JP2015054943A - 樹脂組成物、コート層、感熱記録媒体、及び水性塗工液 - Google Patents

樹脂組成物、コート層、感熱記録媒体、及び水性塗工液 Download PDF

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千津子 風呂
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修作 万代
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Abstract

【課題】アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂とヒドラジン化合物を含有する樹脂組成物の経時での着色を抑えること。【解決手段】アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)をヒドラジン化合物(B)で架橋して得られた架橋構造体(C)を含有し、チオール化合物及び有機ホスフィン化合物から選ばれる少なくとも一種の還元剤(D)を含有することを特徴とする樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂をヒドラジン化合物によって架橋してなる架橋構造体を主要成分とする樹脂組成物に関するものであって、さらに詳しくは、経時による着色が少ない樹脂組成物に関するものである。また、かかる樹脂組成物を含有するコート層、およびかかるコート層を支持基材上に保護層として有する感熱記録用媒体及び水性塗工液に関するものである。
ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と略記する。)は、優れた水溶性、界面特性、皮膜特性(造膜性、強度、耐油性等)、等を利用して、分散剤、乳化剤、懸濁剤、繊維加工剤、紙加工剤、バインダー、接着剤、フィルム等に広く用いられている。前述のように、PVA系樹脂の水溶性を利用し、各種用途に用いられている訳であるが、適用後、水分を除去し、乾燥させた際には、耐水性を求められる用途も多い。
しかしながら、PVA系樹脂は水溶性であるため耐水性に乏しく、その改善を目的とした検討が行われてきた。特にPVA系樹脂に架橋剤を配合し、架橋構造体を形成させ、耐水化を行う検討は、広く行われている。
架橋による耐水化については、一般のPVA系樹脂よりも、反応性に富む官能基を導入した変性PVA系樹脂の利用が提案されている。各種の変性PVA系樹脂の中でも、種々の架橋剤を用いることができ、耐水性が優れる架橋構造体を得られるアセトアセチル基を有するPVA系樹脂が知られている。かかるアセトアセチル基を有するPVA系樹脂を種々の架橋剤で架橋させた架橋構造体は、優れた耐水性を利用し、感熱紙の保護層や、インクジェット用記録媒体にも適用されている。
かかるアセトアセチル基含有PVA系樹脂(以下、AA化PVAと略記する。)の架橋剤として用いられる化合物としては、アルデヒド化合物、アミン化合物、ヒドラジン化合物、メチロール化合物、金属化合物などが知られており、それぞれの特性に応じて、各種用途において使用されている。
中でも、ヒドラジン化合物は、比較的速い架橋速度が求められる用途に好適であり、例えば、感熱記録層および/または保護層中のバインダーとしてアセトアセチル基含有ポリビニルアルコールと、ヒドラジン化合物の組み合わせが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
しかしながら、AA化PVAのヒドラジン化合物による架橋構造体は、その製造条件や保存条件によっては経時で着色する場合があり、かかる問題を解決する方法として、還元剤を配合することが提案されている。(例えば、特許文献2参照)
特開2004−249528号公報 特開2009−280754号公報
上記の特許文献2の技術では、含水状態(ゲル)では、着色防止の効果が得られていたが、乾燥状態にするとその効果が十分に得られないことが判明した。かかる着色の原因としてナトリウム原子が関与していることが推測され、特許文献2の実施例で用いられているような亜硫酸水素ナトリウムや亜二チオン酸ナトリウムでは着色が十分に抑えられないことが分かった。
即ち、本発明は、AA化PVAのヒドラジン化合物による架橋構造体を含有する樹脂組成物において、乾燥状態での経時着色を抑えることを目的とするものである。
本発明者は、上記事情に鑑み鋭意検討した結果、AA化PVA(A)をヒドラジン化合物(B)で架橋して得られた架橋構造体(C)と、チオール化合物及び有機ホスフィン化合物から選ばれる少なくとも一種の還元剤(D)とを含有することを特徴とする樹脂組成物によって上述の課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
本発明の樹脂組成物は、経時着色が少ないことから、各種基材に対するコート層、特に感熱記録媒体の保護層として極めて好適である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔AA化PVA(A)〕
まず、本発明で用いられるAA化PVA(A)について説明する。
本発明に用いられるAA化PVA(A)は、PVA系樹脂の主鎖に直接、あるいは酸素原子や連結基を介してアセトアセチル基(AA基)が結合したもので、例えば一般式(1)で表されるAA基を有する構造単位を含むポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。なお、かかるAA化PVA(A)は、AA基を有する構造単位以外にビニルアルコール構造単位を有し、更に未ケン化部分のビニルエステル構造単位を有する。
Figure 2015054943
本発明のAA化PVA(A)の平均重合度(JIS K6726に準拠)は、その用途によって適宜選択すればよいが、通常、300〜4000であり、特に400〜3500、さらに500〜3000のものが好適に用いられる。かかる平均重合度が小さすぎると、十分な耐水性が得られなかったり、十分な架橋速度が得られなくなる傾向があり、逆に大きすぎると、水溶液として使用した場合に、その粘度が高くなりすぎ、基材への塗工が困難になるなど、各種工程への適用が難しくなる傾向がある。
また、本発明に用いられるAA化PVA(A)のケン化度は、通常、80〜100モル%であり、さらには85〜99.9モル%以上、特には90〜99.8モル%以上ものが好適に用いられる。かかるケン化度が低い場合には、水溶液とすることが困難になったり、水溶液の安定性が低下したり、得られた架橋高分子の耐水性が不充分となる傾向がある。
また、AA化PVA(A)中のAA基含有量(以下AA化度と略記する。)は、通常、0.1〜20モル%であり、さらには0.2〜15モル%、特には0.3〜10モル%であるものが一般的に広く用いられる。かかる含有量が少なすぎると、十分な耐水性が不充分となったり、十分な架橋速度が得られなくなる傾向があり、逆に多すぎると、水溶性が低下したり、水溶液の安定性が低下する傾向がある。
本発明においては、使用するPVA系樹脂のすべてがAA化PVAであることが好ましいが、AA化PVA以外のPVA系樹脂が併用されていてもよく、その含有量はAA化PVAに対して、通常20重量%以下であり、特に10重量%以下、さらに5重量%以下であることが好ましい。
かかるAA化PVA以外のPVA系樹脂としては、未変性のPVA系樹脂や、前述のビニルエステル系モノマーと共重合性を有する各種モノマーを共重合して得られた各種変性PVA系樹脂を挙げることができる。
また、本発明のAA化PVA(A)には、製造工程で使用あるいは副生した酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属の酢酸塩(主として、ケン化触媒として用いたアルカリ金属水酸化物とポリ酢酸ビニルのケン化によって生成した酢酸との反応物等に由来)、酢酸などの有機酸(PVA系樹脂にアセト酢酸エステル基を導入する際の、ジケテンとの反応時にPVAに吸蔵させた有機酸等に由来)、メタノール、酢酸メチルなどの有機溶剤(PVA系樹脂の反応溶剤、AA化PVA製造時の洗浄溶剤等に由来)が一部残存していても差し支えない。
かかるAA化PVA(A)の製造法としては、特開2010−077385の段落〔0059〕から〔0065〕に記載の方法で製造することができる。
〔ヒドラジン化合物(B)〕
次に、本発明で用いられるヒドラジン化合物(B)について説明する。
かかるヒドラジン化合物(B)は分子中にヒドラジノ基(H2N−NH−)を有する化合物であり、具体的には、ヒドラジン;ヒドラジンの塩酸,硫酸,硝酸,亜硫酸,リン酸,チオシアン酸,炭酸等の無機酸塩、ギ酸,酢酸、シュウ酸等の有機酸塩類;ヒドラジンのメチル,エチル,プロピル,ブチル,アリル等の一置換体、1,1−ジメチル,1,1−ジエチル等の対称二置換体などのヒドラジン誘導体;カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(味の素ファインテクノ社製「アミキュアVDH」等)、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド(味の素ファインテクノ社製「アミキュアUDH」等)などのジヒドラジド化合物;ポリアクリル酸ヒドラジド、N−アミノポリアクリルアミド、N−アミノアクリルアミド/アクリルアミド共重合体、などの多価ヒドラジド化合物等を挙げることができ、特に水溶性であるものが好ましく、中でもヒドラジド化合物、特にジヒドラジド化合物が好ましく、殊にアジピン酸ジヒドラジドが本願発明の目的を顕著に発揮できる点で好適に用いられる。
かかるヒドラジン化合物(B)の使用量は、得られる架橋構造体に求められる耐水性、架橋速度、などによって適宜選択することが可能であるが、通常は、AA化PVA(A)100重量部に対して1〜20重量部、特に2〜15重量部、さらに3〜10重量部の範囲が好ましく用いられる。また、AA化PVA系樹脂中の総AA基量(Y)に対する架橋剤中のヒドラジド基量(X)のモル比(X/Y)は通常0.01〜50、好ましくは0.05〜20、特には0.1〜10の範囲である。かかるヒドラジド基量が少なすぎると得られる架橋高分子の耐水性が不十分となる場合があり、逆に多すぎるとその使用環境等によっては混合水溶液が増粘しやすくなり、ポットライフが短くなる場合がある。
かかるヒドラジン化合物(B)の配合量が少なすぎると、架橋構造体の耐水性が低下したり、所望の架橋速度が得られなく傾向があり、また、その配合量が多すぎると、架橋速度が速くなりすぎ、AA化PVA(A)とヒドラジン化合物(B)を混合した水溶液のポットライフが極めて短くなったり、これを塗工中に増粘、ゲル化してしまう場合がある。
なお、本発明においては、上記ヒドラジン化合物(B)以外のAA化PVAに用いられる公知の架橋剤を併用することも可能であり、かかる架橋剤としては、グリオキザールなどのアルデヒド化合物、メチロール化メラミンなどのメチロール化合物、塩基性塩化ジルコニルなどの金属化合物などを挙げることができる。
〔還元剤(D)〕
次に、本発明で用いられる還元剤(D)について説明する。
本発明で用いられる還元剤(D)は、チオール化合物及び有機ホスフィン化合物から選ばれる少なくとも一種である。
かかるチオール化合物としては、脂肪族チオール化合物や芳香族チオール化合物が挙げられ、中でも脂肪族チオール化合物が好ましい。脂肪族チオール化合物としては、例えば、チオール基を1つ有するメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、n―オクチルメルカプタン、n―ドデシルメルカプタン、t―ドデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトコハク酸、メルカプト乳酸、2−メルカプトエタノール、N-アセチルシステイン、L-システイン、2−アミノエタンチオール、チオール基を2つ有する1,2-エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、2,3-ジメルカプトー1−プロパノール、ジチオトレイトール、1,2−ベンゼンジチオール、1,4-ベンゼンジチオール、3,6-ジオキサー1,8−オクタンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、などがあげられ、中でも水溶性のチオール化合物が好ましく、さらに、チオール基が1つまたは2つのN−アセチルシステイン、L−システイン、ジチオトレイトール、2−メルカプトエタノールが好ましく用いられる。
なお、チオール化合物は下記(1)式の反応によってジスルフィドを生成し、その際に還元剤として作用するものである。
Figure 2015054943
また、本発明で用いられる有機ホスフィン化合物としては、例えばメチルホスフィン、エチルホスフィン、プロピルホスフィンなどの第一ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジイソプロピルホスフィンなどの第二ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの第三ホスフィンが挙げられ、好ましくは、水溶性のホスフィン化合物であり、さらには、還元力の高さの点から第三ホスフィンが好ましく、その中でもトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンが好ましく用いられる。
また、第三ホスフィンは、下記(2)式のように酸化されホスフィンオキシドとなり、その際に還元剤として作用するものである。
Figure 2015054943
かかる還元剤(D)の使用量は、AA化PVA系樹脂(A)100重量部に対して通常は0.1〜20重量部であり、特に0.5〜10重量部、さらに1〜5重量部の範囲が好ましく用いられる。かかる還元剤(D)の配合量が少なすぎると、十分な効果が得られなくなる傾向があり、逆に多すぎると、着色を増大させる場合がある。
〔架橋構造体(C)および樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、AA化PVA(A)をヒドラジン化合物(B)にて架橋して得られる架橋構造体(C)に、還元剤(D)を含有するものであるが、架橋構造体(C)とした後、これに還元剤(D)を均一に混合することは困難であることから、通常は、架橋前のAA化PVA(A)あるいはヒドラジン化合物(B)の少なくとも一方に還元剤(D)を配合し、その後、AA化PVA(A)とヒドラジン化合物(B)を混合して架橋反応させることによって架橋構造体(C)と還元剤(D)とを含有する樹脂組成物が得る方法が採用される。かかる方法によって得られる本発明の樹脂組成物は、架橋構造体(C)中に還元剤(D)が均一に分散された状態で存在する。
また、AA化PVA(A)は水溶性樹脂であり、ヒドラジン化合物(B)として水溶性のものを使用することにより、水性媒体中でこれらを混合する方法を用いることが可能である。
かかる混合方法としては、(i)AA化PVA(A)とヒドラジン化合物(B)をともに水に投入して溶解する方法、(ii)AA化PVA(A)の水溶液にヒドラジン化合物(B)を添加して混合する方法、(iii)予めAA化PVA(A)とヒドラジン化合物(B)を別々に溶解したものを混合する方法、などが挙げられる。しかしながら、AA化PVA(A)とヒドラジン化合物(B)との架橋反応は、低温で速やかに進行するため、(i)の方法は、AA化PVAが完全に溶解しないうちに架橋ゲル化する可能性があり、(ii)の方法の場合でも、ヒドラジン化合物(B)が十分に溶液中に溶解、分散されない可能性があるため、(iii)の方法が好ましく、その場合においても、両水溶液を混合した後、速やかにこれを使用するか、一方の水溶液を塗工、注型、浸漬したのちに、他方の水溶液と接触させることが望ましい。
この場合、還元剤(D)はAA化PVA(A)の水溶液、およびヒドラジン化合物(B)の水溶液のいずれか、あるいは両方に予め混合しておけばよい。
ここで用いられるAA化PVA(A)水溶液の濃度は、通常0.05〜40重量%であり、さらには1〜30重量%、特には1〜20重量%の範囲が好ましく用いられる。かかる濃度が大きすぎると粘度が高くなりすぎ、基材への塗工や、各種工程への適用が困難になる場合があるため好ましくない。また、濃度が小さすぎると樹脂量が不足したり、乾燥に長時間を要したりするため好ましくない。
また、ヒドラジン化合物(B)水溶液の濃度は、使用するヒドラジン化合物の溶解度によっても異なるため、一概には言えないが、通常は1〜50重量%、特に5〜30重量%の範囲が好ましく用いられる。かかる濃度が小さすぎると、得られた混合水溶液中の水分量が多くなり、乾燥に長時間を要する傾向があり、逆に大きすぎるとAA化PVA(A)との反応が速く起こり、十分に混合できなくなる場合がある。
さらに還元剤(D)水溶液の濃度は、通常0.1〜50重量%、特に0.5〜10重量%の範囲が好ましく用いられる。かかる濃度が小さすぎると調整が困難になる傾向があり、大きすぎると樹脂組成物中に十分に分散できなくなる傾向がある。
かくして得られたAA化PVA(A)とヒドラジン化合物(B)、および還元剤(D)を含有する混合水溶液は、塗工、注型、浸漬、等の公知の方法によって各種用途に適用され、その後、AA化PVA(A)とヒドラジン化合物(B)の架橋反応が進行して、架橋構造体(C)が得られ、同時に、あるいはその後、乾燥することによって水分を除去される。
もしくは、AA化PVA(A)とヒドラジン化合物(B)のどちらか一方を含有する水溶液を予め塗工、注型、浸漬しておき、後から残りの他の成分を含有する混合水溶液を、前記の(A)と(B)のどちらか一方を有する水溶液と接触するように塗工、注型、浸漬することもできる。かかる場合には、AA化PVA(A)とヒドラジン化合物(B)が接触した際に架橋反応が進行して架橋構造体(C)が得られる。また、上記と同様に乾燥することによって水分を除去される。
AA化PVA(A)とヒドラジン化合物(B)による本発明の架橋構造体(C)を含有する樹脂組成物は、耐水性が要求される各種用途に対して有用であり、特に、各種接着剤用途、バインダー用途、被覆剤用途等に好適である。特に、本発明の樹脂組成物は、耐水性に優れるとともに経時着色が少ないという特徴を有していることから、各種基材に対するコート層や、感熱記録用媒体として用いることが好ましい。
〔コート層〕
次に、本発明のコート層について説明する。
本発明のコート層は、上述のAA化PVA(A)をヒドラジン化合物(B)で架橋して得られた架橋構造体(C)と、これに還元剤(D)を含有する樹脂組成物からなるものである。
その製造法は、上述の樹脂組成物の製造法において得られた、樹脂組成物水溶液を各種基材に塗工し、これを乾燥することによって得る方法が通常用いられる。
かかるコート層中の樹脂組成物は、架橋構造体(C)中に還元剤(D)が分子レベルで均一に分散された状態で存在している。
基材としては、紙、木質素材、プラスチック材料、金属材料などあらゆる素材を用いることが可能であるが、本発明の特徴を活かす素材として、特にガラスや透明プラスチックなどの透明素材、あるいは白色や淡色の素材が好ましく用いられる。
コート層の厚さは、その使用目的によって異なり、所望の厚さを選定できるが、通常は1〜1000μm、特に5〜500μm、さらに10〜300μmの範囲で用いることが多い。
なお、上述の水溶液を塗工した後の乾燥条件としては、使用形態によって適宜選択されるものではあるが、通常は5〜150℃、さらには30〜150℃、特には40〜150℃の温度条件で、0.1〜60分、さらには0.1〜30分、特には0.2〜20分の乾燥時間が好ましく用いられる。
〔感熱記録用媒体〕
本発明の感熱記録用媒体は、基材上に本発明の樹脂組成物の塗工層を設けたもので、かかる塗工層は感熱発色層であったり、感熱発色層上に設けられて保護層として機能するものであるが、保護層として好適に用いられる。
かかる塗工層を形成させるために用いる塗工液は、本発明の樹脂組成物を含む水溶液として調製される。
かかる水溶液のpHとしては9以下が好ましく、さらには3〜9である。pHが9を越えると耐温水性や耐可塑剤性が低下することがあり好ましくない。なお、AA化PVA(A)は水溶液とすると弱酸性となるので、かかるpH調整は通常必要ないことが多いが、必要に応じて、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、クエン酸、酒石酸、蓚酸、酢酸などの有機酸、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニアなどの塩基性化合物でpH調整すればよい。
また、塗工液中の樹脂組成物の含有量は1〜50重量%(更には2〜30重量%)程度とすることが好ましく、かかる含有量が1重量%未満では、耐水性を充分に発揮できないことがあり、逆に50重量%を越えると塗工液の粘度が高くなるため、塗工が困難になることがあり好ましくない。
該塗工層を形成するにあたっては、(1)上記水溶液を保護層としてのみ塗工する方法、(2)上記水溶液を感熱発色層および保護層として塗工する方法、(3)上記水溶液を感熱発色層としてのみ塗工する方法が挙げられるが、特に(1)の場合に本発明の効果を充分に発揮できるので、かかる場合について説明する。
この場合には基材上に任意の感熱発色層が設けられ、その上に上記の樹脂組成物を含有する保護層が設けられるのである。
該基材としては、紙(マニラボール、白ボール、ライナー等の板紙、一般上質紙、中質紙、グラビア用紙等の印刷用紙、上・中・下級紙、新聞用紙、剥離紙、カーボン紙、ノンカーボン紙、グラシン紙など)やプラスチックフィルム(ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム及びこれらの積層体等)などが挙げられる。
まず、上記の基材上に感熱発色層が設けられるのであるが、かかる感熱発色層は、バインダー(例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類、ラテックス類等)にさらに発色性物質と顕色剤を配合した水溶液(発色液)を得た後、該水溶液を基材に塗工することにより形成させることができる。
かかる感熱発色層は、バインダー、発色性物質と顕色剤を配合した水溶液を得た後、該水溶液を基材に塗工すればよい。この時の発色性物質や顕色剤は水溶液中ではブロック化するのでサイドグラインダー、ボールミル、ビスコミル等で0.1〜5μm程度に粉砕される。
感熱発色層を設けるに当たっては上記のバインダー、発色性物質と顕色剤を配合した水溶液をロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、ゲートロール法等任意の塗工手段で基材に塗工すればよく、塗工液の固形分は10〜60重量%程度とすればよく、該水溶液の塗工量は、乾燥重量で0.1〜20g/m程度である。
ついで、かかる感熱発色層の上に前述の塗工液を塗工して保護層が形成されるのであるが、このときかかる塗工液に必要に応じて顔料、助剤等を配合することもできる。
該顔料としては、無機フィラーや有機フィラーが挙げられ、無機フィラーとしては、気相法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカなどの非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミナ水和物、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物、ゼオライト、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、などが挙げられ、これらを単独、あるいは複合して使用される。また有機フィラーとしては、ナイロン樹脂フィラー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、デンプン粒子等の有機顔料が挙げられる。
さらに該助剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス等の滑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、蛍光染料、剥離剤、酸化防止剤などが挙げられる。
塗工手段としては上記の感熱発色層で使用した塗工方法が用いられ、このときの塗工量は、乾燥重量で0.5〜10g/mが好ましい。かかる塗工量が0.5g/m未満では、耐水性を充分に発揮できないことがあり、10g/mを越えると塗工斑を生じるために好ましくない。
塗工後は乾燥処理やカレンダー処理を行うことによって目的とする塗工層が形成される。
加熱条件としては、通常、30〜100℃、特に40〜90℃の温度範囲で、乾燥時間は、通常、1秒〜5分、特に5秒〜5分の範囲が好ましく用いられる。また、その後の乾燥条件としては、通常40〜120℃で1〜30分程度乾燥させればよい。
また、必要に応じて感熱発色層の下にアンダーコート層を設けても良く、アンダーコート層は、公知のPVAの他、澱粉、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カゼイン、アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体系ラテックスなどの水溶性及び水分散性樹脂や上記で述べた顔料を各々単独あるいは2種以上配合して塗工すればよい。アンダーコート層の塗工に際しては、保護層と同様の塗工方法、塗工液の濃度や塗工量が採用される。
得られる感熱記録用媒体は、基材/(アンダーコート層)/感熱発色層/保護層の層構成となる。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
実施例1
〔AA化PVA(A)の製造〕
還流冷却機、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000部、メタノール300部、およびアゾビスイソブチロニトリル0.05モル%(対仕込み酢酸ビニル)を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら温度を上昇させ、沸点下で5時間重合を行った。酢酸ビニルの重合率が70%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、重合体のメタノール溶液(樹脂分41%)を得た。続いて、該溶液を酢酸メチルで希釈して、濃度29.5%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位1モルに対して11ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、さらに80℃で60分間熱処理してPVA系樹脂を得た。
得られたPVA系樹脂のケン化度は、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ、97.7モル%であり、4質量%水溶液の粘度は、56.0mPa・sであった。
該PVA系樹脂を、ニーダーに3200部仕込み、これに酢酸960部、水45部を入れ、膨潤させ、回転数20rpmで攪拌しながら、80℃に昇温後、50℃にしてジケテン390部を4時間かけて滴下し、更に1時間反応させた。反応終了後、メタノールで洗浄した後、70℃で6時間乾燥してAA化PVA(A1)を得た。かかるAA化PVA(A1)のAA化度3.6モル%であり、ケン化度および平均重合度は用いたPVA系樹脂の通りである。
前記で得られたAA化PVA(A1)の5重量%水溶液100部と還元剤(D)としてN−アセチルシステイン5重量%水溶液5部を混合し、pHを測定した。
上記で得られた水溶液にヒドラジン化合物(B)としてアジピン酸ジヒドラジドの5重量%水溶液5部を添加し、ただちに10cm×10cmの型枠に26部を流し込み、23℃、50%RHで3日静置し、フィルムを作製した。得られたフィルムを40℃×90%RHの恒温恒湿機で1週間着色を促進させた。
〔着色評価〕
上記で得られたフィルムの着色を測定した。測定装置としては、分光測色計CM−3600A(コニカミノルタセンシング製)を用い、透過法 光源D−65 N=3の平均値で評価した。
結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、還元剤(D)として、L−システインを用いた以外は、実施例1と同様にフィルムを得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、還元剤(D)として、ジチオトレイトールを用いた以外は、実施例1と同様にフィルムを得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、還元剤(D)として、2−メルカプトエタノール用いた以外は、実施例1と同様にフィルムを得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、還元剤(D)として、トリス(2−カルボキシルエチル)ホスフィンを用いた以外は、実施例1と同様にフィルムを得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、亜二チオン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様にフィルムを得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2015054943
本発明の樹脂組成物からなる実施例1〜5のフィルムは、還元剤として亜二チオン酸ナトリウムを用いた比較例1のフィルムと比較して、a値、b値ともに小さく、着色が少ないことが確認できた。
本発明の樹脂組成物は、乾燥状態での経時着色が少ないことから、各種基材に対するコート層、特に感熱記録用媒体の保護層として極めて好適である。

Claims (4)

  1. アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)をヒドラジン化合物(B)で架橋して得られた架橋構造体(C)を主要成分とし、チオール化合物及び有機ホスフィン化合物から選ばれる少なくとも一種の還元剤(D)を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の樹脂組成物を含有するコート層。
  3. 請求項2記載のコート層を保護層として有する感熱記録媒体。
  4. アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)とヒドラジン化合物(B)とチオール化合物及び有機ホスフィン化合物から選ばれる少なくとも一種の還元剤(D)を含有することを特徴とする水性塗工液。


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