以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
本発明の食材混合機は、複数の食材を混合する混合機であって、例えば、粒状の食材(粒状食材)と、液体の食材(液体食材)とを混合するものである。
図1は、食材混合機として、ご飯(粒状食材)に合わせ酢(液体食材)を自動的に混ぜ合わせて酢飯を作る酢合わせ機1を例示している。図1は酢合わせ機1を右斜め正面から見た斜視図で示している。
なお、以下の説明において、左右方向内方とは、酢合わせ機1の左右方向の端部から左右方向中央に向かう方向をいい、左右方向外方とは、酢合わせ機1の左右方向中央から左右方向の端部に向かう方向をいう。
まず、酢合わせ機1の構造について説明する。
図1に示すように、前記酢合わせ機1は、主として、機械フレーム2と、ご飯に酢を混ぜ合わせる混合ドラム3とを有する。図2に示すように、前記機械フレーム2は、床面等に載置されるベースフレーム4と、このベースフレーム4の左右両側に立設されたサイドフレーム5L,5Rと、左右のサイドフレーム5L,5Rの後端側の上部同士を連結する後部連結板6とを有する。混合ドラム3は左右のサイドフレーム5L,5R間の上部側に配置されて、左右のサイドフレーム5L,5Rに左右軸回りに回転自在に支持されている。左右のサイドフレーム5L,5Rは、板材によって中空状に形成され、左右方向で対向配置されている。
右側のサイドフレーム5L,5R内には、図3に示すように、混合ドラム3を回転駆動する駆動モータ7と、混合ドラム3内に冷却空気等を供給する送風装置8と、これら駆動モータ7及び送風装置8を制御する制御装置9とが設けられている。
前記駆動モータ7は正逆転自在な電動モータで構成され、この駆動モータ7は本実施形態ではブラシレスDCモータで構成されていて制御装置9によって回転速度制御が可能とされている。
送風装置8は、冷却風等を生起するブロワ等からなる送風機10と、この送風機10の吹出口に一端側が接続された送風ダクト11と、この送風ダクト11の他端側に接続されて混合ドラム3内に冷却空気等が送る給気部材12とを有する。前記送風機10は制御装置9によって回転速度制御が可能とされている。
図4(a)に示すように、右側のサイドフレーム5Rの左右方向内方側の側面を構成する内側壁13に、混合ドラム3の右側を回転自在に支持する軸受け部材15Rと、前記駆動モータ7で回転駆動される駆動ギヤ16とが設けられている。前記軸受け部材15Rは、右側のサイドフレーム5Rの内側壁13の前後方向中途部の上部に形成された凹み部14の上部に設けられている。駆動ギヤ16は軸受け部材15Rの下方側(凹み部14の下部)に設けられている。
図4(b)に示すように、左側のサイドフレーム5Lの左右方向内方側の側面を構成する内側壁23に、混合ドラム3の左側を回転自在に支持する軸受け部材15Lが設けられている。この軸受け部材15Lは左側のサイドフレーム5Lの内側壁23の前後方向中途部の上部に設けられている。
左右の軸受け部材15L,15Rは、左右方向で対向状に配置され、それぞれ側面視U字形に形成されていてU字形溝24を有する。
左右の軸受け部材15L,15RのU字形溝24の底部は後述する円筒状のドラム支軸25L,25Rを回転自在に受持する円弧状の軸受部26とされている。左右の軸受け部材15L,15RのU字形溝24の上部はドラム支軸25L,25Rを上方側から軸受部26内に導入する軸案内部27とされている。この軸案内部27は前斜め上方に向けて傾斜状とされていると共に、前斜め上方に向けて開放状とされている。
右側のサイドフレーム5Rの内側壁13には円形状の給気穴28が形成されている。この給気穴28は右側の軸受け部材15Rの軸受部26に対応する位置に形成されている。この給気穴28から混合ドラム3内に冷却空気等が供給可能とされている。また、左側のサイドフレーム5Lの内側壁23には円形状の排気穴29が形成されている。この排気穴29は左側の軸受け部材15Lの軸受部26に対応する位置に形成されている。この排気穴29から混合ドラム3内の空気が排気可能とされている。
図5に示すように、左側のサイドフレーム5L内には、排気穴29の前側及び下側に配置された仕切り部材30,31が設けられており、該左側のサイドフレーム5L内には、これら仕切部材30,31と、左側サイドフレーム5Lの内側壁23、上壁32及び後壁33と、左側サイドフレーム5Rの左右方向外方側の側面を構成する外側壁34とで囲まれた排気室35が設けられている。
また、左側のサイドフレーム5Lの上壁32の後部には、多数の小孔によって形成された排気口36が設けられている。混合ドラム3内部から排気される空気は、排気穴29を介して排気室35に入り、この排気室35から排気口36を介して排気可能とされている。さらに、左側のサイドフレーム5Lの外側壁34には、前記排気穴29に左右方向で対向するダクト通し穴37が形成されている。このダクト通し穴37は、左側のサイドフレーム5Lの外側壁35に着脱自在に取り付けられる閉塞板38で開閉自在に閉塞可能とされている。
図1に示すように、左右サイドフレーム5L,5R間の下部で且つ混合ドラム3の下方が、混合ドラム3で作られた酢飯を入れる食材収容箱39の配置空間とされている。食材収容箱39は上端開口状のコンテナからなり、前方側から食材収容箱39の配置空間に挿入され、ベースフレーム4上に載置される。
図6〜8に示すように、混合ドラム3は、下部のドラム本体46と、このドラム本体46を開閉自在に閉塞する上部のドラム蓋47とから構成されている。これらドラム本体46とドラム蓋47とは樹脂によって成型されている。
ドラム本体46は上部開口状とされ、ドラム蓋47は下部開口状とされ、ドラム本体46及びドラム蓋47の開口周縁側には、それぞれ開口周縁から外方に張り出すフランジ部48,49が設けられ、これらフランジ部48,49を重ね合わすことにより、ドラム本体46がドラム蓋47で開閉自在に塞がれる。
ドラム蓋47のフランジ部49の側部の前側には、左右方向外方に張り出す張出し係合部50が形成されている。ドラム蓋47の外面上部には、取っ手69が設けられている。また、ドラム蓋47の後部はヒンジ結合部70によってドラム本体46に左右軸回りに揺動自在にヒンジ結合され、このヒンジ結合部70のヒンジ軸79回りにドラム蓋47を上下に揺動することで該ドラム蓋47が開閉自在とされている。また、ドラム蓋47の前部にはロック部材71が設けられ、このロック部材71によってドラム蓋47がドラム本体46を塞ぐ閉状態にロックされる。
また、ドラム本体46の上部の左右両側には、左右方向の軸芯を有する円筒状のドラム支軸25L,25Rが設けられ、このドラム支軸25L,25Rの軸芯が混合ドラム3の回転軸芯(ドラム回転軸芯X)とされている。左右のドラム支軸25L,25Rは、左右方向で同じ側にある前記軸受け部材15L,15Rの軸受部26に軸案内部27を介して導入され、軸受部26で受持されて回転自在に支持される。
右側のドラム支軸25Rにはギヤ装着部51が設けられ、このギヤ装着部51には、被駆動ギヤ52がドラム回転軸芯X回りに相対回転不能に嵌合装着されている。この被駆動ギヤ52は、ドラム支軸25L,25Rを軸受部26に導入する際に、駆動ギヤ16に上方側から噛合し、該被駆動ギヤ52に駆動ギヤから動力伝達可能とされる。駆動ギヤ16から被駆動ギヤ52に回転動力が伝達されることで混合ドラム3がドラム回転軸芯X回りに回転駆動可能とされる。なお、被駆動ギヤ52をドラム支軸25Rに同じ部材で一体形成してもよい。
駆動モータ7を正転させると、該駆動モータ7の回転動力が駆動ギヤ16から被駆動ギヤ52に伝達され、混合ドラム3が図8の矢視R方向で示す後転方向(一方向)に回転駆動される。また、駆動モータ7を逆転させると、該駆動モータ7の回転動力が駆動ギヤ16から被駆動ギヤ52に伝達され、混合ドラム3が図9の矢視F方向で示す前転方向(他方向)に回転駆動される。
図1に示すように、ロック部材71は、樹脂によって成型され、ドラム蓋47のフランジ部49の前部に左右一対設けられている。図9に示すように、ロック部材71は、ロック部材本体87と、このロック部材本体87の下部から左右方向外方に突出するように形成された案内ガイド88とを備えている。
ロック部材本体87は上部に左右方向の軸芯を有するピン孔89が形成された枢支ボス部90を有する。ロック部材本体87の上下中途部の背面側に後方側から凹設された凹部91が形成され、この凹部91の下部にロック係合部92が形成されている。
案内ガイド88の背面88a側は平坦状に形成され、この平坦部分がロック解除ガイド面とされている。案内ガイド88の上面88bと前面88cとの間のコーナー部分88dは円弧状に形成されている。
ドラム蓋47のフランジ部49の前部の左右両側にはロック部材取付部95が設けられている。各ロック部材取付部95には、左右方向の軸芯を有するピン孔96が形成された左右一対のピンボス97が左右方向に間隔をおいて設けられている。このピンボス97間にロック部材71の枢支ボス90が配置され、該枢支ボス90及び左右のピンボス97のピン孔89,96を貫通する枢支ピン98によってロック部材71が左右軸回りに回転自在に枢支されている。
また、ドラム本体46のフランジ部48の前部の左右両側には、ロック部材71のロック係合部92が係脱自在に係合するロック係止部材99が設けられている。このロック係止部材99は、左右方向の軸芯を有する円筒部材によって構成されている。ドラム本体46のフランジ部48の前部の左右両側には、ロック係止部材取付部100が設けられ、このロック係止部材取付部100には、左右方向の軸芯を有するピン孔101が形成された左右一対のピンボス102が左右方向に間隔をおいて設けられている。この左右のピンボス102間に前記ロック係止部材99が配置され、これら左右ピンボス102のピン孔101及びロック係止部材99を貫通する取付ピン103によって、ロック係止部材99が軸芯回りに回転自在に支持されている。
前記ロック部材71のロック係合部92をロック係止部材99に前方側から係合することにより、ロック部材71がロック状態とされ、ドラム蓋47がドラム本体46の上部開口を塞ぐ閉状態にロックされる。また、ロック部材71を強制的に枢支ピン98回りに前方側に揺動させることにより、ロック部材71が弾性変形して、ロック係合部92がロック係止部材99から離脱し、ロック解除状態となる。また、逆に、ロック部材71をロックする場合は、ロック部材71を強制的に枢支ピン98回りに後方側に揺動させることにより、ロック部材71が弾性変形して、ロック係合部92がロック係止部材99に係合し、ロック部材71がロック状態となる。
図1及び図4に示すように、機械フレーム2には、ロック部材71のロックを自動解除するロック解除部材104と、酢飯の排出時にドラム蓋47がドラム本体46側に揺動するのを規制するドラム蓋規制部材105とが設けられている。これらロック解除部材104とドラム蓋規制部材105とは、機械フレーム2の左右各サイドフレーム5L,5Rの対向面の前部の上下方向中途部に配置されている。
図10及び図11に示すように、これらロック解除部材104とドラム蓋規制部材105とは、それぞれ筒状に形成され、各サイドフレーム5L,5Rに、ロック解除部材104は1つ設けられ、ドラム蓋規制部材105は上下2つ設けられている。なお、図10及び図11は、ロック解除部材104及びドラム蓋規制部材105の配置部分の右側を示している。
また、これらロック解除部材104とドラム蓋規制部材105とは、各サイドフレーム5L,5Rの内側壁23,13の外面(左右サイドフレーム5L,5Rの対向側の面)に近接配置された揺動部材106に設けられている。この揺動部材106は、上方に行くに従って前後幅が拡開する三角形状のプレートからなる。
この揺動部材106の上部に前後一対の取付軸107F,107Rが左右方向内方に突出状に設けられ、揺動部材106の下部に該揺動部材106を左右方向に貫通する揺動支軸108が固定されている。前側の取付軸107Fにロック解除部材104が軸心回りに回転自在に外嵌支持され、後側の取付軸107Rに上側のドラム蓋規制部材105が軸心回りに回転自在に外嵌支持されている。前記揺動支軸108の左右方向内方側に下側のドラム蓋規制部材105が軸心回りに回転自在に外嵌支持されている。
また、ロック解除部材104は、上下のドラム蓋規制部材105よりも左右方向内方寄りに位置している。このロック解除部材104は混合ドラム3が前転方向Fに回転した時に、ロック部材71のロック解除ガイド面88aに接当可能とされている。また、上下のドラム蓋規制部材105は、混合ドラム3が前転方向Fに回転した時に、ドラム蓋47のフランジ部の前記張出し係合部50の下面側に接当可能とされている。したがって、ロック部材71、当該ロック部材71と係止するロック係止部材99、ロック解除部材104が開閉機構となっており、この開閉機構は、混合ドラム3が後転時(一方向の回転時)にはドラム蓋(蓋体)47の閉鎖を保持にすると共に混合ドラム3が前転時(他方向の回転時)にはドラム蓋47の閉鎖を解除して開放可能とするものとなっている。
揺動支軸108は、サイドフレーム5L,5Rの内側壁23,13を貫通しており、該サイドフレーム5L,5Rの内側壁23,13と、サイドフレーム5L,5Rの内部に配置されていてサイドフレーム5L,5Rの内側壁23,13に固定された支持ステー109とに、軸受け110を介して左右方向の軸心回りに回転自在に支持されている。これによって、揺動部材106が揺動支軸108回りに前後揺動自在に支持されている。
前記揺動部材106の上部には、揺動支軸108の軸心を中心とする円弧状のガイド溝111が前後方向に形成され、このガイド溝111には、サイドフレーム5L,5Rの内側壁23,13に固定された規制ピン112が挿通されている。規制ピン112はガイド溝111内を相対的に移動可能であり、ガイド溝111の端部が規制ピン112に接当することで、揺動部材106の揺動が規制される。
揺動支軸108の前記軸受け110間にはバネ掛け部材113が立設され、このバネ掛け部材113の上部に引張りバネ114の前端側が掛止されている。引張りバネ114の後端側はサイドフレーム5L,5Rの内側壁23,13に固定されたバネ掛け部材115に掛止されている。この引張りバネ114の付勢力によって揺動部材106が後方に引っ張られている。前記ガイド溝111の前端が規制ピン112に接当することにより、揺動部材106の後方揺動が規制される。
図13に示すように、右側のドラム支軸25Rの左右方向内端側はドラム本体46の内部空間に連通していると共に、該右側のドラム支軸25Rの左右方向外端側は右側のサイドフレーム5Rに設けられた給気穴28に近接配置されて対向している。この給気穴28には、前記送風装置8の給気部材12が接続されている。したがって、送風装置8からの冷却空気等は右側のドラム支軸25Rを通して混合ドラム3内部に供給される。
また、左側のドラム支軸25Lの左右方向内端側はドラム本体46の内部空間に連通していると共に、該左側のドラム支軸25Lの左右方向外端側は左側のサイドフレーム5Lに設けられた排気穴29に近接配置されて対向している。したがって、混合ドラム3内部に供給された冷却空気等は左側のドラム支軸25Lを通して混合ドラム3から排出される。
図14に示すように、ドラム本体46及びドラム蓋47の内部には、攪拌部材128が設けられている。この攪拌部材128は、混合ドラム3の内部を左右に横断する攪拌棒129と、この攪拌棒129の左右両側に配置されていて攪拌棒129が固定される左右の棒支持部材130とからなる。これら攪拌棒129及び棒支持部材130は金属製である。攪拌部材128は、ドラム本体46に装着される攪拌部材128Aと、ドラム蓋47に装着される攪拌部材128Bとを有し、それぞれ前後一対設けられている。左右の棒支持部材130は上下方向に長い部材からなり、ドラム本体46に設けられる攪拌部材128Aの攪拌棒129は上下方向に間隔をおいて4本設けられ、ドラム蓋47に設けられる攪拌部材128Bの攪拌棒129は上下方向に間隔をおいて2本設けられている。
このように、左右一対の棒支持部材130間に複数の攪拌棒128を架設することで攪拌部材128Aを構成し、この攪拌部材128Aをドラム本体46及びドラム蓋47に複数設けるようにすることにより、構造が簡素化され、取り扱いが容易となると共に、清掃が容易となる。
図12、図15及び図16に示すように、ドラム本体46の周壁117の底部117b側には、液体食材を収容可能な液体収容部136が設けられている。この実施形態では、液体収容部136は、液体食材として酢が収容可能であり、ドラム本体46内の粒状食材であるご飯に対して、酢を供給可能である。
この液体収容部136は、ドラム本体46の周壁117の底部117bから下方に向けて凹設形成された容器収納部137と、この容器収納部137内に収納される液体貯留容器138とから構成されている。
容器収納部137は、ドラム本体46の周壁117の底部117bに形成された前記底部開口118の左右側縁から下方に延出された左右の側壁137aと、前記底部開口118の前縁から下方に延出された前壁137bと、前記底部開口118の後縁から下方に延出された後壁137cと、左右側壁137a下端及び前壁137b下端並びに後壁137c下端に接続された底壁137dとから上端開口状に構成されている。
この容器収納部137の前壁137bはストレート状に形成され、後壁137dは、その側断面形状が外方に向けて凸となる湾曲状とされている。
液体貯留容器138は樹脂によって形成されている。また、この液体貯留容器138は、ドラム本体46の周壁117の底部117bに形成された底部開口118(容器収納部137の上端開口)を塞ぐように配置される上壁138aと、この上壁138aの左右側縁から下方に延出された左右の側壁138bと、上壁の後縁から下方に延出された後壁138cと、左右側壁138b下端及び後壁138c下端に接続された底壁138dとから前端開口状に構成されている。この液体貯留容器138の後壁138cは、容器収納部137の後壁137cの形状に合わせて、その側断面形状が外方に向けて凸となる湾曲状とされている。これによって、液体貯留容器138を容器収納部137に挿入する際に前後を間違えないようになっている。
液体貯留容器138の上壁138aには、該上壁138aを貫通する多数の小孔139aによって形成された液体排出部139が形成されている。この液体排出部139は、混合ドラム3の後転方向Rの先行側に形成され、液体貯留容器138の上壁138aの後転方向Rの後行側は、液体貯留容器138内部の酢が漏れ出ないように、通水性のない閉塞壁状とされている。
この液体貯留容器138内に酢を貯留するには、ドラム本体46の上部開口から液体貯留容器138の上壁138a上へと酢を投入する。投入された酢は、主として液体排出部139から液体貯留容器138内に侵入し、液体貯留容器138内に貯留される。
ドラム本体46に攪拌部材128の棒支持部材130を装着したとき、棒支持部材130の下端が上壁138aに当接するため、液体貯留容器138が容器収納部137から離脱するのを規制している。なお、液体収容部136は、容器収納部137の上部開口面を液体排出部139が形成された平板状の閉塞板材で塞ぐ構造であってもよい。
酢合わせ機1でご飯に酢を混ぜ合わせて酢飯を作るには、先ず、混合ドラム3をホーム位置にある状態で、ドラム蓋47を開いて該ドラム蓋47を蓋ホルダ72で保持し、この状態で、液体収容部136に酢を供給した後、ドラム本体46にご飯を投入する。そして、酢とご飯をドラム本体46に供給した後、ドラム蓋47を閉め、ロック部材71をロック状態とし、操作パネル20に設けられたスタートスイッチ170を押すと、混合ドラム3が後転方向Rに回転する。混合ドラム3が後転方向Rに回転し、液体収容部136がドラム支軸25L,25Rの真正面を通り過ぎて、ご飯がある程度持ち上げられると、ご飯は自重で落下する。ご飯が自重で落下すると、液体排出部139が開放され、液体排出部139から酢が排出され始める。そして、液体貯留容器138内部の酢152は、ご飯に対してシャワー状に落下して当該ご飯に供給される。そして、ご飯は、混合ドラム3が回転することにより、所定高さ持ち上げられて落下する動作が繰り返し行われ、ご飯は落下する際に攪拌棒129に当たってほぐされて(シャリ切りされて)攪拌する(撹拌工程)。この撹拌工程では、ご飯に酢を混ぜ合わす。
混合ドラム3が後転方向Rに回転している状況、即ち、撹拌工程では、図17(a)に示すように、下側のドラム蓋規制部材105はドラム蓋47のフランジ部49の張出し係合部50とは干渉しないが、上側のドラム蓋規制部材105はドラム蓋47のフランジ部49の張出し係合部50と干渉する。混合ドラム3が後転方向Rに回転して張出し係合部50が上側のドラム蓋規制部材105に接当すると、ドラム蓋規制部材105が張出し係合部50に押圧され、揺動部材106の上部が揺動支軸108回りに前方側に揺動する。これによって、上側のドラム蓋規制部材105がドラム蓋47の張出し係合部50から自動的に逃げる(上側のドラム蓋規制部材105がドラム蓋47の張出し係合部50との干渉領域143から退避する)。
また、混合ドラム3が後転方向Rに回転している際において、図17(b)に示すように、ロック解除部材104がロック部材71の案内ガイド88と干渉する。混合ドラム3が後転方向Rに回転してロック部材71がロック解除部材104に接当すると、ロック解除部材104がロック部材71に押圧され、揺動部材106の上部が揺動支軸108回りに前方側に揺動する。これによって、ロック解除部材104がロック部材71から自動的に逃げる(ロック解除部材104がロック部材71との干渉領域144から退避する)。
前記揺動部材106、ガイド溝111、規制ピン112等によって、ドラム蓋規制部材105をドラム蓋47から逃がし且つロック解除部材104をロック部材71か逃がす(ドラム蓋規制部材105をドラム蓋47との干渉領域143から退避させ且つロック解除部材104をロック部材71との干渉領域144から退避させる)逃がし手段が構成されている。
なお、張出し係合部50が上側のドラム蓋規制部材105から外れ、ロック部材71がロック解除部材104から外れると、揺動部材106(ドラム蓋規制部材105及びロック解除部材104)が元の位置に復帰する。
上述したように、混合ドラム3を後転方向Rに何回か回転させ、ご飯をほどよく攪拌すると、撹拌工程からむらし工程、冷却工程を経て、混合ドラム3はホーム位置に戻って停止する。これにより、ご飯に酢を均一に混ぜ合わせた酢飯が出来上がると排出工程に進む。排出工程では、自動的に、或いは、操作パネル20に設けられた排出スイッチ排出スイッチ173を押すことにより、出来上がった酢飯を自動で排出する。この排出動作は、ホーム位置から混合ドラム3が前転方向Fに回転することにより行う。
排出工程において、図18(a)に示すホーム位置から混合ドラム3が前転方向Fに回転すると、ロック部材71がロック解除部材104に係合して、図34(b)に示すように、ロック部材71のロックが解除される。このロック部材71の自動ロック解除を詳細に説明すると、図19(a)に示すように、混合ドラム3がホーム位置に位置する状態ではロック部材71の案内ガイド88はロック解除部材104の上方に位置しており、このとき、案内ガイド88のロック解除ガイド面88aは前斜め下方に向けて傾斜状である。
このホーム位置から混合ドラム3が前転方向Fに回転すると、図19(b)に示すように、ロック部材71が下方移動してロック解除ガイド面88aの下端側がロック解除部材104に上方から接当する。さらに、混合ドラム3が前転方向Fに回転すると、図19(c)、(d)に示すように、ロック解除部材104に対してロック部材71が下方移動することにより、ロック部材71がロック解除部材104によって強制的に前方側に押動される。これによって、ロック部材71が枢支ピン98回りに揺動してロック係合部92がロック係止部材99から離脱し、ロック部材71のロックが解除される。このとき、ロック解除部材104は、ロック解除ガイド面88aを上方に向けて相対的に転動する。その後、混合ドラム3が前転方向Fに回転することによりロック解除部材104がロック部材71のロック解除ガイド面88a(案内ガイド88)から外れる。
ロック部材71のロックが解除されてロック解除部材104がロック解除ガイド面88aから外れた後、混合ドラム3がさらに前転方向Fに回転すると、図20に示すように、ドラム蓋47のフランジ部49の張出し係合部50の下面前端側が上側のドラム蓋規制部材105に上方から接当し、ドラム蓋47のドラム本体46側への揺動動作が規制される。
この状態からドラム本体46がさらに前転方向Fに回転すると、図21に示すように、張出し係合部50が下側のドラム蓋規制部材105に接当してドラム蓋47のドラム本体46側への揺動が規制されると共に、ドラム本体46は、その上部開口面124が下側を向き且つ該上部開口面124が下方に向かうに従って後方に移行する傾斜状とされた酢飯食材排出姿勢(食材排出姿勢)となり、この食材排出姿勢でドラム本体46が一旦停止する。
一方、ドラム本体46内の酢飯は、ドラム本体46の上部開口面124が下側を向き始めてからドラム本体46が食材排出姿勢となるまでに、徐々に食材収容箱39へと自然落下により落下排出し、ドラム本体46が食材排出姿勢となると、略全部食材収容箱39へと落下排出する(したがって、ドラム本体46を食材排出姿勢にしたときにおける酢飯支持面123の水平に対する傾斜角度は安息角よりも大である)。ドラム本体46は、食材排出姿勢で所定時間停止した後(酢飯が排出されると)、後転方向Rに回転してホーム位置に復帰する。
上述したような酢合わせ機の動作は制御装置9の制御により行われる。
次に、酢合わせ機の制御について詳しく説明する。
図22は、酢合わせ機1の制御系ブロック図を示している。
図22に示すように、制御装置9には、食材収容箱39の有無を検出する第1検出装置40と、混合ドラム3の回転位置を検出する第2検出装置45と、操作パネル20とが接続されている。また、制御装置9には、駆動モータ7と、送風機10とが接続されている。この制御装置9は、検出装置(第1検出装置40、第2検出装置45)からの信号、操作パネル20で設定された設定値、制御シーケンス等に基づいて駆動モータ7及び送風機10を制御する。
図2に示すように、第1検出装置40は、ベースフレーム4上の後部に設けられている。この第1検出装置40は、前後揺動自在な揺動部材43を備えていて、当該揺動部材43は前方に向けてバネによって付勢されている。この揺動部材43に食材収容箱39の後面が接当すると揺動部材43が後方に揺動し、この揺動により食材収容箱39を検出し、食材収容箱39が検出されたことを示す設置信号が制御装置9に入力される。
図8に示すように、第2検出装置45は、被駆動ギヤ52の回転位置によって混合ドラム3の回転位置を検出するもので、被駆動ギヤ52に設けられた被検出体(例えば、マグネット)53と、右側の軸受け部材15Rに設けられ且つ被検出体53を検出する2つの検出部(例えば、検出スイッチ)54、55とを備えている。詳しくは、2つの検出スイッチ54、55はドラム回転軸芯Xを中心とする円周方向に間隔をおいて配置され、一方の検出スイッチ54の位置は、混合ドラム3がホーム位置(初期位置)に設定され、他方の検出スイッチ55の位置は、混合ドラム3が後述する排出位置(食材排出姿勢)に設定されている。以降、一方の検出スイッチ54を「ホーム検出スイッチ54」といい、他方の検出スイッチ55を「排出検出スイッチ」という。
したがって、被検出体53がホーム検出スイッチ54に達すると、当該ホーム検出スイッチ54がオンとなり、混合ドラム3のホーム位置が検出され、混合ドラム3がホーム位置になったことを示す信号(ホーム信号)が制御装置9に入力される。また、被検出体53が排出検出スイッチ55に達すると、当該排出検出スイッチ55がオンとなり、混合ドラム3の排出位置を検出する。混合ドラム3が排出位置になったことを示す(排出信号)が制御装置9に入力される。
図1及び2に示すように、操作パネル20は、右側のサイドフレーム5Rの上面側前部に設けられている。図22に示すように、操作パネル20には、スタートスイッチ170、停止スイッチ171、ホーム復帰スイッチ172、排出スイッチ173、送風スイッチ174、前転スイッチ175、後転スイッチ176が設けられている。
スタートスイッチ170は、主に、予め定められた制御シーケンスに基づく動作を開始するスイッチであって、停止スイッチ171は、制御シーケンスで動作している酢合わせ機1の動作を停止するスイッチである。また、ホーム復帰スイッチ172は、混合ドラム3をホーム位置にするためのスイッチであって、排出スイッチ173は、混合ドラム3を排出位置にするためのスイッチである。送風スイッチ174は、混合ドラム3内に送風を行うためのスイッチである。前転スイッチ175は、混合ドラム3を前転させるためのスイッチであり、後転スイッチ176は、後転させるためのスイッチである。
操作パネル20には、酢合わせ機1の動作状況を表示する状況表示部177が設けられている。この状況表示部177は、動作状況として、例えば、酢合わせ機1で実行されている現在の工程が複数の工程(例えば、撹拌工程、むらし工程、冷却工程)のどの工程に該当するかを表示したり、動作が完了するまでの残り時間等を表示する。なお、状況表示部177で表示する動作状況は、上述したものに限定されない。
また、表示パネル20には、各種設定を行うための設定部178が設けられている。この設定部178は、制御装置9に予め格納された複数の制御シーケンスのうち実行する所定の制御シーケンスを設定するコース設定部180と、制御シーケンスで実行する送風処理において当該送風処理時での送風条件を設定する送風パターン設定部181と、送風処理時での風量を設定する風量設定部182と、各設定部(コース設定部180、送風パターン設定部181及び風量設定部182)での設定を指示(入力)するための入力インタフェース183を備えている。
詳しくは、コース設定部180は、当該コース設定部180を選択する第1選択ボタン180aと、制御シーケンスの番号を表示する第1表示部180bとで構成されている。したがって、第1選択ボタン180aを選択後、入力インタフェース183であるプラスボタン183aやマイナスボタン184bを押すことにより、第1表示部180bに表示された番号に対応する制御シーケンスを設定することができる。
また、送風パターン設定部181は、送風条件を選択する第2選択ボタン181aと、送風条件の番号を表示する第2表示部180bとで構成されている。したがって、第2選択ボタン181aを選択後、プラスボタン183aやマイナスボタン184bを押すことにより、第2表示部181bに表示された番号に対応する送風条件を設定することができる。
また、風量設定部182は、当該風量設定部182を選択する第3選択ボタン182aと、風量の番号を表示する第3表示部182bとで構成されている。したがって、第3選択ボタン182aを選択後、プラスボタン183aやマイナスボタン184bを押すことにより、第3表示部1812に表示された番号に対応する風量を設定することができる。
図23は、酢合わせ機1による各工程、即ち、制御装置9による制御の概略を示したものである。
酢合わせ機1のメインスイッチが入れられ、当該酢合わせ機1に電力が供給された状態では、駆動モータ7及び送風機10は停止しており、制御装置9は、表示パネル20の各種スイッチからの入力待ち状態である。入力待ち状態において、スタートスイッチ170が押されると(S1、YES)、制御装置9は、コース設定部180で設定された制御シーケンスを当該制御装置9から読み込み、所定のシーケンス処理に入る。シーケンス処理では、制御装置9は、少なくとも駆動モータ7を動作させることにより混合ドラム3を回転させてご飯に酢を混ぜ合わせる(飯を撹拌する)撹拌処理を実行する(S2:撹拌工程)。また、制御装置9は、撹拌工程後、ご飯を蒸らすむらし処理を実行し(S3:むらし工程)、むらし工程後、少なくとも送風機10を動作させて酢飯を冷却する冷却処理を実行する(S4:冷却工程)。そして、制御装置9は、冷却工程後、少なくとも駆動モータ7を動作させて混合ドラム3内の酢飯を外部に排出する排出処理を実行する(S5:排出工程)。
一方、入力待ち状態において、スタートスイッチ170及び停止スイッチ以外であって駆動モータ7又は送風機10を手動にて動作させるスイッチ(例えば、ホーム復帰スイッチ172、排出スイッチ173、送風スイッチ174、前転スイッチ175、後転スイッチ176)を押すと、各スイッチに対応した動作を行う(S6:スイッチ処理)。
ホーム復帰スイッチ172が押された場合、スイッチ処理S6では、制御装置9は、駆動モータ7に正転の指令を出力して混合ドラム3を回転させ、第2検出装置45からのホーム信号が入力されると駆動モータ7の正転の指令を停止する。また、排出スイッチ173が押された場合、スイッチ処理S6では、制御装置9は、駆動モータ7に逆転の指令を出力して混合ドラム3を前転させ、第2検出装置45からの排出信号が入力されると駆動モータ7の逆転の指令を停止する。送風スイッチ174が押された場合、スイッチ処理S6では、制御装置9は、送風機10に駆動指令を出力して送風(空気)を混合ドラム3内に導入する。送風機10が駆動中に再度、送風スイッチ174が押されると、制御装置9は、送風機10への駆動指令を停止する。
また、前転スイッチ175が押された場合、スイッチ処理S6では、制御装置9は、当該前転スイッチ175の押されている間は駆動モータ7に逆転の指令を出力して混合ドラム3を前転させる。また、後転スイッチ176が押された場合、スイッチ処理S6では、制御装置9は、当該後転スイッチ176が押されている間は駆動モータ7に正転の指令を出力して混合ドラム3を後転させる。
図22に示すように、撹拌工程は、制御装置9に設けられた撹拌制御部184によって実行される。この撹拌制御部184は制御装置9等に格納されたプログラム等から構成されている。
撹拌制御部184は、撹拌工程における撹拌時の動作態様(撹拌動作態様)をパターン別(設定値別)に実行する複数の撹拌モードを備えている。具体的には、各撹拌モードでは、撹拌動作態様として、撹拌時の混合ドラム3の回転速度の設定値や当該混合ドラムの回転時間(撹拌時間)の設定値がそれぞれ異なっていて、各撹拌モードを実行することにより、細かな撹拌を行うことができる。
図24(a)は、撹拌制御部184が備えている複数の撹拌モードの一例を示したものである。図24(a)に示すように、例えば、撹拌制御部184は、3つの撹拌モード(第1攪拌モード、第2攪拌モード、第3攪拌モード)を備えていて、当該撹拌制御部184は、各攪拌モード(第1攪拌モード、第2攪拌モード、第3攪拌モード)を連続して順番に実行する。説明の便宜上、撹拌制御部184は、第1攪拌モード、第2攪拌モード、第3攪拌モードを実行することとし説明を進める。当然の如く、撹拌制御部184によって実行する撹拌モード数はこれに限定されない。
図24(a)に示すように、第1撹拌モードは、最も先に実行されるモード(処理)であって、撹拌時での混合ドラム3の回転速度(ドラム回転速度)は、他の攪拌モード(第2攪拌モード、第3攪拌モード)に比べて高く設定されている(ドラム回転数「高」)。第2撹拌モードは、第1撹拌モードの次に実行されるモードであって、撹拌時でのドラム回転速度は、第1攪拌モードよりも低く且つ第3攪拌モードよりも高く設定されている(ドラム回転数「中」)。第3撹拌モードは、第2撹拌モードの次に実行されるモードであって、撹拌時でのドラム回転速度は、第2攪拌モードよりも低く設定されている(ドラム回転数「小」)。また、第1攪拌モード、第2攪拌モード及び第3攪拌モードでの攪拌時間は、一定値とされている。
各攪拌モード(第1攪拌モード、第2攪拌モード、第3攪拌モード)におけるドラム回転速度や攪拌時間は、粒状食材と液体食材とを所望の混合状態等にするために予め設定されている。即ち、各攪拌モード(第1攪拌モード、第2攪拌モード、第3攪拌モード)におけるドラム回転速度及び攪拌時間は制御装置9に記憶されている。この実施形態では、粒状食材は「ご飯」とされ、液体食材は「酢」とされ、ご飯と酢との混合により酢飯を作るものであるため、撹拌制御部184は、図24(a)に示したように、各撹拌モード(第1撹拌モード、第2撹拌モード、第3撹拌モード)によって時間経過に伴って段階的にドラム回転速度を低下させるものとされている。即ち、撹拌制御部184は、液体食材と粒状食材との撹拌時において撹拌時間の長さに応じて徐々にドラム回転速度を低下させている。つまり、撹拌制御部184は、撹拌動作時には、後に実行する撹拌モードの混合ドラム3の回転速度を先に実行する回転モードの回転速度よりも遅くしている。それゆえ、撹拌の初期段階では、比較的早いスピードで混合ドラム3を回転させることにより、ご飯が温かいうちにご飯全体に酢を混ぜることができる。そして、ご飯と酢とが比較的混ざり合った撹拌の中期段階や後期段階では、次第に遅くしたスピードで混合ドラム3を回転させることにより、ご飯が混合ドラム3内で空気に触れる時間を稼ぐことができ、ご飯の温度を下げることができる。なお、各撹拌モードにおけるドラム回転速度や攪拌時間は、操作パネル20等を用いて変更できるようにしてもよい。また、撹拌工程において、撹拌モードの数を操作パネル20等を用いて変更できるようにしてもよい。
図25は、撹拌工程、むらし処理、冷却工程における混合ドラム3の回転速度、各工程の作動時間の例を示したものである。
図25に示すように、撹拌工程Aは第1撹拌モードで実行されるドラム回転速度及び作動時間を示し、撹拌工程Bは第2撹拌モードで実行されるドラム回転速度及び作動時間を示し、撹拌工程Cは第3撹拌モードで実行されるドラム回転速度及び作動時間を示している。
撹拌工程Aにおいて地点P3〜地点P4までの区間が第1撹拌モードにおける撹拌動作(撹拌動作態様)とされ、当該第1撹拌モード(撹拌工程A)における撹拌動作時のドラム回転速度は、駆動モータ7の定格回転速度(設定回転数)に対して90%である。撹拌工程Bにおいて地点P4〜地点P5までの区間が第2撹拌モードにおける撹拌動作とされ、当該第2撹拌モード(撹拌工程B)における撹拌動作時のドラム回転速度は、駆動モータ7の定格回転速度に対して50%である。撹拌工程Cにおいて地点P5〜地点P6までの区間が第3撹拌モードにおける撹拌動作とされ、当該第3撹拌モード(撹拌工程C)における撹拌動作時のドラム回転速度は、駆動モータ7の定格回転速度に対して20%である。
第1撹拌モードのドラム回転速度、第2攪拌モードのドラム回転速度、第3攪拌モードのドラム回転速度は、上述したように経過時間に応じて段階的に減速しているが、これらドラム回転速度の推移(90%、50%、20%)は、ご飯と酢との混合時(撹拌時)において粘りの強さが徐々に増す状況に反比例したものとなっている。撹拌工程において、ご飯及び酢を撹拌すると時間がたつにつれて次第にご飯の粘りが強くなっていくが、撹拌制御部184は、上述したように、ご飯と酢との混合時(撹拌時)において粘りの強さに応じて段階的、即ち、徐々にドラム回転速度を低減させているため、酢飯の粘りが強くなり過ぎることを防止することができる。
また、撹拌制御部184は供給モードを備えている。この供給モードは、スタートスイッチ170が押されて混合ドラム3が攪拌動作に入る前に、液体収容部136内の液体食材(酢)を粒状食材(ご飯)に向けて適正に落下させるためのモードある。即ち、供給モードは、第1攪拌モードにおいて攪拌動作が開始される前(地点P1)よりも先に動作して混合ドラム3の回転位置やドラム回転速度を制御することにより酢をご飯に向けて落下させる。言い換えれば、最も先に実行される撹拌モード第1攪拌モードには、液体収容部136内の酢をご飯に向けて落下させるべく混合ドラム3の回転により当該液体収容部136を供給位置に移動させる供給モードが追加されている。
次に、供給モードについて詳しく説明する。
まず、混合ドラム3が初期位置(ホーム位置)にあるとき、即ち、図26の矢印Aに示すように液体収容部136がドラム支軸25L,25Rの直下となるホーム位置にあるときに、スタートスイッチ170が押され、混合ドラム3の回転開始指令が制御装置9に入力されると、制御装置9の撹拌制御部184は供給モードを起動する。供給モードの起動後は、撹拌制御部184は、駆動モータ7に正転の指令を出力して混合ドラム3を後転させ、液体収容部136を矢印Aで示したホーム位置から供給位置に向けて移動させる。この供給位置は、酢をご飯に向けて落下させる位置であって、混合ドラム3の回動方向から見て所定の範囲である。
詳しくは、図26に示すように、混合ドラム3をホーム位置から後転方向Rに回転させると、混合ドラム3の後転方向Rの回転に伴って、液体収容部136はホーム位置から周方向に移動し、ドラム支軸25L,25Rの前側を通ってドラム支軸25L,25Rの上方へ向けて移動する。ホーム位置から見て、液体収容部136がドラム支軸25L,25Rと略同じ高さとなる位置(矢印B)では、液体収容部136の液体排出部139はご飯によって塞がれたり、液体収容部136内の酢は液体排出部139に達していないため、液体収容部136からご飯に向けて酢が落下する状態ではない。
その後、液体収容部136がドラム支軸25L,25Rよりも高い位置になり、液体収容部136がやや傾斜姿勢になると(矢印C)、液体収容部136内の酢がご飯に向けて落下を開始する。即ち、液体収容部136がドラム支軸25L,25Rよりも高い位置で且つ液体収容部136の先行端が上方傾斜姿勢(先行端が上側で後行端は下側となる姿勢)となった位置は、酢をご飯に向けて落下させる供給位置の開始点となる。さらに、液体収容部136が周方向に移動してドラム支軸25L,25Rの真上になると(矢印D)、液体収容部136内の酢は引き続きご飯に向けて落下する。液体収容部136がドラム支軸25L,25Rの真上となる位置は、供給位置の中間点となる。そして、液体収容部136が周方向に移動して供給位置の開始点と前後対称となる位置(矢印E)、即ち、液体収容部136の先行端が下方傾斜姿勢(先行端が下側で後行端は上側となる姿勢)となった位置は、酢をご飯に向けて落下させる供給位置の終了点となる。
供給モードでは、液体収容部136がホーム位置から供給位置の開始点に達するまでのドラム回転速度を速くして、液体収容部136を出来るだけ短時間で供給開始位置まで持ち上げる(移動)こととしている。詳しくは、図25に示すように、第1攪拌工程における地点P1は、混合ドラム3の回転が開始された時点を示しており、地点P2は液体収容部136がホーム位置の開始点に達した時点を示している。この地点P1から地点P2となる時間T1の間、即ち、液体収容部136がホーム位置から供給位置に達する区間では、供給モードでは、ドラム回転速度(第3回転速度)を、駆動モータ7の定格回転速度に対して100%としており、第1攪拌モードの攪拌時でのドラム回転速度(第2回転速度、定格回転速度の90%)よりも速くしている。即ち、第1回転速度を、酢を供給完了して攪拌を開始する第2回転速度よりも速くしている。
このようなことから、酢を収容した液体収容部136をホーム位置から素早く供給位置にすることができ、液体収容部136の酢が供給位置に達するまでの間に液体食材(例えば、酢)がこぼれ落ちることを防止することができる。即ち、液体収容部136がホーム位置から供給位置にまでの間のドラム回転速度を速くすることにより、ホーム位置から供給位置までの間は外側に大きな遠心力が働くため、この区間で酢が液体収容部136から排出することを防止することができる。言い換えれば、確実に液体収容部136内の酢をご飯の上から落下させることができる。
また、供給モードでは、液体収容部136が供給位置にあるとき、即ち、供給位置の開始点から供給位置の終了点の範囲にあるとき、ドラム回転速度を遅くして、液体収容部136から排出される酢の落下を促進している。詳しくは、図25に示すように、第1攪拌工程における地点P3は、液体収容部136がホーム位置の終了点に達した時点を示している。地点P2から地点P3となる時間T2の間、即ち、液体収容部136が供給位置にある区間では、供給モードでは、ドラム回転速度(第1回転速度)を、駆動モータ7の定格回転速度に対して30%としており、第1攪拌モードの攪拌時でのドラム回転速度(第2回転速度)よりも遅くしている。この実施形態では、第1回転速度を、第2回転速度の1/3程度にまで減速している。このようなことから、液体収容部136がご飯の上方に位置する時間を長くすることができ、これにより、液体収容部136内の酢を一度にご飯に向けて落下させることができる。
なお、ホーム位置から供給位置になるタイミング、即ち、ドラム回転速度及び時間(駆動時間)の関係は実験やシミュレーションにより求めることができる。また、液体収容部136内の液体食材が落下を開始する供給位置(液体収容部136の位置)は、実験やシミュレーションによって求めたものを用いても良いが、この代わりにセンサ等を用いて求めてもよい。例えば、混合ドラム3の内壁に、液体収容部136の上壁138aと平行な検出光を照射するラインセンサを設け、液体食材がラインセンサを通過したときの液体収容部136の位置を供給位置としてもよい。センサの配置位置や配置方法等は、上述したものに限定されない。
また、図22に示すように、制御装置9は、むらし工程を実行するむらし制御部185と、冷却工程を実行する冷却制御部186と、排出工程を実行する排出制御部187とを備えている。このむらし制御部185、冷却制御部186及び排出制御部187は、制御装置9等に格納されたプログラム等から構成されている。
撹拌制御部184による撹拌処理が終了すると、むらし制御部185によるむらし工程が実行される。具体的には、撹拌制御部184による第3攪拌モードが終了すると、むらし制御部185は、送風装置8を停止させた状態で、図25に示すように、駆動モータ7を間欠的に回転させる信号を出力する。例えば、むらし制御部185は、時間T3の間隔で駆動モータ7に正転の指令を出力して、むらし工程を行う。このとき、むらし制御装置185は、ドラム回転速度を、例えば、駆動モータ7の定格回転速度(設定回転数)に対して90%とする。
むらし制御部185によるむらし処理が終了すると、冷却制御部186による冷却工程が実行される。具体的には、冷却制御部186は、まず、予め制御装置9に記憶された冷却条件(風量、ドラム回転速度、ドラム回転間隔等)を読み込み、読み込んだ風量となるように送風装置8(送風モータ)160に冷却風(空気)を送風する指令(冷却指令)を出力する。また、冷却制御部186は、ドラム回転速度及びドラム回転間隔となるように駆動モータ7を回転させる指令(回転指令)を出力する。図25に示すように、例えば、冷却制御部186は、ドラム回転速度を駆動モータ7の定格回転速度に対して70%とし且つ時間T4の間隔で混合ドラム3が後転する回転指令を駆動モータ7に出力する。なお、冷却制御部186は、冷却工程の終了時には、混合ドラム3をホーム位置に停止させる。即ち、冷却制御部186は、第1検出装置40からのホーム信号が制御装置9に入力した時点で駆動モータ7への指令を停止し、混合ドラム3がホーム位置になったところで冷却工程を終了する。
冷却制御部186による冷却処理が終了すると、排出制御部187による排出工程が実行される。図27は、排出制御部187による制御フローを示したものである。
図27に示すように、排出制御部187は、排出工程を行うに際して、まず、混合ドラム3が排出位置(食材排出姿勢)になっていないかの判断を行う。即ち、排出制御部187は、第2検出装置45からの排出信号が制御装置9に入力されているか否かを判断する(S10)。ここで、排出信号が制御装置9に入力されていない場合は、排出制御部187は、次の処理に進む。
排出制御部187は、ベースフレーム4上に食材収容箱39が設置されているか否かを判断する。即ち、排出制御部187は、第1検出装置40からの設置信号が制御装置9に入力されているか否かを判断する(S11)。ここで、設置信号が制御装置9に入力されると、排出制御部187は、次の処理に進む。
排出制御部187は、混合ドラム3がホーム位置になっているか否かを判断する。即ち、排出制御部187は、第2検出装置40からのホーム信号が制御装置9に入力されているか否かを判断する(S12)。ホーム信号が制御装置9に入力されると、排出制御部187は、次の処理に進む。
次に、排出制御部187は、混合ドラム3がホーム位置にあるとき、駆動モータ7に逆転の指令を出力して、混合ドラム3を前転させる(S13)。そして、排出制御部187は、混合ドラム3が図21に示すような排出位置(食材排出姿勢)になっているか否かを判断する。即ち、排出制御部187は、第2検出装置40からの排出信号が制御装置9に入力されているか否かを判断する(S14)。排出信号が制御装置9に入力され、混合ドラム3の食材排出姿勢を検知すると、排出制御部187は、S15の処理に進む。
排出制御部187は、混合ドラム3が排出位置にあるとき、駆動モータ7への逆転の指令を停止する(S15)。なお、排出制御部187は、食材を排出した後は、食材を排出したことを音やブザー等によって報知することが望ましい。
このように、排出制御部187によって自動的に混合ドラム3内の酢飯を食材収容箱39排出することができる。
さて、上述した実施形態では、混合ドラム3がホーム位置になったときに冷却工程を終了し、その後に、排出工程に移行することとしていたが、これに代え、混合ドラム3をホーム位置になっていなくても冷却工程を終了して排出工程に移行してもよい。
図28は、混合ドラム3をホーム位置にせずに冷却工程を終了した場合での排出工程を示したものである。図28に示されたS10〜S15は、図27に示したフローと同じである。
排出制御部187は、混合ドラム3がホーム位置でないとき(S15、No)、ホーム復帰処理に移行する(S16)。具体的には、排出制御部187は、駆動モータ7に正転の指令を出力して、混合ドラム3を後転させ、制御装置9にホーム信号が入力された時点(混合ドラム3がホーム位置になった時点)で、駆動モータ7への正転の指令を停止する。なお、上述した例では、自動的に混合ドラム3をホーム位置に復帰させているが、手動で混合ドラム3をホーム位置に復帰させてもよい。この場合、排出制御部187は、ホーム復帰スイッチ172又は後転スイッチ176の入力を許可する。そして、排出制御部187は、ホーム復帰スイッチ172が押された場合は上述したように混合ドラム3をホーム位置に復帰し、後転スイッチ176が押された場合は、後転スイッチ176が押されている間は駆動モータ7に正転の指令を出力して混合ドラム3を後転させ、制御装置9にホーム信号が入力された時点で、駆動モータ7への正転の指令を停止する。以上のように、排出制御部187によって、出来上がった酢飯を食材収容箱39に排出することができる。
さて、混合ドラム3を排出位置(食材排出姿勢)として、当該混合ドラム3内の酢飯を食材収容箱39に排出した後は、排出制御部187は、混合ドラム3が食材排出姿勢からホーム位置に復帰する処理に進む。具体的には、混合ドラム3が食材排出姿勢になってから所定経過時間後(例えば、数十秒〜数分後)、排出制御部187は、混合ドラム3を一方向(後転方向)に回転させるスイッチ(ホーム復帰スイッチ172又は後転スイッチ176)の入力を許可する。そして、排出制御部187は、ホーム復帰スイッチ172又は後転スイッチ176が押されると、所定の処理を実行して混合ドラム3をホーム位置に復帰する。なお、ホーム復帰スイッチ172又は後転スイッチ176を押した際の処理は、上述した説明と同様である。これによれば、混合ドラム3内の食材(酢飯)を排出した後に作業者が手動でスイッチ(ホーム復帰スイッチ172又は後転スイッチ176)を操作することにより、混合ドラム3をホーム位置に復帰することができ、混合ドラム内に新たな食材を簡単に入れることができる。
なお、スイッチによって混合ドラム3を食材排出姿勢からホーム位置に復帰させていたが、これに代え、混合ドラム3を食材排出姿勢からホーム位置に自動的に復帰させてもよい。例えば、混合ドラム3が食材排出姿勢になってから所定経過時間後(例えば、数分後)、排出制御部187は、駆動モータ7に混合ドラム3を後転させる信号を出力し、混合ドラム3を食材排出姿勢からホーム位置に復帰させる。このとき、混合ドラム3がホーム位置に復帰したことを示すホーム信号が制御装置9に入力されると、排出制御部187は、混合ドラム3を後転させる信号の出力を停止する。このようにすれば、混合ドラム3を後転させて酢飯を排出した後に、当該混合ドラム3の回転を後転から前転に自動的に切り替えることによって混合ドラム3をホーム位置に復帰することができ、これにより、混合ドラム3内に新しい食材を入れることが可能となる。
さて、撹拌制御部184は、撹拌時に送風装置8を作動可能としている。具体的には、撹拌制御部184は、少なくとも第1撹拌モード、第2撹拌モード、第3撹拌モードによって撹拌動作を行っているときに、送風装置8(送風機10)を作動させて混合ドラム3内に送風を行う。即ち、第1撹拌モード、第2撹拌モード、第3撹拌モードに送風モードが加えられている。
図24(b)は、第1撹拌モード、第2撹拌モード、第3撹拌モードでの実行される送風のパターン、即ち、第1撹拌工程、第2撹拌工程、第3撹拌工程での送風モードにおける送風のパターンを示したものである。図24(b)に示すように、例えば、パターン1では、全ての撹拌工程の撹拌時に送風を実施し、パターン2では、第1撹拌工程及び第2撹拌工程の撹拌時に送風を実施し、パターン3では、第1撹拌工程の撹拌時に送風を実施する。なお、図24(b)に示したパターンは、操作パネル20によって選択できるようにしてもよいし、予め所定のパターンを予め制御装置9に記憶させていてもよい。
撹拌時に行う送風装置8による送風は、ご飯から出る湯気(蒸気)を空気によって混合ドラム3内から当該混合ドラム3外へと案内するために行うもので、その風量は、冷却工程で冷却空気の風量よりも低く設定されている。言い換えれば、撹拌時に行う送風は、蒸気を外部へ排出する程度であって、微風とされている。
このように、撹拌制御部184によって撹拌時に送風装置8(送風機10)を作動させると、図13の矢印W1で示すように、混合ドラム3内に空気が導入され、導入された空気(導入空気)W1は、ご飯から出る湯気W2を左側のサイドフレーム5Lの排気穴29に向けて押し出し、湯気W2は導入空気W1と共に排気穴29を介して排気室35に入り、この排気室35から排気口36を介して外部に排気される。そのため、ご飯のシャリ切り時におけるご飯の余分な水分、即ち、湯気を飛ばすことができ、酢の香りを保つことができる。しかも、混合ドラム3の内壁に蒸気(水滴)が付着することを抑制することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述した実施形態では、撹拌時に混合ドラム3内に微風を送ることにより当該混合ドラム3への水滴付着を抑制していたが、撹拌時を行わないとき、例えば、むらし工程時に微風を混合ドラム3に導入してもよい。また、上述した酢合わせ機は、むらし工程を行うこととなっているが、むらし工程は無くても良い。
また、上述した実施形態では、液体食材を「酢」とし、粒状食材を「ご飯」として酢合わせ機について説明したが、これに限定されず、液体食材は「酢」以外のものであってもよいし、粒状食材は「ご飯」以外のものであってもよい。