JP2015051921A - コーディエライト質焼結体 - Google Patents

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Abstract

【課題】発明は低熱膨張性、寸法の経時安定性、及び高剛性(高弾性率)をもったコーディエライト質焼結体の精密研磨特性を大幅に向上させること。
【解決手段】コーディエライトを主成分とし、X線回折法においてコーディエライト以外のピークの高さがコーディエライトの最大ピーク高さに対して3%以下であり、La又はCeを酸化物換算で1〜8質量%含むコーディエライト質焼結体焼結体である。その主成分の質量比は、3.85≦SiO/MgO≦4.60、2.50≦Al/MgO≦ 2.70の範囲であり、その精密研磨面の平均表面粗さ(Ra)は1nm以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、超精密ミラーあるいは超精密ミラー用基材として好適に使用されるコーディエライト質焼結体に関する。
近来、半導体の高集積化や非球面レンズの高精密化等により、これら半導体や非球面レンズモールドの製造装置や測定装置には、高い形状寸法精度や形状寸法精度の経時的な安定性が求められてきている。
これらの超精密な装置には、レーザーや極紫外線反射用の基準ミラーや位置決め用ミラーとして精密なミラーが必要であり、これらには超精密性と経時的な形状安定性が同時に必要とされるようになってきている。
このようなミラーに使用される従来材料としてゼロ膨張ガラスが知られている。このゼロ膨張ガラスは平均表面粗さ(Ra)1nm以下という、非常に滑らかな面に研磨仕上げすることができる。しかし、ゼロ膨張ガラスは弾性率(ヤング率)が50〜90GPaと低く、自重変形や加速度を受けた際の変形が問題となってしまう。また、非特許文献1に示されているように、ゼロ膨張ガラスの材料は非常に大きな経時変化を示すことが知られており、形状の経時的な安定性にも問題がある。
一方、本発明が対象とするコーディエライトを主成分とするコーディエライト質焼結体としては、特許文献1及び特許文献2に希土類元素の酸化物を0.3〜8質量%または0.01〜10質量%含有せしめてなる緻密質コーディエライト低膨張焼結体が開示されている。しかし、これらの焼結体は気孔率を数%も含む焼結体であり、とうていミラー用基材として使用できるものではなく、またその熱膨張係数も十分に小さくはなっていない。
特許文献3には、ステージ位置測定用ミラーとして使用できるコーディエライトを80質量%以上含有する低熱膨張黒色セラミックスが開示されており、その最大ボイド径は5μm以下であることが好ましいとされている。実際、実施例では数μmの最大ボイド径が測定されている。しかし、このように大きなボイドがあってはRa1nm以下というような、非常に滑らかな研磨仕上げ面を得ることはできない。また、特許文献3では同時に1〜10質量%添加しているYやYb等の希土類酸化物をシリケート(RE・SiO/ REは希土類元素)又はダイシリケート(RE・2SiO)の結晶相として析出させるようにしており、このようにコーディエライトとそれ以外の結晶相が混合した焼結体では、結晶の硬さや化学的な安定性の違いにより精密研磨のミクロな研磨速度に違いが発生してミクロな凹凸が発生してしまい、Ra1nm以下というような滑らかな仕上げ面を得ることは難しい。
特許文献4には同様に、ステージ位置測定用ミラーとして使用できるコーディエライトを80質量%以上含有する緻密質低熱膨張セラミックスが開示されている。この特許文献4においては同時に1〜20質量%添加しているYやYb等の希土類酸化物がシリケートやダイシリケート結晶となっているかどうかについては記載されていないが、最大ボイド径は5μm以下としており、また実施例においても最小で0.7μmのボイド径が観察されている。このようにボイドが発生するのは、コーディエライトの主成分であるSiO、MgO及びAlの比を十分に調整できていないためである。このようなボイドがあるとRa1nm以下というような、非常に滑らかな研磨仕上げ面を得ることはできない。
特許文献5〜7には低熱膨張セラミックスよりなる、位置測定用ミラーや天体望遠鏡用ミラーが開示されている。これらの文献による低熱膨張セラミックスは、リチウムアルミノシリケート、リン酸ジルコニュウム、コーディエライトから選ばれる1種以上の第1の材料と、炭化珪素、窒化珪素、サイアロン、アルミナ、ジルコニア、ムライト、ジルコン、窒化アルミニュウム、ケイ酸カルシュウム、BCから選ばれる1種以上の第2材料とが複合してなる複合材料で構成されていることを特徴としており、その平均表面粗さ(Ra)は10nm以下であるとされている。
これらの文献においては、とくにβ−ユークリプタイトと炭化珪素の複合材料が良いとされている。しかし、これらの文献のように硬度の大きく異なる2つ以上の材質を混合した複合材料では、精密研磨のミクロな研磨速度に違いが発生してミクロな凹凸が発生してしまい、平均表面粗さ(Ra)1nm以下というような滑らかな仕上げ面を得ることは難しい。実際、これらの文献ではRaは6〜10nmと非常に粗い研磨面しか得ることができていない。
さらに、このように熱膨張係数の大きく異なる2つの結晶粒子を混合した多結晶体では、材料の焼結中に発生する粒子間の熱膨張差に起因する残留応力が焼結体中に残存してしまうため、経時的な形状変化が発生しやすく、とくに数十℃の温度サイクルを受けた際に大きな形状変化が発生してしまうという問題がある。
特公昭58−15461号公報 特開昭57−38371号公報 特開平11−343168号公報 特開平11−209171号公報 特許3946132号公報 特開2005−234338号公報 特許4460325号公報
Meteologia 21,49−57(1985)
以上述べたように、低熱膨張性、寸法の経時安定性、及び高剛性(高弾性率)と、平均表面粗さ(Ra)1nm以下に精密研磨仕上げ可能な精密研磨性を併せもった材料がこれまでなかったために、これらの性能を併せもった超精密ミラーも製造することができなかった。
これらの事情を鑑み、本発明は低熱膨張性、寸法の経時安定性、及び高剛性(高弾性率)をもったコーディエライト質焼結体の精密研磨特性を大幅に向上させることを課題とする。
発明者らは鋭意検討した結果、特定の成分及び成分比により得られたコーディエライト質焼結体により、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、コーディエライトを主成分とし、その他の結晶相を含まず(X線回折法においてコーディエライト以外のピークの高さがコーディエライトの最大ピーク高さに対して3%以下である状態をいう。)、La又はCeを酸化物換算で1〜8質量%含むコーディエライト質焼結体であって、その主成分の質量比が、3.85≦SiO/MgO≦4.60、2.50≦Al/MgO≦2.70の範囲であり、その精密研磨面の平均表面粗さ(Ra)が1nm以下であることを特徴とするものである。
このように本発明のコーディエライト質焼結体焼結体では、結晶相がコーディエライト単相であるため、異なる結晶粒子間の研磨特性の違いによる凹凸を回避することができる。 コーディエライト以外の余剰成分はアモルファス相として、通常、コーディエライト粒子の粒界に沿って膜状に存在する。しかし、そのアモルファス相の量があまり多いと島状に残ってしまい、精密研磨時に凹部をつくりやすくなるので好ましくない。
このため、La又はCeの量は酸化物換算で1〜8質量%とする。また、コーディエライト結晶の量は全体の85質量%以上であることが好ましい。
さらに、コーディエライトの主成分であるSiO、MgO及びAlの質量比は前記のように限定することにより所望の性能が発揮される。
焼結体中のアモルファス相のメカノケミカル研磨レートがコーディエライトと大きく異なると、精密研磨時に凹凸が発生しやすくなるため、このアモルファス相の化学的耐食性はコーディエライト結晶と同等に高いことが必要となる。La,Ce,Sm,Gd,Dy,Er,Yb,Yの化合物を焼結助剤として使用することにより、コーディエライト結晶に近い化学的耐食性のアモルファス相が生成されやすくなる。とくに、La,Ceの酸化物の使用が精密研磨性に対しては好ましい。
本発明により、低熱膨張・高剛性(高弾性率)で寸法の経時安定性をもったコーディエライト質焼結体の精密研磨特性を大幅に向上させることが可能となる。これにより、超精密ミラー面の平均表面粗さを1nm以下という、非常に滑らかな面とすることが可能となる。
本発明例である表1の試料No16の表面粗さの測定結果を示す。 比較例である表1の試料No23の表面粗さの測定結果を示す。 接合ボックス型ミラーを構成するリブ体の外観を示す。 接合ボックス型ミラーを構成する蓋の外観を示す。 本発明により得られた接合ボックス型ミラーの外観を示す。 表1の試料No28の組成配合による接合ボックス型ミラーの平面度鳥瞰図を示す。
本発明において、コーディエライトの結晶相とは、純粋な六方晶系コーディエライト結晶に加え、X線回折により六方晶系コーディエライト結晶の回折ピークを持つが、他元素の固溶により格子定数が変化した結晶相も含む結晶相を意味する。また、その他の結晶相を含まないとは、焼結体の粉末X線回折の通常測定条件において、コーディエライト結晶以外の回折ピークが確認できないことをいうが、X線回折法ではノイズやアモルファス相による回折線などによりベースラインの多少の凹凸は避けられない。従って、本発明でいう「その他の結晶相を含まない」とはコーディエライト以外のピークの高さがコーディエライトの最大ピーク高さに対して3%以下であるような状態をいう。
La又はCeは非晶質として、コーディエライト質結晶粒子の粒界に存在するか、コーディエライト質結晶に僅かに固溶される。La又はCeの量が酸化物換算で1質量%未満の場合、焼結性が著しく低下して、密度が上がらずボイドが多数発生してしまうので好ましくない。一方、その量が8質量%を超える場合、La又はCeのシリケートやダイシリケートの結晶が発生しやすくなるので好ましくない。また、これらの結晶が発生しない場合でも、これらの元素を含むアモルファス相の増加により熱膨張係数が大きくなったり、精密研磨時の凹凸ができやすくなるので好ましくない。これらの量は酸化物換算で2〜6質量%がより好ましい。
SiOとMgOの質量比は、3.85>SiO/MgOの場合、フォルステライトやLa,Ce,Sm,Gd,Dy,Er,Yb,Y酸化物のダイシリケートの結晶相が析出してしまい、精密研磨において凹凸が出やすくなるので好ましくない。一方、SiO/MgO>4.60の場合、弾性率が130MPa未満と小さくなってしまう。また、クリストバライトの結晶相が生成しやすくなるので精密研磨の観点においても好ましくない。好ましい範囲は4.00≦SiO/MgO≦4.40で、より好ましくは4.00≦SiO/MgO≦4.20である。
AlとMgOの質量比は、Al/MgO>2.70の場合、Alが相対的に余剰となるため、Alの数十〜数百nmの微小結晶粒がコーディエライト結晶中や粒界に取り込まれる。ナノオーダーのAl微小結晶粒を取り込んだコーディエライト粒子は精密研磨性が悪くなり、精密研磨の際に数μm径で研磨残りを発生させるため、平均表面粗さが1nmより大きくなってしまうので好ましくない。また、Alがさらに余剰になるとムライト結晶が生成される。ムライト結晶の生成も精密研磨において凹凸が出やすくなるので好ましくない。
Al/MgO<2.50の場合、平均表面粗さはそれほど悪化しないが、数十μm径から数百μm径のマクロな大きさで、数百nm深さの凹が発生してしまうので、好ましくない。この現象はAlの元素量の減少により、マクロにAlの少ない領域が発生してしまい、この部分が化学的または機械的に研磨されやすい物質になってしまうためと考えられる。また、極端に上記質量比が小さい場合にはコーディエライト以外のLa又はCe酸化物のダイシリケートやフォルステライト・クリストバライト等が発生してしまうので精密研磨的にも、熱膨張的にも好ましくない。好ましい範囲は2.55≦Al/MgO≦2.70で、より好ましくは2.55≦Al/MgO≦2.65である。
本発明の原料粉末としては、MgO源としてはマグネシア、タルク、電融コーディエライト、合成コーディエライト、水酸化マグネシウム、炭酸マクネシウム、マグネシアスピネル等が使用できる。大型形状や複雑形状品の焼結性の面から電融コーディエライト、合成コーディエライト粉末等が原料粉末としては最適である。Al、SiO源としては、上記のタルク、電融コーディエライト、合成コーディエライトの他に、微粒アルミナ粉末、結晶質シリカ粉末、非晶質シリカ粉末等が好適に使用できる。La又はCe源としては酸化物、水酸化物、炭酸化物の粉末が原料粉末として最適である。粉末の平均粒径は、その分散性の観点から0.1〜5μmの微細粒径が好ましい。
焼結方法としてはホットプレス法、HIP法、ガス圧焼結法、常圧焼結法が適用できるが、精密研磨時の平均表面粗さを小さくするためには、焼結体中の気孔をできる限り少なくする必要があり、このため最終熱処理においてはHIP法・ガス圧焼結法等の加圧ガス雰囲気での熱処理が必要となる。
焼結体の弾性率(ヤング率)については、自重変形や加速度による変形を小さくするために130GPa以上あることが好ましい。
熱膨張係数はミラーの熱変形を考慮すれば、できる限り小さいことが望ましく室温(20℃から25℃)において、0.2×10−6/K以下であることが好ましく。0.05×10−6/K以下であることがより好ましい。なお、熱膨張係数の測定は熱膨張が非常に小さいため、JIS R3251(低熱膨張ガラスのレーザー干渉法による線熱膨張係数測定方法)に従って測定する。
形状寸法の経時安定性は非常に重要な要素で、1年間に換算した長さ寸法経時変化が、100mm長さ換算で10nm以下であることが好ましい。5nm以下であることがより好ましい。これらの経時安定性の測定も非常に僅かな寸法変化を測定しなくてはならないので、精密な測定方法が必要であり、ブロックゲージ形状の長尺サンプルを使用したレーザー干渉法等で測定する。
本発明のコーディエライト質焼結体は、超精密ミラーとして好適に使用できる。この場合、ミラー形状としては、中実の平板形状・角柱形状の他に、リブ形状やリブ形状に蓋を接合したボックス形状が適用できる。また、本発明によるコーディエライト質焼結体はネジや複雑形状の加工も可能なため、ミラーと微動機構を組み込んだミラーホルダーを一体化したミラーシステムを製造することもできる。ミラー面としては平面、球面、非球面の形状に適用できる。
また、加速度が大きいステージで使用するミラーや、宇宙空間で使用されるミラーでは軽量化が必須であり、この場合、薄肉リブ構造が有効に適用できる。さらに、自重変形等の変形防止のためには、蓋を接合してボックス構造とすることが有効に作用する。このようにして作製される超軽量リブ接合型ミラーとしては、その見掛け比重が1.5g/cm以下、より好ましくは1.0g/cm以下であることが好ましい。
本発明のコーディエライト質焼結体においては、前記のようなリブ体においても、リブ形状の影響を受けずに、平面度λ/10(λは測定装置のレーザー波長で0.63μm)の平坦なミラー面を研磨仕上げすることができる。
本発明のコーディエライト質焼結体は、シリカ、セリア、ダイヤの砥粒によりラップ、ポリッシュすることで精密研磨することができる。しかし、シリカ砥粒は本発明のコーディエライト質焼結体とのメカノケミカル研磨レートが非常に高く、場所による研磨レート差が発生しやすいので注意を要する。このため、本発明のコーディエライト質焼結体の精密研磨にはセリア及びダイヤの砥粒を主に使用することが好ましい。ただし、本発明のコーディエライト質焼結体は、ダイヤだけの研磨では、研磨条痕が残りやすく、また研磨時の残留応力による変質相が残りやすいのでセリアによるメカノケミカル効果とダイヤ研磨を併用することが好ましい。このような研磨方法により、残留応力がなく、より精密な研磨面を得ることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
原料粉体としては、合成コーディエライト(平均粒径2.5μm)、マグネシア(平均粒径0.2μm)、シリカ粉末(平均粒径0.7μm)、アルミナ粉末(平均粒径0.3μm)の量を調整して所定のAl/MgO比及びSiO/MgO比を有するコーディエライトとし、焼結助剤として酸化ランタン(平均粒径1.1μm)、酸化セリウム(平均粒径0.7μm)、酸化サマリウム(平均粒径0.8μm)、酸化ガドリニウム(平均粒径1.2μm)、酸化ジスプロシウム(平均粒径2.5μm)、酸化エルビウム(平均粒径1.4μm)、酸化イッテルビウム(平均粒径1.0μm)、酸化イットリウム(平均粒径0.8μm)、スポジュメン(平均粒径2.5μm)を使用した。なお、合成コージライトはマグネシア、シリカ、アルミナ粉末を理論組成にて混合して1420℃で10時間反応してコーディエライト化した顆粒を粉砕して使用した。
これらの原料粉末は表1に示す組成になるように調合し、樹脂バインダー3質量部を外掛けで加えて、水を溶媒としてアルミナポットミル中で24時間混合した。このスラリーを乾燥造粒し、静水圧150MPaで成形した。得られた成形体を空気中500℃まで昇温して樹脂バインダーを脱脂した。そして、これらの脱脂体をアルゴン雰囲気中でガス圧180MPa、最高温度1360℃にて焼結した
得られた焼結体の室温(20〜25℃)の熱膨張係数、及び弾性率(ヤング率)を測定し、またφ100×20mm厚のサンプルにて精密研磨を実施して、その平均表面粗さ(Ra)を非接触の走査型白色干渉法にて測定した。精密研磨は、平均粒径1μmのセリアスラリーにて中仕上げした後、平均粒径0.5μmのダイアモンドスラリーにて最終仕上げを行った。
なお、室温の熱膨張係数測定は精密な測定が必要なため、低膨張ガラスの熱膨張測定の JIS−R3251(2重光路マイケルソン型レーザー干渉方式)により測定した。
なお、図1には本発明例である試料No16の表面粗さの測定結果を示し、図2には比較例である試料No23の表面粗さの測定結果を示す。
表1から明らかなように、本発明例は表面平均粗さ(Ra)が1nm以下であることが分かる。No1から24から明らかなように、Al/MgOの質量比については好ましい範囲は2.55≦Al/MgO≦2.70で、より好ましくは2.55≦Al/MgO≦2.65である。また、SiO/MgOの質量比については、好ましい範囲は4.00≦SiO/MgO≦4.40で、より好ましくは4.00≦SiO/MgO≦4.20であることが明らかである。
Al/MgO質量比またはSiO/MgOの質量比が本発明の範囲外ではコーディエライト以外の結晶相が生成し、Raを1nm以下にすることが困難となる。
No25から31より明らかなように、Laの添加量は1質量%以上8質量%以下である必要がある。より好ましくは2質量%以上6質量%以下である。1質量%未満ではクリストバライトの結晶相が生成し、また密度が十分に上がらないため精密研磨性に劣りまた弾性率も低い。一方、Laの添加量が8質量%を超えるとLa・2SiOの結晶相が生成するため同様に精密研磨性に劣る。
No32から38より明らかなように、La化合物以外にもCe,Sm,Gd,Dy,Er,Yb,Yの各種化合物を助剤として使用することが可能である。この中ではCeの化合物が特に好ましい。
表1の本発明例であるNo11、No16、No28及び比較例であるNo1、No31についてブロックゲージを作製して経時的な寸法変化を調査した。調査方法は、レーザー干渉法とし、1年間の100mmあたりの寸法変化として表した。本発明例のNo11は3nm、No16は4nm、No28は4nmと非常に小さな変化であったのに対して、比較例のNo1は24nm、No31は32nmとなり、本発明品は寸法の経時安定性に優れていることが明らかである。
表1のNo11、No16、No28の組成配合にて、実施例1と同様に成形体を作製した後、素地加工 (切削加工)にて、図3に示す形状のリブ型素地加工体を得た。また、リブによるセル位置に合わせて空気抜き穴を加工した、図4に示す形状の円板を同様に素地加工にて作製した。
これらの素地加工体を空気中500℃まで昇温して樹脂バインダーを脱脂し、1400℃にてアルゴン雰囲気にて焼成した。これらの焼成体は、接合面を研削加工後に1400℃で接合され、最後に200MPaのアルゴン中1400℃にて熱処理した。
焼成された接合ボックス型ミラーの外周を研削し、最後にミラー面を、実施例1と同様の方法にて精密研磨して仕上げた。
得られた接合ボックス型ミラーの外観を図5に示す。この接合ボックス型ミラーの仕様は、表2のとおりである。なお、図3には接合前のリブ体の外観を示し、図4には接合前の蓋(円板)の外観を示す。
得られた接合ボックス型ミラーの重量は5.2〜5.7kgであり、外寸に対する見掛け上の密度は0.82〜0.90g/cmであった。また、これらの接合ボックス型ミラーをφ332の3点支持状態にて水平に保持して、レーザー干渉型の平面度測定器にて平面度を測定した。測定された精度範囲(φ300)の平面度は36〜62nmであり、λ/10以下と非常に精密な形状仕上げができた。
図6には、表1のNo28の組成配合による接合ボックス型ミラーの平面度鳥瞰図を示す。図からわかるように、ミラーは3点の支持点を頂点として自重変形しているが、その変形量は非常に小さく、この軽量ミラーが構造体として十分な剛性を有していることが分かる。なお、このミラーの平均表面粗さ(Ra)は0.26nmであった。
本発明のコーディエライト質焼結体は、超精密ミラーあるいは超精密ミラー用基材のほか、エンコーダ用スケール基板及びゲージ類、校正用標準尺、基準スケール、オプチカルフラット、フォトマスク用標準などとしても利用可能である。

Claims (6)

  1. コーディエライトを主成分とし、X線回折法においてコーディエライト以外のピークの高さがコーディエライトの最大ピーク高さに対して3%以下であり、La又はCeを酸化物換算で1〜8質量%含むコーディエライト質焼結体であって、その主成分の質量比が、3.85≦SiO/MgO≦4.60、2.50≦Al/MgO≦2.70の範囲であり、その精密研磨面の平均表面粗さ(Ra)が1nm以下であるコーディエライト質焼結体。
  2. コーディエライトを主成分とし、X線回折法においてコーディエライト以外のピークの高さがコーディエライトの最大ピーク高さに対して3%以下であり、Laを酸化物換算で1〜8質量%含むコーディエライト質焼結体であって、その主成分の質量比が、3.85≦SiO/MgO≦4.60、2.50≦Al/MgO≦2.70の範囲であり、その精密研磨面の平均表面粗さ(Ra)が1nm以下であるコーディエライト質焼結体。
  3. 精密研磨面の平均表面粗さ(Ra)が0.5nm以下である請求項1又は2に記載のコーディエライト質焼結体。
  4. 20〜25℃における熱膨張係数の絶対値が0.2×10−6/℃以下である請求項1又は2に記載のコーディエライト質焼結体。
  5. 弾性率が130GPa以上である請求項1又は2に記載のコーディエライト質焼結体。
  6. 1年間当たりの長さ寸法経時変化が、100mm長さ換算で10nm以下である請求項1又は2に記載のコーディエライト質焼結体。
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