JP2015052206A - あと施工アンカー工法 - Google Patents

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【課題】構造物におけるアンカー筋が取り付けられた部分の温度環境や、構造物における穿孔部分の強度に影響されることなく、良好なアンカー筋の引き抜き強度を得ることができるあと施工アンカー工法を提供する。【解決手段】構造物にアンカー筋4を取り付けるためのあと施工アンカー工法であって、構造物に形成された穿孔2の内面にプライマーが塗布されて構造物にプライマーが含浸される含浸工程と、穿孔2の内面とアンカー筋との間に無機系充填材3が充填される充填工程と、穿孔内にアンカー筋4が挿入されるアンカー筋挿入工程と、穿孔2の内面とアンカー筋との間で無機系充填材3を硬化させる硬化工程とを備えており、含浸工程におけるプライマーの塗布量は、200g/m2以上2000g/m2以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、既存の構造物に形成された穿孔にアンカー筋を取り付けるあと施工アンカー工法に関する。
例えば、既存のコンクリート構造物に他の部材を連結する場合、コンクリート構造物に鉄筋やボルト等のアンカー筋を取り付け、該アンカー筋と他の部材とを連結することで、コンクリート構造物と他の部材とをアンカー筋を介して連結する方法が採用されている。
既存の構造物にアンカー筋を取り付ける方法(あと施工アンカー工法)としては、構造物に形成された穿孔内に挿入されたアンカー筋と穿孔の内面との間に充填材が充填されて硬化することで、構造物にアンカー筋が取り付けられる方法が知られている。
具体例としては、充填材が入った樹脂製等のカプセルを穿孔内に配置し、アンカー筋を穿孔内に挿入してカプセルを破壊することで、カプセル内から充填材を流出させてアンカー筋と穿孔の内面との間に充填材を充填させる。そして、アンカー筋と穿孔の内面との間で充填材を硬化させることで、構造物にアンカー筋を取り付ける方法が知られている(特許文献1参照)。
他の方法としては、上記のように充填材が入ったカプセルを用いて充填材を充填させると共に、穿孔内でアンカー筋の先端部を拡開させて穿孔の内面に当接させる。これにより、充填材の硬化に加え、アンカー筋の先端部と穿孔の内面との摩擦によって、より強固に構造物にアンカー筋を取り付ける方法が知られている(特許文献2〜4参照)。
更に他の方法としては、穿孔の断面形状が構造物の表面側よりも穿孔の底側の方が広くなるように穿孔を形成し、硬化した充填材と穿孔とがアンカー筋の引き抜き方向に係合するように構成することで、より強固に構造物にアンカー筋を取り付ける方法が知られている(特許文献5および6参照)。
特開平7−166608号公報 特開昭61−122353号公報 特公平6−78502号公報 特開2010−19069号公報 特開2000−80661号公報 特開平10−245852号公報
しかしながら、上記のようなアンカー筋の取り付け方法では、充填材として、有機系充填材(例えば、エポキシ樹脂等から構成されるもの)が使用される場合、構造物におけるアンカー筋を取り付ける部分の温度環境によっては(具体的には、比較的高温の環境では)、硬化した充填材が軟化して引き抜き強度(穿孔内からアンカー筋を引き抜く際の強度)が低下する虞がある。
また、構造物における穿孔を形成する部分(以下、穿孔部分とも記す)の強度が比較的低い場合、穿孔部分が崩壊することによって、硬化した充填材と穿孔部分との付着強度が低下するため、引き抜き強度が低下する虞がある。
そこで、本発明は、構造物におけるアンカー筋が取り付けられた部分の温度環境や、構造物における穿孔部分の強度に影響されることなく、良好なアンカー筋の引き抜き強度を得ることができるあと施工アンカー工法を提供することを課題とする。
本発明に係るあと施工アンカー工法は、構造物にアンカー筋を取り付けるためのあと施工アンカー工法であって、構造物に形成された穿孔の内面にプライマーが塗布されて構造物にプライマーが含浸される含浸工程と、穿孔の内面とアンカー筋との間に無機系充填材が充填される充填工程と、穿孔内にアンカー筋が挿入されるアンカー筋挿入工程と、穿孔の内面とアンカー筋との間で無機系充填材を硬化させる硬化工程とを備えており、含浸工程におけるプライマーの塗布量は、200g/m2以上2000g/m2以下であることを特徴とする。
斯かる構成によれば、含浸工程を備えることで、構造物における穿孔を形成する部分(以下、穿孔部分とも記す)にプライマーが含浸されるため、プライマーの硬化によって穿孔部分の強度が向上する(穿孔部分が補強される)。このため、構造物における穿孔部分の強度が比較的低い場合であっても、アンカー筋を引き抜く方向に加わる力によって、穿孔部分が崩壊するのを防止することができる。これにより、硬化した無機系充填材と穿孔部分との付着力が向上し、良好な引き抜き強度を得ることができる。なお、引き抜き強度とは、アンカー筋を穿孔内から引き抜く際の最大強度をいう。
また、穿孔の内面とアンカー筋との間に無機系充填材が充填されて硬化することで、有機系の充填材が充填されて硬化した場合よりも、様々な温度環境において良好な引き抜き強度を得ることができる。具体的には、硬化した有機系の充填材は、比較的高温の環境では、比較的低温の環境よりも軟化する。このため、比較的高温の環境では、硬化した有機系充填材と穿孔部分との間の付着強度が比較的低温の環境よりも低下する。一方、硬化した無機系充填材は、比較的高温の環境においても軟化しないため、穿孔部分との間の付着強度が比較的高温の環境においても低下しない。このため、無機系充填材を穿孔の内面とアンカー筋との間に充填して硬化させることで、比較的高温の環境であっても良好な引き抜き強度を得ることができる。
前記穿孔の孔径は、アンカー筋の直径に対して1.4倍以上であることが好ましい。
斯かる構成によれば、穿孔の孔径が上記のように設定されることで、含浸工程においてプライマーが含浸される領域を広く確保することができるため、硬化した無機系充填材と穿孔部分との付着強度をより向上させることができる。これにより、より良好な引き抜き強度を得ることができる。
前記プライマーは、エポキシ系樹脂から構成されることが好ましい。
以上のように、本発明によれば、構造物におけるアンカー筋が取り付けられた部分の温度環境や、構造物における穿孔部分の強度に影響されることなく、良好なアンカー筋の引き抜き強度を得ることができる。
(a)は、既存の構造物に穿孔が形成された状態を示した断面、(b)は、穿孔の内面にプライマーが塗布されて、プライマーが構造物に含浸された状態を示す断面図および一部拡大図。 (a)は、穿孔内に無機系充填材が注入された状態を示す断面図、(b)は、穿孔内にアンカー筋が挿入された状態を示す断面図。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明に係るあと施工アンカー工法は、既存の構造物(具体的には、コンクリート構造物等)にアンカー筋(鉄筋やアンカーボルト等)を取り付けるものである。
具体的には、本発明に係るあと施工アンカー工法では、まず始めに、図1(a)に示すように、構造物1に穿孔2を形成する(穿孔形成工程)。構造物1としては、比較的強度の低いものが挙げられる。具体的には、構造物1がコンクリート構造物である場合には、例えば、圧縮強度が13.5N/mm2以上18.0N/mm2以下であるものが挙げられる。穿孔2の深さ(即ち、定着長)L1および直径L2としては、特に限定されるものではないが、直径L2がアンカー筋の直径Dの1.4倍以上であることが好ましく、1.4倍以上2.5倍以下であることがより好ましい。また、穿孔2の内面には、凹凸が形成されることが好ましい。凹凸としては、例えば、構造物を構成するコンクリートの骨材等に由来する微細なものや、意図的に溝を形成することで形成されるものであってもよい。
次に、図1(b)に示すように、穿孔2の内面にプライマーを塗布して構造物1(具体的には、構造物1における穿孔2を形成する部分)にプライマーを含浸させる(含浸工程)。プライマーの塗布量は、200g/m2以上2000g/m2以下であるが、400g/m2以上1600g/m2以下であることが好ましい。構造物1におけるプライマーが含浸された部分2aの厚み(プライマーが浸透した距離)L3としては、特に限定されるものではないが、例えば、0.15mm以上2.0mm以下であることが好ましい。
プライマーの成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系、スチレンブタジエン系、ケイ酸塩系等が挙げられる。また、プライマーの粘度としては、プライマーが穿孔2の内面に塗布された際に、構造物1に含浸可能であれば、特に限定されるものではないが、例えば、200mPa・s以上6000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以上5000mPa・s以下であることがより好ましい。
次に、図2(a)に示すように、穿孔2内に、無機系充填材3を供給する。無機系充填材3の供給量としては、特に限定されるものではないが、穿孔2内に後述するアンカー筋4が挿入された際に、穿孔2の内面とアンカー筋4との間が無機系充填材で略全体的に満たされる程度の供給量であることが好ましい。無機系充填材としては、特に限定されるものではなく、従来のあと施工アンカー工法において使用されている無機系充填材を用いることができる。具体的には、無機系充填材としては、水硬性材料と水との混練物を用いることができる。
水硬性材料としては、水と接触して硬化するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ポルトランドセメント、珪酸カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムフルオロアルミネート、カルシウムサルフォアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、リン酸カルシウム、半水又は無水石膏及び自硬性を有する生石灰の粉体からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体を用いることができる。
また、無機系充填材には、水硬性材料以外に、種々の成分が含有されてもよい。例えば、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、珪砂粉末、粘土粉末及びシリカフューム粉末からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体が含有されてもよい。また、膨張材、増粘剤、減水剤、凝結遅延剤、反応促進剤等が含有されてもよい。また、水硬性材料と混練される水には、必要に応じて、ポリマーや、凝結遅延剤等が含有されてもよい。
次に、図2(b)に示すように、穿孔2内にアンカー筋4が挿入される(アンカー筋挿入工程)。これにより、アンカー筋4と穿孔2の内面との間に無機系充填材3が充填される(充填工程)。そして、アンカー筋4と穿孔2の内面との間で無機系充填材3を硬化させることで(硬化工程)、構造物1にアンカー筋4が取り付けられる。
以上のように、本発明に係るあと施工アンカー工法によれば、構造物におけるアンカー筋が取り付けられた部分の温度環境や、構造物における穿孔部分の強度に影響されることなく、良好なアンカー筋の引き抜き強度を得ることができる。
即ち、含浸工程を備えることで、構造物における穿孔2を形成する部分(以下、穿孔部分とも記す)にプライマーが含浸されるため、プライマーの硬化によって穿孔部分の強度が向上する(穿孔部分が補強される)。このため、構造物1における穿孔部分の強度が比較的低い場合であっても、アンカー筋4を引き抜く方向に加わる力によって、穿孔部分が崩壊するのを防止することができる。これにより、硬化した無機系充填材3と穿孔部分との付着力が向上し、良好な引き抜き強度を得ることができる。
また、穿孔2の内面とアンカー筋4との間に無機系充填材3が充填されて硬化することで、有機系の充填材が充填されて硬化した場合よりも、様々な温度環境において良好な引き抜き強度を得ることができる。具体的には、硬化した有機系の充填材は、比較的高温の環境では、比較的低温の環境よりも軟化する。このため、比較的高温の環境では、硬化した有機系充填材と穿孔部分との間の付着強度が比較的低温の環境よりも低下する。一方、硬化した無機系充填材3は、比較的高温の環境においても軟化しないため、穿孔部分との間の付着強度が比較的高温の環境においても低下しない。このため、無機系充填材3を穿孔2の内面とアンカー筋4との間に充填して硬化させることで、比較的高温の環境であっても良好な引き抜き強度を得ることができる。
また、穿孔2の孔径L2が上記のように設定されることで、含浸工程においてプライマーが含浸される領域を広く確保することができるため、硬化した無機系充填材3と穿孔部分との付着強度をより向上させることができる。これにより、より良好な引き抜き強度を得ることができる。
なお、本発明に係るあと施工アンカー工法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
例えば、上記実施形態では、無機系充填材3が穿孔2内に供給されてからアンカー筋4が穿孔2内に挿入されるが、穿孔2内にアンカー筋4を挿入してから、アンカー筋4と穿孔2の内面との間に無機系充填材3が注入されてもよい。
また、無機系充填材3が収容されたカプセルを穿孔2内に配置し、アンカー筋4を穿孔2内に挿入して該カプセルを破壊することで、アンカー筋挿入工程と充填工程とが同時に行われるように構成されてもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
1.使用材料
(1)アンカー筋:SNB7 先端寸切り
(2)プライマーNo.1(エポキシ系):ADOX1380W(日本アドックス社製)
(3)プライマーNo.2(エポキシ系):E200(コニシ社製)
(4)プライマーNo.3(エポキシ系):EP−150(日本シーカ社製)
(5)プライマーNo.4(アクリル系):ライオンボンドA(住友大阪セメント社製)の3倍液
(6)無機系充填材:セメフォースアンカー(住友大阪セメント社製)
(7)有機系(エポキシ系)充填材:HIT RE−500(HILTI社製)
(8)セメント(住友大阪セメント社製 普通ポルトランドセメント)
(9)細骨材a(茨城県神栖市産 砂)、細骨材b(栃木県佐野市産 砕砂)
(10)粗骨材c(茨城県笠間市産 砕石)、粗骨材d(栃木県佐野市産 石灰砕石)
2.試験体の作成
<実施例1>
・上記の使用材料を用いて、下記表1〜3に示す各配合で、圧縮強度の異なるコンクリート構造物(内径がφ216mm×180mmの鋼管内に打設されて28日経過したもの)を作製した。なお、圧縮強度は、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠して測定した。
・得られたコンクリート構造物の中央部に下記表4に記載の条件で穿孔を形成した。
・次に、穿孔の内面に下記表4に記載の条件でプライマーを塗布した。
・穿孔の内面に塗布されたプライマーが硬化する前に、穿孔内に充填材を注入した。
・そして、穿孔内に充填材を注入した直後に、埋め込み深さが下記表4に記載の定着長L1となるようにアンカー筋を穿孔内に挿入して7日間養生し、充填材を硬化させることで、試験体を作製した。なお、試験体は、二つ作製した。
3.試験方法
・一方の試験体を20℃の恒温槽に、他方の試験体を60℃の恒温槽に、それぞれ18時間配置した。
・そして、各温度環境においてアンカー筋を穿孔内から引き抜く際の最大荷重(引き抜き強度)Aを測定した。測定結果については、下記表5に示す。
・最大荷重(引き抜き強度)Aと付着面積Bから付着強度Cを算出した。付着強度Cについては、下記表5に示す。なお、付着面積Bおよび付着強度Cは、下記式(1)および(2)により算出した。

・付着面積B=アンカー筋の直径D×π×定着長(埋め込み深さ)L…(1)

・付着強度C=最大荷重A/付着面積B…(2)
<実施例2〜9、比較例1〜4>
穿孔、プライマー、充填材に関連する条件を下記表4に記載の条件としたこと以外は、実施例1と同一条件で試験体を作製し、同一条件で試験を行った。最大荷重(引き抜き強度)Aおよび付着強度Cについては、下記表5に示す。
Figure 2015052206
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Figure 2015052206
<まとめ>
引き抜き強度Aおよび付着強度Cについて、比較例1と、実施例2,5,7とを比較すると、実施例2,5,7の方が各温度環境において高い値を示すことが認められる。つまり、本願発明の範囲の塗布量でプライマーを穿孔内に塗布してコンクリートに含浸させることで、プライマーを塗布しない場合よりも、引き抜き強度Aおよび付着強度Cを向上させることができる。
また、比較例2と、実施例2,5,7とを比較すると、20℃の環境においては、比較例2の方が高い値を示すが、60℃の環境においては、実施例2,5,7の方が高い値を示すことが認められる。つまり、本願発明の範囲の塗布量でプライマーを穿孔内に塗布してコンクリートに含浸させることで、プライマーの塗布量が本願発明の範囲を超える場合よりも、比較例高温の環境においても高い引き抜き強度Aおよび付着強度Cを得ることができる。
比較例3と、実施例2,7とを比較すると、20℃の環境においては、比較例3の方が高い値を示すが、60℃の環境においては、実施例2,7の方が高い値を示すことが認められる。つまり、充填材として、無機系充填材を使用することで、有機系充填材を使用する場合よりも、比較例高温の環境においても高い引き抜き強度Aおよび付着強度Cを得ることができる。
比較例4と、実施例2,6,7とを比較すると、実施例2,6,7の方が各温度環境において高い値を示すことが認められる。これは、比較例4のようにプライマーの粘度が高い場合、プライマーを穿孔の内面に塗布しても、プライマーがコンクリートに含浸されないため、コンクリートの穿孔を形成する部分をプライマーによって補強することができない。一方、実施例2,6,7のような粘度のプライマーを用いることで、プライマーがコンクリートに含浸されるため、コンクリートの穿孔を形成する部分をプライマーによって補強することができる。つまり、本願発明のように、プライマーを穿孔内に塗布して含浸させることで、温度環境に影響されることなく、良好な引き抜き強度Aおよび付着強度Cを得ることができる。
実施例1〜4を比較すると、穿孔径が大きい方が引き抜き強度Aおよび付着強度Cが高い値を示すことが認められる。これは、穿孔径が大きくなることによって、プライマーによって補強された部分の面積が大きくなるため、補強された部分と硬化した無機系充填材との付着面積が大きくなるからである。特に、穿孔径がアンカー筋の直径の1,4倍以上であることで、より高い引き抜き強度Aおよび付着強度Cを得ることができる。
また、実施例2と実施例7とを比較すると、実施例2の方が各温度環境において高い値を示すことが認められる。つまり、エポキシ系のプライマーを使用することで、アクリル系のプライマーを使用する場合よりも、より高い引き抜き強度Aおよび付着強度Cを得ることができる。
実施例2,8,9を見ると、圧縮強度が高い方が引き抜き強度が高くなることが認められる。また、実施例8,9と比較例1とを比較すると、実施例8,9の方が圧縮強度が低いにもかかわらず、引き抜き強度Aおよび付着強度Cが比較例1と同等以上になることが認められる。更に、実施例8,9と比較例5,6とを比較すると、実施例8,9の方が引き抜き強度Aおよび付着強度Cが高いことが認められる。つまり、圧縮強度の比較的低いコンクリート構造物であっても、本願発明のようにプライマーを所定量塗布することで、良好な引き抜き強度Aおよび付着強度Cを得ることができる。
1…構造物、2…穿孔、3…無機系充填材、4…アンカー筋

Claims (3)

  1. 構造物にアンカー筋を取り付けるためのあと施工アンカー工法であって、
    構造物に形成された穿孔の内面にプライマーが塗布されて構造物にプライマーが含浸される含浸工程と、穿孔の内面とアンカー筋との間に無機系充填材が充填される充填工程と、穿孔内にアンカー筋が挿入されるアンカー筋挿入工程と、穿孔の内面とアンカー筋との間で無機系充填材を硬化させる硬化工程とを備えており、含浸工程におけるプライマーの塗布量は、200g/m2以上2000g/m2以下であることを特徴とするあと施工アンカー工法。
  2. 前記穿孔の孔径は、アンカー筋の直径に対して1.4倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のアンカー筋の取り付け方法。
  3. 前記プライマーは、エポキシ系樹脂から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンカー筋の取り付け方法。
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