JP2015054396A - 透明導電膜基材用塗布フィルム - Google Patents

透明導電膜基材用塗布フィルム Download PDF

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【課題】 パターン幅が狭く設計された透明導電積層体に使用されたとき、パターン化不良が発生し難いフィルムを提供する。【解決手段】 両外層および中間層の少なくとも3層構成からなる、下記式(1)および(2)を同時に満足する多層ポリエステルフィルムの片面に、アクリル樹脂と2種類以上の架橋剤とを含有する塗布液により設けられた塗布層を有し、フィルム厚みが10〜60μmであり、両外層に平均粒径が0.1〜0.6μmの粒子を含有し、両外層を構成するポリエステル層の厚みがそれぞれ3μm以下であり、中間層の軟化点が両外層の軟化点以下であり、前記塗布層の反対面の最大粗さが10〜100nmの範囲であることを特徴とする透明導電膜基材用塗布フィルム。0<Ti≰20 …(1)0≰P ≰300 …(2)(上記式中、Tiは多層ポリエステルフィルム中のチタン元素量(ppm)、Pはリン元素量(ppm)をそれぞれ意味する)【選択図】 なし

Description

本発明は、タッチパネル用の構成基材である、パターン化された透明導電層の基材として好適に用いることのできる塗布フィルムに関するものであり、塗布層が設けられていないフィルム面上に積層された透明導電層のエッチング時に高精彩なエッチングが可能であり、透明導電層の結晶化工程後でも透明導電層に欠陥が発生しない透明導電膜基材用塗布フィルムに関するものである。
従来、タッチパネル用途においては、位置検出方法により、抵抗膜方式、静電容量方式等の各種方式が採用されている。それらの中でも、多点検出が可能で、光線透過率が高いこと、かつ分解能が高く応答速度が速いことが特徴である静電容量方式の普及が増加する傾向にある。静電容量方式のタッチパネルには表面型と投影型の2つの方式がある。表面型はカバー、透明導電層、ガラス基板の3層から成る構成となっており、投影型は、ガラスやプラスチック製のフィルム、透明電極層、演算処理を行うICを搭載した基板層から構成される。
透明導電性積層体の製造工程においては、パターニング工程を経てから、加熱加工されるのが一般的である。まずは、透明導電性膜を形成するために、スパッタリング法によりITO膜を形成する。その後、フォトレジスト法などにより、ITO膜をパターン化し、150℃、あるいは180℃程度の温度で熱処理してITO膜を結晶化させ、パターン化された透明導電積層体を得る。
透明導電積層体のパターン化された箇所については、最終タッチパネル部材に仕上げた際に、ITO膜とその下に位置するポリエステル基材層との間の光学特性差に起因して筋状に見える場合がある。特に蛍光灯などの反射光にかざした場合にパターン部の筋が顕著に見られ、タッチパネルディスプレイ最終製品に仕上げた場合の外観品位を落ちることとなるため、近年はITO膜のパターン幅をより狭く設計する傾向がある。
ポリエステルフィルム基材には、通常、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として粒子を配合している。粒子をより多く添加し、ポリエステルフィルム基材の表面粗さを高く設計すれば、該基材の加工時のハンドリング性は上昇するが、ITOパターン部分に粒子の凝集体が存在する場合、フォトレジスト法によるITO層の一様なパターン化に悪影響を及ぼすことがあった。特に近年のパターン幅がより狭く設計されたタイプの透明導電積層体では、パターン化不良の不具合を頻発する傾向がある。
一方、ポリエステル基材に粒子を配合しないと、各工程でのロールパスをフィルムが通過する際に発生する傷がフィルム全面に発生し、良好な外観を有する透明導電積層体を加工することは極めて困難である。
特開2007−200823号公報 特開2013−54517号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、フォトレジスト法などによりITO膜をパターン化する際、パターン幅がより狭く設計されたタイプの透明導電積層体に使用されたときでも、パターン化不良等の不具合が発生し難い透明導電膜基材用塗布フィルムに関するものであり、透明導電膜基材として好適な塗布フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定構成の塗布フィルムによれば上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、両外層および中間層の少なくとも3層構成からなる、下記式(1)および(2)を同時に満足する多層ポリエステルフィルムの片面に、アクリル樹脂と2種類以上の架橋剤とを含有する塗布液により設けられた塗布層を有し、フィルム厚みが10〜60μmであり、両外層に平均粒径が0.1〜0.6μmの粒子を含有し、両外層を構成するポリエステル層の厚みがそれぞれ3μm以下であり、中間層を構成するポリエステル層の軟化点が両外層を構成するポリエステル層の軟化点以下であり、前記塗布層が設けられていない方の表面の最大粗さ(St)が10〜100nmの範囲であることを特徴とする透明導電膜基材用塗布フィルムに存する。
0<Ti≦20 …(1)
0≦P ≦300 …(2)
(上記式中、Tiは多層ポリエステルフィルム中のチタン元素量(ppm)、Pはリン元素量(ppm)をそれぞれ意味する)
本発明の透明導電膜基材用塗布フィルムによれば、フォトレジスト法などによりITO膜をパターン化する際、パターン幅がより狭く設計されたタイプの透明導電積層体に使用されたときでも、パターン化不良等の不具合が発生しない透明導電膜基材用塗布フィルムに関するものであり、透明導電膜基材として好適に使用できる塗布フィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
本発明の塗布フィルムは、少なくとも3層構成の多層ポリエステルフィルムであることが必要である。本発明にいう塗布フィルムとは、押出口金から溶融押し出される、いわゆる押出法により、押し出されたポリエステルフィルムであって、必要に応じ、縦方向および横方向の二軸方向に配向させたフィルムである。
本発明において、ポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト(PEN)等が例示される。
また、本発明で用いるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体である。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、および、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)の一種または、二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノーネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
本発明において、塗布フィルムを構成する多層ポリエステルフィルム中には、オリゴマーの析出を抑制するために、チタン化合物(Ti)およびリン化合物(P)を使用する必要があり、当該化合物の含有量に関して、下記式(1)および(2)を同時に満足する必要がある。
0<Ti≦20 …(1)
0≦P ≦300 …(2)
(上記式中、Tiは多層ポリエステルフィルム中のチタン元素量(ppm)、Pはリン元素量(ppm)をそれぞれ意味する)
Tiに関しては、好ましくは2〜10ppmの範囲である。Tiが上記(1)式の上限を超える場合、ポリエステルを溶融押出する工程でオリゴマーが副生し、低オリゴマーで且つ高透明性を有するフィルムが得られない。また、光学用途等、特に塗布フィルムの色調を重視する用途に対応困難になる。一方、Pに関しては、好ましくは5〜200ppm、さらに好ましくは0〜100ppmの範囲がよい。Pが上記(2)式の上限を超える場合、ポリエステル製造時にゲル化が発生し、異物となってフィルムの品質を低下させ、例えば、タッチパネル用途等、光学的評価を伴う検査工程に対応困難になる。上記式(1)および(2)を同時に満足することにより、多層ポリエステルフィルム中の含有オリゴマー量低減に対して、顕著な効果を奏することが可能となる。
また、上記チタン化合物およびリン化合物を含有する層中には、実質的にアンチモン元素を含まないことが好ましく、通常は10ppm以下、好ましくは5ppm以下、最も好ましくは実質的に含まない、すなわち1ppm以下である。アンチモン元素の量が多すぎると、溶融押出する際に上記リン化合物によって還元され、凝集して異物の原因となる、あるいはフィルムが黒ずみ、透明性が不十分となる場合がある。
本発明の塗布フィルムを構成する多層ポリエステルフィルム中、チタン化合物およびリン化合物を前述の範囲内で含む層を構成するポリエステルは、溶融重合反応で得られたものであってもよいが、溶融重合後、チップ化したポリエステルを固相重合して得られた原料を用いれば、原料中に含まれるオリゴマー量が低減できるので好ましく使用される。
本発明の多層ポリエステルフィルム中、チタン化合物およびリン化合物を前述の範囲内で含む層中に含まれるオリゴマー量は、0.7重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下である。当該ポリエステル層中に含まれるオリゴマー量が少ない場合、本発明の多層ポリエステルフィルム中に含まれるオリゴマー量の低減、また、フィルム表面へのオリゴマー析出防止効果が特に高度に発揮される。
本発明においては、通常のオリゴマー含有量のポリエステルからなる層の少なくとも片側の表面に、かかるオリゴマー含有量の少ないポリエステルを共押出積層した構造を有するフィルムであってもよく、かかる構造を有する場合、本発明で得られるオリゴマー析出の抑制効果を高度に発揮できる。
本発明における塗布フィルムを構成する多層ポリエステルフィルムにおいては、少なくとも3層の多層構成である必要があり、両最表層のポリエステル層の軟化点が中間層の軟化点以上であることを必須の要件とするものである。好ましくは両最表層のポリエステル層と中間層との軟化点の差が3℃以上、さらに好ましくは5℃以上である。
当該条件を満足するための具体的手法として、好ましくは両外層を構成するポリエステル層中におけるオリゴマー(環状三量体)含有量が0.5重量%以下であるポリエステルを80%以上含有することにより、前記軟化点の差を発現することが可能となる。オリゴマー含有量が0.5重量%を超えたポリエステルを使用した場合、もしくはその含有量が80%未満だった場合、両面塗布フィルムが150℃条件下での長時間の熱処理や、高い張力がかかる条件下でのスパッタリング工程や、高温高湿雰囲気下での耐久性試験など、過酷な条件下での加工工程で使用される際、フィルムヘーズが大きく上昇し、加工後、光学特性、あるいは視認性の点で光学部材用として不適となる場合がある。
本発明の塗布フィルムを構成する多層ポリエステルフィルムは、少なくとも3層のポリエステル層から構成される多層ポリエステルフィルムである必要があり、かつ両外層のポリエステル層厚みが3μm以下である必要がある。好ましくは当該ポリエステル層厚みに関しては2μm以下である。両外層を構成するポリエステル層厚みが3μmを超える場合、塗布フィルムを熱処理した後、所望する内部ヘーズを有する塗布フィルムを得るのが困難である。
本発明においては、チタン化合物を含む、前記オリゴマー含有量の少ないポリエステルを用いて、特に両外層を構成するポリエステル層厚みを各々、3μm以下にして積層させた場合、得られるフィルム自体のフィルムヘーズをより小さく抑えることが可能となり、高透明な塗布フィルムが必要とされる光学用途、例えば、タッチパネル用として好適である。
本発明の塗布フィルムにおけるフィルム厚みは、用途上、加工適性を考慮して、10〜60μmの範囲であることを必須の要件とするものである。当該フィルム厚みに関して、さらに好ましくは15μm〜50μmの範囲がよい。フィルム厚みが10μm未満の場合には、例えば、透明導電性膜を形成するために、スパッタリング法によりITO膜を形成する際、フィルム強度が加工テンションに負けてしまい、シワが生じて所望する透明導電膜が形成困難になる。一方、60μmを超える場合にはフィルムの腰が強くなりすぎて、タッチパネル最終製品に仕上げた際に、本発明の塗布フィルムにおいて、塗布層表面に積層される粘着剤のクッション効果による書き味が低下する、あるいはタッチパネルの応答性が低下する等の不具合を生じる。
本発明の塗布フィルムにおいて、塗布層が設けられていないフィルム表面の最大粗さ(St)は10〜100nmの範囲であることが必要である。好ましくは10〜50nmである。当該最大粗さ(St)が10nm未満の場合には、塗布層が設けられていないフィルム表面が平滑になりすぎて、多層ポリエステルフィルム製膜時にキズが多発する。一方、100nmを超える場合は、パターン化した透明導電膜上において、特に配線幅が4μm以下の、非常に細くパターン化された箇所で、透明導電層の結晶化工程で配線の断線が発生する頻度が高くなる。
本発明の塗布フィルムにおいて、多層構成の両外層中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、平均粒径が0.1〜0.6μmの粒子を配合する必要がある。配合する粒子は1種類のみが好ましく、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。
さらに両外層中の粒子含有量は、通常、0.05〜1.0重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲である。粒子含有量が0.05重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合がありフィルム加工時に傷等の外観不良が生じる。一方、1.0重量%を超えて添加する場合、フィルム透明性が不十分な場合がある。
さらに、本発明の多層ポリエステルフィルムを構成する最外層のポリエステル層中には、傷つき防止あるいは易滑性付与を目的として、酸化アルミニウム粒子を使用することが好ましい。酸化アルミニウム粒子の平均粒径が前記範囲を外れる場合には、傷つき防止効果あるいは易滑性が乏しくなる場合がある。
本発明において使用する酸化アルミニウム粒子の具体例として、例えば、無水塩化アルミニウムを原料に火炎加水分解により製造されるγ型、δ型酸化アルミニウム等が挙げられる。
本発明において、ポリエステルに粒子を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明の塗布フィルムにおいて、多層構成のポリエステルフィルムは延伸工程中および、またはその後のフィルムに、本発明の主旨を損なわない範囲において、接着性、帯電防止性、滑り性、離形性等の機能を付与するために、フィルム表面に塗布層を形成したりコロナ処理等の表面処理を施したりしてもよい。
本発明の塗布フィルムにおいて、その上に加工されるハードコート層との密着性の向上、加工時の滑り性向上などを目的として塗布層を設けてもよい。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であることから、インラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に、延伸後のポリエステルフィルムの熱処理工程で、塗布層を高温で処理することができるため、塗布層上に形成され得る各種の表面機能層との接着性や耐湿熱性等の性能を向上させることができる。また、延伸前にコーティングを行う場合は、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜で均一な塗工を行うことができる。すなわち、インラインコーティング、特に延伸前のコーティングにより、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造することができる。
本発明においては、ポリエステルフィルムの片面に、アクリル樹脂と、例えば、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物等の架橋剤2種以上を含有する塗布液を塗布して形成された塗布層を有する。
本発明における塗布層は、ハードコート層、各種の熱硬化性層および活性エネルギー線硬化性層との密着性を向上させることができるものである。
各種の検討を行った結果、アクリル樹脂を含有し、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物などの架橋剤を少なくとも2種類含有する塗布層を形成することで、ハードコート層との密着性がさらに向上することを知見した。
本発明で用いるアクリル樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーに代表されるような、炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
上記炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有ビニル系モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、チッソ(株)製「サイラプレーンFM−07」(メタクリロイルシリコンマクロマー)等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロクロルエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
ハードコート層との密着性を向上させるために、水酸基、アミノ基、アミド基等の官能基を含有するアクリル樹脂を使用することも可能である。
本発明のフィルムにおける塗布層形成には、塗布層の塗膜を強固にし、各種のハードコート層と十分な密着性を有し、これらの層を形成後の耐湿熱性等を向上させるために架橋剤としてエポキシ化合物およびオキサゾリン化合物を使用するのが好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基を含む化合物、そのプレポリマーおよび硬化物が挙げられる。例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトール、ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物である。特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
本発明における塗布フィルムにおいて、塗布面状の向上、塗布面上に種々のハードコート層が形成されたときの視認性の向上や透明性を向上させるためにアクリル樹脂以外のバインダーポリマーを併用することも可能である。
本発明において使用する「バインダーポリマー」とは高分子化合物安全性評価フロースキーム(昭和60年11月 化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物で、かつ造膜性を有するものと定義する。
バインダーポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。上記中でも特に塗布面状や密着性の向上という観点からポリエステル樹脂を併用することが好ましい。
また、塗布層の滑り性改良やブロッキング改良のために、粒子を含有することも可能である。用いる粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等を挙げることができる。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、塗布層には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明において、塗布層中に占める前記アクリル樹脂の含有量は、通常20〜90重量%、好ましくは25〜85重量%、より好ましくは30〜80重量%である。20重量%未満の場合は、アクリル樹脂成分が少ないことにより密着性が十分でない場合があり、90重量%を超える場合は、架橋剤成分が少ないことで塗布層がもろくなり、密着性が十分でない場合や、耐湿熱性が十分ではない場合がある。
本発明において、塗布層中に占める架橋剤由来の化合物の総量は、合計で、通常10〜80重量%、好ましくは15〜75重量%、より好ましくは20〜70重量%である。10重量%未満の場合は、塗布層がもろくなり、湿気や熱に十分に耐えられない場合があり、80重量%を超える場合は、密着性が十分でない場合がある。また、エポキシ化合物とオキサゾリン化合物の少なくとも一方は5重量%を越えることが好ましい。いずれも5重量%以下の場合は、高温高湿度条件に長時間さらされた場合、活性エネルギー線硬化樹脂層との密着性が安定しない場合がある。
また、本発明のフィルムの塗布層は、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
塗布剤は、水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的または造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、水に溶解する範囲で使用することが必要である。有機溶剤としては、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。
これらの有機溶剤は、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
また、必要に応じ、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。このようなコートは片面、両面のいずれでもよい。コーティングの材料としては、オフラインコーティングの場合は水系および/または溶媒系のいずれでもよいが、インラインコーティングの場合は、水系または水分散系が好ましい。
本発明において用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
塗布液の固形分濃度には特に制限はないが、通常0.3〜65重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。濃度がこれらの範囲より高すぎる場合も低すぎる場合も、機能を十分に発現するために必要な厚さの塗布層を設けることが困難となることがある。
塗布層の厚さは乾燥厚さで、通常0.003〜1.5μm、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.3μmである。塗布層の厚さが0.003μm未満の場合は十分な性能が得られない恐れがあり、1.5μmを超えるとフィルム同士のブロッキングが起こりやすくなる。
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
本発明において、滑り性、固着性などをさらに改良するため、塗布層中に無機系粒子や有機系粒子を含有させることが好ましい。塗布剤中における粒子の配合量は、通常、0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。かかる配合量が0.5重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、10重量%を超えると、フィルムの透明性を阻害し、画像の鮮明度が低下する傾向がある。
無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモン等が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価でかつ粒子径が多種あるので利用しやすい。
有機粒子としては、炭素−炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレートが挙げられる。
上記の無機粒子および有機粒子は表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤としての高分子、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。塗布層中の粒子の含有量は、透明性を阻害しない適切な添加量として10重量%以下が好ましく、さらには5重量%以下が好ましい。
また、塗布層は、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
また、本発明の塗布フィルムを構成する多層構成のポリエステルフィルムには、本発明の主旨を損なわない範囲であれば、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を混合することができる。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、蛍光増白剤、潤滑剤、遮光剤、マット化剤、および染料、顔料などの着色剤等を配合してもよい。
本発明において、上述の塗布層が設けられていないフィルム面の最大粗さ(St)は10〜100nmの範囲であり、好ましくは10〜50nmである。
従来、ポリエステルフィルム基材を使用した透明導電性フィルムは、ポリエステル基材に積層した場合や、タッチパネル用の構成基材を貼り合わした場合、白曇り現象が発生し、繊細な画像を表示できない問題を抱えている。本発明者らは、塗布フィルムを構成する多層ポリエステルフィルム基材における最表面の最大粗さ(St)が透明導電性フィルム自体の内部ヘーズ上昇の原因(推定)の一つであると考えた。
透明導電層を積層する直前において、フィルム最表面の最大粗さ(St)を低く抑えることにより、フィルムのオリゴマー由来と推定される新たな突起形成が原因(推定)と考えられる白曇り現象を解決することが可能と考えられる。
本発明における塗布フィルムにおいて、塗布フィルムの内部ヘーズは0.2%以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.1%以下がよい。当該範囲を外れる場合には、透明導電層積層後、粘着層と貼り合わせた際に白曇り現象が発生する等の不具合を生じる場合がある。
一方、本発明における塗布フィルムにおいて、塗布層が設けられていないフィルム表面にはアンカー層を介して、透明導電膜を積層するのが好ましい。その際、透明導電膜の構成材料であるITOの結晶化工程においては、150℃、1時間あるいは180℃、90分等の高温雰囲気下に塗布フィルムが晒されることにより、塗布フィルムを構成するポリエステルフィルム基材由来と考えられるオリゴマー(主として、環状三量体)が熱処理後、フィルム表面に析出、結晶化することにより、新たに突起を形成すると考えられる。その結果、パターン化した透明導電膜積層後、導電膜の存在する箇所と存在しない箇所との段差が大きく、見栄えが悪くなる問題が指摘されていると推察される(例えば、特許文献2)。
かかる不具合に関して、本発明者らは、ポリエステルフィルム由来のオリゴマーが熱処理後、粗大突起を形成しない程度にまで低減させることが可能であれば、かかる問題点を解決できることを知見した。
また、本発明における塗布フィルムにおいては、塗布層上には透明導電層積層時の耐久性等を考慮して、アクリレート構造を有するバインダーポリマーを含有するハードコート層を設けるのが好ましい。
本発明において、ハードコート層を構成するアクリレート構造を有するバインダーポリマーの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート等が例示される。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、前記アクリレートをメタクリレートにしたものを併用してもよく、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、技術情報協会2010年12月21日発行「機能性アクリレートの選び方・使い方事例集」にも具体例に関する記載がある。
本発明において、上記アクリレート構造を有するバインダーポリマーを硬化するために使用する光重合開始剤の具体例として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤として、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。チタノセン系光重合開始剤として、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。オキシムエステル系重合開始剤として、例えば、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
本発明におけるハードコート層に関して、塗布厚み(乾燥後)は1〜15μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは1〜10μm、最も好ましくは1〜5μmの範囲がよい。当該厚み(乾燥後)が1μm未満の場合、所望する硬度を有する活性エネルギー線硬化樹脂層を得るのが困難になる場合があり、一方、15μmを越える場合には活性エネルギー線硬化樹脂層を設けた側のフィルム面が平坦になりすぎて、フィルムをロール状に巻き取る際にフィルムにキズが入る等の不具合を生じる場合がある。
本発明における塗布フィルムにおいて、塗布層が設けられていないフィルム表面にはアンカー層を介して、透明導電膜を積層するのが好ましい。アンカー層組成に関しては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマー、有機シラン縮合物などが挙げられる。これらの組成物は、1種類で用いても良いし、本発明の主旨を損なわない範囲において、2種類以上を併用してもよい。
また、透明導電膜の構成材料としては、透明性、耐久性、耐候性の観点から金属酸化物が好適に使用されるが、特にインジウム錫酸化物(ITO)、アンチモン含有インジウム錫酸化物(ATO)、酸化錫、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム亜鉛酸化物(In−ZnO)などが特に好ましく使用される。
透明導電膜の形成方法については、特に限定されるわけではなく、従来公知の方法を採用することができる。具体的には真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
透明導電膜と多層ポリエステルフィルム基材の間には、必要に応じて、密着性向上、外観向上などの目的でアンカーコーティングを施すことも可能である。該アンカーコート層の構成材料としては特に限定されないが、例えば、無機物の中では酸化珪素、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウムなどが好適に用いられる。有機物の中ではアクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、有機シラン系ポリマーなどが好適に用いられる。
形成された透明導電膜は、エッチング処理してパターン化される。パターンの形状は最終製品であるタッチパネルの設計に依存するが、パターン化部の最細部は2μm〜20μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、4μm〜12μmの範囲である。パターン化部の最細部が2μm未満の場合、導通部が細すぎ、少しの衝撃で断線する可能性が高くなる傾向にある。一方、パターン化部の最細部が20μmを越える場合は、パターン部の筋が顕著に見られ、タッチパネルディスプレイ最終製品に仕上げた場合の外観品位が落ちることがある。
エッチング処理によりパターン化された透明導電膜は、加熱処理されて結晶化する。加熱処理の温度は通常、100℃〜150℃の範囲であることが好ましい。100℃未満の場合は透明導電膜の結晶化が十分に進行しない可能性が高く、一方、150℃を越える温度の場合は、ポリエステル基材からオリゴマー成分が析出して透明導電フィルム全体の透明性が落ちてしまうなどの副次的弊害が発生する可能性がある。しかしながら、近年、透明導電膜形成工程において、生産性向上の観点より、ITO結晶化工程において、熱処理温度をさらに高温化させることで、熱処理時間の短縮を図る傾向にあり、上述のオリゴマー由来の不具合がさらに深刻な問題になる状況にある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50)および粒度分布
(株)島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則にもとづく沈降法によって粒子の大きさを測定し、平均粒径を求めた。平均粒径の測定法と同様にして粒度分布を求めた。すなわち、等価球分布における大粒子側から積算を行い、下記式から粒度分布比(R)を算出した。
(r)=粒子積算重量が25%のときの粒径/粒子積算重量が75%のときの粒径
(3)ポリエステル原料に含有される含有オリゴマー量の測定方法
ポリエステル原料を約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させる。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加える。沈殿物を濾過により除去し、さらに沈殿物をクロロホルム/メタノールの比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、その後、乾固させる。乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値をクロロホルム/HFIP混合溶媒に溶解させたポリエステル原料量で割って、含有オリゴマー量(重量%)とする。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(4)積層ポリエステル層の厚み
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとした。
(5)ポリエステルフィルム中の金属元素およびリン元素量の定量
蛍光X線分析装置((株)島津製作所社製型式「XRF−1500」を用いて、下記表1に示す条件下で、フィルムFP法により単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。なお、本方法での検出限界は、通常1ppm程度である。
Figure 2015054396
(6)多層ポリエステルフィルムの各ポリエステル層の軟化点測定
予め(4)項の要領にて試料フィルムの層構成を確認した後、露出したフィルム断面において、各ポリエステル層の中央部1箇所をNano NaviII/E−Sweep/nano−TA2(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、下記測定条件により測定を行い、N=3の平均値をもって、ポリエステル層の軟化点とした。
なお、測定値に関しては、得られた測定チャートより、昇温カーブと降温カーブとの各々のカーブにおける接線を引き、接線の交点を求めた。
次に得られた交点を通り、測定温度軸と垂直に交わる点をもって、軟化点とした。
《測定条件》
昇温速度:5℃/sec
探針:サーマルカンチレバーAN2−200
測定温度範囲:常温(23℃)〜300℃
測定雰囲気:大気圧
(7)塗布フィルムの内部ヘーズ
試料フィルムをJIS−K−7136に準じ、スガ試験株式会社製(タッチパネル式ヘーズコンピューター HZ−2)ヘーズメーターを用いてエタノール溶液を充填したガラス製セルのヘーズ値を0%とし、試験片を同セル中に浸漬した状態で測定した。
(8)透明導電膜パターン化後の配線断線評価
ハードコート層付き両面塗布フィルムにおいて、アンカー層上にアルゴンガス95%と酸素ガス5%とからなる0.4Paの雰囲気下で、酸化インジウム95重量%、酸化スズ5重量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法により、厚さ25nmのITO膜(透明導電性薄膜)を形成した。当該ITO膜上にパターン化(最細部:4μm、8μm、12μm、20μm)されているフォトレジストを塗布して乾燥硬化した後、得られたITO膜を4%の塩化水素水溶液(和光純薬工業製)に浸漬してエッチング処理した。得られたパターン化されたITO膜は180℃×90分間の加熱処理により結晶化させた。得られたパターン化後のITO膜の最細部となる箇所を光学顕微鏡(キーエンス社製 デジタルマイクロスコープ 型番:VHX−200)にて倍率40倍で100箇所検査し、ITOの断線の有無を検査し、以下の基準にて透明導電膜パターン化後の配線断線性を評価した。
《アンカー層組成》
コルコートP(コルコート社製)
イソプロピルアルコールを用いて、1%濃度溶液に調製した。
《判定基準》
○:ITO配線の断線が確認されない
△:ITO配線の断線は確認されないが、配線のひび割れ現象が確認される
× :ITO配線の断線が1箇所以上で確認される
(9)密着性1の評価方法
ハードコート層用塗布液として、樹脂(日本触媒製 ハルスハイブリッド UV−G301)100質量部、イソシアネート(住化バイエルウレタン製、デスモジュール N−3200)10質量部、トルエン100質量部、メチルエチルケトン100質量部を調製し、試料フィルムの塗布層上に塗布・加熱硬化させることにより、厚さ15g/mのハードコート層を形成した。その後、ハードコート層に対して、10×10のクロスカットをして、その上に18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした後、剥離面を観察し、より剥離面積が大きい方に対して、剥離面積が5%以下なら○、5%を超え30%以下ならば△、30%を超えるならば×とした。
(10)密着性2の評価方法
ハードコート層用塗布液として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート60質量部、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート6質量部、光重合開始剤(チバスペシャルティケミカル製 イルガキュア 184)4質量部、メチルエチルケトン 200質量部を調整し、試料フィルムの塗布層上に塗布し、紫外線を照射して硬化させ、厚さ10g/mのハードコート層を形成した。
その直後(初期)、80℃/90%RHの環境下で150時間後(湿熱試験)、ハードコート層に対して、10×10のクロスカットをして、その上に18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした後、剥離面を観察し、より剥離面積が大きい方に対して、剥離面積が5%以下なら○、5%を超え30%以下ならば△、30%を超えるならば×とした。
(11)塗布フィルムの加工適性(実用特性代用評価)
(8)項でのスパッタリング加工時に、加工部分のフィルム平面性を目視で評価した。
《判定基準》
○:フィルムの加工部分が幅方向全体にわたりうねり、シワの発生なく良好に加工できている。
△:フィルムの加工部分が幅方向において、部分的にうねり、シワが発生する場合がある
×:フィルムの加工部分にうねり、シワ等の発生し、幅方向で均一に加工できていない
(12)粘着剤のクッション効果(実用特性代用評価)
新タック化成社製ノンキャリアフィルム「KF4#50」の軽剥離側セパを剥がし、ハードコート層付き両面塗布フィルムのハードコート層表面に貼り合わせた。次に重剥離側セパを剥がし、日本板硝子社製 板ガラス(「フロート板ガラス(5mm厚さ)」に貼り合せ、両面塗布フィルム(ハードコート層側)/粘着層/ガラス構成体を作成した。得られた構成体を両面塗布フィルム側からボールペンのペン先を接触させ、その粘着剤のクッション効果について、下記判定基準により、官能評価を行った。
《判定基準》
○:ペンを接触している間、接触した箇所に粘着層が追従する。接触をやめると粘着層の追従変形が元に戻る(クッション効果を感じることができる)
×:ペンを接触させても粘着層が変形せず、クッション効果が感じることができない
(13)フィルム表面の最大粗さ(St)測定
試料フィルムの測定面を試料フィルムの測定面を、直接位相検出干渉法、いわゆるマイケルソンの干渉を利用した2光束干渉法を用いた、非接触表面計測システム「マイクロマップ社製Micromap512)」により表面粗さ(St)を計測した。なお、測定波長は530nmとし、対物レンズは20倍を用いて、20°視野計測し、計12点計測した計測値の内、その最大値と最小値を除く計10点の平均値を採用しその表面粗さ(St)とした。上記測定方法により、塗布フィルムにおいて、熱処理前の塗布層が設けられていないフィルム表面と、塗布層が設けられていないフィルム面にアンカー層を設けた後、180℃、90分間熱処理した後における、アンカー層表面の最大粗さ(St)とを各々測定した。
〈ポリエステルの製造〉
[ポリエステル(A)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.55に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.59、オリゴマー(環状三量体)含有量0.89重量%のポリエステルAを得た。
[ポリエステル(B)の製造方法]
ポリエステル(A)を、予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、極限粘度0.72、オリゴマー(環状三量体)含有量0.46重量%のポリエステル(B)を得た。
[ポリエステル(C)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸を添加した後、二酸化ゲルマニウムを加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度は0.63のポリエステル(C)を得た。
[ポリエステル(D)の製造方法]
ポリエステル(A)の製造方法において、平均粒子径0.3μmのエチレングリコールに分散させた酸化アルミニウム粒子を粒子のポリエステルに対する含有量が1.5重量%となるように添加する以外は同様にして製造し、ポリエステル(D)を得た。得られたポリエステル(D)は、極限粘度0.59、オリゴマー(環状三量体)含有量0.87重量%であった。
[ポリエステル(E)の製造方法]
酸化アルミニウム粒子に関して、平均粒径が0.04μmと異なる以外はポリエステル(D)と同様にして製造し、ポリエステル(E)を得た。得られたポリエステル(E)は、極限粘度0.59、オリゴマー(環状三量体)含有量0.87重量%であった。
[ポリエステル(F)の製造方法]
酸化アルミニウム粒子に関して、平均粒径が0.8μmと異なる以外はポリエステル(D)と同様にして製造し、ポリエステル(F)を得た。得られたポリエステル(F)は、極限粘度0.59、オリゴマー(環状三量体)含有量0.87重量%であった。
実施例1:
上記ポリエステル(B)、(D)をそれぞれ95%、5%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(A)100%の原料をB層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、A層を最外層(表層)、B層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層(ABA)で、厚み構成比がA:B:A=2:19:2になるように共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、下記塗布液から構成される塗布層(乾燥後)を0.030g/m2になるように塗布した後、この縦延伸フィルムをテンターに導き、横方向に120℃で4.3倍延伸し、225℃で5秒間、熱処理を行った後、フィルムをロール上に巻き上げ、厚さ23μmの塗布フィルムを得た。
[塗布液の調製]
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・アクリル樹脂:(IA)下記組成で重合したアクリル樹脂の水分散体
エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(重量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
・アクリル樹脂:(IB)下記組成で重合したアクリル樹脂の水分散体
エチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/28/3/2/2(重量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
・ポリエステル樹脂:(II)下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
・エポキシ化合物:(III)ポリグリセロールポリグリシジルエーテルである、デナコールEX−521(ナガセケムテックス製)
・オキサゾリン化合物:(IVA)
オキサゾリン基およびポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリルポリマー エポクロスWS−500(日本触媒製、1−メトキシ−2−プロパノール溶剤約38重量%を含有するタイプ)
・オキサゾリン化合物:(IVB)
オキサゾリン基含有アクリルポリマー エポクロスWS−300(日本触媒製)
・粒子:(V)平均粒径65nmのシリカゾル
・粒子:(V2)平均粒径90μmのシリカ粒子
得られた塗布フィルムにおいて、アンカー層が設けられていないフィルム表面に下記アンカー層組成から構成されるアンカー層を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるように塗布した後、100℃、1分間熱処理して、アンカー層が設けられた塗布フィルムを得た。
〈アンカー層組成〉
コルコートP(コルコート社製)
イソプロピルアルコールを用いて、1%濃度溶液に調製した。さらに両面塗布フィルムにおいて、塗布層上に下記ハードコート層組成から構成されるハードコート層組成物を60℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて、積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、塗布量(乾燥後)が2μm(乾燥後)である、ハードコート層付きの両面塗布フィルムを得た。
〈ハードコート層組成〉
バインダー(日本ペイント社製「ルシフラール NAB−007」 100重量部
アクリル系微粒子(積水化成品工業社製 商品名「BMSA−18GN」(平均粒径0.8μm) 0.1重量部
上記成分をメチルイソブチルケトン中に分散させ、固形分濃度40重量%であるハードコート層組成物を調製した。
実施例2〜16:
実施例1において、塗布層、原料配合、厚み構成が異なる以外は実施例1と同様にして製造し、塗布フィルムを得た。
比較例1:
実施例1において、A層の原料としてポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ84%、16%の割合で混合した以外は、実施例1と同様の方法で、塗布フィルムを得た。
比較例2:
実施例1において、塗布層の種類を変更する以外は、実施例1と同様の方法で、塗布フィルムを得た。
比較例3:
実施例1において、塗布層の種類を変更する以外は、実施例1と同様の方法で、塗布フィルムを得た。
比較例4:
実施例1において、塗布層の種類を変更する以外は、実施例1と同様の方法で、塗布フィルムを得た。
比較例5:
実施例1において、厚み構成比がA:B:A=2:5:2とし、得られるフィルム厚さを9μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、塗布フィルムを得た。
比較例6:
実施例1において、厚み構成比がA:B:A=2:71:2とし、得られるフィルム厚さを75μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、塗布フィルムを得た。
比較例7:
実施例1において、厚み構成比がA:B:A=4:15:4としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、塗布フィルムを得た。
比較例8〜10:
実施例1において、A層の原料が異なる以外は実施例1と同様の方法で塗布フィルムを得た。
比較例11:
実施例1において、表層のポリエステル(D)をポリエステル(E)に変更した結果、
塗布層が設けられていないフィルム表面が極端に平坦になり、フィルム加工適性において、滑り性低下に伴う、シワが発生し、実用上問題あるレベルであった。
比較例12:
実施例1において、表層のポリエステル(D)をポリエステル(F)に変更した結果、
塗布層が設けられていないフィルム表面が粗面化し、透明導電膜パターン化後の配線断線評価において、線幅4μmの加工には対応困難な状であった。
上記実施例および比較例で得られた各フィルムの特性を下記表1〜7に示す。
Figure 2015054396
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本発明の塗布フィルムは、例えば、透明導電膜基材用として、耐熱性、透明性、パターン化した透明導電層を積層した後の視認性良好であり、例えば、タッチパネル用として好適であり、その工業的価値は高い。

Claims (3)

  1. 両外層および中間層の少なくとも3層構成からなる、下記式(1)および(2)を同時に満足する多層ポリエステルフィルムの片面に、アクリル樹脂と2種類以上の架橋剤とを含有する塗布液により設けられた塗布層を有し、フィルム厚みが10〜60μmであり、両外層に平均粒径が0.1〜0.6μmの粒子を含有し、両外層を構成するポリエステル層の厚みがそれぞれ3μm以下であり、中間層を構成するポリエステル層の軟化点が両外層を構成するポリエステル層の軟化点以下であり、前記塗布層が設けられていない方の表面の最大粗さ(St)が10〜100nmの範囲であることを特徴とする透明導電膜基材用塗布フィルム。
    0<Ti≦20 …(1)
    0≦P ≦300 …(2)
    (上記式中、Tiは多層ポリエステルフィルム中のチタン元素量(ppm)、Pはリン元素量(ppm)をそれぞれ意味する)
  2. 塗布層を有する面の反対のフィルム表面にアンカー層を有する請求項1記載の透明導電膜基材用両面塗布フィルム。
  3. 塗布層上にハードコート層を有する請求項1または2に記載の透明導電膜基材用両面塗布フィルム。
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