JP2015057482A - インクジェット用インクセット - Google Patents
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Abstract
【課題】耐光性、発色性、保存安定性の面から総合的に優れたイエローインク組成物、当該イエローインク組成物を備えるインクセット、該インクセットを用いたインクジェット記録方法、さらに該インクジェット記録方法により記録された記録物を提供する。【解決手段】着色剤として、C.I.ピグメントイエロー213、185、155からなる群から選択された1種以上の顔料を含んでなるイエローインク組成物と、フタロシアニン顔料を含むシアンインク組成物と、キナクリドン顔料を含むマゼンタインク組成物と、カーボンブラックを含むブラックインク組成物と、を備えたインクジェット用インクセット。【選択図】なし
Description
本発明はインクジェット記録方法に用いられるイエローインク組成物、該イエローインク組成物を備えたインクジェット用インクセット、インクジェット記録方法及び記録物に関する。
近年、インクジェット記録方法が注目されている。インクジェット記録方法は、インク組成物を小滴として飛翔させ、この小滴を紙等の記録媒体(メディア)に付着させて印刷を行なう印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置により高解像度かつ高品位な画像を高速で印刷可能であるという特徴を有する。そして、この方法を利用したインクジェット記録装置は、優れた印字品質、低コスト、比較的静かな動作、優れたグラフィック形成能により、市場に広く受け入れられている。中でも、サーマル(バブルジェット(登録商標))及び圧電ドロップ・オン・デマンドプリンターは、商業的にとりわけ成功し、オフィス及び家庭でのパソコン用プリンターとして広く用いられてきた。
さらに近年、複数のカラーインク組成物を用いたインクジェット記録方法によってカラー画像を形成して記録物を得ることが行われている。一般に、カラー画像の形成は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物の三色、さらに所望によりブラックインク組成物を加えた四色によって行われている。また、これらの四色に淡シアンインク組成物及び淡マゼンタインク組成物を加えた六色又はそれらにさらにダークイエローインク組成物を加えた七色によってカラー画像形成を行なう場合もある。このような2種以上のインク組成物を組み合わせたものがインクセットである。
上述したカラー画像の形成に用いられるインク組成物には、各色ごとのインク組成物自身が良好な発色性を有していることに加え、複数色のインク組成物を組み合わせたときに良好な中間色を発色することができること、及び得られる記録物が保存中に変退色しないこと等が求められる。
さらに最近、カラーインクジェットプリンタによる"写真画質"印刷においては、ヘッド、インク組成物、記録方法、及びメディアのそれぞれの継続的な改良がなされ、得られる画質は"銀塩写真"と遜色ないレベルとなり、"写真並"となった。その一方で、インク組成物及びメディアの改良により、カラーインクジェットプリンタを用いて得られる記録物の画像の保存性の向上が図られており、特に画像の耐光性に関しては、実用上問題のないレベルまで改良されてきた。
しかし、画像の劣化は、光の作用によって生じるだけでなく、環境中に存在する酸化性ガス、例えばオゾンによる酸化や、環境中の水分(湿気)によっても生じ、画像の退色や変色が進行する。したがって、記録物の画像の保存性をさらに向上させるためには、インク組成物によって形成された画像の耐光性を向上させるとともに、耐オゾン性及び耐湿性もあわせて向上させることが望まれている。そのためインクジェット記録物の耐光性、耐オゾン性及び耐湿性を向上させるための様々な検討が行われている(例えば、特許文献1参照)。
インクセットにおいて、特定のインク組成物の耐光性等それぞれが他のインク組成物の耐光性等よりも著しく低い場合、その特定のインク組成物によって形成された色が他の色よりも早く退色及び変色等してしまい、画像全体の色調のバランスが悪くなる。そうすると観察者は、単独のインク組成物によって形成された画像が退色することを認識できるようになるよりも短時間内に画像の画質劣化を認識できるようになる。したがって、インクセットにおいては、インクセットを構成する各インク組成物各々の耐光性等を向上させることと併せて、各インク組成物の耐光性等のレベル、すなわち各インク組成物によって形成される画像の光、オゾン及び水による劣化速度、例えば退色速度もできるだけ同じであることが好ましい。言い換えれば、インクセットを構成する各インク組成物の耐光性等が優れているとともに、各インク組成物間の耐光性等のそれぞれの差が小さいことが好ましい。
インクジェット記録用インクの着色剤として顔料の利用を考えた場合、顔料は染料に比べ耐光性および耐水性に優れている反面、利用できる色剤の種類が染料に比べ少ない。実際にインクジェット記録用インクとして利用する場合には、耐光性および発色性のバランスについても十分検討する必要がある。さらに、インクセットとして利用する場合は、インクセットを構成する各インク組成物各々の耐光性および発色性を向上させることと併せて、インクセットを構成する各インク組成物間の耐光性および発色性のバランスを考慮する必要もある。
従って、本発明は、耐光性、発色性、保存安定性の面で総合的に優れたイエローインク組成物の提供を目的とする。また、インクセットを構成する各インク組成物間の耐光性および発色性のバランスに優れたインクセット、該インクセットを用いたインクジェット記録方法、さらに該インクジェット記録方法により記録された記録物の提供をその目的としている。
本発明者等は、今般、カラーインクジェット記録方法において、特定の顔料を含んだイエローインク組成物が良好な画像を実現できるとの知見を得た。さらに、このイエローインク組成物と、特定のカラーインク組成物と組み合わせて用いることで、カラーバランスが良好な画像が得られるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものであり、着色剤として、C.I.ピグメントイエロー213、185、155からなる群から選択された1種以上の顔料を含んでなる、インクジェット記録用イエローインク組成物を提供するものである。
また、本発明は、イエローインク組成物、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物及びブラックインク組成物を備えたインクジェット記録用インクセットであって、前記イエローインク組成物が上記イエローインク組成物であり、前記シアンインク組成物がフタロシアニン顔料を含み、前記マゼンタインク組成物がキナクリドン顔料を含み、前記ブラックインク組成物がカーボンブラックを含む、インクジェット用インクセットを提供するものである。
さらに、本発明は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、該インク組成物として、前記イエローインク組成物又は前記インクセットを用いるインクジェット記録方法を提供するものである。
さらにまた、本発明は、前記インクジェット記録方法によって印刷が行われた記録物を提供するものである。
本発明のイエローインク組成物によれば、耐光性、発色性、及び保存安定性を総合的に向上させることができる。そのため、該イエローインク組成物を備えたインクジェット用インクセット、インクジェット記録方法及び記録物は、イエローインク組成物以外のカラーインク組成物との退色バランスにも優れ、経年変化による画像の劣化を改善することができる。
[インク組成物]
本発明のインクジェット記録用イエローインク組成物は、着色剤として、C.I.ピグメントイエロー213、185、155からなる群から選択された1種以上の顔料を含む。
本発明のインクジェット記録用イエローインク組成物は、着色剤として、C.I.ピグメントイエロー213、185、155からなる群から選択された1種以上の顔料を含む。
(着色剤)
着色剤として、C.I.ピグメントイエロー213、185、155からなる群から選択された1種以上の顔料を含むイエローインク組成物(以下、単に「イエローインク組成物」と称する)は、耐光性、発色性、保存安定性の面で総合的に優れたものとなる。そのため、インクジェット記録用インクとして好適である。
着色剤として、C.I.ピグメントイエロー213、185、155からなる群から選択された1種以上の顔料を含むイエローインク組成物(以下、単に「イエローインク組成物」と称する)は、耐光性、発色性、保存安定性の面で総合的に優れたものとなる。そのため、インクジェット記録用インクとして好適である。
本発明の実施形態によれば、イエローインク組成物に含まれる顔料の含有量は適宜決定されてよいが、0.5〜15重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましく、2〜8重量%であることが更に好ましい。
また、前記顔料の平均粒子径は、発色を向上させる観点からは、1〜300nmであることが好ましい。
(分散剤)
本実施形態のイエローインク組成物は、顔料分散を安定化させるために分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、後述する水溶性高分子または各種界面活性剤が用いられる。
本実施形態のイエローインク組成物は、顔料分散を安定化させるために分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、後述する水溶性高分子または各種界面活性剤が用いられる。
上記水溶性高分子としては、スルホン酸基、カルボン酸基、アミノ基などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、無機酸塩、有機酸塩などのイオン性の親水基を有する水溶性高分子を用いることができ、これらを単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
詳しくは、カルボキシメチルセルロース塩、ビスコースなどのセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類、カチオンでんぷん、リン酸でんぷん、カルボキシメチルでんぷん塩などのでんぷん誘導体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物などの合成高分子類などがある。中でも、スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩を好適に用いることができる。
これら水溶性高分子は、重量平均分子量が2,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が2,000以上であれば、画像の耐擦過性を向上することができる。1,000,000以下であれば、インク粘度をインクジェット方式において吐出可能な範囲にしやすい。
また、水溶性高分子を用いる場合、インク全量に対して0.01〜20重量%の範囲で添加することが好ましい。0.01重量%以上であれば、画像の耐擦過性を向上することができる。20重量%以下であれば、インク粘度をインクジェット方式において吐出可能な範囲にしやすい。
また、分散剤としては、市販のものを使用することができ、その具体例としては、ジョンソンポリマー株式会社製、ジョンクリル61J(分子量10000、酸価195)、ジョンクリル68(分子量10000、酸価195)、ジョンクリル450(分子量10000〜20000、酸価100)、ジョンクリル55(分子量7500、酸価200)、ジョンクリル555(分子量5000、酸価200)、ジョンクリル586(分子量3100、酸価105)、ジョンクリル680(分子量3900、酸価215)、ジョンクリル682(分子量1600、酸価235)、ジョンクリル683(分子量7300、酸価150)、B−36(分子量6800、酸価250)等が挙げられる。なお、分子量とは、重量平均分子量を示す。
前記分散剤は、前記インク中において、前記顔料に対して、固形分換算で好ましくは、0.1〜10重量%、更に好ましくは、0.3〜6重量%含有される。
また、本実施形態のイエローインク組成物には、上述した顔料および分散剤の代わりに、顔料粒子表面に直接分散性付与基を化学的に導入した、いわゆる表面処理顔料(自己分散顔料)を用いることもできる。
(浸透促進剤)
本実施形態のイエローインク組成物には、浸透促進剤を含有することが、記録媒体への濡れ性を高めて有機顔料の浸透性を高めるため好ましい。浸透促進剤としては、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の各種界面活性剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロレングリコールモノブチルエーテル、プロレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル;1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等の1,2−アルカンジオールが挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。特に、1,2−アルカンジオールを用いることが好ましい。
本実施形態のイエローインク組成物には、浸透促進剤を含有することが、記録媒体への濡れ性を高めて有機顔料の浸透性を高めるため好ましい。浸透促進剤としては、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の各種界面活性剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロレングリコールモノブチルエーテル、プロレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル;1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等の1,2−アルカンジオールが挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。特に、1,2−アルカンジオールを用いることが好ましい。
前記浸透促進剤は、イエローインク組成物中、0.1〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは3〜15重量%程度である。
浸透剤のその他の好ましい例としては、下記一般式(1)に示すポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物を挙げることができる。
上記1,2−アルカンジオールとしては、炭素数が4〜6のもの、例えば、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、または1,2−ヘキサンジオールが挙げられ、好ましくは、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールであり、さらに好ましくは、1,2−ヘキサンジオールである。これらは一種または二種以上の組み合わせで用いることもできる。
1,2−アルカンジオールの添加量は、インク組成物に対して0.1〜20重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは3〜15重量%程度、更に好ましくは5〜10重量%程度である。
また、上記一般式(1)で表されるポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物としては、好ましくは、R1〜R7が独立して炭素数1〜6のアルキル基、好ましくはメチル基である。j、k及びgは、独立して、1以上の整数であるが、より好ましくは1〜2である。また、p及びqは0以上の整数であるが、但しp+qは1以上の整数である。
上記一般式(1)で表されるポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物としては、より好ましくは、例えば、j=k+1を満足する化合物、R1〜R7が全てメチル基であり、jが2であり、kが1であり、gが1であり、pが1以上の整数であり、qが0である化合物等が挙げられる。
上記一般式(1)で表される化合物は市販されており、それらを利用することが可能である。例えば、ビッグケミー・ジャパン株式会社より市販されているシリコン系界面活性剤BYK−345、BYK−346、BYK−347、又はBYK−348が利用可能である。
ポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物の添加量は適宜決定されてよいが、インク組成物に対して0.01〜5重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1重量%程度、更に好ましくは0.3〜0.5重量%程度である。
浸透剤のその他の好ましい例としては、多価アルコール低級アルキルエーテル(グリコールエーテル)類及び/又は下記の一般式(2)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤を挙げることができる。
多価アルコール低級アルキルエーテルの添加量は1〜30重量%であるのが好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。
上記一般式(2)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤として市販品を利用することも可能であり、その具体例としてサーフィノール104、82、465、485又はTG(いずれもAir Product and Chemicals. Inc. より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(以上、日信化学社製(商品名))を挙げることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤の添加量は適宜決定されてよいが、インク組成物に対して0.01〜5重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜1重量%の範囲である。
(湿潤剤)
本実施形態のイエローインク組成物は、インクジェットプリンタのノズルの目詰まり防止の観点から、湿潤剤を含有することが好ましい。湿潤剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが挙げられ、好ましくはグリセリンである。
本実施形態のイエローインク組成物は、インクジェットプリンタのノズルの目詰まり防止の観点から、湿潤剤を含有することが好ましい。湿潤剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが挙げられ、好ましくはグリセリンである。
湿潤剤の添加量は適宜決定されてよいが、インク組成物に対して1〜30重量%程度が好ましい。
(水)
本実施形態のイエローインク組成物は、バランスとして水を含有する。水は、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
本実施形態のイエローインク組成物は、バランスとして水を含有する。水は、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
(その他の成分)
さらに、本実施形態のイエローインク組成物には、トリエタノールアミンやアルカリ金属水酸化物等のpH調整剤、アルギン酸ナトリウム等の水溶性ポリマー、水溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、溶解助剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤等から選ばれる材料を所望により添加することができる。これらの成分は、各種別に一種又は二種以上を混合して用いることができる。また、添加する必要がなければ添加しなくてもよい。当業者は本発明の効果を損なわない範囲で、選択された好ましい添加剤を好ましい量で用いることができる。なお、上記溶解助剤とは、インク組成物から不溶物が析出する場合に、その不溶物を溶解し、インク組成物を均一な溶液に保つための添加剤である。
さらに、本実施形態のイエローインク組成物には、トリエタノールアミンやアルカリ金属水酸化物等のpH調整剤、アルギン酸ナトリウム等の水溶性ポリマー、水溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、溶解助剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤等から選ばれる材料を所望により添加することができる。これらの成分は、各種別に一種又は二種以上を混合して用いることができる。また、添加する必要がなければ添加しなくてもよい。当業者は本発明の効果を損なわない範囲で、選択された好ましい添加剤を好ましい量で用いることができる。なお、上記溶解助剤とは、インク組成物から不溶物が析出する場合に、その不溶物を溶解し、インク組成物を均一な溶液に保つための添加剤である。
[インクジェット用インクセット]
本発明のインクジェット用インクセットは、イエローインク組成物、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物及びブラックインク組成物を備えたインクジェット記録用インクセットであって、前記イエローインク組成物が上述したイエローインク組成物であり、前記シアンインク組成物がフタロシアニン顔料を含み、前記マゼンタインク組成物がキナクリドン顔料を含み、前記ブラックインク組成物がカーボンブラックを含むものである。
本発明のインクジェット用インクセットは、イエローインク組成物、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物及びブラックインク組成物を備えたインクジェット記録用インクセットであって、前記イエローインク組成物が上述したイエローインク組成物であり、前記シアンインク組成物がフタロシアニン顔料を含み、前記マゼンタインク組成物がキナクリドン顔料を含み、前記ブラックインク組成物がカーボンブラックを含むものである。
上述したように、本発明に使用されるイエローインク組成物は、耐光性、発色性、及び保存安定性の面から総合的に優れている。そして、該イエローインク組成物を備えたインクジェット用インクセットは、イエローインク組成物以外のカラーインク組成物との退色バランスにも優れ、経年変化による画像の劣化を効果的に防止することができる。
前記シアンインク組成物に含まれるフタロシアニン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60及びC.I.バットブルー4、60等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
前記マゼンタインク組成物に含まれるキナクリドン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド、5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、15:1、112、122、123、168、184、202、209及びC.I.ピグメントバイオレット19等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
なお、前記フタロシアニン顔料及び前記キナクリドン顔料のインク組成物における含有量は濃淡インク組成物等のインク組成物の種類に応じて適宜変更することができる。特に、淡インク組成物(ライトインク組成物)中の顔料の含有量は、0.1〜1.3重量%であることが好ましく、0.4〜1.0重量%であることがさらに好ましい。
前記ブラックインク組成物は、前記カーボンブラックの濃度が異なる少なくとも2種以上の黒色インク組成物を用いることが好ましい。具体的には、前記カーボンブラックの濃度が、1.5重量%以上のブラック、1.5重量%未満〜0.6重量%以上のグレー、0.6重量%未満のライトグレーのうち、少なくとも1種類、好ましくは2種以上を用いることが好ましい。
このように、顔料濃度の異なる複数のブラックインク組成物を有することにより、モノクロ画像の高品質化が図れるとともに、明度の低い部分の階調性がよくなり、グレーバランスが安定してばらつきが減少するという効果が得られる。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、該インク組成物として、上述したイエローインク組成物又はインクセットを用いるものである。
本発明のインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、該インク組成物として、上述したイエローインク組成物又はインクセットを用いるものである。
インク組成物を吐出する方法としては、以下に説明する方法が挙げられる。
第一の方法としては、静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、あるいはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式である。
第一の方法としては、静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、あるいはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式である。
第二の方法としては、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式である。噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第三の方法は圧電素子を用いる方式であり、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式である。
第四の方式は熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式であり、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式である。
以上のいずれの方式も本実施形態のインク組成物を用いたインクジェット記録方法に使用することができる。
本実施形態のインクジェット記録方法によれば、上述のイエローインク組成物又はインクセットを用いることにより、従来から使用されているインクジェット記録装置に追加の設備を設けることなくそのまま使用することができ、耐光性と発色性のバランスに優れた記録物を得ることができ、画像の保存性を高めることができる。
[記録物]
本実施形態の記録物は、少なくとも上述のイエローインク組成物又はインクセットを用いて記録媒体上に記録が行われたものである。この記録物は、上述のインク組成物又はインクセットを用いることにより、従来から使用されているインクジェット記録装置に追加の設備を設けることなくそのまま使用することができ耐光性と発色性のバランスに優れ、画像の保存性に優れた記録物を得ることができる。
本実施形態の記録物は、少なくとも上述のイエローインク組成物又はインクセットを用いて記録媒体上に記録が行われたものである。この記録物は、上述のインク組成物又はインクセットを用いることにより、従来から使用されているインクジェット記録装置に追加の設備を設けることなくそのまま使用することができ耐光性と発色性のバランスに優れ、画像の保存性に優れた記録物を得ることができる。
1.インク組成物の調製
顔料とスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩(分子量10000、ポリマー成分38%:分散剤)をサンドミル(安川製作所製)中でガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量)とともに2時間分散させた。次いで、ガラスビーズを取り除き、他の添加物を加え、常温で30分間撹拌した。5μmのメンブランフィルターで濾過して、以下の表1のようなインク組成物を得た。単位は特に断りがない限り重量%である。
顔料とスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩(分子量10000、ポリマー成分38%:分散剤)をサンドミル(安川製作所製)中でガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量)とともに2時間分散させた。次いで、ガラスビーズを取り除き、他の添加物を加え、常温で30分間撹拌した。5μmのメンブランフィルターで濾過して、以下の表1のようなインク組成物を得た。単位は特に断りがない限り重量%である。
なお、表1中、カーボンブラックは三菱化学社製のカーボンブラックMA7を使用し、分散剤はジョンソンポリマー社製ジョンクリル61J(ポリマー成分30.5%)を使用した。また、BYK348はビッグケミー・ジャパン社製シリコン系界面活性剤を意味し、プロキセルXL2はAVECIA社製防腐剤又は防カビ剤を意味する。
2.インクセットの構成
上記のようにして得られたインク組成物を下記表のように組み合わせ、インクセットを構成した。
上記のようにして得られたインク組成物を下記表のように組み合わせ、インクセットを構成した。
3.評価試験(1)評価1:耐光性
上記2で構成したインクセットのうち、カラーインク組成物はインクカートリッジに充填し、ブラックインク組成物は純正カートリッジを搭載して、インクジェットプリンタPX-5500(セイコーエプソン社製)を用いてEPSON写真用紙(セイコーエプソン社製)に印刷した。
上記2で構成したインクセットのうち、カラーインク組成物はインクカートリッジに充填し、ブラックインク組成物は純正カートリッジを搭載して、インクジェットプリンタPX-5500(セイコーエプソン社製)を用いてEPSON写真用紙(セイコーエプソン社製)に印刷した。
印刷パターンはOD値が1.0となるように10mm×10mmのベタを印刷した。印刷モードはEPSON写真用紙の高精細モードの、プリンターカラー調整の“色補正なし”を選択した。作製した印刷サンプルを、スガ試験機株式会社製 キセノンウェザーメーター XL75を用いて70,000Luxの照射量で400時間及び600時間曝露し、そのOD値を測定した。そして、曝露前のOD値を基準として、曝露後のOD値の減少率を求め、下記の評価基準に基づき印刷サンプルの耐光性を評価した。結果を表3に示す。
A:OD値の減少率が20%未満
B:OD値の減少率が20%以上30%未満
C:OD値の減少率が30%以上
A:OD値の減少率が20%未満
B:OD値の減少率が20%以上30%未満
C:OD値の減少率が30%以上
(2)評価2:発色性(彩度)
Adobe Photoshop(登録商標)のRGBカラーモードにおいて、RGB値をR=255, G=255, B=0に設定したイエローパッチと、R=255, G=0, B=0に設定したレッドパッチと、R=0, G=255, B=0に設定したグリーンパッチを、上記(1)と同様の印刷モードで印刷した。印刷サンプルを常温で1日乾燥させた後、パッチ部のa*及びb*を測定し、下記の式を用いてC*を求め、求めたC*から、下記の各評価基準により、各色の彩度の比較を行った。結果を表3に示す。
Adobe Photoshop(登録商標)のRGBカラーモードにおいて、RGB値をR=255, G=255, B=0に設定したイエローパッチと、R=255, G=0, B=0に設定したレッドパッチと、R=0, G=255, B=0に設定したグリーンパッチを、上記(1)と同様の印刷モードで印刷した。印刷サンプルを常温で1日乾燥させた後、パッチ部のa*及びb*を測定し、下記の式を用いてC*を求め、求めたC*から、下記の各評価基準により、各色の彩度の比較を行った。結果を表3に示す。
C*=[(a*)2+(b*)2]1/2
イエローの彩度は以下の基準で評価した。
A:C*>105
B:100<C*<105
C:100≧C*
A:C*>105
B:100<C*<105
C:100≧C*
レッドの彩度は以下の基準で評価した。
A:C*>90
B:80<C*<90
C:80≧C*
A:C*>90
B:80<C*<90
C:80≧C*
グリーンの彩度は以下の基準で評価した。
A:C*>80
B:70<C*<80
C:70≧C*
A:C*>80
B:70<C*<80
C:70≧C*
(3)評価3:保存安定性
イエロー顔料インクY1〜Y8を密閉できる貯蔵瓶に充填し、60℃で3週間放置した。放置前後の粒子径の変化率を表4に示す。そして、下記の評価基準に基づき、保存安定性を評価した。
A:粒子径の変化率が初期に対して10%未満である。
B:粒子径の変化率が初期に対して10%以上30%未満である。
C:粒子径の変化率が初期に対して30%以上である。
イエロー顔料インクY1〜Y8を密閉できる貯蔵瓶に充填し、60℃で3週間放置した。放置前後の粒子径の変化率を表4に示す。そして、下記の評価基準に基づき、保存安定性を評価した。
A:粒子径の変化率が初期に対して10%未満である。
B:粒子径の変化率が初期に対して10%以上30%未満である。
C:粒子径の変化率が初期に対して30%以上である。
(4)総合評価
上記の評価1〜3に基づく各実施例の効果を数値的に明確にするため、各評価1〜3のランクをポイントで表し、それぞれを掛けることにより総合的な評価点を導いた。各ランクについて以下のようにポイントをつけた。Cが一つでも存在すると本発明の必要な機能を有しないという判断から、総合の評価点として全ての評価ポイントの積を取ることとした。結果を表5に示す。
A:3点
B:1点
C:0点
上記の評価1〜3に基づく各実施例の効果を数値的に明確にするため、各評価1〜3のランクをポイントで表し、それぞれを掛けることにより総合的な評価点を導いた。各ランクについて以下のようにポイントをつけた。Cが一つでも存在すると本発明の必要な機能を有しないという判断から、総合の評価点として全ての評価ポイントの積を取ることとした。結果を表5に示す。
A:3点
B:1点
C:0点
上記の評価結果から、本実施例のインク組成物は、耐光性、発色性、及び保存安定性の面で比較例のものに比べて総合的に優れていることがわかる。また、本実施例の中でも、特に、ピグメントイエロー213を用いたイエローインクが総合的に優れていることがわかる。
Claims (5)
- 着色剤として、C.I.ピグメントイエロー213、185および155からなる群から選択された1種以上の顔料を含んでなる、インクジェット記録用イエローインク組成物。
- イエローインク組成物、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物及びブラックインク組成物を備えたインクジェット記録用インクセットであって、
前記イエローインク組成物が請求項1に記載のイエローインク組成物であり、
前記シアンインク組成物がフタロシアニン顔料を含み、
前記マゼンタインク組成物がキナクリドン顔料を含み、
前記ブラックインク組成物がカーボンブラックを含む、
インクセット。 - 前記ブラックインク組成物が、そのカーボンブラックの濃度が、1.5重量%以上であるブラックインク組成物、1.5重量%未満〜0.6重量%以上であるブラックインク組成物および0.6重量%未満であるブラックインク組成物からなる群から選択された1種以上を備えた、請求項2に記載のインクセット。
- インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、該インク組成物として、請求項1に記載のイエローインク組成物又は請求項2もしくは3に記載のインクセットを用いるインクジェット記録方法。
- 請求項4に記載のインクジェット記録方法によって印刷が行われた記録物。
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