JP2015050224A - Iii−v族窒化物半導体、半導体発光素子、半導体発光装置、光触媒半導体素子、光触媒酸化還元反応装置および光電気化学反応実行方法 - Google Patents

Iii−v族窒化物半導体、半導体発光素子、半導体発光装置、光触媒半導体素子、光触媒酸化還元反応装置および光電気化学反応実行方法 Download PDF

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Kazuhiro Okawa
和宏 大川
林 秀樹
Hideki Hayashi
秀樹 林
健一 塩濱
Kenichi Shiohama
健一 塩濱
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Abstract

【課題】高いIn組成比を有する場合にも活性層に欠陥が生じることが抑止されるIII−V族窒化物半導体、長波長域における発光が高い発光効率で得られる半導体発光素子および半導体発光装置、可視光を受けて高い光変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる光触媒半導体素子、光触媒酸化還元反応装置および光電気化学反応実行方法を提供する。
【解決手段】III−V族窒化物半導体20は、Inを含むGaNよりなる活性層20αと、活性層に接触する状態に積層された、Bを含むGaNよりなる歪緩和層20βとを有する。半導体発光素子は、基板上にIII−V族窒化物半導体20が積層されており、活性層20αが、発光機能を有する。光触媒半導体素子は、基板上に上記のIII−V族窒化物半導体20が積層されており、活性層20αが、酸化還元反応において光触媒機能を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光する、または、光を受けて酸化還元反応の触媒作用を発現するIII −V族窒化物半導体、半導体発光素子、半導体発光装置、光触媒半導体素子、光触媒酸化還元反応装置および光電気化学反応実行方法に関する。
近年、半導体発光素子は、低電圧で発光させることができ、赤外から紫外までの広い範囲の発色を実現できる省エネルギー化を図ることのできる発光素子として注目されている。
半導体発光素子としては、例えば窒化ガリウム(GaN)などのIII −V族窒化物半導体化合物(以下、「III −V族化合物」ともいう。)を用いたものが開示されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照。)。
このようなIII −V族化合物を用いた半導体発光素子において、更なる省エネルギー化を図ることができるRYGB4色の発光素子からなる白色LEDを得る目的で、より長波長域の発光を得ることができる半導体発光素子が求められている。
長波長域の発光を得るためには、例えば半導体発光素子の発光層となるIII −V族化合物としてInGaNを用いる場合には、当該発光層におけるIn組成比が高いものが必要である。
しかしながら、In組成比を高くした発光層は、大きな格子歪みによる欠陥が生じることによって発光効率が低くなる、という問題がある。
また近年、光触媒を利用して、例えばエネルギー分野においては光照射によって水を還元して水素ガスなどのエネルギーを得たり、二酸化炭素(CO2 )を還元して一酸化炭素(CO)またはギ酸(HCOOH)などの有機物を得たり、また環境分野においては光照射によって有害物質や有機物を分解することが広く行われている。
光触媒として、III −V族化合物を用いた光触媒半導体素子は、熱などに対する耐久性、耐ガス性、耐溶剤性が高いことにより、例えば高温の動作環境の光触媒反応において好適に使用することができる。
このようなIII −V族化合物を用いた光触媒半導体素子においても、可視光を受けて高い光変換効率で酸化還元反応を生じさせることができるものが求められている。そして、可視光について高い光変換効率を得るためには、光触媒半導体素子の光吸収層において吸収することができる光の波長域を広くすることが考えられ、このためには例えば光触媒半導体素子の光吸収層となるIII −V族化合物としてInGaNを用いる場合には、当該光吸収層におけるIn組成比が高いものが必要である。
しかしながら、In組成比を高くした光吸収層は、大きな格子歪みによる欠陥が生じることによって光変換効率が低くなる、という問題がある。
特開2000−150956号公報 特開2001−210862号公報 特開2000−58980号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、高いIn組成比を有する場合にも活性層に欠陥が生じることが抑止されるIII −V族窒化物半導体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、長波長域の発光が高い発光効率で得られるIII −V族窒化物半導体を有する半導体発光素子および半導体発光装置を提供することにある。
また、本発明のさらに他の目的は、可視光を受けて高い光変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる光触媒酸化還元反応用のIII −V族窒化物半導体を有する光触媒半導体素子、光触媒酸化還元反応装置およびこの装置を用いた光電気化学反応実行方法を提供することにある。
本発明のIII −V族窒化物半導体は、Inを含むGaNよりなる活性層と、当該活性層に接触する状態に積層された、Bを含むGaNよりなる歪緩和層とを有することを特徴とする。
本発明の半導体発光素子は、基板上に上記のIII −V族窒化物半導体が積層されており、
前記活性層が、発光機能を有するものであることを特徴とする。
本発明の半導体発光素子においては、前記活性層を構成するInを含むGaNにおけるIn組成比が10〜50%であることが好ましい。
本発明の半導体発光装置は、上記の半導体発光素子を有することを特徴とする。
本発明の光触媒半導体素子は、基板上に上記のIII −V族窒化物半導体が積層されており、
前記活性層が、酸化還元反応において光触媒機能を有するものであることを特徴とする。
本発明の光触媒半導体素子においては、前記活性層を構成するInを含むGaNにおけるIn組成比が10〜50%であることが好ましい。
本発明の光触媒酸化還元反応装置は、電解液に接触した状態とされて互いに電気的に接続された一対の電極のうち一方の電極が上記の光触媒半導体素子よりなり、
当該光触媒半導体素子におけるIII −V族窒化物半導体の触媒反応面に光が照射されることにより、酸化反応または還元反応が当該触媒反応面において生じるものであることを特徴とする。
本発明の光触媒酸化還元反応装置においては、III −V族窒化物半導体における触媒反応面に光が照射されると共に一対の電極間に電圧が印加されることにより、酸化反応または還元反応が当該触媒反応面において生じることが好ましい。
本発明の光電気化学反応実行方法は、上記の光触媒半導体素子を用い、当該光触媒半導体素子のIII −V族窒化物半導体における触媒反応面に励起光を照射し、当該触媒反応面において酸化反応または還元反応を生じさせることを特徴とする。
本発明のIII −V族窒化物半導体によれば、Bを含むGaNよりなる歪緩和層が活性層に接触する状態に設けられているために、当該活性層が高いIn組成比を有することによって大きい格子定数を有する場合にも、歪緩和層が存在することによって当該活性層に欠陥が生じることが抑止される。
本発明の半導体発光素子によれば、上記のIII −V族窒化物半導体を有するために、活性層を高いIn組成比とすることによって長波長域の発光を高い発光効率で得ることができる。
また、本発明の半導体発光装置によれば、上記の半導体発光素子を有するために、III −V族窒化物半導体の活性層を高いIn組成比とすることによって長波長域の発光を高い発光効率で得ることができる。
本発明の光触媒半導体素子によれば、上記のIII −V族窒化物半導体を有するために、活性層を高いIn組成比とすることによって広い波長域の光を吸収することができるので、可視光を受けて高い光変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる。
さらに、本発明の光触媒酸化還元反応装置および光電気化学反応実行方法によれば、上記の光触媒半導体素子を有するために、III −V族窒化物半導体の活性層を高いIn組成比とすることによって可視光を受けて高い光変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる。
本発明のIII −V族窒化物半導体の構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明のIII −V族窒化物半導体を有する半導体発光素子の構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明のIII −V族窒化物半導体を有する光触媒半導体素子の構成の一例を集電用部材が設けられた状態で示す模式的断面図である。 本発明のIII −V族窒化物半導体を有する光触媒半導体素子を具える光触媒酸化還元反応装置の構成の一例を示す模式的断面図である。 実施例1のELスペクトルである。 実施例2および参考例1についての光誘起電流密度の時間依存性を示すグラフである。 実施例2および参考例1についての水素発生積算量の時間依存性を示すグラフである。
以下、本発明について具体的に説明する。
<III −V族窒化物半導体>
図1は、本発明のIII −V族窒化物半導体の構成の一例を示す模式的断面図である。
本発明のIII −V族窒化物半導体20は、Inを含むGaNよりなる活性層20αと、当該活性層20αに接触する状態に積層された、Bを含むGaNよりなる歪緩和層20βとを有する超格子構造を有することを特徴とするものである。
III −V族窒化物半導体20における活性層20αおよび歪緩和層20βは、少なくとも1層ずつが接触状態に積層されており、図1に示すように活性層20αおよび歪緩和層20βが交互に多数積層されていてもよい。
III −V族窒化物半導体20における活性層20αおよび歪緩和層20βの好ましい積層数や各々の活性層20α、歪緩和層20βの厚みは、後述するように、活性層20αの機能によっても異なる。
このようなIII −V族窒化物半導体20の活性層20αを構成するIII −V族化合物は、InGaNであって、微量のBやAlが含有されていてもよい。
活性層20αを構成するInGaNにおけるIn組成比は、例えば10〜50%であることが好ましく、特に、20〜40%であることが好ましい。In組成比が10〜50%である場合に、本発明に係る歪緩和層20βの存在による活性層20αの欠陥の発生を抑止する効果を有効に得ることができ、20〜40%である場合に、上記効果を特に有効に得ることができる。
活性層20αは、格子定数が例えば3.23〜3.37Åである。
具体的な一例を挙げると、活性層20αがIn組成比が30%であるInGaNよりなる場合に、当該活性層20αの格子定数が3.30Åである。
また、III −V族窒化物半導体20の歪緩和層20βを構成するIII −V族化合物は、BGaNであって、微量のInやAlが含有されていてもよい。
歪緩和層20βを構成するBGaNにおけるB組成比は、当該歪緩和層20βが接触される活性層20αを構成するInGaNのIn組成比や、当該活性層20αの膜厚などによっても異なるが、例えば0.5〜8%とされることが好ましく、特に、0.5〜7%とされることが好ましい。B組成比が前記範囲であれば、活性層20αの欠陥の発生を抑止する効果を有効に発揮することができる。
歪緩和層20βは、活性層20αよりも格子定数が小さく、例えば3.18〜3.14Åである。
具体的な一例を挙げると、歪緩和層20βがB組成比が3%であるBGaNよりなる場合に、当該歪緩和層20βの格子定数が3.17Åである。
III −V族窒化物半導体20の活性層20αおよび歪緩和層20βの格子定数の差は、0.05〜0.14Åであることが好ましい。
III −V族窒化物半導体20を構成するIII −V族化合物におけるIII 族原子の供給原料としては、トリメチルガリウム((CH3 3 Ga)(以下、「TMGa」ともいう。)、トリエチルガリウム((C2 5 3 Ga)などのトリアルキルガリウム類;トリメチルアルミニウム((CH3 3 Al)、トリエチルアルミニウム((C2 5 3 Al)などのトリアルキルアルミニウム類;トリメチルインジウム((CH3 3 In)、トリエチルインジウム((C2 5 3 In)などのトリアルキルインジウム類;トリエチルボロン((C2 5 3 B)、トリブチルボロン((i−C4 9 3 B)、トリメチルボロン((CH3 3 B)、トリスジメチルアミノボロン((N(CH3 2 3 B)、デカボラン(B1014)などのボロン類などが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
III −V族窒化物半導体20のV族原子の供給原料としては、アンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,2−ジメチルヒドラジン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、モノメチルアミンなどを用いることができる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの供給原料のうち、取り扱いやすさから、アンモニアを用いることが好ましい。
また、III −V族窒化物半導体20を構成するIII −V族化合物は、必要に応じて例えばIII 族原子より原子価の大きい不純物であるケイ素原子(Si)などの不純物をドープしたものとすることができる。このようにIII 族原子よりも原子価の多い不純物がドープされることにより、III −V族窒化物半導体20がn型のものとなる。このようなケイ素原子(Si)の供給原料としては、シラン(SiH4 )、ジシラン(Si2 6 )、モノメチルシラン(Si(CH3 )H3 )などを用いることができる。
一方、例えばIII 族原子より原子価の少ない不純物である例えばマグネシウム(Mg)や亜鉛(Zn)などをドープしたものとすることによって、p型のIII −V族窒化物半導体を得ることができる。このようなマグネシウム原子(Mg)の供給原料としてはシクロペンタジエニルマグネシウム((C2 5 2 Mg)などを用いることができる。
このようなIII −V族窒化物半導体20を構成するIII −V族化合物は、単結晶性が高いことが好ましい。III −V族化合物が単結晶性の高いものであることにより、III −V族窒化物半導体20が結晶欠陥密度の低減されたものとなる。
ここに、「単結晶性が高い」とは、一の単結晶粒と他の単結晶粒とを隔てる粒界の存在する程度が低いこと、および結晶中に存在する転位、析出物、点欠陥などの結晶欠陥が少ないことを示す。
III −V族窒化物半導体20の活性層20α、歪緩和層20βを形成するIII −V族化合物のIn組成比などのIII 族原子組成比、V族原子組成比は、通常の組成比の測定方法によって測定することができる。なお、多層構造を有する場合など、各層について直接測定することが難しい場合は、目的とする層を形成するIII −V族化合物と同一の化合物により別途作製した単層状のものについてそのIII 族原子組成比、V族原子組成比を測定することにより、各層の組成比の類推を行うことができる。
本明細書において各層のIII 族原子組成比、およびV族原子組成比は、X線による格子定数の測定、および、従来公知の室温におけるフォトルミネッセンス測定によって行ったものである。X線による格子定数の測定方法としては、適宜の公知の方法を挙げることができ、例えば、触媒反応面Rである(0001)面の垂直方向に対してそれぞれ入射角、反射角が同じになる(0002)面において反射角度を測定することにより、得ることができる。
以上のIII −V族窒化物半導体20によれば、InGaNよりなる活性層20αに接触する状態に、BGaNよりなる歪緩和層20βが積層されているために、当該活性層20αが高いIn組成比を有する場合にも、歪緩和層20βの存在によって当該活性層20αに欠陥が生じることが抑止される。
これは、活性層20αが高いIn組成比を有することによって比較的大きい格子定数を有する場合にも、当該活性層20αの格子定数と比較して小さい低い格子定数を有する歪緩和層20βと接触して積層されることによって、その境界において当該活性層20αの結晶格子の圧縮歪みが歪緩和層20βの引っ張り歪みによって補償され、その結果、活性層20αに加わる応力が緩和されることによると推測される。
以上のような、本発明に係る超格子構造を有するIII −V族窒化物半導体20を応用したデバイスとして、半導体発光素子および光触媒半導体素子の2つを挙げることができる。
<半導体発光素子>
本発明の半導体発光素子は、基板上に上記のIII −V族窒化物半導体20が積層されてなるものであって、活性層20αが発光機能を有する発光層であることを特徴とするものである。
図2は、本発明のIII −V族窒化物半導体を有する半導体発光素子の構成の一例を示す模式的断面図である。
本発明の半導体発光素子10は、例えばサファイア、Ga2 3 、GaN、Si、SiC、LiAlO3、LiGaO3などよりなる基板15の一面上に例えばバッファ層11を介して例えばn型のGaNからなるn型GaN層12、上記のIII −V族窒化物半導体20および例えばMgをドープしたp型のGaNからなるp型GaN層13がこの順に積層されたものである。
この半導体発光素子10においては、n型GaN層12上にn側電極17が設置されており、また、p型GaN層13上にITO電極18を介してp側電極19が設置されている。
このIII −V族窒化物半導体20の活性層(発光層)20αは、n側電極17およびp側電極19間に電圧を加えられた場合に電子と正孔とが再結合することによって発光する。
この半導体発光素子10は、例えばピーク波長が500nm〜1000nmの光を発光するものとされる。
III −V族窒化物半導体20における発光層20αを構成するInGaNにおけるIn組成比は、所望する波長域の光が得られるIn組成比とされればよく、発光層20αの積層数や各々の発光層20αの厚みによっても異なるが、例えば10〜50%であることが好ましい。また、歪緩和層20βを構成するBGaNにおけるB組成比は、発光層20αの圧縮歪みを緩和することができる格子定数となる程度であればよく、発光層20αを構成するInGaNにおけるIn組成比や、発光層20αの積層数や各々の発光層20αの厚み、歪緩和層20βの積層数や各々の歪緩和層20βの厚みによっても異なるが、例えば0.5〜8%であることが好ましい。
半導体発光素子10におけるIII −V族窒化物半導体20の総厚みは、好ましくは例えば10〜50nmとされる。
III −V族窒化物半導体20における発光層20αの厚みは、発光層20αを構成するInGaNのIn組成比や発光層20αの積層数によっても異なるが、例えば2〜5nmであることが好ましい。また、歪緩和層20βの厚みは、発光層20αを構成するInGaNのIn組成比や、発光層20αの積層数や各々の発光層20αの厚み、歪緩和層20βを構成するBGaNのB組成比によっても異なるが、例えば5〜15nmであることが好ましい。
半導体発光素子10の構成およびIII −V族窒化物半導体20の寸法等の具体的な一例を挙げると、4層のBGaNよりなる歪緩和層20βの間に発光層20αがそれぞれ介挿された構成を有し、歪緩和層20βの厚みは各々10nm、発光層20αの厚みは各々3nm、発光層20αのIn組成比は各々24%、歪緩和層20βのB組成は各々3%であり、ピーク波長が550nmの緑色光を発光するものである。
このような半導体発光素子10におけるIII −V族窒化物半導体20の活性層(発光層)20αや歪緩和層20βは、例えば有機金属気相成長法(MOVPE法)による常圧結晶成長法や減圧結晶成長法などの公知の結晶成長法を用いて得ることができる。
具体的には、基板15上に、V族原子の供給原料、III 族原子の供給原料および必要に応じてドープすべき不純物の供給原料をガス伏態において水素ガスや窒素ガスなどのキャリアガスと共に加熱下において供給することにより、当該基板15上において熱化学反応が生じてこれらの供給原料が構成元素に分解されると共に構成元素同士が互いに反応して、目的とするIII −V族化合物が基板15上に成長して形成される。
バッファ層11を構成するIII −V族化合物を成長させる際の加熱温度(以下、「成長温度」ともいう。)は、好ましくは400〜700℃、さらに好ましくは500〜600℃とされる。この成長温度が過小であると、バッファ層を構成するIII −V族化合物を成長させることが困難になることがあり、一方、この成長温度が過大であると、得られるバッファ層が、その表面上にIII −V族窒化物半導体を成長させる際に当該III −V族窒化物半導体の単結晶性を高いものとする作用を発揮することができないものとなるおそれがある。
また、n型GaN層12を構成するGaNを成長させる際の成長温度は、好ましくは900〜1300℃、さらに好ましくは950〜1150℃とされる。
また、p型GaN層13を構成するGaNを成長させる際の成長温度は、好ましくは700〜1200℃、さらに好ましくは760〜990℃とされる。
また、III −V族窒化物半導体20の活性層20αや歪緩和層20βを構成するIII −V族化合物の成長温度は、前記バッファ層11の成長温度より高く、例えばIII −V族化合物がInを含まないものである場合は、例えば900〜1300℃、好ましくは930〜1050℃とされる。III −V族化合物がInを含むものである場合はIn原子の取り込みに適した温度などの観点から、例えば700〜900℃とされる。
ここに、各成長温度は、それぞれの工程時における基板の温度である。
以上の半導体発光素子10によれば、III −V族窒化物半導体20を有するために、発光層20αを高いIn組成比とすることによって長波長域の発光を高い発光効率で得ることができる。
<半導体発光装置>
本発明の半導体発光装置は、上述のIII −V族窒化物半導体20を有する半導体発光素子10を有するものであって、当該半導体発光素子10と、この半導体発光素子10のn側電極17およびp側電極19との間に介在された電圧印加機構とによって発光部が構成されてなるものである。
以上のような本発明の半導体発光装置を用いた発光部は、例えばLEDや半導体レーザーの光源として利用することができる。
以上の半導体発光装置によれば、上記の半導体発光素子10を有するために、III −V族窒化物半導体20の発光層20αを高いIn組成比とすることによって長波長域の発光を高い発光効率で得ることができる。
<光触媒半導体素子>
本発明の光触媒半導体素子は、光触媒酸化還元反応装置に用いられるものであって、基板上に上記のIII −V族窒化物半導体20が積層されてなり、活性層が酸化還元反応において光触媒として機能する光吸収層であることを特徴とするものである。
図3は、本発明のIII −V族窒化物半導体を有する光触媒半導体素子の構成の一例を、集電用部材が設けられた状態で示す模式的断面図である。
本発明の光触媒半導体素子30は、例えばサファイア、Ga2 3 、GaN、Si、SiC、LiAlO3、LiGaO3などよりなる基板25の一面上に例えばバッファ層21を介してn型GaN層22および上記のIII −V族窒化物半導体20がこの順に積層されたものである。
なお、図3において、27は、III −V族窒化物半導体20の触媒反応面R上にチタン層27bおよび金層27aがこの順に積層されて構成される集電用部材であり、29は、はんだ28などにより集電用部材27に接着された導電ワイヤである。これらの集電用部材27などの材質は目的を達することができれば特に限定されない。
このIII −V族窒化物半導体20の光吸収層は、触媒反応面Rに励起光L(図4参照)が照射された場合に、光吸収を生じさせることのできる層であって、この光吸収により当該光吸収層内部においてはキャリアが発生され、この発生されたキャリアが触媒反応面Rに輸送されることによって当該触媒反応面Rにおいて酸化反応または還元反応が生ずる。
III −V族窒化物半導体20における光吸収層を構成するInGaNにおけるIn組成比は、所望する波長域の光を吸収することができるIn組成比とされればよく、光吸収層の積層数や各々の光吸収層の厚みによっても異なるが、例えば10〜30%であることが好ましい。また、歪緩和層を構成するBGaNにおけるB組成比は、光吸収層の圧縮歪みを緩和することができる格子定数となる程度であればよく、光吸収層を構成するInGaNにおけるIn組成比や、光吸収層の積層数や各々の光吸収層の厚み、歪緩和層の積層数や各々の歪緩和層の厚みによっても異なるが、例えば0.5〜8%であることが好ましい。
光触媒半導体素子30におけるIII −V族窒化物半導体20の総厚みは、好ましくは例えば50〜400nmとされる。III −V族窒化物半導体20の厚みが上記の範囲にあることにより、光照射によってキャリアを発生させると共にこの発生されたキャリアが確実に触媒反応面Rまで導通される。また、III −V族窒化物半導体20を構成するIII −V族化合物の導通性の大小によっては、さらに薄い層やさらに厚い層を用いても実用上問題ない。
III −V族窒化物半導体20における光吸収層の厚みは、光吸収層を構成するInGaNのIn組成比や光吸収層の積層数によっても異なるが、例えば3〜15nmであることが好ましい。また、歪緩和層の厚みは、光吸収層を構成するInGaNのIn組成比や、光吸収層の積層数や各々の光吸収層の厚み、歪緩和層を構成するBGaNのB組成比によっても異なるが、例えば2〜20nmであることが好ましい。
光触媒半導体素子30の構成およびIII −V族窒化物半導体20の寸法等の具体的な一例を挙げると、10層のBGaNよりなる歪緩和層と10層の光吸収層が交互に積層された構成を有し、歪緩和層の厚みは各々5nm、光吸収層の厚みは各々10nm、光吸収層のIn組成比は各々20%、歪緩和層のB組成比は各々6%であり、520nm以下の波長域の光を吸収するものである。
このような光触媒半導体素子30におけるIII −V族窒化物半導体20の光吸収層や歪緩和層は、例えば有機金属気相成長法(MOVPE法)による常圧結晶成長法や減圧結晶成長法などの公知の結晶成長法を用いて得ることができる。
具体的には、基板25上に、V族原子の供給原料、III 族原子の供給原料および必要に応じてドープすべき不純物の供給原料をガス伏態において水素ガスや窒素ガスなどのキャリアガスと共に加熱下において供給することにより、当該基板25上において熱化学反応が生じてこれらの供給原料が構成元素に分解されると共に構成元素同士が互いに反応して、目的とするIII −V族化合物が基板25上に成長して形成される。
バッファ層21を構成するIII −V族化合物を成長させる際の加熱温度(以下、「成長温度」ともいう。)は、好ましくは400〜700℃、さらに好ましくは500〜600℃とされる。この成長温度が過小であると、バッファ層を構成するIII −V族化合物を成長させることが困難になることがあり、一方、この成長温度が過大であると、得られるバッファ層が、その表面上にIII −V族窒化物半導体を成長させる際に当該III −V族窒化物半導体の単結晶性を高いものとする作用を発揮することができないものとなるおそれがある。
また、III −V族窒化物半導体20の光吸収層や歪緩和層を構成するIII −V族化合物の成長温度は、前記バッファ層21の成長温度より高く、例えばIII −V族化合物がInを含まないものである場合は、例えば900〜1300℃、好ましくは930〜1050℃とされる。III −V族化合物がInを含むものである場合はIn原子の取り込みに適した温度などの観点から、例えば700〜900℃とされる。
ここに、バッファ層21、n型GaN層22およびIII −V族窒化物半導体20の成長温度は、それぞれの工程時における基板の温度である。
以上の光触媒半導体素子30によれば、上記のIII −V族窒化物半導体20を有するために、光吸収層を高いIn組成比とすることによって広い波長域の光を吸収することができるので、可視光を受けて高い光変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる。
<光触媒酸化還元反応装置>
図4は、本発明の光触媒酸化還元反応装置の構成の一例を示す模式的断面図である。
本発明の光触媒酸化還元反応装置31は、電解液に接触した状態とされて互いに電気的に接続された一対の電極のうちの一方の電極が、上述のIII −V族窒化物半導体20を有する光触媒半導体素子30よりなるものである。この光触媒半導体素子30は、III −V族窒化物半導体20の触媒反応面Rのみが電解液に接触されている。
以下においては、このIII −V族窒化物半導体20の光吸収層がInGaNよりなるものとして説明する。
この光触媒酸化還元反応装置31においては、光触媒半導体素子30に対応する他方の電極が、例えば白金などの金属よりなる金属電極38によって構成されており、これにより、一方の電極である光触媒半導体素子30が、これを構成するIII −V族窒化物半導体20の触媒反応面Rにおいて酸化反応が行われる陽極とされ、他方の電極である金属電極38が、その表面において一方の電極の触媒反応面Rにおける電気化学反応に対応する反応、すなわち還元反応が行われる陰極とされる。
この光触媒酸化還元反応装置31においては、III −V族窒化物半導体20の触媒反応面Rに光が照射されることにより、光触媒半導体素子30において酸化反応が生じると共に、金属電極38において還元反応が生じる。
ここに、上述のようなIII −V族窒化物半導体20の触媒反応面Rに光を照射させることにより、光触媒半導体素子30における酸化反応および金属電極38における還元反応が促進される。
光触媒酸化還元反応装置31は、具体的には、酸化槽32Aおよび還元槽32Bが各々の下部において接続チューブ32Cによって連通されると共に、酸化槽32Aおよび還元槽32Bの各々の上部においてこれらと連通した状態に上方に伸びたガス収集管32E,32Fが設けられ、これにより、電解液によって満たされた電解液槽32が構成されている。電解液は、例えば水(H2 O)、水酸化ナトリウム/水酸化カリウム/塩化カリウム水溶液(NaOH/KOH/KCl)などとすることができる。なお、溶媒として水以外のアルコール等を用いて電解液を形成してもよい。
また、酸化槽32Aにおいては、光触媒半導体素子30が、酸化槽32Aの周壁に形成された開口35が当該光触媒半導体素子30の触媒反応面Rが電解液に接触するよう水密に塞がれた状態にO−リング36を介して設けられていると共に、還元槽32Bにおいては、その底部を貫通して上方に伸びる状態に、金属電極38が挿入されており、この光触媒半導体素子30と金属電極38とは、電流計39を介して電気的に接続されている。
この酸化槽32Aの周壁における開口35と対向する部分には、光源(図示せず)からの光Lを電解液を介して触媒反応面Rに照射するための光透過用窓32Dが形成されている。
触媒反応面Rに光Lを照射する光源としては、III −V族窒化物半導体20を構成するIII −V族化合物のバンドギャップより大きいエネルギーを持つ光を放射するものであれば特に限定されず、太陽、水銀ランプ、キセノンランプ、白熱灯、蛍光灯、LED、レーザーなどを用いることができる。
例えば、III −V族窒化物半導体20を構成する光吸収層がIn組成比が15%であるInGaNよりなる場合には、バンドギャップが2.7eVであるので、460nm以下の波長の光が照射されればよい。
このような光触媒酸化還元反応装置31においては、以下のように光電気化学反応が実行される。すなわち、例えば電解液が水酸化ナトリウム水溶液である場合には、まず、光源から光Lが光透通用窓32Dを介して光触媒半導体素子30の触媒反応面Rに照射されることによって光吸収層において電子(e- )および正孔(h+ )が生成され、この触媒反応面Rの電解液に接触した領域において正孔(h+ )によって電解液中の水酸化物イオン(OH- )または水(H2 O)が酸化される酸化反応が生じると共に、金属電極38の表面における電解液と接触された領域において電流計39を介して光吸収層から移動した電子(e- )によって電解液中の水素イオン(H+ )または水(H2 O)が還元される還元反応が生じる。
その結果、酸化槽32Aの光触媒半導体素子30においては酸素ガスが、還元槽32Bの金属電極38においては水素ガスが生じ、これらの酸素ガスおよび水素ガスは、各々ガス収集管32E,32Fに収集される。
本発明の光触媒酸化還元反応装置および光電気化学反応実行方法によれば、上記の光触媒半導体素子30を有するために、III −V族窒化物半導体20の光吸収層を高いIn組成比とすることによって可視光を受けて高い光変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる。
以上の光触媒酸化還元反応装置31においては、種々の変更を加えることができる。
例えば、一対の電極としてn型のIII −V族窒化物半導体20を有する光触媒半導体素子30および金属電極38を用いることに限定されず、p型のIII −V族窒化物半導体を有する光触媒半導体素子(以下、「p型光触媒半導体素子」ともいう。)および金属電極を用いることもできる。この場合、p型光触媒半導体素子が陰極として機能すると共に金属電極が陽極として機能することとなる。具体的には、p型光触媒半導体素子における触媒反応面に光が照射されることによって、その光触媒キャリア発生部分において電子(e- )および正孔(h+ )が生成され、触媒反応面において電子(e- )によって電解液中の水素イオンまたは水が還元される還元反応が生じると共に、金属電極の表面においてはポテンショスタッド39を介して移動した正孔(h+ )によって電解液中の水酸化物イオンまたは水が酸化される酸化反応が生じる。
また例えば、一対の電極としてn型のIII −V族窒化物半導体を有する光触媒半導体素子(以下、「n型光触媒半導体素子」ともいう。)およびp型光触媒半導体素子を用いることもできる。この場合、n型光触媒半導体素子が陽極として機能して酸化反応が生じると共にp型光触媒半導体素子が陰極として機能して還元反応が生じる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:本発明の半導体発光素子の製造例〕
図2に従って半導体発光素子を作製した。すなわち、まず、100kPaでサファイアよりなる基板を水素ガス中にて1052℃で10分間アニールし、その後基板の温度を545℃まで下げ、この基板の(0001)+c面上にV族原子とIII 族原子との割合(V/III 比)が約5000程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリアガスとして継続的に供給し、10分間で窒化ガリウム(GaN)よりなるバッファ層を成長させた。
次に、基板温度を1020℃まで上昇させ、バッファ層の表面上にV/III 比が約3800程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリアガスとして継続的に供給すると共に10ppmの水素希釈シラン(SiH4 )を8sccmの流量で継続的に供給し、30分間、ケイ素原子(Si)をドープした窒化物ガリウムよりなる厚み1.5μmのn型GaN層を成長させた。
その後40kPaまで減圧し、1020℃の状態でV/III 比が約3800程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリアガスとして継続的に供給すると共に10ppmの水素希釈シラン(SiH4 )を8sccmの流量で継続的に供給し、15分間でケイ素原子(Si)をドープした窒化ガリウム(GaN)よりなる厚み0.75μmのn型GaN層を成長させた。
その後20kPaまで減圧し、基板温度を767℃まで降下させ、n型GaN層上に、図2に従って、下記のように窒化ホウ素ガリウム(BGaN)よりなる厚み10nmの歪緩和層(4層)、窒化インジウムガリウム(InGaN)よりなる厚み3nmの発光層(3層)を作製した。
具体的には、窒化ホウ素ガリウム(BGaN)層は、トリメチルガリウム(TMGa)、トリアルキルボロン化合物、アンモニア(NH3 )と窒素ガスをキャリアガスとして継続的に2分間供給することにより成長させた。また、窒化インジウムガリウム(InGaN)層は、トリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、アンモニア(NH3 )と窒素ガスをキャリアガスとして継続的に40秒間供給することにより成長させた。
その後、20kPa、767℃のまま、トリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と窒素ガスをキャリアガスとして継続的に供給し、4分間でキャップ層として厚み20nmの窒化ガリウム(GaN)層を成長させた。
最後に100kPaに昇圧し、基板温度を958℃に昇温し、トリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリアガスとして継続的に供給すると共に窒素希釈のビス−シクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2 Mg)を125sccmの流量で継続的に供給し、5分間でマグネシウム原子(Mg)をドープした窒化ガリウム(GaN)よりなる厚み 約200nmのp型GaN層を成長させた。
発光層のIn組成比を測定したところ、20%、格子定数は3.26Åであった。また、歪緩和層のB組成比を測定したところ、0.8%、格子定数は3.18Åであった。
このように得られた半導体発光素子を本発明の半導体発光素子〔1〕とする。
[発光テスト]
上記の半導体発光素子〔1〕を用いて、直流電源による電流注入(8.5V、40mA)時のELスペクトル(λpeak=510nm)を測定した。結果を図5に示す。
図5にも示されているように、本発明の半導体発光素子〔1〕においては、安定的に青緑色のEL発光が得られることが確認された。
〔実施例2:本発明の光触媒半導体素子の製造例〕
図3に従って光触媒半導体素子を作製した。すなわち、まず、100kPaでサファイアよりなる基板を水素ガス中にて1052℃で10分間アニールし、その後基板の温度を545℃まで下げ、この基板の(0001)+c面上にV族原子とIII 族原子との割合(V/III 比)が約5000程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリアガスとして継続的に供給し、10分間で窒化ガリウム(GaN)よりなるバッファ層を成長させた。
次に、基板温度を1020℃まで上昇させ、バッファ層の表面上にV/III 比が約3800程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリアガスとして継続的に供給すると共に10ppmの水素希釈シラン(SiH4 )を5sccmの流量で継続的に供給し、20分間、ケイ素原子(Si)をドープした窒化ガリウム(GaN)よりなる厚み1μmのn型GaN層を成長させた。
その後20kPaまで減圧し、1020℃の状態でV/III 比が約3800程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリアガスとして継続的に供給すると共に10ppmの水素希釈シラン(SiH4 )を9sccmの流量で継続的に供給し、40分間、ケイ素原子(Si)をドープした窒化ガリウム(GaN)よりなる厚み2μmのn型GaN層を成長させた。
その後、n型GaN層上にV/III 比が約3800程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリアガスとして継続的に供給し、2分間、窒化物ガリウムよりなる厚み85nmのアンドープGaN層を成長させた。
さらに、基板温度を767℃まで降下させ、アンドープGaN層上に下記のように厚みが各々5nmの窒化インジウムガリウム(InGaN)よりなる光吸収層、窒化ホウ素ガリウム(BGaN)よりなる歪緩和層および窒化インジウムガリウム(InGaN)よりなる光吸収層を作製した。
具体的には、窒化インジウムガリウム(InGaN)層は、トリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、アンモニア(NH3 )と窒素ガスをキャリアガスとして継続的に2分間供給することにより成長させた。また、窒化ホウ素ガリウム(BGaN)層は、トリメチルガリウム(TMGa)、トリアルキルボロン化合物、アンモニア(NH3 )と窒素ガスをキャリアガスとして継続的に2分間供給することにより成長させた。
光吸収層のIn組成比を測定したところ、20%、格子定数は3.26Åであった。また、歪緩和層のB組成比を測定したところ、3.0%、格子定数は3.17Åであった。
このように得られた光触媒半導体素子を本発明の光触媒半導体素子〔1〕とする。
〔参考例1:参考用の光触媒半導体素子の製造例〕
まず、100kPaでサファイアよりなる基板を水素ガス中にて1052℃で10分間アニールし、その後基板の温度を545℃まで下げ、この基板の(0001)+c面上にV族原子とIII 族原子との割合(V/III 比)が約5000程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリアガスとして継続的に供給し、10分間で窒化ガリウム(GaN)よりなるバッファ層を成長させた。
次に、基板温度を1020℃まで上昇させ、バッファ層の表面上にV/III 比が約3800程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリアガスとして継続的に供給すると共に10ppmの水素希釈シラン(SiH4 )を0.4sccmの流量で継続的に供給し、60分間、ケイ素原子(Si)をドープした窒化ガリウム(GaN)よりなる厚み3μmのn型GaN層を成長させた。
このように得られた光触媒半導体素子を参考用の光触媒半導体素子〔2〕とする。
〔光触媒酸化還元反応装置を製造例1,2〕
図4に従って、光触媒酸化還元反応装置を製造した。
具体的には、上記の本発明の光触媒半導体素子〔1〕および参考用の光触媒半導体素子〔2〕の各々について、触媒反応面を構成する面の外周部分に塩素プラズマでn型GaN層まで露出させ、チタンおよび金を積層させた集電用部材を設けてこれを陽極として用い、導電ワイヤにより陰極に電気的に接続し、陰極としては白金電極を用い、電解液として1mol/LのNaOH水溶液を用い、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔1〕および参考用の光触媒酸化還元反応装置〔2〕を製造した。
触媒反応面を構成する面の中央部分における直径10mmの円形領域に150Wのキセノンランプの光源より光(照射エネルギー密度:100mW/cm2 )が照射される構成とした。
[光電気化学反応テスト]
上記の光触媒酸化還元反応装置〔1〕および参考用の光触媒酸化還元反応装置〔2〕のそれぞれを用いて、電圧を印加しない状態(ゼロバイアス)で光誘起電流密度(mA/cm2 )と水素発生積算量(mL/cm2 )とを測定した。結果をそれぞれ図6および図7に示す。ただし、図6および図7において、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔1〕に係るものを(1)とし、参考用の光触媒酸化還元反応装置〔2〕に係るものを(2)として示した。
図6および図7から明らかなように、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔1〕においては、参考用の光触媒酸化還元反応装置〔2〕に比較して大きい光誘起電流密度が得られ、また、高い水素発生効率が得られた。具体的には、参考用の光触媒酸化還元反応装置〔2〕における水素発生効率が1.5%であるのに対して、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔1〕における水素発生効率は2.4%であった。
10 半導体発光素子
11 バッファ層
12 n型GaN層
13 p型GaN層
15 基板
17 n側電極
18 ITO電極
19 p側電極
20 III −V族窒化物半導体
20α 活性層(発光層)
20β 歪緩和層
21 バッファ層
22 n型GaN層
25 基板
27 集電用部材
27a 金層
27b チタン層
28 はんだ
29 導電ワイヤ
30 光触媒半導体素子(電極)
31 光触媒酸化還元反応装置
32 電解液槽
32A 酸化槽
32B 還元槽
32C 接続チューブ
32D 光透過用窓
32E,32F ガス収集管
35 開口
36 O−リング
38 金属電極
39 電流計
L 光
R 触媒反応面

Claims (9)

  1. Inを含むGaNよりなる活性層と、当該活性層に接触する状態に積層された、Bを含むGaNよりなる歪緩和層とを有することを特徴とするIII −V族窒化物半導体。
  2. 基板上に請求項1に記載のIII −V族窒化物半導体が積層されており、
    前記活性層が、発光機能を有するものであることを特徴とする半導体発光素子。
  3. 前記活性層を構成するInを含むGaNにおけるIn組成比が10〜50%であることを特徴とする請求項2に記載の半導体発光素子。
  4. 請求項2または請求項3に記載の半導体発光素子を有することを特徴とする半導体発光装置。
  5. 基板上に請求項1に記載のIII −V族窒化物半導体が積層されており、
    前記活性層が、酸化還元反応において光触媒機能を有するものであることを特徴とする光触媒半導体素子。
  6. 前記活性層を構成するInを含むGaNにおけるIn組成比が10〜50%であることを特徴とする請求項5に記載の光触媒半導体素子。
  7. 電解液に接触した状態とされて互いに電気的に接続された一対の電極のうち一方の電極が請求項5または請求項6に記載の光触媒半導体素子よりなり、
    当該光触媒半導体素子におけるIII −V族窒化物半導体の触媒反応面に光が照射されることにより、酸化反応または還元反応が当該触媒反応面において生じるものであることを特徴とする光触媒酸化還元反応装置。
  8. III −V族窒化物半導体における触媒反応面に光が照射されると共に一対の電極間に電圧が印加されることにより、酸化反応または還元反応が当該触媒反応面において生じることを特徴とする請求項7に記載の光触媒酸化還元反応装置。
  9. 請求項5または請求項6に記載の光触媒半導体素子を用い、当該光触媒半導体素子のIII −V族窒化物半導体における触媒反応面に励起光を照射し、当該触媒反応面において酸化反応または還元反応を生じさせることを特徴とする光電気化学反応実行方法。



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