JP2015054644A - 車両の下部車体構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジンルームEと車室Sとを仕切るダッシュパネル8の下端から車体後方へ延びるフロアパネル1と、このフロアパネル1の車幅方向中央部分から上方へ突出して車体後方に延びるトンネル部2とを備えた車両Vの下部車体構造において、トンネル部2の車幅方向外側部分に車体前後方向に延びるトンネルサイドメンバ3を設け、トンネルサイドメンバ3は、車幅方向外側端部がフロアパネル1の車幅方向内側端部に接合されると共にフロアパネル1よりも下方へ突出して上面開放状の開断面部C3を形成する。
【選択図】 図3
Description
車両のフロアパネルには、走行中のサスペンション装置の共振やタイヤの空洞共鳴等に起因した振動や騒音(ロードノイズ)が発生することが知られている。
そこで、トンネル部とサイドシルとをフロアクロスメンバを介して接合することにより、車幅方向の車体剛性の向上が図られていた。
通常、トンネルサイドメンバは、フロアクロスメンバ及びサイドシルと協働して格子状の閉断面構造体を形成することにより車室内の振動や騒音を低減する振動騒音抑制機能と、前突時、前方から作用した衝突荷重を車体後部へ向けて分散伝達することにより車室空間を保護するロードパス機能を目的として設けられている。
一般に、特許文献1に開示されるように、車体構造の剛性を向上させる程、フロアパネル周りに装着される部品点数の増加や各構成部材の板厚の増加を招き、車体重量が増加する虞がある。
しかし、フロアパネル周りの構成部材は車体の剛性部材として安全性確保や走行時の乗り心地感改善に寄与しているため、これらの剛性部材を単に省略したり、或いは薄肉化した場合、車体重量の軽量化を図ることができても、車室内の振動や騒音の面で課題が残る虞がある。
上記の課題について、本発明者がフロアパネル周りの閉断面部を構成する構成部材の形状について検証した結果、トンネルサイドメンバを開断面形状に形成した場合でも、車室内の振動騒音抑制機能とロードパス機能とを十分に確保できることを知見することができた。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記前部トンネルサイドメンバの底部に車体前後方向に延びるビード部が形成されたことを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記フロアパネルの車幅方向内側端部と前記トンネル部の縦壁部とを連結する連結部材を設け、前記シートブラケットの連結部材用フランジ部が前記連結部材に接合されたことを特徴とする請求項5に記載の車両の下部車体構造。
請求項3の発明によれば、前部トンネルサイドメンバの前後方向の耐力を増加することができ、一層車室内への衝突の影響を低減できる。
請求項6の発明によれば、トンネル部の車幅方向の倒れを防止するための連結部材を利用してシートブラケットを設置することができる。
図1,図2に示すように、本実施例では、フロアパネル1と、トンネル部2と、左右1対のトンネルサイドメンバ3等を備えた車両Vの下部車体構造を例として説明する。
車両Vは、フロアパネル1の左右端部に接合されて前後方向に延びる左右1対のサイドシル4と、各サイドシル4の前端部から上方へ延びるフロントドア用のヒンジピラー5と、各ヒンジピラー5の上端から後側上方へ延びるフロントピラー6と、各サイドシル4の前後方向中間部から上方へ延びるセンターピラー7と、キックアップ部K等を備えたモノコック式乗用車である。尚、車両Vの下部車体構造は、左右対称構造であるため、以下、主に左側の構造について説明する。
エンジンルームEと車室Sとを仕切るダッシュパネル8は、フロアパネル1の前端部に接合され、前方程上方へ移行するように配設されている。このダッシュパネル8の前面には、左右1対のフロントサイドフレーム(図示略)が前方に延びるように接合されている。
フロアパネル1の下面には、サイドシル4とトンネル部2との中間部において前後方向に延びるフロアフレーム11が設けられている。このフロアフレーム11は、断面ハット状に形成され、フロアパネル1の下面と協働してダッシュパネル8の下端部分からキックアップ部K近傍部まで延びる閉断面部を構成している。
図1〜図8に示すように、トンネルサイドメンバ3は、トンネル部2の縦壁部2aの車幅方向外側部分をフロアパネル1よりも下方に延長することにより上方に開口された断面略コ字状に形成されている。トンネルサイドメンバ3は、車室Sの前側部分に対応した前部トンネルサイドメンバ21と、前部トンネルサイドメンバ21よりも後側位置の中間トンネルサイドメンバ22と、中間トンネルサイドメンバ22よりも後側部分の後部トンネルサイドメンバ23とを備えている。
底部21cには、前後方向に延びる下方突出状のビード部21eが設けられている。
底部21cの下側には、断面略コ字状の前側補強部材24がフロアパネル1の前端部から前部トンネルサイドメンバ21の後端部までを覆うように設けられ、底部21cの下面と協働して前後方向に延びる閉断面部C1を構成している。
張出部21dは、フロアパネル1の車幅方向内側部分と重合接合されている。
張出部22dは、フロアパネル1の車幅方向内側部分と重合接合されている。
底部23cには、前後方向に延びる上方突出状のビード部23eが設けられている。
底部23cの下側には、断面略コ字状の後側補強部材25が後部トンネルサイドメンバ23の前端部からキックアップ部Kの近傍部までを覆うように設けられ、底部23cの下面と協働して前後方向に延びる閉断面部C2を構成している。
張出部23dは、フロアパネル1の車幅方向内側部分と重合接合されている。
この車両Vには、車室Sの前側に運転席用シート装置と助手席用シート装置が隣り合うように設けられ、車室Sの後側に後席用シート装置が設けられている(何れも図示略)。
図1,図2に示すように、運転席用シート装置と助手席用シート装置は、前方内側シートブラケット(以下、第1ブラケットという)31と、前方外側シートブラケット(以下、第2ブラケットという)32と、後方内側シートブラケット(以下、第3ブラケットという)33と、後方外側シートブラケット(以下、第4ブラケットという)34との4つのシートブラケットによって夫々車体側に取付けられている。尚、運転席用シート装置と助手席用シート装置の各シートブラケットは同様の構成であるため、以下、共通した説明を行う。
外壁部31aには、中央部分に開口部31kが形成され、下端から車幅方向外側へ延びてフロアパネル1に接合される外側フランジ部31eが設けられている。
後壁部31cには、下端から後方へ延びて連結部材26の上面に接合される後側フランジ部31h(連結部材用フランジ部)が設けられ、車幅方向内側端部から後方へ延びてトンネル部2に接合される第2内側フランジ部31iが設けられている。
上壁部31dには、車幅方向内側端部から上方へ延びてトンネル部2に接合される第3内側フランジ部31jが設けられている。
外壁部33aには、中央部分に開口部33kが形成され、下端から車幅方向外側へ延びてフロアパネル1に接合される外側フランジ部33eが設けられている。
前側脚部33lの下端には、前方へ延びて中間トンネルサイドメンバ22の底部22cに接合される前側フランジ部33fが設けられている。
後壁部33cには、下端から下方に延びる後側脚部33mと、車幅方向内側端部から後方へ延びてトンネル部2に接合される第2内側フランジ部33iとが設けられている。
後側脚部33mの下端には、後方へ延びて中間トンネルサイドメンバ22の底部22cに接合される後側フランジ部33hが設けられている。
上壁部33dには、車幅方向内側端部から上方へ延びてトンネル部2に接合される第3内側フランジ部31jが設けられている。
この車両の下部車体構造によれば、開断面形状のトンネルサイドメンバ3により振動騒音抑制機能とロードパス機能とを確保できるため、車室S内の振動や騒音を低減でき、前突時、車室空間を保護することができる。また、トンネルサイドメンバ3が上面開放状の開断面部C3を形成するため、トンネルサイドメンバ3の上面相当の材料鋼板を削減することができ、トンネルサイドメンバ3の張出部21d,22d,23dがフロアパネル1の車幅方向内側端部に接合されるため、従前の作業工程を変更することなく組立作業することができる。
フロアパネル1の後端に連なるキックアップ部Kを設け、トンネルサイドメンバ3のうちの後部トンネルサイドメンバ23は、車体後方程下方への突出量が小さくなるように形成され、後部トンネルサイドメンバ23の底部23cに設けられた後側補強部材25と協働して閉断面部C2を形成すると共に、閉断面部C2はキックアップ部Kの近傍部まで延在するように形成されている。これにより、前突時、前部トンネルサイドメンバ21に作用した衝撃荷重を後部トンネルサイドメンバ23を介して車体後部へ伝達しながら分散し、車室S内への衝突の影響を低減することができる。また、後突時、後部トンネルサイドメンバ23によって衝撃荷重を受け止めることができ、車室S内への衝突の影響を低減できる。
これにより、、第1(第3)ブラケット31(33)を利用して車幅方向の車体剛性を増加することができ、側突時、トンネル部2の車幅方向の倒れを防止することができる。
1〕トンネルサイドメンバが2本の稜線を備えた断面略コ字状の開断面部を形成した例を説明したが、少なくともトンネルサイドメンバが前後に延びる開断面部を備えていれば良く、稜線を備えていないトンネルサイドメンバであっても良い。また、3本以上の稜線を備えたトンネルサイドメンバであっても基本的に同様の効果を奏することができる。
2 トンネル部
3 トンネルサイドメンバ
8 ダッシュパネル
21 前部トンネルサイドメンバ
21c 底部
21e ビード部
23 後部トンネルサイドメンバ
23c 底部
24 前側補強部材
25 後側補強部材
26 連結部材
31 第1ブラケット
31e,31g, フランジ部
31i,31j
33 第3ブラケット
33e,33g, フランジ部
33i,33j
V 車両
E エンジンルーム
S 車室
C1,C2 閉断面部
C3 開断面部
Claims (6)
- エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルの下端から車体後方へ延びるフロアパネルと、このフロアパネルの車幅方向中央部分から上方へ突出して車体後方に延びるトンネル部とを備えた車両の下部車体構造において、
前記トンネル部の車幅方向外側部分に車体前後方向に延びるトンネルサイドメンバを設け、
前記トンネルサイドメンバは、車幅方向外側端部が前記フロアパネルの車幅方向内側端部に接合されると共に前記フロアパネルよりも下方へ突出して上面開放状の開断面部を形成することを特徴とする車両の下部車体構造。 - 前記トンネルサイドメンバのうちの前部トンネルサイドメンバは、車体前方程下方への突出量が小さくなるように形成され、前部トンネルサイドメンバの底部に設けられた前側補強部材と協働して閉断面部を形成することを特徴とする請求項1に記載の車両の下部車体構造。
- 前記前部トンネルサイドメンバの底部に車体前後方向に延びるビード部が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の車両の下部車体構造。
- 前記フロアパネルの後端に連なるキックアップ部を設け、
前記トンネルサイドメンバのうちの後部トンネルサイドメンバは、車体後方程下方への突出量が小さくなるように形成され、後部トンネルサイドメンバの底部に設けられた後側補強部材と協働して閉断面部を形成すると共に、
前記閉断面部は前記キックアップ部の近傍部まで延在するするように形成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の下部車体構造。 - 前記トンネルサイドメンバにシート装置を取り付けるためのシートブラケットを設け、
前記シートブラケットが、少なくとも、前記フロアパネルの車幅方向内側端部と前記トンネル部の縦壁部とに夫々接合するためのフランジ部を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両の下部車体構造。 - 前記フロアパネルの車幅方向内側端部と前記トンネル部の縦壁部とを連結する連結部材を設け、
前記シートブラケットの連結部材用フランジ部が前記連結部材に接合されたことを特徴とする請求項5に記載の車両の下部車体構造。
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