラーが除去されたのを確認したら、コントローラ112は、当該印刷ジョブの印刷中断要因が解除されたと判断する。
以上、各種の変形、応用にも適用できるように本実施の形態の印刷装置2000は構成されているが、これらについても例示的なものであって、これらに限定されるものでもない。
(3)本実施の形態にて、1パス方式の光沢印刷ジョブは、非光沢印刷ジョブと同一属性の印刷ジョブとして取り扱う構成を図13の説明で例示した。しかし、2パス方式の光沢印刷ジョブに適用する制御と同じ制御を1パス方式の光沢印刷ジョブに適用しても良い。この場合、矛盾の生じない範囲で上述したジョブリカバリ制御(ジョブキャンセル制御)が適用できるように構成されていれば、如何なる構成でも良い。たとえば、図13のS1302にてYESと判断したら、S1304の判断は行わずに、そのままS1305へ処理を進める。この点以外は上述した図13の説明に即して構成すればよい。このように、矛盾の生じない範囲内で構成せしめても良い。これにより、1パス方式、2パス方式、いずれにおいても本実施の形態が適用できる。また、これにより、1パス方式でしか光沢処理が実行できない印刷装置でも本形態は適用できる。勿論、2パス方式でしか光沢処理が実行できない印刷装置でも本形態は適用できる。このように、各種の変形、応用にも対応できるようにしているが、上述した各種の点はあくまでも例示的なものであって、これにより限定されるものではない。但し、好ましくは、本実施の形態の2パス方式の光沢印刷ジョブのように、印刷処理と光沢処理との間に印刷媒体を給紙部に再びセットしなおすなどのオペレータによる介入作業を要する光沢印刷ジョブに適用されることが望ましい。
(4)本実施の形態にて上述した各種の制御が適用される印刷ジョブとして、印刷装置2000とデータ通信可能に構成された外部装置からの印刷ジョブを例示したが、これ以外でも良い。例えば、印刷処理に必要なデータがスキャナエンジン102から入力される印刷ジョブ(コピージョブ)でも良いし、HDD111に記憶されている印刷データを印刷する印刷ジョブ(ボックスジョブ)でも良い。
<本実施の形態に係る利点>
上述したように本実施の形態にてコントローラ112は、中断要因の発生により処理が中断した印刷ジョブが、光沢処理を要さない非光沢印刷ジョブか光沢処理を要する光沢印刷ジョブか判断する。そして、コントローラ112は、当該中断対象の印刷ジョブが非光沢印刷ジョブではなく光沢印刷ジョブである場合に、当該印刷ジョブのキャンセル処理を印刷装置2000で実行するよう制御する。
また、本実施の形態にてコントローラ112は、中断要因の発生により処理が中断した印刷ジョブが光沢印刷ジョブである場合には当該印刷ジョブのリカバリ処理を印刷装置2000で実行するよう制御する。
尚且つ、本実施の形態にてコントローラ112は、中断要因の発生により処理が中断した印刷ジョブが非光沢印刷ジョブである場合に当該中断要因の解除後に当該印刷ジョブのリカバリ処理を自動的に実行するのを許可する。また、もし、この中断した印刷ジョブが光沢印刷ジョブであるならば、当該中断要因の解除後に当該印刷ジョブのリカバリ処理を自動的に実行するのを禁止する。
また、本実施の形態にてコントローラ112は、中断要因の発生により処理が中断した印刷ジョブが非光沢印刷ジョブである場合に、当該中断要因の解除後に他の印刷ジョブよりも優先して当該印刷ジョブの処理をプリンタエンジン103で実行するよう制御する。一方、もし、この中断対象の印刷ジョブが光沢印刷ジョブである場合には、当該中断要因の解除後に当該印刷ジョブよりも優先して他の印刷ジョブの処理をプリンタエンジン103で実行するよう制御する。
これらに例示するような各種の仕組みを備える本実施の形態によれば、複数の印刷工程を経て印刷出力物を作成するような業務フローにおいて、印刷装置2000が障害から復帰した場合に、リカバリ処理におけるオペレータの負担を軽減し、適切なリカバリフローを実施できるようになる。これにより、ユーザは印刷条件詳細を気にすることなく、複数の印刷工程を持つ出力を継続的に行うことが可能となる。
また、本実施の形態によれば、非光沢印刷ジョブとは区別して光沢印刷ジョブを取り扱って上述のようにジョブリカバリ制御(ジョブキャンセル制御)を行うことで、中断対象の印刷ジョブが光沢印刷ジョブであることに起因するトラブルを抑制できる。なおかつ、中断要因解除後、処理すべき印刷ジョブを、適切、且つ、スムーズに処理できる。たとえば、中断要因解除後、非光沢印刷ジョブと同様に光沢印刷ジョブをリカバリしてしまったためにユーザが意図しない出力結果が作成されてしまうといったトラブルを抑制できる。なお、このトラブルとしては以下のようなトラブルが適用される。
例えば、中断要因(例えば用紙無しエラー)が発生している最中に光沢印刷ジョブのユーザが印刷装置の目の前を離れてしまい、別のユーザ(印刷待ち状態の印刷ジョブのユーザなど)がこの印刷装置の前に赴いたとする。そして、この印刷装置は、現在、印刷ジョブの処理が中断状態にあることを気づいたとする。すると、この別のユーザは、自分の印刷ジョブの処理を行わせたいためにも、まずは、この中断要因を解除しようと試みる(この例では用紙を補給する)。この際、このユーザは、通常どおりの単なる用紙無しエラーだと思い、通常どおりの中断状態解除作業、つまり、この例では、未使用の新しい白紙の印刷用紙を給紙部にセットする。これを受け、印刷装置は、この未使用の新しい印刷用紙を用いて自動的に印刷ジョブのリカバリ処理を開始する。この際、中断した印刷ジョブは光沢印刷ジョブであるため、印刷装置は、リカバリ処理として光沢処理を施せばよいものと判断し、この未使用の新しい白紙の印刷用紙(別のユーザが補給した新しい白紙の印刷用紙)に対して光沢処理を施してしまう。その結果、何も画像が印刷されていない白紙の印刷用紙に光沢処理を施しただけの出力結果が作成されてしまう。このようなトラブルが本実施の形態で想定しているトラブルとして適用される。本実施の形態の仕組みを提供することで、このようなトラブルの発生を未然に抑えることができる。
なお、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。又は、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行う場合である。
このように本発明は本形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
以上、本発明の様々な例と実施形態について説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるものではないことは明らかである。